【教国】幽霊な彼女と3人組
普通 | すべて
8/8名
【教国】幽霊な彼女と3人組 情報
担当 春夏秋冬 GM
タイプ ショート
ジャンル イベント
条件 すべて
難易度 普通
報酬 通常
相談期間 5 日
公開日 2020-04-06 00:00:00
出発日 2020-04-14 00:00:00
帰還日 2020-04-22



~ プロローグ ~

 ヴェルサイユ宮殿。
 教皇ルイ・ジョゼフは自室で、ナハトの報告を受けていた。

「なるほど。力もあり、手際も良かったと、そういうことだな」
「御意」
 頭を下げ、反教団組織であるオクトに潜入しているジータは応えた。
「直接相対し確認いたしました。間違いございません」
「そうか。ならば、使える、ということだな」
 ルイは笑みを浮かべ、さらに言った。
「今は、どの程度、手を回している?」
「今の所は、何も。猊下の命に従うのみでございます」
「ふむ、そうか。ならば命を下そう。その前にひとつ、お前に問う」
「なんなりと」
「お前がいま、潜入しているオクトの者達。生きていた方が良いか? それとも死んでいた方が良いか?」
 ほんの僅かな間を空けて応えは返ってくる。
「全ては猊下の意のままに」
「ならぬ」
 ルイは楽しそうに言った。
「私は、お前に聞いている。
 別に、どちらでも良いのだ。死のうが生きようが。私には何の関係もない。
 だが、人は己の望みに従う時、もっとも力を発揮する。
 私は、お前という道具を最大限に使いたい。
 だから答えよ。お前はオクトを生かしたいか? それとも殺したいか?」
 頭を下げたまま、ジータは応えた。
「生かしていただけるなら、私は……」
「良い。認めよう。それがお前の望みというのなら、励め。オクトは生かし、浄化師を誘導しろ。必要ならば、死ね」
「御意」
 迷いなく応えは返された。
 その言葉の響きの確かさを確かめると、ルイは命じた。
「オクトと教団本部が関われるように動け。まずは内情を得られるようにしろ。適した者はいるか?」
「おります。まずは中枢ではなく、外縁に連なる者と関わる機会を作ります」
「ほぅ。それは、どういった輩だ?」
 応えは、すぐに返された。
「幽霊でございます、猊下」

◆  ◆  ◆

 群れを成し、ヨハネの使徒は行進していた。
 大小さまざまな大きさを見せているが、進む速さにズレはなく、近付けば轢き潰される威圧を感じさせる。
 その行進の先。ヨハネの使徒達を呼び寄せているのは、2人の男女だった。
「来た来た。相変わらず、鬱陶しい奴ら」
 うんざりした声を、ヴァンピールの女性は上げる。
 年の頃は、ヒューマンで言えば20歳そこそこ。とはいえ長命種なヴァンピールなので、実際の年頃は分からない。
 同じようにうんざりとした声で、年頃が似たヴァンピールの男性が応える。
「全くだ。あんなガラクタ共、とっとと潰して、綺麗なネェちゃんと酒でも飲みたいねぇ」
「バッカじゃないの、ペトル」
 噛み付くようにヴァンピールの女性は言った。
「アンタなんかの相手をしてくれる人なんて、いないっての。そうやってすーぐ女の尻追っかけて。節操がないんだから」
「そう言うなよ、ケイト」
 肩を竦めるようにして、ペトルはケイトに返す。
「男に生まれたからにゃ、可愛くて綺麗なおネェちゃん達に声かけるのは義務ってもんだ」
「だからって、誰彼かまわず口説いてんじゃないわよ。こないだなんか、リアちゃんに声かけて。困ってたでしょ」
「なに言ってんだ。普段から忙しい彼女を癒してあげたくて、俺は声を掛けたんだよ。彼女の好きな花だって、用意しちゃうし」
「そういう所はマメよねぇ。よくあの子の好きな花、知ってたわね」
「姫さまに聞いた」
「呆れた。あんたみたいなチンピラが、姫さまに近付くんじゃないっての。教育に悪いでしょ」
「なに言ってんだ。俺ぐらい品行方正な男は居ないんだぜ」
「言ってなさいよ、まったく」
「おいおい、戯れ合うのはそれぐらいにしとけ」
 ため息交じりに、アンデッドの男が2人に声を掛けた。
「まったく、いつまでたっても子供だな、お前らは。そう思うだろ、シィラ」
「そうね。グリージョ」
 くすりと笑みを浮かべ、幽霊のシィラは応えた。
(少しは、笑ってくれるようになったな)
 シィラの笑顔に、グリージョは安堵する。
 それはペトルとケイトも同じだろう。

 彼ら4人は、かつて教団の暗部に捕まり、そこで人体実験を受けて以来の仲だ。

 ペトルとケイトは、ヨハネの使徒をひきつけやすいという特殊な体質ゆえに。
 シィラは魔女の弟子の家系のせいで、魔女狩りに巻き込まれ捕まり。
 グリージョは純粋に実験台として捕まり、一度死んだ後にアンデッドとして蘇った。
 自分達を人間以下に扱う研究者。時折やってきては玩具のように弄ぶ貴族。
 彼女達は苦痛を味わい続け、やがて『刺し違えてでも奴らを殺す』という考えに至り、他の被験者と共に暴走。
 その場にいた貴族と研究者を殺害し逃走した。
 だが、その時に一緒に逃げることは出来ず、シィラだけは1人はぐれ消息が掴めない日々の中、やっと再会できた時には、彼女は幽霊になっていた。
 その時には既に、反教団組織であるオクトに所属していたグリージョ達3人は、ヨハネの使徒を破壊するために、とある村に赴き、そこで使徒を破壊しているシィラと会ったのだ。
 最初の頃は、記憶が定かでなく、ただただヨハネの使徒を破壊するだけの存在でしかなかった。
 けれど必死になって3人で呼び掛け、シィラは自分達の事を思い出してくれたのだ。
 嬉しかった。
 けれどその頃はまだ笑うこともできず。ヨハネの使徒を破壊することばかり考えていた。
「あの子達が、少しでも安全に生きていけるようにしたいの」
 話を聞けば、自分の命を投げ打ってでも、助けたい2人の子供達がいたようだった。
 その子達のために、ヨハネの使徒を破壊し続けるというシィラを放っておくことなど出来ず、オクトに連れ帰った。
 すると首領であるヴァーミリオンは、笑顔で受け入れてくれた。
「心配すんな。お前らの居場所ぐらい、作ってやるからよ」
 それは力強くて、安心できる笑みだった。
 そしてかつてのように、4人は共に行動している。
「さて、稼ぐわよ」
 ケイトは2対の黒き魔銃を召喚。
「姫さまと俺達の国のために、ガラクタ共はぶっ壊す」
 ペトルは2対の白き魔銃を召喚。
「良い部品が取れるように、ほどほどにな」
 グリージョは2対の白と黒の剣を召喚。
「それじゃ、壊しましょう」
 シィラは、自分が死ぬ原因となった禁術を操り、ヨハネの使徒を破壊するべく動き出した。

