~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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異世界人アプスルシアがやってきてから数週間後 ルシアって呼んでもいいかしら、ね?本人の許可をもらって愛称呼びに 彼女は戦士だったらしい、回復してからここの人に訓練をお願いしている 今はラギアが見てくれているけど……うーん、スパルタね! 全く、似てほしくないヒトに似ちゃってまぁ… 大分焦りが見えてる 休憩にしましょ! ルシアも根詰め過ぎたら、余計に迷うわよ 落ち着きたい?アロマもいいけど…歌なんてどう? これはずっとずっと昔の歌、歌詞もおぼろげだけど… …よくあの子達に歌ってあげたわね…… 「…教えてほしい」 あら、いいわよ!歌、好き? 「エフェメラ様も歌は好きか?」 そうね、多分好きなんじゃない?うふふ! |
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~ リザルトノベル ~ |
無造作に、バトルアックスが振るわれた。 片手の薙ぎ払い。 腰の入っていない一撃であるように見えて、その実、アプスルシアを両断できるほどの威力があるのは、否応なしに実感できる。 (避ける? いや、違う!) 全身が泡立つような恐怖を飲み込み、あえてアプスルシアは一歩前に踏み込むと、手にしたバトルアックスで迎え撃つ。 鋭く重い、刃の打ち合う音が響く。 攻撃は防いだ。 だが重武器を打ち合せた衝撃は持ち手に伝わり、痺れてしまう。 ここからアプスルシアが自分で打ち込むには、痺れが取れる時間が掛かる。 当然、相手は待ってくれない。 (だったら――) アプスルシアは、バトルアックスの斧の部分を地面に向ける。 それに合わせ柄の部分を、くるりと反転。 斧の重さで回転運動を生み出し、その勢いを利用して、相手のこめかみ目掛け柄を叩き込もうとし―― 「身体が強張り過ぎだ」 あっさりと反撃を食らった。 脇腹に拳が叩き込まれ、息がつまり動きが止まった瞬間、押すような形で蹴り飛ばされる。 辛うじて受け身を取るも、鍛錬場の床に倒れ伏す。 (起きないと!) 痛みを無視し、アプスルシアは起き上がろうとするが―― ドス! 顔のすぐ横に、バトルアックスの刃が突き立った。 「これで三回。今日、お前が死んだ回数だ」 見上げれば、そこに居たのは1人の『死神』。 赤と青のオッドアイに黒髪をした男性、ラギアだ。 「死中に活を見出そうしたのは悪くない。だが、その後の組み立てがお粗末だ」 「はい」 素直な声が返ってくる。 叩きのめされたアプスルシアの眼差しに曇りは無く、強さへの渇望が爛々と輝いていた。 アプスルシアが『シィラ・セレート』と『エフェメラ・トリキュミア』に助けられてから、数週間が経っていた。 大魔女たるエフェメラと、家神であるシィラの介護の甲斐もあり元気になったアプスルシアは、礼を言うと頼んできたのだ。 「強くなりたい」 切実な眼差しに、応えたのはシィラだった。 「任せて。うってつけの相手を知ってるから。でも無理はダメよ、ルシア」 「ルシア……」 「ええ。他の呼び方が好い?」 「いや、ルシアと呼んでくれ」 少しばかりはにかむような笑顔で、アプスルシアは応えた。 その後、ワールドオーダーの戦闘教官であるラギアに面倒をみてくれるよう頼み、今も鍛錬の真っ最中という訳だ。 「お前は思い切りは好いが、戦闘の組み立てが甘い。それと、単独戦闘と集団戦闘での違いも意識して動け」 「はい!」 刃を交えながらラギアは指摘を続け、アプスルシアは必死に食らいついていく。 (うーん、容赦ないわ。スパルタね!) 2人の様子を見ていたシィラは、ため息をつくように思う。 (全く、似てほしくないヒトに似ちゃってまぁ……) ラギアを見て、シィラは苦笑する。 それは今世ではなく前世の因縁だが、どこか受け継いでいるのだろう。 (本人に自覚は無いだろうけど) くすりと笑みを浮かべたシィラは、ラギアからアプスルシアに視線を移す。 (大分焦りが見えてる) 自身を削るような勢いで鍛錬に励むアプスルシアを、シィラは気遣う。 一緒に過ごす内に、シィラ達と打ち解け、ワールドオーダーにも慣れてきた彼女だが、根本の部分でいつも焦っていた。 (元の世界のことが気掛かりなんでしょうけど) アプスルシアを見つけた時、彼女は傷付いていた。 それが戦闘による物だとは分かっているが、まだ詳しくは聞いていない。 アプスルシアが話したくなれば聞こうと思ってはいるが、今はまだ、その時は来ていない。 代わりに、焦りを見せる彼女を落ち着かせるため、強くなるための手伝いをしていた。 ラギアだけでなく、魔女達の助けも借りて鍛錬を重ねている。 その成果は出ているように見えるが、だからといって限度という物はある。 「休憩にしましょ!」 シィラの呼び掛けに、ラギアは刃を降ろす。 するとアプスルシアは肩で息をしながら、言葉を返した。 「私は、まだ――」 「ここまでだ」 ラギアが、アプスルシアの言葉を止める。 「強くなりたければ、休むことも必要だ――焦りは分かるが、捕らわれる過ぎるのは良くないからさ」 戦闘から日常へと意識を切り替えたラギアは、口調が優しくなる。 (こういう所は、前世(ラス)に似てるのよね) シィラは懐かしさを感じながらも、アプスルシアを気に掛ける。 「ルシアも根詰め過ぎたら、余計に迷うわよ」 シィラの言葉に、アプスルシアは息を飲むような間を空けて応えた。 「……そう、だな。休むのも戦士に必要なことだ」 そう言うと、ラギアに一礼。 「また、よろしくお願いします」 「ああ。強くしてやる」 師と仰ぐラギアの言葉に、少しだが、アプスルシアに安堵の表情が浮かぶ。 くすりと、シィラは小さく笑みを浮かべると、アプスルシアの手を引いて鍛錬場をあとにする。 「どうする? お茶にする?」 「いや……それよりも、少し落ち着きたい」 「落ち着きたい? そうね。鍛錬したばかりだもの。アロマもいいけど……歌なんてどう?」 「歌?」 どこか子供のように訊いてくるアプスルシアに、シィラは笑顔で応えた。 「これはずっとずっと昔の歌、歌詞もおぼろげだけど……」 それは懐かしい想い出。 (……よくあの子達に歌ってあげたわね……) どこか母親のような表情を見せるシィラに、アプスルシアは返した。 「……教えてほしい」 「あら、いいわよ! 歌、好き?」 これにアプスルシアは、期待するような響きを滲ませながら尋ねた。 「エフェメラ様も歌は好きか?」 シィラにも懐いているアプスルシアだが、エフェメラにもよく懐いている。 長寿の存在に興味があるらしく、何かと話を聞きたがった。 「そうね、多分好きなんじゃない? うふふ!」 「そうか」 嬉しそうな笑顔を浮かべるアプスルシアに、楽しげな笑顔で返すシィラだった。 そうしてシィラが、アプスルシアに歌を教えている頃、エフェメラはメフィストを捕まえていた。 「ようやく捕まえたぞ、メフィスト殿」 「つーかまーりまーしたー」 アプスルシアのことを聞くため、メフィストに尋ねたエフェメラだったが、何故か逃げられていたのだ。 大魔女たるエフェメラなので、高度な魔法を使って捕まえようとしたのだが、その度にメフィストは変態的な複雑さの魔法で逃亡。 「幼女に変身してまで逃げるのはどうかと思うぞ」 「貴方もやってみますかー?」 「遠慮しておく」 げんなりとため息ひとつ。 人見知りの激しいエフェメラだが、メフィスト相手だと、そうでもない。 「それでメフィスト殿、何か分かったか?」 「なーにがですかー?」 「アプスルシアのことだ」 「随分、親身になってますねー」 小首を傾げるメフィストに、エフェメラは返した。 「彼女も焦っている、早く帰してあげたい」 「そーれはちょっとー。まだ時が来てないみたいですしー」 「どういうことだ?」 エフェメラは慎重に尋ねる。 「我から逃げ回っていたが、それは必要なことだったのか?」 メフィストに問い掛ける。 「メフィスト殿。