~ プロローグ ~ |
「なぁ、人間って本当に強いのか?」 |
~ 解説 ~ |
竜の渓谷にいるドラゴンとの模擬決戦です。 |
~ ゲームマスターより ~ |
ドラゴンとの戦闘エピソードを企画しました。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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まとめて攻撃を受けないよう回復時以外は散開 回避や防御が遅れないようドラゴンの動きに注目 1R目に魔術真名を宣言 ナツキ:やるぜ相棒! ルーノ:ああ、行こうか ■ルーノ ドラゴンの視界から外れるよう位置取り 体力半分以下で回復 攻撃にも参加 SH10も回復の魔力は残し積極的に使用 ナツキへ合図 隙を見てドラゴンの体により死角になる位置へ潜伏 不意打ちから奇襲効果の混乱を狙う ■ナツキ 前に出てドラゴンの気を引きつつダメージを稼ぐ 味方への被害を防ぎ攻撃の機会を作る 力で敵わないなら速さで勝負 体の下や頭上からの攻撃には対応しにくいと予想 回り込んだりドラゴンを足場にして狙う 合図でJM11使用 注意を逸らし隙を作りルーノの行動を支援 |
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まともに戦っても勝てないし、そもそも搦め手もきっつそうなレベル差っぽいけど、搦め手を使う感じでいくかな。 基本はナツキさんの補助をする動きで、人形を動かす。 ナニカは、後方から目ん玉と翼の付け根とか、弱そうな部位を狙って攻撃する感じにしようと思うよ。 防御行動はしても抜かれそうだから、まー、回避かな。 回避も厳しければ、潔く受け身がんばるさ、 |
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~ リザルトノベル ~ |
竜の渓谷とは、「ドラゴンの最期の地」と呼ばれる自然豊かな渓谷で、ドラゴン達が穏やかに生活をしている場所である。 ここで今、ドラゴンとエクソシストの模擬決戦が行われようとしている。 闘いの舞台となる場所は、竜の渓谷に広がる自然豊かな草原地帯である。 鬱蒼と茂る草木と、時折吹く爽やかな風が気持ちよく、模擬決戦にはうってつけだ。 ドラゴンは老ドラゴンと共に、エクソシストの到着を待っていた。 「どんな人間が来る?」 と、ドラゴンは老ドラゴンに向かって尋ねる。 「二組のエクソシストだ、お前の希望通り、強いエクソシストを集めた」 「そうか……それは楽しみだ」 太陽が高く上った時刻、いよいよエクソシストたちが到着した。 今回の模擬決戦に参加するエクソシストは二組四名である。 『ルーノ・クロード』と『ナツキ・ヤクト』のペア。 そして、『キールアイン・ギルフォード』『ナニーリカ・ギルフォード』のペアの二組だ。 巨大な体を持つドラゴンは、二組のエクソシストを前にして、興奮で震えていた。 これから強い人間と戦える……。 それだけで、魂が震えるのである。自分はどれだけ強いのか? それを確かめられる。 「よく来た。ここが竜の渓谷だ」 と、ドラゴンはエクソシストたちを迎え入れる。 それ受け、それぞれのエクソシストたちが挨拶をする。 「私はルーノ・クロード。君が戦いたいというドラゴンか、かなり大きいね」 と、ルーノが挨拶し、続けてナツキが、 「俺はナツキ・ヤクト。相手がドラゴンだろうと、俺は絶対負けねぇからな」 興奮した様子でナツキが言うと、隣に佇んでいたキールアインが口を開いた。 「俺はキールアイン・ギルフォード。一応負けないつもりで戦うよ」 その後、ナニーリカが声を出した。 「私はナニーリカ・ギルフォード。強さに憧れるドラゴンに興味があります」 ドラゴンとエクソシストたちの挨拶が終わると、戦闘前に老ドラゴンが注意事項を説明した。 「まず、エクソシストたちの礼を言おう。ここに来てくれたことに感謝する。では、戦闘について説明しよう。今回の戦闘は模擬決戦だ。命のやり取りをする場所ではない。殺し合いではなく、単純に戦闘を楽しんでもらいたい。舞台はこの草原がすべてだが、ドラゴンは飛べるため、私から一つ提案がある」 それを聞いたドラゴンの眉根がぴくっと動く。 「提案? なんだそれ?」 と、ドラゴン。