~ プロローグ ~ |
ある寒い日の事です。
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~ 解説 ~ |
※シチュエーションは必ずしもこうでなくても構いません。 |
~ ゲームマスターより ~ |
色々な出会い方があると思います。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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出会い 契約の日 初めて会った印象は…おっさんだなって 何も知らない、何もわからない状態で、イダと会った 自己紹介 いつものように「アラシャ」とだけ名乗ったあたしに、イダは聞いてきた 「苗字は?」 「あるけど、…言いたくない」 イダはわかったように笑った いい笑顔だと思った 「そっか。わかった。言いたくなった時に教えてくれ」 頷く 同調テスト 両手が合わさる これはいい結果みたいで、教団の人は「いいパートナーになりますよ」 と言ってくれた いいパートナーっていうのがどういうものかわからないけど、 とりあえず、イダはいい人という予感はした あと、にーちゃんにどこか似てた あたしは改めて手を、イダに差し出す 力強く握り返される手。大きい |
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(とある城内の一室にて) 無理…? ぼ…俺が無理を…? バカを言うな、無理なんて…! いや、君には酷い事をした…虐待を受けていた君を 連れ出して監禁までして、こんな…本当にごめん。 本当は君に、この広い世界を見せるべきだった。 その代わり、僕の事はラウルと呼んでくれないかな。 教団の寮…わかったよ、ララがそう言うなら。 (教団で暮らしたとしても、僕は教団を許さない…!) (教団のホールのテーブルで紅茶を飲みながら) …そうだった。忘れていた。君に普通に接する事を。 ごめん、ララ。これからは一緒に過ごしていこう。 あの時約束した時のように。 …でもこっちへ引っ越してきた時、皿を割った事は 忘れてないからね? |
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【シャルローザ】 私の家は占星術師の家系でもありましたし。 エクソシストになることにどこか憧れもあったのかもしれません。 だからパートナーとなる方がどんな方かあれこれ想像というか妄想をしてたんでしょうね。 初めて会った印象は失礼ながらも胡散臭いなぁとしかいいようが…。 なんとなくですが人柄が掴めなかったんですよね…占い師としてはその辺は得意、だと思っていたのですが。 だから余計に警戒してしまったといいますか。 こっそりロメオさんの事を占ってみたらそれもまた難解なカードの組み合わせで…。 でも今はそんなに疑ったり警戒はしてませんよ。 いい人だなとは思いますから。 ロメオさんの方は私の事どう思われたんでしょうね? |
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ベルトルド視点 教団任務の帰り道。今日は思いのほか時間がかかりもう夜だ。 連日細々とした任務をこなしていた。 前を歩くヨナ。疲れているせいか荷物が重そうだ。 「持ってやろうか?」 「いえ」 声をかけるもにべもない。 彼女とバディを組んでから随時この調子。 軽くため息をつき空を仰ぐ。風もなく月は明るい。 思い出すのは初めて出会ったあの日の事だった。 |
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【目的】散歩をしながら死んだと思っていたなると再開してパートナーになった日の事を振り返ります。 【心境】5年前に死んだと思っていたなると再会した日私は泣きそうだったのを必死でこらえようとしてた。なるに泣き顔を見せたくなかったから。再会したらなるは5年前と変わらないままのアンデッドだったとしても私はなるに会えた嬉しさの方が大きかった。もう一度会えたのは5年前の弱かった自分とさようならするチャンスだから私は強くなって今度こそなるを死なせない。成を失ってあの日再会して気づいた。大切だから二度と失いたくないと。 |
