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「きみたち、ちょっと頼まれてくれないかな?」
食堂で昼食をとっていた浄化師たちを、長身の青年が呼びとめた。
何事かと振り返ったのは、当事者たち――すなわち浄化師たちだけだ。この光景にも多くの者が慣れ始めていた。
にこにこと青年、アリバが微笑む。常人以上の魔力を有する浄化師や魔女しか普段は見ることができない、人の形をとっているだけの魔法生物が。
「アリバさん。こんにちは」
「こんにちはぁ」
魔力を使って実体化しなくては目視されない、というのは人の世において実のところ不便だ。教団内で見かけることが多くなった妖精たちがなにかに困り、浄化師に助けを求めることは珍しくない。
妖精種が少しでも魔力を節約しているのは、神々との戦いに備えてのため。それを知る浄化師たちがこうして手を貸す機会は、多かった。
「ごめんねぇ、忙しいだろうに。ちょっと小人の森まで行ってほしいんだ」
「小人の……。ルネサンス地区の、ですか?」
「そう。ピクシーたちの住処になっている森だよ」
眉尻を下げたアリバが、空いている席に腰を下ろす。
「ファラステロの稼働や他の色々で、ぼくの魔力の残量がちょっと心もとなくてねぇ。まぁ、もともとぼくは妖精種の中でも魔力が少ない方なんだけど」
アリバの魔力で動く蒸気機関車ファラステロは、近ごろ堂々と空を走っていた。それも、魔力の高いものかアリバに選ばれたものにしか見えないが。
「妖精はどの生物より魔力の回復が遅い、でしたか」
「うん。八百万の神の残り滓だから、っていわれてるねぇ。消滅するべきものだから、回復しづらいんだって」
「……え?」
「え?」
場の空気が凍りつく。
息をつめる浄化師たちにアリバは瞬き、首を傾けた。
「言ってなかったっけ? 八百万の神々は不死身じゃないでしょう?」
「そう……ですね」
「でね、その身が亡ぶ際に魔力が飛び散って、たまに固まるんだよ。その魔力の塊が、妖精種」
八百万の神々の性格と感情の一部を継承した、魔力の塊。
ああ、と誰かが嘆息した。
妖精種が無条件に人を愛するのは、そのもとになっている八百万の神々が人を愛したためなのだ。
「びっくりさせちゃったかな。ごめんね。それで本題なんだけど、小人の森にディアっていう妖精が住んでいるんだ」
森の宝石とも呼ばれる、燐光の妖精ディア。
アルフ聖樹森にいたのだが、『妖精と人類による叛神同盟(アリアンス)』の話を聞きつけ、小人の森に越してきたらしい。
「ディアはアマツカミの涙……、きみたちが言うところの、エリクサーみたいなものを持っていてね。ほら、いつ戦いのときがくるか分からないし、そのときぼくが役立たずなのは嫌だから、もらってきてほしいんだ」
エリクサー、という単語に浄化師たちは身構えた。
それは多数の人命を犠牲にして作られる、禁忌の石だ。
「もちろんそんなに物騒なものじゃないよ。アマツカミの涙は最初に生まれた妖精が消えちゃうときに、アマツカミっていう神様が流した涙だって言われて……、つまり魔力の塊なんだ」
「ディアさんにお願いしたら、頂けるのでしょうか?」
肩の力を抜いた浄化師のひとりが片手を挙げる。
妖精は首を左右に振った。
「彼女、美しいものに目がなくてね。だから、きみたちが美しいと思うものを持って行ってほしいんだ。それと引き換えに、アマツカミの涙をもらってきてほしい。……頼めるかな?」
「ええ、もちろんです」
顔を見あわせてから快諾した浄化師たちに、アリバはほっと息をつく。
「お願いするよ。ぼくは他に少し用があるから」
じゃあね、と手を振ってアリバが食堂から出る。
美しいものについて思考をめぐらせながら、浄化師たちも後に続いた。
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アルフ聖樹森の各地で、終焉の夜明け団が八百万の神を捕縛する作戦を遂行していた。
だが、現地にいる多くの者達は、上役に命令されて単純に襲撃しているに過ぎない。
何を目的として行っていることなのか、それすらも知り得ていなかった。
カイン達もまた、そんな終焉の夜明け団の一員だった。
彼らには、秀でた才能はない。
他の者達に比べれば、見劣りする能力しか持ち合わせていなかった。
そんな彼らを見限ったリーダー格の男によって、カイン達は何度も使い捨てのような扱いを受けた。
周囲の者達からも小馬鹿されていたカイン達は、不満を持って離反を決意する。
だが、カイン達は怯えていた。
それは、自分達を狩りにくる者達が現れるのではないかという不安。
先行きのない行く末に、ことごとく押し潰されそうになる。
カイン達は今後のことについて話を巡らせたが、この状況を打破するような妙案は浮かんで来そうになかった。
「――っ!」
その時、何者かが近づいてくる足音がした。
危惧していた事態――。
彼らは恐怖に震え、全身が総毛立つような感覚に襲われた。
だが、そこに現れたのは、カイン達が想像していた終焉の夜明け団の同胞達ではなかった。
「誰だ!」
カインが怒涛の勢いで叫ぶ。
だが、彼女はそれに動じることもなく、憐憫に満ちた目でカイン達を見つめる。
「可哀相な人達。本当のことさえも告げられず、ただ利用され、生を弄ばれている。けれど、喜ぶといいわ。あなた達の魂は、私の力を取り戻すための礎となるのですから」
金髪の髪を揺らした修道服の女性は、祈りを捧げるように指を絡ませる。
女性は手に持つ十字架を優しく胸に抱き、カイン達を見つめていた。
その姿は、まるで聖女のように神々しい。
(誰だ……?)
