《悲嘆の先導者》フォー・トゥーナ Lv 41 女性 ヒューマン / 墓守


司令部は、国民から寄せられた依頼や、教団からの命令を、指令として発令してるよ。
基本的には、エクソシストの自由に指令を選んで問題無いから、好きな指令を受けると良いかな。
けど、選んだからには、戦闘はもちろん遊びでも真剣に。良い報告を待ってる。
時々、緊急指令が発令されることもあるから、教団の情報は見逃さないようにね。


腐敗したもの
普通|すべて

予定 2018-09-13

参加人数 8/8人 三叉槍 GM
●二度目の生 「おはようございます」 「ああ、おはよう」  一人の青年が爽やかに挨拶をし、初老の男性が手を上げてそれを返す。どこにでもある日常的で牧歌的な風景。  この青年の名はサルベル=ニルガン。  彼は通常の人間ではない。一度命を失い、そしてそこから帰還した者。いわゆる『アンデッド』である。 「今日も森へ行くのかい?」 「ええ、僕達も日銭は必要ですからね。貧乏暇なし、です」  男性の問いに笑顔で答えるサルベル。  彼はこの村で木こりの仕事をしている。森に一人で赴き、木を切り倒し月に2度来る行商人に買い取ってもらう。その繰り返し。  一人で行動するのは彼の性に合っていたし……正直言うとあまり村人たちと顔を突き合わせて行動するのは気が引けた。  アンデッドがゾンビのような死者ではなく、蘇った生者であるという認識が一般的になったのは比較的近代である。  今では大規模なお祭りが行われるほど受け入れられたその認識であるが、この村のような都会との情報の断絶のある田舎の村では未だに根強い差別が残っていることが少なくない。  サルベルも露骨に石を投げられたりといった直接的な暴力はまだ受けてはいないが、すれ違う際に避けて通られたり、店に入る事を拒否されたりという嫌がらせは度々受けていた。  それでもなお彼がこの村に留まっているのはこの村が恋人の故郷だったからである。  アンデッドは強い怨念や執念により魂が死を拒む事により生まれるという。  彼の場合は恋人の存在がそれであった。  彼女と一緒にいるときに突然ベリアルに襲われ、彼女を逃がすために犠牲になったのが、彼の一度目の死。  その後、彼女への想いから二度目の生を受け起き上がった彼だったが……しかし、間に合わなかった。  彼は生前よく話していた彼女の故郷に彼女を弔い、そしてここで暮らし彼女の墓を守っていくことを決めたのだった。 「なら、気を付けるといい。最近、森に良くないものが出るという噂がある」  その中でもこの男性はほぼ唯一と言っていい、この村でサルベルに友好的な人間である。  彼にはとてもよく助けられている。サルベルは彼には内心とても感謝していた。 「よくないもの?」  男性の忠告に耳を傾ける。日々何もないことが特徴とまで言えるようなこの村ではそういった話は滅多にない。  特に村人との交流のないサルベルには、ほとんどそういう話は入ってこない。故に非常に気になる話題だった。 「熊がね」 「熊が現れたんですか?」 「いいや、熊が――食い殺されていたらしい」 「……なるほど」  この近辺で通常気を付けるべき動物と言えば熊である。  逆にいえば熊にさえ気を付けていれば大した危険はないし、熊以上の脅威も少ない。  その熊が何者かに殺されている。  確かにそれは気を付けるべき事案であろう。 「わかりました。気を付けましょう。貴重なお話をありがとうございます」 「……サルベルくん」  ぺこりと一礼しその場を去ろうとしたサルベルの背中に男性が改めて声を掛ける。  その声音は今までのものとは違い、どこか真剣みを帯びた低いものだった。 「娘の事はもういいんだ。君は第二の生を得た。こんな狭い村など捨てて……もっと自分の生き方をしなさい」 「……僕は、この村のこと好きですよ」  そう言ってにこりと笑顔を見せて去るサルベルに、男性はもう何も声を掛けなかった。 ●疑わしきは 「アンデッドが夜な夜な化け物に化けて暴れている?」  忙しい業務の中、わざわざ至急と注釈をつけて送られてきた報告書を見て教団付きのマドールチェの男は眉をひそめた。 「そうなの~。大変そうネ~」  その内容に能天気に心配する助手の娘に男はため息を吐いた。 「そんなわけがあるか。十中八九勘違いか、何らかの悪意だ」 「え? そーなの? でも一応目撃証言もあるみたいだけど」 「ああ、あるな。人間程度の身長で大きく太った体形。そして、腐った死体のような臭いと外見。これはゴールの特徴だ」 「ゴール?」 「ゾンビの発展形だ。当然アンデッドとは違う。大方、動く死体という外見から勝手に関連性を想像したんだろう」  マドールチェの男が身長に釣り合わない大きな椅子に腰かけ息抜きの為のコーヒーをすする。 「まあ、俺の知らないところでアンデッドをゴールに変質させる大魔術があるという可能性もゼロとは言わんが……あくまでゼロとは言わないというだけの可能性だな」 「ん~、それじゃあ、どうするの? 差し戻す?」 「いや……恐らく実際に被害があるのは本当だろう。今のところまだ人的な犠牲が出ていないから収まっているが、もしこのまま放っておいて誰か犠牲者が出た場合……面倒なことになる」  わざわざ至急とまで付けてアンデッドの青年に対し、大した証拠もなしに名指しで依頼を出してきた連中である。  そこに被害者が出てきたとき、『推定有罪』の青年に対して彼らがとる行動などおおよそ想像がつくというものだ。 「事態は一刻を争う。わざわざ差し戻して書き直させる時間はない。この際、この依頼に乗ってやろう。無論、こちらとしても注釈は付けさせてもらうがな」
我が名は汝のイージス
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予定 2018-10-01