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契約の日 緊張する、顔合わせ自体は昨日済ませてるけど ……同い年くらいの子、だったな 俺が守ってやらなきゃ(ぐっ 契約の場 同調テストをしようとしたら、突然扉が開いて、 見たこともないくらい綺麗なヴァンピールの女の人が立っていた 凛とした視線、立ち振る舞い 女の人は俺にまっすぐ向かってくると 「我と契約しろ」 と綺麗でしっかりとした声で言う 赤い目に吸い込まれてしまう 赤い目は全てを語っている気がした 俺は頷く 傍にいた本当は契約するはずだった人が何か言っていた にこり、と綺麗な笑みを浮かべた女の人は 両手を差し出した。俺も差し出す 「悪いようにはせん」 不思議と恋人繋ぎになった手は温かかった 「俺は、櫻棚 浄鷹」 |
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適合診断で初めて出会う ……適合しているかどうか、今はまだ、分からないが マリウス・シュバルツという よろしく頼む(頭を下げる ああ、すまなかった。こうもすんなり適合するとは思わなかったので(手を離す ……では、改めて マリウス・シュバルツ、一度死を経験している。いわゆるアンデッドというものらしい ああ、だが蘇った 俺とで、構わないのか? 嫌いじゃない、と言われ、微笑む ……そうか、ならば話は早いのだろうか 片割れとして足を引っ張るつもりはない よろしく頼む |
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あたし、教団にいきなり連れていかれることになったんだ… 沢山の家族に見送られて、寂しい気持ちでいっぱいだったのは今でも思い出せる そんな時に教団で声をかけてくれたのがジョシュアなの。 ジョシュアは私の寂しい気持ちを分かってくれたのか、幸運のお守りだって言って 可愛い小さい人形を安く売ってくれたんだ。 人形を身に着けてから色々ラッキーな事が起こったの 例えば充てられた部屋が日当たりが良かったりとか、たまたま買ったお魚が凄く脂がのってて美味しかったり…。 「そうだ、お守りのお礼をずっと言いたかったんだ。ありがとう、呪術師さんなのに人を幸福にできるなんてすごいじゃない!こうやって契約できたのもラッキーなのかも!」 |
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~ リザルトノベル ~ |
●アラシャ・スタールード(イダ・グッドバー)編 祓魔人のアラシャ・スタールードと喰人のイダ・グッドバーの出会いは、契約の日の事でした。 「アラシャと会ったのは、いい天気だったな。いいことありそうな気がばんばんしてたぜ」 カフェで当時の事を振り返り、イダは微笑んでいます。 アラシャとイダはそれぞれ好きな飲み物を味わいながら、契約の日の思い出話をしました。 「初めて会った印象は……おっさんだなって」 アラシャは何も知らない、何もわからない状態で、イダと出会ったのです。 「初対面の印象は「小さい」だった」 イダの方はそう話しています。 小柄で、壊れそうで、儚くて。どこか遠い目をした女の子――そんなふうに見えました。 そのときの二人の自己紹介はこんな感じでした。 「アラシャ」 いつものように、彼女は名前だけを名乗りました。 するとイダが聞きます。 「苗字は?」 「あるけど、……言いたくない」 無表情に答えるアラシャ。 するとイダは、「わかった」と言うように笑いました。 (そりゃあなぁ、初対面の相手だもんなぁ) 大人らしく、納得するイダです。 (いい笑顔) その笑みを見て、アラシャは自然とそう思いました。 「そっか。わかった。言いたくなった時に教えてくれ」 イダのその言葉にアラシャは無口に頷きました。 その後二人は、教団で同調テストを受けました。 両手を合わせるアラシャとイダ。 イダの両手はアラシャの両手に吸い込まれるように合わせられたのです。 そして、いい結果が出ました。 「いいパートナーになりますよ」 教団の職員はそう告げました。 (いい結果、いい結果ねぇ……) イダは何か引っかかるものを感じています。 そのとき、アラシャは何度も手を見て頷いていました。 (いいパートナーっていうのがどういうものかわからないけど、とりあえず、イダはいい人って予感がする……) それと、イダはアラシャの兄にどこか似ていました。 イダはイダで、アラシャの小さい体にちまちました動きを、死んだ妹に重ねます。 改めて、アラシャは自分の手をイダに差し出しました。 イダは差し出されたアラシャの手を取ります。 