彼女の姿を目に焼きつけながら、疲労していたカイン達は膝をつくと同時に意識を失った。
寂寞も冷えも焦りも、今は胸の底に沈んでいった。
●
カイン達が、イヴル達によって救われてから数日後。
カイン達は今まで感じたことがない程、穏やかな日々を過ごしていた。
アルフ聖樹森。
『ヴァルプルギス』一族の氏神となっている、リスの八百万の神。
彼女が住まう森の集落に、イヴル達は拠点を移していた。
「この森は、あの時のままだな」
「イヴル、また遊んでー」
イヴルの発言に呼応するように、少女が彼の裾を引っ張る。
少女は、『ヴァルプルギス』一族の氏神となっている、八百万の神『リシェ』だ。
自身の姿を変化させて、人の姿を取っている。
イヴルは幼い頃、カタリナとともに、彼女に会ったことがあった。
「容姿や身分、性別で看過している、この世界のなんと醜く、不平等なこと」
「カタリナ様……」
カタリナが指を絡ませると、近くで参列していた『サクリファイス』の残党達もまた、感極まる思いで跪き、祈りを捧げた。
「……不平等か」
カイン達から見たカタリナは、紛れもなく聖女だった。
リシェが住まう森の集落での平和な生活。
それは彼らにとって予期せぬ出来事であり、望外の喜びでもあった。
抑えようとしても抑えることのできない情動。
まさか、離反したその後で、このような巡り合わせが起ころうとは考えてもみなかったのだ。
不平等という虚飾を取り払った世界。
終焉の夜明け団の離反者。
サクリファイスの残党。
八百万の神と、集落に住まう人々。
互いの肩書きなど、何の意味も成さない場所。
それは何よりも美しいものだと思えた。
この場所なら、自分達はいつまでも自分らしくいられると思った。
だが、真実はすぐに告げられる――。
「サクリファイスの残党達を、エリクサーの材料にする!?」
「ああ」
イヴルの強い気概に、カインは咄嗟に疑問を呈した。
「何故だ? 何故、そのようなことをする?」
「カタリナの力を取り戻すためだ」
「カタリナ様の力を……」
カインは、イヴルが意図する所に気が付いた。
カタリナは、神を盲信し、滅びの運命を許容するべきと提唱していた宗教組織『サクリファイス』のリーダーだ。
だが、蘇った彼女には、かつての力はない。
「カタリナは、膨大な魔力そのものを失っている。その力を取り戻すためには、エリクサーが必要だ」
「ま、待ってくれ! エリクサーが必要なだけなら、別にサクリファイスの者達でなくても構わないだろう! 生贄なら……」
その寸前で、カインは思い留まる。
彼の中で、続く言葉は口にするのも憚られた。
だが、『彼ら』はこうしている間にも、リシェ達、八百万の神を狙っているだろう。
「何故、サクリファイスの者達を庇う?」
「それは――」
イヴルが促すと、カイン達は互いに顔を見合わせる。
「……正直、サクリファイスの者達の考えには賛同できない。だが、それでも俺達にとっては、初めて大切だと思えた仲間なんだ」
カインは、リシェが住まう森の集落で暮らしていくうちに秘められた可能性を感じていた。
カイン達は、今まで上役に命令されてきたことを、ただこなしてきた。
ずっと、それが正しいことだと信じてきた。
だが、結局、それも相手の領域に踏み込むことが出来ない恐怖の表れだったのだ。
「頼む! 生贄なら、八百万の神を狩り獲ろうとしている『あいつら』にしてくれ!」
リシェの仲間達を守り、カタリナの魔力を取り戻させるために、自分達を蔑ろにした同胞達を生贄に捧げる。
長らく胸に秘めていた不満を、ついに彼らに返す時が来たのだ。
●
終焉の夜明け団から、とある集落に住まう八百万の神を守ってほしい――。
その指令を受けて広大な樹林の奥へと進んでいたあなた達は、その道中で不穏な光景に遭遇した。
森を抜けた先の平原で、指令対象の終焉の夜明け団の一団が、数名の終焉の夜明け団とサクリファイスの残党達が組んだ一団と交戦していたのだ。
「貴様ら、こんなことをして、ただで済むと思っているのか!」
「カタリナ様のために、魂を捧げて頂きます」
八百万の神を狩り獲るために、とある集落を襲撃しようとしていた終焉の夜明け団の一団。
それは、カイン達のかつての同胞だった。
「……何が起こっているんだ?」
八百万の神を守るために訪れたあなた達は、そこで明確な異変を目の当たりにする。
「――っ」
その時、何かが背後から忍び寄っている気配を感じて、あなた達は身を固くした。
接近してくる気配。
その時、怖気の走る悪寒が、パートナーの背中に走る。
いつの間にか、あなた達の背後に回っていた終焉の夜明け団の男は、パートナーに対して武器を突きつけていたからだ。
「動くな!」
「――っ」
終焉の夜明け団の男に捕らえられたパートナーは、小さな肩を震わせて恐怖する。
「くっ!」
切迫した状況を目の当たりにして、あなたに戦慄に近い衝撃が駆け抜けた。
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教団本部。
室長ヨセフ・アークライトをトップとする薔薇十字教団の主要施設だ。
その西部には魔術学院がある。
魔術についての書籍や一般書籍が管理されている図書館と、魔術を学ぶ学校的側面が合体している棟だ。
浄化師が魔術の勉強に利用したり、図書館のように読書をすることもできるし、カフェテリアも存在しているので、ゆったりと過ごすこともできる場所でもある。
また、希少な魔導書の類も厳重に保管されている。
そこからさらに少し離れた場所にあるのが、魔術鍛冶屋だ。
魔喰器(イレイス)の製造などを行っている、魔術的な要素を含む鍛冶場で、魔道具を製作することもある。
そこでマリエル・ヴェルザンディは、マリー・ゴールドと共に、1冊の魔導書の精錬を行っていた。
「仮想精霊構築」
マリエルは術式を開始する。
術式の対象は、精密に組まれた魔方陣の中央に設置された1冊の魔導書。
書名を「七星の宝玉」。
偶然生まれてしまった魔導書であり、所有者の願いを叶えようとする性質を持っているが、制御面などで問題のある物だ。
それもあり、偶然とはいえ作ってしまった所有者――現在は浄化師として所属している女性から寄与され、マリエルが安定して使える物にするために精錬しようとしていた。
「顕現。北にウンディーネ、東にシルフ。南にサラマンダー、西にノーム。天蓋覆うはスプライト、地に広がるはシェイド。我が意志を代行せよ」
術式を補佐するために造り上げた仮想精霊を魔方陣に展開。魔導書の精錬に必要な術式が自動的に組まれていく。
十分に組み上げられたところで、マリエルはマリーを呼んだ。
「マリー、魔力集めるの、手伝ってくれる?」
「ええ」
マリーはマリエルに応え、魔法少女ステッキを口寄せ魔方陣で召喚。
「アイリス、力を貸してくれる?」
「もちろんですよー」
同じようにマリエルも魔法少女ステッキを召喚。
「デイジー、魔力収束、お願い」
「はい。マスター」
マリーとマリエルは、魔法少女ステッキの力を借り、膨大な魔力を世界から集め魔方陣に注ぎこむ。
「これで良し。あとは、その子達に協力して貰いたいんだけど」
準備を整えたマリエルは、魔女セパルに声を掛ける。
セパルに視線を向ければ、5歳ぐらいの女の子が3人、居るのが見える。
3人は人間ではない。魔女メフィストが造り出した魔導書が人の形を取った物だ。
「うん、分かった。ネメシス、アネモイ、ヘスティア。手伝ってあげて」
「は~い」
女の子3人は元気良く応えると、ぱたぱたとマリエルの傍に駆け寄る。
「ありがとう。じゃあ、魔方陣に入って貰える?」
「は~い」
3人は、ぱたぱたと魔方陣の中に入る。
入ると、魔方陣が3人を読み取り、新たに術式を構築。
するとすべての術式は魔導書に注ぎこまれ、膨大な魔力を使い製錬を完成させた。
ぽんっ!
