~ プロローグ ~ |
天高く馬肥ゆる秋。 |
~ 解説 ~ |
〇目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
初めまして、宇波(うぱ)と申します |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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『観客』で参加 「豊穣祈願祭」だって すごく賑やかだ 皆 楽しそうな顔してる 僕たちも行ってみようよ ぱっと笑ってセラへ手を差し出す いろいろな店を順番にのぞく 現地の人とも楽しく話をしながら すすめられた料理をぱくり 基本的にどの料理も「美味しい」とにこにこ 店の人やセラに突っ込まれても だって本当に美味しいよ、と 一番を決めるのたいへんそう セラは?何か食べたいものない? あまり食べ物の好みを言わない彼女に問いかけ 返ってきた応えに嬉しそうに笑って じゃあ そんなお店を探そう 果物のジュースとか デザートのお店! 西瓜の器に白玉やゼリーの入ったものを見つけ購入 どう?美味しい? 姉の顔に浮かんだ笑顔に 自分も満面の笑み |
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・料理人 せっかくニホンに来たので、まずは屋台を一旦見て、 どんな料理がニホンにあるのか、を視察する。 元々、本部のギヨームフエールさんがニホン料理も作るみたいなので、 みたことあるな〜という料理があると思う。 お茶漬け、ひつまぶしから、アイディアを得て、 「ニホン文化」と「教皇国家アークソサエティ」の食文化を、 どちらも楽しめるようなことができないかと考える。 ぶっちゃけ調理スキルはないので、とてもおいしくできるかは自信なし。 なので、手に取りやすい、かつ焼いている姿で魅せることができる、 ひつまぶし簡単verでいくことにする。 材料 うなぎ 蒲焼のタレ ニホン産の米 薬味 キョウトのお茶 |
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~ リザルトノベル ~ |
がやがや。言葉にするのなら、例えばこんな感じのがちゃがちゃとしたBGM。 人々の声が入り混じり、言葉として捉えられない賑やかな喧騒を作り出す。 祭事は格式ばった厳格なものもあれば、庶民に伝わる賑やかしいものもある。 が、『東方島国ニホン』、この国では、特に祭りに関して力を入れているように見える。 それほどまでに、呼び込みの空気も、それを楽しもうとする客たちの空気も熱い。 ここが真夏か。初夏だけど。 そう、勘違いしてしまいそうなくらいには。 熱気溢れる会場の中、期待に満ちた目で周囲を見渡す【リューイ・ウィンダリア】は、心なしか弾んだ声を出す。 「『豊穣祈願祭』だって。すごく賑やかだ。皆、楽しそうな顔してる」 「ええ、すごい熱気」 リューイの隣で、どこか感心したように祭り会場を見つめるのは【セシリア・ブルー】。 ふたりは『美味い!』シールを片手に、『タイ焼き屋』を通りすがった。 「僕たちも行ってみようよ」 セシリアにリューイは満面の笑みを浮かべて手を差し出す。 ぱちり、ぱちり。 瞬きを二、三した後、にこりと笑う。 「……そうね。美味しいものが見つかるといいわね」 ふたりは屋台の間を、仲良く手を繋いで歩き始める。 傍から見れば仲の良い兄妹。 実は反対だと言う。 仲の良い姉弟は、手近な屋台の短い列に並んだ。 「さー、いらっしゃい、いらっしゃい! おっと、そこの可愛いお二人さん! うちの和菓子、食べていかない?」 「わ、綺麗、細かい、美味しそう!」 綿菓子を片手に歩いていると、リューイとセシリアが客引きに呼び止められる。 『練り切り』というお菓子を販売している屋台のようだ。 色とりどりの和菓子が目に眩しく、彼らを見つめてくる。 細かい意匠に目を輝かせるリューイの少し後ろで、セシリアはふぅ、と思考する。 呼び止められるのは、これで何回目だろう。 (子どもがふたり、うろうろしていると思われているんでしょうね) 客観的にそうとしか見えない。 そんなことを考え、リューイを見つめる視線はセシリア自らに移動し、そして静かに頷く。 「美味しい!」 