~ プロローグ ~ |
それは偶然だった。 |
~ 解説 ~ |
大きな生き物にぺろぺろされるのはご褒美だとは思ってます。 |
~ ゲームマスターより ~ |
アンケート結果のみなさまが求めるほのぼのと北野ひよこの求めるギャグと食欲(ぐーぴるるぅ)を程よく混ぜたらこうなりました。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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【目的】 食べた事の無いものを食べて貰いたい 【行動】 蒸籠をお借りする 小籠包を作る 鰹節、昆布、煮干し出汁を椎茸の戻し汁と混ぜて ゼラチンで固めた物を小籠包に入れる また出汁ではなくコンソメ、トマト、チーズをを入れる 【心情】 やるからには妥協は許さないわよ 普通感じる味覚は甘味・酸味・塩味・苦味だけど 人間ならではの味覚って多分旨味になると思うのよね でも旨味って汁物が多いイメージなのよね 小籠包なら中にスープを入れて作るから 出汁を上手く活用できるし 色んなバリエーションを用意できるわ 汁物より食べごたえもあるしね 変わり種で洋風も用意して 出汁3種類で系4種類の違う旨味の小籠包よ 一口大で皆分用意して一緒に食べましょ? |
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※アドリブ、キャラ崩壊歓迎します ※ぺろぺろされてしまうほう ※包丁すら持ったことがないレベル ドラゴンに口の中で舐められるなんてゴメンだから なんとか美味しい料理を作ろう… (ハンバーグを作ろうとするが、丸焦げの炭になる) (ハンバーグ(?)をドラゴンに差し出すと「マズイ、お前はうまいのか?」と 言われ、口の中でぺろぺろされてしまう) ちょっ、やっ…やめてくれ…嫌だああぁあ!! (口の中でモグモグされ) あっ、うっ…や、あああ…も、許して… (外に出され、唾液にまみれたまま痙攣している) (ララエルに聞かれ) き…気持ちい… (「今度は遊ぶー!」と突進してきたドラゴンに撥ね飛ばされる) う、うぅ…骨が数本折れたかも… |
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可愛らしいドラゴンさんね 折角だからお腹が膨れるものが作りたいな 頑張らなくちゃ 絵本で見た 大きなカステラを作りたいの フライパン全部を使って作る…シリウス、知らない? ドラゴンさんの気に入るといいんだけど シリウスも味見をしてみてね? 高級調理器具セットを使用 一番大きなフライパンを使ってカステラ作り 秋だからと林檎も入れて 折角だから他の皆でも食べたいし…きゃあ! あ ありがとうシリウス 焼いてくれるの?ありがとう できあがった大きなカステラをドラゴンさんへ どうかな?お口に合うかしら? どきどきと感想を待つ 美味しいと言われればぱっと笑顔 ぎゅっと抱きしめたり よければちょっとだけ背中に乗せて欲しい 他の皆さんとも料理をシェア |
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ベ 肉を焼こう ヨ 肉、ですか?竜たちはいつも食べているのでは ベ 普段は生のままだろうし、少し手を加えるだけで違う楽しみ方もできるんじゃないか ヨ まぁ、そうかもしれませんね 食材は遊牧草原で分けて貰ったものとラクレットチーズ BBQセットを借り、網でグリル焼き。肉肉肉たまに野菜 別でリブ部分を燻製器にかける スパイスやソースで味付け様々なバリエーション ヨ お肉が熱くて火傷しないでしょうか? ベ 火を扱う種なのだから大丈夫だろう 言いながら焼けた肉を口に放り ベ …っつ(思ったより熱い ヨ え…うそ。ベルトルドさん猫舌って少しベタすぎないです…? ベ 笑ってくれるな ヨ すみません。そんなつもりは(口元抑え |
