~ プロローグ ~ |
アークソサエティの中心部から東南に位置する農業地区「ソレイユ」。農業地区らしく、自然豊かな特徴がある。この自然あふれる一帯に、綺麗な小川が流れているのであるが、そこは恋人や家族を中心に人気があると話題になっている。 |
~ 解説 ~ |
エクソシストになりたてである、あなたとパートナーのエピソードです。 |
~ ゲームマスターより ~ |
初めて煉界のディスメソロジアをプレイされる方に向けた、簡単なエピソードです。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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パートナーのリリィと出会ったのも契約を結んだのにもそんなに日は経ってない あまり女性との縁がなかったせいもあってか 彼女が魔人形とはいえ自分の傍に常に寄り添続けているのに些かムズかゆい 見た目は華奢な少女 そんな彼女が共にベリアルと戦うという まだ彼女との戦闘は未経験だが、彼女にそんな危険な事をさせていいのか と思ってしまう自分がいる 彼女を俺が守らなきゃという意思がつい表に出て行動に出ようとするが 逆にリリィに叱られる 彼女はまるで母親のように気を使い叱ってくれる 現にこうして滝の場所へ行く道すがらどれだけ彼女に助けられたか 足を取られそうになると手を引いてくれたり支えてくれたり… まったく俺は男としても面目がない |
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今日は俺と二人だし気負わずに散策でもする感じで行こう。 一応目的は上流の滝だけど小川でも眺めながらゆっくり歩こうか。 綾ちゃんは教団での暮らしは慣れた? とりえず衣食住が約束されてるのはそれだけで安心だよね。 東方での暮らしとは少し違うところがあるからまだ戸惑ったりもするけど。 なんとかやっていけたらって思うよ。 自然が豊かで落ち着くねぇ…。 滝、綺麗だねぇ。力の水かぁ…そういうのってどこにでもあるんだねぇ。 ん、せっかくだから少し汲んで帰ろっか。 えっ、お弁当準備してくれたの? わー、綾ちゃんありがとう。ふふ、おにぎりだね。 料理の勉強始めたんだ?綾ちゃんの好きなことをするといいよ。 俺はそれを応援するから。 |
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◆トウマル グラはいつも自室で読書してるらしいから 「たまには出掛けないか?」 と声を掛けたら了承の返事 が、実は嫌々だったんじゃねーかと、 小川を辿りつつ思ったり。 俺の後ろを意外にしっかりした足取りで (隣を歩かないのも何でだ) 付いてくるグラの表情は……いや笑顔だけどな? いつも微笑んでるけどな? 最近は少ーしだけ機嫌ぐらい窺える アンタ不機嫌だよな? 「行きたくないなら正直に言えばよかったのに」 返答には適当な相槌。 深入りする気はない。 それより滝にテンション上がる。 早速水に手を入れ冷たさ味わって。 グラはと振り向けば外出先でもそれか…… 寛いでる様子なんでいいけど。 でもせっかくだし 持参した水筒に水汲んでグラにも渡す |
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目的 親睦を深める 手段 「力の滝」というのがあるそうだよ 願掛けができるらしい。どうだい、ギー君。行ってみないかい? …どっちが早く着くか勝負? …いいよ、やろうか(にこり 本気で行く 滑りやすいだろうから気をつけていく 彼のほうが身軽だし、こちらには秘儀がある …こういう勝負事で彼が喜ぶのは短い付き合いで何となく把握してる 滝へついたら お疲れ様 …気に入らない顔だね ほぼ同時というのが気に入らないか さて。願掛けと行こうか (この世に住まう、すべての人々に安らぎと喜びを。それから、我がパートナーに、少しでも他の喜びが生まれますように) ギー君、願いはしたかい? …してない?ないから? …やれやれ、ギー君らしい |