 この状況に、アナタ達は出くわします。
 少し前、とある指令が出されたアナタ達は、この場に訪れたのです。
 指令の内容は、ヨハネの使徒の大群が見つかったので、それを破壊せよというものでした。
 ちなみに、その指令が何処から出された物なのかは、分からないとの事です。

 さて、この状況。
 アナタ達は、どう動きますか?


~ 解説 ~

●目的

ヨハネの使徒の全滅

●状況

とある平原。周囲に避難させなければいけない相手は居ません。
平地なので、戦闘時に支障となることはありません。

●敵

ヨハネの使徒×30体

前・中・後の3つの集団に分かれており、それぞれ10体ずつ居ます。

大きさはバラバラ。それなりに強いですが、1人で突っ込んで囲まれるとかではない限りは、いきなりピンチになったりする相手ではありません。

●NPC

グリージョ・スカラー アンデッドの男性 双剣使い

漂々とした人物です。かつて浄化師に傷を癒され

「あなたも生きている」

と言われたことがあり、浄化師に対する好感度は中庸。

ケイト・ミノーラ ヴァンピールの女性 二丁拳銃使い 自動拳銃型の魔術銃を使う

気が強いですが、本質的にはお人好しです。浄化師に対する好感度は、やや悪い。

ペトル・チオーネ ヴァンピールの男性 二丁拳銃使い 回転式拳銃型の魔術銃を使う

軽いように見えてケイト一筋です。でも告れてない。

女性を口説いているように見えて、単に気に掛けてるだけの男。

浄化師に対する好感度は、やや悪い。

シィラ 泡沫と呼ばれる魔女の禁術を使う幽霊。

生前は命と引き換えでなければ使えませんでしたが、幽霊になった今は使いこなしています。

命を捨ててでも守ろうとした大切な2人のため、今日もヨハネの使徒を狩ってます。

浄化師に対する好感度は、良くは無いです。

この4人NPCに関しては、声の掛け方によっては、教団本部に連れて行くことが出来ます。

その際は、メフィストがシィラを、教団本部に取り憑ける幽霊になれるよう調整します。

ただしヨハネの使徒が邪魔なため、開始時には声を掛けられません。

NPCは、ヨハネの使徒の前グループ。PCは後グループから始まります。

『基本的』には、同じグループに居ないと声を掛けられません。

ヨハネの使徒は、移動を邪魔するように攻撃してきます。

一定時間が過ぎるとNPCは、この場を去ります。

以上です。


~ ゲームマスターより ~

おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。

今回は、リクエストでいただいたNPCを絡めつつ、どなたでもご参加いただけるよう、内容を調整させていただいています。

今回の結果次第で、反教団組織であるオクトの内情が詳しく分かったりします。

そこからさらに、エピソードが発生したりする可能性もあります。

今の所グッドルートなので、オクトと戦闘らしい戦闘が起きず、普通に接触する可能性が出てます。

以上です。





◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇

ラニ・シェルロワ ラス・シェルレイ
女性 / 人間 / 断罪者 男性 / 人間 / 拷問官
どうして…!?
襲われてるし 一緒にいる人誰よ!?
あぁもう!ガラクタが邪魔!

魔術真名詠唱 陣形の中央に
シィラ達のグループとの合流を優先
JM14積極的に使用
突出による孤立を避けつつ
移動しながら攻撃を加えて少しでも早く
合流後は彼らに攻撃を加える使徒を最優先に撃破

落ち着いて会話ができるようになれば敵対の意志がないことを伝え
シィラだよね?無事でよかったぁ…
あっ 初めましてラニです(三人組にぺこり
警戒されるのは当然だと考えた上で挨拶
事情を知れば眉を下げて
でもあたし、シィラもだし あんた達とも戦いたくない
「憎い」って気持ちを簡単に捨てられないのは
あたしはよくわかる

でも一回だけでいいの
「今」の教団を 見てくれないかな
ショーン・ハイド レオノル・ペリエ
男性 / アンデッド / 悪魔祓い 女性 / エレメンツ / 狂信者
おいおい…なんだあの使徒の群れは…
というかあの群れに4人で立ち向かうってどういう神経だ!?
とりあえず他の仲間が先を行くらしい
なら俺はその手伝いをするまでだ
仲間が移動するルートを使徒が邪魔しないようにスウィーピングファイアで狙う
ニコラが通信を始めたら隙を使徒に狙われないようにピンポイントショットで攻撃しよう

これだけ敵がいるなら仲間達が手薄な箇所があるかもしれない
そこにはマッピングファイアで攻撃

同じようにヨハネの使徒とやり合ってる連中がいた
名前はジータつったな

安心しろ
俺は朱色の髪のおっさんのダチ公だ
しくじってこっちにいる身だがな
幽霊とおんなじようなもんだ
まぁ、追い出されたって考えるべきかもしれんが
ヨナ・ミューエ ベルトルド・レーヴェ
女性 / エレメンツ / 狂信者 男性 / ライカンスロープ / 断罪者
目的 ヨハネの使徒殲滅 4人組との接触

ヨ ヨハネの使徒はあの方達のもとに集まっている⋯集めている⋯?
ベ 何が目的かは分からないが 奴らと渡り合える人間は貴重だな
ヨ そうですね 何か話が出来れば良いのですが

