~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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日の出がよく見える場所があるんだって 見に行きましょーよ、なんて旅行の最終日に提案を 眠いけど頑張ってめちゃめちゃ早起きしたわ 眠いけど、真面目な話があるとかいうので頑張って起きる 一番最初?覚えてる あたしが叫んだからね、本当にあの時はびっくりした 本当にありすぎよね、お腹いっぱいだっての あたしもそうだよ、だっとずっと一緒にいたんだもの ね、今更離れるとかありえないし ………ラス あたしもね、好きよ あんたが好き、世界で一番大好き さっきも言ったけど 今更ね、あんた以外が傍にいるとかムリだし だから一生よろしく、ね? |
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~ リザルトノベル ~ |
扉を開けたら、目の前に物凄い仏頂面があった。 「うぉ!?」 腰を抜かしそうになる『ラス・シェルレイ』。冷ややかな眼差しで睨みながら、『珠結良之桜夜姫』はパシリと手にした扇子を閉じる。 『失礼な奴じゃな、物の怪でも見た様な顔しおって』 八百万なんて物の怪の延長線みたいなモンですよ? 「いや、夜中にトイレに行って突然そんな風に出て来られたら大概の奴が驚きますよ!? てか、ホントに何やってんです痴女ですかアンタは!?」 『言うに事欠いて痴女とは何じゃ痴女とは!? 祟るぞ!?』 「夜中に男子トイレで待ち構えてる女が痴女でなくて何なんです!? 人を呼びますよ!?」 『ふはははははは! うつけめ! 何処に人なぞ居る!?』 「何処って……」 言われて見回すと、広がるのは雅な造りの和座敷。トイレじゃない。 『お主が来るのを見越して空間を連結して待っとったんじゃ! 神を舐めるでないわ!』 待ち構えてた事は否定しない。 一人得意そうな顔してるの見て、やり取り続けるだけ不毛と気づく。 「分かりました。用向きを伺います」 『ふむ、物分かりが良くて結構』 「ただし、条件があります」 『何じゃ?』 「トイレ行かせてください」 それがそもそもの目的だし。 『我慢せんか!』 「無茶言わないでください! 神(貴女達)とは違うんです。一時一時が全て! 刹那の中で生きてるんですよ!? 人間(オレ達)は!」 文字通り命を燃やすが如くの叫びに、たじろぐ姫。 『ええい! 何かカッコよさげな事を言いおって! 行ってこい! 廊下に出て左にまっすぐじゃ!』 「どーも」 『ちょっと待て』 「ハイ?」 『逃げるなよ?』 ……チッ。 ◆ 『ようやっと戻ったか。アッチの方かと思ったぞ』 「その見た目でおっさん臭い台詞連発するのやめてもらえません?」 まあその方、樹齢5000年のロリババァだけど。 『まあ良い。座れ』 促され、座る。 『無理をしたのは承知しとる。だが、どうしてもお主に訊きたい事があったのでな』 神妙な顔で頭を下げられ、恐縮する。 ラスも理解していた。 普段は我儘で短気でオヤジ臭くて高飛車なメスガキだが、本質は気高い八百万神。 その彼女がこんな手段を取ってまで自分を招いたのだ。 何かしら、事情がある筈。 改めて、気を引き締める。 『それで、話と言うのはな……』 「はい……」 『話と言うのはじゃな!』 「はい!」 『ラニ公との祝言はいつじゃ?』 「………」 『これ、何故畳に頭なぞ突っ込んどる? 巫山戯とらんで、早う教えろ』 巫山戯てる訳じゃないと思うんだわ、ソノ惨状。 「あ……アンタ、何事かと思えば……。言うに事欠いて……」 『何言うとる? 人の、こと女(おなご)にとっては文字通り一生事ではないか? 日取りを聞かんと調整も出来ん。アディティやエリュニスからも急かされとるんじゃ』 どうやら八百万の間ではいつの間にかそう言う事になってるらしい。普通に怖い。 と言うか出席する気なのか、ヤンキー神エリュニス様。 襲い来る恐怖と焦燥に抗いながら、必死に訊き返すラス。 「いやいや、ちょっと待ってください……。何でそんな事に……?」 