土斑猫 GM

こちらにて、

NPC、「セルシア・スカーレル」と「カレナ・メルア」の戦闘補助スキルの繊細

及び

「ディアナ・ティール」と「レム・ティエレン」の後日談を掲載しています。

ご興味ある方・ノベル構想の材料にしたい方は、どうぞご遠慮なく。



メッセージ・インフォメーション等

 自分の運用するNPC、『セルシア・スカーレル』と『カレナ・メルア』のPC補助スキルの概要等を掲載しております。
 このスキルは二人が介入するエピソードに置いて、自由に戦略に組み込む事が出来ます。

 参考の上、ご活用ください。

 
 スキル名:『叛逆の羽風(イカルス・アルビオン)』
 
 所持者:セルシア・スカーレル

 【効果】
 
 一回の戦闘において一回、対象PC(複数可)の全ステータスの基本値を3ラウンドの間、2倍にする。
 効果終了後、該当PCのステータスは2ラウンドの間、基本値の半分になる。




 スキル名:『開闢の獣牙(フォールティア・デンス)』

 所持者:カレナ・メルア

 【効果】

 指定ターン、全キャラクターの行動に優先して発動。
 敵一体を対象に指定。全ての防御系能力及び防御力を3ラウンドの間、無効化する。
 一回のエピソードにおいて、使用出来るのは一回のみ。


 ……と言う具合になります。
 使用方法においては、二人が介入する事が名言されているエピソードにおいて、作戦掲示板或いは代表者(羽風の場合は、効果付与希望者)のプランにおいて、使用する状況と共に明記ください。

