~ プロローグ ~ |
最近、なんでか知らないけど二人のタイミングが悪い。 |
~ 解説 ~ |
今回のエピソードの目的は簡単です。デートを成功させましょう。 |
~ ゲームマスターより ~ |
みなさん、初めまして。桜花です。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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目的 だりると、お洋服買いにいくわ。 新しいのがほしいから。 セリフ ノエル:……だりる、 ダリル:んーちげえかも。次こっち着てみろよ ノエル:(着せ替え人形じゃないのに……) だりる、わたしこれ、いや。わたしっぽくない(持たされた服を見せ ダリル:んじゃあ、何が良いんだ? ノエル:この黒いの ダリル:ワンピース? 試着、する? 〜 ノエル:やっぱりこれね(鼻歌 ダリル:(やべえ。ノエが鼻歌歌ってる。……ああいうのが好きなのか?) 購入品 ・黒を基調とした、控えめにフリルのついたワンピース ・黒のアームカバー ・膝が隠れるソックス |
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雨だねぇ…俺は雨の日も好きだけど綾ちゃんはどうかな? そうだ公園でね紫陽花が咲いてたんだ雨が降るとより一層映えるんだよ。 良かったら一緒に見に行かないかい? 紫陽花って綾ちゃんに似てるような気がするんだ…(綺麗で悲しい) 公園に行った後はカフェに行こうか。 「アモール」ていうカフェテリアでラテアートの体験できるんだって。 この間ラテアート初めて見て面白いと思ったんだ。 俺はあんまり絵心はないけど綾ちゃんの気にいるようなものが描けたらいいなぁ。 この間は一緒に居たいって言ってくれてありがとう。 記憶の事は気にしなくていいんだよ。 それも込で俺は綾ちゃんの事が好きだから。 それに…忘れていいしまっていいこともあるよ。 |
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雨、は…嫌いじゃない、です 植物も、雨降ると喜んでますし… でもあまり長いとちょっと心配、なので、いつもの花壇に様子を見に レインコートを着て花が大丈夫か見ていたら、雨が途切れて… 傘が差し掛けられてるのに気付きました 振り向いたら…クリス…? 何か、用でした…? ごめんなさい、心配して下さったんですね… 雨、私、気にしないタチなので… クリスが掛けてくれた言葉に思わず固まってしまって そ、その…はい、ありがとうございます… わ、笑うのは…意識するとよけい、できなくて… え、あの、どこに…? 手を取られて連れて行かれたのはカフェテリア クリスが描くんですか…? 思わず目を丸く できた猫はぶさかわいい感じでほんの少し頬が緩んで |
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(狼狽えながら)で、デートっていうのは、その…二人で出かける事を言うんだよ。 うん、まぁ…男同士でも女同士でも良いんじゃないかな。 ほら、そろそろ出かけよう。アモールに行くんだろ? (道中、傘が一本しかなかったので相合傘に。ラウルがララエルの肩を引き寄せる) 良いんだよ、君が濡れなければ。寒くはない? …っ、僕も、そうだけど…これでも我慢しているほうなんだ(顔を真っ赤にし) (アモールにて、パフェを注文) ララはもしかして、ミルクティが好きなの? …いや、嬉しいんだ。これまで残飯ばかり食べさせられていた君が 『好き』と言える物ができて(嬉しそうに笑う) うん? 他にも好きな物があるの? |
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目的 ウィンドウショッピングを楽しむ 手段 たまには違う服を見てみたい 服屋さんに行こう イダの服をみる? ん、あたしの服?わかった …だってこの服しかもってない(ぼそ) イダがあたしの服決めてくれるって言った 言った(わくわく) (服をあてて)どう? (もう一度あてて)ん? (言われるままつけてみる) 楽しい というかイダが楽しそう (こういうフリフリしたのが趣味なのかな (全身コーデして、イダの前でくるりと一回り) 似合う? こういうの初めて着た ちょっとこそばゆいけど可愛くて好き… 気にいった。早速買ってくる! うん、もちろん出かける(嬉しそうに) 雨だったけど、イダといると楽しくてあっという間に時間が過ぎる 今日はありがとう、イダ |