仲間の死んだ筈の知人と聞き、接触するサポートの為に先ずは目の前の使徒を相手
なんだかんだで心を揺さぶられずに済む機械の方が相手をしやすく、集中モード
前、中狙いでFN17で魔力を貯めFN18を繰り返し、氷の作用で鈍足効果を狙う
物量で攻めればあの巨体でも動きは鈍くなる筈
そこを狙って追撃をお願いします
こちら側から派手な戦闘音があれば向こうの集団も何事かと足を止めるとは思うが… 続
リチェルカーレ・リモージュ シリウス・セイアッド
女性 / 人間 / 陰陽師 男性 / ヴァンピール / 断罪者
あの人たち使徒と戦っている?
ラニさんたちのお知り合いなら尚更 早く合流しなくっちゃ

魔術真名詠唱
平気?シリウス
頷く彼に気をつけてと囁いて
シアちゃんと禹歩七星
皆で固まって 向こう側で戦っている人の方へ
シリウスの後ろ 回復をしながら鬼門封印で仲間の支援
皆の体力に気を配りながら シアちゃんと連携して回復を

合流すればまず怪我の確認 必要があれば回復を
敵が多いです お手伝いさせてください
無茶をしないで

怪我をした人は庇う
自分への攻撃には 雷龍で対応
余裕のあるときは九字で 近づく敵のコアを狙って

教団とシャドウガルテン以外で ヴァンピールさんに会ったの久しぶりです
皆さんのお家にはヴァンピールも沢山いるのかしら
他意なくにこにこ
アリシア・ムーンライト クリストフ・フォンシラー
女性 / 人間 / 陰陽師 男性 / アンデッド / 断罪者
会いたい人が、いる気持ちは、とてもよく、判ります……
会わせて、あげたい、です

魔術真名詠唱
リチェちゃんと協力して禹歩七星を皆さんに
クリスと一緒に前へ行きます
リコちゃんが引き付けて集めてくれた使徒や
こちらへ向かってくる使徒を禁符の陣で拘束
皆さんが攻撃する隙を作ります
傷ついた方には回復を
クリスの回復はギリギリまで待ちます
いずれも必要なければ火界咒でなるべくコアを狙い攻撃を

あちらの方達とお話しができるなら、聞いてみたい事が…

あなた達は、オクトの方、ですか…?
あの、私と似た女性を、ご存じないでしょうか
もしご存知なら……お話しを聞かせて、頂きたくて……

私は…姉を、助けてくれた方達と、敵対はしたくない、です
リコリス・ラディアータ トール・フォルクス
女性 / エレメンツ / 魔性憑き 男性 / 人間 / 悪魔祓い
魔術真名詠唱して前へ
ラニ達を進ませるために、私達前衛組は左右を固めて進路を塞ぐ邪魔な使徒を順に片付けていく
まず戦踏乱舞で前衛を支援
スポットライトで近くの敵を引き付けて、寄ってきた奴から順に攻撃
大型や元気そうな奴には蘭身撃も使用してダメージを増やす
目の前が開けたら前へ進んで行っての繰り返し
哀れなお人形さん、踏み潰して、越えて行かせてもらうわ
向こう側へ行きたい仲間がいるのよ

撃ち漏らしがいたらそちらにもスポットライト使用
なるべくラニ達の方に行かせない
私には特に話しかけたい相手がいないので、残りの使徒の殲滅を優先

大切な、姉のような人か…
お姉ちゃんがいたらどんな風なのかしら?
その人と無事に話せますように
リューイ・ウィンダリア セシリア・ブルー
男性 / エレメンツ / 魔性憑き 女性 / マドールチェ / 占星術師
>目的
ヨハネの使徒を倒すこと
ラニさんたちを幼馴染さんのところに届けること
できれば 向こう側にいる人たちとも協力を

魔術真名詠唱
リューイは初手で戦踏乱舞を 前衛中心にかける
ラニさんたちを守りながら 使徒の群れを突っ切る
向こう側にいる人たちと接触 可能なら協力できるよう

リ: 周りの仲間と連携して攻撃
遠距離攻撃や回復役へ使徒を近づけないよう攻撃を
シィラさん達と合流できれば 前衛位置に
ヒットアンドアウェイで敵の引きつけと攪乱
セ:リューイの隣 向かってくる敵にペンデュラムスピンで攪乱を
回復役や遠距離攻撃の仲間を防ぐ
必要ならペンタクルシールドを

合流しても戦法は同じ
ひとりだけ突出することのないよう
連携と協力を心がける
ニコラ・トロワ ヴィオラ・ペール
男性 / マドールチェ / 拷問官 女性 / エレメンツ / 占星術師
結構な数の使徒がいるな
あちらと接触するなら、これらを蹴散らしながら行くのが正解か
ならば私達は主役の背中を守るとしようか

速力を上げて貰い、先を行くメンバーの後ろを少し離れてついていく
背中を守るよう後側に来たのを地烈豪震撃で攻撃
使徒が固まっていれば味方を巻き込まないよう味方から離れ敵が私を囲むように仕向けて
後側の者達に「私から離れてくれ」と告げグラウンド・ゼロを
その後コアを探し破壊

半分くらいまで近づけた所で、魔術通信で向こう側の幽霊の女性に話し掛ける
もし幽霊には魔術通信が通じないようなら、もう一人の女性に

貴方方に会いたいと言ってる人物がいるのだ
この使徒が片付いたら少し話をする時間を貰えないだろうか


~ リザルトノベル ~

「出処のわからない依頼というのは、気味が悪いわね」
 仲間と共に目的地に向かいながら『セシリア・ブルー』は呟いた。
 これに『リューイ・ウィンダリア』が返す。
「それもそうだけど、指令書に書かれているほど多くの使徒が集まるなんて、この先に何かあったりするのかな?」
「こんな平原に?」
「……あんまり何にもなさそうだね」
 リューイの言う通り、周囲には特に何も無い。
 まるで、わざわざ余計な被害が出ないよう場所を選んでいるようにさえ思える。

 どう考えても怪しい。
 とはいえ指令ということで皆は現地に訪れる。
 そこには無数のヨハネの使徒がいた。

「おいおい……なんだあの使徒の群れは……」
 あまりの数の多さに『ショーン・ハイド』が呆れたような声を上げる。
 彼の隣に居る『レオノル・ペリエ』は、指令書通りのヨハネの使徒の群れに疑惑が強まる。
「これだけの使徒の群れ、一体全体誰が通報したんだろう……」