参加人数 2/8人 北野東眞 GM
「今回任せる指令は……ここ最近浄化師としての志しに悩むことも多くなったし、いいチャンスだろう。  お前たち、アムネシア・ベリアルの疑いのある者の対応にあたってほしい」  ロリクの言葉に集まった浄化師たちは緊張の面持ちになる。  浄化師には大抵自分の生きる道があるのだが、あまりにも意識しすぎると精神的におかしくなってしまうことがある。 「今回、俺の同期なんだよなぁ」  え、ロリクさんの知り合い! 「その問題の奴のパートナーが今来てる。ほら挨拶しろ」 「あらあら、あらあら、みなさん、かわいらしい人たちねぇ」  車いすに乗って、点滴している婦人……って、え! 病人ですよ。この人! 「はじめまして。私、アライブは墓守のエマです。今回はよろしくお願いしますね。……ええっと、こんな状態でごめんなさい。私、もともと体が弱いうえ、ごぼっ!」  血、血を吐きました!  ロリクさん、この人、大丈夫ですか。 「エマは昔から病弱、貧弱、貧相、教団では知る者はみな吐血のエマと呼ぶ女だ。  あ、吐血については気にしなくていいぞ。いつものことだ。墓守としては優秀なんだが……いつもよりひどいな、なんで車いすに点滴?」 「それはおいおい話しますけど、今回は私のパートナーを助けるのに協力してほしいんです」  エマのパートナーであり、喰人の名前は陸奥という。  アライブは悪魔祓い。隠密行動を得意とし、スナイパーとして優秀だ。また絶対に前線に出ないことで一部の浄化師たちには知られている。  戦い方も、エマが墓守として注意と防御を引き受け、その隙をついて陸奥が敵を根絶やしにするという息の合ったコンビネーションを発揮する。 「陸奥は自己防衛を信条とし、絶対に自分から敵に近づかないし、見つからないようにしていた。  自分が見つかれば味方全体を危険に陥れることを危惧して……ひどく慎重な奴だったんだが」  ただし。とロリクが付け加えた。 「あのバカ、最近、なぜかその戦い方をせずに前線に出まくっているんだ」 「理由はわかっているんです。私が指令中に倒れてしまってベリアルに襲われそうになったんです。  そのとき、陸奥は私や仲間を守るために前線に出て戦って……。  もともと、ベリアルに生まれた村を滅ぼされて必要以上に失うことを恐れていたんですけど……、  それから陸奥はぼーっとすることが増えて、必要以上に手を洗ったり、眠れてないことがあって」 「典型的なアムネシア・ベリアルの症状だな。といっても、陸奥の場合は幸いにもまだ危険領域に来たに過ぎない。  今回山のなかにベリアルが出たんだが、その退治に陸奥が参加することになっている。  お前たちはベリアルを倒し、さらに彼に自己防衛をとるように促すこと」 「すいません。私も一緒にいきたいのですが、こんな有様で……ごふぅ」 「おい、もともと体が弱かったが、どうしたんだ、本当に」 「前の指令で倒れた原因にもあるんだけど……実は、妊娠しちゃったみたいなの」 「は」  は。  え、あ、あの、えーーー! 「だから、陸奥との赤ちゃんが出来ちゃったのよ。んふふふ、結婚してはや十年、諦めていたんだけど、ようやく!」 「お、おめでとうって、いまいうべきなのか! え、まて、それ、陸奥は」 「……言おうとしても、ぼーっとしていて、それに私が倒れてからますます混乱しちゃって、言うタイミングが」 「……」  ……。えーと。これってさりげなく重要なことに重要なことが増えましたよね。ロリクさん。 「お、おう。ど、どうしよう、これは」  こつん、と足音がしたのに、はっとして全員が振り返る。  黒い外套に身を包んだ、白髪の男がやってくる。整っている顔立ちはどこか陰気ともとれるほどに疲れが滲んでいる。  ぽたり、と何かが落ちた。  血だ。  よく見れば彼の両手は血まみれで、包帯がまかれていた。 「……エマ? 君は安静にしないといけない……と、先生が……っ……病室にはやく……手を、手を洗わないと、きたない……」 「陸奥、お」 「ロリク? ……今回組む浄化師たちだな? ベリアルとの戦闘……せいぜい、気をつけるんだな」  ぼんやりとした視線をさ迷わせ、陸奥はそれだけいうと報告書の提出があると口にして行ってしまう。 「ありゃ、思ったよりも重症だな。お前ら、今回は他人事じゃない。今後のことも含めて、よくパートナーと話し合って、あいつの対応にあたってくれ」 「すいません。よろしくお願いします。私に出来ることはなんでもご協力しますから」
秋の収穫祭プロデュース!!
とても簡単|すべて