ぱくりと花をかたどった和菓子を口に含み、もぐもぐごくんと咀嚼するリューイ。 満面の笑みで『美味い!』シールを屋台の柱に貼った。 「ねえ、リューイ? 全部のお店にシールを貼っているけれど」 「だって本当に美味しいよ」 セシリアの疑問に、きょとんと返事をするリューイ。 「みんな美味しいから、一番を決めるのたいへんそう」 きょろきょろ屋台を見渡しながら呟くリューイの言葉に、セシリアは苦笑する。 「……そうね、大変そう」 それはとても幸せな苦笑。 「セラは? 何か食べたいものない?」 「え? 私は特に……」 食べ物の好みをあまり言わないセシリアはゆるりと首を傾げる。 そんな彼女は、にこにこと笑いかけるリューイにしばしの間を置いてから答えた。 「ああ、果物とか口当たりの良いものがあったら、それがいいわ」 リューイは返答に嬉しそうに笑う。 「じゃあ、そんなお店を探そう。果物のジュースとか、デザートのお店!」 元気よく駆けだすリューイ。 セシリアはそれに着いて行く。 ふたり、仲良く手を繋ぎ、喧騒の中を駆けていく。 時は遡り、豊穣祈願祭開始前。準備中の広場にて。 屋台の設置を終えた【マイス・フォルテ】は、パートナーである【リン・リレーロ】と共に、設営中の屋台を見学していた。 「ニホンにはどんな料理があるのかな」 マイスは仕込みをしている屋台をひょいと覗く。 「あ、あの料理。【ギヨームフエール】さんが前に作っていたものだよ。ほら、やっぱり」 リンは『お茶漬け』と暖簾のかかった屋台を指さす。 「うん。今日の料理のヒントになった料理だね」 日本料理をよく作るギヨームフエールの料理から、今日の屋台の料理が出ていると言っても過言ではない。 「お茶漬けと……ひつまぶし、だったね」 「うん。ニホンとアークソサエティの食文化。両方が楽しめるようにって、一生懸命考えたよね」 マイスとリンは試行錯誤の日々を思い出す。 「ウナギ、捌けるようになってよかったね」 リンは揶揄うように笑う。 マイスは照れたように頬を掻いた。 まだ不格好だけどね。そう前置きをしながら、マイスは屋台を見る。 「お正月にも使われていたからね。捌き方を知っていてよかったよ」 アークソサエティ産のウナギは今か今かと出番を待っている。 マイスの横顔を見ながら、リンは微笑む。 「そろそろ火を入れよう」 開場前、そろそろいい時間。 ふたりはお客さんの入場に間に合うように、準備を進めていった。 賑やかな人ごみの中、呼び込みをするのはリン。 彼女は客の対応をしながら、マイスの手伝いをする。 集まる客の目を引くのは、屋台の屋根の下、汗を額に浮かべながらウナギを焼いているマイスの姿。 調理シーンが目に見えるのは、やはり楽しいのだろう。 加えて、アークソサエティとニホンの食文化を一緒に楽しめる料理ということで、使われている材料さえ、不思議で物珍しいのだろう。 ウナギを焼く油はオリーブオイル。 リンは焼けたタイミングを見計らい、釜からほかほかに炊けた白米をお椀によそう。 パリッと仕上がったウナギを切り分け、リンから渡された白米の上に乗せた。 「お、あれはひつまぶしかな」 この料理を知っている人がいたようだ。 ギャラリーから上がったその言葉に、マイスは口角を上げる。 「ただのひつまぶしじゃないんだよ」 マイスはリンをちらと見る。 心得たと、リンも頷き返す。 「はい、マイス」 「ありがとう」 リンに渡されたタッパーの中に入っているのは、黄色の物体。 様々な種類をカットして交ぜたもの。 あらかじめ用意していたものを、マイスはウナギの上に振りかける。 「あれは……チーズか!」 思わず声を上げた客に、マイスは頷き、リンは微笑む。 ウナギのたれと絡んだ、チーズの濃厚な香りが広がる。 焼きたてのウナギの熱で溶け、ふわりとしたウナギを包み込む。 ウナギの下に見える白米の、白と黄色の対比も美しい。 芳醇な香りに、思わず喉が鳴る。 「仕上げに!」 リンがその椀に、急須から緑色の湯を注ぐ。 「キョウト産のお茶を使った、ひつまぶし茶漬け。お待たせしました!」 食欲がそそられる匂いを周囲に漂わせ、それを嗅いでいた周囲の人たちが買わない道理はない。 「お、俺にも!」 「私もひとつ!」 ギャラリーは列を作る。 マイスはリンを、リンはマイスを見てお互いに微笑み合った。 屋台の間でひっきりなしに移動をする人々を眺めながら、ベンチに座るリューイとセシリア。 