『惚けるでないわ。此度のでーと旅行の発案はお主であろう? 男(おのこ)が意中の女(おなご)を旅に誘うなど、相応の魂胆があるに決まってると古の書物にも書いておる』 焚書に処したいソノ書物。 ソレはともかくとして、誤解を解かねば。 「ちょっと話を聞いてください。俺はまだそんな……」 『まだ?』 姫の米神がピクリと動く。 『何じゃ、旅行ももう終盤じゃろうに。まだ決まっとらんのか。意は告げたのじゃろう? なら、グズグズするでない。『時は金なり』と言うのは人(お主ら)の言葉じゃろうに』 「いや、だから……」 『は? 求婚もしとらんの?? そりゃいかんぞ。誓いも立てずに褥を共にするなぞ、物事には順序と言うモノが……』 「してませんよ! そんな事!!」 真っ赤になって否定する。 だが、吃驚するのは姫の方。 『はあ!? マジで!?? マジで手ぇ出しとらんの!!? 好き合うとる女(おなご)と夜な夜な一緒の宿に泊まっとって!? お主、ついとんのか!!??』 「だから! 神々(アンタ達)と一緒に考えないでくださいよ!!!」 神様と言うのはソッチの方、非常に大らかである。色んな神話、読んで見ると良い。ガチでちょん切りたくなるから。 ソレはソレとして、『まてまて』と米神を押さえる姫。 『ちょっと訊くが、お主ら何処までいっとるんじゃ? Dか? Cか? Bか? 流石にAはしとるじゃろう???』 「…………」 『……ちゃんと、告白はしたんじゃろうな???』 「…………」 『ラニ公とは何時からじゃ?』 「幼馴染です」 『お主ら、今幾つじゃ?』 「17と19です」 『成程! そんだけ一緒におって『らしい事』はまだ何にもないと?』 「ええ、まぁ……その……」 『いや、コレは参った! 若いくせして奥手じゃのう!? お主ら!』 「いえ、それ程でも……」 『アッハッハッハ』 「あははははは……」 『主ゃあ、ワシを舐めとるんか……?』 襟首掴まれて凄まれた。 年季が入ってるだけあってヒジョーに、怖い。 『お主な、なんぼ気心知れ切った仲だ言うても限度があろうが!? 待たせ過ぎじゃ待たせ過ぎ!! ラニ公の気持ち考えた事あるんか!?』 言ってる内容は最もだが、流石にカチンときた。 「分かってますよ! ラニの事は!! 誰よりも!!!」 『はあ!? ほぉ!? じゃあ何か!? ラニ公は待ってくれると!!? おんどれのクッソ温い優柔不断もぜ~んぶ受け入れて、決心着くまで何十年でも、ジジィババァになっても待ってくれると!? そりゃ~随分都合の良い女じゃなぁ!!?』 「そんな事、考えてない!!」 『じゃあ、何じゃ!?』 「コレは俺とラニの問題だ! ラニを一番分かってるのは俺だ!! 他人が口を出すな!!? 勝手にラニを騙るのは、例えアンタでも許さない!!」 『ほぉ!? 随分と抜かすではないか!? 人の生半分も生きとらん小僧っこが!』 「侮るな! 例えそうでも、俺達の密度は神(アンタ達)にだって劣りゃしない!! 俺も、ラニも、絶対に『俺達』を間違えたりしない!! 裏切ったりしない!!」 『なら、良い』 急に毒気が抜けた声。ポイと放される胸倉。 呆気にとられるラスに向けられる、嬉しそうな眼差し。 『よく妾の神気にビビらんかったな。その気合がありゃあ、ラニ公も安泰じゃ』 「アンタ……」 『まあ、分かっちゃいたんじゃがのぅ。どうにも『最後』に確かめんと気が済まんでな。暇を持て余した神々の何とやらじゃ。いや、すまんかった』 言葉に秘められた意に気付き、問う。 「気づいてたんですか……?」 『言うたろ? 神を舐めるでない』 笑って、扇子をパチパチと弄ぶ。 『ラニ公は誠、良い娘じゃ。強くあるが、脆くもある。支えてやっとくれ。ま、お主なら心配なかろうが』 「……何か、母親みたいだな」 そんな言葉にクスリと笑い、『ラニ公は、愛いからな』と。 『ほれ、もう良いぞ。寝屋に戻れ。ラニ公を一人にするな。明日は、大舞台じゃろう?』 結局、何もかも見通しの上。本当に質が悪く、そしてお節介な事だ。 『まあ、念は押しとくが。ラニ公を泣かすなよ? もしそんな事しおったら……』 また『七代祟る』とか言われるんだろうかと思ったら……。 