軽い破裂音と白煙を魔導書があげたかと思えば、煙が消え女の子が現れた。
年の頃は5歳ぐらい。着物姿の女の子。
魔導書「七星の宝玉」が人化した姿だ。
「うん。成功ね」
マリエルは魔方陣の残滓から製錬結果を読み取り、術式の完遂を確認。
そこにセパルが労いの言葉を掛ける。
「お疲れさま。凄いね。アイツ以外に、こんなことできる人が居るとは思わなかったよ」
「褒めて貰えるのは嬉しいけど、肝心な中枢は、貴女の父親が何かをしたのを、そのまま引き継いだだけよ。ブラックボックスだらけで、何がなんだか分かんなかったけど」
「そうなの?」
「ええ。何したのか聞きたい所だけど、今どこに居るの?」
「ノルウェンディーに居るはずなんだけど、連絡途切れちゃって」
「そうなの?」
「うん。まぁ、どうせいつものみたいに、なにかこそこそしてるんだろうけど――」
2人が話している間に、魔導書の女の子達はワイワイ話し掛ける。
「こんにちわー」
「あのねあのね、アネモイっていうのー」
「名まえは? 名前はー?」
仲良くなりたいのか、新しく人化した魔導書に、3人の女の子達は口々に聞いてくる。
これに、魔導書「七星の宝玉」が人化した女の子は、小首を傾げ言った。
「なまえ?」
「叶花(きょうか)、というのはどう?」
マリエルの言葉に、女の子は不思議そうに聞き返す。
「きょーか?」
「七星の宝玉は魔導書としての名前だから、今の貴女には他の名前があっても良いと思うの」
マリエルは優しく笑みを浮かべ言った。
「貴女は願いを叶える魔導書として生まれたわ。そして、貴女を作り出した子の名前には、花があるの。だから、どちらも合わせて叶花。どうかしら?」
これを聞いた女の子、叶花は、にぱっと笑顔を浮かべると走り寄って来ると言った。
「ねがい。ねがい、ある?」
期待感いっぱいの眼差しで見つめて来る叶花に、マリエルは笑顔を浮かべると応えた。
「そうね。少し喉が渇いたから、飲み物が欲しいわ」
「のみもの……うん、わかったー」
嬉しそうに言うと、叶花は万歳をするように両手を上げる。
すると、紅茶の入ったカップが、いつの間にかマリエルの手に現れた。
「へぇ?」
マリエルは紅茶入りのカップを見詰めた後、くいっと飲んでみる。
「紅茶ね。本物に見えるけど――」
「魔力で作られたものだね」
セパルが、マリエルに言った。
「この子、本当に願いを叶える能力を持ってるみたいだね」
「ええ。問題は、願いの大きさによって、その規模が変わることと、正しく願いが叶えられるかが分からないってことね」
マリエルは、叶花を褒めるように頭を撫でると、続けて言った。
「元々の魔導書は、その辺りの制御が甘かったから、制御用の人格を持たせるために人化させてみたんだけど……」
「とりあえずは成功?」
セパルの問い掛けにマリエルは返す。
「とりあえずは、ね。でも、一度成功しただけじゃ、分からない。何度か、大勢に試して貰う必要があるわ。繰り返せば、叶花は成長する筈だし」
「だったら、浄化師の子達に試して貰う?」
マリエルにセパルは提案する。
「多少何かあっても、浄化師の子達なら、どうにかしちゃうだろうし」
「そうね……」
マリエルは少し考えた後、決断する。
「みんなに助けて貰いましょう。良いかしら? 叶花」
聞いてみるが返事はない。
傍に居ないので視線を動かせば、他の魔導書の女の子達と一緒になって、マリーに遊んで貰っていた。
その様子に、くすりと笑うマリエルだった。
などということがあった数日後。
ひとつの指令が出されました。
内容は、願いを叶える魔導書が人化した存在である叶花の所に行って、願いを叶えてもらう実験をして欲しいとの事でした。
願いを叶えるといっても、必ずしも願った通りに適うとは限らないようですが、それも含めて実験との事です。
ひょっとすると、軽い失敗はあるかもしれません。
この指令、アナタ達は、どうしますか?
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煌々と、漆黒の炎が燃えている。
焼き包むは巨体。
息子を人に殺され、自らアシッドを飲み込み、ベリアルと化した古龍。
アジ・ダハーカ。
本来なら彼女は、べリアルの楔から解き放たれている筈だった。
けれど、彼女は拒んでいる。
安らかに天に昇ることを捨て、人への憎悪に突き動かされ、未だ殺戮を望んでいた。
いま彼女を焼く炎は、黒炎。
それは、この世ならざる、罪業を焼く炎。
憎悪が尽きぬ限り消えることなく、焼き続けるだろう。
だからこそ、魔女メフィストは昔馴染みに声を掛けていた。
「来てやったぞ。アンリ・マンユ」
「今はメフィストでーす。ネームレス・ワン」
人気のない深夜。
メフィストは、ヒューマンの男の子に見えるソレに言葉を返した。
お互い、向き合う。
「早速ですが、この子を助けるのに手を貸して下さーい」
「いいよ。そのために来たんだから」
ソレは気軽に応えると、黒炎に焼かれ続けるアジ・ダハーカの元に近付く。
「迎えに来たよ。こんな所に居ずに、空に来れば良い」
ソレの言葉を拒絶するように、黒炎の勢いは強まる。
その様に苦笑すると、ソレは空を指さし言った。
「迎えに来たのは僕だけじゃないんだ」
鳴き声が響く。
それは空から現れた、古龍の鳴き声。
アジ・ダハーカの愛する、息子の声だった。
「お前を迎えるために来たんだ。母親なら、応えてやっても良いんじゃないか?」
鳴き声が響く。
それは重なり合う、呼び声。
アジ・ダハーカと、彼女の息子。
お互いを呼びあう声は重なり続け、魂を縛るべリアルの鎖は自壊する。
人への憎悪よりも、息子への愛を選び、アジ・ダハーカの魂はべリアルから解き放たれ、息子と共に空へと昇って行った。
「礼を言います。ネームレス・ワン」
「いらないよ、そんなもの。その代わり、僕の頼みを聞きなよ」
「なんです?」
「死んでよ」
どこまでも軽い声でソレは、創造神ネームレス・ワンは、同胞たるメフィストに言った。けれど――
「まっぴらごめんでーす」
メフィストは、あっさりと断る。
「なんでさ? 死ねば元に戻るんだから、早く死になよ」
「自殺する気はないでーす。だいたい貴方が私を人に転生させたんでしょうにー」
「なんだよ、まだ根に持ってるのか? お前が悪いんじゃないか。僕の計画に反対するから」
「全生物皆殺しに賛同できるわけないでしょー」
「えー、まだ考え変わってないの、お前」
拗ねたようにネームレス・ワンは言った。
「別にさー、いいじゃーん。殺した後は、新しくより良い生命を創って、そこに魂を入れてやるんだから」
「いいわけないでしょー。そんなポンポン殺して転生させて、命をなんだと思ってるのですかー」
「えー? お前人に転生してるからって、そういうこと言う? 生きて死んで転生して、そういうもんじゃん?」
「流転の理を言っているのではありませんよー。貴方のそれは、生きているとはいえませーん」
「いいじゃんかー。こんな善も悪も定かでない煉獄で、自分達の業に苦しんで生きるのは辛いじゃんか」
「そういう所が過保護だというのですよー、貴方はー」
子供に説教するようにメフィストは言った。
「生きるとは、そういうことでーす。善も悪も、苦痛も喜びも、この世界に生きる者達のものでーす。
それを創造主だからといって、勝手に与えたり奪ったりするべきではありませーん。
この世界は、神のものではありませーん。全てはこの世に生きる、命のものなのでーす」
メフィストの言葉を聞いたネームレス・ワンは、しばらくじっと見つめていたが、やがて楽しそうに笑いだした。
「ぷ、くくっ、あはははっ、変わってない。お前はホントに変わらないな」
「何がですかー?」
「おいおい、人間に転生してるからって、忘れた訳じゃないだろう?
