森の蠢き
難しい | すべて
4/8名
森の蠢き 情報
担当 春川ミナ GM
タイプ ショート
ジャンル 戦闘
条件 すべて
難易度 難しい
報酬 通常
相談期間 5 日
公開日 2018-09-01 00:00:00
出発日 2018-09-09 00:00:00
帰還日 2018-09-19



~ プロローグ ~

「なぁなぁ! おもしれーもん見つけたんだ!」
「何よ? アンタが言う面白いものってどうせ熊のフンとか変な色のカエルでしょ? 早くお仕事して帰るわよ!」
 年の頃は12、3歳くらいだろうか。活発そうな男の子と真面目そうな女の子が山道を歩いている。
 背中には柴(しば)が入ったカゴ。恐らくは家の手伝いなのだろう。
 
 ここはミズガルズ地方、ソレイユ地区の端。木々が生い茂る小高い山に隣接するように村があり、村人達はその恩恵を受けて生きている。主にここで採れるのは質の良いナッツで、その実を加工した工芸品や食料品で生計を立てているが、あまり裕福では無い為に成長したらこの村を出て行く若者が多く、過疎化に悩まされているのが実情だろうか。

「ほんとだって! 今度は変なものじゃねーよ! 白くてツヤツヤスベスベな岩なんだ! 姉ちゃんもきっと気に入るし、もしかしたらなんかの宝石かもしれねぇ。そしたら俺達お金持ちかもよ?」
「はぁ……。アンタねぇ。ここの山は土は良いけど鉱石の類いなんて出ないって昔に偉い学者先生が言ってたでしょ? ホラ、そんな事よりこのカゴいっぱいにしなきゃ、またお母さんに叱られるよ?」
 姉と呼ばれた少女は溜息を吐いて柴を拾いながらカゴに入れていく。きょうだいの家はナッツの加工を主に請け負っており、ローストする為に大量の質の良い焚き木や柴が必要なのだ。なので他の村人達よりは比較的に山の中を歩くのは得意としている。弟が変な石だか岩だかを見つけたのは山を遊び場にしていた事もあるのだろう。
「姉ちゃん! こっちこっち! ……あれ?」
 男の子が得意気に先導するが、次の瞬間、怪訝な表情になった。
「何よ、どうしたの? アラ、本当に綺麗な岩ね。石灰が混じっているのかしら。大理石の材料にはなりそうもないけれど、これはこれで良いわね」
「う、うん。……あんなところにあったっけ? 俺が見た時はあの大きな岩の影にあったんだけど」
 首を捻る男の子だったが、少女はゆっくりと岩に近づく。大きさは今少女達が背負っているカゴにかろうじて入るくらいだろうか。
「丸いからちょっとした事で転がっちゃうのかもね。でもここは平坦になっているから大丈夫よ」
 手に持った小枝で岩を軽くつついたり、叩いたりする少女。動いたりしないと解ると、直に手で触り始めた。
「わ、本当にツヤツヤしてスベスベ! これって削ったら美白の化粧品にならないかな?
 うーん。……石灰だったら無理ね、かぶれちゃうから」
「姉ちゃんってホントに金の事しか興味無いんだな」
「当たり前よ。私はこんな村早く出て都会のお金持ちと結婚するんだから」
「出たよ出たよ。姉ちゃんの妄想が」
 岩を撫でさする少女は何とか岩を持ち運べないか試行錯誤しているようだ。
「ねぇ、アンタ。私のカゴに入っている柴を全部そっちに移してくれない?」
「え、まさか」
「まさかよ。持って帰るの。ホラ、キリキリ働いて」
「うぇぇ……。マジかよ」
 文句を言いつつも弟は姉のカゴから柴を全部自分のカゴに移した。おかげで姉のカゴは空。
「じゃ、この岩を私のカゴに入れるから手伝ってちょうだい。帰ったらナッツクッキー焼いてあげるから」
「ヘイヘイ、全く人使いの荒い姉ですこと」
 そう言いつつも弟の顔は笑顔だ。お菓子に釣られたのかもしれない。
「ありがと。……ッ! 結構、重い、わね!」
「っとと! 姉ちゃん足元!」
「えっ!? うぐっ! カハッ!」
 姉が木の根にひっかかり、転ぶのに釣られる形で弟も倒れる。
「ってて……。姉ちゃん、大丈夫か? ……姉ちゃん?」
「……」
 しかし姉の顔は目を見開いたまま瞬き一つしない。腹部の上には先程二人で持ち上げようとした岩。
「オ、オイ……。冗談やめろよ、姉ちゃん、こ、これどかさなきゃ……」
 弟は慌てて姉の腹の上に乗っている岩をどかそうと押すがびくともしない。
「なんでだよぉ……」
 半泣きで岩を押す弟。しかし視界が歪んでいるために岩の変化には気が付かなかった。弟の死角になっている部分がピキリパキリと音を立てて罅割れて行く事に。
「ね、ねぇちゃあん。……ウオッ!?」
 弟が岩の変化に気付いた時にはもう遅かった。
「ミイィィイイイイ!」
「ぎゃあああああ!」
 緑色の何かが弟の視界を埋め尽くしたのだから……。