予定 2018-09-29

参加人数 2/8人 せあら GM
 ある昼下がりの午後。  教団に一人の少女から、依頼が持ち込まれた。  ふわふわとした長い金髪に、頭には白いリボンを付けた可愛らしい少女だった。  その少女は困った顔をしながら、教団員に言った。  少女の話を聞けば何でも、少女が住んでいる村では毎年収穫祭が行われていると言う。  収穫祭は村で収穫される果物を使ってタルトを作り、歌や劇、色んな催し物をして村人たちが楽しむ祭りとなっていた。  だがあまりにも自然豊かな村である為、年々村を出ていく若者達が多かった。  その為今まで収穫祭で執り行われていた歌や劇、催し物は全て廃止になり、収穫祭では村人たちで名物のタルトを食べて雑談するだけのつまらない祭りとなった。  少女……アリスは自分の祖父である村長に収穫祭を変えるように掛け合ってみるが、 「若者がいないから仕方ないじゃろ。それに子供たちも大好きなタルトが食べれれば満足なんじゃよ」  と言って全く聞く耳を持たない。  困り果てたアリスは今回浄化師たちに協力を求めて、依頼をしてきた。 『昔みたいな皆の笑顔で溢れる収穫祭にしたいんです。浄化師さん、どうかお願いします』  教団員から指令内容を聞いた貴方たちは────。
生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ
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予定 2018-09-28

