~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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エフェメラ様とルシアがデートすることになったらしい …何がきっかけか分からないものねぇ とはいえあの二人、デートできるのかしら!? ルシアはともかく、エフェメラ様はデートなんてされたこと一度もないのに!! エフェメラが人混みが苦手という理由で、人が少ない森や海岸で散歩になった とりあえずお弁当は持たせたから、多分大丈夫…よね!? ああ気になっちゃう…わたし今とても気になる…!! などというシィラの心配をよそに、一応デート(?)はうまくいってる模様 ルシアがたくさん話かけてくれている もとの世界のこと、ここでのこと エフェメラ様も、長く生きていると聞きました 私は…どうでしょう、私の種族は長命が多いですが… |
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~ リザルトノベル ~ |
創造神を倒してから300年後。 その日も、いつもと変わらず巡っていた。 「何だか今日は、皆どこか浮かれているような気がする」 全界連盟(ワールドオーダー)の施設内を『シィラ・セレート』と一緒に歩いていたアプスルシアは、不思議そうに言った。 これにシィラは、小さく笑みを浮かべ応える。 「今の時期は、バレンタインだものね。気になる子も多いんでしょ」 「バレンタイン……」 「気になる?」 「あ、いや……こちらの世界でもあるのだな、と思って」 小さく呟きながら、どこか遠い表情になる。 それは望郷の念なのか、それとも戻らなくてはならないという焦りなのか? (それ以外も、ある気がするけれど) アプスルシアの愁いを帯びたような表情に、シィラは『エフェメラ・トリキュミア』のことが思い浮かぶ。 (エフェメラ様は……まぁ、エフェメラ様だから、今のままでしょうけど。ルシアは……) ルシアが、エフェメラと偶に一緒にいる時の嬉しそうな顔が浮かんでくる。 (少なくとも、好意は抱いてるわよね?) それは男女の色恋という程には生々しい物ではないが、アプスルシアがエフェメラを気に掛けているのは間違いない。 (ルシアが、この世界に来てからそれなりに時間は経ってるけど、まだ馴染みきってるって程じゃないし) 異世界から煉界に訪れたらしいアプスルシアを保護してから、それなりの月日が経っている。 いつか元の世界にアプスルシアは戻ると解っているが、それまでは、こちらの世界で心健やかに過ごして欲しいとシィラは思っていた。 (そのためには、エフェメラ様にも協力して欲しいんだけど……) 願ってはいるが期待はしてない。 なにしろエフェメラだ。 超絶人見知りのひきこもりの上に、筋金入りの草食系。 おまけに生きてきた年月だけは長いので、色々と枯れている。 (……気の利いた言葉でルシアをデートに誘うぐらいの甲斐性を見せてくれても良いんだけど……無理よね、エフェメラ様だし) シィラは、エフェメラのことを尊敬しているし敬愛もしているが、それはそれとして長年一緒にいたので、ダメな所も理解していた。 (せめて一緒に散歩するぐらいはさせてあげたいんだけど) そう思っているので、シィラはアプスルシアに声を掛けて一緒に施設内を歩いている。 なぜなら、エフェメラが仕事の報告をするために訪れているのを知っているからだ。 (このまま進めば、エフェメラ様と出会えるはず) 家神なシィラは、施設内のことを知ろうと思えば知ることが出来る。 普段は個人のプライバシーもあるので重要区画や侵入者以外の探知は行っていないが、今回は特別だ。 (あと数分もすれば……って、この気配は――) アプスルシアと一緒に歩いていたシィラは、よーく知っている騒々しい気配に気付き身体を向ける。 「あーっ! いたーっ!」 バカでかい斧を持った赤髪の娘が猪突猛進な勢いで走って来る。 「リホちゃん、どうしたの?」 シィラは走ってくる赤毛の娘、リホリィに声を掛ける。 「やーん! 聞いてよー!」 バカでかい斧を持ったまま突進してきたリホリィは、シィラをぎゅっと抱きしめると言った。 