~ プロローグ ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ 解説 ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
~ ゲームマスターより ~ |
※イベントシチュエーションノベル発注のため、なし。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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ヨセフ室長、護衛という大役を任せていただき、光栄です あっ、ステラ! 探検するのは構いませんが、駅に到着する前までには戻ってきてくださいね? あ……車掌の方ですね……こほんっ ええ、ゆったりと過ごせています ――ッ!?室長、伏せて!! (座席ごと車体の内壁をバターのように切断した……) その喉の刻印……ホムンクルスですか 最近噂になっている反社会的勢力への攻撃や人間離れした強盗事件、やはりあなた方ホムンクルスが原因だったようですね っ!何か仕掛けてきます、警戒を! ……ぁ?頭に……声が響いて…… ふぅ……っ、ふぅ……っ ヨセフ室長、好き……好き、ですっ…… ああ、いいこと思いついた…… 私と一緒に、死んでくれますか? |
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~ リザルトノベル ~ |
重厚な鉄の塊。 機能性と共に頑丈さを求めて作られたそれは、見る者の目を惹かずにはおれないほどの存在感を醸し出している。 大陸横断用重機関車『ビッグボーイ』。 見上げるほどの大きさに、『ステラ・ノーチェイン』は感嘆するように声を上げた。 「おー、すごくデカいな」 目を輝かせ、ぴょんと跳び上がり、ビッグボーイの外装に乗り上がると、そこからさらに駆け昇り天辺に到着。 「マー、すごく高いぞ!」 「なにしてるんですかステラ!」 慌てて降りるように声を上げるのは、『タオ・リンファ』。 「迷惑になるんですから降りないとダメです!」 危ない、と言わないのは、心配してないからではなく、彼女の運動神経をよく知っているからだ。 なので問題にしているのは、純粋に迷惑を掛けてしまうこと。そして―― (目立ってはいけないというのに。任務に支障が出ます) 正直、気が気でない。すると―― 「分かったぞ、マー」 リンファの呼び掛けに応えたステラは、そのままビッグボーイの天辺から跳び下りようとする。 それを見て、慌てて止めようとするリンファ。 「ちょ、待ちなさい。スカートが」 今日のステラの服装は、普段のハーフパンツでは無くフレアスカート。 上着のブラウスに合せた春の装いで、旅行先の女の子といった出で立ちだ。 それだけに、高い所から飛び降りたら風でめくれてしまうのだが―― 「心配しくても大丈夫だぞ、マー」 こともなげにリンファは言うと、ぴょんと跳び下りる。 風でめくれそうになるが強引に押さえつけ見事着地。 「どうだ」 「どうだ、じゃありません」 少しばかりお説教。 「ステラ。今日の貴女はレディなんですから、下着が見えるかもしれないことをしてはいけません」 「大丈夫だぞ。下はスパッツ着て来たから」 「見せようとしなくていいです!」 スカートをめくってみせようとするステラを止めるリンファ。 2人とも似たような服装なので、傍から見ていると歳の離れた家族のようにも見える。 そんな2人を、ヨセフ・アークライトは微笑ましげに見ていた。 今日の彼の姿は、春の装いに寄せたコーディネート。 上は薄手のシャツにベストを着込み、下はスラックス。 全体の色合いをリンファたちに合せているので、一緒に居ると調和の取れた装いだ。 旅行鞄も持っているので、傍から見ただけなら、ちょっとした旅行に、この駅に来ているように見えるだろう。 プリマス駅。 ヨトゥンヘイム地方西部、外国からの船を受け入れる港湾都市として有名なプリマス随一の駅。 首都である機械都市マーデナクキスに直通の便を持っていることから、リンファ達は乗ることにしていた。 「そろそろ出発時間だ。客室に向かうとしよう」 懐中時計を確認したヨセフが声を掛けると、ステラは嬉しそうに言った。 