~ プロローグ ~ |
七夕。 |
~ 解説 ~ |
詳細説明 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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・浴衣:千亞デザイン 明るいグレー地に黒で縞模様の入った男性浴衣。帯は黒でシンプルなもの。 ・浴衣:明智デザイン 黒地にショッキングピンク色で大ぶりな薔薇柄の入った派手なもの。帯は緑色。 ●行動 それぞれの浴衣に感想を言い合いながら、フリーマーケットを練り歩く 珠樹「女性浴衣じゃないのが残念ですが…!千亞さんの浴衣、素敵です、ふふ」 千亞「…珠樹は…派手だな」 珠樹「ふふ…!浴衣のデザイン、とても楽しかったです…!この浴衣、出来れば千亞さんに着ていただきたかった…!」 千亞「遠慮願う」 珠樹「しかも『千亞さんラヴ』って文字が入ってるんですよ、ふふ」 千亞「え?…ホントだ、って、何書いてるんだド変態!」(顔真っ赤) |
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★浴衣 お互いにお互いのデザインをします 碧希君がデザインしてくれたのは緋色に古典柄風の向日葵の浴衣 ★ストリート うん、碧希君なら似合うと思ったもの 柄と着る人を選ぶけれど、正解だったみたいね ……あれ、そっち飲み屋街よ? 碧希君がいいならいいけど…… (最初の店での飲み物のサービスに対しては) え、私達そういうんじゃな……っ、もご!? ちょっと、何で話に乗っちゃうのよ…… ……そ……れは、そうかも知れないけど 何か……胸が痛い (自分を意識しているわけではないのだろうなと、無意識に考えてしまって どうしてそれで胸が痛くなるのかもわからないままに) ……え……? (最後の店で碧希の呟きに目を丸く) ……あ、もう、待ってよ! |
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…そうだ、ララ。浴衣のデザインだけど、浴衣の裾に星を散りばめた物はどうかな? 星空を連想させると思うんだ(紙にザッザッとデザイン画を描く) (ズラミスとサラミのようだと言われ、顔を赤く) なっ…! う… (途中オルヴワルに寄る) ララ、何か欲しい物はある? 星形のキャンディだね、わかった。 全身星空だね。 (ひととおり歩いた後、短冊を前にする) 短冊っていうのは、願い事を書いてそれが叶うよう、笹の葉に飾るんだ。 僕の願いは… 『ララエルが幸せになりますように』 これを笹の葉につければ完了だね。 (これは切なる願い。星よ、どうか願い事が叶いますように) |
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ズラミスとサラミの話は知っているよ星に関わる話だからね…私も好きな話しの一つだ。 浴衣か目にしたことはあるが袖を通すのは初めてだな。 デザインかそうだな私の好きなようにするなら。 紺地に星のように白を散らし帯は銀色に。 まるで天の川の様だろう。 男性物と女性物でデザインの差異はあるが。 ふふ、お揃いだ。 うむ、ヴァン君もなかなか似合っているね。 さて何処を巡ろうか…。 夜という事もあるしボヌスワレ・ストリートの方にお酒を飲みに行ってみようか。 ん?一杯目は無料?それはありがたい…いただこう。 短冊に願い事…ヴァン君も文字の練習がてら書いてみるかい? そうだな私は「ヴァン君と共に楽しい時間をすごせますように」だろうか。 |
