はじめに          
下記『プロローグ』にて、掲載されている世界観用語については、
『基本情報』ページ『●用語集●』欄にごく簡単な註釈があります。あわせてご覧ください!

また、さらに『煉界のディスメソロジア』の世界観が知りたい!
という場合には、『●ワールドガイド●』をご確認ください!

※『●本当の「差別撤廃」』『●もう1つの戦い』は探索パート開始時のプロローグです。
※『●不死なる者』『●常夜の国「シャドウ・ガルテン」』は探索パート完了後のプロローグです。


プロローグ          

●本当の「差別撤廃」


 固定魔信、転移方舟に、陰気と思われる怪しげな魔方陣が展開されている――。
 一時的に通信を遮断し、また転移方舟の移動機能を不能とさせる魔術だ。
 これで、教団からの通信も、教団からの応援も望めない。

 場面は変わり、ウラド・ツェペシェはシャドウ・ガルテンのメインストリートへ足を運んでいた。
 探索を続けていたエクソシスト達の視線が、彼に注視される。

「皆さん、お疲れ様です。教団からの指示と応援を完全に遮断してきましたよ。
 副指令官や、室長の作戦が告げられてしまったら、皆さんの考えとは言えませんからね」

 これまでの丁寧な口調とは少し変わり、砕けた口調で、驚愕の事実を告げる。
 その一言は、完全に教団に反抗する行動をとった、という自白。
 月光の元でも煌く彼の銀髪と、赤い双眸が奇妙な緊張感を作り出していた。

「ミステリー小説では、犯人がぺらぺらと事件について話すのは三流と言われますが……。
 良いでしょう、ちょっとしたネタばらしをしましょう。
 簡潔に説明しますと、これはサクリファイスと結託して、エクソシストの皆さんと教団を抹殺する計画です」

 顎に指を触れさせ、談笑を楽しむかのように彼は続ける。

「禁忌魔術『シャドウ・ミスト』の情報は私がサクリファイスに提供した情報。
 禁忌魔術『ヘルヘイム・ボマー』はサクリファイスのトップが用意した魔術ですね。
 ああ、資料に付着していた香水の香りは、私のものでしょう。
 前者は私が書面におこし、後者は読んだ後に裏路地の宝箱に仕舞っておきましたから」

「元々、国民には『エクソシストが、サクリファイスのテロを未然に防ぐために調査に来ること』を伝え、
 このメインストリートには近づかないようにと、お話をしていました。 
 私も、それ以上のことは国民にはお話してはいません。……ある一部の方々を除いて、ですが」

 ウラドは、ベンチと移動した屋台を一瞥して、

「メインストリートに残っていた彼等は、迫害によって大切な人を亡くした過去を持っています。
 彼等なら、私の考えをわかってくれると思いましてね、計画をお話していました。
 計画を聞いて、彼等は口を揃えて言いましたよ。他国の人間が、過去から学んでいるのか知りたいと。
 私もブラフミンですから、国民を危険な目には合わせたくないと本心から思っています。
 それ故に、禁忌魔術で死亡する可能性があることも、戦闘が起こる危険があることもすべてお話しました。
 ですが彼等は、それらの危険も考慮した上で、この場所に残っていました」

 つまり、彼の説明によれば「国民に被害を出さない形で、エクソシストを試した」ということだった。
 その上で、エクソシスト達が計画を知ることができず死亡したとしても、
 計画をすべて読み解いて禁忌魔術を解除したとしても、どのような結果になっても良かったのだ。

 ――エクソシストが禁忌魔術『ヘルヘイム・ボマー』で死亡してしまえば、ただ彼等が失敗したと説明しても良いし、
 サクリファイスとの繋がりを指摘されても、サクリファイスに脅され加担したと声明を出せば良い。

 ――エクソシストが禁忌魔術『シャドウ・ミスト』で幻影として出現したヴァンピールを倒している様子を、
 国民に視認させて、エクソシストと教団の信用を落としても良い。

 ――ブラフミンとしての責任問題だとされれば、事前に避難指示を出していた事実で反論しても良いし、
 たとえ解任されたとしても、またいつか当選すれば良いだけだ。

「信用というのは培うのは難しいですが、壊すのは非常に簡単です。
 私は皆さんが聡明であると心から思っていますから、1つの事実だけで信用をすべて無くしてしまう人間ではないと思いますが、
 ただ1つだけの事実を見て、それまでの信用すべてを邪推し、すべて無くしてしまう人間も数多く居るのです。
 ……とはいえ、教団がそもそもそれほど信用を持っている団体であるかは、甚だ疑問ですがね」