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■目的 ロス:修行 ティ:観光 ∇ロス 登山スキル使用 大きな岩等あれば率先して登る ティから離れないよう たまに後ろを見る ∇ティ ロスが変な場所に行くなら 地図を見ながら付いて行く 一応ルート通りに進む予定 非常食:マメに水分補給、空腹時 ∇川 裸足で靴バック ロス先行 川の流れが緩いか滑り辛い場所を一歩一歩確認 流れが強い所ではロスが岩を置き流れを緩やかに ティは高い岩の上等から見下ろし 流れが強い場所を伝え 又は歩き易そうな場所探す ∇到着 ロス滝へ一直線(水着有 滝修行 子供がいれば一緒に遊ぶ(狼姿 ティロスの好きそうな特産品購入 バックに入れて持ち帰り 狼ロスが上って来たら タオルで拭いて上げ 特産品のご飯を 暗くなればランタン 怪我に救急箱 |
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●動機 千亞が暑そうにしていた(兎耳が垂れていた)ので、 滝のことを思い出す明智。 明智「千亞さん。涼が取れる素敵なデェトスポットがあるようです、ふふ…!」 千亞「デートはともかくっ(顔真っ赤)力の滝、か。これからの僕らの活動のためにも行ってみるか」 ●行動 「千亞さん、滑りやすくなっているようです。お気をつけくださいね」 滝に向かいながら、自然に千亞を気遣う明智。 滝に辿り着き 千「あれが滝か…自然の力は凄いな」 明「えぇ、それでは私、自然の力に平伏したいと思います、ふふ…!」 千「何脱ごうとしてるんだ」 明「ふふ、滝による洗礼を全身に浴びたく…っ!」 千「やめろ滝が穢れるド変態ッ(蹴り)」 蹴られて悦ぶド変態。 |
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◆滝までの道 ・唯月は瞬に何度も支えてもらいつつ、何とか前に進む 唯「わっわわ!」 瞬「っと大丈夫?滑りやすいしゆっくり行こーね!」 唯「は、はい!」 (ま、また支えてもらってしまった…) ◆滝を目にして ・その壮大さに唯月は無意識に涙を零した ・それを見て瞬は彼女の涙を拭いながら思う 唯「こんな場所が…この世界にもあるんです、ね…」 瞬「…いづ、泣いてるの?」 唯「へ?え!!あ、すみません!感動のあまり無意識で…」 瞬「なんで?大丈夫だよ。 色んな事に感動出来るのは恥ずかしい事じゃない 寧ろ素敵な事だと思うなぁー!」 唯「…ありがとう、ございます…」 (うぅ…涙、拭ってもらってしまいました… でも…全然涙が止まりません…っ) |
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ノアとはどうにも何から何まで噛み合っていません 今回で親睦を深められればいいのですが… 「滝を見に行きましょう 誘った際には露骨に面倒だという顔をされましたが、最終的に来てくれることになりました 意外と付き合いはいい方なのかもしれませんね 「力が湧く水とは興味深いですよね 目的は滝の水ですが少しでも仲良くなれるよう話を振ってみます 生返事な気がしますが気にしません 私達に足りないものは共に過ごした時間だと思っていますので これから、です 実際滝が近づいてくると気持ちが急いてきますね、といったそばから滑る あ、ありがとうございます 恥ずかしい所をお見せしてしまい… 気をつかわれたのを察知 自分の事を気遣って貰えたのが嬉しい |
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~ リザルトノベル ~ |