眉間にしわを寄せ、老ドラゴンを見つめる。 「お主は、空を飛べる、しかし、デモン以外のエクソシストは飛べない。それ故に、空を飛ぶのを禁じる。また、どちらかが参ったといったら戦闘はそれまで。後は私が戦闘を見ていいて、危険であると感じたら止めるかもしれない、後は好きにやりたまえ」 その話を聞いたキールアインは一人考えた。 (空中から落とされたら……うーん、流石に死にそうだからやってこない気がするけど。飛ばないなら考える必要ないな。それでもドラゴンはでかい。背中から落ちてもかなりの衝撃を受けそうだ。ま、死なないように受け身がんばるよ) さて、戦闘が始まろうとしている。 広々とした草原に、ドラゴンとエクソシストたちが相対して並ぶ。 そこから少し外れた場所に、老ドラゴンの姿がある。彼はこの戦闘を見届けようとしているのである。 (さて、どうなるか? エクソシストたちの力を見せてもらおう) 老ドラゴンはそんな風に考え、ドラゴンたちに視線を注いだ。 戦闘前の緊張したムードを感じながら、ルーノはナツキを横目に見ながら考えていた。 (強い相手を求めるドラゴンか……。どこの世界にも同じような考えを持つ者はいるようだね) ドラゴンは強敵である、どこまで自分たちの力が通じるか試してみたい。 ルーノはさらに考えを進める。 (まぁ自分の実力を知るという意味では悪くない。やる気が有り余っているナツキが空回らないよう気にかけつつ、相手に失礼の無いよう全力を出そう) そのように考えをまとめ、彼はナツキに向かって言った。 「模擬戦とはいえ油断は……聞いているかい、ナツキ?」 問われたナツキであったが、彼もまた自分の世界に入り込んでいた。 うずうずしながらドラゴンを見つめている。 (強そうだしやっぱデカイなぁ! ドラゴンと腕試しなんて滅多にできないよな。強い相手と戦うのが強くなる一歩だ! 参ったは言わないし絶対退かない、やるからには勝つ!) そんな中、ふと聞こえたルーノの声。 ナツキはハッと我に返る。 「え? おう、聞いてる聞いてる!」 二人も戦う準備が整っているようである。 そんな中、キールアインとナニーリカの二人も緊張感ある戦闘前の雰囲気を感じていた。 模擬決戦とはいえ、相手はドラゴンである。強敵には違いない。自分たちの力がどこまで通じるかはわからないが、全力は尽くすべきだろう。 (まともに戦っても勝てないし、そもそも搦め手もきっつそうなレベル差っぽいけど、搦め手を使う感じでいくかな。基本はナツキさんの補助をする動きで、人形を動かす) と、キールアインは考えていた。 自分の力では恐らくドラゴンに対応できない。 それならば、補助に回り、味方の援護を進める。それが自分に課せられた役目であると感じていた。 「ナニカ。準備はいいか?」 と、キールアインはナニーリカに向かって声をかけた。 ナニーリカは軽く頷くと、彼に言葉を返す。 「大丈夫です。ただ、私の力がどこまで通じるか……」 「ナニカ。お前は後方から攻撃しなよ。後方から目ん玉と翼の付け根とか、弱そうな部位を狙って攻撃する感じにするといいと思うよ」 「キル……。わかりました。但し、キルも気を付けて」 「うん、防御行動はしても抜かれそうだから、まー、回避かな。回避も厳しければ、潔く受け身がんばるさ」 エクソシストたちの戦闘前のやり取りを確認したドラゴンが高らかに宣言する。 「さて、そろそろ戦闘開始と行くか。こっちは早く戦いたいんでね。行くぞ!」 その言葉を合図に戦闘開始。 ドラゴンはまず火を噴いてエクソシストたちを攻撃する。 「やるぜ相棒!」 と、ナツキが言い、それ受け、ルーノが答える。 「ああ、行こうか」 二人は魔術真名を宣言し、力を解放。 完全な臨戦態勢になる。 ドラゴンの火の一撃がエクソシストたちを襲う。 しかし、まだ戦闘は序章である。 ドラゴンの攻撃もあくまでも様子見という程度。 炎による攻撃を、ナツキとルーノ、そしてキールアインとナニーリカが横っ飛びでかわす。 攻撃をかわしたルーノが動く。 彼は、ドラゴンの視界から外れるように位置取りをして、そこから攻撃を組み立てようと考えていた。 ドラゴンは体が大きいが、目は前方にしかついていない。 となれば、死角に入れば効果的に攻撃ができるだろう。 ルーノはドラゴンのやや後方に位置取り、死角に入ったのを確認すると、小咒を放つ。 小咒は火気の魔術攻撃を加え、魔力攻撃によるダメージを与える。