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料理はヴィオラの専門分野だから私の出る幕は… まあ、野菜を煮込んだスープくらいは作れる 食事には汁気も必要だろう 切って煮込むだけだから手間は掛からんし…ふむ、暇だな そんな時に渡されたハートの型 なんだ?ライスをハート型に?どうしてわざわざそんな事を ハート型だろうが山盛りだろうが腹に入れば同じだと思っていたが そうか、あのドラゴン、女子なのか?全く気付かなかった…(朴念仁 言われたとおり型抜きをしてみたらパズル好きの血か ハート四つをクローバー型に並べて「ピッタリはまった」とご満悦 ああ、すまん、余計だったか? ちょっと焦るもお礼に思わず頬が緩み そうか、それなら良かった スープもそろそろ頃合いだな 一緒に出してくれ |
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ハロウィンだもの、やっぱりスイーツにしましょう 着色料をふんだんに使用した鮮やかなレインボーカラーのスポンジケーキ さらにこれまたカラフルなクリームをたっぷりホイップ なかなか上手くできたんじゃないかしら! むっ(かっちーん だったらあなたが味見しなさいよ どうせ私の舌なんて信用ないわよ!(ぐいぐい (説得され そ、そうよね…大事なのは気持ちよね さあ、召し上がれ…あっ …どうやら口に合わなかったみたいね、残念だわ。 ええと、たくさん作ったから皆も食べ…ないわよね! お砂糖と着色料の味しかしないんだもの! 私は美味しいと思うんだけど…(もぐもぐ よければ、皆の作ったのも食べさせてもらえないかしら? 味はよく分からないけど… |
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グレン!私ドーナツ食べたいです!ドーナツ! お手伝いは十分だってグレンに断られちゃったので、 グレンが用意してくれてる間にサンドイッチ作りましょう! 一人でも作っていいって言われたので頑張っちゃいますよー! フルーツサンドにしましょう、苺は欠かせませんよね! キウイも、桃も…あっ、オレンジも入れましょう! 林檎入れたらどうなるでしょう、あとバナナも ちょっとぐらついてるけど完成でーす! 大変なことに気がついてしまいました、グレン! このサンドイッチじゃ一口でぱくっといけません! でもドラゴンさんならお口も大きいので大丈夫ですよね、多分。 終わったらどなたかに声をかけて一緒にドラゴンさんを触りに行きたいですねぇ |
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~ リザルトノベル ~ |
「せっかく、人数も多いんだし、コース料理にできたらいいと思うんだけど」 微笑みながら提案した『リロード・カーマイン』はやる気だ。やるなら妥協は決して許さない。 なんせ相棒の『スコア・オラトリオ』の世話を焼き、料理も嗜んでいるのだから。 「あー……」 とってもやる気だなぁとスコアはリロードを見ている。 「コース料理ですか? みんなでやるならかぶらないほうがいいかもしれませんね。お料理、まだ修行中の身ですけれど、ドラゴンちゃんの為に心込めて作りますね」 ふふっと口元に手を当てて楽しそうに『ヴィオラ・ペール』が微笑む。 『ニコラ・トロワ』は、今回は自分の出る幕はないだろうとも思っている。ヴィオラの実家がレストランを営んでいる。料理は彼女の本業と心得ているからだ。 「そう思いませんか? ニコラさん」 「手伝えるなら手伝うが……リストでも作ればいいのか?」 「レストランみたいでいいですね! ニコラさんはとってもきれいなリストが作れそうです」 「わかった。では、他のメンバーはどんな料理にするんだ?」 「僕たちは……ハンバーグの予定です」 『ラウル・イースト』が真剣な顔で告げる。その横ではにこにこと笑顔の『ララエル・エリーゼ』がいる。 ラウルから悲愴が漂う理由は一つ、この二人、究極的に料理が下手なのである。 