 ***

「おーい! ったく、アイツラどこまで行ったんだ? 村の皆にまで迷惑かけやがって」
「まぁまぁ、もしかしたら怪我でもして動けないかもしれないし、父親なんだから理由も無く頭ごなしに叱ってやるんじゃねーぞ」
「チッ! 分かってるよ。……すまんな、手を貸してもらって。アイツらが怪我でもしてたら背中に担いで帰ってやるよ。……小さい時のようにな」
 山火事防止の為だろう。柄の短い松明を掲げた大人達が総出で森の中を捜索している。
 その中にはきょうだい達の父親も居た。
 しかし、少し先から男の野太い悲鳴が聞こえて来た。その声に父親は駆け出した。
「見つかったか!?」
「オイッ! 待てッ!」
 隣に居た友人であろう男の制止を振り切って。
 ……しかし辿り着いた父親は絶句する。
「……なんだよ、これは」
 そこにあったのは無残に食い散らかされた子供達の遺体。そして卵の殻のような白い破片。まるで遺体を白い花が飾るように、ばら撒かれていた。
「なんだよ、これはぁあああ!?」
 父親は同じ言葉を繰り返すとその場にくずおれた。
「……獣にやられたか。この近くには凶暴な種は居なかったんだがな。巣を追われたクマかもしれん。人の味を覚えた獣は凶暴だぞ。悲しいかもしれんが、一旦村に……ってなんだこりゃ」
 父親の肩にそっと手を置く友人だったが、自身の体に纏わり付くナニカを感じ、振り払おうと松明を振る。しかし何かに絡め取られるように、その腕は中空で止まった。
 見回すと周りの男達も皆一様に妙な体勢のまま固まっている。複数の操り人形の糸を絡め合わせたらこんな感じに見えるだろうか。
 ……糸!? まさか!
「おい! 皆! 気をつけろ! コイツは獣じゃない!」
 友人が何かに気付いて警告を発した時にはもう遅かった。すでに全員が罠にかかっていたのだから。
「ミィイイイイ!」
「ぎゃあっ!?」
 それは例えるならば大きな緑色の芋虫だった。ただただ巨大である以外は。
 捜索に来た男の肩にじゃれつくように乗る姿は愛嬌があるかもしれない。……首筋に噛み付いていなければ。
「ぎゃあっあっッッァッ……!」
 芋虫が口から白い糸を出し、男の顔に吹き付ける。悲鳴をあげていたが、頭全体を覆うように糸が巻きつけられ、やがてガクリと力無く首が垂れ下がった。
 男から離れた芋虫は地面に落ちた松明を避けるように進み、次のターゲットを物色しにかかる。
「ッ!? オイ! いつまで放心してやがる! コイツは手に負えねえ! 背を低くしてるお前は糸にかかってねぇ! こいつはベリアルだ! そのまま伏せながら逃げて教団に応援を、ギャアッ!」
 友人が父親に声をかけるが、生気に満ちたと判断されたのか友人の首に芋虫が噛り付く。そのまま糸を吐き、友人は物言わぬ屍になった。
「スマン……! すまない!」
 泣きながら這い蹲り、逃げる父親をその場で縫いとめられた村人達は諦めと縋る様な感情が入り混じった視線で見送るのみだった。
 誰も言葉を発しない。何故ならば声を出した瞬間に自分の死が確定するのだから……。


~ 解説 ~

■場所:ミズガルズ地方、ソレイユ地区辺境の村。隣接する森林地帯。

■依頼人:憔悴した父親。

■目的:ベリアルの討伐。

■解説:昆虫型のベリアルが発生しました。
卵の状態から成長したようで、すでに彼の村は壊滅しており、大量の魂を取り込んでいると思われます。
最後に目撃された時は中型犬程度の大きさでスケール1でしたが、村人達の魂を取り込んで成長し、スケール2となっている可能性もあります。
その場合は若干サイズが大きくなっているかも知れません。

攻撃方法は蜘蛛の糸のような粘糸と触れただけで傷を負うような鋼糸を罠のように張り巡らせる。
あるいは、直接対象に粘糸を吹きかけて身体の自由を奪う、または窒息させるなどの行動が見られます。
動きは鈍いと思われますが、跳躍力があり、成人男性の肩までは優に届くようです。
火を避けるような行動が見られたとも報告があり、試してみるのも有効かもしれません。

スケール2に進化した場合、攻撃方法や弱点が変わる可能性があります。
本来の生物の域を超えないとは思われますが虫型のベリアルは痛みに鈍い、または強い場合がある為、討伐した後の生死確認をお願いします。
擬死をする可能性も高いと思われますので、注意をしてください。
戦闘については、各々の判断に任せます。協力するも良し、単身で即効をかけても構いません。
報酬については、全滅した村の家具や遺物などを売り払い補填に充てますが、必ずしも満足のいく金額では無いかも知れません。
が、このベリアルを放置しておくと大変な事態に陥る可能性が高いかもしれません。

■地形:小高い森の中での戦いになりますので罠が張り巡らされている可能性があります。
火を使う場合には山火事などに注意をしてください。
本能的に罠を仕掛けていると思われますので、樹上と地面の警戒も怠らないようにお願いします。
緑色の体表が保護色となっている可能性もあります。


~ ゲームマスターより ~

今回は戦闘エピソードです。
……私、これが終わったらほのぼの書くんだ……。

さて、今回のエピソードは虫型ベリアルです。
上記の様に成長スピードが早いので、プラン次第によっては思わぬ苦戦を強いられるかもしれません。
他のエクソシストと協力するか、パートナーと2人で挑むかはお任せします。プランに記載が無い場合は、協力して討伐にあたるものと判断します。





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

シルシィ・アスティリア マリオス・ロゼッティ
女性 / 人間 / 陰陽師 男性 / 人間 / 断罪者
目的
ベリアルの討伐

ベリアルを見つけ、罠の外へ誘い出して戦闘するつもり。

行動
森へ行く前に、依頼人に罠の糸がどの位の広さに張ってあったかを聞いておく。

ベリアルの発見はエレメンツさんにお願い。
わたしたちも周囲に糸が見えないかと、木の枝を拾って進行方向の足元を探って注意しておく。

見つかったら誘き出し。
木の枝で罠の糸の端を刺激してみるか、ベリアルに向かって信号拳銃を撃ったら、こっちに向かってこない?

保護色対策
水彩絵の具(赤色)を水に溶かして、水筒とフラスコに詰めていく。
フラスコはベリアルに投げて当たって壊れたら、色で見つけ易くなるかも?
水筒は直接かけるか、蓋を緩めてから投げる。
攻撃が届く位になったら?
アユカ・セイロウ 花咲・楓
女性 / エレメンツ / 陰陽師 男性 / 人間 / 悪魔祓い
◆作戦
出発前、依頼人に森の地理について尋ねる

アユカの魔力探知でベリアル・罠の居場所を探る
楓の植物学で周囲との変化による罠を探る
判明次第即時仲間に伝達

ベリアルをある程度開けた場所に誘導

水筒・フラスコはベリアルの体に投げる
水筒が壊れなかった場合楓が素早く狙撃して破壊を試みる

◆戦闘
戦闘前に魔術真名使用
基本的に武器攻撃
魔方陣が判明したらそこを狙う

・アユカ
三度に一度程度の頻度でSH10使用
MPは回復のためある程度温存

仲間が負傷したらSH4での回復優先

前衛不足だと判断したら前に出る
攻撃を回避しきれない場合は下がる

・楓
初手DE9
魔方陣判明前は足を重点的に狙う

敵との間が遮蔽物に阻まれている場合SH10
威嚇目的
ロス・レッグ シンティラ・ウェルシコロル
男性 / ライカンスロープ / 拷問官 女性 / エレメンツ / 陰陽師
■ロス
近付くのが難関だなー