その攻撃が、ドラゴンの背中部分を焼く。 ドラゴンの体がピクっと反応する。 しかし、それは微弱であり、それほどダメージを負っているようにはみえない。 「なるほど、ダメージなしか。流石はドラゴンといったところだね。でもまだまだこれからだ」 ルーノは気落ちせず、積極的に小咒を使用していくと決めた。 背中に攻撃を受けたドラゴンであったが、硬い皮膚で守られており、ほとんどダメージを受けていなかった。 (死角からの攻撃か、放っておくと厄介だな……) ドラゴンはそんな風に考え、まずは火を噴いたり、突進したりして様子を見てみようと考えた。 一方、キールアインは火の攻撃をかわし、勢いそのままにドラゴンの後方に走っていく。 「人形を使ってかく乱する!」 キールアインの武器はベーシックドール。つまり人形である。 この人形を使い、攻撃の作戦を組み立てた。 「まずはドラコンの背中に乗せないとな」 キールアインは人形をドラゴンの背中に乗せる。 もちろん、ドラゴンもその存在に気づく。 「人形か? 何をするつもりだ、エクソシスト!」 ドラゴンは大きな体を揺すって人形を振り落す。 人形はあっさりと背中から滑り落ちるが、これこそが、キールアインの作戦である。 彼の作戦は、ドラゴンの背中に視覚から人形を乗せて、注意をそらし、ふるい落としたと勘違いさせたところで、今度は本当に背中に乗ることだ。 滑り落ちた人形を掴み、ドラゴンの背中に乗ったキールアインは翼の付け根に向かって人形で攻撃を繰り出す。 (どーかんがえても俺じゃ無理ゲーだから、ナツキさんやルーノさんの補助に専念だ) キールアインの人形による攻撃がドラゴンの背中に直撃する。 しかし、ドラゴンの皮膚は硬い、やはり、それほどダメージを負っていない。 「ちょこまかとうざったいエクソシストだな!」 ドラゴンは劈くように叫ぶと、背中の翼を大きく羽ばたかせた。 背中が振動し、乗っていたキールアインがバランスを崩す。 「飛ばないって言ったはずじゃ」 「ふん、飛んではいない。羽ばたいただけだ」 「まぁ良いさ、受け身を取れば多分問題ない」 キールアインは背中から振り落とされたが、しっかり受け身を取ったため、それほど衝撃を感じなかった。 ここで、ナニーリカが動いた。 彼女はドラゴンが羽ばたいた時、一瞬後方を向いたのを利用し、ボウガンの一撃を放った。狙うのはドラゴンの目。視界を奪えば戦闘は有利に進むだろう。 ボウガンの一撃はドラゴンの右目の脇に刺さる。 チクリする痛みがドラゴンを襲った。 「ボウガンか? なかなかやるな、そこの女!」 「あんまり効いているようには見えませんが……」 ナニーリカの攻撃を見たキールアインは続けて叫んだ。 「ナニカ攻撃を緩めるな! 攻撃を重ねればダメージは蓄積する」 「わかっています。既に準備は進めています」 ナニーリカは今度はワーニングショットを放った。 狙うのは先程と同じ目付近である。 ナニーリカの攻撃を受け、ドラゴンは一瞬目を閉じる。 この時、僅かであるが隙ができた。 ナツキがドラゴンの前に出て、気を引きつつダメージを稼ぐ。 「俺だって負けてねぇぜ」 ナツキは自慢の武器であるアスカロンを使い、ドラゴンの足を切り裂く。 アスカロンは老齢の巨大なドラゴンのベリアルを両断した逸話を持つ武器だ。 物理的な攻撃力も高い。 ドラゴンは物理的な攻撃に強いが、アスカロンの一撃がドラゴンの硬い皮膚を切り裂いた。 ドラゴンの脚部から鮮血が迸る。 「俺の皮膚に傷をつけるとは、なかなかいい武器だな! しかしまだ甘い」 ドラゴンはナツキに向かって突進してくる。 ナツキは間一髪で突進をかわしていく。 「ちっ。これくらいのダメージじゃあまり意味ねぇか。だがスピードは俺たちの方が上だぜ」 ドラゴンは体は大きいがその分小回りが利かない。 そのため、突進も注意を払っていればそれほど脅威にはならない。 ナツキの攻撃を受け突進したドラゴンは静かに笑う。やはり戦闘は魅力的だ。 (ナツキさんの言うとおり、確かにスピードは俺たちの方に分があるな) そう考えたキールアインはナニーリカに指示を出す。 「ナニカ、俺はもう一度ドラゴンの背中に乗る。ワーニングショットで隙を作ってくれ」 「わかりました。前方から攻撃します」 ナニーリカのワーニングショットが再びドラゴンを襲う。 