《悲嘆の先導者》フォー・トゥーナ Lv 41 女性 ヒューマン / 墓守


司令部は、国民から寄せられた依頼や、教団からの命令を、指令として発令してるよ。
基本的には、エクソシストの自由に指令を選んで問題無いから、好きな指令を受けると良いかな。
けど、選んだからには、戦闘はもちろん遊びでも真剣に。良い報告を待ってる。
時々、緊急指令が発令されることもあるから、教団の情報は見逃さないようにね。


ベルロック・シックザールのクリスマス!
普通|すべて

帰還 2018-12-26

参加人数 1/1人 鳩子 GM
1718年12月――教皇国家アークソサエティは、「クリスマス(ユール)」ムードに包まれています。 12月24日の「アレイスター・エリファス」の生誕祭として、教皇国家アークソサエティを中心に普及したイベントでしたが、 今では、恋人や家族が食事や団欒を楽しむ、一大イベントと変化していました。 子ども達にとっては、アレイスター・エリファスよりも知名度の高い「伝説の魔術師:サンタクロース・ニコライ」が、 プレゼントを届けてくれるという、希望溢れる日です。 そんなクリスマスに、エクソシスト達にも息抜きが必要だとして、 ヨセフ・アークライトから、束の間の休息が指令として与えられました。 「シャドウ・ガルテンの事件」から、サクリファイスが動くことは目に見えているため、 エクソシストはそちらの対処をする必要もあります。 しかし、だからこそ。生死を賭ける戦いに望むためには、パートナーとの仲を縮める必要があるでしょう。 あなたのクリスマスは、どのような1日になるのでしょうか!
アシエト・ラヴのクリスマス!
普通|すべて

帰還 2018-12-26

参加人数 1/1人 鳩子 GM
1718年12月――教皇国家アークソサエティは、「クリスマス(ユール)」ムードに包まれています。 12月24日の「アレイスター・エリファス」の生誕祭として、教皇国家アークソサエティを中心に普及したイベントでしたが、 今では、恋人や家族が食事や団欒を楽しむ、一大イベントと変化していました。 子ども達にとっては、アレイスター・エリファスよりも知名度の高い「伝説の魔術師:サンタクロース・ニコライ」が、 プレゼントを届けてくれるという、希望溢れる日です。 そんなクリスマスに、エクソシスト達にも息抜きが必要だとして、 ヨセフ・アークライトから、束の間の休息が指令として与えられました。 「シャドウ・ガルテンの事件」から、サクリファイスが動くことは目に見えているため、 エクソシストはそちらの対処をする必要もあります。 しかし、だからこそ。生死を賭ける戦いに望むためには、パートナーとの仲を縮める必要があるでしょう。 あなたのクリスマスは、どのような1日になるのでしょうか!
無邪気という名の悪夢
簡単|すべて