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●目的 夏服を買う ●行動 傘を差し、ショッピングへ。 珠樹「雨の日のお出かけも良いですね、ふふ」 千亞「まぁ、そうだな」 珠「あぁ、あの服など千亞さんに似合いそうです、ふふ…!」 千「え、どれ…って、女物の水着じゃないか」 珠「はい、やはり赤髪な千亞さんには赤系の水着のコーディネートを…! ビキニ姿で浜辺を歩く千亞さん、あぁ愛らしい…!(はぁはぁ)」 千「着 な い! おまえの服を探しに来たんだろうが、僕の服や水着は良いから!」 珠「私は千亞さんが見繕ってくださるならば、どんな水着でも褌でもシースルーでも着ますからね…!(頬を染め)」 千「そんなの選ぶかド変態!」 結局、千亞が選んだシンプルなシャツ×パンツを購入した模様。 |
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【目的】 親睦を深める。 【会話】 ア「雨だからなんだってのよ! 出かけるわよ!」(考えるのが面倒になった カ「構いませんが、行き先はどちらに?」 ア「……最近できたっていう喫茶店、とか?」 喫茶店: ア「雨なのもあって人がいないわね。私はココアにするけど、カインは?」 カ「珈琲をいただこうと思います」 ア「強いって程じゃないけど、長引きそうね。 そうだ。カインって、雨の日は今までどう過ごしてたの?」 カ「雨が降った際の変化は、洗濯物を干す場所と外へ出ないこと程度です。 普段と同じ様に、食事、洗濯、掃除、読書。浄化師としての訓練を行っています」 ア「あ、家事できるのね……」(得意ではない カ「はい。一人暮らしでしたので」 |
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~ リザルトノベル ~ |
●ラウル・イースト×ララエル・エリーゼ 「ラウル、『でえと』って何ですか?」 まさかとは思っていたが、やっぱりララエルはデートというものがよく分からないらしい。 うん。まぁ想像はしてたけどね……。 「デートっていうのは、その……二人で出かける事を言うんだよ」 「ほえ~~、……二人ってことは男の人同士、女の人同士でもですか?」 「うん、まぁ……たぶんデートになるんじゃないかな。 ほら、そんなことよりそろそろ出かけよう。今日はアモールまで行くんだろ? 早くしないと日が暮れちまうぞ」 今日はララエルの希望で、アモールというカフェまで出かけることにした。 外は雨が降っていたけど傘が一本しかなかったので二人で一緒に入ることにしたのだが、思っていた以上に傘が小さい。 ララエルが濡れないようにとなるべく肩を引き寄せていたのであまり濡れていないとは思うが、その代わりにラウルの肩はびしょびしょに濡れていた。 「ラウル、それじゃラウルが濡れちゃいます!」 「良いんだよ、君が濡れなければ。そんなことより寒くはない?」 「は、はい、寒くはないですけど……」 「ならそれでいいさ。ララが風邪なんて引いちゃったら大変だからね」 「ありがとう、ございます……」 お目当てのアモールに着くと、ラウルはイチゴで作られた特大パフェを注文し、ララエルはミルクティを注文した。 本当はここでラテアートをする予定だったのだが、このパフェを見てしまったからには食べずにはいられない。 タワー状に積み上げられたイチゴの間から垣間見える純白のホイップクリーム。僕を誘っているとしか考えられない。 結局、ラウルが特大パフェを食べ終えて一息つく頃にはすでにララエルは2杯目のミルクティを注文していた。 「……もしかして、ララはミルクティが好きなの?」 「うん? どうなんでしょう。そういえば、教団の本部でもよく飲んでいますね。もしかしたら好きなのかもしれません。ラウルはミルクティが嫌いなんです?」 「いや、そうじゃなくて。僕は嬉しいんだ。