~ プロローグ ~ |
1718年12月――教皇国家アークソサエティは、「クリスマス(ユール)」ムードに包まれています。
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~ 解説 ~ |
現代社会とは、起源などが異なっていますが、基本的なイメージは同様のイベント内容になっています。
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~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル『聖なる夜に祝福を!』の対象エピソードです。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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※アドリブ歓迎します ※9、42、53話参照 ※ギリギリまで描写してください(笑) …男の部屋に、女の子一人で来るなんてどういうつもり? (ララエルを姫抱っこし、ベッドにポーン) まさかただで済むとは思ってないよね? (また僕は過ちを繰り返すのか? でも、仕方ないじゃないか。 今日はクリスマスで、ララに教えられるのは僕しかいなくて、 ララは嫌がってなくて…!) (ララエルの衣服に手を入れ、深くキスをする、その他諸々) (衣服を脱ぎかけ、ララエルの耳元で) 赤ん坊の作り方、教えてあげようか。 …っ、何で嫌がらないんだ! 痛いんだぞ? 苦しいんだぞ? …君って子は…キスの意味は挨拶の他に、好きという意味。 赤ん坊の作り方は、この…白い液体を、君の体内に入れる事。 ララエル、君が好きだ。愛してる。 |
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~ リザルトノベル ~ |
『ララエル・エリーゼ』は軽い足取りで買ってきたケーキを大切に持っていた。ふわふわとした雪のようなクリームの上には宝石のように艶々としたイチゴ。芸術品のようなショートケーキは見た目だけでなく、繊細な味わいらしい。 彼女のパートナーである『ラウル・イースト』に早くこの素敵なショートケーキを見て欲しい余り、ノックするのも忘れて扉を開けてしまう。 「ラウルー、見てください! クリスマスケーキを買ってきましたよ!」 突然の訪問者にラウルの紅玉の瞳が驚きに瞠る。 ラウルは普段のきっちりとした格好ではなく、ラフな格好でベッドに寛いでいたから尚更だった。 ベッドに寝転がりながら、ララエルには難しそうな推理小説を読んでいた。 ララエルの姿に気づくと、いつもなら微笑んでくれるのだが、今日のラウルは無表情だった。それに紅玉の瞳は凍てつくような眼差しにララエルは扉の前で思わず固まってしまう。ラウルはベッドから起きあがると、無言でララエルに近づく。 (あれ、ラウルの機嫌が悪いみたい……?) ラウルはララエルを部屋に入れドアを閉めると、さりげなく部屋の鍵を掛ける。 「ラウル、……どうしたんですか?」 不安そうにおずおずと見上げるララエルに答えることない。 腕を引く手は強引なのに触れる手つきは優しくて、ララエルはどこか居心地悪そうに付いて行く。 ラウルは腕を一旦離すと、突然ララエルを抱え上げる。 「あっ、ケーキが……きゃっ! ラウル! ラウルってば、ケーキが……っ!」 突然お姫様抱っこされたララエルは顔を赤くする間もなく、落ちたケーキを目で追う。そんなララエルに何の反応も返さず、そのまま運ぶと一瞬の浮遊感の後、ぽすんとララエルはベッドに寝かされていた。 スプリングの軋みでラウルが覆い被さったことに気づいた時には、遅かった。 「……男の部屋に、女の子一人で来るなんてどういうつもり?」 「だって、今日はクリスマスですよ! だから、ラウルと一緒にお祝いしたくて……」 「ララ、君はほんとに……」 何か言いたげに口ごもると、ラウルらしからぬ仕草で強引に髪をかき上げる。 「……君は僕のこと男だと思ってないのかもしれないけれど、……いつだって我慢できるわけじゃない。僕だって男なんだ……っ!」 どこか苦しげな表情を歪ませるラウルに何か言おうとララエルが口を開く前に、 「だから、……分からせてあげるよ」 ラウルは色気すら感じる男の表情で微笑んだ。 「ラウルっ……んぅ!」 