 ふふっ、とウラドは笑みをこぼして、大げさに肩をすくめる。

「ヨセフ・アークライトを室長とした体制となってからは、役職を持つ人間も一部代わっていますが、
 特にイレイスが実戦で活用される前までの教団は、それは酷いものでした。
 室長の威光で現在は凍結されているようですが――ご存知ですか? 祓魔人、喰人への非人道的な研究の話を」

 今でもエクソシストの死亡率は高いものではあるが、イレイスが完成する前の死亡率はそれ以上のものであった。
 イレイスが完成する前は、ベリアルを完全に倒すことができなかったため、
 地面に埋めたり、岩盤の下敷きにするなどして、行動不能な状態にしてしまうことが一般的となっていたのだ。
 その作業は危険極まりないものであり、またベリアルの再生能力にスピード負けし、殺されてしまうことが多かったという。

 死亡率に反して、エクソシストという存在はそう見つけられるものではないため、人数不足が問題視されていた。
 そこで、教団の研究者は2つの研究を立案する。
 1つ。「瀕死・脳死した祓魔人の魔力を生み出す電池のように利用し、ベリアルやヨハネの使徒に対抗する兵器を運用する研究」。
 2つ。「瀕死・脳死した喰人を解剖し、アシッドに対抗している物質を調査する研究」。

 前者の研究により、「魔力回路」が知見され魔術に大きな進歩を生み出したが、
 脳死した状態の人間から供給できる魔力(マナ)の量が少ないことが判明し、効率が悪いと永久凍結された。

 後者の研究により、体内に侵入したアシッドが、魔力回路に影響を及ぼす前に魄魔によって分解されることが判明。
 アシッドに感染しにくくなるワクチンの開発を行うことができるようになったが、その非人道的な研究内容により永久凍結された。

「室長が彼の内は、表立ってこういった研究が行われることは無いでしょう。彼は痛みを知る人間ですからね。
 ただ、教団に強制力を持った指示を出せる人間は、教皇を含め数多く存在します。
 今後、現在の方針が揺らぐことになるかもしれないという事実は、未だ残っているということです」

 話が少し逸れましたね、本題に戻りましょう。
 そう言って、ウラドはゆっくりと歩き始めた。

「エクソシストの皆さんは、本当の平和って何だと思うかな。
 神の御心のままにベリアルやヨハネの使徒に滅ぼされること?
 魔術の開祖、アレイスター・エリファスを復活させた後の世界のこと?
 差別や立場の差をすべて撤廃した世界のこと?
 戦争の無い、誰もが笑いあえる優しい世界のこと?
 どれも、ただの妄言でしかない。どれをただ完遂させたとしても、真の平和は享受できない」

 これまでとは異なる、丁寧さが外れた口調。
 常夜の街に、ウラドの言葉と、彼の歩く音だけが鳴り響く。

「じゃあ、真の平和を手に入れるには、どうすれば良いのだろうか?
 そう『愛』が必要だ。すべての人種を平等に愛することこそが、平和であるということなんだ。

 自分達とは異なる、異質な存在。それを愛せない、受け入れられない弱い心を持つ限り、差別は生まれる。
 だからこそ、すべての人種を愛することができたら、それは平和と呼べるよね。

 だとしたら、相手を理解するには、愛するにはどうすれば良いんだろう?
 ……相手が受けた痛みを、自分自身も知れば良い。
 人間という存在は、どれだけ理解していたとしても、自分で体験しなければ、真の意味で理解はできない。

 実体験が無ければ理解ができないということは、歴史が証明している。
 現に、今だに奴隷制度や、差別が残っているからね。過去にはロスト・アモールで多くの犠牲が出たというのに。
 今を生きる人間達にも、痛みを受けた者と、同じ痛みを与える必要がある。

 これは、痛みを受け、未だに痛みに耐え忍び、この国に留まる、私達ヴァンピールにしかできない役目。
 そして、英雄視され、人々に羨望の的になりつつあるエクソシストを喪うという強い痛みこそが、ふさわしい」

