~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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ス:毛がぞわわってなったから急いでもどってきた! って、あーー!!?なんでお前マーに抱きついてんだ!? 武器じゃなくて、あれは羽だったのか そうだ!マーはだいじょうぶか!? リ:わ、私……一体どうして……? すみません、かえって足を引っ張ってしまうなんて…… っ!?あのホムンクルスにしてやられましたか……! 駅まであと数キロもありません 私の化蛇でなんとか列車を止めてみます! まさか、ヨセフ室長を直接狙ってくるとは…… ……気にしないといえば あ、あのっ……先程は大変な粗相をしてしまい、申し訳ございませんでした……! できることなら気にせず、忘れてください あれをファーストキスに数えるのは……その……嫌、ですから…… |
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~ リザルトノベル ~ |
「死ね」 殺意と共に、黒翼の刃をルシファーが振るう。 鋼鉄の客車を容易く切り裂く威力は、まさしく必殺。 触れれば首を斬り飛ばす一撃を―― ギンッ! 化蛇の刃が受け止めた。 「なっ!」 ルシファーは驚愕に声を上げ、化蛇を振るった『タオ・リンファ』に視線を向ける。 (俺の能力から逃れたのかっ!) ルシファーの能力は、声を用いた精神干渉。 人間や生物の傲慢な気持ちを増幅させ、浄化師相手であればアウェイクニング・ベリアルを発症させる手前まで陥れることが可能だ。 (オヤジならともかく、こんな奴が跳ね除けられるわけが――!) ルシファーの見立ては間違っていない。 (こいつ、能力から自由になった訳じゃねぇ) 未だにリンファは、剥き出しの情欲を曝け出し、ヨセフを逃さないと言わんばかりに抑えつけている。 それを見て、ルシファーは気付く。 今の一撃をリンファが防いだのは、傲慢な愛だと。 ヨセフの何もかも、死すら全て自分ものだという様に、ルシファーの刃を弾いたのだ。 正気を失い、それでも無意識にヨセフを庇ったリンファに、ルシファーの胸にかきむしるような苛立ちが湧きおこる。 それは自分には与えられなかったもの――愛してくれる、誰か。けれど―― (ふざけんな!) ルシファーは決して認めない。 傲慢であるが故に。そして、壊れてしまわないために。 「お前ら2人とも、死ね!」 ルシファーは、唯一自身を保つことの出来る傲慢さを支えに、怒りを露わにする。 余裕の全てを投げ捨て、両腕に黒翼を生成。 形も残さず微塵にするべく刃を振るおうとし―― 粉微塵に頭部を吹き飛ばされた。 「――!」 頭部を吹き飛ばされた衝撃で、ルシファーは床に叩きつけられる。 叩きつけられた勢いは止まらず、何度かバウントして客車の壁にぶち当たった。 それを成し遂げたのは、巨大な戦鎚の一撃。 客車の扉を破壊して飛んで来た戦鎚が、その勢いのままルシファーの頭部を粉砕したのだ。 「――誰だ!」 失った頭部を高速再生させながら、ルシファーは怒りの声を上げる。 しかし応えは返らず、代わりに―― 「あー! なんでお前マーに抱きついてんだ!?」 戦鎚を回収した『ステラ・ノーチェイン』が、リンファに組み敷かれたヨセフに噛み付くような勢いで言った。 「早く離れーろー!」 これにヨセフは―― 「先頭車両に他の浄化師が待機している! 呼んで来てくれ!」 リンファに殺されないように抵抗しながら、ルシファーに聞こえるように大きく声を上げた。 「ちっ!」 ヨセフの言葉に、頭部を再生し終えたルシファーは苛立たしげに舌打ちする。 「時間切れか」 そう言うとリンファ達から距離を取り、客車の壁を黒翼で切り裂き出口を作る。 「殺せなかったが、まぁいいさ。どうせこの列車の終点は地獄だ」 笑みを浮かべながら、高速で走る機関車から跳び降りる。 そのまま地面に叩きつけられるかと思えたが―― バサリ! 