噛みつくように唇を奪われる。そのまま抵抗することもできず、巧みに唇を割り開いて舌を絡め取られ、遊ばれる。 本能的な怯えに体を竦ませていたララエルを溶かすような長いキスに抗うこともできず、頭がぼんやりしてきてふわふわとした浮遊感を感じる。 (た、食べられちゃう……) 腹を空かせた狼が貪るような口付けだった。 顔が熱い。顔だけじゃなく体も熱を持っている。 神経が過敏になったようにラウルの存在が焼き付けられていくのを感じていた。 ララエルはもう何がなんだか分からなくなり、ただ受け止めるので精一杯だった。 呼吸ができなくなり苦しくて胸元を何度か叩いて暴れると、ようやくラウルは顔を離してくれた。 飲み込みきれなかった唾液が口の端から流れる。 「っはあ、ふっ……はっ……」 桜色の唇から熱っぽい息が漏れる。 ララエルは息を乱し、力が抜けた身体をぐったりさせた。 やけに赤く色づいた唇。雪のように白い頬は上気し、薄桜色が差している。 無垢な表情は陶然とし、潤んだ瞳は物足りないと訴えているように見えるのは、ラウルの願望だろうか。 「ご、ごめんなさい、ラウル……」 「何で謝るんだい?」 優しい声なのに熱を孕んだような声。 ララエルは急に恥ずかしくなり、ラウルから顔を背けてしまう。ラウルに見下ろされながら居た堪れなさを感じてララエルは身じろぎする。 困惑と羞恥の入り交じった表情で、そわそわと内股を擦り合わせている。そのいじましい姿にラウルは嗜虐心を擽られ、ぞっとするほど艶やかに微笑んだ。 「だって、ラウル怒ってるもの……」 「怒ってないよ」 急にラウルがなんだか知らない男の人に見えて、やだやだとララエルは首を振る。 どこまでも稚いララエルの銀の髪を優しく掬い取ると、ラウルは宥めるように口付ける。 切ないまでに甘い紅玉からララエルは目が離せなかった。 ララエルの頬に伝った滴をそっと拭うと、 「ただね、ララ……ここまで来て、まさかただで済むとは思ってないよね?」 瞳爛々と輝く真っ赤な目に見つめられ、ララエルは背筋にぞくりとしたものが奔りぬける。 (また僕は過ちを繰り返すのか? でも、仕方ないじゃないか。今日はクリスマスで、ララに教えられるのは僕しかいなくて、ララは嫌がってなくて……!) 葛藤が胸の内をせめぎ合い、沸き上がる感情がぐちゃぐちゃにラウルの思考を掻き乱す。 理性と本能が真っ向から対立している。 綺麗事を言うな。何も知らないララエルに付け込んでるだけだろう。お前は彼女に触れたい自分を正当化したいだけだ。 自身を嘲け笑う声が心の奥底から聞こえる。 醜い独占欲に塗れた自分が綺麗な彼女に触れていいのか。躊躇するラウルの自制心を打ち崩したのもララエルだった。 「ラウル、もう一度……して下さい」 無意識に誘うようにラウルのシャツを掴んだララエルは唇を受け止める。 互いの存在を確認し合うように、言葉にならない感情を伝え合うようにキスしあう。互いの匂いがより高揚を高めていく。火傷しそうなほど熱いキスをララエルは必死で受け止め、ラウルを全身で繋ぎとめるようとするようだった。 唇を名残惜しく離したラウルは荒々しい仕草でシャツを脱ぎ、無造作に放り投げられた衣服はベッドの下へと落ちる。 半裸となった上半身は浄化師として鍛えられたしなやかな筋肉が陰影を描く。 少年と青年の境にいるような危うさと不安定さが彼の鋭い雰囲気を作り出していた。 「あうっ……」 ララエルは顔を真っ赤にして、固まってしまう。 ラウルは意地悪く口端を上げ、キス寸前のところまで顔を近づけると、不意に耳元でこう囁いた。 「赤ん坊の作り方、教えてあげようか?」 「ほ、ほんとですか……?」 ララエルはこの空気に飲まれたように無防備に身を委ねる。 ラウルを信じ切ったララエルの姿を見てラウルの良心がちくりと痛む。 「……じっとしていて」 女性特有の脂肪がうっすらとつきつつある未成熟な肢体。 ララエルの心も体もこの先の未来も全てが欲しいと自分の中の獣が吠え猛る。 彼女の心臓の鼓動が聞きたい。その人肌に触れて彼女の存在を確かめたい。その衝動に突き動かされるように、ラウルはララエルの胸元に顔を埋める。 ララエルの心臓に耳を当てると、とくんと心臓の音が早く鳴り響いている。 服越しにラウルはいかにも傷つきやすい肢体に唇を落とした。 初めは擽ったそうにくすくすと笑いを零していたララエルの息づかいがある時から変わる。