∇準
罠・糸形態位置等依頼人から聞く
毛布を水濡れ火消し用に
死霊の石は盾持つ左手に

献魂使用
登山スキルで木上登り
次々木々乗り移り
糸目指して樹枝を斧で切り落とす
・罠作動
・下を走る前衛の走行補助

人間形態だが視覚聴覚活かし罠警戒
揺れる木々動きや糸飛ぶ音に気付ければ

∇避
糸が飛んでくるなら木や枝の後ろへ隠れやり過す

罠等の形が解れば仲間に大声で伝達

∇攻
鎌を落とし俺も敵の真上へ落ち
盾・献魂で敵の攻撃防ぐか弾き
地烈での攻撃
地上では回避を活かし
距離を詰めて攻撃させない勢いで攻撃を

∇援
仲間の攻撃時には後方へ
釣りスキルで釣竿使い敵を可能なら岩へ絡みつかせ
攻撃は任せる
敵の動きを封じたらライター投擲
ユン・グラニト フィノ・ドンゾイロ
女性 / エレメンツ / 陰陽師 男性 / 人間 / 断罪者
●共通
・事前
仲間の案による絵の具を用意
目立つ色をそれぞれフラスコと水筒に詰めフィノが所持

・方針
仲間との連携重視
危険な状態の仲間を庇護対象に

・糸対策
仲間が拘束された場合サバイバルナイフと鋏を使い分け救出
自分に対しては上着や盾を使い地震が拘束される前に脱出

●ユン
・事前
常に魔力感知を張り索敵に専念

・役割
消耗の激しい仲間優先でSH4による回復
前衛後衛問わず回復に走れる位置をキープ
MPが足りない場合は庇護行動にてカバー

回復不要な場合は魔力感知にて敵を見失った際の索敵及び成長の兆しを警戒
同時に魔法陣の位置の特定も可能な限り行う

回復索敵不要な場合は魔法陣の位置の特定に専念

擬死についても魔力感知にて特定に集中


~ リザルトノベル ~

 ソレイユ地区の端にある小さな町。その近くにあるこれまた小さな村がベリアルによって壊滅したと一報が届き、町には避難命令が出された。朝焼けの中でも、しんと静まり返る通りには教団の戦闘員と騎士達が等間隔で立って警戒に当たっている。
「こちらになります」
 白衣を着た教団の医師に促され、宿屋の一室に通されたエクソシスト達。そこには憔悴した様子の男性が椅子に座り項垂れていた。髪は抜け落ち、握り締めて蠟のように白くなった手には血が固まった痕がある。
「はじめまして。わたしは教団本部から派遣されました『シルシィ・アスティリア』と申します。こちらはパートナーの『マリオス・ロゼッティ』。お辛いでしょうけれど、ベリアルの姿形や罠の広さや状況をお聞きかせ願えませんでしょうか」
 なるべく依頼人を刺激しないようにシルシィが尋ねる。
 その言葉に男はゆらりと顔を上げた。
「ヒッ!?」
 光を全く無くした瞳を向けられ『ユン・グラニト』が短い悲鳴をあげて一歩後ずさる。だが、それを庇う様に『フィノ・ドンゾイロ』が前に立つと安堵の溜息が後ろから聞こえて来た事にフィノは内心苦笑する。顔には決して出さないが。
「……頼む。あのベリアルを、倒してくれ」
 男が途切れ途切れに声を絞り出す。
「あー、任せとけ。だから情報が欲しいんだ」
 いつもは軽い調子の『ロス・レッグ』だが、今日は真剣だ。依頼人の肩にそっと手を置くと目を合わせて力強く頷いた。パートナーの『シンティラ・ウェルシコロル』は地図を手に持っている。恐らくベリアルの場所と地形を重ね合わせて戦闘を有利に導く為だろう。
「あのベリアルは、肉を……。人の肉を噛み千切っていた。俺の友人は、それで死んだ……それと糸だ。……大の大人を簡単に拘束できるような」
 男は食いしばった歯の奥から搾り出すような声で話すとまた俯いた。
「ベリアルが居た場所は覚えていらっしゃいますか?」
 フワリと爽やかな香りと共に穏やかな声がかけられる。『アユカ・セイロウ』だ。彼女は依頼人が落ち着くだろうと思い、レモンの香水を持ってきていた。レモンの香りには不安を取り除く効果もある。パートナーの『花咲・楓』には出発前に戦闘なのにそんなものを持っていくなんて……と苦言を呈されたのだが。
「……すまない。暗闇の森から抜けるのに必死で何処をどう走ったか覚えてない。闇雲に走っていたら俺の村では無く、森を越えた反対側のこの町に辿り着いていた。俺が……俺が村に辿り着いていれば留守を預かっていた妻も、女子供、老人達も死ぬ事は無かった……ッ!」
 ギリギリと歯軋りをして奥歯を噛み合わせる男の口からついにバキリと歯が砕ける音が鳴った。口の端から赤い物が一筋垂れる。
「……その辺で。後は私が説明を」
 教団の医師は緑色の液体を男に飲ませると、エクソシスト達に向き直った。男はガクリと体中の力が抜けた様子で椅子から崩れ落ちる。それを他の救護員達がベッドに寝かせた。
「即効性の睡眠薬です。……さて、彼の村はすでにベリアルによって壊滅しました。生き残りは残念ですが居ないでしょう……。位置ですが村の人間を襲った後はまた森の中に戻っているようです。これは教団の偵察部隊が確認しました。必然的に森の中での戦闘になります。恐らくは広場になっている場所に罠を張って潜んでいると思われます。ああ、地図で言うならココとココですね」
 言葉と共に指で示すとシンティラが持っている地図に印を付ける。
「森の外におびき寄せる方法はどうでしょうか?」
 シルシィが医師に問うと、彼は首を振った。
「大きな音を立てても囮を使っても不気味なほど反応がありません。森の外には出ていないと思われますが十分にご注意ください」
「オーケー、わかった。じゃあ行くか」
 ロスが武器と荷物を担ぐと自分の頬をパンパンと軽く叩いて気合を入れる。
「急ごう。できれば陽が高いうちに討伐したい」
 マリオスはそう言うと部屋を出る。他の7人も頷きで返すと彼に続いた。