「セラ、大丈夫?」 「平気よ。リューイってば、心配性なんだから」 セシリアが人込みの中で人にぶつかり、躓いたことをリューイは心配している。 幸いにも、転倒する前にリューイが支えたため大事には至らなかった。 しかし、それでどこかケガをしたのではないかと、心配をしたリューイは空いているベンチを探した。 座ったセシリアの返答に、いくばくかほっとした顔をするリューイは、その隣に腰を下ろす。 「セラのリクエスト、なかなか見つからないね」 「そうね。でも、見つからなくても平気よ」 リューイは眉を下げる。 セシリアは微笑んだ。 「こうしてふたりでいられるだけでいいもの」 青空を見上げたセシリアに続き、リューイも空を見上げる。 「天気がよくて、こんなに楽しい場にも来られて」 セシリアは隣のリューイに視線を向ける。 「大切な弟もいるって、それだけでいいと思わない?」 リューイはセシリアに向き合った。 「あ」 「リューイ?」 リューイはベンチからぱっと立ち上がる。 「屋台、見つけた! セラはここで待ってて!」 たたた、と人込みに紛れていったリューイを、セシリアはぽかんと見送った。 さほど時間も経たずにリューイは戻ってきた。 「お待たせ……。セラ? どうしたの、そんなむすっとして」 「いいえ。私も連れて行ってくれればよかったのに」 置いて行かれたことに拗ねているのか、セシリアはふい、と視線を逸らす。 リューイはごめん、と謝った。 「ごめんね、すぐにセラに食べさせてあげたくて」 そう笑うリューイは、手にスイカを持っていた。 「スイカ?」 半分だけのスイカ、中身はぎっしり詰まったスイカの実……ではない。 丸くくり抜かれたスイカや、色とりどりのフルーツの数々。 ころころとした目に楽しいそれらが盛られたスイカの器。 ところどころにカラフルで透明なゼリーが見え、フルーツの隙間を埋める。 フルーツだらけというわけではなく、隙間を緩和するように白玉団子がフルーツの蜜に濡れる。 スプーンに掬い上げられた白玉と、スイカをじっと見て、ほう、とセシリアは息を吐いた。 「綺麗ね」 「そうだね」 ぱくりと口に含んだセシリア。 咀嚼をし、嚥下する。 「……美味しい」 小さく呟いた言葉は、リューイの耳に届く。 知らずのうちに笑顔を浮かべたセシリアを見たリューイも、満面の笑みを浮かべた。 「そうだ、セラ。あっちに、僕たちと同じ人たちが屋台を出していたよ!」 「そうなの。それは気になるわね」 返答に、嬉しそうにはにかんだリューイはセシリアの手を握る。 「行ってみようよ、今度は一緒に」 手を引かれ、セシリアが見るのはリューイの背中。 セシリアはまた、笑みをその顔に浮かべていた。 昼時を過ぎ、列もある程度掃けた屋台の中。 額に浮かんだ玉の汗を手の甲で拭い、マイスはリンに声を掛ける。 「リン、ちょっと遅い昼ご飯にしよう。先に休憩取って」 「先にマイスが休憩しなよ」 マイスは首を横に振る。 「リンの休憩が終わる頃には、お客さんはおやつ時だから、並ばないと思うんだ」 渋るリンに、マイスは笑みを向ける。 やがて、リンは髪が落ちないように付けていた三角巾を取る。 「無理しないでよ」 「もちろん」 互いに目配せをし、リンは屋台から出た。 屋台を出たリンが向かった先は、『スイカのフルーツポンチ』とのれんの下がる屋台。 準備段階で仕込みをしているのを見て、美味しそうと思いつつも、屋台の忙しさですっかりとその存在を忘れていたデザートとも呼べる品。 しかしデザートにしては、中々にボリュームがあったようにも見える。 遅めの昼ご飯にはちょうどいいだろうと、リンは屋台へ向かった。 おやつ時ということもあり、長蛇とまではいかないが、そこそこ長い列の最後尾にリンは続く。 (一応、ふたつ買っていくかな) 帰った時、休憩を取らないと言い出したらどうしようかと、パートナーに対する心配が頭を過ぎる。 そうなってもいいように、リンはふたつ買っていくことを決めた。 「ただいま」 「お帰り。……食べてこなかったの?」 マイスはリンの両手にひとつずつ持たれたスイカの器に目を見張る。 リンは肩を竦め、マイスに休憩に入るよう促す。 「いや、お客さんが入るようになったから、もう少し頑張るよ」 「言うと思った。はい、これ」 リンはスイカフルーツポンチをひとつ、マイスに手渡す。 