来て シリウス川が赤く染まってる…!つり橋の中央部分まで小走りで 水面に映る赤や黄色の色彩に目を輝かせる静かな問いかけににこりと笑顔ありがとう 大丈夫ね 向こう側に行ってみましょう?鹿や兎に会えるかもしれないんですってとても高い場所にいると我に返り 少し怖くなってシリウスの腕を掴むーあ ご、ごめんなさい笑う気配に頬を赤く そろり見上げる渡るまで こうしていい?鹿や兎を見つけると満面の笑顔おいで 怖くないよ友だちになろう?そっと手を伸ばす触れられたら優しく撫で 可能なら兎を抱き上げる暖かい シリウスも触ってみて少し困ったような顔で でもそっと兎を抱く彼にくすくす笑い最近張りつめることの多かった彼の 解けた表情が嬉しい
調子のよくなさそうなシリウスを気にしながらわかっていたけれど 浄化師のお仕事もたいへんね今日みたいな巡回から魔物の討伐まで…ぽつり 返ってきたシリウスの言葉が胸に刺さる…わたしでは役に立たない…?少し驚いたようなシリウスの顔ごめんなさい 先に帰るね情けなさに涙をにじませ 店を飛び出す自分を呼ぶ彼の声が聞こえる少しの意地と恥ずかしさから 聞こえないフリ離して…っ捕まれた腕を振り払おうとするが 彼の顔の青さに絶句…シリウス? 抱き締められて顔を赤くぽつぽつと語られる言葉に 不器用な彼の精一杯が聞こえた気がしてー心配、してくれたの?冷たくなった頬に触れ 翡翠の目に笑いかけるううん わたしがちゃんと聞けばよかった
無反応なシリウスを窺うシリウスはどんなお祝いが嬉しかった?返ってきた答えに眉を下げる美味しいケーキも どきどきするプレゼントもおめでとうの声も暖かいハグもシリウスにはなかったのと そう思うと悲しくなる宙を睨んでいたシリウスが ぽつりぽつりと話し出す内容に目が丸くナイフ 投げるの?盛大にクエスチョンマークを浮かべつつ柔らかくなったシリウスの顔を見て笑顔ふふ 面白いプレゼントでもきっと そのひとはシリウスを大事に思っていたのねだってそうでしょう?プレゼントは 贈る相手が大事だから渡すんだものほんの少し赤くなったシリウスの顔が いつもより幼く見えて声をあげて笑う皆が笑顔で生まれた日を祝う それがお誕生日でしょう?
先生 シリウスの様子は…傷は塞いだので安静に という答えにほっと朦朧とした翡翠の瞳に気づき笑顔大丈夫 本部の病棟よもう無茶ばっかり 心配し、て…?見る間に青くなる顔に息を呑む震えてる?スタッフが部屋を出るのに 慌てて頭をさげるドアが閉まって振り返り シリウスの動きに小さく悲鳴何してるの…!?振り払われて たたらを踏む崩れ落ちたシリウスを慌てて支える過呼吸を起こしているのに気づき抱き締めて落ち着かせるよう 背中を撫でる治療が嫌?違う わたしが手当てをしてもこんな風にはならないー病棟が 嫌?点滴が終わるまで ここにいよう?体が楽になるはずだからゆっくり息をして 大丈夫 大丈夫だから歌うように繰り返し 強張る背中をさすり続ける
楽しそうにきょろきょろと周りを見渡す彼の言葉に 翡翠の瞳を見上げて無邪気に笑うだってシリウスと同じ ヴァンピールの国だもの光の花畑に小さく歓声星の海にいるみたい…!しゃがみ込んで花に触れる本当に見られるなんて夢みたい触れる事はできるけれど 摘むことはできないんですって残念ね 母にも見せてあげたいのに…シリウス?真っ青に見える彼の顔に息を呑み 手に触れるそう?ならいいんだけど…張りつめた顔を不安げに見る苦しいのを堪えている顔なのはわかるわたしにできることは 何?そこに座って?あのね 月輝花はセレナーデともいうの同じ名前の歌を知っているから 聴いてみて小夜曲を歌う愛しい人を想う歌彼が少しでも笑ってくれるよう