~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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スラムの街並み、なんだか少し懐かしいわね といっても、もうあんな暮らしは懲り懲りだけど 先陣切ってアジトに突入 構成員は後衛に任せ突っ切って人形遣いを攻撃 逃げたら追いかけアジトの裏に出て 逃がさないわよ たったひとかけらでも潰しておかなきゃ 解号を唱え第二能力を発動、人形遣いをフィールドに閉じ込める さあ、ショーを続けましょう 告天子を見せつけて挑発、注意を引き付けて 素早い動きで撹乱しつつ攻撃 倒せたら告天子で捕食封印 逃がさないって言ったでしょう 捕食後、ふらりと倒れ まだ反動が大きいみたい…でも、すぐにきっと使いこなして見せるわ それにしても疲れた…甘光が飲みたいわ アディティ様からもらってきてくれる? |
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~ リザルトノベル ~ |
昏かった。 月のない新月の夜とは言え、その世界は昏きに過ぎた。 澱んだ空気。 満ちる退廃。 神は消え。 魔は沈み。 それでもなお。 世の歪みは消えず。 虚しき悪意も、また絶えず。 ◆ 「スラムの街並み、何だか少し懐かしいわね」 昏い路地裏を歩みながら、『リコリス・ラディアータ』はそう独り言ちる。 「ま、ね。何だかんだ、わたしらの人生には重要な要素だしね~」 隣りを歩いていた『セルシア・スカーレル』がそう言って『ねぇ、同胞』などと笑む。 「と言っても、もうあんな暮らしは懲り懲りだけど」 「同意」 笑うのは、声だけ。その瞳は、獲物を探す猛禽の様に。 「変わんないなぁ……。本当に、変わんない……」 「神様がいなくなっても、人間がすぐに変わる訳じゃない」 悲しげな『カレナ・メルア』に、『トール・フォルクス』は静かな声で言う。 「世界にはまだ悪い奴だっている。教団もまだまだ、忙しそうだな……」 感じる視線。猜疑。妬み。恐怖。憎悪。 「でも、此処の人達の怯え方は変。貧しさとかひもじさだけじゃあ、こんな怖がり方はしないよ」 「ああ。つまりは、こう言う事だろ?」 矢を放つ。真っ直ぐに飛んだソレが、闇に消える。 呻き声。走り去る気配。 「気づいてた?」 「当然さ」 此処に入ってから、ついて来ていた気配。心当たりがあった。 「人形遣いの手下。バレてないつもりだったのかな?」 腕の『ウニコルヌス』を唸らせるカレナ。彼女が機会を伺っているのに気づいたから、トールは先手を打った。 無駄な人死には、無いに越した事はない。 もっとも、その起因は彼女達の忌しき過去。理解している。だからこそ、今回の作戦を成功させる事は意味がある。 (それに、リコも昔、同じ目に会いかけたらしいし。こういう組織は早めに潰していかないと……) 人身売買組織。神無き世に尚残る、明確なる悪意の具現。 調査の結果、統べるモノが人外であると知れた事がせめてもの救い。 「そんな訳だから、カレナ、セルシア、今回もよろしくな」 「でも、ほどほどにね」 「了解」 「はーい」 頷き合う皆の行手。アジトと定めし廃墟の館が、闇に佇む。 ◆ 敷地に踏み入るなり、開け放しの入り口や割れた窓の中から飛んでくる銃弾。魔法弾。 「……思いの外、強力だな」 「頭があの人形遣い(悪魔)だからねぇ。強化でもされてるんでしょ」 応戦しながらぼやく、トールとセルシア。その二人の横を、リコリスとカレナが駆け抜けていく。 ――相手は人形遣いだ。なら、俺達がここを突き止めたのは知られているだろう。搦手も得意じゃないし、一気に突っ込もう――とは、トールの談。 少ない人手。元より消耗戦は得策の筈もなく。加えて女性三人は揃ってバトルモード。異論など、出る道理もない。 「先に、行ってるわ」 「気をつけろよ」 「ええ。後方支援、お願い」 「任せろ」 「かしこまり」 トールの範囲攻撃とセルシアのダガーが、精密作業の様に敵を薙ぎ払う。それを背に、カレナの構えたパイルバンカーを盾に、リコリスは入り口に向かって走る。 