「乗って良いのか?」 「ああ。客室車両の場所は覚えているな?」 「おう、覚えてるぞ!」 言うが早いか、ステラはパッと客車に乗り込む。 リンファは苦笑しながら後を追おうとすると、持っていた旅行鞄をヨセフが取ってくれる。 そしてヨセフは先に乗り込むと、手を差し出した。 「ぁ……」 思わず気後れしそうになるリンファだったが―― 「リンファ。今日の私達は『旅行客』だ。そうだろう?」 ヨセフが茶目っ気を込めるように言った。 彼の言葉に、状況を改めて意識したリンファは―― 「……はい」 おずおずと手を差し出し、ヨセフに引っ張り上げて貰いながら、乗り込み口が高めの客車に乗り込んだ。 「さて、私達も客室に行こう」 「はい」 先を行くヨセフの後をリンファは連いて行く。 出来る限り旅行客に見えるように気を付けながら、同時に周囲の警戒も怠らずにいた。 (ヨセフ室長の護衛という大役を任されたんです。しっかりせねば) リンファ達が今ここに居るのは、マーデナクキスの王であるエアへの謁見と視察を兼ねている。 そのため大人数の護衛は付けず、家族旅行の偽装が出来るよう、リンファ達が一緒について行くことになったのだ。 というわけで、周囲を警戒しながらヨセフの後に付いて行くと―― 「マー、ふかふかだぞ」 先に客室についたステラがはしゃいでいた。 ぴょんぴょんソファの上で跳ねるステラにリンファが注意するより早く―― 「ここは特等室だからな。調度品も気を使ってるんだ」 「おー、そうなのか」 感心したように声を上げるステラ。 「他の客室は違うのか?」 「ここよりは狭いな」 お忍びとはいえ警護をし易くするため、一車両丸々使った特別仕様の客室だ。 走るスイートルームといった装いに近い。 「それじゃ他の客室はどんななんだ?」 好奇心一杯なステラにヨセフは説明してあげる。 「ここよりは区切ってあるが旅行専用の車両だからな、快適だ。それに食堂車もあるぞ」 「食堂車! 見に行って来る!」 ソファから降り靴を履いて走り出すステラ。 「あっ、ステラ!」 「なんだマー」 「探検するのは構いませんが、駅に到着する前までには戻ってきてくださいね?」 「分かったぞ!」 ぴゅーと走り出したステラに、リンファは申し訳なさそうに言った。 「その、すみません……」 「気にしなくても良い。それより座ろう」 席を勧められ向かい合わせに座る。 警護役として気を張っているリンファに―― 「そんなに張り詰めなくても良い」 「それは――」 「実を言うと、今回の視察は息抜きを兼ねてるんだ」 「え?」 驚いたように声を上げるリンファに、ヨセフは言った。 「休みを取る余裕は無いが、それだと効率が落ちる。だから仕事で息抜きが出来る時は、するようにしてるんだ」 「そうなんですか?」 「ああ。だから今回、リンファやステラに護衛に来て貰った。その方が心が休まるからな」 信頼する様に言われ頬が熱くなりそうになったリンファは誤魔化すように言った。 「大変ですね、室長は――」 そう言うと苦笑するヨセフに、リンファはハッと気づく。 「すみません、もう室長では……」 「いや、いい」 苦笑したままヨセフは言った。 「勢力均衡を維持するために、私は教皇の肩書を得ているだけだからな。雇われのようなものだ。それに――」 懐かしさを込めながら言った。 「君達が私を室長として支えてくれたから、今がある。今でも気持ちの上では、あの頃の、室長と呼ばれていた時の自分でありたいと思っているんだ」 「……そうなんですね」 ヨセフの言葉は、自分達を信頼し、かつて共に戦った頃を大事にしてくれているように思える。 そう思えたからこそ、自然体でリンファはヨセフと共にいることが出来た。 「――出発したな」 汽笛が響き、機関車は走り出す。 その後もステラは探検をしているのか戻らず、2人きりになるが、ヨセフが今回のマーデナクキス訪問や社会情勢を話してくれ、それに応えることでお喋りをすることが出来た。 そうしてお喋りに興じている時だった―― 「切符を拝見します」 帽子を目深に被った車掌が切符を切りに車両に訪れた。 ハスキーな男性の声で、『彼』は言った 「当列車の乗り心地はいかがですか?」 これにヨセフはリラックスした声で応える。 