ケーキを作れば炭へ、サラダを揚げ、……料理レベルの進展は今のところ望めない。 (なんだろう。ドラゴンが、ずっと僕のことを見ている気がするっ) すでにいやな予感しかしないラウルである。 「がんばってはんばーぐをつくりますねっ!」 ララエルはやる気である。 「お肉……でしたら、私たちも予定してます。ベルトルドさんが焼きたいと……お肉はいつも食べていると思うんですが」 口を開いたのは『ヨナ・ミューエ』と『ベルトルド・レーヴェ』だ。 「ドラゴンたちはいつも肉を食べているが、焼いたもの、では少し感じ方が違うだろうと思ってな」 ベルトルドが尻尾をひらりとふった。 「私たちは絵本で見た大きくてふわふわのカステラを作ろうと思うの。絵本でもすごく大きなものを作っていたから……折角だからお腹が膨れるものが作りたいなって思ってるわ」 『リチェルカーレ・リモージュ』が優しい瞳を緩めた。後ろに立つ『シリウス・セイアッド』が少しばかり困惑を瞳に宿していた。 (どれだけの量を作るつもりなんだ) ドラゴンは巨大だ。それが満足するカステラ……? 「まぁ素敵ですね! 私たちはドーナツ、ううん、サンドイッチでしょうか、ねぇグレン?」 「あーはいはい。俺たちはフルーツを使ったサンドイッチと、ご所望のドーナツで」 『ニーナ・ルアルディ』に『グレン・カーヴェル』がさらりと応じる。 「山一杯のドーナツとカステラ、素敵ですね!」 「ふふ、絵本にありそうね」 ニーナとリチェルカーレは想像して楽しそうだ。その様子にシリウスもグレンも黙って肩を竦めた。 「これだとかぶるかしら? ほら、私も……ハロウィンだもの、やっぱりスイーツにしよって思ってるんだけど」 むむっと考えるのは『リコリス・ラディアータ』に『トール・フォルクス』が肩を竦めて。 「いや、リコ、ドラゴンの大きさ考えたら、いくらあっても足りないし、いいんじゃないのか?」 実はリコ、料理がなぁー……トールは知っている。リコリスの味覚がちょっとアレなのだ。しかし、ここの女性陣の助けもあれば、もしかしたら。 「ふふ、あの女の子は甘いものが好きですものねぇ」 「そ、そう? なら、スイーツでもいいかしらね」 ヴィオラの言葉にリコリスはほっとしたように笑った。 「私たちは、ごはんもの……チキンライスにしようと思います。リロードさん達はどうします?」 「小籠包にしようかと思ってるわ。せっかくだし、少し手間をかけてみようって思うの」 「素敵ですね! ニコラさん、どうですか? メニュー表できそうですか?」 「これでどうだ?」 ドラゴンへの浄化師七組による素敵なフルーコス 前菜 リロード&スコアの『小籠包』 肉料理 ヨナ&ベルトルドの『スモークしたお肉』 ラウル&ララエルの『ハンバーグ』 ごはん スコア&ヴィオラの『チキンライス』 スイーツ リチェルカーレ&シリウスの『おっきなカステラ』 リコリス&トールの『甘いスイーツ』 ニーナ&グレンの『ドーナツとサンドイッチ』 ヴィオラはまずお米の用意を開始する。ニコラは野菜を水洗いをしてキッチンペーパーで拭き、切り始める。 「私も、まあ、野菜を煮込んだスープくらいは作れる」 「ありがとうございます。ニコラさん。叔父さんのところでもそうやっていたんですか?」 ふふっと楽しそうにヴィオラが笑いながら話をふる。 ラウルとララエルの戦いははじまっていた。 「ラウル、お肉を焼けばいいんですよね?」 「ひき肉を、えーと、こねるんだよ?」 ちらりとラウルはスイーツ組のシリウスへと視線を向ける。あまり指令では一緒にならないが、大変勇敢で素晴らしい活躍をしていると報告書で知って、ひそかに憧れている相手がいる。下手なものは作れない。 「味付けは……ホイップでいいのかな」 「ラウル、ハンバーグは甘くないですよ?」 ララエルが若干不安そうに小首を傾げた。 リロードは考えていた。 「普通感じる味覚は甘味・酸味・塩味・苦味だけど、人間ならではの味覚って多分旨味になると思うのよね……旨味って汁物が多いイメージだから……」 「一応、水筒に市場に売っていた烏龍茶を作って持ってきているよ」 「ありがとう。