帰還 2018-12-25

参加人数 2/8人 土斑猫 GM
 雨が、続いていた。  ここ、「竜の渓谷」を、この季節には珍しい長雨が見舞っていた。  厚い雨雲に覆われた空から滝の様に降り落ちる雨は強く大地を打ち、あちこちに小川の様に流れる水の道を穿っている。  渓谷の至る所は浸水し、辺り一面は湿地の様に様子を一変させていた。  渓谷の底にある深川、「清澄の渓流」もまた、例外ではない。  常時でさえ湖並の水深がある川はさらに水量を増し、本来は穏やかな流れも今や滝の様な激流となって轟々と流れ下っていた。  そんな渓谷を眼下に望む場所に、広い丘がある。低い木と下草に覆われたそこに、巨大な何かが横たわっていた――。  一見すると、それは地肌が剥き出しの小山の様にも見える。しかし、近づいた者は、すぐにその認識が間違いである事に気づくだろう。  『それ』は、山の様な土塊(つちくれ)の塊ではない。その表面を覆うのは、土ではなく黄土色の鱗。一枚一枚が大人の手のひら程もあるそれの山は、ゆっくりとリズムを刻む様に波打っては、コフー、コフーという呼気の音を漏らす。  そう。それは生き物だった。全身を鱗で覆った巨大なワニの様な生き物。  この世で最も美しく、そして強靭な存在。  ――ドラゴン――だった。  眠っているのだろう。彼女はその目を閉じ、静かに寝息を立てている。もっとも、静かと言うのはものの例えであって、実際にはその肺が息を絞り出す度に辺りには台風の様な大風が巻き起こっているのだが。  滝の様な雨も、その巨体には何の疼痛にもならないのだろう。全身をしとどに濡らしながらも、彼女はこんこんと眠り続ける。  と、その巨体がゴロリと蠢いた。寝返りをうったらしいが、この図体。辺りが、地震でも来たかの様にグラグラと揺れる。  異変が起こったのは、その時だった。  横になった彼女の腹の下から、白くて丸いものがコロコロと飛び出したのだ。その数3つ。どうやら腹の下に抱いていたものが、彼女自身が起こした揺れに押されて転がり出たらしい。さらに、状況が悪かった。散々降りしきった雨で、下草は濡れそぼってツヤツヤ。地面は泥濘んでヌルヌル。まろび出た球体は、草の上を滑り、泥の上をぬめって、傾らかな坂をコロコロと競う様に転がっていく。  彼女は起きない。気づかない。雨の音と深い眠りが、彼女の五感を完全に遮断していた。  コロコロ コロコロ  転がる先は、崖の淵。その勢いのまま、スポーンと飛び出て……。  3つの球体は、激流逆巻く川へと真っ逆さまに落ちていった。  次の日、昨日までの雨が嘘の様に晴れ渡った空の下、渓谷の管理者「ワインド・リントヴルム」は険しい顔で谷底を流れる川を見下ろしていた。  彼の眼下に広がるのは、今だ勢い衰えない激流。  ワインドは、周りにいた協力者であるデモン達に指示を出す。  特技である「天空天駆(スカイワード)」を使い、渓流に沿って飛び立つ彼らを見送ると、ワインドは背後を振り返る。  そこにいたのは、黄土色に輝く巨竜。彼女は天を突く程に長い首を傾げると、悲しげな眼差しで谷底を見つめる。  ワインドは手を伸ばして彼女の顎を撫で、なだめる。  それに答える様に、喉を鳴らす巨竜。  その心の痛みを察しながらもう一度谷底を見つめると、ワインドは静かに何事かを呟いた。  それから数刻後、ワインドの姿は「教皇国家アークソサエティ」の薔薇十字教団本部にあった。  竜の渓谷から「転移方舟」によって移動してきた彼は、訴える。  『大雨によって、「ティアマト」の巣から卵が流された。回収するために、力を貸してほしい』と。  流された卵は3つ。流れ着いた場所はそれぞれワインドと他のデモンによって確認されていたが、ティアマトはドラゴンの中でも最大種。当然、卵も大きい。回収には、人手が必要なのだという。  渓谷にいるドラゴン達の手を借りれれば一番いいのだが、卵は全て激流で削られ、入り組んだ渓流の岸辺に流れ着いていて、身体の大きなドラゴン達では近づけない。どうあっても、人間の手で回収するしか方法がない。加えて、ワインドの手元にいる人数では、全ての卵を同時に回収する事は出来ない。かといって、他の卵の回収に人手を回して目を離せば、その間に密猟者や「終焉の夜明け団」の毒牙にかからないとも限らない。  そのため、どうしても3つ同時に回収する必要がある。  ワインドの手勢でカバー出来るのは2個まで。残り1個を回収する為の手勢を貸してほしいとの事だった。  教団側に断る理由はない。任務は動かない卵の回収だけ。今のところ、密猟者や信者の姿も確認されていない。  比較的容易な仕事と判断した教団は、ちょうど手の空いていた浄化師数組を現場に向かわせた。  容易な仕事。  そう。容易な仕事の筈だったのだ。  『その時』までは。  しばしの後、現場に到着した浄化師達。その中の一人が、呆然と呟いた。 「……孵ってるじゃないか……」  そう。彼らの目の前にあったのは、割れた卵の殻と、そこから半身を放り出して眠る巨大な幼竜の姿だった……。
ポルヴェレ・ディ・ステッレは歌う
とても簡単|すべて