 皆が使徒の数の多さに、今回の指令の怪しさを実感していると、魔力探知でヨハネの使徒を見ていた『リコリス・ラディアータ』が皆に言った。

「ねぇ、誰か先に戦ってるわよ」
「え? あ、本当だ」
 リコリスの言葉に『トール・フォルクス』は彼女の視線の先を見詰める。
 そこには4人の人物が使徒と戦っているのが見えた。
「浄化師、じゃないよな? 誰だろう?」

 トールの言葉に促され皆も視線を向ける。
 随分と手際よく戦っていた。
 とはいえ心配するように『リチェルカーレ・リモージュ』は言った。

「あの人たち使徒と戦っている?」
「そうみたいだな」
 リチェルカーレの横に居た『シリウス・セイアッド』は、眉を顰めながら返す。
(どこから来たのかわからない依頼ということだったが………上層部の混乱か、情報の隠蔽か。碌な理由じゃなさそうだ)
 
 そうして今回の指令を警戒する者もいれば、使徒と戦える者がいることに興味を持つ者も。

「ヨハネの使徒はあの方達のもとに集まっている……集めている……?」
 使徒の動きから『ヨナ・ミューエ』は推測する。
 これに返すように『ベルトルド・レーヴェ』は言った。
「何が目的かは分からないが、奴らと渡り合える人間は貴重だな」
「そうですね、何か話が出来れば良いのですが」

 接触できないかと思っていると『ラニ・シェルロワ』が驚愕の声を思わず上げた。

「どういうことなのよーっ!」
 ラニは『ラス・シェルレイ』の胸元を掴み確かめるように言った。
「ねぇ、あれ、シィラよね!?」
「……ああ……成仏してなかったのか」
 信じられないものを見たというように、目を伏せて呆然と返すラス。
 ラスの応えに見間違いではないと確信したラニは、焦燥感に急かされ声を上げる。
「どうして……!? 襲われてるし、一緒にいる人誰よ!? あぁもう! ガラクタが邪魔!」
「急ごう。コイツらを蹴散らす!」
 居ても立ってもいられず跳び出そうとする2人を同行していた仲間が止める。
 すると2人は詳細を語った。

 それを聞いた『アリシア・ムーンライト』は、自分のことのように言った。

「会いたい人が、いる気持ちは、とてもよく、判ります……」
 そして『クリストフ・フォンシラー』に願うように言った。
「会わせて、あげたい、です。助けに、行きましょう」
 これにクリストフは頷きながら、今回の指令の裏を考える。
(どこから出たか判らない使徒討伐指令。そこにいる……4人組。しかもその内の1人は、ラニちゃん達に関わりのある人物。
 何だろう、あの4人と会わせるように仕組まれてるような?
 まあ、どっちにしても使徒は倒すけどね)
 やるべき事は決まっている。

 クリストフと同じように皆は動いていく。

「どこからなのか分からない指令でしたけど、本当の指令だったのですね」
 指令のキナ臭さを感じ取っていた『ヴィオラ・ペール』は、仲間の親しい人が居るということで、まずは再会させてあげようと決意する。
「会いたい方には会わせてあげたいですよね」
 これに『ニコラ・トロワ』は頷き、行動指針を提案する。
「結構な数の使徒がいるな。あちらと接触するなら、これらを蹴散らしながら行くのが正解か。
 ならば私達は主役の背中を守るとしようか」

 ニコラの提案に皆は同意し、ラニとラスを中心に置き、陣形を組む。
 そしてラニとラスがシィラと再会できるよう、皆はそれぞれ戦いへと向かう。

「みんな、ありがとう。ラス」
「ああ。シィラに会いに行くぞ!」
 ラニとラスは仲間と共に走り出す。

「ラニちゃんの知り合いがいるの? じゃあ頑張ってどーんしとくよ!」
「ええ、まとめて潰しましょう。あれだけの群れに4人で立ち向かってるんです。早く助けに行かないと」
 レオノルとショーンはサポートも意識して動き出す。

「ラニさん達の大事な人ですか……なるほど……助けましょう、ベルトルドさん」
「ああ。2人とも、ともかく使徒は俺達に任せて行ってくれ。事情があるんだろう?」
 ラニとラスにシィラを会わせるべくヨナとベルトルドは意欲を見せる。

「ラニさんたちのお知り合いなら尚更、早く合流しなくっちゃ」
 リチェルカーレは意気込みながら、過去の記憶で顔を青ざめさせるシリウスを気遣う。
「平気? シリウス」
 心配気なリチェルカーレの顔を見て、シリウスは小さく息を吐き応える。
「――共闘するにしろ保護するにしろ。まずは合流だな」
 トラウマを飲み込みながら戦いに赴くシリウスにリチェルカーレは、小さく『気を付けて』と囁くと魔術真名を唱え戦いに挑む。

「クリス」
 ラニとラスのことを想い、強い意志を見せるアリシアにクリストフは応える。
「ああ、助けに行こう」
 アリシアとクリストフも魔術真名を唱え全力を出していく。

「大切な、姉のような人か……」
 リコリスはポツリと小さく、ラニとラスにとってのシィラを想い呟く。
(お姉ちゃんがいたらどんな風なのかしら? その人と無事に話せますように)
 祈るようなリコリスの想いと同じようにトールは心の中で願う。
(ちゃんと話し合えるといいな)
 トールは記憶にある限り一人っ子で、ずっと旅をしていた。
 だから、きょうだいがいたり幼馴染が居る感覚がどんなものなのかは分からない。
 それでも思う。
(きっと、彼女達にしか分からないものがある筈だ)
 だからこそ会わせてあげたい。
 リコリスとトールは、祈りと願いを叶えるべく使徒に向かって行く。

「ラニさんたちを幼馴染さんのところに届けてあげよう」
 誰かのことを思えるリューイに、セシリアは微笑みを浮かべながら応える。
「ええ、そうね。そのためにも、みんなで協力しないと。一緒に、戦いましょう」
 力強く頷くリューイに、セシリアは心地好さそうに目を細め、皆との連携を意識して動いていく。

「数が多い。群れの中に跳び込んで、グラウンド・ゼロを使うのが効率的だな」
「それなら、途中まではペンタクルシールドで守ります」
「助かる。だが、無理はするな」
「安心してください。ちゃんと、見極めますから」
 ニコラにヴィオラは笑みを浮かべながら、皆と共に使徒に立ち向かっていく。