「相変わらず、速いわね」 「お姫様は、守らなくちゃ」 相変わらずの天然たらし。あのヤンデレに刺されなきゃ良いがと苦笑する。 迫る入り口。並ぶ構成員達が、障壁を張る。その奥に、蠢く影一つ。 「……居るよ」 「ええ……」 獲物を捕捉した二人の目が、鋭く光る。 「ぶち抜くから、追いかけて!」 「分かったわ!」 迫る二人に備える様に、障壁の向こうの構成員達が武器を構える。ウルコルヌスの能力、『開闢の獣牙(フォールティア・デンス)』に対する備え。やはり、情報は知られているらしい。けれど。 「キミ達なんかに……」 彼女の構える破獣の頭骨。立て続けに薬莢を吐く。 「つっかわないよ!」 最大出力で放たれた鉄杭が、物理威力だけで障壁も構成員もまとめて吹っ飛ばす。 状況を一歩引いた所で見ていたのは、黒衣を纏った小柄な人物。フードの中で笑む気配を残すと、踵を返して走り出す。 「待ちなさい!」 「リコさん、コイツらボクが引き受けるから! 追いかけて!」 生き残りの構成員をウルコルヌスで殴り倒すカレナの声に、頷くリコリス。 「分かったわ、気をつけてね!」 「リコさんもね!」 頷き合うと、リコリスは黒衣が消えた闇に向かって走り出した。 ◆ 「待ちなさい!」 逃げる黒衣を、追う。満ちる闇に溶け込もうとする姿を、魔力探知始め、あらゆる感覚器官を駆使して捕捉する。見失いさえしなければ、足では負けない。 やがて走り出たのは、アジトの裏手。 「逃がさないわよ!」 言われて、止まる馬鹿はいない。 (たった一欠片でも、潰しておかなきゃ) 其は、無限の災厄を振り撒く禍つの誘い手。決して、許してはならぬモノ。 抜き放つ、『告天子』。 「Show must go on!」 解号。歌。 「!」 一変した世界の感覚。黒衣が、足を止める。 「……空間閉鎖? 厄介な術を、お持ちの様で」 「『クライマックス・フィールド』。告天子(この子)の第二能力」 周囲を見回しながら向き直る黒衣。歩み寄りながら、リコリスは言う。 「外界との支援のやり取りは不可能。体の一部も、使い魔なんかも、通り抜け禁止」 「それはそれは。嫌なモノですね」 まろび出た白い手が、被っていたフードを払う。 現れたのは、長い黒髪。エレメンツの少女の顔。知る風貌ではない。けれど、纏う魔力の禍しさを見誤りはしない。 「……お色直しが好きね」 「数少ない趣味でして。この世界のエレメンツは美しいですからね。良い機会ですので、『頂戴』させていただきました。もっとも……」 綺麗な顔が、ニヤリと歪む。邪悪と言う概念。その、具現。 「『生命』と言う、高慢極まる芸術紛いを嬲る悦には、到底及ぶ筈もありませんがぁ!?」 走る風。閃いた刃を、人形遣いの手が無造作に掴み止める。 歪なつばぜり合い。冷ややかな声で、リコリスは言う。 「悪魔は見てくれは綺麗でも、声は聞くに堪えない。話に聞いた通りね」 「人の語りは、得てして真理を捉えるモノです」 弾ける衝撃。間合いを取ったリコリスが、告天子を見せつけて挑発する。 「さあ、ショーを続けましょう!」 「では、ダンスのお相手をいたしましょう。伴侶を奪えば、相方の方はどんな憎悪と絶望を見せてくれましょうや?」 「言ってなさい!」 再び風となったリコリスが肉薄する。華麗に素早く。ステップを踏んで、攪乱。魔性憑きの神髄。目視も困難な連斬。けれど、人形遣いは人外の反射で尽くそれを弾く。 「素敵なダンスですね。良い目の癒しです」 連続展開する障壁の間を縫って伸びくる手。猛禽の様に長い爪が、リコリスの顔に掴みかかる。 「!」 咄嗟に逸らす。冷たい痛みと共に、頬に一筋朱が走る。 「いけませんね。避けないでください。綺麗なお顔が、壊れてしまいます」 「狙っておいて、結構な言い様ね」 「だからですね、切り取って持って行きたいのですよ。腐敗しない様に加工して、飾って差し上げます。自分の美が永遠に残るんですよ? 女性冥利でしょう?」 「……もてないわね。あなた」 嫌悪の籠った一撃が、人形遣いの肩を裂く。飛び散る鮮血。けれど動じる様子もなく、人形遣いは笑う。 「あはは! 人の愛なぞ、虫唾が走るだけです。あなた達はただ、私の手で踊る玩具であればいいのです!」 「お断りよ!」 もう一度。