Replica tre
普通 | すべて
1/1名
Replica tre 情報
担当 春夏秋冬 GM
タイプ ショート
ジャンル 日常
条件 すべて
難易度 普通
報酬 通常
相談期間 2 日
公開日 2022-04-30 00:00:00
出発日 0000-00-00 00:00:00
帰還日 2022-04-30



~ プロローグ ~

※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。


~ 解説 ~

※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。


~ ゲームマスターより ~

※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

ラニ・シェルロワ ラス・シェルレイ
女性 / 人間 / 断罪者 男性 / 人間 / 拷問官
襲撃の知らせを受けて急遽本部へ
また!?しかも前よりひどいって…!
一瞬ラスが戸惑う素振りを見せたことを訝しむも戦場へ

ねぇ、何か前より激しくない?
油断はしていない、だけど何だかじわじわ削られてるような
一瞬の思考の間に魔術で分断され
ラス!あとで合流!


数が多いし、何か勢いも強いような…?
何故睨まれなければならないのか 考えてる内に敵が倒れ
誰…ってベルちゃん?危ないわよこんなとこで!
微笑む彼女、本当は分かってるのでしょうと告げられる
目を背けただけ、知ってる。でもどうして?
なんであたし達なの?


「アナタたちが神を殺したから」

……違う、あれは皆の力だった
ベルちゃん、もうやめましょ


~ リザルトノベル ~

 第四章 襲撃

 その日、平穏は壊された。

「襲撃……!」
「また!? しかも前よりひどいって……!」
 休日、平穏な日々を過ごしていた『ラス・シェルレイ』と『ラニ・シェルロワ』は、緊急の知らせを受け教団本部に駆けつけていた。
「場所は?」
「被害どれくらい? 相手誰?」
 矢継ぎ早に尋ねるラスとラニに教団員は答えた。
「場所は市街地です。犯行グループは、救世会を名乗っています」
「また救世会なの!?」
 うんざりするようにラニは声を上げる。
 だが隣りで聞いていたラスの反応は違った。
(救世会……襲撃……まさか彼女が言ってたのは……なら、何故知ってる?)
 ラスの脳裏に浮かぶのは1人の少女。
 彼女は、ラスだけでなくラニの事すら知っていることを示唆し、救世会との関わりをほのめかした。
 警戒するべき相手。けれど――

「にいさま、今度はねえさまと、ご飯食べましょうね」

 信頼するような笑顔を浮かべ、ねだるように願った彼女のことを、ラスは敵だとは思えなかった。そんな彼に――
「ラス?」
 どこか訝しそうにラニが呼び掛ける。
「どうかした?」
「……いや、大丈夫だ。それより、現地に向かおう」
 強引に話を逸らすラスをラニは気にしつつも、事態は予断を許さない。
 今ここで余計な時間を取れば、犠牲が増えていくのだ。だからこそ――
「分かった。行きましょう、ラス」
 ラニはラスと共に現場に向かう。

 魔女達が作り出した、現場へと転移する門を通り、そこで目に跳び込んで来たものは――

「なによ、これ」
 憤りをラニは飲み込む。
 至る所が破壊され、血を流し倒れる者が数多い。
 その光景に、ラスは一瞬息を飲むが、すぐに浄化師として動き出す。
「行くぞ、ラニ」
「ええ、もちろんよ」
 2人は手と手を重ね、魔術真名を解放。
「叫びよ、天堕とす憎歌となれ」
 出し惜しみはしない。
 状況を掴む必要があるかもしれないが、今は目の前で傷付けられている人達を助ける方が先だ。
「前に出る。ラニは要救助者の避難を」
「任せなさい」
 短く言葉を交わすだけで意図を読み合った2人は、流れるようなコンビネーションで動く。
(まずは切り離す)
 ラスは、魔術を放とうとしている襲撃者の間合いを一瞬で詰める。
 襲撃者は気付くも、ラスの動きの方が早い。
 大斧の腹で殴り飛ばす。
 肋骨が砕かれた襲撃者は、一瞬で戦闘不能にされた。
「貴様ら!」
 襲撃者の仲間が気付き魔術を放って来るが、それをラスは大斧で弾くと、最初の1人と同じように戦闘不能にしていく。
 そうしてラスが襲撃者を倒してくれている間に、ラニは親子連れを逃がす。
「今の内に逃げて。大丈夫、あっちに行けば守ってくれるから」
 避難経路を伝え、礼を言いながら走り出す親子を守るようにラニは動く。
「掛かって来なさい!」
 襲撃者を引き付け、要救助者が避難したことを確認してから、ラスと協力して本格的に敵を倒していった。
「これで――お終い!」
 片手剣の柄尻で襲撃者の顎を打ち抜き気絶させたラニは、周囲を確認する。
「ここは、これで大丈夫みたいね」
「ああ、だが他にも――」
 ラスが言いかけた瞬間――

 ドンッ!