「師匠酷いのーっ! もっとまじめに訓練しろってーっ! でねでね、ルシアを見習えっていうんだよーっ! 誰よルシアってー!」 「ラギアに絞られたのね」 小さくため息をつくシィラ。 いま抱き着いているリホリィは、全界連盟の戦闘教官であるラギアの娘であり弟子でもある子だ。 ラギアは、シィラにとって大切な人の1人でもあり、その縁もあってリホリィの事もよく知っていた。 それもあって甘えて来ることもあるのだが、ことある毎に慰めて貰いに来るのは、どうしたものかとも思っている。 (とはいえ、ついつい甘やかしちゃうのよね) そんな自分を律するように、あえてシィラは厳格な声で言った。 「リホちゃん、ラギアが、そういうことを言うのは、貴女のことを思ってのことなの。ラギアが厳しいことを言うのは、貴女が苦労しないように――」 「きゃーっ! 怒ってるシィラもかわいいー!」 なぜか、もっとぎゅむぎゅむされた。 それを見かねたのか、アプスルシアが声を掛ける。 「誰かは知らないが、やめろ」 「えー、なによー」 不満げに言いながら、リホリィはアプスルシアに視線を向ける。その途端―― 「きゃーっ♪ なになにっ、すっごいタイプー!」 「は? なに?」 思わず後ずさるアプスルシアに、リホリィは獲物を見つけた仔猫のように飛び掛かった。 「ぎゅっとしてあげるー!」 「何を言ってる!」 当然のように避けるアプスルシア。 しかしリホリィは諦めず、追い駆け回す。 「待ってー♪」 「意味が解らん!」 全力で逃げ回るアプスルシアと、笑顔で追い続けるリホリィ。 「ちょっとだけ、ちょっとだけだから~♪」 「何をする気だ!」 そのまま鬼ごっこにも似た逃走劇が繰り広げられていると―― 「ルシア?」 報告書を届け終ったらしいエフェメラの姿が。 「エフェメラ様っ」 気付いたアプスルシアは、エフェメラの元にまで駆け寄ると、助けてと言わんばかりに抱き着いた。 「ど、どうしたのだ!?」 ぎゅっと抱き着かれ、驚いて抱きしめ返すエフェメラ。 それだけだと色気があるように思えるが、実際の所は、脅かされた猫がしがみ付いているようなものだ。 顔を強張らせているので、一目で違うと分かる。 そこにリホリィがやって来て、さらにややこしくさせる。 「あーっ! アタシも混ぜてよー!」 「ひっ!」 突進してくるリホリィに、ビビり散らかす大魔女なエフェメラ。すると―― 「はい、そこまで」 「うひゃっ!」 リホリィの首根っこを、シィラが押さえる。 「限度が過ぎてるわよ」 「え~、なんでー」 子供のように、じたばたと暴れながらリホリィは言った。 「タイプの子だったからデートに誘おうとしただけなのに~」 「ダメよ」 「なんで?」 「それは……」 シィラは応えを返そうとして、抱き着き合っているアプスルシアとエフェメラを見て妙案を思いつく。 「ルシアには先約があるの。エフェメラ様と、デートするんだから」 「え?」 思わず聞き返そうとするエフェメラにシィラは、にっこりと笑顔を浮かべながら言った。 「デートしますよね? そんなに抱きしめてるんですから」 「そ、それは――」 言われて自覚したのか、慌てて離れるエフェメラ。 (びっくりして離れるどころかひっついてしまった、年頃の乙女になんと……!!) 謝ろうとアプスルシアに視線を向けると、どこか期待するような視線と言葉を返された。 「……エフェメラ様は、嫌ですか?」 「い、いや、そういうわけではないのだが――」 「はい、それじゃ決定ですね」 シィラがまとめる。 「今日は、もう仕事が無いでしょうから、ルシアとデートに行って来て下さい。あ、お弁当とかは私が用意しますから、そちらは心配しなくても良いですよ」 「う、うむ。別に良いのだが、どこに行けば……」 悩むエフェメラに、全てをゆだねるように応えるアプスルシア。 「エフェメラ様の行きたい場所が良いです」 「……分かった。ひとまず、歩きながら行先を決めても良いか?」 「はい」 エフェメラの応えに、アプスルシアは笑顔を浮かべ連いて行った。すると―― 「やーん、アタシも一緒に行くーっ」 「ダメよ」 じたばた暴れるリホリィと、笑顔のままガッツリ捕まえるシィラ。 