参加人数 4/8人 oz GM
「ポール・キュヴィリエ」  ヤコブ・フェーンは不機嫌そうに一人の男の名を読み上げる。 「そいつは浄化師の素質を持つ男だ。……ビッシュ孤児院と自警団の両方から通報があった」  ヤコブはいかにも中間管理職といった中年男性だった。 「貴重な浄化師候補だ。どんな手段でも構わん。連れてくるんだ、分かったな」  誰かが説得では駄目ですか、と発言する。ヤコブは鼻で笑って切り捨てた。 「一度接触したようだが、手負いの獣のような有様だったらしい。酒浸りの冒険者一人すら、連れて来られんとは嘆かわしい……浄化師の質も落ちたものだ。我々司令部がこれだけ頑張っているというのに、全く情けないとは思わんかね」  ヤコブは嫌みったらしい言葉を投げかけ、浄化師の反応を楽しむように口の端を上げた。 「教団に入るぐらいなら死んだ方がマシだとまで吠えたらしい。これは教団への冒涜だ! 縄にかけても連れてこい!」  自分の言葉に酔っているのかヤコブは浄化師達に居丈高に命令を下す。  そんなヤコブに反論するように、嫌がる相手を無理矢理連れて来るなんて、と非難の声を上げる者もいる。 「なら、死んでもいいんだな?」 「え?」  その場にいた浄化師達が言葉を失う。すぐにどういう意味なのかと喰ってかかる前に、ヤコブが口を開いた。 「すでに魔力の消費に体が追いつかずパンク寸前だ。お前達が行かなければ、いつ死んでもおかしくないだろうな」  浄化師の素質を持つ者は、常人より多くの魔力を保有する代わりにひどく短命だ。  その理由は、限界を超えて生成される魔力に体が耐えきれないからだ。  魔力パンクでの死亡率は100%だ。浄化師が教団でしか生きていけないのは、その為だ。  魔力パンクする前には、胸の付近が苦しくなったり、動悸・息切れが引き起こったり、自身の意志で魔力をコントロールできなくなる等の症状が現れる。  さらに最悪なのは、コントロールできなくなった膨大な魔力に引き寄せられて、ヨハネの使徒に通常以上に狙われやすくなる。下手すれば、本人だけでなく周辺の者にも危害が及ぶ。  だから、浄化師は生きる為だったり、身の回りの者を巻き込まない為に否応なく教団の門を叩く。  教団に所属すれば、戦闘員として扱われる。魔力を安定させコントロールする術と衣食住の保証が与えられる代わりに、ヨハネの使徒とベリアルの討伐に駆り出されることになる。それを嫌がって浄化師になるのを拒む者も少なくない。 「そいつは樹梢湖に何か用でもあるのか頻繁に潜っているようだ。樹梢湖から帰ってきたところを勧誘したが逃げられている。さらに樹梢湖付近の村でよく目撃情報が挙がっており、樹梢湖内に逃げられないように自警団の者に見張りを立たせている」  ヤコブは面倒くさそうな顔を隠さず、話を続ける。 「幸いにもヨハネの使徒の目撃情報はないが、いつ現れてもおかしくないだろうな。村人を危険に晒したくなければ、早急に連れてくるんだな」  ヤコブがまるで他人事のような言いぐさで書類をめくる。 「逃げ回る馬鹿者を生かしたいなら、教団に連れてくるしかない。浄化師は教団でしか生きられないのだからな」  残酷な事実を何の感慨もなく浄化師に向かって言い放つ。 「すでに他の教団員が出向いたが説得に失敗しているんだ。説得ができるものならしてみるんだな。私はできない方に賭けるが」  意地悪げに眼を細めると、立派に整えられた髭を撫でる。 「そいつの出身の孤児院長も説得したようだが、無理だったようだなしなあ……お前達が説得失敗するのが目に浮かぶようだな」  ヤコブは浄化師達が説得できず、武力行使で連れてくると確信しているようだった。 「殊勝なことに死ぬ前に随分と院長に金を預けていったようだ。説得できないのはお前達のせいだが、必ずそいつを連れて帰ってこい。くれぐれも私の顔に泥を塗る行為はするんじゃないぞ、いいな!」  長身痩躯のヤコブは壇上から見下ろすように命じる。  浄化師達は無言のまま。それに焦れたヤコブは、 「私なら簡単に連れて来ましょう、と上司に言ってしまったんだ。必ずその男を連れてこなければならん!」  ぽろりと自身の事情を暴露したことにも気づかずに感情的に叫ぶ。 「いいか、絶対に失敗するんじゃないぞ! 分かったなら、今すぐ行け! さあ、行くんだ」  そうヤコブは部屋の扉を指さすと、犬でも追い払うかのようにシッシッと追い払った。  後味の悪い任務になりそうな予感に、浄化師達は重いため息をつくのだった。
秋の訪れ
簡単|すべて