 皆の意気込みと戦術は十分。
 そのまま突っ込んでいき、ヨハネの使徒は酷い目に遭った。

 今回浄化師は、ラニとラスを中心に陣形を組み、それぞれの強みが出る場所に就いて移動している。
 これに対してヨハネの使徒は、強い魔力に反応して攻撃してくる性質があるため、一斉にひと塊になって突っ込んで来た。
 一般人ならばどうしようもない絶望の群れではあったが、相手は戦火を潜り抜けて来た浄化師である。
 どうしようもないほどボッコボコにされる。ほんっっっとーっに、ボッコボコだった。

 使徒が集まって群れで来た所に、まずはベルトルドが自身の黒炎魔喰器、竜哭の特殊能力を発動する。
「少しだが動きを止める」
 竜哭が震えたかと思うと、竜の咆哮の如き撃音を周囲に放ち、それが浸透した使徒は僅かだが動きが止まる。
 つまり良い的である。
「爆発させます」
 使徒の動きが止まった所に、ヨナがエクスプロージョンを放つ。
 禁忌魔術である『ヘルヘイム・ボマー』の魔術式を応用し生成された、高濃度の魔力弾が使徒の1体に命中。
 それを中心にして大爆発が起こる。
 動けない所にまともに受ける使徒。
 そこに立て続けに遠距離範囲攻撃が叩き込まれた。
「ショーン、合わせていくよ」
「はい、ドクター」
 先行して攻撃するのはショーン。
 黒炎魔喰器、ランキュヌを解放した状態でマッピングファイア。
 青火の銃弾が無数に降り注ぎ次々使徒の装甲を穿つ。
 間髪入れずレオノルはソーンケージを放つ。
 捧身賢術を2重に掛けて強化されたソーンケージは使徒を絡めとり、装甲に罅を入れるほど締め上げる。
 さらに攻撃は止まらない。
 狙いを定めトールがマッピングファイアを放つ。
「邪魔だ」
 行く手を遮る位置に居る使徒達に無数の矢が突き刺さる。
 何本かはコアに当たり、かなり動きが鈍る。
 そこまで攻撃を受け、ようやく使徒達は、最初にベルトルドの竜哭から受けた行動不能が解ける。
 しかしこの時点でボロボロだった。
 そこにニコラが突っ込む。
「グラウンド・ゼロを使う。巻き添えにならないよう気を付けてくれ」
 そう言うとニコラは突進。
 リチェルカーレやアリシアが禹歩七星を皆に掛けてくれていたこともあり、機動力は増している。
 使徒の間を潜り抜け、そこに突っ込んで来ようとした使徒は、ヴィオラがペンタクルシールドを張り抑える。
 そして敵の只中に踏み込んだニコラはグラウンド・ゼロを発動。
 デモン・オブ・ソウルで使徒の一体のコアを叩き斬り、周囲の使徒を真上から押し潰す風圧で破壊した。

 一連の攻撃で、浄化師に向かってきた使徒のグループは、ほぼ壊滅する。
 残りをリコリスが片付ける。

「哀れなお人形さん、踏み潰して、越えて行かせてもらうわ。向こう側へ行きたい仲間がいるのよ」
 ラニ達を進ませるため、進路を塞ぐ邪魔な使徒に跳び込む。
 使徒は体当たりしようとするが、それよりもリコリスの動きが速い。
 一瞬で間合いに跳び込むと、使徒の体を軽やかに駆け上がり、コアを一撃で斬り砕いた。

 使徒のグループの内、向かってきた一団を短時間で全滅させる。
 そのままの勢いで敵の第2陣を粉砕していった。

「シリウス」
 使徒の1体にリチェルカーレが鬼門封印を掛ける。
 動きを阻害した所に間髪入れずシリウスは踏み込む。
 魔術真名詠唱とベリアルリングを使い、さらに黒炎解放による覚醒の力を乗せた一撃が走る。
 一太刀で使徒の足を斬り飛ばし、使徒が前に倒れた所でコアに氷結斬を叩き込む。
 真っ二つに切り裂かれ、凍りつくと同時に砕け散った。

 浄化師達の快進撃は止まらない。

 使徒の間近にまで距離を詰めたアリシアは、禁符の陣を使徒に掛け拘束する。
「クリス」
「ああ、仕留めるよ」
 息の合った連係を見せ、クリストフはアリシアが抑えた使徒に跳び込む。
 疾風の如き速さで間合いを詰め、踏み込みの勢いも乗せた一撃を振り降ろす。
 使徒の足を切り落とすと、使徒は前のめりに倒れ伏す。
 コアの位置が下がった所で止めの刺突。
 深々と突き刺さりコアを砕き破壊した。

 パートナーとの連携を見せるのはリューイとセシリアも同様だ。

 ラニ達がシィラ達の元に行けるよう、邪魔する使徒の元にリューイは跳び込む。
 これに横手から別の使徒が反応し、勢い良く突進しようと構えたが――
「させないわ」
 セシリアのペンデュラムスピンが先行して発動する。
 デュエルディスクを使徒に向け不規則に動かすことで、混乱を導く魔術が効果を見せる。
 攻撃態勢のまま、何をしようとしたのか忘れているように動きが止まった。
「ありがとう、セラ」
 礼を返しつつ、リューイは斬撃の間合いにまで到達する。
 使徒は前脚で薙ぎ払おうとするが、リューイは危なげなく回避。
 さらに間合いを詰めると、素速く斬撃を刻む。
 攻撃を受け激怒するように突進してきた使徒を避けると、ヒット&アウェイで攻撃しつつ1箇所に誘導する。

 そこから離れようとする使徒もいるが、そこにヨナはキツイ一撃をぶち込む。
「逃がしません」
 ヨナはアビスブリザードを発動する。
 無数の氷の礫が関節部分に命中すると、そのまま固めるように凝結。
 冷気に包まれながら使徒は、その場を動くことが出来ない。

