リロード・カーマインのクリスマス!
普通 | すべて
1/1名
リロード・カーマインのクリスマス! 情報
担当 鞠りん GM
タイプ シチュエーションノベル
ジャンル 日常
条件 すべて
難易度 普通
報酬 なし
相談期間 2 日
公開日 2019-11-19 00:00:00
出発日 2019-11-19 00:00:00
帰還日 2019-12-01



~ プロローグ ~

1719年12月――教皇国家アークソサエティは、今年もクリスマスムードに包まれています。

12月24日の「アレイスター・エリファス」の生誕祭として、教皇国家アークソサエティを中心に普及したイベントでしたが、
今では、恋人や家族が食事や団欒を楽しむ、一大イベントと変化していました。

子ども達にとっては、アレイスター・エリファスよりも知名度の高い「伝説の魔術師:サンタクロース・ニコライ」が、
プレゼントを届けてくれるという、希望溢れる日です。

エクソシスト達の活躍により、去年は見なかった異国人が増えていたり、
魔女が生活をしている様子も、見られるようになりました。
着実に、この国は、世界は良い方向に傾いています。

とはいえ、未だ暗躍を続ける「終焉の夜明け団」をはじめとして、
世界救済をするためには、越えなければならない障害が残っています。

戦いに身を置くエクソシストが1年を生き残ったのは、奇跡といえるでしょう。

そして、その奇跡が今年も続くとは限りません。
スケール5のベリアルの登場など、益々命を懸ける場面が出て来るはずです。

既に親友といえる仲の皆さんも、既に恋人同士の皆さんも。
聖なる夜に、さらに先の関係に進むため、想いを伝えることも良いでしょう。

――memento mori


~ 解説 ~

現代社会とは、起源などが異なっていますが、基本的なイメージは同様のイベント内容になっています。
七面鳥やシャンパン、ケーキといった定番的な料理を楽しんだり、クリスマスツリーやキャンドルなども国内で飾られます。

また、ヨーロッパ圏であるためユール色も強く、料理を並べたテーブルを「ユール・ボード」を呼称したり、
ケーキはブッシュ・ド・ノエル、肉料理はユール・シンカが主流であるなど、現代日本とは多少感覚が異なる部分があります。

サンタクロースが枕元にプレゼントを置いていく、という伝説も存在します。
教団では、まだ年端も行かないエクソシストには、サンタクロースのプレゼントと称して、プレゼントを渡しているようです。

マリン・ネクタールからは、毎年経費を抑えてと申し出があるものの、
ヨセフ・アークライトは毎年なんとかしてプレゼントをやりくりしています。
(※ファンタジー世界ではありますが、世知辛いことに、プレゼントは保護者などが用意しています)

教皇国家アークソサエティ以外の国を出身としている場合は、ユールやクリスマスを知らないという可能性もありますので、
クリスマスという文化はどんなものなのかわからない、ということを前提としても問題ありません。


~ ゲームマスターより ~

※イベントシチュエーションノベル『聖なる夜は終わらない』の対象エピソードです。





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

リロード・カーマイン スコア・オラトリオ
女性 / 人間 / 悪魔祓い 男性 / エレメンツ / 狂信者
・スポット番号18:お仕事

【心情】
あはっ♪
全敵の撃破、完了したわよ
…ん?何よスコア
何か言いたそうね
クリスマスにも敵は湧いて出てくるんだもの
仕事をするのは当然でしょ?
敵は有事なんて気にしないもの
私達みたいなのが必要よね?