予定 2018-09-26

参加人数 6/8人 茸 GM
 穏やかな日差しや心地良い風に秋の訪れを肌で感じる様になってきた、ある日のこと――。 「ゴホ、ゴホゴホっ……」  一室で、苦しそうに咳き込む女性が一人。 「コホッ。ハァ……まさか風邪を引くなんて……」  彼女は白髪の混じった自分の頭を抱え、ぽつりと独り言を零した。  季節の変わり目は体調を崩しやすいというが、本当にその通りだと痛感する。  場所はアークソサエティの中心街から外れたとある小さな村。  その村で行われる秋の収穫祭も間近だというのに、何故自分は風邪など引いてしまったのかと、彼女は部屋から見える裏山を寂しげに見つめた。  畑にはお芋やセロリ、ニンジンなどの野菜が実り、その向こう側に見える山の麓には葡萄や林檎、栗の木なんかが少しずつ植わっている。  農作物を育てるのが好きとはいえ、色々植え過ぎただろうかと僅かに過ぎる後悔に「そんなわけない」と瞳を閉じた。  苗木から育てた作物は可愛い我が子も同然。 「きっと熱があるから、弱気になってしまうのね」  手塩にかけて育てた作物が、負担になるわけがないのだ。  だからこそ、心配は尽きない。  彼女は重い瞼を押し上げて今一度窓の外を眺めた。  夏が暑かった分、実りが早かったり水不足から枯れ始めている作物が多く目に留まる。 「樹木の葉が茶色くなりかけてるわね」  しかし、起き上がるのも困難なこの身体ではどうすることもできない。  なかなか取り除く事のできない倦怠感に、彼女は一人、大きな溜息を零した。 「そろそろ収穫してしまわないと、あっという間に冬が来てしまうわ」  どうしたら良いのだろう……。  それに加えて雲行きが怪しい。  天気の変わりやすい山は晴れていると思ったら急に雨が降り出したり、嵐にでもなろうものなら危なくて山に踏み入る事さえ困難だ。  ――カタカタ……。  吹く風が戸を叩く。 「シートを掛けて保護だけでも……ゴホゴホっ、……ああ、無理そうね……」  無理に起き上がろうとすると頭がズキンと痛み、身体が軋む。  再び布団に倒れ込んだ彼女は、打開策を必死に考えた。 「近隣の人に頼む?」  そう呟いてから溜息を漏らす。 (――駄目よね。みんなだって収穫祭の為に頑張ってるんだから。無理は言えないわ) 「やっぱり自力でなんとか……」  できていたら苦労はしない。  例え治ったとしても、短期間で全てを収穫するのは難しいだろう。  それでも諦めるなんてことはできなくて――。 「そうだわ! あっ……イタタタ……っ」  閃いたと上げた自分の声が頭にズキンズキンと響き、咄嗟に両手で頭を押さえる。 「うっ……。とりあえず、少し寝てからにしましょう……」  そうして、少し起き上がれるようになってから、彼女はペンを取ったのだった。  ――それから二日後。  教団に一通の依頼状が届けられた。  内容は、農作物の収穫のお手伝いをしてもらいたいとのこと……。  秋の収穫祭も間近なので、直ぐに出られる浄化師は依頼人の元へ向かい、手分けして収穫をお願いします。  依頼人が無事に収穫祭を迎えられるよう、精一杯尽力してもらいたい。
ダンジョンに挑戦しようLv2
普通|すべて

