~ プロローグ ~ |
1719年12月――教皇国家アークソサエティは、今年もクリスマスムードに包まれています。
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~ 解説 ~ |
現代社会とは、起源などが異なっていますが、基本的なイメージは同様のイベント内容になっています。
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~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル『聖なる夜は終わらない』の対象エピソードです。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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・スポット番号18:お仕事
【心情】 あはっ♪ 全敵の撃破、完了したわよ …ん?何よスコア 何か言いたそうね クリスマスにも敵は湧いて出てくるんだもの 仕事をするのは当然でしょ? 敵は有事なんて気にしないもの 私達みたいなのが必要よね? …ほら、帰ったらちゃんとクリスマスの料理作ってあげるから 機嫌を直しなさい あ、サラダも残さないで食べるのよ バランスは大事なんだから …まぁ、そうよね これから年末年始も仕事だし 今のうちに来年の抱負でも言っておきましょう …大事でしょ?私達にはこういうのが 私は…『来年こそ昇級したい』かしら? ふふ、今年と変わらないけれど …それと同時に『日常に踏みとどまりたい』ってちゃんと目標立てとかないと 私はただの人を殺す獣になるかもしれないわね ふふ、大丈夫『まだ』私は平気よ でも、私が獣になったらその時は スコアが私を殺すのよ 貴方が獣になったら私も躊躇いなく殺すから …約束よ、お願いね?(穏やかに笑い) |
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~ リザルトノベル ~ |
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――君が居ないとさ、誰が僕の作った曲を聞いてくれるのさ。 ――君にはアタシが必要なのよ。 ● 「スコア、いくわよ」 「いつもいきなりだね、リロード」 『リロード・カーマイン』は、『スコア・オラトリオ』を後ろから抱き締め、2人は同じ言葉を唱える。 ――敵に鉛玉を。 発動するアプソリュートスペル。 リロードとスコアの、信念と繋がりが籠った魔術真名。 「さぁ、絶対にあのべリアルを倒すわよ」 リロードはスコアから少し離れ、片手に持っていた愛銃を構えた。 狙うのは遠方に居る、スケール1と思われる4本足で歩くべリアル。 アプソリュートスペルでリングマーカーの命中率を上げ、リロードはべリアルのどこかにある、命の核である魔方陣を探す。 「出来たら一撃で仕留めたいわね。これだけの魔物を屠って来たんだもの、私たちのほうにも余裕は無いわよ」 「うん、僕の魔術も後数回が限界だね」 「あれを倒せば最後よ」 手のかかりそうなべリアルだけを残し、周りに存在していた魔物は全て倒し終えている。 このべリアルだけ……魔方陣さえ見つけられれば、そう難しい敵ではない。 じっとスコープを覗くリロード。動き回るべリアル。 互いに緊迫した時間が流れたその時! リロードの赤い瞳がべリアルの魔方陣を捕らえた。 「四肢の右脇腹の下! 動けば見えにくいけど、確かに魔方陣があるわ」 「うん分かった。リロードが先に撃って、その後に僕が追い討ちを……だよね?」 「ふふ、分かっているじゃない」 彷徨くべリアル、だがリロードの力と殺気を感じたのか、急に二人に向い敵意を持って走り出した! 「不味いわね、急ぐわよスコア」 「うん」 リロードがべリアルの魔方陣に向けて引き金を引く。 『パーン!』という銃声が響く中、 ――エアーズ。 スコアの魔術が更なる追い討ちをかける。 『ギャー!!』 2人の攻撃は、どちらも魔方陣に命中し、回復能力を失なったべリアルは、イレイスに喰われ、その身は砂と化した。 