スコア、うーん、味付け……鰹節、昆布……あ!」 リロードが目を輝かせた先にはヴィオラがほうれん草と秋の味覚の茸を使用しようとしていた。 「茸! いいわね。出汁は干し椎茸で決まりね! ケチャップ味とバターライス? おいしそうね!」 「ふふ、秋らしいメニューがいいかと思って。いっぱい作って、みんなでわけましょうか?」 リロードとヴィオラが楽しそうに相談しあい、手を動かす。 「野菜か……余ったものがあれば、こちらで焼くぞ」 ベルトルドはバーべーキュー用の網の上で分厚く切った肉を焼いている。 「普段は生のままだろうし、少し手を加えるだけで違う楽しみ方もできるんじゃないか」 「そうですね」 焼くのはベルトルドの役目で、一方ヨナはもってきた野菜と共にみんなが調理して多少余ってしまった野菜をざく、ざくと切る。 ここに来る前に貰ってきたラクレットチーズ、お肉とお野菜を用意。燻製チップをおいた網の上に粉振るいをのせて燻製を作る。スパイスやソースを大量にもってきたので、それらで一つ一つ味を変えてみた。 「ベルトルドさんの知恵がこんなところで役立つとは思いませんでした」 「燻製はいいぞ。酒が進む」 「お酒はありませんよ」 ベルトルドが尻尾をひらひらと振ったのにヨナはジド目で睨む。 「おい、ラウルたちは……」 ベルトルドが目を細めたのに、ヨナがきょとんとそちらを見る。 「う、うう、涙が」 「負けません、負けませんっ」 玉ねぎの皮むきに二人ともむせび泣いていた。 「ちょ、二人とも剥きすぎよ!」 「あら、大丈夫ですか? ニコラさん、火の番を少しだけお願いしますね?」 「スコア、こっちもよろしく!」 「わかった。ただ早くしてくれ」 「こっちも早く戻ってよ、リロード! 僕たち、たぶん、いざってときはあんまり役に立たないから!」 「わかってるわよ! ほら、玉ねぎは切りやすい包丁で一気にやることよ」 「包丁は冷やしておくといいんですよ」 「す、ずみま、せ、ぜん」 「あり、がとうございまぁす」 優しいリロードと料理上手なヴィオラが手助けしてくれた。 「グレン! 私ドーナツ食べたいです! ドーナツ! もちろん、手伝います!」 「はいはい、作ってやるからお前はそっちで大人しくしてろ。手伝いは……あー、遠慮しとく」 ニーナをあしらいながらもグレンは考えた。このままほっといて勝手に手を出されて面倒事が増える可能性がある。 「フルーツサンドを頼む。パンもフルーツももう切ってあるからな」 「はーい!」 やる気一杯のニーナの声に、これだったらひどいことにはなるまいとグレンは今の内にドーナツ作りに勤しむことにした。 「見た目よ。見た目が楽しくないとだめなのよ」 「う、うーん。リコ、あの、リコさーん、見た目っても味、問題は味ですよー」 「わかってるわよ!」 リコリスは腕まくりをしてケーキ制作にあたる。 「えーと、とりあえずいれればいいのかしら?」 「リコちゃん、よかったらこのカップ使う?」 リチェルカーレの言葉にリコリスは目をぱちぱち。 「あ、そうか。そうよね、計らないと難しいのよね?」 「料理は大雑把でいいが、スイーツでは量が基本だぞ」 グレンが言い切る。 料理は大雑把でも味は調うが、お菓子はそうもいかないのだ。 「量を間違えれば、その瞬間に……地獄になる」 「そ、そうなの? レシピ本、もってきてよかったわ。ちゃんとあっているのか、一緒に確認してもらってもいいかしら?」 「もちろん! 計るのは一緒にやりましょう」 リチェルカーレが微笑んだ。 トールは男らしく重いものをどんどん運んだりと裏方に徹しながらリコリスを見守っていた。 (リコは手際はともかく味オンチなのがな……味見する意味がないというか) 楽しそうにケーキにチャレンジするリコリスはトールの目にはきらきらと輝いて映る。 同じくシリウスも、あきらかに重そうな料理道具を運び、開く手伝いをした。 「絵本で見た大きなカステラを作りたいの。フライパン全部を使って作る……シリウス、知らない?」 シリウスは目を瞬かせる。