~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |

~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |

◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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甘光片手に教団員を追いかけまわす医療班から逃げる最中 どうにかまだ無事な教団員くんと隠れてるよ 何でこうなったのか、おれにもさっぱり分かんないんだけどぉ!? 回想 え?報告書じゃんどうして? (読み込み中)やばいじゃんこれ 甘光やばいじゃんこれ!!!!(大事なことなので二度ry) 何あの人たち何で目が血走ってんの!? に、逃げろー!!飲まされるーっ!! そりゃちょーっと不健康な生活は送ったかもよ? でもでももっと重病人とかいるじゃんそっちに飲ませた方が いや拒否してないよ!?でも順番ってもんがあるじゃん!? ね?ね!?だからやめろ今すぐにやめ ちょ、ストップやめ(甘光投入) ーーーーーっ!!!?!?(ひっくり返る) |
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~ リザルトノベル ~ |
その日、薔薇十字教団の本部を不穏な気配が覆っていた。 気配の出所は、敷地内にある病棟。その会議室。規則正しく並べられた机には、沢山の看護師の姿。数から察するに、恐らくは患者に付き添う係を除いた医療班メンバーほぼ全員。 「皆、揃いました。院長」 「ありがとう。君も、席についてくれ」 助手を務める女性看護師の言葉にそう返すのは、医療班班長にして病棟の院長を務める『ナイチンゲール・アスクラピア』。 『博愛の看護師』の二つ名を冠し、数多の命を死地より引き戻した彼は、自身も席に着くと皆を見回す。 「今の状況は、把握しているね?」 唐突にかけられた問いに、しかし集まった皆は戸惑う事もなく頷く。 「創造神の暴走は止められたが、浄化師諸君が負った傷は深い。身体的なモノだけではない。仲間を、家族を、そして信ずるものを失い、心に傷を負った者もまた多い。命さえあれば、身体の傷は癒せる。だが、心の傷はそうはいかない。この私の、全てを持ってしても」 室内に満ちる、悲痛な空気。皆が、憤っている。己の、無力に。 「けれど……」 俯き気味だったナイチンゲールの視線が、前を向く。そこに在るのは、硝子の瓶。そして、満たされるのは綺羅綺羅と輝く蜂蜜色の液体。 「今の私達には、『コレ』がある」 他の団員達もまた、『ソレ』を見つめる。一心に。 彼らの瞳に、太陽の彩の輝きが映る。まるで、燃える炎の様に。 「医療に、神の奇跡は必要ない。考慮すべきではない。だが、在る手段を無視するのはただの愚行だ」 輝く液体。名を、『甘光(かんびつ)』。 生命を司る八百万、『太陽の命姫・シャオマナ』によって醸される、霊薬。 その権能は、あらゆる身体と心の傷を癒し、不浄を清める。正しく、神の恵み。 けれど、進んで嗜もうとする者はほとんどいない。皆、知っているのだ。この霊薬がその癒しと引き換えにもたらす、人知及ばぬ恐怖を。 それを知り、なお医神の術師は断言する。『些事だ』と。 「命と健康は、あらゆる事象に優先される」 頷く、皆。 「健康は、権利ではない。義務だ」 また、頷く。 「その義務の前に、人権など存在しない」 頷く。……何か、妙な言葉が。 「先ずは入院患者。次は、通院カルテに名前のある者。そして、本部にいる者全て!」 頷く。いや、ちょっと待て。 「逃げる者は捕らえろ。隠れる者は、引きずり出せ」 頷く。あの、皆さん? 「抵抗する者は、容赦しなくていい。徹底的に、無力化しろ。そして、まずは本部内にいる者全員に甘光を摂取させるんだ」 頷く。頷くな! 誰か止めろ! 異様な熱気を孕み始める室内。立ち込める熱を煽る様に、部屋の扉が開く。入って来た女性看護師が、昏く高揚した声で報告する。 「本部全域、結界封鎖完了しました! アリどころかスギ花粉一つ抜けれません!」 何やってんの!? 「よし、作戦開始だ! 同士諸君!」 