 皆で協力し使徒を1箇所に誘導していく。
 集まった所で、遠距離攻撃手段を持つ者達が一斉攻撃。
 浄化師達は怪我らしい怪我を負うことなく使徒の3分の2を破壊した。
 残りはシィラ達が戦っている使徒のみ。
 この状況で、ラニとラスは真っ直ぐにシィラの元に全力で走る。
 そちらに注意を向けてくれるよう、ニコラがシィラに魔術通信で呼び掛けた。
「貴方方に会いたいと言ってる人物がいるのだ。今そちらに向かっている」
 これにシィラは反射的に視線を向け、自分に近づいてくるラニとラスに気付いた。
「嘘……」
 思わず呆然とするシィラ。
 そこに使徒が突っ込んで来ようとするが――
「邪魔よ! あの子達が見えないでしょ!」
 禁術で使徒を押し流すシィラ。
 これに仲間の3人が気付く。
「どうした?」
「あの子達が、あの子達が居るの!」
 必死な声を上げるシィラに、3人は詳細は分からずともシィラのために動く。
「よく分からんが、とにかく使徒を全滅させるぞ」
 グリージョの呼び掛けに、ケイトとペトルは使徒へと突っ込む。
 そんな3人を援護するため浄化師は走る。
 シィラの元に、ラニとラスが辿り着き、シィラを守るように戦う。他の3人組の元にも――
「敵が多いです。お手伝いさせてください」
「手伝う」
 リチェルカーレやシリウス達が呼び掛けながら、協力して使徒と戦い短時間で全滅させた。

 戦い終わり、ラニとラスは涙を堪えシィラとの再会を果たす。

「シィラだよね? 無事でよかったぁ……」
 ラニの言葉に、シィラは想いが強すぎて言葉に詰まる。
 そこに代弁するようにグリージョが声を掛けた。
「ひょっとして、あんた達はシィラの大切な2人、なのかい?」
 これにラニはぺこりと頭を下げ応える。
「あっ、初めましてラニです」
 ラニに続けてラスも挨拶する。
「オレはラス。シィラの幼馴染、でいいのか」
 これにシィラは泣き笑いのような顔で頷く。
 シィラの様子にグリージョ達3人組は嬉しそうな表情を見せるも、どこか警戒をしているのが伝わってくる。
 そこにショーンが、かまをかけるように言った。
「最近、同じようにヨハネの使徒とやり合ってる連中がいた。名前はジータつったな」
「隊長に会ったの!?」
 ケイトが思わず反応し、苦笑するようにショーンは続ける。
「安心しろ。俺は朱色の髪のおっさんのダチ公だ。しくじってこっちにいる身だがな。幽霊とおんなじようなもんだ。まぁ、追い出されたって考えるべきかもしれんが」
「旦那のダチねぇ」
 ショーンの言葉に、グリージョが見定めるように返す。そこにアリシアが声を掛けた。
「あなた達は、オクトの方、ですか……?」
 この問い掛けにシィラ達は視線を向け、3人組が特に驚く。
「……ぇ、ちょ」
「リアちゃん!?」
「他人の空似、にしちゃ……」
 3人の反応に、アリシアは必死に呼びかける。
「姉を、エルリアのことを、知っているのですか?」
「姉……あぁ、そういうことか」
 納得するグリージョにアリシアは懇願する。
「姉のことを、ご存知なら……お話しを聞かせて、貰えませんか?」
 これに難しい顔をするグリージョ達に、ヨナが提案した。
「積もる話もあると思います。折角ですから、教団に来てみませんか?」
「……冗談だろ」
 ヨナの提案に、ペトルが自分達の境遇を話す。
「それでも俺達を連れて行こうってのか」
 これにラニとラスは必死に呼びかける。
「あたし、シィラもだし、あんた達とも戦いたくない」
 想いを振り絞るように続ける。
「『憎い』って気持ちを簡単に捨てられないのは、あたしはよくわかる。でも一回だけでいいの。『今』の教団を、見てくれないかな」
 ラニの想いに重ねるように、ラスも自分の想いを口にする。
「確かに胸糞悪い連中もいる。でもそれだけじゃないんだ」
 まっすぐに視線を合わせ続ける。
「オレ達がアンタたちに会いたいって言って、協力してくれた仲間がいる。室長も、オレ達がありのままでいられるように手を尽くしてくれてる」
 そこまで言って、相手のことを思い続ける。
「アンタ達が信じられないのも分かる。簡単に信じろなんて、どの面下げて言えるか、だよな。
 だから、アンタ達が自分の目で見て、確かめてくれ。シィラのことも聞きたいし、な」
 ラニとラスの訴えかけるような言葉に、シィラは思い詰めたように目を伏せ、ペトルとケイトはシィラを心配そうに見つめる。
 そしてグリージョは、ラニとラス、そして浄化師達を見詰めたあと、シィラに言った。
「シィラ、お前はどうしたい? お前が2人と一緒に居たいというなら止めない。その時は俺も連いて行く」
「グリージョ……」
 泣きそうな顔で見つめるシィラに、安心させるような笑みを浮かべグリージョは続ける。
「お前の大事な2人なら、俺にとってもそうさ。連いて行って、ろくでもない所なら、お前も2人も掻っ攫って連れて行く」
 これにケイトとペトルも賛同する。
「そ、そうよ! 別にアンタ達のことを信用する訳じゃないけど、シィラのためなら、アタシ達も連いて行くわ」
「ああ。それでそっちの言ってることが間違ってるなら、グリージョの言う通り掻っ攫っていくだけだ」
 そこまで言うと、女性陣に笑顔を向けて続ける。
「なんならその時は、綺麗で可愛いお嬢さん達も連れていくぜ。まぁ、あんちゃん達は、自力で連いて来て貰うがな」
「アンタはこんな時までなに言ってんのよ!」
 突っ込むペトル。
 空気が柔らかくなった所で、教団本部に皆で向うことになった。

 その道中、浄化師達とシィラ達は言葉を交わす。

「浄化師と違う目線の者がいれば教団の風通しも良くなるだろう」
「そうなれるなら良いねぇ」
 ベルトルドとグリージョが話す傍で――
「先程の戦いで使われた銃、凄かったですね。どんな魔術式を使われているのですか?」
 興味深げにヨナがペトルとケイトに訊く。
 戦いの中、2人が放った銃弾は宙を飛び回り魔方陣を描くと、その中に居た使徒を焼き、あるいは凍りつかせていた。
「詳しいことは知んないわよ」
「俺達の特殊な体質でないと使えないらしいんだわ」
「なるほど、だとしたら……生まれつき刻まれている特殊な魔力回路を応用しているのでは――」
 魔術の学徒として好奇心を見せるヨナに、ペトルとケイトは苦笑した。