今度狙うのは、ナツキが切り裂いた脚部の傷口である。 ワーニングショットがドラゴンの傷口に刺さり、ドラゴンの表情が曇る。 「傷口を狙うか……。弱点を攻撃するのは基本中の基本というかわけか」 ドラゴンが言うと、ナニーリカが静かに答える。 「こっちも負けるわけにいきません。少なくとも、あなたが参ったというまでは私は戦います」 ドラゴンの後方に回ったキールアインは、再び背中に飛び乗った。 そして翼の付け根向かって人形による攻撃を放つ。 「ルーノさん、ナツキさん、攻撃を!」 キールアインの役目はあくまでもルーノやナツキの補助である。 自分の攻撃ではドラゴンにダメージを与えるのは難しい。 しかし、ルーノやナツキなら可能だろう。 キールアインの言葉を聞き、ルーノが動く。 ルーノは死角から一気にドラゴンの前方に出ていく。 「キールアインさん。感謝するよ」 ルーノはそう言いながら、小咒を放つ。 積極的に小咒を放つものの、傷ついた仲間の回復を考えて、多用はできない。 ルーノの一撃がドラゴンの脚部に注がれる。 傷ついた傷口に小咒が直撃し、ドラゴンは膝を折った。 ガクッと体勢を崩すドラゴン。 「流石、動きが早いな。しかしまだこれからだぞ」 ドラゴンは強引に火を噴き、前方にいたルーノを焼こうとした。 「相棒、危ねぇ」 ナツキが横っ飛びでルーノを突き飛ばし、ドラゴンの火の攻撃を間一髪でかわす。 ナツキとルーノはギリギリのところで攻撃をかわし、草原に寝そべった。 「相棒、大丈夫か?」 「私は大丈夫。そっちは?」 「俺も大丈夫だ。まだやれるよな相棒!」 「もちろんやれるよ。いい方法を考え付いたんだがやってみよう」 「いい方法? なんだそれ?」 「力で敵わないなら速さで勝負だね。体の下や頭上からの攻撃には対応しにくいと予想している。私が回り込んだりドラゴンを足場にしたりして狙って合図を出すから、ナツキは磔刺の準備をしてほしい」 「わかった。どこを攻撃すればいい?」 「ドラゴンは脚を痛めている、その弱点を突こう」 「了解。任せろ、じゃあそろそろ戦闘に戻ろうぜ!」 作戦を組み立て、二人は再び戦闘に戻っていく。 一方、キールアインとナニーリカも依然としてドラゴンと戦っていた。 二人の力ではどう考えてもドラゴンを攻略できない。 なんとかナツキやルーノが戻る時間を稼がなければならない。 相変わらず背中に乗っていたキールアインであったが、彼の攻撃も少しずつドラゴンに効き始めていた。塵も積もれば山となる形である。 ドラゴンの硬い皮膚の覆われた背中であったが、キールアインのしつこい攻撃を受け、少しだが傷つき始めていた。 「ナニカ、背中に攻撃をするんだ」 「しかし、キルがいては」 「俺は大丈夫だ、気にせずやれ」 それを聞き、ナニーリカは今度はボウガンによる攻撃を放つ。 「ちょこまかとしたエクソシストめ。これでも食らえ」 ドラゴンはそう言い、ナニーリカに向かって尻尾をブンと振るった。 ナニーリカは間一髪で攻撃をかわすが転倒してしまう。 次の攻撃はかわせないだろう。 「ナニカ!」 キールアインが叫び、今まさにドラゴンが再び攻撃しようとした時、ルーノとナツキがドラゴンの前に立ちはだかった。 「それまでだぜ、ドラゴン」 ナツキが言い、ルーノがナニーリカを抱え起こす。 「大丈夫かい? ナニーリカさん」 「は、はい、ありがとうございます」 「後は私たちに任せてください。キールアインさん、ナニーリカさんを頼みます」 ドラゴンの背中から降りたキールアインがナニーリカの元へ向かい、4人のエクソシストたちが揃う。 ドラゴンとの戦闘も終盤。 お互い消耗している。恐らく次の一撃が最後になるだろう。 「行くぜ! 相棒」 「あぁやろうか」 ルーノとナツキがドラゴンに向かっていく。 ドラゴンもそれを迎えうつ。 ルーノはドラゴンの後方に移動し、死角に入る。死角に潜伏し、不意打ちからの奇襲攻撃を狙う。 ルーノの残りの魔力はまだあるが、あまり魔力を無駄には使えない。 彼は、小咒でドラゴンの翼部分を攻撃、ドラゴンの注意を引き、ナツキに向かって合図を飛ばす。 「ナツキ! 今だ!」 「おう。任せろ」 ルーノの合図にナツキが反応。 彼は、磔刺を使用し、ドラゴンの傷ついた脚部に向かって攻撃を放つ。 「食らえ! ドラゴン」 ナツキの攻撃がドラゴンの脚部に直撃する。 ドラゴンは苦痛に顔を歪めながら、それでも反撃する。 