「よろしくな、アラシャ」 ……力強く握り返される大きな手。 無口で無表情なアラシャの顔に緩やかな笑みが広がります。微かな笑みを浮かべて、アラシャはイダへしっかりと頷き返したのでした。 ●ラウル・イースト(ララエル・エリーゼ)編 とある場内の一室。 祓魔人のラウル・イーストと喰人のララエル・エリーゼは向き合っています。 (ラウルさん、無理してます。自分の事を俺って言うのも、わざと冷たい態度をとってみせるのも……本当は優しい人なのに) ララエルはそういう気持ちでラウルに告げました。 「ラウルさん、無理してます。お願いです。私には、本当のラウルさんを見せてくれませんか? ラウルさんのお力に、なりたいから……」 「無理……? ぼ……俺が無理を……? バカを言うな、無理なんて……!」 ラウルは取り乱してしまいます。 ですが、彼はすぐに我に返りました。 「いや、君には酷い事をした……虐待を受けていた君を連れ出して監禁までして、こんな……本当にごめん。本当は君に、この広い世界を見せるべきだった」 ラウルはそこで顔を上げて、ララエルを見つめました。 「その代わり、僕の事はラウルと呼んでくれないかな」 ララエルは目を丸くして声を上ずらせました。 「えっ、呼び捨てですか? わ、わかりました。ら、らら……ラ、ウル」 ララエルは、赤くなって俯きながらそう彼の名を呼びました。 それからはっとして顔を上げます。 「そうだ、良かったら、教団の寮で暮らしませんか? そうすればラウルも、寂しくないと思うんです! 皆、皆一緒ですよ!」 ララエルは両手を握り締めてそう言いました。 「教団の寮……わかったよ、ララがそう言うなら」 ラウルは苦笑してそう答えました。ですが彼は胸の内で誓います。 (教団で暮らしたとしても、僕は教団を許さない……!) 場面は変わって、二人は教団のホールで紅茶を飲んでいます。 「えへへ、大丈夫ですよ! だってラウル、今凄く微笑んでいるんだもの!」 ララエルも得意げに笑っています。 「……そうだった。忘れていた。君に普通に接する事を。ごめん、ララ。これからは一緒に過ごしていこう。あの時約束した時のように」 ラウルは優しく彼女に語りかけます。 そしてその後、軽く顔を引き締めました。 「……でもこっちへ引っ越してきた時、皿を割った事は忘れてないからね?」 「お皿を割った事は……えへへ、なかった事に……ダメですか?」 上目遣いで目をウルウルさせるララエル。 ラウルはため息をついて、彼女を許してあげました。 ●シャルローザ・マリアージュ(ロメオ・オクタード)編 祓魔人のシャルローザ・マリアージュと喰人のロメオ・オクタードの第一印象について、二人とも突き合わせてみましょう。 「私の家は占星術師の家系でもありましたし。エクソシストになることにどこか憧れもあったのかもしれません。だからパートナーとなる方がどんな方かあれこれ想像というか妄想をしてたんでしょうね」 シャルローザは肩を竦めます。 (俺はまぁ教団から身を潜めてたりしたわけだからエクソシストになるのにも消極的だったんだけど。お嬢ちゃんにとっては憧れの存在だったみたいだから。なんていうかキラキラしてたよ。希望に満ち溢れてたっていうか。俺にはそれがすごく眩しくて羨ましかったりしてさ) ロメオは遠くを見るような眼差しです。 「初めて会った印象は失礼ながらも胡散臭いなぁとしかいいようが……なんとなくですが人柄が掴めなかったんですよね……占い師としてはその辺は得意、だと思っていたのですが。だから余計に警戒してしまったといいますか」 口元に手を当てるシャルローザ。 (出会ってすぐに警戒されてるなーというのは気付いたんだけど……まぁ、俺自身自分のことは完全にまっとうな人間とは思ってなかったから。仕方ないかくらいで) 少し寂しそうな雰囲気のロメオ。 「こっそりロメオさんの事を占ってみたらそれもまた難解なカードの組み合わせで……でも今はそんなに疑ったり警戒はしてませんよ。いい人だなとは思いますから。ロメオさんの方は私の事どう思われたんでしょうね?」 シャルローザは明るい笑みです。 (結構失くしてる記憶が多くてさ。自分で自分を信じられなかったりもするわけよ。……こんな真っ直ぐなお嬢さんとパートナーってことがなんだか申し訳ない気もしたね。彼女自身はすごくいい子だと思うよ) ロメオも微笑んでいます。 そこまで話して、シャルローザとロメオは隣のテーブルで振り返り、顔を見合わせました。二人から話を聞き終えた浄化師を取材する記者はそれぞれ満足そうです。 (そんなことを考えていたんですね) (そう思っていたのか) お互いに意外なような、納得するような気持ちで、相手の顔を見つめました。 色々あるけれど、二人が思っている事は――相手に対して、『悪くない』 『俺にはそれがすごく眩しくて羨ましかったりしてさ』 『でも今はそんなに疑ったり警戒はしてませんよ。いい人だなとは思いますから』 きっと、うまくやっていけるでしょう。 ●ヨナ・ミューエ(ベルトルド・レーヴェ)編 祓魔人のヨナ・ミューエと喰人のベルトルド・レーヴェの出会った頃のお話です。 ベルトルドは教団の任務の帰り道を、ヨナと共に歩いていました。今日は思いのほか時間がかかってしまい、もうすっかり夜になっていました。 その頃は、連日、細々とした任務をこなして疲労が溜まっていました。 ベルトルドの前を歩くヨナも、疲れているせいか荷物が重そうです。 「持ってやろうか?」 「いえ」 ベルトルドが親切に声をかけても、取り付く島もない答えが返ってきました。 彼女とバディを組んでから、常にこの調子です。 ベルトルドは軽くため息をついて、夜空を仰ぎました。 風もなく、月の明るい晩でした。 思い出すのは初めて出会ったあの日の事です……。 ……ヨナは浄化師になる為の教育を受けていましたが、適合者が不在だったため、本人の意志とは全く関係なく、モラトリアムと化していました。 イレイスの研究者だった一族からのプレッシャーは大変なものでした。 そのため、自立心が強く、一人前であることにこだわるのです。 同調テストはヨナとベルトルドは最低限の適合でした。 だからベルトルドは乗り気ではなかったのですが、一秒でも早く浄化師になりたかったヨナは、苦渋の思いで必死に頼み込んだのです。 ベルトルドは後がない彼女の必死さに押されて契約しました。 それは目的のための手段だったので――契約後の関係はクールなのです。 ――そんな心情を彼は知らないので、ヨナの契約時と現在のギャップに戸惑っているのでした。 気丈に振る舞うヨナ。 ですが、夜道でよく見えなかったのでしょう。小石につまずいてバランスを崩してしまいます。 その隙に、ベルトルドは半ば強引に荷物を奪い取りました。 「いいから。お前疲れてるだろ」 有無を言わせず。 (女子相手に腹を立てても仕方ない。まぁこれからだろう) ベルトルドは内心そんな事を思っていました。 ヨナは冷たい無表情の中で考え込みました。 (また、子ども扱いしているのでしょうか――) 実年齢22歳の彼女は納得がいきません。しかし、さらにベルトルドから荷物を奪い返すのも気が引けて、隣に並んで歩いています。 ――月の綺麗な晩。夜道を歩く二人。一人ではないのがざわつくような、それでいて安心するような、とても不思議な心地でした。 ●神楽坂・仁乃(大宮・成)編 休日の午後の散歩道。 祓魔人の神楽坂・仁乃と喰人の大宮・成は、暖かい日の光を受けて歩きながら、再会の日の事を振り返っていました。 アンデッドで喰人の成は仁乃の幼なじみです。そして、成は仁乃のために五年前に命を落としているのでした。 仁乃の祓魔人としての体質が、五年前、ベリアルを引き寄せてしまったのです。襲われた仁乃の盾となり、成はベリアルに殺されました。ですが、彼は仁乃への気持ちが大きすぎ、アンデッドになってしまったのです。 成は普通の幼少期を送る事が出来ず、既に家族を失った仁乃をどうしてもひとりにすることが出来ませんでした。 そのため、仁乃にもう一度会うために、彼女を追って教団に入る事を決心したのです。 仁乃は、成を失ったまま五年の月日を教団で過ごしました。人形の成子を抱きながら。 彼女は不運な境遇故に、強制的に教団に入れられたのです。 そして、追ってきた成との再会――。 仁乃は泣きそうになるのを必死にこらえました。 成に泣いているところを見せたくなかったのです。 再会した成は、五年前と変わらない姿のアンデッド。 そうだとしても、仁乃は再び成に会えた嬉しさの方が大きかったのでした。 もう一度、会えたのは、五年前の弱かった自分と決別するチャンス。 (――だから私は強くなって、今度こそなるを死なせない) 仁乃はそう胸に誓いを立てるのでした。 「なるを失って、そしてあの日、再会して、気づいたんです。大切だから、二度と失いたくないって」 成にとって、仁乃と偶然契約出来る状態だったのは、運命でした。再会した仁乃は、成長して彼よりもずっと大きくなってしまったけれど、それでも、奇跡としか思えませんでした。 「この奇跡を無駄には出来ない。