客車の壁を切り裂いた黒翼が、その本来の役目を果たす。 羽ばたかせながら風に乗り、そのまま飛翔し、どこかに消え去った。 「武器じゃなくて、あれは羽だったのか」 物珍しさに、思わず見ていたステラだったが、すぐにリンファに駆け寄る。 「マー、だいじょうぶか!?」 「……ぁ」 ルシファーが居なくなったことで能力から逃れたリンファは、一瞬意識が遠くなり崩れ落ちそうになったが―― 「――っ!」 倒れそうになった所をヨセフに抱き止められ、一気に意識がクリアになる。 「――ょ、ヨセフ、室長」 「あー! やっぱり抱きついてんじゃないか! 離れろー!」 「ああ」 ヨセフはステラに静かに返すと、リンファの頬に手を当て上向かせると、確認するように顔を見詰める。 「大事は無いか?」 「ぇ、ぁ、だ、大丈夫、です……」 頬に寄せるヨセフの手の感触に、リンファは僅かに声を震わせるが、現状を確認するように言った。 「私……一体どうして……?」 「ルシファーの能力に影響を受けたようだ。あれは、人の精神に干渉する能力を持っている」 ヨセフの説明に、リンファは自身の不甲斐なさで目が眩みそうになる。 「すみません、かえって足を引っ張ってしまうなんて……」 悔みながら、けれど普段の彼女に戻ったリンファに、ヨセフは一瞬安堵するような表情を見せたが、すぐに指揮者としての役割に意識を切り替える。 「今は気にしなくても良い。それより、ルシファーが逃げる前に言った言葉が気になる」 ヨセフは、切り裂かれ風が吹き込む客車の壁の外に視線を向け、流れていく景色を確認して言った。 「速度が速すぎる。このままだとブレーキも効かずに脱線するぞ」 「それは!」 リンファも確認し、明らかに異常な速さなのを見てとった。 「早く速度を落とさないと。機関車両に行きましょう」 先頭車両に向かおうとするリンファを、ヨセフが止める。 「万が一だが、車内にルシファーが仕掛けをしてないとも限らない。それよりも、こちらから行こう」 そう言うと、破壊された客車の壁から外に身体を出し、そのまま車両の屋根に乗り移る。 「ステラ」 「おう! オレたちも行こう!」 リンファとステラも同じようにして車両の屋根に乗り移ると、機関車両に向かって全速疾走。 不安定な足場も危なげなく走り抜け、瞬く間に辿り着くと―― 「これはっ!」 破壊された機関車両が確認できた。 「あのホムンクルスにしてやられましたか……!」 「ああ。ブレーキが破壊されている」 屋根から降り、機関室を確認してきたヨセフが言った。 「止める手段がない。このまま速度を落とさず進めば、駅に突っ込みかねん」 言いながら思案するヨセフに、ステラが力任せの案を出す。 「止まらないのか? だったら駅につく前に、先頭を壊しちゃえばいいんじゃないか? そうすれば止まると思うぞ」 「それだと止まるかもしれんが、後続車両もタダじゃすまん。一般客も多く乗っている筈だ。巻き添えになる」 ヨセフは、先頭車両と後続車両の接合部分を確認したあと、続けて言った。 「先頭車両と後続車両を切り離す事も出来ん。ルシファーの仕業かは断定できんが、切り離し部分が破壊されている」 「だったら、ハンマーで殴ってぶっ壊すぞ」 「ダメだ。破壊することは出来るだろうが、その衝撃で脱線しかねん。この速さで脱線したら、一般人はただでは済まん」 「じゃあ、どうするんだ? 他の方法無いぞ」 今にも戦鎚で破壊しに行きそうなステラを止めながら、ヨセフは思考する。 「問題は、すでに出ている速さだ。単純に破壊しただけでは、その運動エネルギーまで消せん。少しでも落とすためには、今からでも蒸気機関の火を消せればいいが……」 「火を消すのか? だったら水を掛ければ良いんじゃないか?」 「難しいな」 ヨセフは、パートナーである蒸気機関の第一人者、トーマス・ワットから聞いていた知識を思い出しながら応える。 「この速さで走らせるほどの熱量なら、すでに400度を超える熱の塊だ。生半可な水量では足らんし、下手をすると掛けた瞬間に水蒸気爆発を起こしかねん」 「よく分からないけど、水がたくさん要るのか?」 