 ●

「フィノ君。ここ、暗い、ね」
「うん。結構木が多いね。逆に言うと罠が結構ありそうな地形かな」
 森の入り口まで来たエクソシスト達。ポツリとユンが呟いた言葉にフィノが返す。
「エレメンツさんが沢山いらっしゃいますし、魔力の流れをアユカさんかシンティラさん、あるいはユンさんに視て貰おうと思っているのですが、可能でしょうか?」
 シルシィが呪符を確認しながら3人に声をかける。
「じゃあ違った観点から調べてみたいのでそれぞれ魔力探知をしてみましょうか~」
 アユカはそう言うと集中する為に目を閉じ、深呼吸してから目を再び開く。森を見回すと驚愕した表情を浮かべる。他の2人もそれに続くが……。
「これは……!」
「居ます、ね……」
 シンティラとユンも同じように声をあげるが、それぞれ表情は違う。シンティラはしかめっ面でユンは若干怯えの色が入りつつも首をかしげている。
「おいおい、どうしたんだ?」
「ロスさん……。ちょっとまずいかもしれません。魔力の流れがかなり淀んでいます」
 ロスがシンティラとユンに声をかけるが、渋い顔で答える。
「ユン、一体どうした?」
 様子のおかしいユンにフィノも聞くが、彼女はその場で自分のコメカミをグリグリと押して考え込む様子を見せた。
「……地面に魔力の淀みはあるけれど糸の罠が無いのよ」
 森を睨んでいるアユカが言い放つ。
「ユン、どういうことだい?」
「解ら、ない。地面の、罠……? 奥に、ドロドロ、した、嫌なのある」
 フィノも怯えた様子のユンに尋ねるがこちらも要領を得ない。
「おそらく落とし穴か、足に絡んで動きを阻害する為の罠でしょう。ただ、木々の間に張り巡らされているような罠は見受けられないようです。ユンさんも言っていますが、奥にかなり強い魔力の淀みが見えます。ただ、今は一箇所に留まっている様子ですね」
 シンティラが冷静に分析する。
「では止まっている今が好機だな。地面に注意して進もう。前衛はロゼッティとレッグで、中衛がドンゾイロ、呪符を使う女性陣。後衛がグラニトと私でどうだろうか」
 楓が狙撃銃ラファエルのセーフティを外しながら提案する。
「皆、異議は無いようだ。ただ、絵の具とフラスコだが……。糸の罠が無いとすると少々荷物になってしまうな」
 マリオスが色の付いた絵の具を溶かしたフラスコを腰のベルトに付けながら答えた。
「うだうだ考えていても仕方ねーって! ガーッと行ってガオーッと倒してくれば良いんじゃね?」
「ガオーッて……私達は、オオカミさんじゃないわよ」
「ははっ! それもそうだな! わりぃわりぃ」
 ロスの勢いのある発言にシルシィがツッコミを入れる。その言葉で張り詰めていた場の雰囲気が少し柔らかくなった。
「じゃあ、行きましょう」
 フィノも剣と盾を構えると三歩ほど空けてロスとマリオスの後ろに立った。
 その言葉にエクソシスト達は森の中へ進むのだった。

 ●(?)

 森の中央。そこにはベリアルが居た。赤黒い触手を繭のように絡ませて。見る人が見ればまるで卵みたいだ、と感想を述べたかもしれない。
 その卵がパキリ……パキリと音を立てて割れていく。卵の殻を脱ぎ捨てて現れたのは異形だった……。
 ゆっくりと身体を伸ばすと子猫が馬車に踏まれたような、全身に鳥肌が立つような声をあげた。否、其れは本人からしてみれば世界に生れ落ちた事による歓喜の声だったのかもしれない。
 其れは細い脚を器用に使い、辺りにある一番高い木によじ登り、全身を伸ばすと再び声をあげた。
「マミィイイイイアア!」
 生き物が居ない死せる森の中で、その姿はただ一人玉座に座る滑稽な王か、母を求める幼い赤子のようだった……。