これまで残飯ばかり食べさせられていた君が『好き』と言える物が出来て」 「そうですか、『好き』ですか。えへへ、『好き』が増えるってなんだか嬉しいですね」 「まさかミルクティがララエルの初めての好きになるなんてな」 「初めてではない……ですよ?」 「うん? 他にも好きなものがあるの?」 「え、えと、その……。すいません、この『好き』はラウルにはまだ秘密なんです。いつかまた、必ずラウルにも伝えるのでそれまで待っててくださいね」 そう言って、ララエルはすでに半分ほどなくなっているミルクティで必死に顔を隠す。 ララエルの顔はこれまでにないほど真っ赤に茹で上がっていたが、なにをそこまで恥ずかしがっているのかラウルにはさっぱりだった。 ●アラシャ・スタールード×イダ・グッドバー 雨が降っていてあまり遠くに出かけられないので、俺たちは近くの服屋さんを周りながらのんびりとウィンドウショッピングを楽しんでいた。 「イダの服、見る?」 「俺の服は後でもいいから先にアラシャの服を見ないか?」 「ん? あたしの服? 分かった」 「制服とそれしか見たことないぞ」 「だってこの服しかもってない……」 なんだか女の子らしからぬ言葉が聞こえたような気もするが、そこはあまり言及しないことにしておこう。聞くのが怖い。 まさかとは思うがアラシャのような年頃の女の子が、服を2着しか服を持っていないなんてことはあるはずがなかった。 「お、俺が決めるのか!?」 「イダがあたしの服決めてくれるって言った」 「まぁ悪い気はしないが、アラシャが好きな服を選んだ方が……」 「言った!」 ここまで来るとアラシャは絶対に意見を変えようとしない。 女の子の服なんてこれまでに選んだことなんてなかったが、アラシャがそう言うのならば責任を持って選ぶことにした。 「……どう?」 まず俺が選んだのはピンクを基調とした服。 普段のアラシャは活発的でフリル付きの服はあまり似合わないかと思っていたが、実際に着せてみるとそこまで悪くない。 本人もあまりこういう服を着たことがなかったのか少し顔が赤らんでいて、普段とは違うアラシャの姿が見れてすでにイダは満足気だった。 「ん?」 次に選んだのは青を基調としたアリス風の服。 さっきの服がロリータ風の服だったので今度は雰囲気を少し変えてこの服を選んでみたのだが、驚くほどアラシャに似合っている。 普段のアラシャらしさを失うことなく、なおかつ可愛らしさもある。 あまりにしっくりし過ぎていてこの服はアリシャのために作られたのではないかと思うほどだった。 「……似合う?」 「似合う似合う。すごい似合う。案外、女の子らしい服を着たら可愛くなるものだな」 「…………余計なお世話」 突然の不意打ちにアラシャは顔を赤らめ、明後日の方向を向く。 普段はあまり感情の起伏のないミステリアスなイメージが強いアラシャだったが、なんだか今日はアラシャの意外な一面を見ている気がした。 「イダといると楽しくてあっという間に時間が過ぎる。今日はありがとう、イダ」 結局、アラシャは俺が選んだアリス風の服と茶色のワークブーツ、そしてワンポイントに黒色のヘッドドレスを買った。 あれほどまでに服に興味を持っていなかったアラシャがここまで喜んでくれるとは思わなかったが、これを機にもう少し服装にこだわりを持ってほしいところである。 「イダ、また一緒にどこか行きたい」 「そうだな、来週にでも買い物行くか。また服を選んでやるよ」 「服は今日買った」 「1枚増えたところでなんも変わらないだろ、元々少ないんだから。このままじゃ今日買った服を毎日着回しそうだしな」 「よく分かったね。イダ、名探偵」 イダは半分呆れ顔でアラシャを見、アラシャはにやけ顔でイダを見る。 来週はどんな服を選んでやろうかと、すでにイダの頭の中はそれでいっぱいだった。 ●明智・珠樹×白兎・千亜 「千亜さん、雨の日デートしましょう……!」 「嫌だ。読書の邪魔だ、どっか行け」 「ふ、ふふ……! そんなつれない千亜さんも愛おしいです……!」 そう言って、珠樹は頬を赤らめながらこちらに近寄ってくる。 顔は整っているので黙っていればイイ男に見えるというのに、その全てを台無しにする彼の変態性はおそらくアークソサエティ内でもピカイチだった。 「そもそもデートってなんだんだ。