…ほら、帰ったらちゃんとクリスマスの料理作ってあげるから
機嫌を直しなさい
あ、サラダも残さないで食べるのよ
バランスは大事なんだから

…まぁ、そうよね
これから年末年始も仕事だし
今のうちに来年の抱負でも言っておきましょう
…大事でしょ?私達にはこういうのが

私は…『来年こそ昇級したい』かしら?
ふふ、今年と変わらないけれど
…それと同時に『日常に踏みとどまりたい』ってちゃんと目標立てとかないと

私はただの人を殺す獣になるかもしれないわね
ふふ、大丈夫『まだ』私は平気よ
でも、私が獣になったらその時は
スコアが私を殺すのよ
貴方が獣になったら私も躊躇いなく殺すから
…約束よ、お願いね?(穏やかに笑い)


~ リザルトノベル ~



 ――君が居ないとさ、誰が僕の作った曲を聞いてくれるのさ。
 ――君にはアタシが必要なのよ。




「スコア、いくわよ」
「いつもいきなりだね、リロード」
 『リロード・カーマイン』は、『スコア・オラトリオ』を後ろから抱き締め、2人は同じ言葉を唱える。
 ――敵に鉛玉を。
 発動するアプソリュートスペル。
 リロードとスコアの、信念と繋がりが籠った魔術真名。
「さぁ、絶対にあのべリアルを倒すわよ」
 リロードはスコアから少し離れ、片手に持っていた愛銃を構えた。
 狙うのは遠方に居る、スケール1と思われる4本足で歩くべリアル。
 アプソリュートスペルでリングマーカーの命中率を上げ、リロードはべリアルのどこかにある、命の核である魔方陣を探す。
「出来たら一撃で仕留めたいわね。これだけの魔物を屠って来たんだもの、私たちのほうにも余裕は無いわよ」
「うん、僕の魔術も後数回が限界だね」
「あれを倒せば最後よ」
 手のかかりそうなべリアルだけを残し、周りに存在していた魔物は全て倒し終えている。
 このべリアルだけ……魔方陣さえ見つけられれば、そう難しい敵ではない。
 じっとスコープを覗くリロード。動き回るべリアル。
 互いに緊迫した時間が流れたその時! リロードの赤い瞳がべリアルの魔方陣を捕らえた。
「四肢の右脇腹の下! 動けば見えにくいけど、確かに魔方陣があるわ」
「うん分かった。リロードが先に撃って、その後に僕が追い討ちを……だよね?」
「ふふ、分かっているじゃない」
 彷徨くべリアル、だがリロードの力と殺気を感じたのか、急に二人に向い敵意を持って走り出した!
「不味いわね、急ぐわよスコア」
「うん」
 リロードがべリアルの魔方陣に向けて引き金を引く。
 『パーン!』という銃声が響く中、
 ――エアーズ。
 スコアの魔術が更なる追い討ちをかける。
 『ギャー!!』
 2人の攻撃は、どちらも魔方陣に命中し、回復能力を失なったべリアルは、イレイスに喰われ、その身は砂と化した。
「あは。全敵の撃破、完了したわよ」
 リロードが快感を覚える中、敵の討伐が終わった途端、スコアは大きなあくびばかり。
 でもその瞳は、リロードになにか言いたそう。
「……ん? なによスコア」
「ふぁぁ~。クリスマスになんで仕事なの?」
 そう今日はクリスマス当日。
 浄化師だって人。みんなクリスマスを楽しみにしている。
 なのに……リロードとスコアは仕事。クリスマスなんてお構いなし。
「クリスマスにも敵は湧いて出て来るんだもの、仕事をするのは当然でしょう?」
「いや、まあ、リロードらしいけどさ」
 そう言って、スコアはまた大あくび。
「敵は有事なんて気にしないもの、私たちみたいのが必要よね?」
「僕にやる気なんて期待しないでよね。付き合ってあげるだけマシでしょう?」
「……まあそうね。これから年末年始も仕事だし」
「……はあ、本当に敵も空気呼んで欲しいよねー」
 近くの木に座りながら、スコアは眠くてウトウト。それでもリロードの話はしっかりと聞いてはいる。