「リホちゃんは、ちょっとこっちいらっしゃい。怒ってないから」 「嘘だー!」 じたばた暴れるリホリィを引き摺って、ゆっくりと説教が出来る場所に向かう。その道中―― (エフェメラ様、デート大丈夫かしら……) 不安を感じるシィラだった。 もちろん的中する。 「ここで好かったのか?」 心中で首を捻りながらエフェメラが連れてきたのは、かつて隠遁していた海岸。 少し前にも色々あって逃走し、アプスルシアを見つけた場所に訪れていた。 人気のない、落ち着いているだけで、特に何も無い場所。 齢数百年を超えるエフェメラだが、デートスポットの引き出しは皆無だった。 なにしろ今まで生きて来て、一度もデートをしたことが無いので、ノープラン以前の状態なのだ。 けれど一緒に歩いているアプスルシアは、機嫌好さ気だった。 「ここに、住んでいらしたんですね」 アプスルシアは静かに砂浜と、海を見詰める。 (……よく分からんが、気に入ってくれた、のか?) 安堵しつつ、アプスルシアに応える。 「300年ほど前のことだがな。あの頃、ラスとラニが会いに来てくれてな」 想い出を語っていく。 それを熱心に聞いていくアプスルシア。 彼女は、『貴方のことを知ることが出来て嬉しい』、という素直な表情を浮かべていた。 もっともエフェメラは、そこまで察しは良くない。 けれどアプスルシアが喜んでくれているのは分かった。 だから彼女をもっと喜ばせるため話をしていく。 するとアプスルシアは、返礼するように自分のことを語っていった。 「そうか。色々と、あったのだな」 「はい」 アプスルシアは話していく。 元の世界のこと、そしてこちらの世界での出会いと日々を。 その全てをエフェメラは聞いていき、返事をしていく。 (他に良い応えが思いつかぬな……) そっけない返事しか出来ず、エフェメラが申し訳なく思っていると、アプスルシアは尋ねた。 「エフェメラ様も、長く生きていると聞きました」 「うむ。それなりに生きておるよ。アプスルシアは、どうだ?」 「私は……どうでしょう、私の種族は長命が多いですが……」 「覚えておらぬのか?」 「……はい。アプスルシアという名前は、憶えているのですが」 「そうか。名前は大事だからな。アプスルシアは良い名だ」 「……」 エフェメラの言葉に、しばし沈黙したあと、アプスルシアは意を決する様に言った。 「アプスルシアは戦士としての名。これも私ですが、もうひとつの名があるのです」 聞いて欲しいという彼女に寄り添うように、エフェメラは言葉を待つ。 そしてアプスルシアは言った。 「私の名前、シィーラというのです」 「……ん、ん!?」 一瞬、シィラのことが頭に浮かび、2人で苦笑する。 そしてアプスルシアは――シィーラは言った。 「一番最初に出会った時、少し私は狼狽えていたでしょう」 「うむ」 「ほぼ同じ名前の者がいるとは思わなくて」 「そうか」 真面目に頷くエフェメラに、シィーラは小さく微笑むと視線を合わせ、ねだった。 「これからも、変わらずルシアと呼んでほしい」 そして想いを告げた。 「でも、エフェメラ様には、シィーラという名も、知ってほしかったのです」 それに応えるように、エフェメラは名を呼ぶ。 「分かった。ルシア」 それが何よりの贈り物だというように、花咲くような笑顔を浮かべるアプスルシアだった。 彼女の笑顔を受けとり、エフェメラは思う。 (……我は彼女に、何が出来るだろうか) その答えは、今は見つけられず。 けれど寄り添うように、2人で海岸を散歩した。 その後、シィラが用意してくれたお弁当を食べ、一息ついたあと、アプスルシアは言った。 「歌を、聞いて貰えませんか?」 「うむ。聞かせてくれ」 海岸で、アプスルシアは歌う。 それはシィラに教えて貰った歌。 心地好さ気にエフェメラは聞いていた。 こうして想い出となるデートの1日を、静かに過ごした、アプスルシアとエフェメラだった。
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*** 活躍者 *** |
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