 カツン、と歩みを止めて。ウラドは『ダーク・ミスト・ミント』に触れ、禁忌魔術を発動した。
 まるで地面に広がった油に延焼するかのように、辺りに漂っていた『ダーク・ミスト・ミント』の魔力が一気に変質。
 『シャドウ・ミスト』が発動し、魔力に触れていたウラドを除く生物――エクソシスト達の幻影が出現する。

「私は、皆さんのことを愛したいと思っていますよ。
 平和への第一歩を踏み出すために、私達を愛してください」

 エクソシスト達と、幻影との戦闘が幕を開けた。

●もう1つの戦い


「室長。シャドウ・ガルテンへの、転移方舟の使用が不可能になっています」
 教皇国家アークソサエティ 薔薇十字教団本部 エントランスホール地下3階「室長室」。
 司令官 兼 元帥「エノク・アゼル」と、副指令官 兼 元帥「フォー・トゥーナ」は緊迫した空気の中、室長に報告を行っていた。
 室長が懸念していた通り、地中海でのベリアルの出現への対処によって生まれた隙に、付け込まれた。
 竜の渓谷へ終焉の夜明け団が進行し、その裏でさらにサクリファイスがシャドウ・ガルテンでのテロを画策していたのだ。
「どうして、ここまで動きがわかっていたのに、シャドウ・ガルテンに私達を配備しなかったのですか」
 トゥーナは、やや厳しい口調で、室長「ヨセフ・アークライト」へ詰め寄るように言い放った。
 普段であれば静止をするであろうアゼルであったが、彼もまた同様の疑問を持ち、彼女の制止を行わない。
「私達じゃなくても良い。元帥クラスか、同等の戦闘能力を持った人間が居れば、もっと危険は減らせた筈」
 現在、シャドウ・ガルテンに事実上幽閉をされているのは、熟練度が上がってきているとはいえ、
 まだエクソシストとなって、半年が経つか経たないかの者達ばかりだ。
 ウラド・ツェペシェは、アースガルズの中でも指折りの魔術師。国の総力をあげて攻撃されれば、甚大な被害を受けるかもしれない。
 室長は、ずず、とマグカップに入ったコーヒーを一口すすり、
「アゼル君。トゥーナ君。2人の考えは最もだ。
 もしも、シャドウ・ガルテンに戦力をさらに割り振っていれば、事態の解決はより早く行えただろう」
 なら、と口を挟もうとするトゥーナであったが、室長がマグカップを置く音に遮られ、口をつぐむ。
「だが、戦力を割くことができない状態である、としたらどうだろうか。トゥーナ君。この意味が、わかるだろう」
「……戦力を教団にとどめているのは、国内か教団に何か危機が迫っているからでしょうか」
「その通り」
 示しを合わせているわけではないだろうが、サクリファイスの動きと、終焉の夜明け団の動きが連続して起こっている。
 これまで解説された指令の報告書を広げて、室長はその事実を告げた。
 確かに、司令部から指令を発令するに当たって、終焉の夜明け団、サクリファイスが絡む依頼が多いことは事実だ。
「特に、竜の渓谷で交戦したホムンクルスが問題だ。
 通常、口寄魔方陣は人間に行使すれば、移動後に動けないほどの支障を来たすが、
 傷が再生するホムンクルスであれば、そのデメリットはほとんど無いものだと思って良い。
 仮に、教団内部に終焉の夜明け団の信者や、ホムンクルスが侵入し、魔方陣を用意されたら、甚大な被害を受ける」
 教団本部には、終焉の夜明け団が狙う「法の書」も保管されている。
 アレイスター・エリファスの復活のためならば、禁忌魔術など平気で行使する連中だ。
 そんな組織に、禁忌魔術が多量に記載された法の書が行き渡れば、どうなるかは想像に難くない。
「それに、エクソシストが幽閉されている今の状況は、終焉の夜明け団にとっては絶好の好機。
 俺が終焉の夜明け団のトップだったとしたら、この好機は絶対に逃さない。この隙を突いて、必ず攻撃を仕掛ける」
 普段のおちゃらけた様子からは考えられないほど、真剣な声色で室長は首を掻き切る動作を見せた。
 アゼルとトゥーナは、室長の発言を受け止め、重々しく頷く。
「わかりました。では、厳重体制で迎え撃つ準備をしましょう」
「エクソシストのみんなが、帰ってくる場所を護らないと」
 この危機については、教団内に在籍する実力者全員に通達され、厳重体制が敷かれることとなった。