今度はフェイントを入れて、心臓を狙う。しかし。 「もう、飽いました」 伸びた手が、告天子の刃に突き刺さる、握り込み、幾重の捕縛魔法がリコリスの腕を絡める。 「ち……」 「捕まえましたよ。可愛い小鳥(ナイチンゲール)」 歪な笑みを浮かべ、勝ち誇る人形遣い。 「それにしても、あなたのこの能力は些か厄介に過ぎますね。こと、私にとっては鬼門でしかない……」 周囲を囲むフィールドを鬱陶しそうに見回して、リコリスを見る。 「このタイプの術式は時間制限があるのが定番ですが、待つ義理もありません。術者が死ねば解除されるも、また定番。如何です?」 黙って睨み返すリコリス。肯定と受け取り、笑む。 「どの道、この世界で私が遊ぶには能力保持者のあなたは邪魔ですし、この場で片付けておくのが得策でしょう」 告天子を押さえるのとは別の手の爪が、軋み声を上げて伸びる。 「では、さようなら。リコリス……いえ、『ララ・ホルツフェラー』」 「……知ってるの?」 業とらしく投げかけられたその単語に、リコリスが眉を潜める。 「ええ。この世界の事は、何でも。光も闇も、善も悪も。全ては心を抉る刃に変えられますから」 「勤勉なのね」 「お褒めに預かり、光栄です。ラ……」 「でも、駄目よ」 嘲りの言葉を、冷たい声音が遮る 「その名前を呼んで良いのは……」 瞬間、走る風切り音。人形遣いが顔を上げると同時に、その眉間に突き刺さる矢。 「俺だけの権利なんでね」 リコリスの向こう。ボウガンを構えたトールが、激情を込めた眼差しで見つめている。 「何故……?」 「言ってなかった? 私が指定した相手以外は、出入り自由なのよ。このフィールド」 「……何と、都合の良い……」 不敵に笑むリコリスを、忌々しげに睨む人形遣い。せめても道連れにと言う様に、爪を振り上げる。 「ところがギッチョン!」 セルシアの声と共に、飛来するダガー。人形遣いには毒華鳥(ピトフーイ)。リコリスには、叛逆の羽風(イカルス・アルビオン)。 停滞と活性。相反する毒が、二人の身体を同時に蝕む。 「ぬぅ!?」 「離れなさい!」 力を奪われ、弱まる拘束。増した力で引きちぎり、蹴り飛ばすリコリス。 「変な執着こいて既存の生物体なんか着込むから、そーなんの!」 嘲るセルシアの横を、紅い影が駆け抜ける。 「リコさん」 抜ける瞬間、届く声。 「決めて」 理解し、頷く。 「玩具は大人しく嬲られていればいいもの、を……!?」 体勢を立て直そうとした人形遣いに肉薄する少女。驚く視界に、真っ赤なポニーテールが踊る。 「開闢の獣牙(フォールティア・デンス)!」 穿つ牙が、人形遣いの全ての盾を破壊する。 「……これまで……」 勝機が失せた事を悟った人形遣いの背中が弾け、黒い翼が広がる。けれど。 「告天子」 『承りました。マスター』 吹き上がる歌と羽根。飲み込まれる感覚に、下を見る。見えたのは、不敵な笑みを浮かべるリコリスの顔。 「逃がさないって、言ったでしょう?」 全てを悟った人形遣いもまた、笑う。 「成程。『此の私』はここまでですね。でも、私は『個』には非ず」 聖翼の顎(あぎと)に呑まれながら、それでも邪悪の笑みは消えない。 「また、お会いしましょう」 捕食封印。 後にはただ、薄く満ち始めた朝霧が揺れる。 ◆ 「リコさん!」 「あらら。大丈夫」 フラリと倒れたリコリスに、皆が駆け寄る。 「……まだ、反動が大きいみたい……。でも、すぐにきっと使いこなして見せるわ……」 強がる彼女を抱き起したトールが、愛しく微笑む。 「リコ、お疲れ様」 嬉しそうに微笑み返して、リコリス。 「それにしても、疲れた……。甘光が飲みたいわ……。アディティ様から、貰ってきてくれる?」 「うぇ!?」 「マジで!?」 想起されるは、名伏しがたき恐怖。硬直する、カレナとセルシア。 「……あの、滅茶苦茶甘いやつを……?」 引き攣る恋人に、綻ぶ様な笑顔を向けて。 リコリス・ラディアータはゆっくりと頷いた。
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*** 活躍者 *** |
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