 ●

「ッ! 今の、声!」
 ユンが耳を押さえてブルリと体を震わせる。
「ぐぁぁ……耳がぁ……」
 ペタリと狼の耳を寝かせて、ロスも頭を振っている。
「何だよ今の声は……」
 寒気のせいで腕が鳥肌だらけになったフィノも盾を持つ手の甲でごしごしと擦っている。
「スケール2、ですね。魔力がかなり……ウッ!」
「おい!? ティ!?」
 魔力探知を発動していたシンティラが急に口を押さえてえずく。心配したロスが駆け寄ろうとしたが、それを手で制した。
「き、ます……。注意してください!」
 それだけ言うとシンティラは呪符を構える。その言葉に各々武器を構えなおした。
「かーくん! お願い!」
 アユカが楓に駆け寄りアブソリュートスペルを発動する。
「雨のち、希望咲く!」
 2人の瞳に信念の炎が灯り、魔力が高まっていく。
「! フィノくん! あそこ!」
 と、ユンが木の陰を指差す。そこには土気色をした顔で半開きに口を開け、虚ろな瞳をしながら疲れ果てたような表情でこちらを見ている子供の顔があった。
「生存者! 罠にかかっているのか? 今助けてあげるよ」
「マ……ミ、ママ……」
 虚ろな表情のまま、声を漏らす子供。フィノが駆け寄ろうとすると突如銃声が鳴り響いた。
「マァマアア!」
 木の幹が弾け飛び、子供は悲鳴と共に更に太い木の後ろに隠れた。
「何するんですか! 楓さん!」
 激昂したフィノが楓に詰め寄る。
 だが楓は警戒しながらも次弾を込めながら冷静に言い放った。
「よく見ろ。アレは子供じゃない。ベリアルだ」
「なっ!?」
「その通りだ。どうやら芋虫では無くなったらしい……。まさかベリアルがこんな進化の仕方をするとは。……教団に報告せねばな」
 驚愕するフィノと反対にマリオスが冷静に観察する。
 そして木の陰からチラチラと見えていた子供の顔が全貌を現した。
「ミマァァア!」
 それは芋虫から進化、いや、羽化をして蝶のようになったベリアルだった。しかし異形なのはその模様。羽に人間の顔と思しき物が付いている。光の加減だろうか、ベリアルが羽ばたく度に顔が変わっていく。子供から青年、青年から老婆へと……。
「おぇっ……!」
 魔力探知を発動したらしいユンもえずく。
「大丈夫か? あまり凝視するな。子供には辛いだろう。蝶の中には光の加減で色を変える物も居ると言うが……チッ、距離感覚がおかしいな。狙いが付け辛い」
 楓がユンの身を案じながらも照準をベリアルに合わすが、見るたびに変わる模様のせいでブレているようだ。
「遠距離職もかなり戦い難い敵ね。マリオス、お願い」
「ああ、分かった。てぇやああ! 獣牙烈爪突!」
 シルシィが遠距離のアライブは敵と相性が悪いと考え、近接戦闘が得意なマリオスに指示を出す。
「マンマァアア!!」
 だが、ベリアルは宙を飛びながら後退し、マリオスの剣は羽を少し傷つけるに留まった。そのままベリアルが反撃をする!
 マリオスに向かって羽ばたくと、鱗粉が彼の身体を包む。咄嗟に盾で防ぐが……!
「ぐぁああああ!?」
「マリオスッ!?」
 盾を取り落とし、喉を押さえるマリオスにシルシィが悲鳴をあげる。
「チッ! こりゃいけねえな!」
 ロスが飛び出し、盾を拾うとマリオスを半ば引きずるようにして仲間の元へ戻る。そのまま距離を取るとベリアルは勝ち誇ったようにキャッキャッと鳴き声をあげながら低空を飛んでいる。それを牽制するように続けざまに銃声と符が飛んだ。
「鬼門封印!」
「小咒!」
 アユカとシンティラが同時に唱えると符がそれぞれ黒い光と火を放つ。
「ミギィアアア!?」
 楓の銃撃もベリアルに当たり、胴体からぬらぬらとした緑色の体液を滲ませている。
 しかし……。
「イタイ……。いタいヨ……」
 ベリアルの羽に子供の顔が映し出される。たどたどしい口調だが、ベリアルの口から発せられる言葉は高い声で、子供の声を彷彿とさせた。
「くっそ、卑怯くせえ! おい、マリオス! 大丈夫か!?」
 ロスが距離を取りながら飛び回るベリアルを睨み悪態を吐くが、今は喉を押さえながら苦しそうに呼吸をするマリオスの事が心配だ。見ると彼の顔は赤黒く変色しており、酸素が足りない状況によるものだと思われる。
「もしかして毒か!?」
 呼吸をさせやすいようにマリオスの胸元を留めている教団制服のボタンを引きちぎるようにしてはだけるロス。そこにユンの声が響いた。
「天恩天賜!」
「ゴッハ! ゼッ! ハー……ハー……!」
 柔らかい光が降り注ぎ、新鮮な空気が肺に入ったせいか咽るマリオス。ゆっくりと身体を起こすとユンに礼を言った。
「ありがとう。助かった」
「マリオスさん、何がありました?」
 中衛を務めていたフィノが前衛2人が下がった為に、代わりに前に出て盾を構えている。ベリアルから視線を外さないままマリオスに声をかけた。
「……鱗粉を吸い込んだら呼吸ができなくなった。それから目が開けていられないほど痛くなったな。しかし、あのベリアルの姿は子供好きや女性陣には辛いだろう……」
 自分が受けたダメージと症状を簡潔に述べるマリオスだったが、剣を杖にして立ち上がると再び武装を構えた。
「……蝶や蛾の仲間には鱗粉に微細な棘があるものも居ると聞く。ニホンでもそういう虫は居た。吸い込んでしまった時に肺と目に入ったのだろう。罠糸が無くなっているのもこの形態で自由に飛ぶためだろうな」
 楓が銃を構えながら飛び回るベリアルを睨み、所見を述べた。
「そうですね。見たところ毒のような後遺症はありません。不幸中の幸いと言った所でしょうか。……何か口を覆うもの、ハンカチでもあれば」
 医学知識のあるシンティラがマリオスを触診しながら少しだけ赤い顔で安堵した表情になる。顔が赤い理由はロスにはだけられてしまった胸元のせいだろう。視線はあらぬ方を向いていたが……。
「覆うもの、覆うもの……。あっ! ティ! でかした!」
「何ですか、ロスさん」
「毛布だよ、毛布! あれを切って口にマフラーみたいに巻けば鱗粉対策になるんじゃね!?」
 ロスが閃いたように荷物袋を漁り、丈の長い毛布を取り出した。
 だが、そこに悲痛な声が響く。
「フィノくん! ダメッ! そっちっ! だめっ!」
 ユンだ。だが、ユンの声が聞こえないかのようにフィノは我武者羅に剣を振っている。
「お前らがっ! お前らのせいでっ!」
 彼の背丈よりも少しだけ高い所をあざ笑うように飛び回るベリアル。それに釣られて仲間から離れて行くフィノ。しかし……。
「フィノくんっ!」
「うぁっ!?」
 ズブリとフィノの片足が地面に潜り込む。ベリアルが芋虫の時に仕掛けていた落とし穴だ。穴の中には食い散らかした骨があった。死骸を隠す役目と、罠にかかった獲物に骨で傷を負わせる為に。まさに生物の本能としては一石二鳥だろう。
 そしてベリアルがその隙を見逃すはずも無く、身動きが取れないフィノに襲い掛かる!
「ぎぁっあああ!!」
 鎧の継ぎ目、露出している肌部分に鋭く尖った口吻を突き刺されてフィノはたまらず悲鳴をあげた。
「このっ! 何してっだあ! 地烈豪震撃!」
 ロスの凄まじい重撃がベリアルに襲い掛かる!