「あは。全敵の撃破、完了したわよ」 リロードが快感を覚える中、敵の討伐が終わった途端、スコアは大きなあくびばかり。 でもその瞳は、リロードになにか言いたそう。 「……ん? なによスコア」 「ふぁぁ~。クリスマスになんで仕事なの?」 そう今日はクリスマス当日。 浄化師だって人。みんなクリスマスを楽しみにしている。 なのに……リロードとスコアは仕事。クリスマスなんてお構いなし。 「クリスマスにも敵は湧いて出て来るんだもの、仕事をするのは当然でしょう?」 「いや、まあ、リロードらしいけどさ」 そう言って、スコアはまた大あくび。 「敵は有事なんて気にしないもの、私たちみたいのが必要よね?」 「僕にやる気なんて期待しないでよね。付き合ってあげるだけマシでしょう?」 「……まあそうね。これから年末年始も仕事だし」 「……はあ、本当に敵も空気呼んで欲しいよねー」 近くの木に座りながら、スコアは眠くてウトウト。それでもリロードの話はしっかりと聞いてはいる。 「あら? これでも仕事はクリスマスにちなんで選んだつもりよ?」 リロードとスコアが居る場所は、ソレイユにある巨木イルミンスール。 教団本部と同じくらいの高さを誇る巨木の中。 かつては神格化されていた巨木だが、今は廃れ生物や魔物の巣窟となってしまった悲しい場所。 そんな立体迷路のような巨木に、べリアルが出現したとの情報を受け、リロードは巨木をクリスマスツリーに見立てて、この仕事を引き受けた。 「ふぁぁ……。魔物さえ居なければ、作曲が出来るほど静かで幻想的な場所だよ」 少しブカブカした服の中から、紙とペンを取り出し、早速曲作りを始めようとしたスコアだったが……リロードの赤い目が光り銃口がスコアに向いているのに気がついて、仕方なく取り出した物をしまい込んだ。 「こんな場所で作曲なんてさせないわよ」 「し、しないよ」 「本当に?」 「本当だよ。ちょっと思ったけどね……」 「スコア!」 (引き金を引くことはないと分かっていてもさ、こうでもしないと、君は僕のほうに目を向けないから) ――気づいてほしいこの想い。だけど言えない想い。 「ほら、帰ったらちゃんとクリスマスの料理作ってあげるから、機嫌を直しなさい」 「そんなに機嫌は悪くないよ。まぁ……作ってくれるなら食べるけどね」 「あ、サラダも残さず食べるのよ。バランスは大事なんだから」 「……食べるよ」 今度こそ少し不機嫌? 『ふぁぁー』とあくびをして、スコアは少しだけ目を瞑る。 そんなスコアを見て、リロードは深紅の長い三つ編みを振りながら、このとてつもなく古い巨木を見回す。 そして思ったのは、スコアとは正反対のこと。 「今のうちに来年の抱負でも言っておきましょう。……大事でしょ? こういうのが」 ちょっとだけ片目を開けるスコア。今日はクリスマスだというのに、もう来年の抱負。 リロードは前しか見えていないのではと、スコアは心配になる。 「私は……『来年こそ昇級したい』かしら? ふふ、今年と変わらないけど」 (それと同時に『日常に踏み留まりたい』って、ちゃんと目標を立てておかないと) リロード自身も分かっている。敵を倒し手柄をたてることが快感。それゆえに『向こう側』に近づきつつあることを。 それはスコアも感じている。だからこそスコアが居なくてはダメなことも。 「……なんていうか、リロードってさ、ちゃんと日常に戻れてる? クリスマスもこんな仕事ばかりして、『向こう側』に傾いても知らないよ」 その言葉に、リロードは深紅の髪を大きく振り回してスコアを真面目に見つめた。 「その時は、私はただの獣になるかもしれないわね」 「……リロード」 リロードのモットーは、敵が嫌がることを率先してやる。でもそれは簡単に『向こう側』に近くなることも意味している。……だからこその心配。 「ふふ、大丈夫『まだ』私は平気よ」 リロードはスコアから視線を外し、また悠々たる巨木を見る。 「でも、私が獣になったら、その時はスコアが私を殺すのよ。貴方が獣になったら、私も躊躇いなく殺すから」 一拍置き、リロードはもう一度スコアへと振り返った。 「……約束よ、お願いね?」 その顔はおだやかな笑み。 これがリロードの本心なんだと感じとり、スコアはなにも言わずに瞳を閉じた。 (……本当は、君が居なくても僕は1人で生活出来るけどさ、リロードを日常に引き戻すには、誰かがこうしてだらけていないと) ――あっという間に『向こう側』行っちゃうから。 だからスコアは少しだけ話を変える。リロードを『向こう側』に行かせないために。 「来年の抱負ー? 曲作りたいかな」 「またそれ? まあいいわ、私が健康状態を管理してあげるわよ。さあ、帰りましょう」 「……うん」 ――君が居ないとさ、誰が僕の作った曲を聞いてくれるのさ。 (帰ったら、今日の日のために作った讃美歌を弾くからさ、ちゃんと聞いてね) ● クリスマスということで、今日の教団寮は異性の寮室に入ることを許可されている。 任務から帰って来たリロードは、早速自室で料理を作り始め、スコアはリロードの部屋にオルガンは持ち込めないので、ちょっとした秘策を用意した。 こうして、リロードの寮室で細やかなクリスマスパーティーが始まる。 「……リロード、なんで中心にサラダなのさ。普通はケーキを置くよね?」 テーブルの上に並べられた、ブッシュ・ド・ノエル、ユール・シンカにミートパイ。 そこまではいいが、中心にドンッと置かれた特大サラダを見て、スコアは少し落ち込み気分。 「あら? 真ん中に置かないと、スコアは食べないわよね?」 「食べるって言ったよ」 「じゃあ、サラダどうぞスコア?」 「……うっ」 (アタシがやらないと、誰がスコアの面倒を見るのよ) 作曲に集中したら一直線。食べることも、寝ることさえも忘れ、曲作りに夢中になってしまうスコア。 そんなスコアだからこそ、リロードは放っておけない。 弟の面倒を見るように、朝から晩までスコアを見張っているのがリロードのクセ。 (でもね、スコアが居るからこそ、アタシは『向こう側』に行けないのよ。アタシが居なくなったら、スコアはすぐ倒れてしまうわよね?) ――君にはアタシが必要なのよ。 「ちゃんと取り分けてあげるわ。後、食べる時は、その長い袖を引っ張り、手をしっかりと出すのよ」 「分かってるよ。……ふぁぁ」 あくびをしながらも、袖を引っ張り上げ、リロードがユール・シンカを切り分けるのを、ボーっと見ているスコア。 肉よりも前にサラダが置かれたけれども、文句を言いながら食べるのがスコアのクセ。 皿に分けられたユール・シンカには、数種類のマスタード。 この味の変化もリロードがこだわった1つ。 そして木目が綺麗なブッシュ・ド・ノエルが添えられ、短時間の料理なのに、クリスマスムードは満点。 「……やっとクリスマスぽくなったねリロード?」 「そうね。でも細やかでいいわ。明日も任務はあるのよ」 「毎日戦いの日々だよ、僕の作曲の時間は?」 「ちゃんとやっているわよねスコア?」 (本当は知っているのよ。寝かせるのに自室に送っているのに、その後で曲を作っていることをね) ――そこまでは追求しないであげるわよ。 リロードの拘り料理で、お腹はいっぱい。 ちゃんとサラダも残さず食べたスコアは、今日のメインと言わんばかりに、リロードの部屋に持ち込んだフルートを手に取った。 「クリスマスだからさ、讃美歌を聴いてよリロード」 「フルートでの讃美歌もいいわね」 スコアは1人がけの椅子に座りフルートを奏で出し、リロードはシャドウ・ガルデン産のワインを持ちながら、窓の近くにあるソファーに座り、スコアが奏でるフルートの讃美歌に耳を澄ます。 オルガンとは違い、繊細な音色で演奏される美しい讃美歌。 普段は終始眠そうにしているスコアだが、こうして白銀のフルートを奏でる姿は神聖な者にさえ見えてしまう。 もしリロードが楽器を扱えるなら、スコアと一緒に奏でハーモニーをするのに――。 そんな思いを持ちながら、リロードは目を瞑り讃美歌を楽しむ。 (こんなクリスマスも悪くないわね) リロード1人では出来ないクリスマス。 スコアが居るからこそ、クリスマスが楽しく思える。 ――いつかきっと、ハーモニーを奏でられることを夢見て。
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*** 活躍者 *** |
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