僕に逆らって、人に転生される時に言ったじゃないか――
この世界は神の物ではない。
善悪が共にある煉獄だろうと、そこに生きる命のものだ。
ネームレス・ワン。貴方は知るべきだ。
この世界は神話ならざる、命の物語だと。
あの時から僕は、この世界を名づけたんだぜ。
神話(Mythology)ならざる(dis)煉獄世界。
煉界のディスメソロジア、ってね」
「……忘れましたよー、そんなやり取り」
「はははっ、照れるなよ。欲情しちゃうじゃないか」
これにメフィストは、ジト目で返す。
「貴方も相変わらずですねー。まぁ、いいですよー。もう用はないですから、とっとと天界に帰って下さーい」
「えー、そんなこと言うなよ。せめて置き土産くらい残させてよ」
ネームレス・ワンは悪戯心一杯の声で言うと、焼き消えようとしていたアジ・ダハーカの残骸に手を向ける。
その途端、残骸は組み直され、特殊なヨハネの使徒として創造される。
それは両肩に蛇の生えた人を象った、異様なヨハネの使徒。
「ちょ、なんですかそれー!」
逃走用の術式を展開しながら、メフィストは声を上げる。
それを楽しげに笑いながら、ネームレス・ワンは応えた。
「アジ・ダハーカから創ったんだから、ザッハークとでも名付けようかな。
アン――いや、メフィスト。お前だけを殺すために創ったんだ。受け取って♪」
「要りませんよそんなものー!」
全力で逃げるメフィストに、ザッハークはビームを飛ばしたりして追い駆ける。
「はははっ、頑張れ頑張れ!
お前、人の身で僕に抗うために、戦闘に関することは全部捨てて、他に特化してるんだろ?
ふふふっ、大変だよねー。今のお前は、この世で最もしぶとい代わりに、最もか弱い生き物だ。
そんなお前が、どれだけ頑張れるのか、空から見ててやるよ。
それじゃ、死んだらまた逢おう、メフィスト」
「殺されてたまりますかー!」
この世から消えたネームレス・ワンに返し、逃げ続けるメフィストだった。
などということがあった次の日。
特殊なヨハネの使徒にメフィストが襲われています。
「た~す~け~て~くださーい!」
憐れっぽい声を上げて助けを求めていました。
でも余裕があるっぽいです。
とはいえ、目撃情報が上がったので、教団としても放置しておく訳にはいきません。
討伐指令が出されました。
特殊なヨハネの使徒は、メフィストを集中して攻撃しているので、余計な被害は出ていません。
さらに言えば、メフィストは人気のない草原などを逃げ回っているので、そのまま放置していても、すぐに被害が出ることは無いでしょう。
さて、この状況。
アナタ達なら、メフィストを助けてやりますか?
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教団本部室長室。
そこで、ひとつの話し合いが行われていた。
「なら、浄化師の家族の警護は、整いつつあるんだな」
静かな声で問い掛けたのは、室長ヨセフ。
これに返したのは、この場にいる者の1人、魔女のセパルだった。
「うん。ボクの方は、魔女の伝手を頼って、動いて貰ってるよ。
サンディスタムは、乳母の魔女オマイマに連絡役になって貰って、商人とかの振りをして現地に溶け込んで貰ってる。
他の場所も、花屋さんのバイトに応募して通ったりして、いざという時には動けるようにして貰ってるから」
セパルに続けて、死んだふり浄化師のウボーが補足する。
「足りない所は、冒険者に補って貰っています。荒事以外にも精通している者を集めましたから、巧くやってくれる筈です。雇う費用ですが――」
「室長が当座の資金を用意してくれたので助かります」
ウボーの言葉を継ぐように、彼のパートナーであるセレナが言った。
「かなりの金額でしたけど、使途を誤魔化して用意するのは大変じゃなかったですか?」
「いや。ちょうどカモが来たんでな」
悪辣な笑みを浮かべヨセフは言った。
「自分の腐った悪行を、こちらに押し付けようとした貴族が居たんでな。窓口になった班長を経由して、教団に大口の寄付をさせた。向こうは、口止め料のつもりだろうがな」
「あ、それについてだけど、とりあえず全部どうにかできる準備整ったから」
セパルは軽い口調で言った。
「死んだふりの工作するの2度目だし、万全だよ」
「そうか、なら良い。工作が終了したら、さらに口止め料を搾り取ろう」
「……貴方達、黒くない?」
呆れたように言うのは、カルタフィリスのマリエル。
これにヨセフ達は返す。
「気にするな。利用できる者は利用しないとな」
「搾り取れるだけ取っちゃえば好いのよ」
「好き嫌いはダメだな」
「清濁は合わせて飲むもんだよねー」
「……馬鹿なことをしたわね、その貴族」
マリエルの言葉に、ヨセフは応えた。
「そうだな。だが、これ以上馬鹿なことをされても困る。折角の機会をくれたんだ。潰れて貰おう」
「出来るんですか?」
興味深げに訊きながら、かつてはマリエルの中に魂だけで居た、今はライカンスロープの姿をしたマリーが、紅茶を皆に配っていく。
「話を聞いてると、大貴族みたいですけど」
「準備は要る。だが潰す」
紅茶を飲み、一息ついた所で、ヨセフは続けて言った。
「売られた喧嘩は買う主義でな。きっちり後悔して貰おう」
「皆さん、やんちゃなんですね」
くすくすと笑いながら、マリーは皆に紅茶を配り終えた。
しばし紅茶を楽しんで、皆は話を続ける。
「とりあえず、外周部の準備は整ってるよ。だから浄化師の子達を、家族に会いに行かせてあげても大丈夫」
セパルの言葉に、ヨセフは返す。
「そうか。なら、続けていくとしよう。それと同時に――」
ヨセフは幾つもの資料を見ながら言った。
「前回の指令で、情報を望む者達に応える必要がある。とはいえ――」
「色々と下準備が要りそうですね」
ウボーがヨセフの言葉を引き継ぐように言った。
「ニホンでは、センダイ藩にある冒険者ギルドを経由して、関係者とみられる情報を集めて貰っています。
また、八百万の神のまとめ役である、なんじゃもんじゃ様にお話して、必要があれば便宜を図っていただけると言っていただけました」
「ニホン関連は、どうにかなりそうだな」
「はい。まだ、情報を詰めるのに本人達の話が必要かもしれませんが、それがあればさらに進めていけるでしょう」
「となると他の場所が気になる所だが、そちらはどうだ?」
「ノルウェンディは、私の叔父であるロロ・ヴァイキングに便宜を図って貰えるよう話してきました。あそこで必要なことがあれば、してくれる筈です。それと――」
「泡沫の魔女エフェメラの居場所に関する情報を手に入れたよ」
セパルが、ウボーの言葉を引き継ぐように言った。
「話を聞いて、ひょっとしたら禁術に関わることかもしれないから、話を聞くつもり。
禁術の中には、使ったあとに幽霊になって留まっちゃう可能性の物もあるし、聞いとかないとね」
「それ以外の所は、最初に言ったみたいに、家族を警護できる準備が整って来てますから、大丈夫だと思います。問題は――」