 そうして話している内に、段々と話が進んでいく。

「アンタも教団に浚われたのか?」
 レオノルの身の上を聞いたグリージョが、どこか気遣うように訊き返す。
 これにレオノルは返した。
「うん。私も無理矢理拉致されて浄化師になったクチだよ。最初は軟禁だったし、酷い嫌がらせも受けた。
 それでも私の扱いに異議唱えてくれる人がいるから、私は死なずにここにいるんだよ」
「……そうか」
 考え込むように黙るグリージョ。
 その横では、リチェルカーレがペトルとケイトと話をしていた。
「教団とシャドウガルテン以外で、ヴァンピールさんに会ったの久しぶりです。皆さんのお家にはヴァンピールも沢山いるのかしら」
 にこにこ笑顔のリチェルカーレに、ペトルは軽い笑顔で返す。
「ボスがヴァンピールだからな。結構いるぜ。気になるなら、来ると良いさ。そっちのあんちゃんも一緒にな」
 シリウスに笑顔で声を掛けるペトル。
 これにシリウスは何と応えて良いのか分からず、困ったように眉を寄せた。
 そうして話している内に、少なくとも表面上は柔らかくなった空気に促されるように、少し踏み込んだことを訊く者もいる。
「お姉ちゃんは、元気、ですか……」
 不安を滲ませるアリシアに、ペトルとケイトは気遣うように返す。
「ちょ、そんな顔しなくても大丈夫よ」
「そうそう。姫さまの世話をしてくれてるし」
「姫さま……?」
 不思議そうに聞き返すアリシアに、ペトルとケイトは慌てて返す。
「えっと、その、今のは無しね!」
「おう。ここだけの秘密だ秘密」
「あ、でもその、どうしても知りたいなら、今度話してあげても良いけど……でも他の人に話しちゃダメよ」
 アリシアを気に掛ける2人に、クリストフは思った。
(あ、この2人、すごく人が好いな)
 気付かれないよう苦笑するクリストフだった。
 そうして打ち解けるような空気が流れて来た所で、今回の指令に関することを訊く者も。
「皆さんは使徒を倒しに? 誰かを助けに、ではないみたいですけれど」
 リューイに続いて、セシリアも尋ねる。
「私たちは、どうしてこの依頼が来たのか知らないんです。貴方達の仲間から……では、ないんですね」
 顔を見詰めながら尋ねるセシリアに、グリージョは苦笑するように返す。
「そこは俺達も知りたい所でね。正直、偶然とは思えない。そっちは、依頼主の事とかは分からないのか?」
 これにレオノルが応える。
「匿名だったんだ。そっちは、指示された人は分かってるんだよね? 話したくなければ、無理には聞かないけど」
 これにグリージョは返す。
「ジータ隊長だ。恐らく分かってて、ここに来させたんだろ。でも――」
 グリージョは、嬉しそうにラニとラスの話を聞いているシィラを見詰め言った。
「シィラの大事な2人に会えたんだ。理由はどうあれ、感謝してる。それもあるから、今あんたらに連いて行くのさ」
 それを見ていたリコリスは、頷くように言った。
「大事な人に会えるのは良いわよね。大丈夫。もっと一杯お喋りできるぐらい、室長が良くしてくれる筈よ」
「ああ。それに必要なら、俺達も手を貸すよ」
「そうか……ありがとよ」
 トールと、そしてリコリスにグリージョは礼を返す。
 そんなグリージョに、ヴィオラは願うように言った。
「教団は今、内部から変革しようとしてる所です。膿を出す為に、私達は手を取り合えないでしょうか」
「手を取り合うか……」
 静かな声でグリージョは返した。
「それを見極めるためにも、アンタらの居場所に、お邪魔させて貰うよ」
 可能性を捨てることなく、グリージョは浄化師達の想いに応えた。

 そして教団本部に辿り着き、シィラ達は中へと入って行った。
 そのあと、海千山千口八丁の手八丁な室長ヨセフが裏工作しつつ、メフィストがシィラの状態が安定するようにしたりしたのだが、それはまた別のおはなし。


【教国】幽霊な彼女と3人組
(執筆:春夏秋冬 GM)



*** 活躍者 ***

  • ラニ・シェルロワ
    何があったのかしらね…
  • ラス・シェルレイ
    知りたいんだ、彼女のことを
  • ショーン・ハイド
    生きる為。ただそれだけの為ですよ
  • レオノル・ペリエ
    君が誰であっても私には関係ないよ
  • アリシア・ムーンライト
    私に何ができるのでしょうか
  • クリストフ・フォンシラー
    せっかく蘇ったんだしな

ラニ・シェルロワ
女性 / 人間 / 断罪者
ラス・シェルレイ
男性 / 人間 / 拷問官

ショーン・ハイド
男性 / アンデッド / 悪魔祓い
レオノル・ペリエ
女性 / エレメンツ / 狂信者

アリシア・ムーンライト
女性 / 人間 / 陰陽師
クリストフ・フォンシラー
男性 / アンデッド / 断罪者




作戦掲示板

[1] エノク・アゼル 2020/04/06-00:00

ここは、本指令の作戦会議などを行う場だ。
まずは、参加する仲間へ挨拶し、コミュニケーションを取るのが良いだろう。  
 

[15] リューイ・ウィンダリア 2020/04/13-21:35

皆でラニさんたちを囲むような陣形でしょうか?
それでは、僕たちも後方にいれてもらってもいいでしょうか。
シールドで後ろからの攻撃に備えますね。
二コラさん、魔術通信よろしくお願いします。
ラニさんたちが幼馴染さんと、無事に再開できますように。  
 

[14] ヴィオラ・ペール 2020/04/12-21:47

承知しました。それでは私達は背中を固めさせて戴きますね。
ニコラさんが、後方に向かって範囲攻撃を使ってもいいかと言ってました。
敵味方区別しない攻撃なので、する時は皆さんに声を掛けるようにするそうです。

魔術通信も許可を有難うございます。ある程度近づいたら試してみますとの事です。  
 

[13] リコリス・ラディアータ 2020/04/12-15:51

わ、陣形を固めて突撃、って感じでかっこいいかも。
それなら私も左右の担当にお邪魔してもいいかしら?
スポットライトで引き付けたらラニとラスから少し離れて道を作りつつ倒していく…というイメージなのだけど…
トールはその先に向かってマッピングファイアかしらね。  
 

