~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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小さな子どもたちと一緒に雪だるまを作る ほら そろそろお家に入りましょう そろそろケーキが焼けるころよ お姉ちゃんも、という声にすぐ行くわと答え シリウスを探す 自分の家のあった場所で ぼんやり佇む彼を見つけ声をかける …大丈夫? 小さく頷くのに 眉を下げる 冷えた手をそっとつないで …ここで、暮らしていたのね 小さなシリウスと お父さんとお母さん きっと可愛かったんだろうな 困ったような感情が浮かぶのに ああ、いつものシリウスだと安堵 ふふ ねえシリウス 今年のプレゼントは何がいい? また困ったような沈黙かしらと思っていたら …歌? じっと見つめられて頬が赤く お前の歌が好きだと囁かれて 花咲く笑顔 ーじゃあ 今日はあなたのためだけに |
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~ リザルトノベル ~ |
「村の復興、ですか?」 聞き返す『リチェルカーレ・リモージュ』に、ヨセフは応えた。 「ああ。場所はフィノン。君達にとって縁のある場所だ」 「……」 ヨセフの言葉に、『シリウス・セイアッド』は驚くように息を飲んだ。 「無理にとは言わない。だが、可能であれば頼みたい」 「……シリウス」 心配そうに見つめるリチェルカーレに、シリウスは強張った体から力を抜くと、静かな声で応えた。 「……新しく生まれ変わる道があるなら」 シリウスの応えに、喜ぶリチェルカーレだった。 その後は、目まぐるしく忙しかった。 種々様々な書類仕事はヨセフが肩代わりしてくれたが、実際の計画立案と必要な物の手配はしなくてはならない。 その一環として、ニホンの万物学園にある薬草魔法植物園に訪れていた。 「村に根付き易い植物を用意すれば良いのね?」 「はい。お願いできますか?」 リチェルカーレの頼みに、植物園の園長であるリリエラは快く触諾する。 「ええ、もちろんよ。貴女に、渡しておきたい物もあったし、ちょうど好いわ」 「渡したい物、ですか?」 小首を傾げるリチェルカーレに、リリエラは植物園の一角を案内する。 「なんじゃもんじゃ様を通じて、大華の芙蓉様と竜樹様から貴女達に贈り物があるの。守り木のお礼みたいね」 そう言ってリリエラが示したのは、砂地に広げられ乾燥させられた薬草の根だった。 「これは?」 「地黄よ。血を増やしたり強壮効果があるの。芙蓉様と竜樹様が生み出したものだから、普通の物より効果は高いわ」 「薬草なんですね」 「ええ。村の特産品になれば良いと思って」 リリエラの言葉にリチェルカーレは、ぱぁっと表情を明るくして応える。 「ありがとうございます! 村の収入源になりますね!」 「好かった。喜んで貰えて」 リリエラは笑顔で応える。 「私も、何か出来ないかと思っていたから。村に、魔女の移住を考えてくれているんでしょう?」 「はい。魔女さん達や、ベリアルや使徒に家族を奪われた子供達に住んで貰える村にしようって、シリウスと相談して決めたんです」 行き場のない者や、独りになってしまった子供達。 その寄る辺となるような、救護院を兼ねた新しい村にしたいと思っていた。 「協力するわ」 リリエラは、村に植える果樹などを選びながら言った。 「必要なことがあったら言ってね。出来るだけのことをしたいから」 「ありがとうございます。なら、村に植える物の育て方を教えて貰えますか?」 リチェルカーレの頼みに、リリエラは快く応えた。 用意を行い、村へと訪れる。 「……」 言葉無く、シリウスは無人の故郷を見詰める。 かつての人々の息吹は無く、けれど確かに居たのだと主張する様に、広場や教会、そして幾つかの家が残っていた。 (……父さん、母さん) 胸を打つのは、幼き日々。 もはや記憶としては遠く、けれど想い出として深く刻まれている。 以前ならば、思うことさえ苦痛で出来なかったが、今は違う。なぜなら―― 「シリウス」 リチェルカーレが居てくれるからだ。 