軽く眉を寄せ、セレナは言った。
「このオクトという組織ですね」
「ああ。規模が大き過ぎる」
ヨセフは資料に目を通しながら続ける。
「銀朱のヴァーミリオンと呼ばれるヴァンピールを首魁にした組織……あまりにも『大き過ぎる』な」
含みを込めヨセフは言った。これにマリエルが問い掛ける。
「なにか気になる所でもあるの?」
「巨大化する速さが道理に合わん」
現在、集められるだけ集められた資料。
全容からすれば断片でしかないそれを繋ぎ合せ推論し、ヨセフは直感する。
「この短時間でここまで巨大化する筈がない。大きさもそうだが、分裂していないのがありえん」
「何者かの意図が介入している、と」
ウボーの問い掛けに、逆にヨセフは問い掛けた。
「仮にだが、お前の家が、これに関わるとしたらどうする?」
「食います」
あっさりと言った。
「潰すよりも、そちらを選びますね」
「悪食貴族と言われているだけはあるな」
「それが一番、皆が得をしますから。ただ、ウチの家なら、ここまで大きくなる前に食いますが、今の状況は違いますね」
「肥え太らせている、ということか」
「ええ。そうだとしか思えません」
「だろうな。だが、妙な感じだ――」
資料を改めて見ながらヨセフは言った。
「介入の色がひとつじゃない。ひとつは、おそらくナハトが動いているだろうが、他にも――」
「ちょっと見せて」
ヨセフ達の話を聞いていたマリエルは、資料を受け取り目を通すと言った。
「……ねぇ。ここに出てる名前って、組織の幹部なのよね」
「そうだが……知ってる名があったのか?」
「ライナー・ドールズ。人形遣いの偽名のひとつよ」
「……終焉の夜明け団も関わっているかもしれんということか」
しばし黙考した後、ヨセフは言った。
「とにかく、これまで情報を求めた者には出来る限りのサポートを。これから家族に会いに行く者についても同様だ。忙しくなるが、よろしく頼む」
ヨセフの言葉に、皆は頷いた。
そんなやり取りがあった後、ある指令が出されました。
それは浄化師が家族に会えるよう、指令の形で便宜を図るので、希望者は申請して欲しいというものです。
それだけでなく、離れ離れになってしまった家族が居るのなら、その家族を探す手助けをしてくれます。
また、記憶を無くしたりなどで、家族のことが分からない場合は、その記憶を手繰ることから協力してくれるとの事でした。
他にも、今まで関連する指令に参加した者については、そこからさらに何かあれば尽力するとの事でした。
縁と絆を手繰る、この指令。
アナタ達は、どう動きますか?
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長い一日が終わった。日が落ちた世界は徐々に冷気で満たされ、澄み渡った成層の中に星が瞬き始める。
降り注ぐ、青い星光の舞台。そこに、一つの村がある。人の気がなければ、灯りが灯る家もない。この村の住人達は、昼間の内に全て隣の町へと避難していた。とある災い。その弔いに、居場所を譲り。
静謐に包まれる村の、すぐ近く。村を覆い隠す様に、巨大な熾火が燃えていた。深々と燃える色は、黒。在る筈などない形を成す、焔。周囲を照らす事もなく、静かに燃える。まるで、抱く『彼女』の想いを癒す様に。
巨大な焔塊の足元に、二つの人影が立っていた。一つは、明らかに成人。特徴的なカイゼル髭を生やした、男性。一つはどう見ても子供。ブカブカのローブを引きずる、琥珀色の瞳の少女。
燃える黒炎を見上げながら、少女――『麗石の魔女・琥珀姫』は言う。その鈴音にはそぐわない、錆びた言の葉で。
「そうか……」
「ええ……」
カイゼル髭の男――『道化の魔女・メフィスト』が頷く。
「『彼女』の魂は、浄化を拒みましたー。このままでは、ベリアルの鎖と共に延々と燃え続ける事になりまーす……」
「人の同胞の用意した救いなど……か……」
見つめる、琥珀の視線。何処までも優しく、そして悲しげに揺れる。
「子を殺められた悲しみ……怒り……。この黒炎を持ってしても、癒す事は叶いませーん……」
「癒されなど、しないさ」
古き同胞に返す言葉は、酷く空虚。
「いくら経とうと。いくら償われようと。癒えはしない。それを抱き続ける事が罪だと言うのなら、望んで罪過を踏みに行く。母親とは、そう言うものだ」
メフィストが、彼女を見下ろす。一瞥もしない、琥珀の瞳。映るのは、いつかの悲しみ。遠き、星。
「……それでも貴女は、戻ってきたのですね……」
聞こえぬ様に呟き、道化の魔女は思う。今宵は久方ぶりに、酒精の席へと誘おうか。消えぬ傷が、眠れる様に。例えそれが、ほんの束の間の微睡みであったとしても。
黒い焔は燃える。絶えなき罪過を、弔いながら。
◆
そこより、遠く離れた教皇国家・アークソサエティ。場所は、薔薇十字教団本部。多くある研究室の一つ。魔術光が照らす薄闇の中に、二つの人影があった。
「どうぞ、お聞きいただきたい」
片方の影、教団の礼服を着た痩身の男が口を開く。
「あの『二人』を、このままにしておくのは得策ではありません」
胸に付けられた、班長である事を示す階級章。傲慢を形にした様な表情で、目の前に立つもう一つの人影に向かって言う。
「例え今回の件で貢献があったとしても、あの者達が犯した罪は重いモノ。同胞を傷つけ、数多の民を危険に晒した」
語りかけられる人影は無言のまま。男は構わず、言葉を続ける。
「傷つけられた同胞には、かの者達を快く思っていない者もいます。民の間には、此度の災厄の元凶が、浄化師であるという噂も流れ始めています。そして何より……」
濁った眼差しが、濁った光を放つ。
「此度の件で犠牲となった兵士達の遺族が、納得するとお思いか?」
「………」
やはり、答えはない。構わない。
「これは、堤防に空いた小さな穴と同義。早急に対処せねば、割れ広がって、堤防そのものを崩しましょう。そう、これは教団の柱に関わる問題なのです」
声のトーンが、昏く淀む。まるで、孕む悪意を現す様に。
「その事をもって、進言させていただきます……」
灯る光が、震える様に揺れる。
「教団の信用と秩序を守る為にも、祓魔人『セルシア・スカーレル』と喰人『カレナ・メルア』を、極刑に処すべきと」
対峙する人影の眼差しが、初めて男の姿を映した。
「どうだった?」
研究室から出て一人歩いていた班長の男に向かって、小太りした男が駆け寄ってきた。豪奢に着飾った服装。一目で、貴族である事が見て取れる。
「困りますね。そう大っぴらに近づいてもらっては。辺りに人がいないから良いものの……」
班長の男は嫌な顔をすると、辺りを見回す。
「そんな事は、どうでもいい。あの二人の処分は、どうなった?」
「大丈夫ですよ。『室長』は、了承してくださいました」
「そうか……」
表情を緩ませる貴族の男に、班長の男は溜息をつく。
「全く。そもそも、貴方の悪趣味が原因でしょう。これに懲りたら、少しは控えてください」
