告白(くちづけ)はダンスの後で
普通 | すべて
1/1名
告白(くちづけ)はダンスの後で 情報
担当 春夏秋冬 GM
タイプ ショート
ジャンル 日常
条件 すべて
難易度 普通
報酬 通常
相談期間 2 日
公開日 2022-05-09 00:00:00
出発日 0000-00-00 00:00:00
帰還日 2022-05-09



~ プロローグ ~

※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。


~ 解説 ~

※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。


~ ゲームマスターより ~

※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

タオ・リンファ ステラ・ノーチェイン
女性 / 人間 / 断罪者 女性 / ヴァンピール / 拷問官
詳細はお任せします。


~ リザルトノベル ~

「2人とも、傷は残ってなかったんだな?」
「はい」
「バッチリだぞ」
 ヨセフの問い掛けに、『タオ・リンファ』と『ステラ・ノーチェイン』が応える。
「そうか。好かった」
 安堵するように、ヨセフは小さく笑みを浮かべた。
 いま3人が居るのは教団本部の、元室長室。
 教皇となったヨセフだが、実質的には今までと変わらず教団本部で指揮を取っているため、変わらず利用している。
 そこにリンファとステラの2人を呼んだのは、マーデナクキスでの戦闘で負った怪我の経過を聞くためだ。
「腕と耳が切り飛ばされていたからな。元通りになって好かった。ネルに改めて礼を言っておこう」
「室長、他人事みたいに」
 嗜めるように言ったのはリンファ。
「怪我の酷さで言えば室長の方が……」
 その時のことを思い出し、リンファは表情を硬くした。
 マーデナクキスでホムンクルス、ルシファーとの戦闘を行ったのだが、その時の戦闘でリンファは腕を斬り飛ばされ、ステラは耳を切り裂かれた。
 そしてヨセフは、腕と耳に同じ傷を受けることになったのだ。
 あの時ヨセフは自身の宝貝『黒聖母』の能力を使い、リンファとステラ、そしてネルを自身と繋げ共有化した。
 黒聖母の能力は『共感』なのだが、これは繋げた者同士で傷や回復を共有することが出来る。
 本来は、味方のダメージをヨセフが引き受けることで、傷を減らすことを目的とした能力だが、あの時は回復に重きを置いて使用していた。
 アンデッドであるネルと共有化することで、アンデッドの特殊能力である『肉体再生』が皆に起り、切断された肉体を繋げることが出来たのだ。
 とはいえ万が一後遺症が残ることも考え、教団随一の医療技術を持ったナイチンゲールの診断を受け、リンファとステラは報告に来たというわけである。
「室長も、傷は残ってないんですね?」
 心配するリンファに、ヨセフは応える。
「問題ない。私もナイチンゲールの診断を受けた。すぐに追い返されるぐらいには傷も残ってなかったようだ」
「だとしても……室長は教皇なんです。私達のような教団員とは立場が違います。もう傷を引き受けるような真似は――」
「リンファやステラが傷つく方が、私は嫌だ」
 珍しく頑固な口調でヨセフは言った。
「これからも2人が傷つくなら、私は同じことをする。リンファ、君が私のことを気に掛けてくれるように、私もリンファやステラのことを大切な人だと思っている。だからこれからも、君達と共にいさせてくれ」
 まっすぐに見つめながら言うヨセフに、リンファの肌は上気しそうになる。
(な、何を考えてるんですか私は)
 まるで『告白』されたかのような気持ちになってしまい、リンファが自分をたしなめようとしていると――
「マーは、オレのマーなんだからな」
 ステラが、ぎゅっとリンファの腕に抱き着いた。
「ステラ!? その、室長、これは……」
 慌てるリンファと、警戒するような視線を向けるステラ。
 2人の様子に、笑みを浮かべるヨセフ。
 和やかな空気が流れる中、リンファはいつもの調子を取り戻そうと、浄化師としてヨセフに問い掛けた。
「室長、あのあとエア国王からは、何か申し出は無かったのですか?」
 ルシファーの凶行を止めることの出来たリンファ達だが、エアは襲撃されたこと自体を教団側の不備とし、非公式で代償を払うことを求めていた。
「心配しなくても良い。あれも外交のひとつだ」
 ヨセフは応える。
「どのみち、何らかの形でマーテナクキスには干渉したいと思っていた。エアも分かっていて、こちらが介入できる余地を作ってくれたようなものだ」
「介入……何か不穏な動きがあるのですか?」
「ある。マーデナクキスに限った事ではないがな」
 ヨセフは説明する。
「マーデナクキスは各地の自治が過剰になり始めている。扱いを間違えれば独立戦争になりかねん。ルシファーをエアが確保したのも、そうした事に対応するためだろう。他の国でも――」
 ヨセフは地図を広げ指し示しながら言った。
「アルフ聖樹森では、マーデナクキスから干渉を受けている節がある。サンディスタムは先王の配下達が動きを見せているし、アークソサエティ周辺では救世会の動きが活発だ。大華では複数の勢力の流入で混乱が起きかけているし、その余波でニホンも影響を受け隠密の派遣などをしているらしい。どこも不穏だ。だからこそ、連携を取れるようにする必要がある」
「……大変ですね」
 どこか歯噛みするような気持ちでリンファは頷いた。
 単純な戦闘ならともかく、政治も絡むより大きな流れに対応するには、リンファは何をどうすれば良いのか見当もつかない。
 あまりにも大きなうねりに干渉するには、より大きな視点で世界を見なければならないだろうが、容易いことではない。
 けれど、それでも――
「室長」
 リンファは、ヨセフのためにも何かがしたかった。
「私では微力でしょうが、出来ることは何でもします。どうか、室長の力にさせて下さい」
「ありがとう。ちょうど好かった」
「……え?」
 苦笑するようなヨセフに、リンファが思わず聞き返すと、視線を合わせヨセフは頼んできた。
「今日、非公式に、各界の有力者が関わるパーティに出席する。そのパートナーとして、君を誘いたい」
「……え? ……ええっ!?」
 驚き顔を赤くしながらリンファは言った。
「わ、私を……ぱ、パートナー……に、ですか」
「ああ。君が良いんだ。リンファ」
「――っ!」
 熱を込めて言うヨセフに、リンファは声も上げられない。すると――
「マーをとる気だな!」
 ステラがリンファに抱き着きながら、ヨセフを警戒するように言った。
 するとヨセフは、ステラを安心させるように返す。
「とる訳じゃない。パートナーになって欲しいんだ。ステラとリンファを引き離そうとは思わない。だから、ステラも一緒に来て欲しい」
「……パーティにか?」
「ああ。服装に関しては、こちらの伝手を使うから心配しなくても良い。それとパーティと言っても、あくまでも非公式の物だからな。そこまで格式を気を付けなくても良いから、好きに飲んだり食べたり出来る。色々と珍しくて美味しい物も出るから、それを楽しんでくれ」
「む~」
 少しばかり心が揺れ動いたのか、ステラはリンファを見詰めながら言った。
「マーは、どうするんだ?」
 これにリンファは、少し悩んだあと――
「私でお役に立てるか分かりませんが、室長に恥をかかせないよう、精一杯頑張ります!」
 これから決戦に出るかのような意気込みで応えた。
「好かった」
 ヨセフは安堵するように苦笑すると――
「なら、これから衣装を見に行こう。もう頼んであるんだ」
 リンファとステラを誘い、大貴族であるバレンタイン家に訪れた。