僕は変態と付き合っている覚えなどないぞ」 「私、千亜さんにお付き合いしていただきたいんです」 「……え!!??」 「私、やっと気づいたんです。千亜さん……」 常識的に考えて、このタイミングで告白をするなど正気の沙汰ではないが、そもそもこいつは正気じゃない。 不覚にも、珍しく真面目な顔をしている珠樹に一瞬ドキッとしてしまう自分がいた。 「私……実は夏っぽい服をあまり持ってないんです。買い物に付き合ってくれませんか?」 「……あー、そういうことね」 どうせこんなことだろうとは思っていた。 そもそも、老若男女どころか全生物がストライクゾーンのこのド変態に好きなどという複雑な感情があるはずがないのである。 こいつとの付き合いもいい加減長いんだし、そろそろ珠樹の考えていることを読み取れるようになりたかった。 「……どうかしたんですか?」 「知るかバカ。ほら、さっさと行くぞ」 こうして私たちはお互いに傘をさしながら街中を練り歩き、散歩も兼ねてぶらぶらとショッピングを楽しんでいた。 「雨の日のお出かけも良いですね、ふふ……!」 「まぁ、そうだな。たまにはこういうのもいいかもしれない」 「あぁ、あの服など千亜さんに似合いそうです、ふふ……!」 「え、どれ……って、水着じゃないか」 「はい、やはり赤髪な千亜さんには赤系の水着が一番似合っていると思うんですよ。あの水着なら千亜さんの細い腰のくびれも強調されるでしょうし、あれは買いですね。 ビキニ姿で浜辺を歩く千亜さん、あぁなんて愛らしい……!」 「息を荒くしながらこっちに近寄ってくるな、変態。今日は僕のじゃなくておまえの服を探しに来たんだろうが」 「わたしは千亜さんが見繕ってくださるのであればどんな水着でも褌でも、シースルーでも喜んで着ますからね! ……あっ、もしシースルーを着るなら千亜さんのおさがりが良いです」 「誰がそんなの選ぶかこのド変態! あと、僕の服をおまえにやることなど絶対にない!! 絶対にだ!! いいから行くぞ」 結局、僕は珠樹にシンプルなシャツとパンツを買ってやることにした。 そのお礼に今度は僕の服を選んでくれるらしいが、正直不安だ。 珠樹のことなので最終的にはちゃんとした服を選んでくれるだろうが、そこに至るまでにどんな服を着せられらるものか……。 ……まっ、楽しみに待っておくことにするか。 ●ジエン・ロウ×吉備・彩音 「雨だねぇ……。俺は雨の日も好きだけど、綾ちゃんはどうかな?」 「私はあまり得意ではないですね。この季節になると髪の毛の手入れが大変になりますし、あまりいい思い出はありません。 ジエンさんも髪の毛が長いですし、お手入れが大変なのでは?」 「確かに俺も髪の毛がうねったりして鬱陶しく感じるときはあるけど、それを差し引いてもでもやっぱり雨の日は好きかな。 この季節になると紫陽花が一層映えてとても綺麗なんだ。よかったら一緒に見に行かないかい」 「はい、よろこんで」 そうして、私たちは公園で一時間ばかりじっくりと紫陽花を見て周った。 雨に濡れてイキイキとしている紫陽花はすごく綺麗だったのだが、ジエンはどこか悲し気な顔をしていた。 そのあと、私たちはラテアートの体験ができる『アモール』というカフェテリアに寄ってみた。 飲み物やデザートなどの軽食を頼むこともできたみたいだが、ここでは自分たちでラテアートをすることができるらしい。 せっかくなので二人はそのラテアートを注文し、思い思いの絵を描くことにした。 「私、ラテアートって初めてなんです。ジエンさんは?」 「実は俺もなんだ。前々から面白そうだなとは思ってたんだけど、なかなかやる機会がなくてね」 そういって二人は黙々と作業に取り組み、それぞれの作品を完成させる。 ベリアルと対峙したときのような、真剣な表情だった。 「やっぱりラテアートというものは難しいものだね。絵心のない俺には少しばかり難しかったみたいだ」 「そんなことないですよ。十分お上手だと思います。これは……猫ちゃんですよね? 私はかわいいと思いますよ」 「猫の面影があるぐらいだけどね。そういう綾ちゃんは結構凝ったものを作ってたみたいじゃない」 「けど失敗してしまいました。ジエンさんをイメージしながら描いてたんですが、初挑戦でこの題材は難しかったようですね」 「ちなみに、何を描く予定だったんだい?」 「龍です」 「……」 もはやその題材はラテアートにそぐわないような気もするが、言葉にはしないでおく。 