「分かっている。それにしても、まさか逃げ出した二人が浄化師になっていたとは……。知った時は、肝が冷えたよ。てっきり、スラムで野垂れ死んでると思っていたから」
「名家の当主が、金で買った少女を玩具用に囲っているんですからね。バレたら、そりゃあ大事になるでしょうな」
「しーっ! 大きな声で言わんでくれ!」
「誰もいませんよ」
連れ合って歩きながら、二人の話は続く。
「まあ、こちらの方は大丈夫です。名分は立っていますし、恋愛などにうつつを抜かす連中を引き締める事にも繋がりますから。教団としても損はありません。何やら例の二人に感化されている連中もいる様ですが、所詮一介の浄化師風情。いくらでも黙らせられます。それよりも……」
班長の男が、チロリと貴族の男を見る。
「ああ、分かっている。次の大元師選出の際には、しっかりと手を回しておく」
「お願いしますよ」
薄暗い通路。二人の下卑た笑いが響いて消えた。
◆
「戦死者、105人……か……」
手元の紙を見て、即席の玉座に腰を据えた大柄な男は深く息をついた。
「事の大きさに比べれば、奇跡的な数字……じゃな……」
ノルウェンディ最北端の村、『ディーチ』。かの大災が、最初に到達しようとした場所。敷かれた対策本部の中心。座する彼の名は、『ロロ・ヴァイキング』。ノルウェンディを統べる王。事態の収拾の為に、王都からこの村へと来ていた。
「………」
書類に落としていた目を、ふと上げる。視線の先には、御前に傅く浄化師達。
「そんな顔を、せんでくれな」
彼は、言う。
「あいつらのことを思ってくれるんじゃったら、笑顔で送っちゃってくれ。あいつらは皆、民を守るために覚悟を持って名乗りを上げたんじゃ。後悔は、しちょらんよ」
そう。今回の災厄、確かに被害は無いとされていた。けれど、それは一般人に限った話。実際には、戦いに参加した兵士達に犠牲が出ていた。
民を身を持って守る事が、兵士の使命。けれど、それを必要だったものと割り切るには、集った浄化師達はあまりにも若かった。
苦渋に満ちる彼らの顔を見て、ロロは言う。
「……今夜は、『星送り』がある日じゃ」
突然の言葉。意味が分からないそれに、皆は顔を上げる。
「戦士が正しき道に死した夜、『軍神オーディン』がその魂を星に変え、永遠の地に召し上げるんじゃ。今夜、空を見てみぃ。亡くなった兵士の数だけ、空を昇る星が見える筈じゃ。資格がある戦士に限っての事じゃけぇがの」
謳う様に紡ぎ上げる声は、強くありつつも優しい。
「見る事が叶うんなら、讃えてやってくれんかの? それが……」
そう言って、天窓を仰ぐ。釣られて視線を上げれば、満天の星空。
「あいつらにとって、何よりの弔いになるんじゃ」
見つめる夜空の彼方。何処までも、何処までも。綺羅々、綺羅々と。輝いていた。
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東方島国ニホンでのお正月。
お節にお雑煮、酒や宴会と、連日の暴飲暴食で体が疲れていませんか?
アークソサエティから見れば、ニホンの正月とはなんて食道楽なのだろうと、話を聞いた教団料理長『ギョーム・フェール』は頭を抱えていた。
「おいおい。ニホンで新年を過ごすのはいいが、肥えた浄化師が帰って来るんじゃないだろうな?」
毎日毎日美味しい食事に酒、浄化師とて人間なのだから、食の誘惑に負けて当たり前。
とはいえ、日々浄化師たちの栄養管理をしているギョームとしては、不服極まりない。
なにかいい案はないかと、ギョームは自室で大量に保管している、自分が書き留めた料理の数々を閲覧し捜索。
その中に……。
「あった、これだこれだ。ニホンには、『正月の疲れた胃腸をいたわり、無病息災を願う七草粥という風習がある』、だったんだよな」
ニヤリと笑い、ギョームは手にしたレシピを持ちニホン支部へ渡してやろうと思ったが、ここで少々考える。
「まてよ。全てを教えてしまうと、あいつらが手抜きしたり、作らない可能性がないか? そうだ、ここは一発仕掛けてやろうじゃないか」
一計を案じたギョームは、『魔伝回線』を使ってニホン支部へ連絡を取った。
「……ああそうだ、そろそろ七草だろう? 浄化師たちに七草粥を作らせようと思うんだが、食材は『食べられる草』とだけ教えてくれねぇか?」
「草……ですか? ですがそれは……」
回線に出たのは、元々ニホンに居る教団協力者。なので七草粥がどんなものかは知っている。
「そうだな……塩だけで味付けした粥に、それぞれ見つけて来た、食べられる草を入れて食べる風習、と言えば納得するだろう」
「どうなっても知りませんよ?」
「なーに、毒草以外だったら耐えるだろうよ。そもそも浄化師は野戦訓練を受けているからな」
自信満々のギョームと、不安そうなニホン支部の回線担当の声。
ギョームも、むやみやたらに言っているわけではない。
七草粥と日々の訓練の一貫、ついでにパートナーと2人で新年を見つめ直してこい。それも含めて話をしている。
勿論、正月気分で気が抜けている、浄化師たちを引き締めるという意味も込められているが、いつなにが起こるか分からないのが浄化師というもの。
こんなことで負けはしないと、ギョームは自負している。
「頼んだぞ。俺は結果を、首を長くして待っているからな」
これに困ったのはニホン支部側で、ギョームの指示ではやらないわけにはいかないと、浄化師たちにどう説明しようかと思案。
さんざん考え思いついたのは、米と塩だけを持たせ、一晩野宿訓練をするという方法だった。
「この中にいれる草はなんでもいいの?」
「七草と言うんだから七つだろ?」
ごもっともな質問が飛ぶ中、彼は一言だけ真実を話してしまう。
「入れる草は七種類。一つはセリですが……あぁ、これ以上はダメでしたね」
「セリ? それが草の名前か? ということは残り六種類」
失敗したと口を押さえるのを見ながら、浄化師たちは考え出す、『絶対に誰かの差し金』だと。
それでも指令は指令、やらなければならないのが浄化師の運命。
しぶしぶながら、米と塩に、口を滑らせてしまったセリを受けとり、それぞれ夕方の山中へと散ってゆく。
さぁ、みなさんは、旨い七草粥が出来るのか?
それは、あなたたちの行動にかかっている。
そして、深夜にパートナーと新年として語らい、もっと仲良くなれるでしょうか。
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アルフ聖樹森。
国土の多くを広大な樹林に覆われた、エレメンツとピクシーを中心とした人種や生物が生活を営む場所だ。
アークソサエティの分類では国とされているが、実際の所は、小さな集落が無数に点在する共同体に近い。
それぞれが自由な暮らしを日々謳歌している。
アークソサエティのように、べリアルやヨハネの使徒による脅威が少なく、牧歌的な場所だ。
何故この場所が、こうまで穏やかなのか?