帰還 2018-12-24

参加人数 2/8人 GM
 今回は現地調査、とロリクが告げた。 「危険なことはないと思うから、しっかりと調査してきてもらえたらと思う。この指令は現地に行っての調査なんだが、時間帯によって調べられるものが違うので注意するように」  とのこと。  調べにいくのは、教皇国家アークソサエティ内の、とある港町だそうだ。  この街の近くには小さな山があり、そこでは蒲萄や梨も作っているそうだ。この時期になると冬の保存食として蒲萄はワインへ、梨のタルト作り、干したニシン作りとお祭りみたいに楽しく調理するそうだ。  ちょうど浄化師たちが訪れる日はワイン作りをする日で昼間は陽気な音楽に合わせて蒲萄を足で踏んで果汁作りをしたり、山でとれた梨などでタルトを作っていて味見として一部は振る舞われるそうだ。 「ま、それ以外でも海のうまいものなんかがわりと多く出ているそうだから屋台なんかによって食べたり、見たりして楽しむといいかもな。昼間はまだ温かいが夜は寒いから、風邪をひくなよ?」  夏から冬へと変わる季節になると渡り鳥が飛ぶその場所では、渡り鳥たちがまるでしばしの別れを告げるように花を海へといくつも落として飛ぶそうだ。  昼間に見ると、いくつもの花が海を満たして甘い匂いがするという。  夕方にはその花を食べようとトビウオなどの魚が出てきて、啄む様子が見えるのだ。 「なんでも、この季節になると温度とかその他いろいろな関係で、海が淡く輝くそうだ。その上、宵の口になるとオーロラが見えるそうだ。実際、オーロラではないそうだが……深夜は星が踊るという現象があるそうだ。まぁ、どの時間帯の調査をして、どんな風景だったのかなどは任せる。楽しんでこい」
スターリー・ナイトの前日譚
普通|すべて

帰還 2018-12-22

参加人数 3/8人 oz GM
 シャドウ・ガルテンの片隅にある町。この町を歩くと至る箇所に星と月をモチーフにしたオーナメントが飾られている。表通りには作り手の個性が見える星のランプが並べられており、祝祭になれば圧巻の光景が見られるだろう。  町ではお祭り前の浮きだった空気が漂っていた。  浄化師たちはこの町の名士に依頼されてやってきた。田舎町にしては立派な館に通されると、メイドに客間まで案内され、「しばらくお待ちください」とソファへと案内された。  少し遅れてやってきた名士は40代頃の男性のヴァンピールで、仕立てのいいスーツを着こなし、青いストライプのネクタイには星のネクタイピンが刺されていた。顔には深く皺が刻み込まれているものの、よく見れば服の上からでもしっかりと鍛えられているのが分かった。  メイドがテーブルに紅茶を置いていく中、名士が浄化師を歓迎する。 「この度は遙々ここまでやってきていただき、ありがとうございます。この町自慢の特産品の紅茶はいかがですか?」  名士に勧められ、浄化師たちは紅茶に口づける。ふわりと甘酸っぱいリンゴの香りが鼻孔を通り抜ける。自慢のというだけあって香りのよいリンゴの果肉をブレンドした柔らかな風味が舌に広がる。  ストレートで飲むのが一番美味しいというだけあって、休日の朝食時や三時のおやつ時に楽しみたいアップルティーだ。 「さて、本題ですが。あなた方浄化師には西のくらがりの森にある果実を採ってきて欲しいのです」  カップをテーブルに起き、そう真剣な表情で切り出した。 「町を見ていらっしゃれば分かるでしょうが、今日から一週間後に伝統行事『スターリー・ナイト』が行われます。『スターリー・ナイト』とは、無事にまた今年も冬が越せますように祈る古くから伝わる風習で、この日にポムドールと呼ばれる果実を食べると災難から身を守り、よりよい一年が送れると言われています」  今では大人も子供も関係なく祝う日になっていますが、と苦笑しながら説明してくれた。 「元々この祝祭はシャドウ・ガルデンで行われていたものではないんですよ。かつて私が住んでいた町で行われていた行事を元に始めたものなんです」  男性はどこか遠い場所を見つめながら、懐かしむような口調で話す。 「閉鎖的な国でしたから、少しでも娯楽をと考えて始めた祝祭ですが、今では毎年住民たちは楽しんでくれていることが私も嬉しいんです。……ですが、この日だけに食べることのできるポムドールが今年は採れそうにないのです」  心底困っている名士に、何故なのかと尋ねると、 「西にある森にはピクシーの集落があります。我々はピクシーと共存しながらやってきました。ポムドールの生る大樹は、くらがりの森のピクシーが世話をしており、スターリー・ナイトが近づいた時だけはこの果実を持って帰ることが許されるのです」  そこで名士は一旦言葉を切り、ため息を吐き出した。 「ですが、最近この大樹にキラービーの巣ができてしまい、ピクシーたちも困っているのです。どうか、我々の為にもキラービーを討伐し、巣の撤去をお願いします」  名士は浄化師たちに向かって深々と頭を下げる。  スターリー・ナイトを楽しみにしている子供たちの為にも、キラービーを討伐してあげよう。大樹への案内はピクシーがしてくれるそうだ。  キラービーの巣はまだ完全にできあがってはいないとはいえ、キラービーの大群を相手取らなければならない。  諸君等の健闘を祈る!
灰色空の道
とても簡単|女x男