ララエルは身を捩らせるが、いつの間にか両の手をラウルにひとまとめに片手で掴まれて逃げることができない。 乱れた服の隙間から見える腹部に顔を擦り付け、何度も所有印をつけるように丁寧に口付ける。 ララエルの白い肌は瑞々しくもまだ閉じた蕾だった。 あの雨の日のように濡れて冷え切った雪のような肌が、今は蕩けそうに温かい。その温かさはラウルを全身で受け止めてくれているかのような錯覚に陥る。 そっと指先で形を確かめるように。 その後は手のひら全体を使って味わう。 彼女の心臓の動きにあわせて、強ばった肢体はぴくぴくと細かく震える。 ラウルの端正で美しい指がララエルの肌を優しく這う。羽毛で擽るように、それは劇的ではなく子守歌のような指使い。 「ら、ラウル……何だか体が変です……ドキドキして……」 ララエルは無自覚にラウルを煽るような言葉を発し、縋るような眼差しで見つめる。 「奥の方がむずむずするような……た、助けてください……っ」 ラウルは扇情的なその姿にごくりと唾を飲み込むと、下唇を嘗め、凄絶な笑みを浮かべた。 キスを落とされる度にラウルの吐息が肌に触れる。 男の美しい指がすっと下半部をなぞりあげ、臍を擽る。 (ああ……早くここに宿ればいいのに。そうしたらララエルの全てが僕のものだ) 独占欲に支配された心で組み敷いた少女を哀れむ。 (ごめんね、ララエル……上手に愛せなくて。今更君を手放す事なんて僕にはできない) 白くて柔らかな肌を好き勝手貪っている後ろめたさも、愛しい者を自分の色に染め上げる背徳感の前には無力だった。 「ラウル……ラ、ウル……っ」 うわごとのようにラウルを呼ぶ。 自分がどんな表情を浮かべているかも分かっていない癖に、縋るように何度も名を呼ばれてラウルは堪らなくなった。 「……ら、ラウル、大丈夫です、か?」 眉を顰めて何かに耐えるような表情を受けべたラウルにララエルが気遣うように彼の頬を撫でる。 どんなに身体を溶かそうとしてもララエルの信頼する眼差しは揺るがない。 「……っ、何で嫌がらないんだ! 痛いんだぞ? 苦しいんだぞ?」 互いの距離が近づけば近づくほど貪欲になり、胸の渇きを押さえることが難しくなっていく。 「ラウル、好きです。大好きです!」 「……君って子は……キスの意味は挨拶の他に、君が好きという意味」 「えっ、キスの意味って……」 感情が堰を切ったように目の縁から涙がはらはらと零れて止まらなくなる。 胸が熱くなり、心が歓喜で波打つ。嗚咽を必死で耐えながら、途切れ途切れに思いの丈を吐き出した。 「わ、私もラウルの事が好きです!」 ずっと胸の内に秘めておいた言葉が花開く。 「ララエル、君が好きだ。愛してる」 ラウルは一瞬泣きそうに顔を歪め、祈るようにララエルに愛を乞う。 涙の跡が残りつつも、小さな蕾が咲き始めるような、見ているこちらの胸に光が射すような笑み。 ラウルだけしか知らない小さな花のような笑みを一生忘れることはないだろう。 「あの、ラウル……この続き、今はまだダメなんですよね? いつか、私がもうちょっと大きくなったら、してくれますか……?」 「……いつかね」 ラウルは優しく目元を細めた。 まだ無知な彼女に本当のことは言えず、でも約束するように頷いた。 それがあまりに真剣で願いを込めるような言葉だったから、ララエルは今はそれでいいと素直に思えた。 ララエルは体を起こすと、思い出したように手を叩いた。 「そうと決まったら、ケーキは崩れちゃいましたけど、一緒に食べましょう!」 「ララ……ごめんね、折角のケーキが……」 ラウル落ちたケーキの箱を見て責任を感じるのか辛そうな表情を浮かべた。 「大丈夫です! ちょっと形は崩れちゃいましたけど、きっとラウルが好きそうなケーキなんです、きっとおいしいですよ!」 屈託ない笑みを浮かべたララエルに救われたような思いがする。 その日食べたショートケーキは幸福の味だった。 ふわふわととろけそうな白いホイップクリームで上品に仕上げられたケーキはぐちゃぐちゃに崩れてしまって面影を残していなかったが、今まで食べたケーキの中で一番美味しかった。 きっとこの日を忘れることはないだろう。例え何があったとしても。
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*** 活躍者 *** |
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