「ああ、とても快適で落ち着く」 合わせるようにリンファも言った。 「ええ、ゆったりと過ごせています」 2人の応えに―― 「冥土にいい土産話ができたじゃねーの」 車掌姿の『彼』は、殺意と共に笑みを深くした。 「――ッ!? 室長、伏せて!!」 殺意に反応したリンファがヨセフの頭を抑えて低くする。 それとほぼ同時に、鋭い風切り音が頭上を通過。 2人がかがんだ真上を黒い何かが横切り、座席と車体ごと横一文字に切り裂いた。 「今のを反応するとはな」 楽しげに言いながら、『彼』は帽子を取り、制服を引きちぎるように乱暴に着崩して正体を現した。 「貴女は、その喉の刻印……ホムンクルスですか」 「ルシファーだ」 蝙蝠のような黒翼を、服の袖を突き破って伸ばす彼女に、リンファは油断なく視線を向ける。 「最近噂になっている反社会的勢力への攻撃や人間離れした強盗事件、やはりあなた方ホムンクルスが原因だったようですね」 「だったらどうした?」 「話を聞かせて貰おう。取り押さえてからな」 「はっ!」 いつの間にか側面に移動していたヨセフが、長剣の一撃を振るう。 それをルシファーは黒翼で弾き、カウンターを食らわそうとするが―― 「させません!」 口寄せ魔方陣で武装したリンファが迎撃する。 「やるじゃねぇか!」 好戦的なルシファーを、リンファとヨセフがコンビネーションで追いつめる。 しかしルシファーも、隠していた尾による刺突などでさらに勢いを増し一進一退を続ける。だが―― 「さすがに閉所で二人相手じゃ分が悪いか、遊び方を変えよう」 時間を掛けることを嫌ったルシファーは、自身の『能力』を使った。 「っ! 何か仕掛けてきます、警戒を!」 リンファが注意を促すも―― 『お前の愛を剥き出しにしてみせろ』 (……ぁ? 頭に……声が響いて……) 能力の向かう先はリンファ。 「リンファ!」 ルシファーを牽制しながら心配するヨセフに―― 「……ヨセフ室長」 リンファはヨセフを押し倒した。 「リンファ!?」 もがくヨセフを押さえつけ、リンファは唇を押し付ける。 それはキスというにはあまりにも不器用で、噛みつくような口づけだった。 「ふぅ……っ、ふぅ……っ……ヨセフ室長、好き……好き、ですっ……」 「――! しっかりしろリンファ!」 「しっかり? ふふ、私は……正気です……」 話が通じないリンファに、ヨセフは一端身体を離そうとするが―― 「ダメです。貴方も、私を置いてどこかに行くんですか?」 リンファは強引に押さえつけ、泣き笑いのような表情で言った。 「ああ、いいこと思いついた……私と一緒に、死んでくれますか?」 「リンファ……」 ヨセフの呼び掛けにリンファは応えない。 過去に縛られるように言葉を零す。 「メイファのように、また大切な人と離れ離れになったらと思うと……」 リンファは武器を、化蛇をヨセフの首元に当てながら願うように言った。 「一緒に死ねば、もうどこにも行きませんよね? そしたらずぅっと一緒です! ふふふ……」 リンファの言葉にヨセフは―― 「違う!」 力強く言い切った。 「約束した筈だ。私は言った。傍に居てくれと」 「……ぁ」 ヨセフの言葉に、彼に告白した時のことを思い出す。 「はい……傍に居ます……ヨセフ室長」 その時の言葉を忘れた訳じゃない。 けれど、それでも―― 「怖いんです……」 化蛇の刃を外すことが出来ない。 「ヨセフ室長……ずっと一緒に……」 「はははっ! 大変だな色男!」 ルシファーが哄笑を上げながら言った。 「滑稽だよなぁ、お前を愛してくれてる部下のせいで死ぬんだからよぉ」 これにヨセフは―― 「少し黙ってくれ」 リンファだけを見詰めながら、ヨセフはルシファーに返す。 「私はリンファと話している。君の相手はあとだ」 「……はっ」 危機的な状況にあって、それでもリンファを気に掛けるヨセフに―― 「……ふざけんな、クソが」 ルシファーは渇望を声に滲ませながら、ヨセフ諸共リンファを殺すべく、黒翼の刃を振り上げた――
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*** 活躍者 *** |
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