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■浴衣デザイン 二人お揃いの装飾・柄。東は可能であれば女性物を着用 夜空に星を散りばめたような大人らしいシックなデザイン。 白地に金模様の入った帯もセット ■行動 飲み屋街にて行動。恋人割を知らずに入店した為、思わずニヤリ 否定しようとする東の手を取り、席へ 酒を頼み、それを味わいながら東に寄りかかってみたり、 反撃してこないのを良いことにやりたい放題 せっかくの不倫デートじゃねぇか 一緒に楽しもうぜ? どうせ短冊には女房のことを書いてんだろうなぁ。 面白くない。 そんな事を思いながら書いた為か 随分とヘンテコな願い事になってしまう。 短冊: 東:『妻の無事、二人また会えるように』 黒憑:『(二人を引き裂く)天の川になりてぇ』 |
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飲み屋街へ→短冊を吊るす ◆アユカ 白地に薄紅・薄紫の桜柄の浴衣 帯は赤 かーくん、似合う、似合うよ…! バッチリ宣伝になるね、うんうん! せっかくだしニホンのお酒を飲んでみたいな 大丈夫、今日はそんなに酔うつもりないから 短冊「かーくんともっと理解し合えますように」 かーくん、なんて書いたの? そっか…じゃあ見ないように吊るすね 二人とも叶うといいね! ◆楓 紺に灰色の帯のシンプルな浴衣 裾の方に蛍をイメージした白い柄が数点 飲み屋街に直行する彼女に苦笑 ニホンの酒は、弱いあなたにはあまり勧められませんが… 一杯だけですよ? 短冊「彼女が記憶を取り戻しても、笑顔であるように」 …秘密です 願いは、知られると叶わないといいますので |
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目的:宣伝の為に自分達でデザインした浴衣で街を周り、笹に短冊を飾る 行動:夕方の6時頃から街へ。話ながらゆっくりと歩いてカフェテリア「アモール」へ行き二人でラテアートを注文。暗くなり星が出始めたらオルヴワルへ移動して短冊を飾り付ける。 アメジス:浴衣、よくに合うね藤ちゃん 藤葉:あ、有難うございます!アメジス兄様もよくお似合いです…デザインに藤の花を選んで下さったの嬉しいです。 アメジス:藤ちゃんの名前は花からきてるって前に聞いたから調べたんだよ。素敵な花だね 藤葉:(アメジス兄様はたまにズルいです…) アメジス:(…独り占めしたいなんて思うのは何でだろう?) アメジス:何を書いたの? 藤葉:…内緒、です |
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★目的 無理を承知で考案した浴衣を着て、オルヴワルを歩き回る。 道行く人達に、評価して貰いたい。 勿論、他の浄化師達のデザインも気になるぜ。 すれ違えば、当事者の柄も評判も込みで見聞する。 ★考案した浴衣 濃紺地に、星空を模した白の点描、流星群を模した薄らと左下へ引く斜線。 同色で同模様の帯には、共衿から流れる天の川も映る。 天の川が映った共衿を挟んで、右に彦星、左に織姫が向かい合い、 お互いを求めるように一歩駆け出す。 縹色の鼻緒、黒の下駄と、浴衣と同柄の巾着を持つ。 ★会話 ミニュイ:パリの風も凄いわねぇ、こ~んな凝った絵、手がけてくれるなんて。 ショウ:正直、自分でも驚いている。 ……って! あんたも変わらないだろ。 |
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~ リザルトノベル ~ |
浴衣のデザインと宣伝を兼ねた散策。 その指令を受けた浄化師達は、それぞれ巧くこなしていった。 ○七夕祭りもいつもの2人 自分達でデザインした浴衣を着て『白兎・千亞』と『明智・珠樹』の2人はオルヴワルを散策していた。 「千亞さんの浴衣、素敵です!」 珠樹は千亞の浴衣姿を見るなり、手放しで褒め称える。 千亞が着ている彼女がデザインした浴衣は、明るいグレー地に黒で縞模様の入った男性浴衣。 生地は張りと風合いがある麻が使われ、涼しげな着心地。 そして帯は黒のシンプルなもので、男性浴衣に合わせて細めのものがあしらわれていた。 