予定 2018-10-01

参加人数 8/8人 春夏秋冬 GM
 栄光と挫折が入り混じり、熱気と狂騒に浮かれる冒険者達が集まる場所。  それが冒険者ギルド「シエスタ」だ。  酒場を兼ねた情報交流の店だけあって、いたる所で酒盛りに余念がない。  中には、酒をおごる者も。  もっとも、おごる理由が純粋な好意だけとは限らないのが、シエスタという場所ではあったが。 「どうぞどうぞ。今日は私の奢りです」  にこやかな笑顔に含みのある眼差しを混ぜ合わせ、ギルドの紹介業者であるクロアは、テーブルに就いた冒険者達に気前よく言う。 「わぁ、嬉しい。タダってことなんだ、クロさん」  冒険者の1人、20そこそこの見目良い美女といった姿をしたセパルがクロアに返す。 「タダより怖い物は無いって言うけど、その辺どうなの?」 「いやですねぇ」  笑顔でクロアは言った。 「おごるだけでタダじゃないですよ」 「必要経費ってことね。おごるから仕事引き受けろってことでしょ?」  そう言いながら店のウェイトレスを呼んだのは、セパルの仲間である涼やかな美女セレナ。 「セパルはカルアミルクで、私はサザンオレンジで。ウボーは、どうする?」  セレナに訊かれたのは、冒険者仲間の最後の1人であるウボー。  20代半ばの厳ついにぃちゃんといった見た目のウボーは、見た目に反して甘めのお酒を注文する。 「ルシアンを頼む。あとツマミにチーズとサラミと枝豆」  注文を受けたウェイトレスが離れたのを見計らって、セパルはクロアに言った。 「それで、今日は何の依頼? 最近、儲かってるみたいだけど」 「ええ、お蔭さまで。貴女達が手に入れてくれた試練の塔までの地図と内部の情報は、よく売れましたからねぇ」  いまクロアが口にしたのは、以前セパル達が浄化師達の手助けを受けて訪れたダンジョンのことだ。  島ひとつが丸ごとダンジョンとして認定されている虚栄の孤島。  その中にある魔法使いが建てたと言われている試練の塔。  そこに行くまでの安全な道のりと、塔内部の情報を記した物をクロアはセパル達から買い取り、それを写した物を冒険者達に売ったのだ。 「貴女達への情報料が、思いのほか安かったですからねぇ。お蔭で薄利多売が出来ました」 「お礼なら、あの時一緒に行ってくれた浄化師の子たちにも言ってあげて」  セパルは、お酒を持って来てくれたウェイトレスに笑顔で返しながら続けて言った。 「途中までの道のりやダンジョンの様子を一緒になってメモを取ってくれたからね。あの子たちの頑張りを、勝手にこっちがお金に変えて受け取る訳にはいかないもの」 「おや、人が好い」 「そういうクロさんだって、薄利多売にしてくれたんでしょ?」 「その方が、長い目で見ると旨味がありましたからねぇ」 「どういうこと?」  カルアミルクを一口飲んで尋ねるセパルに、クロアは笑みを浮かべ返す。 「薄利多売にすれば、それだけ多くの冒険者が試練の塔に行ってくれますから。あのダンジョンは、2階まで踏破する度に魔結晶が手に入りますからねぇ」 「……なるほど。魔結晶の売買で儲けるってことか」  唐辛子の効いたサラミを摘まみながら、クロアの言葉に返したのはウボーだった。 「直接売買しても良し。取引情報を売り買いしても良し。トーマス・ワットとセレスト・メデュースが関わって蒸気船が出来たらしい、という噂話も聞くしな。その蒸気船の燃料に魔結晶が使われているなら――」 「魔結晶の相場は大きく動くってことですからねぇ」  クロアは、ほど良い塩味の枝豆を摘まんでから続けて言った。 「上がるにしろ下がるにしろ、動きさえあれば儲けられますから。そのためにも、試練の塔で魔結晶を冒険者の皆さんには取って来て欲しいんですがねぇ」 「なにかあったの?」  セパルの問い掛けにクロアは返す。 「少しばかり、試練の塔に出て来るゴーレムに可笑しなのが混ざるようになったらしいんですよ」 「オカシイって?」  セパルの問い掛けにクロアは応える。 「ゴーレムを破壊すると、魔法らしい何かが掛けられるらしいんです」 「それって、何か危ないことでもあったの?」  これにクロアは返した。 「ネコ耳が生えるらしいです」 「ネコ耳」 「あと語尾が、にゃーになったり」 「にゃー」 「バニーガール姿になったりするそうですよ」 「コスプレ?」  クロアの応えを聞いて、セパルは頭痛を堪えているような表情になる。 「ホント、イイ趣味してるよ、あの塔を作った魔法使い」 「愉快な人だったんでしょうねぇ」 「人だったのかどうかは知んないけどね。それで、そういうのが出たからって、何が問題なの?」  セパルの問い掛けに、クロアは変わらぬ笑みを浮かべて返した。 「気味悪がって、試練の塔に行ってくれる冒険者が減ってるんですよ」 「それはしょうがないんじゃない?」  サザンオレンジを飲み干したセレナがクロアに返す。 「浄化師みたいに、怪我とかした時に助けてくれる当てがあるなら良いけど、冒険者は自分の身一つだもの。その分、慎重になるわよ」 「もっともで。だから今回も、浄化師の方達に御足労願っていただこうと思ってるんですよ」 「……試練の塔の魔法のトラップを調べて来て貰うってことね。で、その案内と、その時の情報を仕入れて欲しいってこと?」  セパルの問い掛けにクロアは頷いた。 「ええ、そういうことです」 「手伝ってくれるかな?」 「少しでもやる気を出して貰えるように、依頼料は弾むつもりです。というわけで、よろしくお願いしますよ」  にっこり笑いながら言うクロアに、肩をすくめるようにして頷く冒険者達だった。  そんなやり取りがあった数日後、教団に一つの指令が出されました。  内容は、次の通りです。  試練の塔と呼ばれるダンジョンを調査して欲しい。  試練の塔の概要は次の通り。  魔法使いが作ったとされる塔。  現在は、2階までしか進めない。  各階の広さは、50m×50m。  1階は、訪れた人数×2の小型ゴーレムが出現する。  ゴーレムは対応する人物の不利属性を持つ。  ゴーレム出現時に、落とし穴で地下に落とされる可能性あり。  地下は、落下の瞬間は床がぽよぽよしてるので、落ちても怪我はしない。  1階のゴーレム全てを破壊すると、2階への階段が降りてくる。  2階に移動すると、1階と同じように訪れた人数×2の小型ゴーレムが出現する。  1階と同じく、対応する人物の不利属性を持つ。  一定時間以内に全て倒し切れないと、追加でゴーレムが発生する。  2階に出現したゴーレム全てを倒すと、地下に落ちた者達は解放され、その際に魔結晶を手に入れることが出来る。    なお、ゴーレムを倒すと何らかの魔法的なトラップが発動される可能性あり。  どんなトラップなのか、詳細を求む。  指令書の内容は、こんな感じでした。   魔法のトラップは、どうやら大したことは無いようですし、出て来るゴーレムもそれほど強くはないので、新規に浄化師になった人にもお勧めとの事でした。  この指令に、アナタ達は――?
旅立つ友にはなむけを
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予定 2018-10-02