「未来を見据えるとまで言われる、ヨセフ・アークライトの頭脳はいかほどなんでしょうね」
「ハッ、どんな野郎だろうと、全員ブッ殺す!」
 ホムンクルスを取り仕切るホムンクルス――アナスタシス。
 そして、竜の渓谷に出現したホムンクルス――サタン。
 彼女等は、まるで自宅に帰るような気軽さで。
 教団本部前に、姿を現していた。
「さて、皆さんのお手並み拝見といきましょうか」


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●不死なる者


 口寄魔方陣は、事前に設置した魔方陣に存在する対象を、引き寄せる魔術だ。
 その利便性から、テロ行為などに利用される可能性があるため、禁忌魔術に指定されている。
 ただ、禁忌魔術に指定されているのは、その利便性のみが理由ではない。
 人間に使用した際に影響を及ぼす、デメリットが大きいことも、禁忌とされている理由の1つだ。
 その中でも特に重いデメリットは「人間は、転移時に絶対の安全が保障されるとは限らず、高い確率で死亡。死亡しなくとも、手足の切断、頭部の喪失など重篤な被害が考慮される」というもの。
 どのような奇特な魔術師であっても、人間に対して行使を行わないのは、このためである。
 だが、今回「サタン」へは、口寄魔方陣の行使が行われた。
 何故か。
 それは彼女が、ただの人間ではなく――不死の存在「ホムンクルス」であるからだ。
「うっぜぇ、うっぜぇ、コろすコろすコろすコろすコろすコろす――――」
 竜の渓谷で焼かれ、焼き爛れた皮膚と肉の隙間から白い骨が覗いている。
 それだけではない。口寄魔方陣で転移した際に、再生しかかっていた腕が切断されてしまったようだ。
 常人であれば、出血も併せて、ショック死していてもおかしくない傷だ。
 もちろん、この傷で息があったとしても、そう長くは持たないだろう。
 しかし、ホムンクルスである彼女の肉体は、左胸に存在する魔方陣を中心として、恐るべきスピードで再生をしていく。
「サタン。派手にやられましたね」
 王座のように絢爛な椅子に腰をかけた女性が、サタンを見下ろす形で声をかける。
 直接的な暴力によって恐怖感を与えるサタンとは対照的に、優しい声色に威圧感を内包しているような、そんな印象を受ける女性だ。
「あァ!? クソッ、エクソシスト共、バリバリにイラつくぜ。ぜってぇ殺してやるからな!」
「えぇ、必要とあれば殺しましょう。ですがまずは、報告を」
 射抜く眼光に、サタンは多少の冷静さを取り戻し、竜の渓谷での一部始終を報告する。

 女性は頬に片手をあて、「なるほど」と1つ相槌を打ち、
「計画は失敗ですね」
 そう、簡潔に述べた。
「うるっせぇ! 次アタシが全員ぶっ殺せば済む話だ!」
 激昂するサタンの周囲に、バリバリと雷が迸った。
 見れば、あれほど損傷を伴っていた肉体は完全に再生を果たしている。
「話をきく限り、やはり転移方舟が邪魔ですね。今後のために、策を弄するのが良いでしょう」
「策?」
 怒りに任せて、叫び散らすサタンだったが、女性の一言に反応して、言葉尻を返す。
 その反応に女性は優しく微笑んで、ゆっくりと頷く。
「ええ、サタン。次は頑張って、役に立ってくださいね」
「あァ、最高にシビれるぜ、怒りで脳がトンじまいそうだ!」
 怒りと邪悪に満ちた笑顔を浮かべたサタンを一瞥して、女性はゆっくりと絢爛な椅子から立ち上がった。
「では、準備をしましょう。『サタン』『ルシファー』『レヴィアタン』『ベルフェゴール』『マモン』『ベルゼブブ』『アスモデウス』。
 それから、皆さんにも、お手伝いいただかなくてはいけませんね」
 終焉の夜明け団の幹部、7体のホムンクルスと――、それを取り仕切る1体のホムンクルス『アナスタシス』。
 ここは、終焉の夜明け団の中でも最も暗い、最深部。