アークソサエティの中心部から東南に位置する農業地区「ソレイユ」。この地区は自然溢れる場所であり、家族や恋人たちに人気のスポットとなっている。綺麗な小川があり、五月の気持ちのいい風が吹き、最高の憩いの場所となっていた。小川を上流に登っていくと「力の滝」という名物スポットがある。 歴戦のエクソシストたちが身を清めた場所として有名なのだ。そこで流れている水を飲むと、力を貰えるという逸話がある。その噂を聞きつけたエクソシストたちが、今日もまた、滝へ向かおうとしていた。 * 教団のメンバーとなったフェイズ・リンとリリィ・ドールは、親睦を深めるために、力の滝の噂を聞き、そこに行ってみたいと考えていた。フェイズもリンもお互いをよく知らない。故に有名な力の滝へ行き、二人の仲を深めたいと思ったのだ。 フェイズは女性と知り合うきっかけがなく、女性に対しての免疫がない。そんな中、出会ったリリィ。彼はリリィを守りたいと思っていた。それは、恋人が見せる感情というよりも、家族愛に近い。 だが、いざ守ろうとしても、上手くできない。逆にリリィに叱られてしまう。それが歯痒かった。故に滝へ向かい親睦を深めたいと思ったのである。 「リリィ。俺と一緒に力の滝に行かないか?」 教団の一室でフェイズはリンに向かって言った。 そんな中、リンは答える。 「力の滝? 興味深いですね。ぜひ行ったみたいです」 あっさりと了承され、二人は力の滝へ向かう――。 ソレイユの小川は水がキラキラと輝いており、カップルや家族連れが多く見受けられた。力の滝に向かうため、二人は共に歩き始める。 近い将来戦闘になるケースもあるだろう。リリィは戦闘未経験者だ。そんな彼女に戦闘をさせてもいいのだろうか? 不安になりながらフェイズは先に進んでいく。 小川はそれほど深くないし、傾斜も激しいわけではない。上流への道は、どちらかと言えば平坦である。それでも、フェイズはリリィを警護するように先に進む。 しかし、その心意気が空回りしてしまう。守らなきゃいけないという気持ちが緊張を生み、上手く行動できない。逆に、フェイズ自身が足を滑らせて、リリィに支えられてしまった。 リリィはそれほど喋らず、無口な方である。それでも、率先して歩くフェイズに対し、決して嫌な感情を見せずに母親のような気持で接していた。彼の自分を守ろうとしてくれる気持ちがありがたかったのである。 「ゴメン。俺が守らなきゃならないのに」 と、フェイズは恥ずかしそうに言う。 すると、リリィはにっこりと微笑みながら、 「大丈夫です。ほら、もうすぐ滝ですよ」 そう。力の滝が見えてきたのである。何度か滑りながら滝に到達した。 リリィの母親のような態度を見て、フェイズは過去を思い出す。 昔訓練ばかりで母親の愛情を知らなかった。故に、リリィの母性溢れる振る舞いに感動していたのだ。 滝の前に立ち、フェイズはリリィを滝の場所へ引き上げる。 「ほら、リリィこっちだよ」 二人は滝の前に立ち、手で水を汲んだ。透明度の高い滝の水は、どこまでも綺麗だった。それを口に含むフェイズとリリィ。僅かだが、力が湧いてくるような気がした。フェイズはリリィを守れるように力強く彼女を見つめる。それに頷くリリィ。二人の仲も少しずつ進展していくだろう。 * ジエン・ロウと吉備・綾音もまた、力の滝へ向かおうとしていた。幸い、今日はジエンと綾音の二人である。早速、ジエンと綾音はソレイユの小川へ向かった。 季節は春ということもあり、穏やかな風と空気が漂っていた。人気のスポットだけあって、観光客の姿もある。そんな中、小川の道を歩きながら、ジエンが綾音に声をかけた。 「綾ちゃんは教団の暮らしに慣れた? 少し経ったよね?」 それを受け、綾音は少し考えてから答える。 「はい。だいぶ慣れました。教団の皆さん優しく接してくれますから」 「それはよかった。俺の場合、東方の暮らしが長かったから、慣れるのが大変だよ。それでも衣食住が約束されるのはありがたいけどね」 「そうですね。