それを知る者は、多くは無い。
理由としてはふたつ。
守護天使と八百万の神だ。
アルフ聖樹森全体を守護天使が護り、各地域を八百万の神が護る。
これによりアシッドがアルフ聖樹森に降りそそぐことを防ぎ、べリアルの発生は抑えられている。
また、ヨハネの使徒や、他の地域からやってきたべリアルなどは、守護天使と八百万の神による2重の結界により大きく力を削がれるのだ。
本来は、世界中がこうなっている筈だった。
創造神がアレイスターと交わした、全生物の絶滅を懸けたゲーム。
1999年7の月まで猶予がある筈の、このゲームは、人の悪辣さにより終わりの時を速めていた。
それを知る、アルフ聖樹森を担当する守護天使『毒の王』カチーナは、頭を垂れ魔女メフィストを迎えていた。
◆ ◆ ◆
「そういうのマジ勘弁して欲しいのですよー」
心底つまらなそうに、メフィストは頭を垂れるカチーナに言った。
これにカチーナは、顔を上げることなく返す。
「いえ、参りませぬ。偉大なる御方と同格たる貴方様を前に、私如きが平伏せず、この場に拝するなど――」
「別に私も含めて大したもんじゃないのですよー」
カチーナの言葉を遮り、メフィストは言った。
「そもそも私達が、世界や生物を創ったのは、崇められたいからじゃないのですよー。
いずれ私達と同格に辿り着く、それを望んで創ったのでーす。
これは私だけでなく、ネームレス・ワンだってそうですよー。
まぁ、アレは過保護ですから、今みたいなことになってますがー」
「それは――」
メフィストの言葉にカチーナが何か返そうとするより速く、この場に同席している2人の八百万の神の1人、テスカトリポカが声を掛ける。
「お茶が出来ましたよ。カチーナもおじさまも、飲んで下さいな」
「おおー、好いですねー。そうしまーす」
メフィストは応えると、テスカトリポカと、彼女の妹であるケツァコアトルの居るテーブルに向かう。
それでもカチーナは、その場を動こうとしなかったが、ケツァコアトルが近付き言った。
「折角入れたお茶が、冷めちゃうわ。貴方が好きだった、花茶を淹れたから、一緒に飲みましょう」
そう言うとカチーナの手を取り席に連れて行く。
カチーナは最初、席に座ろうとしなかったが、ケツァコアトルとテスカトリポカの2人がにこにこ笑顔を浮かべながら、カチーナが座るまで立ち続けていたので、止む無く座る。
「美味しいでーす」
「ありがとうございます、おじさま」
「嬉しいですわ」
和やかに歓談するメフィスト達に、カチーナは表情を硬くしながら、お茶を飲んだ。
しばしお茶を楽しみ、メフィストはここに来た理由を話す。
「浄化師の子達に会って欲しいのでーす」
メフィストは説明を続ける。
「これから先、ネームレス・ワンと戦うためにも、情報は必要でしょうからー。
貴方の口から、守護天使と各国の状況について説明して欲しいのでーす」
「お断りします」
キッパリとカチーナは言った。
「あの御方に刃向うような不遜な輩に、話すことなど何もありません。幾ら貴方様の申し出とはいえ、お断りいたします」
「そんなことを言わずにー」
メフィストは懇願するように言った。
「ネームレス・ワンと戦う時に、貴方たち守護天使の力は必要なのですよー。
そもそも貴方達は、人類を含めた生物を護るために創られたのですしー。いいじゃないですかー」
メフィストの言葉に、カチーナは更に表情を硬くした。
カチーナを含め、世界に7人いる守護天使は、創造神により創られている。
英雄、あるいは聖人と呼ばれた人間の魂を核に、創造神の権能の幾らかを分け与えられ生まれたのだ。
創られた目的は、守護と審判。
創造神から分け与えられた全知の権能により、人々の所業を見詰め、護る価値があると思えば護り、そうでなければ、創造神から分け与えられた全能の権能を駆使し、好きに行動しても良いことになっている。
「私はヒトが悍ましいのです」
カチーナは言った。
「あの御方から全知の権能を分け与え得られ、世界を観て、そう思わずにはおられないのです。
アルフ聖樹森は私が生まれ死んだ場所です。そしてこの地に住まう者達は善良です。
だから、辛うじて守ろうという気持ちになれる。だが、他の場所は――。
特に、アークソサエティは吐き気がする。全知の幾ばくかを分け与えられた今なら、あの御方の気持ちが分かります。
一度全て滅べば良い。その後にあの御方が――」
「それは悲しいわ」
ケツァコアトルの言葉に、カチーナは息を飲む。
そんな彼に、ケツァコアトルは言った。
「私は覚えているわ。貴方が人として生き、そして死んでいったことを。
貴方がかつてそうであったように、皆もそうであって欲しいの。
それに、お父さまは――」
少し言葉を迷うような間を空けて続ける。
「そこまで深く考えてないと思うの」
「……え?」
唖然とするカチーナに、ケツァコアトル達は言った。
「お父さま、基本的に子供だから」
「堪え性がないのですよねー」
「気が短いのよね」
創造神を直接知る3人は賛同するように言い合った。
そんな3人に言葉を返せないでいるカチーナに、テスカトリポカは言った。
「貴方の気持ちも分かるわ。だからこそ、会ってみるのは良いと思うの。
全知で見るだけじゃ、分からないこともあると思うから」
「それは――」
悩むカチーナに、ケツァコアトルは頼む。
「お願い。これはアルフ聖樹森を護ることにも繋がるの。
貴方も全知で知っているでしょうけれど、今ここでは、八百万の神を狩り獲ろうとする子達が居るわ」
「……知っております。終焉の夜明け団とかいう、あの愚かな男の信奉者共ですね。あのような者共、私が――」
「ダメよ。貴方が直接人に手を出せば、それだけアルフ聖樹森を護る結界は弱くなる。
人を傷つけないでいるから、貴方は人を護ることが出来ているの。
人を傷つければ傷付けるほど、貴方は死天使に近付いてしまうわ。
だから、頼りましょう。浄化師の子達に」
「…………」
悩むような間を空け、カチーナは言った。
「分かりました、会いましょう。ですが同時に、試させて貰います。
過去、この世界で行われた人の悪行。それを観て、どうしたいかを、問いましょう」
などというやり取りがあった数日後、ひとつの指令が出されました。
メフィストの伝手で、アルフ聖樹森に居る守護天使に会うことが出来るので、情報を聞き出す指令です。
その際には、何か試練を与えられるとの事です。
この指令に、アナタ達は――?