素人には無理だろうと薄々分かっていても全力で取り組む彩音の姿は見ていてすごく可愛らしいものがあった。 「そういえば、この間は一緒に居たいって言ってくれてありがとう。記憶のことは気にしなくていいから」 「それでも、私は思い出したいんです。せっかくジエンさんと過ごしていたのに……」 「忘れてしまったものを無理に思い出す必要はないですよ。忘れてしまってもいいこともありますし」 「でも……」 「そんな昔のことにこだわらなくてもいいです。これから俺たちだけの想い出を作っていきましょう」 「…………それもそうですね。それではジエンさん。改めて、よろしくお願いします」 「こちらこそ、よろしくお願いします」 私たちはお互いに軽いお辞儀をした後、水面に浮かんでいる二人だけの模様をかき混ぜてごくりと飲み干す。 コーヒーに対してミルクの量が足りなかったのか、どこかほろ苦い味がした。 ●ノエル・ベレスフォード×ダリル・バークレイ 「……だりる」 「んーちげえかも。次こっち着てみろよ」 (私は着せ替え人形じゃないのに……) そう思いながらも、私はダリルに勧められた服を着て鏡の前に立ってみる。 薄ピンク色のカーディガンにデニムのショートパンツ。いかにも女の子らしい服装だ。 すでにここに来てから何十着もの服を試着しているが、ダリルの着せ替え人形遊びは全く終わる気配がない。 わたしから新しい服を選んでほしいと頼んでおいてなんだが、永遠と繰り返される着脱作業に段々と飽きが来ていた。 「だりる、わたしこれ、いや。なんかわたしっぽくない」 そういって、私はさっきまで着ていた服を脱いでダリルに返す。 確かにダリルに勧められる服はどれも可愛いし、似合わなくもない。けど、どこか私らしさが抜けているような気がしてならなかった。 「ねえ、もういいでしょ。着替えるの飽きた」 「んじゃあ、ノエはどんな服がいいんだよ。試しに自分で探してみろよ」 わたしは店内をざっと見て周り、ピンとくる服を探す。 もう少しで夏本番ということもあってどれも涼しげな服装ばかりだが、ふと目線を合わせた先にとても可愛らしい服を見つけた。 「この黒いの」 「黒ってこのワンピースか? ノエにはあんま似合わないような気がするけど……」 「試着してくる」 そう言ってわたしは試着室へと駆け込み、鏡の前に立ってみる。 あれほど長い間悩んでいたのが嘘のように、鏡の前に立った途端この服を買うことに決めた。 私は即座にその服を購入し、今度はその服に合うアクセサリーやアームカバーを探すために店内を走り回ることとなった。 「やっぱりこれね」 (やべえ。ノエルが鼻歌歌ってる。……ああいうのが好きなのか?) 結局、ノエルはフリルが付いた黒のワンピースに黒のアームカバー。それに、膝が隠れるほどの長いソックスを選んだ。 てっきりノエルは女の子らしい明るい服装が好きだと思っていたのだが、どうやら少し大人びた服の方が好きらしい。 普段からあまり表情に浮き沈みがないあのノエルが鼻歌を口ずさむとは、よっぽどその服が気にっているようだった。 「今日は雨が降ってたのにお出かけに付き合ってくれてありがとね。すごく楽しかったわ」 「お気に入りの服が買えてよかったな。オレはもうクタクタだ」 「今度出かけるときはだりるが行きたいところね」 「えーー、勘弁してくれよ……」 正直、ノエが行きたいところに行ければオレはそれでいいし、何より行先を考えるのが一番めんどくさい。 オレが興味を持っているところに行くのも確かに大事だが、ノエをそこに連れて行って楽しいと思ってもらうことが大前提だ。 そのお出かけとやらがいつになるかは分からないが、それまでにある程度の目星ぐらいはつけておこうと心に決めるダリルだった。 ●アユカ・セイロウ×花咲・楓 アークソサエティ内でも記録的な大雨が降っていた頃、アユカの経営する製菓店では停電が起きていた。 そろそろ電気が消えてから半刻ほど経とうとしているが、未だに復旧の目途は経っていない。 せっかくの休日なので同じ浄化師で大切な相方でもある花咲楓にカップケーキでも焼いて持っていこうと思っていたのだが、このままでは約束の時間に間に合いそうもなかった。 