 重い爆発音が響き、そちらに視線を向ければ巨大な炎の柱が上がっていた。
「なにあれ魔術!?」
「分からん。だが只事じゃない、行くぞ」
 2人はすぐに走り出すが、そこに更なる襲撃者達が向かって来る。
「なんなのよ!」
「数が多い、気を抜くな!」
 2人は、お互いの死角をカバーするようにして戦いながら先へと進む。
 幾度となく戦場を潜り抜けた2人にとって、敵の襲撃は苛烈だが対処が出来ないほどではない。
 だがそれでも、次から次に現れてくる襲撃者達に、何か嫌な物を感じずにはおれなかった。
「ねぇ、何か前より激しくない?」
「……あぁ」
 襲い掛かってくる敵が途切れた所で、一息つくように話しかけてきたラニに、ラスは同意する。
「前にも同じようなことはあったけど、ここまでじゃなかった」
「そうよね。それになんだか手際も良いような気がするし……準備してたか、手引きした奴でもいるんじゃない?」
(手引きした?)
 ラニの言葉に、ラスの脳裏に浮かぶのは1人の少女。
(……分からない。そういうことをするようには見えなかった……それとも――)

「―――あの狂人がまた来ますよ」

「――っ!」
 沸き立つ恐怖に、思わずラスは息を飲む。
 それは心の底の底にまで刻まれた、『死神』への恐怖。
「ラス!?」
 動揺するラスに気付いたラニが声を掛けた瞬間だった。
 2人に向け、無数の魔力弾が撃ち込まれる。 
「ラス!」
「大丈夫だ! 怪我は無い!」
 反射的に2人は跳び退くように回避するが、そのせいで離れてしまう。
 それを見計らったように、新たな襲撃者達が向かって来た。
(どういうことだ?)
 襲撃者達の目を見て、ラスは確信する。
 それは朧げな敵意では無く、明確な殺意。
 ラスをラスだと意識した上で、殺そうとしているのが伝わって来た。 
(何故だ?)
 殺意を向けられラニと分断されながら、ラスは冷静に考える。
(ここまであからさまに憎悪を向けられれば、否が応でも分かる。俺を殺すために、こいつらはここにいる)
 一瞬視線をラニに向ければ、そちらも同様だった。
(俺だけじゃない。ラニにも同じように殺意を向けている。なら俺とラニの共通点があるということ、それは――)
 襲撃者達を打ち倒しながら、ラスは『答え』に辿り着く。
(まさか、レプリカントが関係してる?)
 そう思った瞬間だった。

「それでいい」

「――!!」
 忘れようのない、聞き覚えのある声に、反射的に視線を向ける。
 それは、辛うじて視認できるほど離れた場所にいた。
(師匠)
 幼い記憶と変わらない、死神の――レインの姿があった。
 魂を鷲掴みにされるような衝撃が走るが、それをラスは振り払う。
(震えるな、大丈夫)
 今するべき事は、怯え振るえる事なんかじゃない。
(ラニと合流しなきゃいけない)
 成すべき事を、成し遂げるために。
 ラスは恐怖を飲み込み戦闘に集中する。

 それが死神を歓喜させた。

「そうだ。それでいい」
 静かな、だが壊れた笑みを浮かべ、満足げにレインは場を離れる。
「いずれ、また。ラス」
 再会を誓い、ラス達の邪魔になるモノを排除に動いた。

 そうとは知らないラスは、ラニと合流するべく、襲撃者達を撃退しながら駆け続ける。
(ラニ、すぐに行くからな)
 全力で駆けるラスに合流するべく、ラニも動いていた。

(何で睨んでくるのよ)
 襲撃者達の攻撃を捌きながら、彼らの視線がラニに突き刺さる。
(思い当たる節は無い――わけじゃないけど、だからっていい迷惑よ)
 ラニは、どこか普段と変わらぬ様子で、襲撃者達を倒していく。
 彼女は疑問はあるも、だからといってそれに囚われる気は無かった。
(とっととラスと合流して、有給でも取って遊びに行くんだから)
 前を向いて戦う彼女に、襲撃者達は苛立たしそうに声を張り上げた。
「貴様っ!」
「罪人が!」
「神の手によらぬ人造物の分際で!」
 それは呪いの言葉。
 ラニを汚し堕とそうとする怨嗟が込められている。
(ああ、やっぱり)
 彼らの呪いの言葉に、ラニは納得する。それでも――
(だからなんだっていうのよ)
 そんな物は知らぬとばかりに、ラニは戦う。それは――
(ラスと合流しなきゃ!)
 勝手に憎悪をぶつけるどこかの誰かなんて、ラスと一緒にいる事と比べれば些事でしかない。
「邪魔よ、どいて」
 切り捨てるようなラニの言葉に、襲撃者達が激昂した瞬間――