「みんなが待ってるわ。行きましょう」 笑顔を浮かべながら手を繋ぎ、リチェルカーレが連れて行ってくれる。 繋いだ手のか細い感触に、恐れるような想いと共に、求めるような気持ちを込め、そっと力を込めた。 そのまま2人で向ったのは、村の移住者たちの元。 「お姉ちゃん!」 幼い声に迎えられる。 それは小さい女の子。 「ここに住めるんだよね!?」 「ええ、そうよ」 笑顔で応えるリチェルカーレ。 女の子は、村の移住者を募る中で孤児院を巡り出会ったのだが、話をしている内に懐いてくれていた。 「みんなが住める家を作って、これから来てくれる人達を迎えられるような家も作るの。みんなで、一緒に作りましょう」 「うん!」 にこにこ笑顔を浮かべる女の子。 それを大人達――魔女達が微笑ましげに見ている。 リリエラの伝手で集まってくれた魔女達は物を作るのが得意らしく、村の再建には大いに力になってくれるだろう。 リチェルカーレはシリウスと共に、皆を前にして想いを口にする。 「この村が、皆さんの新しい故郷になって貰えるようにしたいと思います。そのために、どうか力を貸して下さい」 「よろしく、頼む」 シリウスも不器用に頼み、皆は明るく応えた。 そして村の再建が始まる。 魔女達が魔法を使ってくれるお蔭で、驚くほどの速さで進む。 細かな場所は魔女以外の大人が大いに働き、シリウスも積極的に手伝っていた。 一方、子供達は、リチェルカーレが中心となって植物を植えていく。 「お姉ちゃん、ここ? ここに植えるの?」 「ええ。少しずつ間隔を空けて植えていってね」 植物園で貰った地黄を子供達が植えていく。 守り木や果樹などの重い物もあったが、そちらは助っ人が手伝ってくれる。 「ぴー、ぴぴー」 「ここに植えるの?」 リチェルカーレの契約魔獣であるリーフィが誘導しながら、契約宝貝であるカリンが重い苗木を植える。 「ぴー」 どんなもんだい、というように、カリンの頭上に乗って胸を逸らすリーフィ。 それを、むんずと捕まえて、ふにふにな頬を揉むカリン。 ついでに集まって来て、リーフィの頬を揉む子供達。 子供達が笑顔を浮かべているのを見て、同じように笑顔を浮かべるリチェルカーレ。 和やかに、村の再建はされていった。 魔女達の助けもあり、予定よりも早く村の整備は終わり余裕が出来た。だから―― 「クリスマスをしましょう」 リチェルカーレの言葉に、子供達を中心に歓声が上がる。 クリスマスリースを作り、家を飾りたて、少し早いプレゼントを配っていく。 「あったかーい!」 子供達が、贈り物の防寒着を着て走り回る。 遊び道具になりそうなボールや、寒い日に室内で楽しめるようボードゲームも贈っていた。 「ありがとー!」 にこにこ笑顔で子供達は礼を言い、早速みんなで遊ぶ。 ちらほらと雪が降る中、温かな防寒着を着た子供達は、ボール遊びに夢中になっていた。 それを見守る様に、守り木が村の中央に植えられている。 子供達の成長と共に育って行き、きっと村のシンボルになってくれるだろう。 そうなれば良いと、リチェルカーレは思っていた。 (悲しい思い出がいつか、少しでも懐かしく振り返ることができるように) 祈らずにはいられないリチェルカーレだった。 そうして村の再建が進み、何度も通ったリチェルカーレ達は、クリスマス当日も村の手伝いをしていた。 「できたー!」 大きな雪だるまを作った子供達に、リチェルカーレは笑顔で言った。 「ほら、そろそろお家に入りましょう。ケーキが焼けるころよ」 歓声を上げ子供達は家に向かおうとするが、女の子の1人が気に掛けるように言った。 「お姉ちゃんも」 これにリチェルカーレは、安心させるような笑顔で応える。 「すぐ行くわ」 その言葉に安心したのか、子供達は賑やかに家に戻っていく。 子供達の楽しそうな様子を、少し離れた場所でシリウスは、ぼんやりと見つめていた。 「……」 言葉は無く、表情も凪いでいる。 故郷で遊ぶ子供達を見詰めながら、平静でいられる自分を、シリウスは遠く感じていた。 「……大丈夫だ」 心配気に揺れるアステリオスに囁くように応え、その場を後にする。 