約束の時間に遅れたからって怒るような人ではないし、ずぶ濡れになりながらかーくんの所に行ったところで心配されるだけなので雨が止んでから出かけることにするが、そんなことよりも今は作りかけのカップケーキが気になってしまう。 オーブンで焼いている途中で停電してしまったのでそのまま腐ったりすることはないだろうが、作り終えてからではないと出かける気もおきない。 こんなことなら作り置きして冷凍しておけばよかったのかもしれないが、焼きたてのカップケーキと比べるとどうしても美味しさは落ちてしまうのでできれば焼きたてを持っていきたかった。 アユカは大きなため息をつき、憂鬱な気分を紛らわせる。 ここで落ち込んでいたところでどうしようもない。いつ電気が復旧するかも分からないし、復旧したところですぐにカップケーキができあがるわけでもない。 どうせ間に合わないのであれば今のうちに新しいお菓子でも作ることにしよう。 冷蔵庫の中にはまだチョコレートが大量に余っているし、ガトーショコラやフォンダンショコラにも挑戦したみたい。 結局、お菓子作りに夢中になっていたアユカは電気が復旧したのにも気づかず、一日中お菓子作りに励んでいた。 ●アキ・アマツカ×カイン・レカキス (このまま部屋に残って料理……はやりたくないわね。私があんまり得意じゃないし) 買い物をしに行くとしてもこの大雨じゃあまり遠くまで出かけたくないし、特にこれといって買いたいものがあるわけでもない。 せっかくの休日なのでカインと一緒に出掛けたいという気持ちはあるのだが、いざ行先を決めるとなるとどこに行けばいいのか分からなかった。 「あーー、もう!! 雨だからなんだってのよ! 出かけるわよ!」 「構いませんが……、どちらに?」 「……喫茶店、とか?」 というわけで、私たちは近所の喫茶店へと来ていた。 近くに新しい喫茶店ができたという話はどこかで聞いたような気もするが、実際にお店に入るのは今回が初めてである。 この喫茶店は一面ガラス張りのオープンカフェになっていて、珈琲を飲みながらでも外を眺めることができる。 ここに来るまでに濡れてしまって少しイライラしていたのに、どこからか聞こえてくる雨の滴る音を聞いているとなんだか心が穏やかになっていく感じがした。 「最近できたばっかりっていうのもあるんだろうけど、全然人がいないわね。私はココアにするけど、カインは?」 「私は珈琲をいただこうと思います。たまにミルクや砂糖なんかも入れて飲むこともあるんですが、やっぱりブラックが一番落ち着くんですよね」 ほのかに香る珈琲の香りにあたしとカインはさらに安らかな気持ちになる。 他にお客さんが誰もいないということもあってか、あたしたちはお互いの話に花を咲かせながら、ゆっくりと喫茶店の雰囲気を楽しんでいた。 「はぁ~~、ココアを飲むと身体があったまるわ~~。 雨、強いって程じゃないけど、長引きそうよね。カインは雨の日ってどうやって過ごしてるの?」 「雨が降った際の変化は、洗濯物を干す場所が変わることと外へ出る頻度が少なくなることぐらいですかね。 あとは通常運転です。食事に洗濯もそうですが、掃除や読書とかも毎日の生活には欠かせませんね。もちろん浄化師としての訓練も行っていますよ」 「あ、カインって家事出来るのね……」 「はい。長い間一人暮らしでしたので。必要に迫られてという感じです」 「ふ~ん、そうなんだ……。そうなのか……」 正直、あたしはあまり家事が得意な方ではない。というか、ほとんどできない。 なるべくできるようになろうと日頃から努力はしているのだが、元から細かいことを考えるのが苦手ということもあってあまり上達はしていなかった。 「アマツカ氏は……、あんまりそういうのが得意ではなさそうですね」 「ちょっと、なんであたしが家事できないって決め付けるわけ!? ……まぁ確かにできないんだけどね!!」 「……そんなにふてくされないでください。今度料理教えますから」 「ほんとに? 絶対だからね」 「はい、では来週にでも。ところで、作るとしたら何がいいですか?」 「んー、やっぱりここは無難に……」 と、二人は早くも来週の話で盛り上がり、いつの間にか白熱した討論会を喫茶店で開催するのであった。 ●アリシア・ムーンライト×クリストフ・フォンシラー 花壇の前を通りかかったとき、どこか見覚えのあるレインコート姿の女性が蹲っていた。 