 ベリアルは長く伸ばした口吻を切り裂かれ、体液を撒き散らしながら離れた。そのまま地面に叩きつけられた斧はフィノの足を罠から打ち上げる事に役立った。
「フィノくん! フィノくん! 天恩天賜!」
 駆け寄ってきた涙目のユンがスキルを発動して傷を癒す。
「どうして、あんな事するの!」
「……ごめん……」
 ユンの両目からせきとめ切れなかった涙が溢れ出す。フィノはそれを見て自分の頭が熱くなっていた事に気付き、彼女から目を逸らしてポツリと呟いた。
「ほら、3人とも。少し下がって。毛布を口に巻いておいで。少しだけ暑苦しいけれどね」
 涼やかな声がかけられ、ロス、フィノ、ユンが顔をあげると毛布を口から首にかけて巻いたマリオスが立っていた。見ると他のエクソシスト達も同じように巻いている。
「ブフッ……!」
「プッ……!」
 ロスがそれを見て吹き出すとどうやらフィノにも伝播したようだ。
「何かおかしいかしら~? 特にそこの鉄砲玉さんは後でお説教ね~?」
 シルシィが氷点下の声で肩を震わせている2人に声をかける。
「い、いえ、ナンデモアリマセン。それと、ゴメンナサイ」
 フィノが恐怖のあまり片言になってしまったが、何とか返す。後に、この時の彼女はベリアルよりも怖かったとフィノはユンに漏らして、また叱られる事になる……。
「陣形をあまり乱さないでくれると嬉しいのだがな」
 楓が3人に毛布を切った物を差し出す。その目はベリアルから離れず、冷静に分析しているようだ。そして再び口を開く。
「どうやら体が大きいせいであまり高くは飛べない様子だ。一番初めに発見した時にも木に留まっていたことからして、あまり長くは飛べない事も推察できる。それから羽や末端を傷つけても活動が鈍らないのは痛覚が鈍いのではないかと思っている。最もベリアルは魔方陣を壊さない限り再生するが、見た所、羽には無いと考えられる」
「っつーことは仕留めるなら胴体を真っ二つにすれば良いんだな。後は……あの顔だな~。どうすっか」
 ロスが頬を掻きながら悩んでいるとフィノが割り込んできた。
「さっき楓さんが言っていたけれど、あの顔……痛覚が鈍いって事は、本能に従っている部分があると思う」
「じゃああまり気負う必要もないですね。村人の魂を解放してあげましょう」
 マリオスが盾と剣を構えて皆に語りかける。
「お墓、作ってあげたいです」
 シンティラが呪符を構えてベリアルを睨む。
「ああ、村人の弔い合戦だな。スウィーピングファイア!」
 楓も研ぎ澄まされた刃の様な視線でベリアルに狙いをつけ、引き金を引く。
「ミギャァアア!」
 その銃弾はベリアルの羽部分。顔の模様がある部分を撃ち抜き、激昂したベリアルがロスとマリオスに向かい、はばたいだ。
「鱗粉が来るよ! 前衛は目を閉じて!」
 アユカが警告を発する。鱗粉が届く範囲は狭いと判断し、中衛である自分がその間の目になるつもりだ。
「制裁!」
 フィノがベリアルを回り込むようにして鱗粉を回避し、サイドアタックを仕掛けた!
「ギィイイイ!」
 触覚を切り落とされ、平衡感覚を失ったのかフラフラと後ずさるベリアル。再生するまでは若干運動能力が下がるだろう。
「……なぁ、ティ。退魔律令を使ってもらっても良いか?」
「はい? 構いませんが。退魔律令!」
「おっしゃ! これで動きを止められる!」
「???」
 疑問の表情を浮かべるシンティラとは反対にロスが満面の笑みを浮かべる。
「ああ! そういう事か! アユカさんとシンティラさんは小咒の用意を!」
「くっ……フフフ。まさか自分の身を囮にするつもりか? だが面白そうだ。私も援護するとしよう。……しかし山火事というのは洒落にならん。木の無い広場に誘導するとしよう」
 マリオスと楓もロスが何をしたいのか気付いたようだ。
「あ! フィノくん、水筒とフラスコ、いつでも、投げられるように」
 ユンも何をするつもりか気が付き、フィノに指示を出す。
「糸無いんだから色付けたってしょうが無いだろ。ユン、頭大丈夫か?」
「う~! 消火の、為!」
 不満気な顔のフィノだったが、ユンの膨れっ面と非難の声で返される。先程涙を見せられてしまった手前、立場が弱い。渋々とそれに従った。
「ミギィイイイ!」
 その間にも楓の銃弾でベリアルは広場に誘導されていく。
「っと、ここら辺で良いか。言いだしっぺの俺が突っ込むわ。保険もあるしな」
 そう言うとロスは手首に巻いた死霊の石を掲げた。太陽の光でキラリと輝くそれは即死の一撃を腕と引き換えに一度だけ護ってくれるブレスレットだ。
「ああ、頼んだ」
 マリオスはポンとロスの肩を叩き、自分もいざという時に助けに入られるように武装を構える。
「んじゃ行くぜぇ! 地烈豪震撃!」
 ロスの斧が轟音を響かせて地面に突き刺さる。だが、ベリアルには当たらず、斧を抜こうとしているロスに襲い掛かる!
「ミギシィイイイイ!」
 動けないロスに向かって鋭く尖った口吻を伸ばし、盾をすり抜け肩に突き刺す!
「グゥッ!」
 歯を食いしばり、痛みに耐えるロス、そしてベリアルが勝ち誇ったように大きく羽ばたく! だが……!
「ギシャアア!?」
 ベリアルが困惑した悲鳴と共に吹き飛ばされる! 先程シンティラが使った退魔律令が想定以上の効果を発揮したのだ。
「今だ! 詠唱無しの小咒を! 木の無いこの広場なら延焼は無い!」
 マリオスの声にシンティラとアユカが呪符を投げる。ベリアルの左右の羽が燃え上がり、地面にドサリと音を立てて落ちた。 
「ミギャアアア! ママァアア!」
 羽を失い、悲鳴をあげながら地面を這いずり、逃げようとするベリアル。
「地烈豪震撃!」
「獣牙烈爪突!」
 胴体に魔方陣を露出させ、もがくベリアルにロスとマリオスがスキルを放つ。
「じゃーな……」
 ロスがベリアルに向けて火の点いたライターを投げる。それは鎮魂の為か、それともベリアルを完全に沈黙させる為かは分からない。
「ミギィイ……。……ア……ウ……」
 断末魔の声をあげて消滅したベリアルに一同、ふぅと息を吐く。が、しゃくりあげて泣く声が聞こえて誰もがそちらを向いた。
「お、おいユン。どうして泣いてんだ? もしかして鱗粉が目に入ったか?」
 フィノが目を擦りながら泣くユンに駆け寄り、目を調べようと両手を取る。しかし、ユンはそれを嫌々をするようにかぶりを振った。
「違う、の。……ベリアル、何回も、ママって、言ってたの……村、の、子供、かもって」
 いつも言葉を区切り区切り話すユンだが、嗚咽のせいで更に聞き取り難くなっている。
 ベリアルに喰われた魂が、ベリアルに影響することはない。だが、死者を彷彿させる声に対して、涙してしまう気持ちも理解できた。
「ああ、そうだな……。けど、皆救われたんだよ」
 ベリアルに喰われてしまった魂を解放したんだとフィノはユンを慰め、天を仰ぐ。魂は天へ昇って行くのだろう。空は高く高く澄み渡り、どこまでも青かった。
「さてお墓、作りましょうか。この広場、陽が当たりますし」
 シンティラが何処かに落ちていたのか太めの枝を拾ってくる。
「それならここに咲いているお花も供えましょう」
 シルシィが簡単に花輪を作り、地面に立てただけの墓標にそっと通す。
 戦闘後のエクソシスト達を秋の穏やかな風が撫でて行った……。