もう二度とにののことをひとりにしないと誓うよ」 二人でそんな会話をしながら散歩道を歩いて行きました。 五年間、どんなことがあったのかを互いに話し合い、離ればなれだった時間を埋めていきます。 仁乃は成がくれた人形の成子のドレスを作った話などをしました。成は喜んでいました。 「なるは姿が10歳でもなるです。変わりません。二度と失いたくない人です」 「にのが僕より大きくたって、僕の幼なじみに変わりはないよ」 そんな言葉をかわして、二人は笑顔になりました。 ●櫻棚・浄鷹(リンデン・フォエトリー)編 祓魔人の櫻棚・浄鷹と、喰人のリンデン・フォエトリーが出会った日。こんなことがありました。 それは契約の日の出来事でした。 浄鷹は本来、別の祓魔人の女性と契約するはずだったのです。 「緊張する、顔合わせ自体は昨日済ませてるけど、……同い年くらいの子、だったな。俺が守ってやらなきゃ」 浄鷹はぐっと拳を握り締めました。 彼は銀髪に銀の双眸。 見た目は儚い印象を与える少年です。 その頃、別の場所でリンデンは決意を固めていました。 (作戦決行日だ。必ず、彼の男を我のものにする) 契約の場。 浄鷹と女性が同調テストをしようとした時、突然、扉が開きました。 そこには見たこともないくらい綺麗なヴァンピールの女性が立っていました。 その女性こそリンデンでした。 セクシーですが、清純。清純ですが、妖艶。男を寄せ付ける魅力と、寄せ付けない高潔さを両立させている。非常にアンバランスな魅力を持った美貌なのです。 凛とした視線と立ち居振る舞いで、女性はまっすぐに浄鷹の方へ向かって来ました。 リンデンにとっては好都合です。同調テスト直前だったのでナイスタイミングなのです。 彼女は堂々と、己が全ての王であるように、驚いて停止している人々の間を縫って歩きます。 目指すは彼の者――櫻棚・浄鷹の元へと。 リンデンは浄鷹と視線をかわしています。最初から。 彼女の赤い瞳は浄鷹の銀の美しい双眸を真っ直ぐに見据えているのです。 「我と契約しろ」 綺麗でしっかりとした声で浄鷹はそう言われました。 その刹那、赤い瞳に吸い込まれるような錯覚を覚えます。 その赤い瞳が全てを語っているような気がしました。 浄鷹は頷きます。 傍に居た、本当は契約するはずだった女性が何かを言っています。 リンデンはどよめく周囲や、浄鷹の隣の少女がうろたえる様子をものともしません。 にこり、と綺麗な笑みを浮かべると、リンデンは両手を差し出しました。 浄鷹も両手を差し出します。互いが互いに吸い込まれるように。 「悪いようにはせん」 不思議と恋人繋ぎになった両手はとても温かかったのでした。 「俺は、櫻棚浄鷹」 「我は、リンデン・フォエトリー」 必ず幸福を与えよう――。リンデンは浄鷹にそう心で約束するのでした。 ●マリウス・シュバルツ(Leon・Barthel)編 祓魔人のマリウス・シュバルツは喰人のLeon・Barthelと、教団の適合診断で初めて出会いました。 「適合しているかどうか、今はまだ、分からないが。マリウス・シュバルツという。よろしく頼む」 診断の部屋の戸口の前。二人は顔を見合わせました。 マリウスはそう言って、礼儀正しく頭を下げました。 「ご丁寧にどーも。……レオン・バルテルだ」 レオンも自己紹介をします。 その後、二人は適合診断を受ける事になりました。 そうしたら、同調率は想定外の結果だったのです。 「……弾くと思ってたけど……って、おいッ!?」 レオンは驚いて声を裏返らせます。 「絡ませんなしッ!」 契約しようとしたところ、知らない間にマリウスがレオンの指に指を絡ませていたのです。 「ああ、すまなかった。こうもすんなり適合するとは思わなかったので」 「い、いや……別に……」 そう答えながらレオンは心の中でツッコミます。マリウスは単純に嬉しかっただけのようなのです。 (……コイツ、天然かよ?) そんなレオンにマリウスは余裕の調子で微笑みました。 「では、改めて。マリウス・シュバルツ、一度死を経験している。いわゆるアンデッドというものらしい」 相棒になるかもしれない男に、マリウスは何も隠さずにそう伝えました。 「あ? なに、死んでんの、あんた?」 レオンは驚いて目を瞬きました。 「ああ、だが蘇った」 マリウスは躊躇する様子もなくそう答えます。 「ふうん……ま、良いけど。で、すんだろ? 契約」 レオンは対して気にした様子もありませんでした。 「俺とで、構わないのか?」 注意深くレオンの表情を見つめながらマリウスは言いました。 