~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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ここが、ホムンクルスの潜伏場所…… 注意して進みましょう こ、子供……? ホムンクルスと一緒に目撃されていたというのは、この子たちですか ……だけど、みんな楽しそう 私達はルシファーを探しに来ました 正直に居場所を教えてもらえれば、子供達へ相応の支援も惜しみません 国盗り……?まさか――! |
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~ リザルトノベル ~ |
機械都市マーデナクキス。 魔術よりも科学をベースとした、魔導科学と呼ばれる新しい技術体系を元に、近年発展が目覚ましい都市だ。 近郊から産出される膨大な魔結晶による好景気――マナ・ラッシュにより、近年ではアークソサエティすら凌駕する高層建築物が次々建てられ隆盛の只中にあった。 だが、その恩恵は全ての者に等しくもたらされる訳ではない。 光が強ければ、それだけ闇が深くなるように。 アークソサエティの貴族筋を背景に持つ一部の資本家が繁栄の大部分を独占し、富を吸い上げられた者達の中には地を這うような貧困にあえぐ者も少なくない。 国王であるエアは是正に動こうとしているが、元々が象徴としての『王』としての側面が強く、下手に強硬策に出れば特定地域単位での『独立戦争』に発展しかねないため、取れる手 段は限られていた。 けれどそれを、社会の底辺に追いやられた者達は知らない。 いや、知っていたからどうだというのか? 彼らは今すぐ、食べる物や、誰かを蹴落とさなくても済む安全が欲しいのだ。 それが出来ないなら無能であり、何の意味も無い。 追い詰められるとは、そういうことだ。 そうしたマーデナクキスの現状を、『タオ・リンファ』や『ステラ・ノーチェイン』は知る。 ホムンクルス、ルシファーの凶行の原因を探る内、否応なしに知る事となったのだ。 そして、今。 調査を終わらせた彼女達は、ヨセフと共にとある建物の前に来ていた。 ◆ ◆ ◆ 「ここが、ホムンクルスの潜伏場所……」 罅の入った建物を見上げ、リンファは気を引き締めるように言った。 いま彼女達がいる場所は、マーデナクキスの郊外。 口さがない都市の人間からは、ゴミ溜め町(ダストスラム)と呼ばれる犯罪者の巣窟、の筈だったが―― 「警戒は必要だが、思っていたほど治安は悪くないようだ」 ヨセフが周囲に視線を向けながら言った。 よく見れば、遠巻きに人々の姿が見える。 敵かどうか観察するような視線ではあったが、今すぐに襲い掛かってくる様子は無い。 それはスラムの支配者を畏れてのことだった。 「ホムンクルス達に命じられて、こちらを探っているのでしょうか?」 疑問を口にしたリンファに、ヨセフが応える。 「いや、それはないだろう。恐らく、状況を見極めたくて見ているだけだ」 ヨセフはホムンクルス達の情報を探る中で、あえて自分達の情報が周囲に広がる様に調整していた。 それはホムンクルス達の反応を見極めるためと、情報を知らせることで敵対者ではないことを間接的に知らせるためだ。 同時に、スラムの住人達が余計な争いに巻き込まれないようにするためでもある。 そうしたことを、リンファとヨセフが話していると―― 「なぁ、入らないのか?」 暢気な声で、『ステラ・ノーチェイン』が言った。 「早く行こう」 待ってるのは飽きたと言わんばかりの彼女に、リンファとヨセフは苦笑すると中へと入る。 (罠は……ないようですね) ヨセフを守るように先に入ったリンファは、周囲を見渡し判断する。 建物の中は外見と同じようにくたびれているが綺麗にされていた。 それでいて使い込まれた様子もある。 言ってみれば、生活臭がする場所だった。 (噂通り、ここに住んでいるということでしょうか?) 来る前に集めた情報を、リンファは確認する。 