森の蠢き
(執筆:春川ミナ GM)



*** 活躍者 ***

  • ロス・レッグ
    隙あればゴロゴロまったり、だ。
  • シンティラ・ウェルシコロル
    人がいるからこそ安寧があるのです

ロス・レッグ
男性 / ライカンスロープ / 拷問官
シンティラ・ウェルシコロル
女性 / エレメンツ / 陰陽師




作戦掲示板

[1] エノク・アゼル 2018/08/26-00:00

ここは、本指令の作戦会議などを行う場だ。
まずは、参加する仲間へ挨拶し、コミュニケーションを取るのが良いだろう。  
 

[20] アユカ・セイロウ 2018/09/08-23:58

フィノさんとユンさんもよろしくね~。

わたしたちもプラン提出済みだよ。
本当、もっと文字数あればって思うよね~。
ユンさんたちの装備、間に合って……!

人数も結構増えたし、上手くいくといいよね。
現地でもよろしくね~。  
 

[19] ユン・グラニト 2018/09/08-23:55

ありがとう、ございます。
プラン、不安だけど、なんとか、出来ました。
あとは、装備、揃えます、間に合って…!  
 

[18] ロス・レッグ 2018/09/08-23:53

げふっ! いや、どっちかっつーとティが!?
元来1人でいくのかなーってあったんで、マリオスも接近戦っつー事でラッキーだったんで!!
こっちの方こそ、ティよろしくなー!!

シンティラ:…何故、ロスさんが返事……。
マリオスさん、私の方こそ、よろしくお願いします。  
 

[17] シルシィ・アスティリア 2018/09/08-23:13

フィノさん、ユンさんも、どうぞ、よろしく。
プラン、頑張って。

絵の具はやるひとが多ければ、それだけ成功の確率が上がるから。
気にしないで。

シンティラさん、マリオスの面倒みてくれて、ありがとう。

マリオス:面倒って…、いや、否定できないけど。
シンティラさん、すまない。よろしくお願いします。

ん、一応プランは提出。
まだ、直すかもだけど…。  
 

[16] ロス・レッグ 2018/09/08-22:57

よっと。とりあえず、プラン提出終了
んで、やっぱこう足したい的なもんはあるんで起きてる限りは粘るー……
文字数の壁はでけぇ…  
 

[15] ロス・レッグ 2018/09/08-22:34

お、フィノとユンもいらっしゃいなー!

おー、毛布の方は濡らして置いて火消し用においとくことにした!
だなー、使えそうで、戦場にもっていけねぇ……便利そうなんだけどなー(首傾げ)

>回避
竜の荒野っつー名前に釣られ、キャンペーンのマドール・ジャックに釣られ、計71回ガチャ回して装備が色々入手した!!(良い笑顔)
足甲は1つだけだったり、狙い所の炎の紋章が入手できてねぇのが、ちと悲しっけど。
一番悲しっのが、基本ステータスで俺の攻撃力よりティの魔力攻撃力が20も多いっつー現実が(遠い目)

俺の特性で肝心な時にドジる。っつーのがあっので、精一杯頑張って来る! いざって時はよろしくな!! 
ふはははは、前衛少ねぇなーってあって、ティダンスも覚えてワリと身軽に前出れるんで!
…んで、戦いタイプ的に、俺が墓守、ティが魔性憑きの方がしっくり来てたという現実。RPって難ぃ…がくり。  
 

[14] フィノ・ドンゾイロ 2018/09/08-22:15

失礼します、喰人のフィノ・ドンゾイロと祓魔人のユン・グラニトです。
出発まで残り2時間を切ってしまいましたが、
ちょっとでも戦力になれればと思って飛び入りで参加失礼します。
お久しぶりな人ばかりで心強いや、どうぞよろしくお願いしますね!

皆さんの話し合いで決めてくれた絵の具入りの水筒とフラスコ、
俺たちも持参させていただきますね。
シルシィさんの言うとおりにフラスコは絵の具爆弾として使い、
水筒の絵の具は広範囲にまいて鋼糸トラップを見やすくする効果も狙ってみようと思います。

役割としては、俺が絵の具の投擲、糸からの防衛、攻撃を主に、
ユンはアユカさんの補助的な位置で回復、糸からの防衛、魔力感知による敵の位置特定、
敵の成長の兆しに注意、等を主に、これからプラン頑張って書いてきます!
 
 

[13] 花咲・楓 2018/09/08-21:53

絵の具持参についての快諾感謝だ。
フラスコは壊れやすくて作戦に向いているだろう。私も持って行くことにする。
もし水筒を投げて壊れなかった場合、私が狙撃銃での破壊を試みようと思う。

毛布は色々使いどころはありそうだが……丸めて簀巻き状に縛り罠に向かって投げて敵を誘き寄せる、ということは考えた。
ただ嵩張るので、有効でない作戦での使用は控えた方が無難だな。

アユカ「回避力が高い人が前に出て囮、っていうかマリオスさんに攻撃が集中しないようにするの、いい案だね~。
わたしも行こうかな……と思ったけど、ロスさんとシンティラさんの回避すっごく高いんだね、特にシンティラさん!
基本はシンティラさんにおまかせするのが良さそうだけど、いざという時はわたしも出られるようにしておくね~」  
 

[12] ロス・レッグ 2018/09/08-20:31

>粘糸を毛布で防いで、そのままくっつけたら…、ちょっと無理かも…?
ははははは!! だろっ!! 鋼糸もあっし、沢山あっワケじゃねぇし、あんま意味なさないような気が

>フラスコ>水筒も
おぉ、準備万端だなー! フラスコがあったとは! 絵の具も水彩油彩、画材セットと絵の具のみってあるんだよなー

ちと昨日レベル上がって魔術もう一つ記憶できっようになったんで、ティ退魔律令も一応。
ティが、なるべくマリオスとタイミング合わせて一緒に走るっつーてっので、ヨロシクー。
誘き寄せてしまえば、あんま走らねぇで済むんで、敵さんカムカムと祈りつつ。


……んで、読み直して「おおぅ!」とか良くある俺は多分一番連投多い(胸張り・威張る所ではない)  
 

[11] シルシィ・アスティリア 2018/09/08-18:50

連続でごめんなさい。

>保護色対策
購買部を眺めていたら、フラスコがあったからこれに絵の具をつめてみようと思う。
材質がガラスで壊れやすいってあったから、これなら投げて当てたら壊れるかも?
水筒も持っていってみるけど。  
 

[10] シルシィ・アスティリア 2018/09/08-17:44

>粘糸を吹きかけて
>物理的妨害
そう…、じゃあ、スキルは違うのにしてみる。

そうね。
なるべく移動して、相手の攻撃の狙いを付けさせないようにするのはいいかも。
わたしたちも、やってみる。

毛布…、粘糸を毛布で防いで、そのままくっつけたら…、ちょっと無理かも…?  
 