私は新しいことを覚えるのは慣れていますから、多分問題ありません」 二人はゆっくりと滝に向かって進んでいく。陽射しが降り注ぎ、草木の緑をくっきりと映し出していた。 自然豊かな場所は、人の心を穏やかにさせる。元々、修業目的ではなく、あくまで観光で力の滝に来た二人は、静かに滝に向かった。 途中、滑りやすい箇所もあり、そこはジエンが率先して綾音をフォローし、滑らないように先導していく。そんな心遣いが綾音にはありがたかった。 滝への道は、それほど険しくなく、時折岩場や滑りやすい場所があったが、すんなりと滝に到着した。 圧倒的な自然の光景を見て、二人は息をのんだ。 「滝、綺麗だねぇ。力の滝っていうからには、力が湧いてくるのかもね。ん、折角だから少し汲んでみようか」 ジエンが提案すると、綾音が答える。 「そうですね。お水を汲みましょう」 滝の近くには水を汲み入れるコップが用意されている。それに水を汲み入れると、二人は小川のそばの木陰に座り込み、お昼を食べることにした。 「ソレイユの牧場で何か買ってくればよかったね」 と、ジエンが言うと、恥ずかしそうに綾音が口を開いた。 「実は、お弁当を作ってきたんです。とはいっても、おにぎりですけど」 「へぇ綾ちゃん凄いね。俺はおにぎり好きだよ。早速食べようか?」 「はい。そうしましょう」 おにぎりは彼女のできる数少ない料理の一つである。 お手製のおにぎりを食べながら、綾音はある目標を告げた。 「ジエンさん。私、料理を覚えようと思うんです。まだ、おにぎりや簡単な軽食くらいしか作れませんが」 「そう。料理の勉強を始めたんだ。それはいいと思うよ。綾ちゃんの好きなことをするといいよ。俺はそれを応援するから」 おにぎりを食べ終えると、食後にジエンが飴玉を出した。ジエンは甘いものが好きで飴玉をよく持っているのである。 二人は先程の滝の水を飲んでみた。冷たくて澄んだ味がする。力の滝だけあって、力が湧いてくるような気がする。穏やかな気持ちを胸に二人は笑い合った――。 * トウマル・ウツギとグラナーダ・リラも、親睦を深めたいと思っていた。そんな中、教団のグラナーダの自室の前で、トウマルはある提案をした。 「グラ。たまには出掛けないか?」 彼はその言葉を聞き、少し考え込んだ。 「別に構わないけど」 了承。トウマルは一先ず安心してその場を後にした。 その後、トウマルの自室のドアがノックされた。ドアを開けるとグラナーダの姿があった。 「トーマ。さっきの話ですけど、一体どこに行くんですか?」 グラナーダは興味深そうに尋ねてきた。 行き先を言っていなかったな。そう思ったトウマルはすぐに答える。 「力の滝。ソレイユにあるらしいんだ。それほど遠くない」 「わかりました。それではご一緒しましょう」 こうして二人はソレイユの小川へ向かった――。 ソレイユは自然豊かである。本来、気持ちも晴々とするはずなのであるが、トウマルは少し違っていた。 (グラの奴、実は嫌々だったんじゃないのか?) こんな風に思っていたのである。 小川を眺めながら、力の滝に向かうが、二人は横に並んで歩くのではなく、上下に少し離れて歩いた。 (隣を歩かないのも何でだ?) と、不安になるトウマル。グラナーダの態度が気になったので、トウマルは声を出した。 「行きたくないのなら正直に言えばいいのに」 グラナーダは意外な顔をした。彼は決して来るのが嫌だったわけじゃない。むしろ楽しみにしていたのである。 ただ、ソレイユの自然を観て、グラナーダは教団に入る前のことを思い出していた。それが、表情に出たのかもしれない。 「いいえ。昔を少し思い出していただけです」 二人の距離は空いたままだが、これにも理由があった。 トウマルは冷静な印象があるが、実は好奇心旺盛で注意力が散漫だ。故に、小川で彼が足を滑らせないように、グラナーダは注意深く監視し、彼の後方を歩いた。 グラナーダがふと視線を外すと、テンションの上がったトウマルが走り出していた。 