思わず傘をさすのを諦めたくなるほどの大量の雨が降っているといるのに、そんなことはそっちのけで花壇の手入れをしようとする人を俺は彼女しか知らない。 俺はアリシアにそっと近づき、自身が持っていた傘を差しだした。 「……クリス。何か用でした?」 「用ってわけじゃないんだけど……、そのままじゃいくらコートを着ていると言っても風邪引くよ? 身体は冷えてない?」 「ごめんなさい、心配してくださったんですね……。雨、私、あまり気にしないので……」 そういって、アリシアはクリスに向かって深々と頭を下げる。 もともと日本人形のような綺麗な顔立ちをしているアリシアだが、背中まである艶やかな黒髪が雨に濡れて少し色っぽかった。 「そこはごめんなさいよりもありがとうって言ってくれた方が嬉しいかな? ほら、もう一回」 「そ、その……。ありがとう、ございます……」 「んー、少し表情が固いかな。ほら、にこーって笑ってごらん?」 「わ、笑うのは意識すると余計できなくて……、すみません」 予想通りの反応にクリストフはほのかな笑みを浮かべる。 アリシアが不器用なことはずっと前から知っているし、お礼を言うのに慣れていないというのも知っている。 知っているのだが、アリシアを見ているとついからかいたくなってしまうことはクリストフにとって仕方のないことだった。 「うん、まぁ今はそれで上出来ってことにしようかな。そんなことより今から一緒に出掛けようか。ほら、こんなに手が冷たくなってる」 「えっ、行くってどこにですか」 「いいからいいから」 こうして行く先も告げられずに連れてこられたのはとあるカフェテリア、『アモール』 この隠れ家的な雰囲気を醸し出している『アモール』では自分たちでラテアートを楽しむことができる、アークソサエティの中でも有数のデートスポットだった。 「ここ、ラテアートが描けるんだよ。しかも自分で」 「クリスが描くんですか……?」 アリシアは思わず目を丸くし、聞き返す。 ラテアートについてはどこかの文献で読んだことがあるので知っているが、実際に目にするのは今回が初めてだった。 「こういうのなら女の子は喜ぶんじゃないかって思って連れてきたんだけど……なかなか難しいものだね」 そして、アリシアたちはラテアートの難しさについても学んだ。 クリスは私に猫を描いてくれようとしていたみたいだが、できあがったのは実際の猫とは似ても似つかないほど不細工な猫。 そんなブサかわいい猫を見ながら二人で笑いあい、さらにかわいい猫を求めて再度ラテアートに挑戦する。 結局、最初にできあがったブサかわ猫に勝てるほどのリアル猫を描くことはできなかったが、二人の顔はどこか満足気だった。
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*** 活躍者 *** |
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[8] アユカ・セイロウ 2018/06/12-05:45
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[7] アキ・アマツカ 2018/06/11-21:18
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[6] 明智・珠樹 2018/06/11-21:04
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[5] ジエン・ロウ 2018/06/11-19:34
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[4] ラウル・イースト 2018/06/11-10:38
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[3] ノエル・ベレスフォード 2018/06/10-22:12
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[2] アリシア・ムーンライト 2018/06/10-21:55
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