室内に轟く、狂信の雄叫び。 「この世界に、絶対不変の健康の秩序を!」 纏っていた白衣を開くナイチンゲール。露わになった服の裏には、ダイナマイトの如く縫い付けられた無数の試験官。満たすは金に輝く狂薬、甘光。 応じる様に服を開く看護師達。そこには、同じ彩に満たされた試験官が。 「行こう! 導こう! 命輝く健全たる未来へ!」 かくて、賽は振られた。 恐怖の日が始まる。 健康と言う狂気が満たす、無間絶望の宴が。 ◆ 「な、何なの!? 何事なの!? 何がどうなってんの!?」 「馬鹿! 静かにしてろ!」 訳も分からず上げた声を、口を押える手に空気ごと押し込まれて『カリア・クラルテ』は目を白黒させた。 昼前、ボ~っと通路を歩いてた所を、突然近場にあった物置に引っ張り込まれた。混乱しながら周りを見ると、知った顔の浄化師達が数人。真っ青な顔で閉じた戸に鍵をかけている。それどころか、結界魔術を重ね掛けした上にそこらの荷物を積み上げてバリケードまで築いている。 ベリアル相手だって、ここまでしない。多分。 「何なのさ、一体! 敵襲!? でも、もう創造神は……」 「そんな生易しい事態じゃない!」 創造神のアレが生易しいって何? 何が来てるの? 全く訳が分からんぞ!? 混乱の極みに陥るカリアを他所に、戸の向こうに耳を澄ます皆。聞こえてくる怒号。悲鳴。絶望と苦痛に満ちた怨嗟の声。断末魔。 「……こんな深部にまで……。怖ろしい奴らだ……」 「反撃は出来ないのか?」 「完全に虚を突かれた。武器はないし、魔喰器を口寄せしようにも、術式が無効化されてしまう」 「どう言う事だ!?」 「向こうが『アウナス』様を顕現させている。その権能だ」 暇を持て余した神々の遊び。そう言うヤツだよ。アイツは。 「くそ……」 「奴等が、こんな非道な事を企んでいたとは……」 「あ、あのさ……。ホントに何が起こってんの? 誰が攻めてきたの?」 問うカリア。とにかく、何者かが戦闘を仕掛けてきている事は確からしい。 ならば、嫌も応もない。戦わねばならない。今の自分には、守らなければならない者がいるのだから。 (ニオくん……) 脳裏を過ぎる、『ニオ・ハスター』の顔。愛しい娘。創造神の真実を知って、信仰を裏切られた彼女は失意の中にある。戦える状態ではない。 大切な人。 必ず。 それにしたって、敵の正体が分からなきゃ対処のしようもない。 創造神は堕ち。ベリアルは刃を下ろし。ヨハネの使徒は無辜のガラクタ同然。 ならば、考えられる敵は同じ『人』。愚かしい話だが、今もって人の悪意はなお絶えない。 サクリファイスの生き残りか。 はたまた、終焉の夜明け団の残党か。 息を飲んで答えを待つカリアに、浄化師の一人が沈痛な面持ちで告げる。 「……医療班だ」 「……は?」 「襲撃して来ているのは、医療班の看護師達だ」 想像の斜め上どころか、果てしなく明後日のそのまた向こうの答え。 分からない。全く、理解出来ない。 「な、何ソレ? 何で看護師さん達が……」 「恐ろしい事を、企んでいる……」 「お、恐ろしい事……?」 「奴等は……俺達を……」 「おれ達を……?」 「『健康』にするつもりだ……」 「…………」 看護師だもんね。仕方ないね。 「何を呆れているんだ! その手段が悍ましいんだ! 奴らは甘光を使うつもりなんだぞ!?」 「かんびつ?」 聞いた単語ではある。ただ、繊細は知らない。件の騒動の時には、指令で遠出してたのだ。帰ってきたら仲間に、『何でお前らだけ』とほぼ八つ当たりな憎悪を向けられたのは忌まわしい思い出。 要領を得ないカリアにイラついたのか、『読め』と言う言葉と共に一枚の紙が渡される。 「え? 報告書じゃん。どうして?」 「いいから、読め」 訳が分からぬまま、読み込む。 読んでるうちに、顔から血が引く。ついでに、その他のモノも引く。主に、気迫とか決意とか勇気とか。 「ヤバイじゃん! これ!!」 思わず飛び出る、魂の叫び。多分、ベリアルとの戦いでもこんな声出た事ない。 「甘光ヤバイじゃん!! これ!!」 大事な事なので、二度言いました。 『一件は百聞に如かず』と言う言葉がある。大方の場合、なんぼ文章で表現しても実際の体験には及ばない。自明の理。ソレを踏まえて、この報告書。 ヤバイ。 読む以前に、眺めただけでヤバい。 