「あ、あの、これ、背中が見えすぎじゃありませんか!?」
「大丈夫大丈夫、キミ筋肉付いててプロポーション良いから、映えるって」
 試着したドレスの装いが気になるリンファに、セパルが応える。
「背中出すの嫌なら、胸元を広げるヤツにする?」
「い、いいです! その、そういうのじゃなくて、もっと大人しめのが……」
「え~、イブニングドレスだからこんなもんだって。特に今回のパーティみたいなのだと、これぐらいふつーふつー」
 セパルはあっけらかんに言うと、ヨセフに言った。
「ヨセフくん、リンファちゃんのドレス姿、似合ってるでしょ?」
「ああ、綺麗だ」
「――っ!」
 褒められて顔を真っ赤にするリンファと、苦笑するヨセフ。
 2人を見て、セパルは言った。
「ドレスはこれで良いみたいだね。じゃ、あとは髪をセットして小物を選ぼう。ステラちゃんは、どういうのが良い?」
「マーと同じのが良いぞ!」
「オッケー。セレナ、用意してくれる?」
「ええ。ステラちゃん、それじゃこっちに来て。服を合わせるから」
「おう」
「女性陣はこれで良し。じゃ、ヨセフくんの着こなしは任せるよ、ウボー」
「ああ。教皇、ではこちらへ」
「頼む」