「多い方が良い」 「だったらマーが、どうにかできるぞ!」 そう言うとステラは、期待感いっぱいの眼差しでリンファと、彼女が手にする化蛇を見詰める。 「マーは、ばばーんって、一杯水出したりできるんだぞ!」 「……リンファ」 即座に頭を巡らせたヨセフが、リンファに尋ねる。 「車両全体を包み込めるほどの水量を作り出し、操ることは出来るか?」 「……真名解放し、全ての魔力を注ぎこめば……」 「出来るのなら、作り出した水で車両の外側全てを包み、同時に、車両の内部も水で満たしてくれ」 「内部も、ですか?」 「ああ。ただの水なら不可能だが、魔力で生み出した、『操作できる水』であるなら可能性はある。全体を包んで速度を落としつつ、内部の乗客を包み込んでクッションの代わりにすることで、乗客が車内に叩きつけられる危険を排除する。難しいが、出来るか?」 「……」 リンファは一瞬悩んだが、彼女に応えるように化蛇が震える。 創造神を倒した後、べリアルが素材である魔喰器は、明確な意思を持つようになっている。 やれますよ そう言っているかのようだった。 「分かりました」 明確な意志を込め、リンファは応える。 「駅まであと数キロもありません。私の化蛇でなんとか列車を止めてみます!」 「頼む」 「マー、やっちゃえ!」 ヨセフとステラの応援を受け、リンファは魔力を高める。 「蒼天の下に正義の花束を」 真名を解放し、さらに黒炎解放。 二重の強化で膨れ上がった魔力を化蛇にリンファが注ぎ込んでいる間に、ヨセフとステラは車内に戻り、乗客達に事情説明。 全ての準備が整った所で―― 「波濤に飲み干せ、化蛇!」 化蛇を振り抜き膨大な黒炎を放出。 放出された黒炎は、巨大な水の蛇へと転ずると、暴走機関車に並走。 繊細とも言える動きで暴走機関車に触れると、つぷりと全てを飲み込み包み込んだ。 巨大な水蛇に、暴走機関車が浮かぶ。 機関車内部にも侵入した水は乗客たちが窒息しないようにしながら包み込み、そのまましばらく疾走。 だが少しずつ速度を落とし、駅の手前で完全に停止することが出来た。 そうして、なんとか無事に被害を出さずに済んだのだった。 「やはり、ホムンクルスの仕業だったようですね」 駅につき、駅員や乗客達から聴取を終えたリンファは、ため息をつくように言った。 「根本の原因は、マーデナクキスにあるようですが」 発展と進歩が目覚ましいマーデナクキスだが、その反動とも言える闇の部分は深く広がっている。 具体的な理由は解らないが、そうしたマーデナクキスの事情が、影響を与えているように思えた。 「それにしても、まさかヨセフ室長を直接狙ってくるとは……」 「それよりも、こちらの動きを知っていたことが気になる。救世会や、それに人形遣い。そいつらが関わってなければ良いが」 思案するようにヨセフは言ったあと、リンファを気に掛けるように続ける。 「エア王との会談が控えているというのに……すまない、とんだ訪問になってしまったな」 「気にしないでください。悪いのはあのホムンクルスですから」 そう言ったあと、リンファは顔を赤くしながら続ける。 「……気にしないといえば、あ、あのっ……先程は大変な粗相をしてしまい、申し訳ございませんでした……!」 「……」 思い出したのか無言になるヨセフに、リンファは消え入るような声で言った。 「できることなら気にせず、忘れてください。あれをファーストキスに数えるのは……その……嫌、ですから……」 「……」 ヨセフは無言。 それを気にしつつも返せないリンファは、ヨセフの顔を見る事も出来ない。 でも、見れば良かったかもしれない。 だってヨセフも、同じように顔を赤くしていたのだから。 そんな微笑ましい一幕もありつつも、今回の件を調査するために、マーデナクキスを巡るリンファ達であった。
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*** 活躍者 *** |
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