帰還 2018-12-21

参加人数 2/8人 土斑猫 GM
 秋が終わろうとしていた。  木々を飾っていた紅葉も散り果て、もう雪が天を飾るまで幾ばくかという日の事。  場所は、教皇国家アークソサエティ。そこに建てられた、薔薇十字教団本部。  その庭園で鍛錬をしていたあなたは、一人敷地外に出ていくパートナーの姿を見とめる。  今日は、自分たちは休日の筈。不思議に思ったあなたは、パートナーを呼び止める。  訊けば、これから今は亡い家族の墓へ花を手向けにいくのだと言う。  場所を聞くと、どうにもはぐらかされる。  このパートナーとはそれなりの場数を踏んできたが、何せ戦いや任務に明け暮れる毎日。それにかまけて、互いに知らない事も多い。  気になったあなたは、パートナーにくっついていく事にした。どうせ、暇な身である。  墓参りとは些か辛気臭い用事ではあるが、せっかくの休日を鍛錬と昼寝だけで潰してしまうよりはマシだろう。  露骨に嫌そうな顔をするパートナーを無理矢理説き伏せ、あなた達は鎮魂のための小さな旅へと歩き出す。  前に広がる町並みは、ゆっくりと冬支度を進めている。  行き交う人々は、温もりを感じさせる服装に身を包み、この間まで氷菓を売っていた筈の甘味屋は、いつしか香ばしい焼き菓子の香りを漂わせている。  街の花屋の店先を飾るのは、赤や黄色の鮮やかな花ではなく、遠くアールプリス山脈で咲くという、『氷華』の澄み渡る青。  やがて、途切れた街並みの向こうに続くのは、冬枯れた野原の向こうへ続く一本道。  そんな透明な空気の中、向かうのは遠く灰色の雲が覆う空の下にあると言う、小さな墓地。  そこであなた達は、どんな想いに出会うのだろう。
仕立て屋マリー・アルガェヴのお店へようこそ
とても簡単|すべて

帰還 2018-12-20

参加人数 3/8人 GM
 その仕立て屋の名前はマリー・アルガェヴ。  女主人が寸法からデザイン、生地の選択、ドレス作りのすべてをするということで評判のお店だ。  個人でしているためあまり大量に発注しておらず、来店したお客様のお話をきき、その方にほしいもの、気持ちを形にすることをモットーにしているそうだ。  このお店の服を身に着けて告白すると恋人になれた。  仕事で成功したいと思う者が着ると成功した……嘘か真かそんな噂が流れている。  今回、指令発行を行ったロリク曰く。 「マリーが季節の変わり目に、浄化師たちのために服を仕立てたいと口にしてな。  今回、モデルになるのはどっちか片方で、あいているやつは手伝いだな。  マリーが言うにはその人がほしいものを作るからタキシードでも、普段着でも、教団の制服を改良する形でもいいそうだ」  ということだ。  ドアを叩く。  からんとベルの音がした。 「まぁ、いらっしゃい。あなたたちがロリクの紹介してくれた浄化師さんたちね? こちらにいるのはソカル。あなたたちはよく知っているんじゃないかしら?」 「やぁ。今日も強そうなのを作るよ。うん、強そう、強そう」  教団で定期的に浄化師たちの服を用意してくれるソカルはにこにこと笑っている。 「彼は今回、手伝いできてくれたの。浄化師さんの制服の構造は彼のほうがよく知っているから。さぁ、こちらにきて。紅茶とケーキを用意したわ。どっちの衣装を作りましょう。そして、その人のことをパートナーはよく考えてお話をしてちょうだい。あなたのお話から私がデザインをするわ。  服はその人の見た目の武器よ。なにかをはじめたい、ふっきりたい、進みたい、気持ちを後押ししたいそんなもののためにあると思うわ。  すばらしい一着を提供するわ」
ダンジョンに挑戦しようLv3
普通|すべて