どういう経緯かは知らないが、ある日突然スラムにやってきたホムンクルス達は、スラムを牛耳るギャング団を壊滅させ居付いたらしい。 (最初は3人で一緒に居たようですが、なぜかルシファーだけが単独で離れ行動している。仲違いしたのか、それとも他の理由があるのか分かりませんが、ここには2人残っている) 強さで言えば、単純な破壊力であればベルゼブブが最も強く、対生物で見ればルシファーが特化しており、ベルフェゴールは安定した強さを誇る。 (ルシファーも、あれだけの強さをしていたのです。決して油断していい相手じゃない) 「注意して進みましょう」 リンファにヨセフとステラは応え、上階へと進んでいく。 襲い掛かられることも用心してゆっくりと進んでいくが何も無く、代わりに―― (子供の声?) 予想もしてなかった声が聞こえる。 複数の子供の声。 明らかに幼い者も混じっている。 (どういうことです?) 子供達の声は随分と楽しげで、怯えている様子は無い。 怪訝に思いながら進んでいくと―― 「つぎ、ベルねーちゃんのばん~」 「あら~、負けちゃったわね~」 「次も私が1等賞ー」 子供達と楽しげに遊んでいるホムンクルス2人――ベルフェゴールとベルゼブブの姿があった。 (こ、子供……? ホムンクルスと一緒に目撃されていたというのは、この子たちですか) 予想外のことに混乱するリンファだったが、それは悪いものじゃない。 (……だけど、みんな楽しそう) 張り詰めていた表情が少し柔らかくなる。 そんな彼女に気付いたベルゼブブが声を上げた。 「あ! 見てみてフェっちゃん、おいしそうなお客さんがいるよ!」 「アポなしとは随分ね、薔薇十字教団さま?」 余裕のある2人に、ヨセフが応えた。 「ルシファーの件で話しに来た。少なくとも今日の用件はそれだけだ」 ヨセフが、ルシファーの名を出した途端、子供達の視線が向けられる。 それは警戒心と、敵対心が滲むものだった。 「……ルシファーおねえちゃんに、なにするの?」 暗い瞳で問い掛ける女の子に、ヨセフは近付き腰を落とすと視線を合わせながら応えた。 「今日は話をしに来ただけだ。何もしない」 それでも警戒を解かない子供達に、ベルフェゴールが間に入る様に言った。 「心配しなくても良いわ。おねーちゃん達は、この人達と大人の話があるから、みんなは上の階に行ってちょうだい」 宥めるように言うベルフェゴールに、子供達は気にしつつも言うことを聞き、上の階に移動した。 「さて、それじゃお話しましょうか。ご用件は……まあ、察してるわ」 そう言うとベルフェゴールは、2階フロアに置かれていた椅子を勧める。 大きなテーブルを囲むようにしてある椅子は、大小様々な上にデザインも違っている。 「壊れて捨てられてたのを直したりした物だけど、問題ないから安心して座って」 「これ直したのか? 器用だな」 ベルフェゴールに勧められ、ステラがすとんと座る。 屈託のないステラに小さく笑みを浮かべるベルフェゴールを見て、リンファも座った。 皆が席に就く中、最初に口を開いたのはリンファだった。 「私達はルシファーを探しに来ました。正直に居場所を教えてもらえれば、子供達へ相応の支援も惜しみません」 「性急ねぇ」 小さくため息をつき、ベルフェゴールは言った。 「別に応えてあげても良いけど、聞き方があると思うわ」 「なら、まずは君達の話を聞かせて欲しい」 ヨセフは柔らかな声で言うと、口寄せ魔方陣で沢山のお菓子を出した。 「子供達への手土産だ。よければ受け取って欲しい」 「あら、用意が良いわね」 「ここに来るまでに、君達の情報は聞き込みをしていた。その中で幾つか想定していた可能性のひとつに合せただけだ」 「ふ~ん。それでどう思ったの?」 「一番好ましい結果だった。なにより、用意していたお菓子が無駄にならずにすんで喜ばしい」 「……そう。なら、こちらも持て成さないとね。ルゼ、お茶の用意する?」 「する~」 朗らかにベルゼブブは言うと、お茶を淹れてくれる。 お茶会といった雰囲気が漂う中、ぽつぽつとホムンクルス達は今へと至った話をし出した。 