ドラゴンは火を噴き、前方にいたナツキを焼き払おうとする。 「おっと、危ねぇ」 炎の攻撃をかわしたナツキであったが、その際足を挫いてしまった。 それをルーノは見ていた。彼はナツキを助けるために、ドラゴンの前に立ちはだかる。 「私が相手だ」 「これでも食らえ! エクソシスト」 ドラゴンは火の攻撃を緩めない。 ルーノは、ナツキを支え、火の攻撃をかわすが、体勢を崩してしまう。 万事休すか……。 その時だった。 戦闘を見ていた老ドラゴンが声を出した。 「そこまでだ。そろそろいいだろう」 それを聞いたドラゴンは不満そうだった。 「なぜ止める? 戦闘はまだまだこれからだぜ」 「お主の足を見てみろ、大分損傷している。これ以上の戦闘は傷口を刺激するだけだ。それにエクソシストたちも大分疲弊している。そこで、私から提案がある。今回の戦闘、どちらも存分に力を発揮したはずだ。なら、引き分けでどうかな?」 引き分け……。 その言葉を聞き、ルーノ、ナツキ、キールアイン、ナニーリカの四名が反応する。 まず声を出したのはナツキであった。 「引き分けか。まぁ負けじゃねぇからいいけどよ」 その後ナツキが、 「引き分けでも構わないよ。いい腕試しになったしね」 キールアインも引き分けに了承したようである。 「俺も引き分けで問題ない。もともと俺にとっては無理ゲーだったからな」 ナニーリカも深く頷き、 「私も引き分けで問題ありません」 「ち! そこまで言うのなら引き分けでもいいけどよ。こっちはまだまだやれるぜ」 ドラゴンはあくまでも強気であった。 しかし、傷ついた脚部からは血が流れ出ている。 「では引き分けだ」 さらに、老ドラゴンが続けて、 「勝負はこれまで。お互いいい模擬決戦になっただろう」 最後にナツキがドラゴン向かって言った。 「ドラゴン! 次は負けねぇからな!」 「また来い。エクソシストたちよ。俺はいつでも歓迎だ」 こうして戦闘は終わった――。 エクソシストたちは大分疲弊していたが、ルーノの天恩天賜Ⅱで体力を回復させた。 戦闘は引き分けに終わったが、エクソシストとドラゴンの模擬決戦は本番さながらの臨場感があった。 「引き分けか……、まぁいいけどよ、なんか悔しいな」 ドラゴンが去った竜の渓谷の草原で、ナツキはそんな風に呟いた。 それを聞いたルーノは彼を励ます。 「それでも負けなかったんだからよしとするべきさ。最後は危なかったしね」 「まぁな。でもいい経験になったな。ドラゴンとはなかなか戦えないぜ」 「そうだね。この経験を活かしていけるといいね」 キールアインとナニーリカの二人も戦闘を終えて、語り合っていた。 草原に吹く風が火照った体を冷やしてくれる。 「俺たち役に立てたのかな? なんかやられっぱなしだった感じだけど」 「そんなことありません。キルは立派に戦いました」 「まぁ、ルーノさんやナツキさんのサポートがメインだったからな。それができたし、戦闘も引き分けだったらよかったんだよな?」 「そうです、私たちは無事役目を果たしました。それは誇りましょう」 引き分けに終わったドラゴンとの模擬決戦。 ルーノ、ナツキ、キールアイン、ナニーリカの四名にとってもいい経験になっただろう。 次なる戦闘に向けて、エクソシストたちは竜の渓谷を後にした。
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*** 活躍者 *** |
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[5] ナツキ・ヤクト 2018/10/17-22:33
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[4] キールアイン・ギルフォード 2018/10/17-22:22
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[3] キールアイン・ギルフォード 2018/10/17-22:14
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[2] ナツキ・ヤクト 2018/10/16-23:15
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