スイカフルーツポンチを見て、リンを見て、またスイカフルーツポンチを見たマイスは、きょとんと首を傾げる。 「もし言ったらどうしようって思って、ふたつ買ってきた」 「僕が休憩取るって言ったらどうしていたの」 「アタシがふたつ食べてた」 マイスはその言葉に笑い、スプーンを手に取った。 「いただきます」 スイカをもぐ、と口に含むマイスを見て、リンもスプーンを頬張る。 口に入ったのは白玉団子。もちもちとした食感が楽しい。 「そういえば、列に並んでいた時ね。ひとつ前に並んでいた男の子が、アタシたちと同じだったよ」 「へえ、僕たち以外の参加者もいたんだね」 マイスはオレンジを飲み込む。 リンはメロンをスプーンに乗せる。 「屋台を出しているってことを言ってきたよ」 「宣伝ありがとう」 スイカフルーツポンチが半分くらいになって来たとき、屋台の外から声が届く。 ふたりは顔を見合わせた。 「はい、お待たせしました!」 「三つお願いしまーす」 「マイス、三つ!」 「分かった!」 屋台の中は慌ただしさが戻って来る。 ふたりはまた料理を作りに戻るのだった。 「ふたつお願いします」 おやつ時でも列はできる。 マイスとリンがそう思いながら慌ただしく終わらせた、おやつ時の並ぶ列。 ほっと一息ついたところに、リンにとっては聞いたことのある声がかかる。 「あ、さっきのスイカフルーツポンチの」 「来ちゃいました。美味しそうな匂いですね」 リンの言葉に、マイスも彼を見る。 リューイは手を繋ぐセシリアに、リンとの関係を説明している。 「マイス、さっき言っていた、アタシたちと同じ子だよ」 「リューイと言います。こっちはセシリア」 「よろしく」 リューイはセシリアを紹介し、セシリアもぺこり、頭を下げて挨拶をする。 「僕はマイス。リンのことは知っているのかな?」 「はい、名前は今初めて知りました」 和やかに会話をするマイスとリューイ。 その隣で、リンはセシリアの質問に答えていた。 「ひつまぶしとあるけれど、これはひつまぶしなの?」 「ひつまぶしだよ。アークソサエティの文化とニホンの文化を融合した、アタシたちの自信作だよ」 セシリアは、リンたちのひつまぶしを食べている人々、その器の中を見た。 「ウナギにチーズをかけるって、面白い発想」 「ありがとう」 褒められ、照れたように三角巾を掻くリン。 「リン、作るよー」 「はーい。……じゃあ、後で」 リンはセシリアに手を振り、マイスの焼くウナギを乗せる、白米を用意し始めた。 「楽しみだね」 「そうね」 リューイは待ちきれない、と言いたげにそわそわする。 一体、たくさん食べたその体の、どこにまだ入ると言うのだろう。 セシリアはじー、とリューイの体を見る。 その間にも、マイスはウナギを焼き上げ、リンがチーズを乗せている。 ふわりと漂う食欲の湧く匂いに、セシリアは意識をひつまぶしに向けた。 「お待たせ、ひつまぶしふたつです!」 渡されたほかほかのひつまぶしを一口。 ウナギの旨味と濃厚なチーズが絡み、舌の上に広がる。 無言のまま掻き込んだリューイとセシリアを、マイスとリンは温かい目で見守る。 やがて完食をしたリューイは、目を輝かせてシールを取り出す。 「美味しい!」 言いながら、シールを柱に貼り付ける。 その隣で、セシリアもシールを貼り付けた。 「美味しい」 マイスは笑み、リンは目を三日月に蕩けさせる。 「毎度」 「ありがとうございます」 「しゅーりょー!!」 終了の合図は、大きな鐘の音と、それはそれは大きな司会の声だった。 その時点で人々は動きを止める。 正しくは、今やっている動作を中断し、司会のいる壇上を注視する。 司会は周囲のざわめきが収まるのを待った。 「この豊穣祈願祭、楽しんでいただけましたか!」 会場のあちらこちらから、肯定のざわめきが聞こえる。 司会は満足そうに頷く。 「楽しんでいただけたようで、私も視界冥利に尽きます! それでは。結果発表と参りましょう!」 司会は結果が書かれているのであろうメモを手に取る。 会場の期待感は否応なく高まる。 「今年の豊穣祈願祭! 一番『うまい!』をもらえた、栄えある優勝屋台は――!」 豊穣祈願祭は、大成功に終わった。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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