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ドッペル達が、教団内部に留まることになった数日後――。
「ドッペルって、どんな生物なのー?」
「あっ! 私も知りたい!」
魔女の子供達が、純粋な好奇心から問いかける。
だが、今は霧の塊であるドッペル達には答えようがない。
やがて、魔女の子供達は、一向に姿を変えて話しかけてくれないドッペル達に業を煮やす。
「ドッペル達、私達に姿を変えてくれない!」
「つまんないー!」
魔女の子供達は、ドッペル達に興味を削がれたように、食堂へと駆け出していった。
その手には、何やら怪しげな飲み物を持って――。
●
「なっ――」
あまりにも想定外なことが起こると、人は唖然としてしまうものだ。
しかも――それが、食堂で出された飲み物をパートナーが呑んだ瞬間に起きた出来事だったから、それが原因なのだと腑に落ちていた。
「どうなっているんだ?」
『ねえ、私はここにいるよ!』
目の前にいるパートナーが呼びかけても、あなたには声が届かない。
それどころか、あなたにはパートナーの姿さえも見えなかった。
そこへ、ドッペルがやってきて、パートナーへと姿を変える。
どうやら、ドッペルには、パートナーの姿も見え、声も聞こえるようだ。
『ドッペルには、私が見えるの……?』
「ドッペルには、私が見えるの……?」
パートナーが発した疑問に答えたのは、唖然とした表情で頷いたドッペルだった。
目を見張るパートナーの前で、ドッペルもまた、不思議そうに同じ動作を繰り返す。
『もしかして、私と同じ言動を真似してくれているの?』
「うん」
自分とそっくりな少女が、自分と同じ言動を繰り返すという、いささか不可思議で信じがたい光景。
パートナーは、不意をつかれたように目を瞬かせてしまう。
『元に戻る方法が見つかるまで、ドッペルに代弁してもらうしかないわね』
「元に戻る方法が見つかるまで、ドッペルに代弁してもらうしかないわね」
パートナーが困ったように手を伸ばすと、ドッペルもまた、そっと手を伸ばした。
同じ表情、同じ動作をした二人の手が重なる。
二人は、互いに実体があるように触れ合うことができた。
だが、それはパートナーが見えないあなたにとっては、歪な現象に映った。
「何が起こっているんだ……?」
パートナーの姿をしたドッペルが、誰かと話をしている。
明らかに異質な光景を前にして、あなたは躊躇うように訊いた。
「本物の私と話しているの」
「近くに、本物がいるのか?」
「うん。実は――」
ドッペルからパートナーに起きた現象と、魔女の子供達が持っていた怪しげな飲み物の顛末を聞き、あなた達は対応に苦慮したのだった。
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東方島国ニホン。
この国は八百万の神との距離が近い。
アークソサエティやサンディスタムなどとは違い、その気になれば会いに行けるほど、身近な存在だ。
だから、この国では何か節目があると、八百万の神と関わることがある。
新年の初詣も、そのひとつだ。
新しい年を迎え、地元の八百万の神に挨拶がてら、祝福して貰う。
皆はこぞって、地元の神社にお参りに行き、お賽銭やお布施と引き換えに新しい年が良い年であるよう祈るのだ。
それは1月いっぱいまで、ニホン各地で行われる。
古都であるキョウトも、その例外ではなかった。
◆ ◆ ◆
「みんな寒さには気い付けて、見回りしてな」
キョウの守護神である玉藻が、自らの社に集まった者達に声をかける。
化け狐の神主や巫女さんに、可愛らしい豆キツネも居る。
豆キツネ達は、大人の化け狐たちの姿を真似ていた。
後ろ足ですっくと立って、神主や巫女さん装束に身を包んでいる。
とはいえ大人達とは違い、まだ人の姿に化けられないので狐の姿のままだが、一部の人達には大好評である。
そんな豆キツネ達は、化け狐達の裾をくいくい引っ張って尋ねる。
「ねーねー、たぬちゃん達、今年は来ぃへんのー?」
西の狸に東の狐と呼ばれるぐらい、東西で妖怪狐と妖怪狸の住んでいる所は違うのだが、なにか催し物があれば、ちょくちょくお互いの住んでいる場所に訪れている。
それもあって、仲良しの豆タヌキが来ないか聞いたのだが、化け狐達は苦笑するように応えた。
「今年は忙しいさかい、来れへんのんや。たぬちゃん達に負けんくらい、わしらも頑張ろうなぁ」
「はーい」
合唱して返す豆キツネ達。
そんな豆キツネ達を、玉藻は微笑ましそうに見つめながら言った。
「頑張ってぇな。全部終わったら、お年玉あげるんよ。それに美味しいもん、おばちゃん作るけぇね」
これに豆キツネ達は、諸手を上げて大喜び。
「いなりずしが好いー!」
「あぶらあげー!」
大喜びな豆キツネ達に、玉藻は笑顔を浮かべていた。
そこに鬼が1人、声を掛けて来る。
「玉藻さま。浄化師について、私の方から皆に話してもよいでしょうか?」
声の主は、神選組副長である鬼の土方歳三。
神選組は、各地の八百万の神に選ばれた護国志士なのだが、今では本部をキョウトに置いて活動している。
それもあって、初詣などでは特に、キョウトの警護に動いていた。
玉藻は、歳三に笑顔を向けながら応える。
「歳ちゃん、説明してくれる?」
「はい。では――」
歳三は皆に視線を向け説明した。
「幕府から、警護の意味合いも込めて、各地の初詣に浄化師を参加させたいとの通達があった。
キョウトの守護は、我ら神選組が行うが、味方は多いに越したことは無い。
参拝客として、あるいは皆の手伝いに来てくれることもあると思う。その時は、よろしく頼む」
歳三の言葉に、応える妖怪狐達。
楽しそうに笑みを浮かべる玉藻だった。
それを離れた場所から見ている者達が居た。
「……」
魔術により映し出された玉藻の姿に、芦屋道満は無言で目を細める。
浮かべる表情は優しく、そしてどこか寂しそうだった。
「まだ、逢いに行かれる気はないんですか?」
道満に声を掛けたのは、彼のパートナーである安倍清明。
いま2人は、教団のニホン支部長室に居る。
内部が分からないよう、何重にも魔術結界の張られた中で、道満は清明に応えた。
「逢いになんか行けねぇよ。万が一でも、玉藻が昔のことを思い出すきっかけに成っちまう訳にはいかねぇからな」
「……そうですね」
清明は悲しそうに返すと、玉藻の映像を消し、続けて言った。
「いま見て貰ったように、キョウトには浄化師に行って貰います。
今の情勢なら、すぐに何かが起こることは無いでしょうが、今の内からキョウトの各所と連携を取れるようにしたいですから」
「そうだな。今の所こっちで掴んでる情報でも、ことが起るのは、まだ先だ。だからそっちは良い。問題は――」
「葛葉の居場所、ですね」
厳しい表情を見せる清明に、道満は安心させるような豪胆な声で返した。
「心配すんな。葛葉は必ず見つけ出す。でなきゃ、玉藻に顔向けできねぇ。
なにより俺達が帰ってくる事を信じて、結界にも篭もらず人の傍に居続けた葛葉を放っておけねぇよ。
絶対に助ける」
道満の言葉に清明は頷く。
「ええ。そのために、私達は黄泉返って来たのですから」
決意を込め、清明は言った。
などという秘密の話し合いがあった数日後、ひとつの指令書が出されました。
内容は、ニホンのキョウトで行われる初詣に、警護も兼ねて参加して欲しいとの事です。
基本的な警護は、キョウト守護職である神選組が行うとのことですので、観光がてら現地を訪れるのも可能との事です。
境内へと続く道では、たくさんの屋台が設けられているので、それを楽しむこともできます。
拝殿まで行くと、キョウトの守護神である玉藻が、新年の祝福をしてくれるとの事です。
初詣の手伝いをしている妖怪狐達の手助けをすることもできるので、興味があれば手伝ってあげると良いでしょう。
なお、初詣に参加するのにあたって、お参りをするなら着物を用意してくれるとの事です。
妖怪狐達の手助けをするなら、神主や巫女装束を用意してくれるとの事でした。
新年のこの指令、アナタ達は、どうしますか?
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