「オレだって女の方が良いに決まってんだろ。けど、アンタみてーなお貴族様っぽいヤツは嫌いじゃねえし」 レオンはけろりとしてそんな事を言っています。 嫌いじゃないと言われて、マリウスは笑みを深めました。 「そうか、ならば話は早いのだろうか。片割れとして足を引っ張るつもりはない。よろしく頼む」 マリウスは安心した様子でなんのてらいもない笑顔を見せました。レオンならば大丈夫だと思えたのでした。 (年に似合わず純粋な笑み……。そのままのあんたでいてくれよ) レオンの方もそう思います。 こうして二人は出会い、数々の冒険を続けていくのです。 ●ベアトリス・セルヴァル(ジョシュア・デッドマン)編 浄化師のメンタルを調査するために、教団の職員が、祓魔人のベアトリス・セルヴァルと喰人のジョシュア・デッドマンの元にやってきました。 日頃抱えている想いをどんなことでも話してよいとのことです。 「そうだな。思い出話をしよう」 ジョシュアは話し始めました。 「私と子豚が初めて会った日の事だ。私は教団に連行されてから時間は経っていたがペアを組んでいなかった。適合するかどうかの前に性格が合わなかった事の方が多い。私に対する反応は2つ、いきなり嫌うか期待してから嫌うか。その日もいつものように教団内でダラダラしていたら、新顔のライカンスロープを見つけた、それが子豚だった。私は面白がって、ラッキーアイテムと言って手製の人形を売ったんだよ。それは呪術道具で全くの嘘、人を呪いはするが幸せにするものじゃあない」 一方、子豚と言われたベアトリスは、別の職員に全然違う話をしていました。 「あたし、教団にいきなり連れていかれることになったんだ……沢山の家族に見送られて、寂しい気持ちでいっぱいだったのは今でも思い出せる。そんな時に教団で声をかけてくれたのがジョシュアなの。ジョシュアは私の寂しい気持ちを分かってくれたのか、幸運のお守りだって言って、可愛い小さい人形を安く売ってくれたんだ。人形を身に着けてから色々ラッキーな事が起こったの。例えば充てられた部屋が日当たりが良かったりとか、たまたま買ったお魚が凄く脂がのってて美味しかったり……」 別の部屋で違う職員と話しているのに、ジョシュアはベアトリスの声が聞こえているように笑いました。 「私の嘘を信じて許すやつは初めてだったな。大丈夫かこいつはって思う時もあるけど」 やがてメンタルチェックを終えて、二人は廊下で合流しました。 「そうだ、お守りのお礼をずっと言いたかったんだ。ありがとう、呪術師さんなのに人を幸福にできるなんてすごいじゃない! こうやって契約できたのもラッキーなのかも!」 「……ああ、きっとその人形は君を守ってくれるだろうよ」 ジョシュアはそう言って誤魔化してしまいます。 「ふふ、ありがとう!」 ベアトリスは単純に喜んでいます。 (若いからか田舎者だからか、甘い考え……俺はケガしたくないんだけどな) そう思いながらも、ベアトリスを放っておけないジョシュアなのでした。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[8] ベアトリス・セルヴァル 2018/04/06-23:17
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[7] マリウス・シュバルツ 2018/04/03-18:04
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[6] 櫻棚・浄鷹 2018/04/02-23:22
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[5] シャルローザ・マリアージュ 2018/04/02-19:23
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[4] ヨナ・ミューエ 2018/04/02-10:54
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[3] ラウル・イースト 2018/04/02-08:34
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[2] アラシャ・スタールード 2018/04/02-00:17
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