 以上になりますが、不明な点等あればエントランス及び作戦掲示板でどうぞ。
 こちらに追記する形で対応いたします。
 


作品一覧

祝福の日
参加人数 1 / 1人

平安なき約束の地
参加人数 1 / 1人

双誓
参加人数 1 / 1人

桜の水面(みなも)
参加人数 1 / 1人

ラメントーソの告解
参加人数 1 / 1人

Show must go on.
参加人数 1 / 1人

甘光狂騒曲!?
参加人数 1 / 1人

ラニ・シェルロワの1日
参加人数 1 / 1人

魔女狩りを始める
参加人数 1 / 1人

神魔大戦
参加人数 14 / 16人

死を、抱く
参加人数 8 / 16人

【神契】弔いの氷精
参加人数 8 / 16人

【神契】天津神の旅風(たびかぜ)
参加人数 6 / 8人

【神契】命の姫は、想い抱いて光を醸す
参加人数 6 / 8人

神々の扉
参加人数 9 / 16人

二つ星
参加人数 6 / 8人

命、光
参加人数 7 / 16人

行 き 止 ま り
参加人数 7 / 8人

オーバーフロー・ハート
参加人数 8 / 8人

母の詩(うた)
参加人数 8 / 8人

タナトス
参加人数 8 / 8人

【雑魔】極甘(ごっかん)の恐怖
参加人数 3 / 8人

残滓の館
参加人数 8 / 8人

星送り
参加人数 8 / 8人

慟哭の鎮魂歌
参加人数 8 / 8人

災いの眠る谷
参加人数 8 / 8人

微睡みの狂想
参加人数 7 / 8人

違える絆
参加人数 8 / 8人

【友好】桜の宴
参加人数 4 / 8人

暗闇の哄笑
参加人数 6 / 8人

木漏れる光の子守歌
参加人数 6 / 8人

上弦の夢
参加人数 4 / 8人

【神捧】朱染の聖夜
参加人数 3 / 8人

【神捧】琥珀色の闇
参加人数 4 / 8人

無邪気という名の悪夢
参加人数 2 / 8人

灰色空の道
参加人数 2 / 8人


リンク・ファンレター


サンプル

 昏い部屋。
 開け放たれた窓から吹き込む夜風。
 差し込む月明かりに金色の瞳を煌かせながら、『レム・ティエレン』は椅子に座っていた。
 見つめる先には、ベッドが一つ。
 横たわる、少女が一人。
 リィイイイ……。
 音が鳴る。
 遠く。
 近く。
 青い燐が舞う。視界の端。蝶。羽音。
 扉の外で、誰かが倒れる音がした。ちょっとだけ視線を流して、戻す。
 少女が、起きていた。
「殺したのか?」
「殺してないわ」
 レムの問いに、『ディアナ・ティール』は薄く笑みながら答える。
「わたしは、教団の人達が好きよ。殺したりなんか、しないわ」
 笑う彼女の目。妖しく、光る。まるで、人のソレではない様に。
「もう、皆起きないわ。今夜の、時を殺したから」
 あまり意味が分からない言葉。でも、そう言う事なのだろう。人智の外。分れば、壊れる。
「起こして」
「おう」
 ディアナが伸ばした手を、レムが取る。身体の麻痺はだいぶ回復したけれど、それでも。
 恋人をエスコートする様にベッドから降ろし、細い身体を支える。
「……小さくなったって、思った?」
 思考を読み取られ。それでも、驚かず。怯えず。忌みもせず。
 人殺しである、自分だけが出来る事。
「そうだよ」
 彼女が、笑う。
「だから貴女は、わたしといるの。ずっと、いるの。一人に、しないで。『あの女(ひと)』みたいに」
 ――逃がさないから――。
 端から、そんな気はないし。
「じゃ、行くか?」
「うん」
 繋ぐ手。放れない、様に。
 蝶が、舞う。
 転送式。
 残るのは、夜風吹き込む。
 月の部屋。

 ◆

「……で、何でこうなんだ?」
「……やっぱり、簡単にはいかないですね。室長……いえ、教皇様?」
「ああ。そう簡単に出し抜かれては、沽券にかかわるからな」
 場所は、アークソサエティ郊外の丘。夜鷹の声が彩る月光の下、微笑みかける『ヨセフ・アークライト』。二人は悪戯を見つかった子供の様に、気まずそうな顔を見合わせた。