それだけで彼が知らないのだとリチェルカーレは察して、目を細めて笑う。 「ドラゴンさん、気に入るといいんだけど、シリウスも味見をしてみてね? んっしょっと!」 「……持てるのか」 リチェルカーレが選んだのは持って来たなかで一番大きなフライパン。 それは余裕でリチェルカーレの上半身を覆ってしまいそうなくらいの大きさがある。それを両手で持ってふらふらするリチェルカーレにシリウスは不安を覚え、手を伸ばして持ち上げた。 「どこに置けばいい」 「ありがとう。じゃあ、火の所においてもらってもいい? 今回、ベルトルドさんたちが火の用意をしてくれたの」 見ると今回大きなフライパンを使用するリチェルカーレのための特製コンロ――石を重ねて火をつけるものをベルトルドが用意してくれていた。 「秋だから、林檎もいれようと思うの」 「林檎! いいですね! 私もサンドイッチにいれようと思います!」 とニーナ。 「苺は欠かせませんよね! キウイも、桃も……あっ、オレンジも入れましょう! 林檎入れたらどうなるでしょう、あとバナナも」 「すごい素敵なフルーツサンドになりそうね」 「いっぱい重ねちゃいましょう!」 「ニーナの、フルーツがいっぱいで、インパクトあっていいわね」 とリコリスも混じって楽しそうに料理は進む。 着色料をふんだんに使用した鮮やかなレインボーカラーのスポンジケーキ。さらにこれまたカラフルなクリームをたっぷりホイップ。 「なかなか上手くできたんじゃないかしら!」 どーんとリコリスが胸を張る。 予想はしていた結果にトールは遠い目をした。 「リコ、それは、ちょっと」 「むっ! なによ。ニーナたちからフルーツももらって見た目もインパクトあるし、味を見たけど、ちゃんと砂糖の味よ?」 「う、うん。けど、これはちょっとやめたほうがいいんじゃ。ほらリコは味覚がさ、人よりもタフというか」 かちーん。 「だったらあなたが味見しなさいよ。どうせ私の舌なんて信用ないわよ!」 ぐいぐいとケーキを差し出されて逃げようもないトールは焦る。 「え? 俺? いや、俺はちょっと、その、今日は腹の調子が悪くて……仕方ない、少しだけ味見を……甘っ!! しかも何だこの色、毒でも入ってるんじゃ、あっ、ヤバい」 つい言い過ぎたのにトールがリコリスを見ると、勝気な瞳が泣きそうに揺らいでいる。 「もう、いいわよ。こんなのやっぱりだめだってリチェやニーナたちが作ったのを出せばいいわよ!」 「ごめん、リコ、言い過ぎた。これがドラゴンの口に合うかどうかは分からないけど、一生懸命作った気持ちは伝わると思う。だから食べてもらってみよう? な?」 「……そ、そうよね。大事なのは気持ちよね。うん。出して、みるわ」 一生懸命作ったのだから、まずは食べてもらいたい。 「ちょっとぐらついてるけど完成でーす!」 ニーナがパンを置いて声をあげる。 ちょうどドーナツを揚げ終えたグレンはそれを見て眉間に皺を寄せた。 「どうしてそうなった。サンドイッチの定義的には間違ってはいねぇが、どうしてそうなった」 「リチェさんやリコさんと相談して秋のおいしいフルーツをいれていったら?」 ニーナは小首を傾げる。 ぐらぐらとうず高く積もれたフルーツサンドはニーナの胸の高さくらいまである。 「塔か? よく倒れねぇなそれ?」 「ああ! 大変なことに気がついてしまいました、グレン! このサンドイッチじゃ一口でぱくっといけません! でもドラゴンさんならお口も大きいので大丈夫ですよね、多分?」 「……ドラゴンなら、な」 自分たち用のフルーツサンドも用意しておいて正解だったとグレンは小さなため息をついた。 リチェルカーレは用意した林檎を細かく切ったものを生地にいれて、混ぜて、熱したフライパンに流し込む。常に両手を使って真剣だ。 表情にこそ出してないがシリウスはあまりの生地とフライパンの大きさにびっくりしてしまっていた。 「ふぅ。これで、あとはもう少し火加減を小さくして、あと、折角だから他の皆でも食べたいし……きゃあ!」 フライパンを持とうとしてリチェルカーレがあまりの重みに前のめりに転がるのを後ろからシリウスが支え、自分の胸の中に収めた。