教団から逃れ脱獄し、泳いでマーデナクキスに辿り着いたこと。 そこで出会った子供達と共に過ごした日々を静かに語る。 「――というわけで、今もこうしてあの子たちと過ごしてるってわけ。今の生活も悪くないし、少なくも私達は争う気は無いわ」 ベルフェゴールは話し終えると、薄い笑みを浮かべ言った。 「それでもここでやり合うつもりなら……私も本気で殺しにいくけれど?」 「そのつもりはありません」 リンファが応える。 「必要のない争いならする気は無いです。それに、あの子達には貴女達が必要に思えました。けど――」 断言するように言った。 「車掌さんや運転手さんを殺害し、教皇の暗殺未遂、そして駅での惨事を招こうとしたルシファーは赦すわけにはいきません」 決して退くことなく尋ねる。 「ルシファーの居場所に、心当たりがあるなら教えて下さい」 「なら、ここで油を売ってる場合じゃないかもね?」 ベルフェゴールの応えは、間を空けず返って来た。 「この国の王様に、早く会いに行った方が良いわよ。手遅れになる前に」 「どういうことです!? 一体ルシファーは、何を目的に動いているんですか!?」 「『国盗り』よ」 ベルフェゴールの答えに、リンファは息を飲んだ。 その答えが事実であると証明するように、ルシファーはエアを襲撃していた。 「やるじゃねぇか王様!」 人形の操り糸で腕を切り刻まれたルシファーは、楽しげに笑う。 「もっと踊ろうぜ!」 「不要。議会が踊ってるのを散々に見せられてる。僕の趣味じゃない」 「はっ、つれないこと言うな!」 人形に体を刻まれながら、ルシファーは無視して距離を詰め―― 「それはダメです」 にこやかな声と共に、ネルに大鎌で足を切り飛ばされた。 動きが鈍った所に、エアが追撃。 人形で首を刎ねる。だが―― 「残念。死なねぇんだわ」 瞬く間に足と、失った頭さえ再構成したルシファーが攻勢を強める。 「お前ら2人とも強ぇな! 俺様と互角じゃねぇか」 讃えるように言いながら、心を折ろうとする。 「だが残念、互角じゃ勝てないんだわ」 すでに趨勢は決している。 エア達は真名解放し、ルシファーが人間であれば数回は殺している。 しかしホムンクルスの超再生を押し切るほどではなかった。 このままでは敗北する。 それを悟ったエアは戦闘を止め、人形を口寄せ魔方陣で避難させた。 「なんのつもりだ?」 「敗北を高確率で予測した。それに妹の人形を巻き込む気にはなれない」 超然とした様子のエアに、ルシファーが訝しんでいると―― 「今日の襲撃が成功したのは、教皇との会談日だと知ってたからだな。好かった。これで教皇に借りを作れる」 「何の算段してんだ、王様よ」 眉を寄せるルシファーに、エアは変わらぬ口調で続ける。 「僕は効率を大事にしているだけ。どのみち貴女は僕を殺せない。それに、無用な抵抗は無駄」 「……だから、なに言ってんだ」 苛立たしそうに問うルシファーに、数手先を読みながらエアは言った。 「わざわざ僕を直接襲った理由。最大可能性は、僕の性能利用。貴女は、魔術通信の制御統制が出来る僕を利用するつもりだ」 「……分かってんなら話は早ぇ。お前を掌握してマドールチェを支配下に置いて、新たな国を作ってやるよ」 「不可能。僕は協力しない」 「お前の意思は関係ねぇ。俺様の『声』を聴けば、喜んで手を貸すようになるんだからな」 「それも不可能」 「はぁ?」 今にも能力を使いそうなルシファーを前にして、エアは言った。 「僕は、『無用な抵抗は無駄』と言った」 その言葉と共に、駆けつけてくる3人の足音。 「テメェ――」 「僕が抵抗する必要はない。代わりは、もう来ている」 エアの言葉にルシファーが振り返ると、そこにはリンファ達の姿があった。
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*** 活躍者 *** |
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