 ◆

「ま、アンタ達みたいなお子ちゃまがわたしらを出し抜こうなんて、ざっと50年は早い訳で」
「皆、心配するよ? リチェさんとか、ナツキさんとか」
 軽い口調で話しかけるのは、ヨセフの両脇に並ぶ『セルシア・スカーレル』と『カレナ・メルア』。その軽いノリに反して、魔喰器を装備した戦闘態勢。恐らくは、ヨセフの護衛。仲間の利の為には、あらゆる縁を切って捨てる彼女達。適任。
「にしたって、何でアンタ如きが捕まえられんの? イザナミの権能なんだけど?」
「ああ、それは……」
『吾輩達が、いるからであるなぁ』
 自分の問いに答えた声に、目を凝らしたレムは露骨に嫌そうな顔をする。
「琥珀の婆さんに、性悪神……それに、命のチビまでいんのかよ。メンドクセェ……」
 宵闇の向こうから現れたのは、『麗石の魔女・琥珀姫』。そして、『無明の賢師・アウナス』と『太陽の命姫・シャオマナ』の二柱の八百万。
「……琥珀様とシャオマナ様は分かるけど……何でアウナス様まで?」
『……世の中には、知るべきではない事もあるであるぞ。死憑きの娘』
(悪乗りした、お仕置きだから)
 不貞腐れた様なアウナスの言葉と、ホワイトボードに書かれたシャオマナの言葉に首を傾げる。
「まあ、色々あってな。皆、お前達を『見送る為』に待ってたんだ。そう、怖い顔はしないでくれ」
「あん?」
「見送り?」
 ヨセフの言葉に、今度こそ困惑する二人。
「止めに来たんじゃないんですか? わたし達を」
「止める? 何故だ?」
「何故も何も……わたしは、『死憑き』です。死を、散らすモノですよ?」
「んで、くっついてんのがテロリスト(オレ)だぜ? ヤバいんじゃ、ねーの?」
 二人の言に琥珀姫と顔を見合わせると、ヨセフはアハハと笑う。
「だから、何だ? ソレが、お前達の自由を束縛する理由になるのか?」
「でも……」
「人殺しが、死神なんて禄でもねぇモノ囲ってんだぞ? またやらかすとか、考えねーの?」
「お前達は、やらない。少なくとも、二人でいる間は」
 迷いなき断言。息を、飲む。
「お前達が今在るのは、偶然じゃない。皆が、そう願ったからだ」
 ディアナは目を見開き。レムはつまらなそうにそっぽを向く。
「天姫とイザナミと、お前達。関わった皆の想いは、間違いなくお前達の中に染みている。それが導になると、俺は信じている」
「今の君達は、正しく神と人の境目にある」
 前に出た琥珀姫も、説く。
「神と人。何方の存在になるかを決めるのは、君達自身だ。人を肯定する光は、すでに子供達が与えた。だから、今度は人を否定する闇も知らねばならない」
 ディアナの肩がビクリと震えるが、構わずに続ける。
「光と闇、何方に偏っても真理には辿り着きはしない。双方を見つめ、その果てに選べ。自分達の、在るべき座を」
『創造神を斃し、人はこの星の統治者となったである。されど、其はあくまで『成り行き』である』
 アウナス。闇が揺れる。
『人が不完全であり、愚か極まりない存在である事は何ら変わってはいないのである。もし、かつての様に玉座に胡坐をかき、身の程を忘れ、世界の摂理に干渉を試みるのであれば……』
 ペストマスクの奥の灯、ユラリと。
『高位八百万(我ら)は、此度こそ人を滅ぼすのである』
 セルシアとカレナが殺気を放つが、ヨセフが制する。
『その折には、汝らは……黒死の虚神は神(我ら)の刃となり、全ての人の御首を撥ねるのである。其が、八百万(我ら)が忌ましき告死を現世に留めた理由である』
「……」
 ディアナは、何も言わない。レムも、当然の様に。
『理解しているであるな』
 キキキと言う、笑いが響く。
『正しく。世がその方向に傾くは、汝らがその結論に行きつきたる証左である』
 そう。かつての同胞達がそれを選ぶのならば。疑似八百万たるイザナミの理も、また。
(私は、人を信じる)
 シャオマナ。ホワイトボードに、踊る文字。
(母を。兄を救った人の心。それはきっと、私達の神智を超えたモノ。だから……)
 ニコリと送る、太陽の手向け。
(貴女達にも、その導きが必ずあるから……)
 生と死。
 そこにあるのは、確かな意味。
 いつかは、きっと。

 気づけば、東の空には淡い明日。

 ◆

「旅路の何処かで、皆と会う事もあるだろう。そこでどうするかは、お前達次第だ」
「まあ、皆の結んだ縁はもう呪いの域だし? 素通りしようたって、出来ないでしょうけど?」
「顔、見せてあげてね? 心配、してるからね?」
 頷くディアナと、そっぽ向いたレム。二人を、舞い上がる蝶の群れが包む。
「行ってこい。世界の、人の真理を見極めに。傷つき。癒され。理解して。そして、その果てに思い悩む時があったなら……」
 光る転送式。舞い散る青の燐火の中で、ヨセフは届ける。呼びかける。
「戻って来い」
 それは、かつての彼女達が聞く事も叶わなかった父の声。

「俺達は、必ず此処で待っている」

 見守る皆の前で、陣が弾ける。蝶。光。まるで、遠い日の輝きの様に。

 ◆

「行っちゃいましたかー」
 離れた山の峰。コッソリ見ていた『メフィスト』がホッと息をつく。
「何ぞ一悶着在る様でしたら、チョッピリ介入しようかと思ってましたが。無用でしたネー」
 遥かを見通す目が追うは、かの子らの羽ばたく道行き。
「何のかの、迷惑かけましたから」
 珍しく反省の色なぞ見せながら、遠く散る燐を見る。
「そのうち『プレゼント』でもするとしましょー」
 その声音は、何処か優しく。
 いつかいつかの、その時を。

 ◆

 死の巫女二人は、旅に出る。
 至る結論。
 それが、確かな型成すモノである事を。

 リィイイイイ……。
 遠く遠くで、音が鳴く。