参加人数 8/8人 あいきとうか GM
 枯葉によく似た色の、美しいドラゴンが憂いの息をつく。 「私はね。ヒトになりたかったのだ」  彼はもうじき寿命を迎える。ここで朽ちることも霊廟に向かうこともできたが、彼は多くのドラゴンがそうであるように、薔薇十字教団にその身を捧げることを選んでいた。  ときがくれば、自分もそうするのだろう。自分も彼も、ヒトの子らを嫌ってはいなかった。はかない一生を懸命に生きる、花のように美しい命の糧になることに、疑問はなかった。 「ヒトは魔法を扱えず、空も飛べないというのに? 百年にも満たぬうちに、死ぬというのに?」  そう、ヒトははかない。アンデッドでさえ、ドラゴンから見ればか弱い。  美しいとは思うが、そうなりたいと考えたことはなかった。  彼は笑う。 「構わぬ。ヒトになれるなら、私は魔法を捧げよう。翼を落とそう。牙も爪もくれてやろう」  その代わりに。 「ヒトの喜びを教えてくれ。短き生涯で得る美しきものを、醜きものを、苦しみを、喜びを。私も感じたい」  ニーベルンゲンの草原に風が吹く。咲く花々が舞う。ほんの少し冷たい空気が、秋であることを告げている。 「私も、ヒトのように笑って悲しんで、花のように生きたかった」  足音が聞こえた。ワインドと、彼が連れてきた浄化師たちの足音だ。 「ではな」 「……ああ。さらばだ、グレーテル」  名をねだった彼にその記号を与えたのは、ワインドだった。グレーテル。ヒトが書き記した物語に登場する、少年の名らしい。  グレーテルがいなくなった草原で、私は天を仰ぐ。青く高い空だった。 「――――」  ひとつ、声を。咆哮でも囁きでもない、音を。  ヒトになりたいと言ったドラゴンを想う。誇りを捨てたわけではなく、ただ夢を見た枯葉色のグレーテルを想う。彼はもう、あまりに長い命を全うしたころだろう。 「…………」  私に名はない。ヒトになりたかったわけでも、必要としたわけでもないから。いるか、と聞いたワインドに、いらない、と応えたのだ。 「ワインド」  息を吸う。吐く。ひやりと心地よい空気だった。  旧友が二度と吸うことのない、空気だった。 「ワインド! 浄化師をここに! 頼みがある!」  宙を舞い、私は声を張り上げる。集落の建物から出てきたワインド・リントヴルムは、何事かと驚いていた。 「弔いを。我が友のために、手向けの花を。ヒトがヒトにそうするように。――嗚呼、我が爪では叶わぬことよ」  岩を砕き肉を裂くことはできるのに。  亡き友のための花束ひとつ、私は作れない。