もう片方の手で落としかけたフライパンもキャッチ。 「あ ありがとうシリウス」 「……変わる。火加減がわからないから指示をくれ」 「焼いてくれるの? ありがとう」 花咲くように胸の中で笑うリチェルカーレにシリウスは苦笑いした。 ふっくら、キツネ色のカステラが出来上がりリチェルカーレは目を輝かせた。 「味見してみて、林檎が入ってるから少し甘めかもしれないけど」 「……」 甘いものは苦手なシリウスはそれでもリチェルカーレが小さく切って差し出してくれたそれを断ることも出来ず、口を開く。 リチェルカーレが口のなかにいれてくれたほんのりと甘いカステラ。 それが忘れた過去を思い出させる。 (母さんのケーキ) 奥歯を噛み締めて、押し込んだ。目を伏せて。ゆっくり息を吐く。 「……美味しい」 「よかったわ! リコちゃんやニーナちゃんにも味見してもらいましょう!」 嬉しそうに笑うリチェルカーレの背をシリウスは見つめた。 「お肉が熱くて火傷しないでしょうか?」 「火を扱う種なのだから大丈夫だろう」 言われて納得するヨナの横でベルトルドがぱくりと焼いたばかりの肉を口に放り込む。とたんに舌の上で踊る熱に尻尾が膨らんだ。 「…っつ」 「え、うそ。ベルトルドさん猫舌って少しベタすぎないです……?」 「笑ってくれるな」 「すみません。そんなつもりは」 ヨナは口元をおさえて笑いを引っ込め、スモークされた肉をほぐしラクレットチーズをかけてベルトルドの焼いたお肉にあわせた。 その横では沈痛な面持ちのラウルとララエルだ。 みんなが手伝ってくれたし、捏ねたり、形を作ったり、隠し味に砂糖をいれるラウルとララエルのあくなき戦いがあったり、スモークしたほうがおいしいのでは? とヨナたちに手伝ってもらった。 結果、炭となったハンバーグ。 「ど、どうしてこんなことに!」 「うーん、うーん火加減でしょうか?」 リロードはヴィオラが助言してくれたおかげで変わり種の洋風も用意した出汁3種類で計4種類の違う旨味の小籠包を完成させていた。 「寒くなってきたし、ホットがいいんだよね? 水筒に作っておいたけど、ティーパックも用意したよ」 「ありがとう、スコア」 「たまには、僕だってリロードを助けたいんだよ。包むくらいは多分手伝えるかな?」 スコアは慣れない手つきで包むのを手伝い、少しばかり大きかったり、小さかったりと形は少しばかりいびつでもリロードは嬉しかった。 ヴィオラも仕上げにかかる。 「これを、ニコラさん、型抜きを使ってハート型にして下さい」 「なんだ? ライスをハート型に? どうしてわざわざそんな事を」 型抜きを渡されたニコラは小首を傾げる。 「どうしてって、ドラゴンちゃん、女の子みたいですから。可愛い方がいいに決まってます、ふふっ」 「ハート型だろうが山盛りだろうが腹に入れば同じだと思っていたが……そうか、あのドラゴン、女子なのか? 全く気付かなかった」 朴念仁なニコラにヴィオラはふふっと笑う。 頼まれた以上はしっかりやるのがニコラだ。しかし、パズル好きの血が騒いで、ハートを並べて美しいクローバーを完成させた。 「ぴったりはまった」 ご満悦のニコラに横から。 「薄焼き卵を焼いて型抜きしたライスに被せ……え、これ、ニコラさんがやったんです?」 「ああ、すまん、余計だったか?」 「いいえ、凄い素敵! ありがとう、ニコラさん」 焦ったニコラだったがお礼に口元が緩む。それにヴィオラが手を伸ばしてくるのに屈むと、頭も撫でられた。 「ん。スープもそろそろ頃合いだな。一緒に出してくれ」 「それじゃあ」 ケチャップでヴィオラが茎を描いて。 「特性幸せオムライスです、召し上がれ♪」 いい子で待っていたドラゴンは小籠包をぱくり。 「じゅあぁとするぅ! このお肉、あじがするぅ」 スモークしたお肉ととろりチーズは舌の上で転がして。 「ぐっ! ぺぇえ!」 バンパーグは予想通り吐き捨て、ジト目でドラゴンが見つめて口を開く。 「ちょっ、やっ……やめてくれ、嫌だああぁあ!!」 