 そうして着飾って、いざパーティ会場へ。

(うぅ……気後れしてしまいます)
 会場は華やかだった。
 格式ばった重苦しい雰囲気ではなく、適度に砕けた親しみ易い空気が流れている。
 それに合わせて料理も立食で食べ易く、とても美味しい。
「マー、これ美味いぞ! 食べろ!」
「え、ええ」
 受け取るも緊張で食欲が湧かない。
 それはパーティの華やかさに当てられたのもあるが、参加者の様子を見て気後れした部分もある。
(このパーティ、カップル前提のものなんですね……)
 恋人、あるいは夫婦といったパートナーが大半を占めている。
 それに気付いて、胸の奥に疼くような感覚を覚えていると、会場に流れていた音楽が変わった。
 どうやらダンスタイムに入ったらしい。すると――
「リンファ。踊ってくれるか?」
「ぇ、あっ」
 ヨセフに手を取られ、ダンスをする。
 手を重ね、胸を高鳴らせながら一曲踊った。
 それだけで体が熱くなり肌を赤らめていると、ヨセフに誘われる。
「外で、少し風に当たろう」
「――はい」
 繋いだ手にドキドキしながら、少し人目から離れた場所に移動する。
 そこで熱を冷ますように深呼吸して、リンファはヨセフに言った。
「今日のパーティ、私で、良かったんですか……」
「君と来たいから誘ったんだ」
「……で、でも、今日のパーティって……」
「恋人や夫婦が中心のパーティだ。だから、君を誘ったんだ」
 ヨセフはリンファと向かい合い、視線を重ね告白する。
「リンファ」
「は、はい……」
「応えが遅くなって、すまなかった」
「……え」
 それは、リンファからの告白への応え。
「あの時私は、すぐには応えられないと言った。だが、今ならはっきりと言える」
 リンファの手を取りながら、ヨセフは言った。
「これからも傍に居て欲しい。結婚を前提に付き合ってくれ」
「……」
 リンファは唇を震わせながら、すぐには応えられない。
 代わりにどこか恐れるように言った。
「そんな……私、なんかで……」
「リンファが好いんだ。君に、傍に居て欲しい」
 嘘偽りのない誠だと示すように、想いを告げた。だからこそ――
「――はい」
 消え入りそうな声で恥ずかしそうに、リンファは応えることが出来た。
 リンファの応えに安堵したのか、ヨセフは小さく笑みを浮かべ、リンファと手を合せ指を絡める。
 その感触に視線を上げたリンファにヨセフは顔を近づけ、恥ずかしそうに身体を強張らせるリンファ。
 するとヨセフは、リンファの頬にキスをした。
「――ぁ」
 肌が震えるような疼きを感じながら、リンファはヨセフと視線を合わせる。
 求めるようなその視線に、ヨセフは嬉しそうに言った。
「かわいいな、リンファは」
「ぇ――ん……」
 応えを口にするより早く、唇が重ねられる。
 柔らかく重ね、熱が融け合うような間を空けて離れる。
「愛してるよ、リンファ」
「私も、です……ヨセフ」
 ヨセフが腰に腕を回し引き寄せ、リンファはヨセフの首に腕を回し爪先立ちで少し背伸びしながら、2人は愛に応えるように、口づけを交わしたのだった。


告白(くちづけ)はダンスの後で
(執筆:春夏秋冬 GM)



*** 活躍者 ***

  • タオ・リンファ
    理の歪みに断罪の刃を!
  • ステラ・ノーチェイン
    オレの力を見せてやるぞ!

タオ・リンファ
女性 / 人間 / 断罪者
ステラ・ノーチェイン
女性 / ヴァンピール / 拷問官