「あら? これでも仕事はクリスマスにちなんで選んだつもりよ?」
 リロードとスコアが居る場所は、ソレイユにある巨木イルミンスール。
 教団本部と同じくらいの高さを誇る巨木の中。
 かつては神格化されていた巨木だが、今は廃れ生物や魔物の巣窟となってしまった悲しい場所。
 そんな立体迷路のような巨木に、べリアルが出現したとの情報を受け、リロードは巨木をクリスマスツリーに見立てて、この仕事を引き受けた。
「ふぁぁ……。魔物さえ居なければ、作曲が出来るほど静かで幻想的な場所だよ」
 少しブカブカした服の中から、紙とペンを取り出し、早速曲作りを始めようとしたスコアだったが……リロードの赤い目が光り銃口がスコアに向いているのに気がついて、仕方なく取り出した物をしまい込んだ。
「こんな場所で作曲なんてさせないわよ」
「し、しないよ」
「本当に?」
「本当だよ。ちょっと思ったけどね……」
「スコア!」
(引き金を引くことはないと分かっていてもさ、こうでもしないと、君は僕のほうに目を向けないから)
 ――気づいてほしいこの想い。だけど言えない想い。
「ほら、帰ったらちゃんとクリスマスの料理作ってあげるから、機嫌を直しなさい」
「そんなに機嫌は悪くないよ。まぁ……作ってくれるなら食べるけどね」
「あ、サラダも残さず食べるのよ。バランスは大事なんだから」
「……食べるよ」
 今度こそ少し不機嫌?
 『ふぁぁー』とあくびをして、スコアは少しだけ目を瞑る。
 そんなスコアを見て、リロードは深紅の長い三つ編みを振りながら、このとてつもなく古い巨木を見回す。
 そして思ったのは、スコアとは正反対のこと。
「今のうちに来年の抱負でも言っておきましょう。……大事でしょ? こういうのが」
 ちょっとだけ片目を開けるスコア。今日はクリスマスだというのに、もう来年の抱負。
 リロードは前しか見えていないのではと、スコアは心配になる。
「私は……『来年こそ昇級したい』かしら? ふふ、今年と変わらないけど」
(それと同時に『日常に踏み留まりたい』って、ちゃんと目標を立てておかないと)
 リロード自身も分かっている。敵を倒し手柄をたてることが快感。それゆえに『向こう側』に近づきつつあることを。
 それはスコアも感じている。だからこそスコアが居なくてはダメなことも。
「……なんていうか、リロードってさ、ちゃんと日常に戻れてる? クリスマスもこんな仕事ばかりして、『向こう側』に傾いても知らないよ」
 その言葉に、リロードは深紅の髪を大きく振り回してスコアを真面目に見つめた。
「その時は、私はただの獣になるかもしれないわね」
「……リロード」
 リロードのモットーは、敵が嫌がることを率先してやる。でもそれは簡単に『向こう側』に近くなることも意味している。……だからこその心配。
「ふふ、大丈夫『まだ』私は平気よ」
 リロードはスコアから視線を外し、また悠々たる巨木を見る。
「でも、私が獣になったら、その時はスコアが私を殺すのよ。貴方が獣になったら、私も躊躇いなく殺すから」
 一拍置き、リロードはもう一度スコアへと振り返った。
「……約束よ、お願いね?」
 その顔はおだやかな笑み。
 これがリロードの本心なんだと感じとり、スコアはなにも言わずに瞳を閉じた。
(……本当は、君が居なくても僕は1人で生活出来るけどさ、リロードを日常に引き戻すには、誰かがこうしてだらけていないと)
 ――あっという間に『向こう側』行っちゃうから。
 だからスコアは少しだけ話を変える。リロードを『向こう側』に行かせないために。
「来年の抱負ー? 曲作りたいかな」
「またそれ? まあいいわ、私が健康状態を管理してあげるわよ。さあ、帰りましょう」
「……うん」
 ――君が居ないとさ、誰が僕の作った曲を聞いてくれるのさ。
(帰ったら、今日の日のために作った讃美歌を弾くからさ、ちゃんと聞いてね)