貴方の行動の大半は戯れかもしれんが、それは本命の行動を隠すために必要な物なのだろう?」 原初の魔女たるメフィストは、元々は創造神の一柱だ。 しかも今では、バレンタインの時期に『死ぬ』ことで、『世界の外』から様々な世界を観測する『時間神』としての役割を担っている。 「アプスルシアに、何かあるのか? もしそうなら――」 「助けてあげたいですかー?」 「うむ。助けたい」 意志を伴うエフェメラの応えが、世界のどこかを、カチリと進ませた。 「フラグが立ちましたねー」 「どういうことだ?」 「詳しく話すと問題なので話せませーん。時間矛盾(タイムパラドクス)が発生しますからー」 「それは――」 エフェメラはメフィストの応えに、ひとつの疑念が浮かぶ。 「一つ聞きたいことがある。彼女、一度この世界に来たか?」 「以前にも会ってますよー、貴方達はー」 不可解なことを言うメフィストに、エフェメラは思わず聞き返す。 「い、いや我は初対面のはずだが……? そんなこと、あったか? うーん」 「三百年ほど前ですけどねー」 「三百年前!?」 驚くエフェメラ。 「そんな前に会ってたのか!?」 「今よりも未来の彼女でしょうけどねー」 「?? どういうことだ?」 「こちらの世界と異世界との接続の際にー、時間軸がズレてたのでーす。人形遣いがー、いらん事しましたからねー」 「人形遣いが!?」 嫌悪感を滲ませるエフェメラ。 世界を壊しその破片を食らう『外なる悪魔』である人形遣いは、今まで何度も凶悪な事件を起こしている。 それだけでなく、救世会の設立に関わっていたりと、一言で言うと諸悪の権化だ。 「一体、なにをしたんだ」 「時間矛盾を利用してー、世界の揺らぎを作り出しー、それで世界を壊そうとしたんですよー。そのせいでー、色々とひずみが出来たのでーす」 「ひずみ……まさか、それに?」 「そーでーす。この世界以外にもひずみは出来たみたいですしー、それに落ちちゃったのでしょー」 「……ひずみに落ちた? 衝突が起きていないのに!?」 「そーでーす」 「そんなことが……おのれ人形遣い!」 救世会の因縁にも関わっているので、いつになく怒りを覚えるエフェメラだったが、今のアプスルシアの状況を思い出し気持ちを落ち着かせる。 (……う、ううん。ここはいい方向に考えよう。この世界だからよかったと。下手をすれば時空の狭間で彷徨っていたかもしれないのだから) エフェメラは気持ちを切り替えると、アプスルシアのために、前向きに尋ねた。 「メフィスト殿。これから我はどうすればいいか教えて貰えないだろうか」 「その時その時で最善をして下さーい」 軽い口調でメフィストは言った。 「過去も未来も現在もー、不変なんてものありませーん。だからー、出来ることをするだけでーす」 「その時々で最善を、か」 エフェメラは自分のためでなく、誰かのためだからこそ、前向きに決意する。 「まぁいい、我難しいことわからん」 「貴方、大魔女でしょうにー」 「そんなもの、大したものではない。メフィスト殿とて、解っているだろう」 「そですねー」 世間話をするように、エフェメラは言った。 「それよりだ。最近魔術をよく教わりたがるんだ。『強くなりたい』と」 「教えてあげても好いと思いますよー。こちらの魔法がー、向こうで起動するか分かりませんがー、選択肢は多い方がいいでしょー」 「うむ。そうであるな」 エフェメラは思う。 背伸びをしている彼女。 きっと、そうしなければならない理由があるのだろう。 なら、その理由を少しでも軽くしてやる手伝いぐらい、しても構わない筈だ。 (シィラ達と仲良くして欲しいしな) その願いは、すでに叶っている。 このあと、シィラと一緒に歌を歌うアプスルシアを見て、実感するエフェメラであった。
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*** 活躍者 *** |
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