帰還 2018-12-15

参加人数 3/8人 春夏秋冬 GM
 冒険者ギルド「シエスタ」。  冒険者の集まる、酒場と情報提供が合わさったこの場所には、他人に聞かれてはマズイ話をするための個室がある。  ギルドの紹介業者であるクロアは、そこで魔女セパル達と話をしていた。 「ということは、浄化師の方達と、本格的に協力体制になったという訳ですねぇ」 「うん。だから、ボクが魔女だってことは、向こうには連絡済みだよ」  セパルの言葉に、同席しているウボーとセレナも頷いた。  この場に居るのは4人。  魔女の権利獲得などに動いている魔女セパルと、死亡を偽装し手伝っている浄化師ウボーとセレナ。  そして、その事を最初から知っているクロアである。 「では、私の方は、今までと同じで。  皆さんの素性も、皆さんが魔女に関わってるってことも知らずにいる、ということで良いんですねぇ?」  クロアの問い掛けにセパルは返す。 「うん、その方が面倒がないと思うから」 「分かりました。では今まで通り、人の目がある所では、すっとぼけるとしましょう」 「ありがとう、クロさん」 「いえいえ。命を助けて貰った恩を返しているだけですよ。それに――」  にぃっと笑みを浮かべクロアは続ける。 「好い銭儲けになりますからねぇ」 「うんうん。クロさんの、そういうところ好きだよ」  ひとしきり談笑し、クロアは続ける。 「今日、私に会いに来たってことは、試練の塔の話ですか?」 「うん。色々あって、ここしばらくは、どうなってるか知らないからね。状況を教えて貰おうと思って」  クロアとセパルの2人が話している試練の塔とは、魔法使いが作ったとされる塔のこと。  湧いてくるゴーレムを倒すと、魔結晶が手に入るダンジョンだ。  そして、セパルの知り合いである魔女が作った塔でもある。 「2階にフロアボスが湧いたらしいですよ」 「……フロアボス?」  頭痛を堪えるように眉を寄せるセパルに、クロアは尋ねる。 「おや、そういう仕組みだってのは、知らなかったんですか?」 「うん……あの塔を作ったの、隠遁派の魔女だけど、完全に趣味に生きてるヤツでさ。  教えたらつまらないって理由で、何一つ他人に仕組みを教えてないんだよね」  魔女の派閥もいくつかあるが、その中で隠遁派は、色々とズレた魔女が多い。  一言で言うと、趣味人のマッドサイエンティスト、みたいなのも居たりする。 「人間が好きなヤツだから、塔に挑戦する人間が、跡が残るような怪我はしないように作ってあるけど、それ以外は好き勝手やってるから……」  軽くため息一つして、セパルは続ける。 「塔に挑戦する気にさせるために魔結晶を生成する仕組みを作ってるのは良いけど、そのためには塔の中で戦闘をしないとダメだしね」 「だから塔で戦ったあとに魔結晶が手に入るって訳ですか。  仕組みはともかく、魔結晶が手に入るのはありがたいですねぇ。  何しろここ最近、魔結晶の需要が高まってますから」 「教団が蒸気船を作っていますからね」  クロアの言葉に、ウボーが返す。 「魔結晶を使うことで、高性能を発揮する仕組みなんでしょう。だから、魔結晶を必要としている」 「ふふ、みたいですねぇ」  どこから情報を集めているのか、クロアは平然と返す。 「どうも、教団本部の方で何かがあったらしく、蒸気船団を作ってるみたいですねぇ。  お蔭で、魔結晶の相場で儲けさせて貰いました」 「さすがクロさん、抜け目がないね。