促す前に走り出さないでほしい。グラナーダは声を大きくして言った。 「水辺の石が滑るのは当然でしょう」 一応助けておく。 滝に到着する。 トウマルは持参した水筒に水を入れて冷たさを味わっている。ふと、トウマルがグラナーダを見ると、彼は木陰で読書していた。本は小川のそばにある小屋に、観光者が置いて行ったものを手にして読んでいた。その様子を見て、ため息をつきながらもグラナーダのそばに行き、汲んだ水を差し出した。 「グラ。よかったら飲めよ。力が出るぜ」 グラナーダは水筒を受け取り、一口水を飲む。美味しい。 ただ、トウマルのまっすぐな視線が少し苦手なのだ。今回、少しだけど、距離が近づいた気がした。 * ナハト・フリューリングとギー・ヒンメルは少し変わった目的で力の滝へ向かおうとしていた。 ナハトは力の滝の噂を聞きつけ、ぜひギーと一緒に行ってみたいと考えていたのだ。 「ギー君、力の滝って知ってる?」 僅かに面倒くさそうに、ギーは答えた。 「知らない。なんだそれ?」 「願掛けができる有名スポットらしい。折角だから行ってみないかい?」 「う~ん。でもなんで?」 「そりゃ親睦を深めるためだよ」 「仲良くなる? ナハトと? なんで」 「僕はギー君を信頼しているよ。でも親密度をもっと高めたい」 「いいよ。だけど条件がある。どっちが滝に早く着くか勝負だ!」 こういう流れになると思っていた。 ナハトはにこりとしながら「いいよ」と答えた。 力の滝へ向かう二人。 普段、自然溢れる環境に来ないから新鮮であった。天気がよく、川辺にはたくさんの人がいる。 本来、ゆっくりと滝を散策するのがベターだろう。だが、ナハトとギーは違っていた。とにかく勝負! どちらが滝に早く着けるかに心血が注がれていた。 ナハトの合図と共に、二人は一斉に滝に向かって走り出す。 まず、先頭に出たのはナハト。本気で行くと心に決めていた。どんな勝負も真剣にならなければ面白くない。 小川は滑りやすい。気を付けなければならない。 ギーの方が身軽である。普通に勝負したら恐らく負けるだろう。しかし、彼は今回の勝負で対策をしていた。 一方、ギーの方も真剣だ。だが、彼は重要なことを知らなかった。 それは、滝の場所がどこにあるかだ。滝の場所を知らないのだから、いくら身軽であるとしても、先頭に出て行けない。仕方なく、ナハトのやや後方に位置する。 必然的に、ギーがナハトを追いかけるという構図になる。 しかし、運動能力の高いギー。後方に位置するが決して遅れは取らない。彼は心の中で思っていた。 (ナハトの奴。絶対道を知ってる!) ナハトの秘策は滝への道を事前に調べ上げ、頭に入れていたことだろう。故に先陣を切って滝に進めるのだ。だが、滝が見えてくれば、ギーに先を許してしまうかもしれない。勝負は五分五分。 結局、力の滝には同着であった。 ギーはムスッとしてナハトを見つめる。ナハトは余裕のある笑みを浮かべている。ギーは心の底から悔しがった。 そんな中、ナハトはすぐに切り替えて願掛けをする。 (この世に住まう、すべての人にやすらぎと喜びを。それから、我がパートナーに少しでも他の喜びが生まれますように) ナハトを見て、ギーが尋ねる。 「ナハト。何を願ったんだ?」 「う~ん、秘密。それより、ギー君は願いをしたかい?」 ギーは迷わず言った。 「ないよ。ないから」 ナハトは呆れるように微笑んだ。 * ロス・レッグとシンティラ・ウェルシコロルは、力の滝という観光スポットの噂を聞き、親睦を深めようとしていた。 ただ、ロスだけは違っていた。彼は観光というよりも、修業という名目で力の滝へ向かおうとしていた。 「ロスさん。力の滝という場所に行ってみませんか?」 シンティラがそのように提案する。 話を聞くロスは行ってみたいと思った。 「ふははは! 滝修行!」 「ロスさん。力の滝はレジャースポットですよ。