[12] リチェルカーレ・リモージュ 2020/04/11-23:30

ラニさんたちが、向こう側にいる大切な人の所へ届けるお手伝いをすればいいんですよね?
おふたりのお姉さんみたいな人なら、会って話ができるよう、精一杯頑張ります。
クリスさん、シリウスが「わかった」と。
ラニさんたちが合流できる位置までいけたら、そのまま陣形…まではいかなくても、皆で使徒を倒すイメージでしょうか。
わたしはいつものように、回復と支援を。余裕があれば九字で攻撃をします。

…それにしても、教団やシャドウガルテン以外でヴァンピールさんがまとまっているのを見るのは初めてかもです。
オクトにはヴァンピールさんが多いのかしら。  
 

[11] クリストフ・フォンシラー 2020/04/11-20:27

リチェちゃん、禹歩七星は了解したよ。アリシアがぜひ一緒にと。

そうすると……ラニちゃんとラスの左右と後ろを他の前衛メンバーが固めて突撃、
後衛組はそれを援護するような形になればいいんだろうか?
それで良ければ、俺は2人の左右を固めて邪魔しに来る使徒を倒していこうかな。
後ろはニコラとヴィオラちゃんがしてくれるらしいから……
シリウス、一緒に左右を固めに行かないか?
今回は禁符の陣を使うのに、アリシアも一緒に前へ行くそうだよ。  
 

[10] リューイ・ウィンダリア 2020/04/11-00:32

魔性憑きのリューイと占星術師のセシリアです。
どうぞよろしくお願いします。
ラニさんたちの知り合いの人なら、僕たちもおふたりがそちらへ向かいやすいよう精一杯手伝います。
使徒引き止めの役に立つかはわかりませんが、戦闘乱舞で皆さんの攻撃力の底上げをしたいと思います。  
 

[9] レオノル・ペリエ 2020/04/10-23:56

やっほー°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
狂信者のレオノルと悪魔祓いのショーンだよ!
ラニちゃんの幼なじみかぁ。これは頑張らないといけないね!(`・ω・´)
とりあえずヨハネの使徒はたくさんいるみたいだし、奥の方にいる奴らぶっ飛ばしておくよ!
避難者もいないみたいだから気兼ねなく撃てるね!
ところでオクトかー……なんか教団以上にいろんな人いる組織なんだね(´・ω・`)  
 

[8] ラニ・シェルロワ 2020/04/10-17:26

みんな…あたし達の我儘聞いてくれて、ごめ……ううん、ありがとう!(勢いよく頭を下げて)
そう、会いたい人がいるの。姉っていうか幼馴染というか…とにかく、もう会えないって思ってたから、本当にびっくりしちゃって…
ラス「…本当にすまん、皆ありがとう
アリシアとリチェルカーレはお願いしてもいいか?リコリスも、引きつけてくれるならこころづよい」

>魔術通信
申し訳ないけれど、お願いしてもいい?
あの子のことも気になるけど、一緒にいる人たちにも話を聞きたいし  
 

[7] ヴィオラ・ペール 2020/04/10-04:14

占星術師のヴィオラ・ペールです。
パートナーは拷問官のニコラさんです。
よろしくお願いしますね。

向こうにいる方達にお話しがあるのでしたら、ヨハネの使徒を早めに片付けた方がいいですね。
何人かが突っ込まれるのでしたら、私達はその背中をお守りしましょうか。
どれくらいの時間であちらが立ち去るのか分かりませんが、基本的には同じグループにいないと話し掛けられないと言う事は、魔術通信でなら話し掛けられるでしょうか?
ニコラさんが言うには、立ち去るような気配が見えたら魔術通信で呼び止めてみるそうです。  
 

[6] リチェルカーレ・リモージュ 2020/04/09-23:40

リチェルカーレです。パートナーはシリウス。
アライブは陰陽師と断罪者です。
どうぞよろしくお願いします。

まずは使徒をなんとか、ですね。
シアちゃん、よければ禹歩七星を一緒に使いませんか?
ラニさんたちが前グループの方とお話があるなら、そちらに早く行けるようお手伝いします。
シリウスも引きつけならできる、と。  
 

[5] クリストフ・フォンシラー 2020/04/09-22:53

断罪者のクリストフと陰陽師のアリシアだよ。よろしくどうぞ。

ラニちゃんは接触したい相手がいるのかな?
相手はある程度時間が経つと撤退しちゃうみたいだし、話がしたいならなるべく急いだ方がいいかもね。
突っ込んだとしても、一人で囲まれなければいいんだろ?
なら、速力上げて何人かで歩調を合わせて突っ込めばいいんじゃないかな、とかね。
アリシアが禁符の陣での足止めとかしたらお役に立ちますか?と言ってる。
できれば向こうの情報も知りたいしね。
接触できるならそれが一番だと思うし。  
 

[4] ヨナ・ミューエ 2020/04/09-22:43

狂信者ヨナ・ミューエおよび断罪者ベルトルド・レーヴェ。宜しくお願いします。

ヨハネの使徒の大量発生と聞いて駆けつけましたが、それだけの話では無いようですね。
向こう側にいる方々と接触する為に私達に何が出来るか考えると、露払いが適任そうですか。
何でしたら突撃しちゃっても、そのフォローに回りますよ。  
 

[3] リコリス・ラディアータ 2020/04/09-20:32

魔性憑きのリコリスと、悪魔祓いのトールよ。よろしくね。

あら、ラニ。誰か接触したい相手がいるの?
私には相手に特に知り合いはいないから、よければお手伝いするわ。
まあ何にせよ、まずは使徒を倒してからよね。
例によって私は前衛でスポットライトを使用して敵の引き付け。
トールは後衛から攻撃って考えてるわ。  
 

[2] ラニ・シェルロワ 2020/04/09-20:20

\どういうことなのよーーーっ!?!?/(明後日の方向に叫び)

………けほん!改めて断罪者のラニと拷問官のラスよ、今回もよろしくね。
まずは何にしろ、沢山いるガラクタ野郎をぶっ飛ばさないと、話どころか接触すらできない…と。闇雲に突っ込んでも邪魔されるだけってのを考えると、確実に倒していく方が良さそうね。
…ハイ、突撃シマセン……本当に、無謀なことだけはしない。そこはちゃんと約束する。