『妾が、ラニ公をNTRからな?』 思わず崩れ落ちるラスを愛しげに見つめ、夜桜の姫神は優しく囁く。 『おやすみ、ラス坊。良い、夢を……』 ◆ 気づけば、元の旅館の廊下に立っていた。時計を見れば、時間はほとんど経っていない。文字通り、泡沫の夢。 小さく息を吐き、部屋へと向かう。 戻って見れば、変わらず眠りこけてる『ラニ・シェルロワ』の姿。男と泊っていると言うのに、全く無防備。まあ、今更と言えば今更なのだろうけど。 はだけられていた布団を、そっと掛け直す。と、ラニがムニャムニャと薄目を開いた。 「ラス……」 「ごめん、起しちゃったか?」 「……何処、行ってたの?」 どうやら、ラスが出ていく事に気付いていたらしい。夢うつつのまま、待っていたのだろう。 仄甘い、愛しさが込み上げる。 「トイレに行っていただけさ。俺も寝るから、お前も寝ろ。明日は早く出て、夜明けを見るんだろ?」 近場に日の出が良く見える場所があると聞いて、『見に行きましょーよ』と提案したのはラニ。折しも、旅行の最終日。 ラスは、密かに決心をした。 「ラス……」 「……何だ?」 「……桜の香りがする……」 確かに、部屋の中を優しい桜の香が満たしていた。 あの方の、残り香か。それとも……。 気づくと、ラニは寝入っていた。この香りに、安眠の効果があるらしい。 明日、寝坊しない様にと。 細やかな心遣いを受け取って、ラスも床に着く。母の腕に抱かれる様に、眠りの帳はすぐに降りた。 ◆ 夢を見た。 小さい頃。 怖ろしくて。 けれど、とても大事な記憶。 訓練施設。悪夢の権化の様な教師の手から逃がれ、転がり込んだ隠れ村。 出会った彼女は、そっくりな顔で開口一番。 『ドッペルゲンガーだー!!』と恐怖に喚いた。 そんな奇妙な縁も、蓋を開ければ『魂の双子』と言う文字通りの『運命』。 その時から、二人の糸車は回り始めた。紡ぎ始めた。 途切れる絆を、永久に。 「一番最初……? 覚えてる。当たり前……」 朝霧が揺蕩う高台。朝を待つ間、そっと身を寄り添う二人。大切な、寝ぼけ眼の相方。その身が、冷えてしまわない様に。温もりを移した、上着も着せて。 「あたしが叫んだからね……。本当に、あの時はびっくりした……」 「……そうだな、お前の大声には驚いたよ……」 笑い合い、言葉を交わす。 夜明けを迎えるのに、良い場所があると聞いて。 提案する前に、提案された。 本当に、そういう情報には早い。 小さな幸せを掴み取る。 それはきっと、沢山の涙を飲んだ対価。 桜の加護でもまだ足りず。寝ぼける彼女を、真面目な話がしたいと起こす。 「色んな事があったけど、お前が傍にいてくれて……本当に良かったって思ってる……」 「本当に、あり過ぎよね。お腹いっぱいだっての」 当然の様に。当然の事だから。 「あたしも、そうだよ。だって、ずっと一緒にいたんだもの」 沙羅と流れる、そよ風の様に。 「ね。今更離れるとか、ありえないし」 笑う顔。 ああ、何でそこで先に。 苦笑いして。でも、止める事は無い。 「ラニ……好きだ」 囁く様に。けれど、ハッキリと。 抱き締めた肩が、小さく跳ねる。 「お前が、好きだ。大事な、オレの片割れ。これからも、一緒にいてくれ」 想いは、堰き止めていた時が解け行く様に。 「パートナー、として……」 ちょっとの間。そして。 「……ラス」 回した腕に絡む様に、彼女の手。 「あたしもね、好きよ」 ずっと前から決まってたけど。 ずっとずっと、聞きたかった言葉。 「あんたが好き。世界で一番、大好き」 跳ねる鼓動。 今更と思っていたのに。でも、やっぱり。 「さっきも言ったけど……」 それでも、頑張って。 「今更ね、あんた以外が傍にいるとかムリだし」 願いに、終わりを。 「だから、一生」 想いに、未来を。 「よろしく、ね?」 満たされる胸の喜びを、伝える為にギュッと。 「うん、ずっと一緒だな……」 そう、ずっとずっと。 「今までも……これからも……」 世界を染め行く、朝焼けの煌めき。 消えゆく霧の中に、祝福の花弁がサラリと舞った。
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*** 活躍者 *** |