修行よりも観光かと」 「っ! けど強くなる滝があるんだろ」 こうして二人は力の滝に向かうことなった――。 まず、彼らは農場に向かい、地元の特産品を購入してから滝に向かった。 小川はそれほど急な場所はなく、時折岩場があったり、深い所があったりするなどあるが、基本的には安全である。 だが、ロスはそのように考えていなかった。得意の登山スキルを使い、大きな岩場があれば率先して登った。彼にとって、力の滝は観光ではなく修行なのだ。 それをシンティラは呆れるように見つめていた。彼女は、教団から貸し出された地図を持参しており、ルート通り進もうとしているのだが、ロスが危険な方向にばかり行ってしまい、放置しても大丈夫なのか不安になっていた。 危険を冒しながら進むロスであるが、彼はシンティラを見つめ、危険がないか絶えず確認していた。 川の流れが速くなっていないか? また、滑らないように確かめながら進む。 途中、流れの速い場所があったが、ロスが怪力を発揮し、岩を置いて流れを緩やかにして進んでいく。 一方、シンティラも守られるだけではない、岩場に乗り、川を見下ろし、流れが速そうな場所をロスに的確に指示を出した。二人で協力し合いながら、滝へ進んでいく。登るのが困難な川ではないが、修行として捉えるロスの心境を、シンティラが察したという形になった。 途中の岩場では、ロスが岩の隙間にナイフを刺して登っていた。シンティラに上がってもらう時は、持参した縄で上がってもらうよう配慮した。 ようやく滝へ到着する。 ロスは持参した水着を着て、そばにいた子供たちと一緒に遊んでいる。 シンティラは木陰に腰を下ろし、滝を見ながら読書に勤しんだ。本は小川のそばの小屋にあったものを持ってきていた。また、いつロスが来てもいいように、購入した特産品を準備し、タオルも用意していた。 やがてロスが戻ってくる。彼女はタオルで拭いてあげる。 「ロスさん。手に傷が。ちょっと待っていてください」 シンティラは救急箱から傷薬を取り出し、傷口に塗ってあげる。 「っ。すまないな。ティ。さっきの滝行で少し切ったんだろう」 「これで大丈夫です。さて、特産品でも食べてゆっくりしましょう」 二人は地元の特産品を食べながら親睦を深めた。滝の水を飲み、薄暗くなった滝の前でランタンを灯し語り合った。 * 教団のとある一室。そこには明智・珠樹と白兎・千亞の二人がいた。最近、季節外れに暑い日が続いている。千亞は暑そうに耳を垂らしていた。 その様子を見ていた明智は力の滝を思い出す。 「千亞さん。涼が取れる素敵なデェトスポットがあるようです。ふふ……!」 デートと聞き、千亞の垂れた耳がピクッと動く。 「デートはともかく。力の滝、か。これからの僕らの活動のためにも行ってみるか?」 二人は力の滝へ向かうことになった。 自然溢れる地区として注目集めているソレイユ。力の滝も人気スポットの一つだ。緩やかな小川の流れを感じながら、明智と千亞の二人は進んでいく。 滝への道は平坦であり、あえて危険を冒さなければ、問題なく辿り着けるだろう。 小川の水は冷たくて気持ちがいい。千亞のテンションも上がっていた。その様子を、明智はやや変態的な笑みを浮かべながら見つめている。 「千亞さん。滑りやすくなっているようです。お気をつけくださいね」 明智はそれとなく千亞をケアしている。何かあれば、すぐに動けるように後方を歩いた。 「大丈夫だよ。珠樹。水が冷たくてすごく気持ちいいよ!」 千亞ははしゃいでいる。そんな中、足を滑らせて転びそうになる。 明智が素早く手を差し出し、優しく抱き寄せる。 「ほら、だから言ったでしょう、滑りやすいって。ふふ……」 不可抗力とはいえ、不意に明智に抱きかかえられ、千亞は激しく動揺する。 「あ、ありがとう珠樹」 「いえ。転んで怪我でもしたら大変です。しかし、濡れて洋服が透け透けになる千亞さんも魅力的ですが。ふふ……!」 「ド変態。何考えてんだよ」 (ドキドキした僕が馬鹿みたいじゃないか) 二人はやがて滝に辿り着く。