[9] ロス・レッグ 2018/09/08-09:28

>木の上警戒
おぉ、2人共さんきゅーな! 上手く行けば、木の枝で絨毯みてぇにいけるかなーとか。
ティも俺も近付く予定なので。それで行ければ。ってあるんだけど。俺はともかくティは距離あっても攻撃できっから、まぁなんとか。
 足場の悪さとか、狙われて避け辛い現実とか。罠もあっから、どっこまで行けっかなー、山登りアビリティ活かせっといいんだけど。
可能なら、上から落ちて攻撃してぇなーとか。我ながら不安だけど、おぅ!気ィつけて行って来る!!

>本当は投げて当たったら壊れる
>蓋を緩めて
おおおおぅ。硬質的な竹筒みてぇな水筒なら、口空けた状態でクルクル投げたら自分達も掛かっけど。
ここだと布製水筒かな? パンパンにしておいたら、当ったら衝撃で口が外れっかなーとか思うんで、いけると思うー。

>依頼人
うん、倒して欲しいだろっから、悲しっだろっけど教えてくれるとは思う。

>粘糸を吹きかけて
物理的妨害かな、と。木々の間を走って避けて、飛んで来た粘糸はある程度は樹に命中させて避けれるとは思うけど。
俺の行動が成功すれば、木の枝おちてっから、それ拾って投げ付けてくれれば。
……接近。回避力と物理防御、なるべく回避力を高めにすっかな…くっ、悩む!

信号拳銃か絵の具&水筒かー持ってく装備枠空いたんで悩みつつ。カマとかの方がいっかなー。
……一度毛布もって被せてみっかなーとか思ったけど、触れただけで傷を負うような鋼糸あっしなーで却下しつつ。

こう色々考える系は面白ぇよなー(ほくほく)  
 

[8] シルシィ・アスティリア 2018/09/08-08:19

ロスさんとシンティラさんも、どうぞ、よろしく。

>花咲さん
>保護色対策
どうぞ、やってみて。
これの短所は近づかないとできないってこと。本当は投げて当たったら壊れるような物に入れたいのだけど。
思いつかなくて…。
とりあえず、近づいてかけるか、蓋を緩めて投げようかと思ってるけど…。

>木の上登って〜
樹上と地面の警戒も怠らないようにってあるから、気をつけて。
昼間だから、糸少しは見えるといいのだけど…。

罠がどの位の範囲にあったかというの、…聞くのは気の毒だけれど依頼人に聞いてみようか…。

他には、ベリアルの攻撃の、粘糸を吹きかけて身体の自由を奪うというのをどうやって避けるか…。
マリオスは近接だから近づかない訳にはいかないし。
一度は盾で避けられるかもって思うけど…。

これって、バッドステータスだと思う?
そうなら、わたし、浄化結界持っていってみようかと思うけど…。  
 

[7] 花咲・楓 2018/09/08-04:05

ロス達もよろしく頼む。人手が増えるのは非常に有り難い。
樹上にも罠は張られているだろうから、気をつけてくれ。

アユカさんが先程口走ったが、彼女は火気魔術の他には回復魔術を使用する予定だ。  
 

[6] 花咲・楓 2018/09/08-03:49

アユカ「シルシィさん、マリオスさん、よろしくね~。
魔力探知、頑張るね。もちろん攻撃も、回復も! 」

ああ、ベリアルを探知できたらすぐに伝えてもらおう。
信号拳銃の音でも、ベリアルを刺激するには足りると思う。
私は武器として狙撃銃を持参するので、必要あれば威嚇射撃を行う準備はしておく。

火は、アユカさんのアライブスキルにある火気の魔術攻撃(小咒)を使用するつもりでいた。
魔術で山火事は……起きないとは言い切れないな。
危険が大きいと判断したら使用を控えよう。
時間帯は特に触れられていないので、昼でいいと思う。

ベリアルに色を付けて周囲と区別するか……なるほど、良案だな。
私も保護色への対応を模索してみるが、特に思い浮かばなかったら同じものを持参していいだろうか。  
 

[5] ロス・レッグ 2018/09/08-03:37

拷問官のロスと、陰陽師のティ参加な、当日になっちまったけどヨロシク!

ふへぇ、下手に近付っと怖ぇな!これ! 罠ひっかけて誘き出し了解、ティもエレメンツなんで魔力感知で見てみっな
俺は、ちーと木の上登って、斧で木の枝落としてみる。
っつーても、樹の上も罠あっのかなー、嗅覚聴覚の五感鋭く注意深く行って来っな
……まぁ、時間かけっとスケール2になっしなー。とりあえず俺は昼つもりで、絵の具の方も了解。
色々見え辛ぇ敵っぽいし、ありがてぇ。

あと、ティは、火の蛇と回避低下魔術を記憶してくっつーてた。  
 

[4] シルシィ・アスティリア 2018/09/07-23:51

花咲さん、アユカさん、どうぞ、よろしく。
来てくれて、ありがとう。

アユカさんの魔力探知、助かる。よろしく、ね。
もし、糸の位置が分からなかったら、でもベリアルは分かると思うから。そこに向かって信号拳銃撃ってみようかと思う。
驚いて出てこないかって…。

地理も依頼人に聞いてみるのいいと思う。

火はやっぱり使う?
あ、一応確認だけれど、わたしたちが行く時は昼間でいいのよね?

それから、保護色は色とかつけられたらいいかもって思うから…。
水筒に絵の具を溶かして持っていってみようかって。動きは鈍いみたいだから、うまくベリアルにかけられれば…?  
 

[3] 花咲・楓 2018/09/07-20:43

花咲楓、悪魔祓いだ。
パートナーは陰陽師のアユカ・セイロウさんだ。
出発まであまり間もないが、少しでも戦力になればと。
よろしく頼む。

敵の位置や魔力による罠は、アユカさんの魔力探知で探ろうかと思う。
微力だが、私の植物学で違和感のある場所がないか観察もしてみるつもりだ。

誘き出しは、糸に振動を加えるのは試してみてもいいかと。
いっそ、大きい石でも投げて罠を作動させてしまう手もあるだろうか。

森の中にある程度開けた場所があれば、そこまで誘導して戦うのが望ましいかと思う。
火を使用するつもりなら尚更。
地理的な部分に関しては、依頼人に尋ねてみようと考えている。  
 

[2] シルシィ・アスティリア 2018/09/05-20:46

シルシィ・アスティリア。陰陽師。
パートナーは、マリオス・ロゼッティ。断罪者。
どうぞ、よろしく。

罠を張って待ち構えているベリアル。保護色も…。
…エレメンツさんの魔力探知だったら、位置がわかる…??ベリアルと、糸、も…?

どっちにしても、罠からは引っ張り出さないとかも。
罠の端で、木の枝とかで糸に振動与えたら誘き出されたりしない…?(ぶつぶつと独り言っぽく)