湧き上がる想いを満たそうとするかのように、かつて家のあった場所に自然と足が向いていた。 そこには茉莉花の枝と、鈴蘭の苗。 骨の欠片も、見つからなかったシリウスの両親。 せめてもと、庭であった場所にあった花と木の苗を墓の周りに植えられるよう、リチェルカーレが丁寧にまとめてくれたものだ。 「……父さん、母さん」 (ふたりは……苦しくは、ないのかな) 問い掛けるように、茉莉花の枝と鈴蘭の苗に視線を落とす。すると―― 「……大丈夫?」 リチェルカーレに声を掛けられた。 視線を上げ、安心させるように小さく頷くシリウス。 気遣ってくれるシリウスに、リチェルカーレは眉を下げ、冷えた手をそっと繋ぐ。 (シリウス……) かつて両親と共に過ごした場所を見詰める彼は、以前よりも苦し気ではないけれど、まだ悲しい色が濃い。 だから思わず手を繋ぎ、瞬く翡翠の瞳に笑いかける。 「……ここで、暮らしていたのね」 感情を出すのが苦手で、人に触れるのが苦手な、それでも、誰よりも優しいシリウス。 もっともっと笑ってほしいと、彼を知るほどに思うリチェルカーレは、想い出を繋ぐように言った。 「小さなシリウスと、お父さんとお母さん。その頃のシリウス、きっと可愛かったんだろうな」 「……可愛い、とは」 困ったような感情が浮かぶシリウスに―― (ああ、いつものシリウスだ) 安堵と共に、彼が過去と寄り添える事を願って、ひとつの問い掛けをした。 「……お父さんやお母さんのお墓は、ここに?」 やっと整った霊園を見つめながら問うと、シリウスは少し考えたあと応える。 「いや」 小さく首を振り、前に進もうとするように言った。 「……前、言ってくれただろう。お前の故郷に……俺の両親の墓も作ってはどうかと」 リチェルカーレと、彼女の家族のことも思いながら言った。 「お母さんも、シンティたちも、花を届けに行くと言ってくれたし……お言葉に、甘えようかと思うんだ」 シリウスの小さな声にリチェルカーレは、ぱっと笑顔を浮かべる。 「……うん! わたしの家族も、喜ぶわ」 リチェルカーレの笑顔と、彼女の細い指の感触にシリウスは、知らず詰めていた息を吐く。 表情が和らいだシリウスに、楽しげにリチェルカーレは尋ねる。 「ふふ。ねえ、シリウス」 視線を合わせ言った。 「今年のプレゼントは何がいい?」 (答えてくれるかしら? また困ったような沈黙、かも?) 期待を浮かべ、じっと見つめていると―― (プレゼント……) シリウスは首を振ろうとして、この時期、母がよく歌っていたのを思い出す。 大切な人に歌うのよ 今でも鮮やかに、想い出は浮かんでくれる。 (子ども心にも、あの笑顔と声が、大好きだった) 「……歌が聞きたい」 「……歌?」 じっと見つめられ、リチェルカーレは頬を染めて聞き返す。 シリウスは、見詰めながら想いを告げた。 「お前の歌が好きだ」 囁くような、けれど想いを込めた精一杯の言葉。 シリウスからの贈り物に、リチェルカーレは花咲く笑顔を浮かべてくれる。 「――じゃあ、今日はあなたのためだけに」 花咲く笑顔と、リチェルカーレの清涼なる歌声に、シリウスも頬を染めながら思う。 (大丈夫だ) 父と母にも、リチェルカーレの歌が届けば好いと空を見上げながら―― (息ができない夜があっても、リチェがいたら) リチェルカーレを想い、シリウスは彼女を見詰めながら、歌声に心をゆだねていた。 2人の時間を過ごし、村の皆が待つクリスマス会場に向かう。 「メリークリスマス!」 「ハッピークリスマス!」 皆でクリスマスを祝い、楽しく過ごす。 それは賑やかで、温かなひとときだった。 雪の降り積もる中、皆の心は温かで、これからの未来を明るく歩もうとしている。 それは土の中で眠り、春を待つ植物のように。 きっとそれは訪れる。 リチェルカーレが子供達と一緒に植えた地黄が芽吹く頃には。 春の訪れを告げる佐保姫に知らせるように、皆は未来を夢見ているのだった。
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*** 活躍者 *** |
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