それは壮大な光景であった。 感動して滝を見つめる千亞。 「あれが滝か……。自然の力はすごいな」 一方、明智はどういうわけか服に手をかけた。 「えぇ。それでは私、自然の力に平伏したいと思います。ふふ……!」 「何脱ごうとしているんだ」 「ふふ、滝による洗礼を全身に浴びたく……っ!」 「やめろ! 滝が穢れるド変態!」 千亞の見事な蹴りが明智に炸裂する。 結局、明智は再び服を着て、千亞と共に滝を見つめた。 変態的なところがあるが、それとなく千亞を守ろうとしていた。 「千亞さん。あまり近づくと、濡れてしまいます。もう少し離れた方が」 「確かに着替えを持っていないから濡れたら大変だよね。ありがとう」 「濡れた千亞さんも魅力的には違いないのですが」 「訂正! やっぱあんたはド変態だ!」 馬鹿な話をしながら、二人は滝を見つめ親睦を深めた――。 * 杜郷・唯月と泉世・瞬の二人も、絆を深めるために力の滝に赴こうとしていた。お互いを信頼し合う関係ではあるが、今のところ恋愛感情はない。 唯月にとって瞬は自信づけてくれる存在だ。彼をもっと知りたいと考えている。 一方、瞬は唯月を守らなきゃいけない存在と認知している。彼もまた、彼女をもっと知りたいと考えているのだ。 滝へ向かうため、小川に入りながら、二人は先に進んでいく。 程よい気温と日差しのおかげで、水は冷たくて気持ちいい。 唯月は滑りやすい小川で何度も転びかけた。 その都度、瞬に助けてもらう。いつも支えてくれる存在に、唯月はありがたみを感じながら、同時に信頼もしていた。 「わっわわ!」 また、滑りそうになる唯月。それを瞬が素早く手を差し出して支える。 「っと大丈夫? 滑りやすいしゆっくり行こうね」 「は、はい!」 (また支えてもらってしまった) 唯月は心の中でそう考えた。助けてもらってばかりで申し訳ない。そんな思いが体を覆う。 瞬はのんびりしている所があるが、いざとなればやる男だ。しっかりと唯月を守りながら歩いていく。 瞬は唯月の頭を撫でて彼女の手を引いた。ゆっくりと進めばいい。時間はあるのだから。 やがて、二人は滝に到着する。 圧倒的な自然を前にして、二人は黙り込む。 壮大な自然を見たことで、唯月は無意識に涙を流した。 「こんな場所が、この世界にもあるんです、ね……」 と、囁くように言う唯月。 瞬は彼女の涙を優しく拭いながら答える。 「いづ、泣いてるの?」 「へ? え! あ、すみません! 感動のあまり無意識で」 「なんで? 大丈夫だよ。色んなことに感動できるのは恥ずかしいことじゃない。むしろ素敵なことだと思うな」 「……ありがとう、ございます……」 再び泣き出す唯月。それを見て、瞬は改めて彼女の涙を拭いてやった。 滝を見つめていると、どこか落ち着きを取り戻す。歴戦のエクソシスト達が身を清めた滝。その力は、確かに存在するような気がした。 しばらく滝を見つめていると、瞬が声を出した。 「いづ、滝は初めて?」 唯月は答える。 「はい。初めてです。瞬さんは滝に来たことあります?」 「実は俺、来たことがあるんだ。以前のパートナーと一緒だった頃に」 「そうなんですか」 「うんうん! 前のパートナーがね、滝マニアで。『精神統一』にやはり滝だって言って、色々行ったな」 「……凄く熱血な方? だったんですか?」 「だねぇ。熱い男だったよ」 楽しげに話す瞬。こんな彼を見るのは初めてであった。 (瞬さんが楽しそうに話してる。……仲、よかったんでしょうか?) 少し気になる唯月。 昔話を聞いて、少し距離が縮まったような気がした。 滝の効果は確かにあるのかもしれない。 * リリアーヌ・サヴェリーとノア・ネシャートも、力の滝へ向かおうとしていた。二人はまだまだかみ合わない部分が多い。 故に、力の滝を利用して親睦を深めようと思ったのである。 力の滝は、歴戦のエクソシスト達が利用した、由緒正しい場所だ。きっと、そこに行けば、ノアとの絆も深まるかもしれない。