ボクらも、見習わないと」 「おや、どうかしたんですか?」  表情は変わらず、僅かに心配するような響きを込めクロアは問い掛ける。  これにセパルは、何でもないというように笑顔で返した。 「魔女のゴタゴタを助けてもらうのに、教団の室長くん達の力を借りてね。  その見返りに、魔結晶を提供する約束をしてるんだ。  だから魔結晶が確実に手に入る、試練の塔のことを聞きに来たってわけ」 「そういう訳ですか。なら、新しく湧いたフロアボスの情報は、必要でしょう?」 「うん、もちろん。って、挑戦した人いるの?」 「ええ。猛虎の牙が」  セパル達もよく知っている冒険者パーティの名前をクロアは出す。 「そうなの? だったら倒したんじゃない?」 「いえ、失敗したらしいです」 「マジなの!?」  猛虎の牙の実力を知っているセパルが驚いた声を上げると、クロアはのんびりとした声で返した。 「そんなに驚くことでもないですよ。猛虎の牙の団長さん、試練の塔が大怪我をしない仕組みなのを肌で感じ取ったらしくて、新人の訓練に使ってるだけですから」 「なるほど。失敗しても経験にはなるもんね。  でも、猛虎の子達なら、失敗しても情報は取ってるでしょ? フロアボスの情報ある?」 「ええ、ありますよ」  クロアは説明してくれる。  まずフロアボスに挑戦するためには、1階に出現するようになった案内ゴーレムに、挑戦することを申請する必要があるらしい。  案内ゴーレムは、手提げの黒板に次のようなことを書いて訊いてくるのだ。  2階フロアボスに挑戦しますか?  倒すと、3階へと向かう階段が解放されます。  これに応じると、1階での戦闘はせずに、2階へと進める。  そこで2階フロアボスと戦うことになるのだ。  フロアボスは律儀なことに、挑戦者達の用意ができるまでは出てこない。  用意ができると、挑戦者達からは離れた場所に出現する。  フロアボスは3mほどの、ずんぐりとしたゴーレム。  額に『2階フロアボス』と書かれている。  やたらと頑丈。  フロアボスは、塔に入った人数の2倍の小型ゴーレムを、出現と同時に出してくる。  小型ゴーレムの特徴は次の通り。  1 属性はバラバラ。それほど強くない。  2 フロアボスが受けるダメージを肩代わりする性質があるようだ。  3 倒すと、倒した人物の能力が微妙に落ちる。効果は、最大で1分程度。重ね掛けもあり。  4 全部倒しても、一定時間が過ぎるとおかわりが出現する。 「こんな感じらしいですよ」 「なるほどね。となると、また浄化師の子達に協力して貰った方が良さそうだね」 「おや、自力で倒さないのですか?」 「アイツの、試練の塔を作った魔女なら、ボクが主力で戦ったら、絶対何かしてくる仕掛けを組んでる筈だから」 「面倒臭い人ですねぇ」 「うん。というか、イイ性格したヤツなんだよね」  ため息をつくように言ったセパルに、クロアは笑みを浮かべ返した。 「では、私の方から教団の方に依頼を出しましょう。  フロアボスを倒して、上の階に行けるようになれば、もっと多くの魔結晶が取れるようになるでしょうしねぇ。  相場で儲けさせて貰うためにも、依頼料は弾みますよ」  そんなやり取りがあった数日後、教団に依頼がされました。  ダンジョン試練の塔、2階フロアボスを倒して欲しいとのことです。  この依頼にアナタたちは――?
お芋の美味しい季節ですね
簡単|すべて