 クリスマスということで、今日の教団寮は異性の寮室に入ることを許可されている。
 任務から帰って来たリロードは、早速自室で料理を作り始め、スコアはリロードの部屋にオルガンは持ち込めないので、ちょっとした秘策を用意した。
 こうして、リロードの寮室で細やかなクリスマスパーティーが始まる。
「……リロード、なんで中心にサラダなのさ。普通はケーキを置くよね?」
 テーブルの上に並べられた、ブッシュ・ド・ノエル、ユール・シンカにミートパイ。
 そこまではいいが、中心にドンッと置かれた特大サラダを見て、スコアは少し落ち込み気分。
「あら? 真ん中に置かないと、スコアは食べないわよね?」
「食べるって言ったよ」
「じゃあ、サラダどうぞスコア?」
「……うっ」
(アタシがやらないと、誰がスコアの面倒を見るのよ)
 作曲に集中したら一直線。食べることも、寝ることさえも忘れ、曲作りに夢中になってしまうスコア。
 そんなスコアだからこそ、リロードは放っておけない。
 弟の面倒を見るように、朝から晩までスコアを見張っているのがリロードのクセ。
(でもね、スコアが居るからこそ、アタシは『向こう側』に行けないのよ。アタシが居なくなったら、スコアはすぐ倒れてしまうわよね?)
 ――君にはアタシが必要なのよ。
「ちゃんと取り分けてあげるわ。後、食べる時は、その長い袖を引っ張り、手をしっかりと出すのよ」
「分かってるよ。……ふぁぁ」
 あくびをしながらも、袖を引っ張り上げ、リロードがユール・シンカを切り分けるのを、ボーっと見ているスコア。
 肉よりも前にサラダが置かれたけれども、文句を言いながら食べるのがスコアのクセ。
 皿に分けられたユール・シンカには、数種類のマスタード。
 この味の変化もリロードがこだわった1つ。
 そして木目が綺麗なブッシュ・ド・ノエルが添えられ、短時間の料理なのに、クリスマスムードは満点。
「……やっとクリスマスぽくなったねリロード?」
「そうね。でも細やかでいいわ。明日も任務はあるのよ」
「毎日戦いの日々だよ、僕の作曲の時間は?」
「ちゃんとやっているわよねスコア?」
(本当は知っているのよ。寝かせるのに自室に送っているのに、その後で曲を作っていることをね)
 ――そこまでは追求しないであげるわよ。

 リロードの拘り料理で、お腹はいっぱい。
 ちゃんとサラダも残さず食べたスコアは、今日のメインと言わんばかりに、リロードの部屋に持ち込んだフルートを手に取った。
「クリスマスだからさ、讃美歌を聴いてよリロード」
「フルートでの讃美歌もいいわね」
 スコアは1人がけの椅子に座りフルートを奏で出し、リロードはシャドウ・ガルデン産のワインを持ちながら、窓の近くにあるソファーに座り、スコアが奏でるフルートの讃美歌に耳を澄ます。
 オルガンとは違い、繊細な音色で演奏される美しい讃美歌。
 普段は終始眠そうにしているスコアだが、こうして白銀のフルートを奏でる姿は神聖な者にさえ見えてしまう。
 もしリロードが楽器を扱えるなら、スコアと一緒に奏でハーモニーをするのに――。
 そんな思いを持ちながら、リロードは目を瞑り讃美歌を楽しむ。
(こんなクリスマスも悪くないわね)
 リロード1人では出来ないクリスマス。
 スコアが居るからこそ、クリスマスが楽しく思える。
 ――いつかきっと、ハーモニーを奏でられることを夢見て。



リロード・カーマインのクリスマス!
(執筆:鞠りん GM)



*** 活躍者 ***

  • リロード・カーマイン
    作戦に綺麗も汚いもある?
  • スコア・オラトリオ
    フレーズが沸いてきたー!

リロード・カーマイン
女性 / 人間 / 悪魔祓い
スコア・オラトリオ
男性 / エレメンツ / 狂信者