「さすが、ねえさまです」

 嬉しそうな少女の声が聞こえて来たかと思うと、無数の魔力の刃が襲撃者達を切り捨てた。
「誰……ってベルちゃん? 危ないわよこんなとこで!」
「嬉しい。気に掛けてくれるんですね、ねえさま」
 場違いなほど晴れがましい笑顔を浮かべ少女は――ベルヴァは、ラニに言った。
「こいつら、全部潰しちゃいますね、ねえさま」
 そう言うと同時に、襲撃者達は高重力に囚われ地面に倒れ伏す。
「ベルちゃん何してるの! 死んじゃうわよ!」
「構わないです。こいつら、ねえさまとにいさまを殺そうとしてるんですから」
「なに言ってるの。だからってこんなことしてたら居場所が無くなっちゃうわよ」
「だったらこんな世界捨てて、にいさまと一緒に他の世界に行きましょう」
 ベルヴァは夢見るように言った。
「知ってますよ、ワタシ。異世界と今繋がりを作ってるんでしょ? いきましょう! こんなツマラナイ世界よりも、もっと先に!」
(なんで、そんなこと知ってるの)
 訝しむラニ。
 それを邪悪の化身が離れた場所で見ていた。

「子供は素直で良いですねぇ。実に都合よく転げてくれる」
 ソレは魔術で全体の状況を確認しながら楽しそうに言った。
「さてさて、どう踊らせましょう」
 ほくそ笑んだ瞬間、胸を黒剣で貫かれた。
「おやおや」
 おどけた声を上げながら、胸を貫かれたまま黒剣で持ち上げられ、頭を砕く勢いで叩きつけられる。だというのに――
「誰の差し金です? 救世会? それとも、私以外の『私』ですかね?」
 身体を元に戻しながら笑う邪悪の化身。
「煩い。死ね」
「貴方会話しないタイプですねぇ」
 容赦なく殺しに来るレインに、身体を変形させながら応戦する邪悪の化身だった。

 至る所で戦いが繰り広げられる中、ラスはラニと合流する。

「ラニ! それに――」
 ベルヴァが居ることに驚くラス。
「何でこんな所に」
「お2人を守るためです」
「……どういうことだ?」
「もう解ってる筈です。にいさまも、ねえさまも」
 ベルヴァは地に伏した襲撃者に視線を向け言った。
 それにラニが応える。
「そうね。目を背けただけ、知ってる。でもどうして?」
 襲撃者達と視線を合わせ問い掛けた。
「なんであたし達なの?」
 同じ問い掛けを、ラスも口にする。
「なぁ教えてくれ、本当にオレしか残ってないのか?」
 怨嗟の視線を向ける襲撃者に、絞り出すように言った。
「他にだっていただろ!!」
 ラニとラスの問い掛けに、応えは返ってきた。

「アナタたちが神を殺したから」
「お前達が神を殺したから」

 ベルヴァと襲撃者達、その全ての応えを聞いて、ラニとラスは決意する。
「……違う、あれは皆の力だった」
 ラニはベルヴァと視線を合わせ、伝える。
「生まれや生き方は関係ない。皆と力を合わせたから出来たことよ」
「……ねえさま?」
 嘆くように声を上げるベルヴァに、ラニは彼女を引き寄せるように言った。
「ベルちゃん、もうやめましょ」
 ラニが決意を口にするのと同じように、ラスも襲撃者達に意志を示す。
「違う、あれは仲間と成し遂げたことだ」
「罪から逃げる気か! 神殺しの大罪を知れ!」
「逃げる気は無いし、どの道逃げられないは分かってる」
 ラスは過去を、レインも含めた因縁を意識し、宣言する様に言った。
「だから今は、あんたらの凶行は止めるけど、戦わない。それよりも大事な物がある」
 ラスはラニに寄り添うように近付き、言った。
「俺も、俺達も、独りじゃない。だから皆の力で止める。あんたらも、あんたらをそそのかしてる誰かも、全部止める」
「解ってるじゃない、ラス」
 握り拳を向けるラ二に、ラスは拳を合わせ――
「行くぞ、ラニ」
「あったり前でしょ! ラス!」
 ラニとラスは、2人で前へと踏み出すのだった。


Replica tre
(執筆:春夏秋冬 GM)



*** 活躍者 ***

  • ラニ・シェルロワ
    生きてる、それだけで十分よ
  • ラス・シェルレイ
    これからは、どうしようか

ラニ・シェルロワ
女性 / 人間 / 断罪者
ラス・シェルレイ
男性 / 人間 / 拷問官