帰還 2018-12-15

参加人数 2/8人 浅倉季音 GM
 ヴァン・ブリーズの南の端の村から、芋掘りを手伝ってほしいとの依頼が届いた。  その村では今月末、今年の収穫に感謝するまつりが開催される予定らしい。  まつりまでに、村の畑に植えているすべてのさつま芋を掘り、選別してしまわなければならないのだとか。  ・軍手、くわ、長靴のご用意を推奨いたします。  ・上下とも長袖の汚れてもよい服装と、履き慣れた運動靴がおすすめです。  ・首にタオルを巻いておかれますと、汗を拭けますし防寒対策にもなります。  ・昼食と夕食には、特製のさつま芋料理をご馳走いたします。  仕事は、以下の3つを同時並行的に進めていく。  ・芋掘り‥‥芋を傷つけないように、そーっと掘ってください。  ・運搬‥‥‥掘った芋をコンテナに集めて、倉庫へ運んでください。  ・選別‥‥‥傷の有無を確認しつつ、30センチ以上と未満の芋を分けてください。  当日の天気予報は晴れ。  気温も朝こそ低いが、段々と上昇するとの予報がでている。  秋の陽光のもと、村人達に手を貸してほしい。
トーマスの哀哭
普通|すべて

帰還 2018-12-15

参加人数 4/8人 oz GM
 ヨハネの使徒の襲撃により損害を受けた村から「復興を手伝って欲しい」と嘆願を受けた教団は、浄化師を派遣した。  そこは教皇アークソサエティの砦付近にある小さな村。牧羊で成り立っている小さい村だった――今はその面影もなく、一週間前に起こった襲撃による傷跡を深く残している。  ヨハネの使徒との熾烈な戦いの跡が垣間見えるように民家は崩れ落ちている。村人の顔はどこか暗く、村全体に深い陰を落としていた。  ヨハネの使徒は北側から村へと進入してきたようで、そこにあった民家や牧舎の被害は特に酷く半壊状態だ。幸いと言うべきなのか分からないが、ヨハネの使徒は人間のみを殺戮することだけを目的としていた為、家畜への被害はそれほどでもなかった。  だが、人々の受けた被害は大きかった。  村人からも多数の死者が出た上に、大切な人を亡くした者も多いが、砦に近い以上こうした襲撃はよくあることのようだ。村人の間には諦観の色が浮かんでいる。  だが、今回は想定した以上に被害が酷く不安と動揺が広がっている。  かろうじて残った建物を開放したり、それでも入りきれない者はテントを作ってそこで協力しながら暮らしているようだ。  報告で聞いていた以上に酷い現状に、少しでも力になれればと浄化師たちは村人たちに教団から運んできた支援物資を手渡し、村長に何か手伝えることはあるかと尋ねた矢先のことだった。 「とっととここから出て行け、浄化師!」  少年の鋭い叫びが響きわたる。激しい憎悪をくすぶらせた目で浄化師を睨みつける。 「どうせなんにもできねえ癖に、余所者がこの村に入ってくんじゃねえ!」  そう吐き捨てた少年の年齢に見合わない一際暗い目に浄化師は言葉を失う。  杖を突いた村長が慌ててトーマスの失礼な物言いに怒るが、 「これ、トーマス! せっかく来てくださった浄化師様にお前は何を言っとるんじゃ!」  何も言わずに走り去ってしまった。 「待たんか、トーマス!」  杖を上に振り上げ呼びかけるが、トーマスは振り返ることなく、あっという間に姿が見えなくなってしまった。 「申し訳ありませぬ、村の子供が……」  心底申し訳なさそうに謝る村長に「気にしていない」と答えると、村長は浄化師たちに無言で深く頭を下げた。どうもここでは浄化師に守ってもらわなければ生きていけないとでも言うように村人の腰が低い。様付けで呼ぶのも浄化師の不興を買うのを恐れての事だろう。  村長との話し合いを終え、被害がひどかった北側の瓦礫の撤去に向かって歩いていると、背後から呼び止められた。 「……あの、浄化師様。お忙しいところ申し訳ありません、少しだけお時間をいただけないでしょうか?」  声をかけてきたのは病人のように青白い顔をした女性だった。今にも倒れそうな女性を放って置くわけにも行かず、話を聞くことにした。  女性は人目を気にするように「ここでは少し……」と言葉を濁す。どうやら人に聞かれたくない話のようだ。