 闇の中で蠢く影は、1つとは限らない。

●常夜の国「シャドウ・ガルテン」


 既に、教団側へも情報が入っていた内容ではあったが、シャドウ・ガルテンへサクリファイスが出入りしているという事実を受け、
 ウラド・ツェペシェは、室長「ヨセフ・アークライト」との対談を行い「エクソシストの助力の下、国内の探索を行いたい」と依頼した。
 シャドウ・ガルテンは事実上の国交不可状態であっため、今回の1件で恩を売っておけば、
 今後の国交が有利になるだろうと、教皇側からの圧力もあり、室長はウラドの依頼を承諾。
 一部エクソシストのみを出動させ、シャドウ・ガルテン内の探索を行うこととして、緊急指令を発令した。
 そうした国交などの事情も絡みつつ、エクソシスト達はシャドウ・ガルテンの地に足を踏み入れることとなった。
 シャドウ・ガルテン出身のヴァンピール以外は、はじめての入国。
 噂には聞いていたものの、本当に常に夜に支配されている世界。実際にはそれほど無いはずの時差を感じるかのようだ。
「ようこそいらっしゃいました。エクソシストの皆さん」
 エクソシスト達を迎えたのは、シャドウ・ガルテンのブラフミン、ウラド。
 国の代表であり、魔術師としてもかなりの実力者とされる、ヴァンピールだ。
「お恥ずかしながら、どうやらサクリファイスの浸入を許してしまったようなのです。
 ご存知の通り、常夜の国ですから、死角となるような場所もありまして、そういった部分を突かれたのでしょう。
 アークソサエティ国内でもテロ活動を行っていると聞き及んでいます。
 本国は、アークソサエティほどの規模はありませんから、大規模なテロなどされてしまったら、国家存亡の危機です。
 申し訳ありませんが、どうかサクリファイスが仕掛けた魔術などがないか、探索のご助力をお願いします」
 アークソサエティ薔薇十字教団本部内転移方舟から、シャドウ・ガルテン内の転移方舟に移動したエクソシスト達は、
 ウラドの説明を聞きながら、今回の探索対象となる場所へ移動する。
「他の種族の人間が入国するのも珍しいものですから、サクリファイスが侵入すればわかりそうなものなのですが、
 まだまだ警戒体制について、見直しを図る必要がありそうですね。頭の痛いところです」
 現状でも、シャドウ・ガルテンは、他種族が負傷者や遭難者が入国の嘆願をしたとしても、入国を許可しない方針を貫いているという。
 そんな体制の国に簡単に侵入ができるとは考え難い。
 見慣れない土地で注意を怠っていないということもあるが、エクソシスト達はどうにも心から信頼をすることができないでいた。
 そんな警戒心を見抜いてか、ウラドがエクソシスト達に、柔和な笑顔を浮かべて語りかける。
「そんなに緊張しないでください。皆さんもご存知だと思いますが、ヴァンピールは歴史上、他種族を警戒する傾向にあります。
 警戒心を向けられれば、警戒するのは当たり前のことですが――、さらに警戒しては、繰り返されていくだけですよ。
 とはいえ、サクリファイスのテロの危険性がある中、警戒心を解いて下さい、というのも無理な話ですよね」
 ウラドは、後方に続くエクソシスト達に振り返って、
「私もこうして笑っていられるのは、皆さんのご助力をいただけることになったからです。
 テロという卑劣な行為を行う組織。私としても看過できません」
 歩みを止めたウラドに続いて、エクソシスト達も足を止める。
 どうやら、目的地に着いたようだ。
「お待たせしました。こちらが、サクリファイスが特に目撃されていたエリアです。
 シャドウ・ガルテン内でも、メインストリートの一角ですから、テロの被害は絶対に阻止したいところです。
 国民には、皆さんがいらっしゃることを伝えていますので、安心して下さい。
 何かわからないことや、気になることがあれば、私に話してくださいね」
 探索を行うエリアに連れられて、エクソシスト達は周囲を見渡す。
 疑ってみれば、ところどころ気になる点がある。ヴァンピールの国民も散見されるようだ。
 さて、どこから捜索をはじめようか――エクソシスト達の探索が、開始された。


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