「きゃあああ、ラウルー!! ダメですよっ、吐き出してください、ぺって。ぺって」 ララエルが泣きながらドラゴンをぺちぺちする。 吐き出されるラウル。 「こいつ、甘かった」 「あっ、うっ。や、あああ……も、許して」 「ラウル、大丈夫ですか!?」 唾液まみれで痙攣するラウルにララエルは泣きながら駆けよる。 「気持ちいい。食べて……食べてくださ」 「いやあああっ、ラウルが何かに目覚めちゃうー! ラウル、気持ちよくなっちゃだめです、何かの間違いです!」 ララエルは世界の悲劇を嘆いた。 その様子を他人事ではないトールは恐れおののいて見つめていた。 チキンライスの見た目の可愛さと味付けにドラゴンは尻尾をふった。 「かわいい、おいしい!」 大満足である。 「どうかな? お口に合うかしら?」 「りんご、さくさくしておいしー」 おっきなカステラにドラゴンは口元を緩めている。リチェルカーレも嬉しくて笑顔になった。 「よかった!」 気をよくしたドラゴンはリコリスの作ったケーキに爪を伸ばす。 「さあ、召し上がれ」 ぱくり。 ざぁあああと口から出している。飲み込めなかったのだ。 「あっ。どうやら口に合わなかったみたいね、残念だわ」 「すまんなドラゴン。君の犠牲は無駄にしない……ってグワー!? なんで俺ー!? 作ったのあっち!」 トールをぱくり。ころころ。ぺっ。 「塩味! おいしかった!」 唾液まみれのトールは、世界の理不尽さを呪った。 「どうぞー!」 「おっきい!」 最後は塔となっているニーナのサンドイッチとグレンのドーナツを食べてドラゴンはご満悦だ。 「せっかくですし、皆さんの分も作りました」 ヴィオラが声をかけるとおなかをすかせていたみんなが食べ始める。 「ええと、たくさん作ったから皆も食べ……ないわよね! お砂糖と着色料の味しかしないんだもの! 私は美味しいと思うんだけど」 「……いただきます。甘い、甘い、甘くて癒される、ふふふ」 新たな世界の扉を開けたラウルは甘党なのでおいしそうに食べる。ララエルが「とうにょーびょーになります」と心配する。 「あら口に合う人もいて、よかったわ。よければ、皆の作ったのも食べさせてもらえないかしら? 味はよく分からないけど」 「決めた。俺、料理覚える。自分のためでもあるけど、リコに美味しいもの食べてほしいからな」 なんとか復活したトールの決意にリコリスは目をぱちくりさせて、照れたように笑いそっぽ向いた。 「こっちは片付けておくから、他の奴等と遊んで来ていいぞ。他の浄化師とこうやって遊ぶことなんか滅多になかっただろ? はいはい、オトモダチ作れたかあとで見に行ってやるよ」 グレンの言葉にニーナは星屑の輝きのように微笑み、リコリスたちに声をかける。 「ドラゴンさんと戯れましょう!」 そうしていると他のドラゴンも寄ってきた。 「あそぶー!」 「え、あ! まっ……うっ! う、うぅ! 骨が数本折れたかも」 「いやああ、ラウルが死んじゃうー!」 突撃によって吹っ飛ばされるラウルにララエルは種族の差を嘆いてまたしても泣いた。不運だ。 「ふふ、触ってもいい?」 「いいよー」 あたたかく、ざりっとした皮膚にリチェルカーレが目尻を緩める。 「シリウスも」 手を伸ばし、ドラゴンの鼻先から頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めているのにシリウスの口元が少しだけ緩んだ。 「名前とかあるんですか?」 「あたち? ピンク! ワインド・リントヴルムがそう呼んでるの。ピンク! ヴィオラ、スキ」 ヴィオラの質問にドラゴンは笑って答えた。 「火を噴くのは、どんな原理なのかな? どんなものを普段は食べているの?」 わくわくしているスコアを眺めつつリロードはカステラを味わう。 他のドラゴンたちもむっしゃむっしゃするのにベルトルドは慌てて追加で焼いた。焼いた傍から食べられる。 「油断も隙もない」 「ドラゴンですから、ほら、私のことはヨナですよ。ヨナ」 ヨナはさりげなく翼に触れつつ名前を覚えさせようとする。 