そのまま人気のない場所まで来ると、女性は周囲を気にしながらも浄化師と向き合った。 「申し訳ありません!」  突然女性は浄化師に向かって頭を下げる。驚いた浄化師たちは「とりあえず頭を上げてくれ」と女性を宥める。 「私はトーマスの叔母です。あの子のしたことは私の責任ですから……浄化師様にはトーマスについてお話ししたいことがあるのです」  儚げな見た目とは裏腹にしっかりと芯を持った女性だった。 「トーマスあの子は……ヨハネの使徒の襲撃によって母親を亡くしているんです。あの襲撃時、あの子は母親といたんです。間一髪あの子は浄化師様によって救われましたが、……一緒にいた姉は助かりませんでした」  一瞬、「姉」と言ったとき、悲しげな表情をしたが、すぐに気丈な表情を取り戻す。 「母親を目の前で亡くしたことがショックだったようで、ずっと塞ぎこんでいました。私が何を言ってもあの子には届かなかった……あの子も浄化師様のせいじゃないと分かっていると思います。ですが、まだ幼いからに割り切れていないんです」  そこまで話して女性は一呼吸をつく。 「あの子の暴言には本当に申し訳なく思っています。ですが、浄化師様に話しておきたいのは、これとは別の件なんです」  トーマスの事情は分かったものの、謝罪を終えた女性がまだ他にも苦悩を抱えているのが伺えた。 「あの子は浄化師としての素質を持っているかもしれません。今回の襲撃もあの子を狙ったものだと思います」  なぜ前回浄化師に助けられたときに言わなかったのだと問いつめると、 「……姉さんが何か隠し事をしているのは分かっていました。でも、つらそうな姉さんを問いつめることができず、薄々気づいていたのに黙っていた私も同罪です……もっと早く問いつめておけば、こんなことにならなかったのに……」  トーマスと同じ暗い瞳で自嘲的な表情を浮かべる。 「……本当に責められるべき人間は私なんです。ですが、もし村の人に知られれば、あの子は責められるでしょう。もしかしたら危害を加えられる可能性もあります。……あの子自身も自分を責めると思います。身勝手なことを言っているのは分かっています! 他の誰かに知られる前に教団に連れて行ってやってくれないでしょうか!」  すがりつくように頼むトーマスの叔母になんと言葉を返せばいいのか迷ったが、浄化師たちは了承した。  浄化師の素質を持つ者の保護も教団の仕事だ。村人に事情を説明しないのは納得できたわけではないが、村人を動揺させる事実を広げるのは現状、酷だろうと判断した。 「……本当にありがとうございます」  浄化師から約束してもらえたことに安堵したのか、わずかに笑みを浮かべながらお礼を言う。  その時、背後で何か物が倒れる音が聞こえ、先ほどと一転してトーマスの叔母の表情がこわばる。  叔母の視線の先には、目を見開いたトーマスが呆然と立ち尽くしていた。 「トーマス、あなた……聞いていたの!?」 「何だよ、全部おれのせいだったんじゃないか……」  俯いたトーマスの表情は分からない。そんなトーマスに叔母が駆け寄る。 「おれが母さんを殺したんだ! おれなんて死んじまえばいいんだ」  そう叫んだトーマスの頬を叔母が思わず叩く。叩いてしまったトーマスの赤くなった頬を見て、叔母は苦しげに唇を噛んだ。 「叔母さんだって、おれがいなくなればいいと思ってるんだろ! だから、村から追い出そうとするんだ!」 「違うわ! 待って、トーマス!」  叔母が止めるのも振り切って、トーマスは走り去ってしまった。 「お願いです、浄化師様! まだトーマスはヨハネの使徒に狙われているかもしれません。私は村を探します! もし村の外へと出ていたら、あの子を守ってやってください」  そう言ってトーマスの後を追おうとする叔母に落ち着くように諭すが、トーマスが心配でたまらない様子だ。  トーマスが帰ってきた時に誰もいなければ行き違いになると説得し、今にも倒れそうな程青ざめている叔母を休ませた。  もしトーマスの叔母の話が本当ならば、浄化師としての素質を持つトーマスを狙って再びヨハネの使徒が集まってくる可能性がある。  これ以上、村に被害を与えない為にも早急にトーマスの身柄を保護する必要がある。