◆リームス花を捧げるつもりはなくでも素通りも如何かと思案して一礼し引き返そうとしたら。……捧げる対象も僕自身の気持ちも曖昧で中途半端だから。失礼ではないかと考えてしまって。カロルから手渡された花。以前花について調べたことがあるからその花の名も花言葉も知ってる「誰に捧げる花なの?」誰でもよかったらカロルは薔薇を選んだだろう?花を選ぶ彼女の指が迷っていたのを見た特定の誰かを思い浮かべていたのだと思ういや、かわいいとかいう問題では。……答えたくないみたいだ祭壇に花を捧ぐ「うん。カロルはかわいいよ」なぜそんなことを訊くのだろう彼女の表情は見たことがないもので微かに聞こえた祈りの宛先はやはり聞けなかった
◆リームスアリラに質問を一つ「里はどんなところですか?」彼女とは顔を合わせたことはあれ一人の人間として接したことはなかったからそれがどんな意味を持つのかは分からない彼女の言葉を聞いておくべきだと思った後は護衛行動どう、と言われても。カロルは運命の人だろう?自分でそう言ってなかった?カロルが死んだら別のパートナーを探すよこの身体がまだ動くならそうすべきだと思うそうだね。カロルは大胆なところがあるから淑やかに振る舞えば上手くいくと思うアリラの最期に立ち会いたい事情は聞き及んでいるし一端に関わりもした興味本位では無論無くけじめか責任感とでも称すべきでしょうか僕はそうしなければならないと強く思うのです
◆リームス執行は本部地下の処刑場かな持ち場や連絡方法確認し指示通りに警備相槌を打ちつつ特に感慨は無いはず。20余名殺害への対価。教団の判断。僕は従うだけ。たぶんそれがこの身の求める最善だから。前の指令時に下されたのは討伐命令だった。捕縛でも予想できる結末だった。手を下す人間が代わるだけだろうと正義。カロルは違うの?返答に戸惑う。彼女の言うことは時々理解できない……僕はきっと誤るよ盾を強く握る。“彼”との対峙時から戦い方を改めて考えるようになった。マドールチェ。魔術人形。僕を作った魔術師が“彼女”のようであったならこの身の目的が正義に悖るものであったならカロルの言葉に身体のどこかが軋んだ気がした
◆目的「手」の正体であるベリアルの討伐◆行動調査結果と、青白い手に見えたとの証言からイカ型のベリアルと推測し対策使用:ゴーグル、釣り竿、ルアー、ランタン夕刻前から釣り始めベリアル誘き出し。ベリアルにこちらの存在を印象付け自ら陸へ上がるよう仕向ける。岩場から浜辺まで誘導しつつ後退。海から離れ足場の安定した場所で戦闘。魔術真名宣言・リームス釣り中は即戦闘に移れるよう待機。異変あれば口寄戦闘では迎エ討チのスキルセット向かってくる触腕を鎌で引っ掛けるよう攻撃・カロル釣り担当。ベリアル来れば釣り竿を強く動かし姿確認でき次第、海面から離れる戦闘では鎌に掛かった触腕へクラッシュスイング他の腕も同様切断目指す
◆リームス朝行動。干潮満潮時間を確認し昼の宝探し時の波打ち際を考慮して宝物を埋めていく。浅瀬から1mごと等間隔がいいだろうか「定規?――うん。巻き尺があれば尚いい」問われたから答えただけなのにカロルは不満なようだ。そういえば彼女の意見を聞いていなかった。ごめん。僕はどうすればいい?二人……カロルの手許を観察。「カロル。そんなに浅く埋めたら宝物が見えてしまう」宝物を見つけたら。取ろうとする、だろう。今の僕達と同じように並んで屈んで、……僕の前にも宝物を一つ埋めておく。そうしたらきっと、二人とも見つけられるから泳がなくていいの?危うげに歩く彼女の手を取って。「さらわれない。僕が手を掴んでいるから」