「食事中にちょっかい出して転がされても知らないぞ」 「ヨナちゃん、ぺろぺろしてもいい?」 「おいしいのはベルトルドさんですよ」 「ヨナ! まて、肉をやるから口を開くな!」 最後にお礼と言ってドラゴンたちが背中に乗せて飛んでくれた。他のドラゴンからラウルが口にくわえられて攫おうとしてララエルが悲鳴をあげるハプニングはあったがそれ以外は平和であった。 空は少しだけ寒いが、柔らかな風が浄化師たちを出迎える。 近づく雲に交じって渡り鳥たちが飛び、自分たちの見ているものがあまりにもちっぽけであると見下ろせば痛感する。 穏やかな世界は沈黙を広げる。 優しく、美しい世界をヨナとベルトルドは並んで見つめ、気持ちを共有し、世界を眺めた。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[17] ヨナ・ミューエ 2018/10/18-21:59
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[16] ニーナ・ルアルディ 2018/10/18-21:39
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[15] リロード・カーマイン 2018/10/18-21:29
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[14] リコリス・ラディアータ 2018/10/18-20:39
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[13] ニーナ・ルアルディ 2018/10/18-01:11
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[12] ヴィオラ・ペール 2018/10/17-23:29
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[11] リコリス・ラディアータ 2018/10/17-23:28
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[10] リチェルカーレ・リモージュ 2018/10/17-23:07
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[9] リロード・カーマイン 2018/10/17-22:12
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[8] ヴィオラ・ペール 2018/10/17-21:36
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[7] リチェルカーレ・リモージュ 2018/10/17-21:36
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[6] ヨナ・ミューエ 2018/10/17-18:45
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[5] ラウル・イースト 2018/10/17-10:14
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[4] リチェルカーレ・リモージュ 2018/10/16-22:20
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[3] リロード・カーマイン 2018/10/16-11:24
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[2] ラウル・イースト 2018/10/16-07:33
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