文字を見て湧き上がる怖気が、実際に魑魅魍魎を前にした時のソレを凌駕するとは如何なる現象か。著者の苦悶を表すかの様に歪む書体。所々滲んでいるのは、苦痛の汗かはたまた不条理に対する憎悪の涙か。 「理解したか……?」 震えるカリアに、隣りの浄化師が問う。 「甘光がもたらすのは、間違いなく健康だ。ただし、命も。人としての尊厳さえも犠牲にする健康だ……!」 不条理の塊。 「ど、どうすれば……」 「退路は全て絶たれている。増援も望めまい。せめて、ここで出来得る限りの抵抗を……。俺達の、誇りを示すしかない……」 多分、創造神との最終決戦でもこんな悲壮な覚悟なかった。 「で、でも……」 瞬間、戸が結界やらバリケードやらまとめて吹っ飛んだ。 「ぬぁあああ!?」 「えぇえ!?」 腰を抜かす皆の前に、雪崩れ込んでくる看護師の皆さん。ちゃんと白衣。尊き使命は忘れない。 「お待たせしました」 「何!? あの人達、何で目が血走ってんの!?」 「貴方達の健康を守る、その使命感故です」 ビビるカリアとその他。 返答が狂ってる。いつから使命感は狂化を付与するバフと化したのか。 「い、いや! そもそも何でアンタ達そんなすんなり入ってこれるのさ!? 皆で目一杯強力な結界張ってたのに!!!」 「アウナス様の助力です」 ホントに何をやってくれてるのか。邪神か何かかアレは。 「では……」 取り出す試験管。悍ましい、金色の輝き。 「ひぃ!」 引き攣る悲鳴。 「に、逃げろー!! 飲まされるーっ!!」 戦う意思も誇りも、人知を超越した恐怖の前には無力。カリアの絶叫と共に逃走を図る。けれど。 「無駄です!」 「でぇえぇえ!?」 飛んできた鬼門封印やら禁符の陣やらが、容赦なく体を縛る。 看護師の方々も、浄化師。アライブスキル、使用可。 マジでガチ。 「さあ、始めましょう」 「ちょ、ちょっと待ってぇえ!!」 絶望の叫びは虚しく響く。 かくて、神意のサバトが幕開ける。 ◆ 「そ、そりゃちょーっと不健康な生活は送ったかもよ!?」 禁符で雁字搦めにされつつも、ビチビチ跳ねて抵抗するカリア。その様、陸揚げされた鰹の如し。 「そうですねぇ。先の健康診断の結果も良くないですし……」 持参したカルテを見ながら、そんな事言う看護師さん。律儀。 「で、でもでももっと重病人とかいるじゃん!? そっちに飲ませた方が……」 必死。生きとし生ける者の特権。諦めたら、全てが終わる。 看護師さんが視線を向ける。コワイ。めっちゃコワイ。 「い、いや拒否してないよ!? でも、順番ってもんがあるじゃん!?」 「そうですね。重病の方は、確かにいます」 「ね? ね!? だからやめろ今すぐにやめ……」 白い手が、ムンズとカリアの頭を掴む。 「大丈夫。その方々には既に投与済みです」 閉ざされる希望。こじ開けられる口。 「ちょ、ストップやめ、やめぇーーーーーっ!!!?!?」 「はーい。良い子ですねー」 注がれる慈愛。 此よりは、地獄。 ◆ 「……ニオくん? あぁ、えっと」 無間の甘味。意識を反復横跳びさせながら、カリアはかけられた問いに答える。 「それ飲ませても、無理だと思う……」 確信。 「だって、仕方ないじゃん……。ぼーぜんじしつ? だもん……」 空っぽの、彼女。 「だって、ある意味で人生全否定だよ……? そりゃ、生かしてもらってるだけ有難いけど……」 神の傷。同じ神でも。 「……押しかけに行くなよ? 飲ませたら、おれ本気で怒るから……」 苦笑する気配。では、貴方が? と。 「……いやだから、そもそも、飲ませないってのー!?」 激情と共に飛び起きる。笑う看護師。『元気になりましたね』、と。 ◆ 何やら外が騒がしい。 自室で重い微睡みに揺れながら、ニオは思う。 『甘光』と聞こえた。 確か、シャオマナ様が授けてくださった命の霊薬。 全てを癒す。傷も。病みも。 あぁ、でも。 それはきっと、自分が触れていいものではない。 信ずる事も。 抗う事もしなかった。 何もかも中途半端だった自分。 命の光など、過ぎるもの。 あぁ……。 外が、騒がしい。 揺蕩う心。 虚しい。 虚しい。 ただ、微睡む。 ずっと。 ずっと。
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*** 活躍者 *** |