今後、戦闘になる時もあるだろう。その時、お互いを信頼し合えなければ、戦闘は上手くいかない。親睦を深めていく必要がある。 リリアーヌが滝に誘った時、ノアは露骨に嫌な顔をしたものの、最終的には納得し、来てくれることになった。 一方、ノアは本当は面倒だと感じていた。 (滝? 正直面倒くさい。でもこいつは絶対に引かないんだろうな。粘っても仕方ない。ここはさっさと済ませるか) 行くしかない。こんな風にノアは考えていた。 ソレイユの小川に到着し、二人は滝に向かって歩き始める。 流石に、自然溢れる地区だけあって、清々しい空気が漂っている。 平坦な道のりで、さほど危険はないようだ。しかし、小川に一度入れば、岩場もあるし、滑りやすい箇所もある。深くなっている所もあった。 (力の滝とは興味深い。少しでもノアと仲良くならなくちゃ) リリアーヌはそう考え、滝へ向かう最中、何度も話を振った。 今、二人に足りないものは共に過ごした時間だ。そのため、時間があれば一緒にいて、とにかく話をする。そうすれば、きっと親睦も深まるとリリアーヌは思っていた。 「ノアは滝に来たことあります?」 リリアーヌの質問に、ノアは記憶を巡らせ、 「ないよ」 「私もないです。水冷たいですね」 「春だからな」 会話がすぐに終わってしまうし、かみ合わない。それでもめげずに話を振るリリアーヌ。 やがて滝が見てくる。テンションが上がったリリアーヌは、途端足を滑らせた。 咄嗟にノアが支える。 彼は、会話に生返事していたものの、延々と口が回るのに感心していた。同時に、リリアーヌが滑ってしまうのではないかと、内心不安だったのである。 「リリアーヌ。足元気を付けろよ」 「あ、ありがとうございます」 (仲良くなるはずが、逆に助けられてしまった) そう思い、しょんぼりするリリアーヌ。 それでも彼女は気を使われたことに対し嬉しさを感じていた。 (気を使ってくれてる。でもしっかりしなくちゃ) リリアーヌの様子を見ながら、滝へ向かって先導するノア。 二人は滝に着き、水を飲んでみた。冷たくて美味しい水だ。今回、滝に向かい、リリアーヌもノアも共に一緒の時間を過ごした。まだまだ、かみ合わない部分もあるが、二人の距離は少しずつ縮まっていくだろう。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[9] リリアーヌ・サヴェリー 2018/05/14-01:44
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[8] 明智・珠樹 2018/05/13-18:36
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[7] 泉世・瞬 2018/05/13-03:18
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[6] トウマル・ウツギ 2018/05/12-23:51
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[5] ジエン・ロウ 2018/05/12-19:10
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[4] ロス・レッグ 2018/05/12-15:16
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[3] ナハト・フリューリング 2018/05/11-22:59
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[2] フェイズ・リン 2018/05/11-00:09
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