「女性浴衣じゃないのが残念ですが……! 千亞さんが着ることで素敵さが更に跳ねあがってます、ふふ」 放っておくと際限なく褒め続けそうな珠樹に、千亞は彼のデザインした浴衣を見て返す。 「……珠樹は……派手だな」 珠樹の浴衣は、黒地にショッキングピンク色で大ぶりな薔薇柄の入った派手なもの。 生地は派手さに負けないよう高級感があり大人の雰囲気を感じさせる綿絽(めんろ)。 そして帯は緑色。薔薇柄に合わせ、花と茎の色合いとして合うように調整されていた。 「ふふ……! 浴衣のデザイン、とても楽しかったです……!」 珠樹は千亞の言葉に返す。 「この浴衣、出来れば千亞さんに着ていただきたかった……!」 「遠慮願う」 即座に返す千亞。そこに畳み掛けるように続ける珠樹。 「しかも『千亞さんラヴ』って文字が入ってるんですよ、ふふ」 「え? ……ホントだ、って、何書いてるんだド変態!」 顔を真っ赤にして声を上げる千亞に、笑顔で受け止める珠樹。 そんなやりとりをしながら、2人は一緒に散策を。 千亞と浴衣を着て回れる喜びに、珠樹は上機嫌を周囲に振り撒く勢いで。 そんな珠樹に、千亞は恥ずかしさを感じていたが、屋台料理を口にして機嫌良く。 星形の砂糖菓子に果物の砂糖漬け。 甘味が続けば、フリッツやタコスを。 2人は楽しみながら散策し、最後に短冊に願いを。 「千亞さんは何を書かれたんですか?」 「ん」 珠樹が短冊を見れば、そこには――。 【世界が平和になりますように。千亞】 「ふふ、千亞さんらしいですね」 「そうか?」 (本当は『兄さんが帰ってきますように』って書きたかった……けど) 心に秘めた願いは言葉にも文字にもできず、千亞は珠樹の短冊を気にする。 「珠樹はなんて書いたんだ?」 「こちらです、ふふ」 【千亞さんがもっと女性ものの服を着ますように。たまちゃん】 願いの最後にハートマークまで付けている短冊に、千亞は軽くため息をついて返す。 「風流な行事に書く願い事じゃないぞ」 これに珠樹は、いつもの如く返した。 「叶いそうなものにハードルを下げたのですが……! 欲望に忠実に書くならば」 【千亞さんのその白い肌に私の……】 「止めろド変態!」 最後まで書かせることなく、パンチで突っ込みを入れる千亞。 七夕祭りも、いつもの2人であった。 ○七夕に想いの兆しを パリの風で『碧希・生田(いくた・あき)』は自分の浴衣姿の感想を口にする。 「つば広帽も一緒に持ってきてくれたけど、似合うのかなこれ」 彼が着ているのは『朱輝・神南(かなみ・あき)』がデザインしてくれた青嵐色に派手すぎない花唐草柄の浴衣。 男性向けということで、落ち着いた雰囲気のある木綿生地のさやま縮(さやまちぢみ)で出来ている。 浴衣生地のさらりとした手触りを確かめながら尋ねる碧希に、朱輝は返す。 「うん、碧希君なら似合うと思ったもの。柄と着る人を選ぶけれど、正解だったみたいね」 朱輝の言葉に、碧希は店内の鏡に自分を映す。 一緒に見るように、朱輝が隣に。 すると鏡には2人の姿が。 碧希は自分と一緒に居てくれる朱輝の姿に目を移す。 彼女が着ているのは、碧希がデザインした緋色に古典柄風の向日葵の浴衣。 生地は綿麻(めんあさ)。ふんわりとしたやさしい風合いを出すために綿が多くなった物。 2人が寄り添う姿は、良く似合っていた。 それが嬉しくて碧希は笑顔を浮かべ、朱輝を散策に誘う。 「へへー、じゃあ早速行こう!」 「うん」 そうして2人は散策に。 屋台を幾らか巡った後、飲み屋街「ボヌスワレ・ストリート」に。 「……あれ、そっち飲み屋街よ?」 「ん、祭みたいなものだし、今日くらいいいじゃん?」 「碧希君がいいならいいけど……」 楽しそうな碧希に、朱輝は連いていく。 そこで振る舞われたのは、恋人なら一杯無料サービス。 「え、私達そういうんじゃな……っ、もご!?」 否定しようとする朱輝の口を、碧希は塞ぎ店員に返す。 「ソフトドリンクでもいいの? やった! じゃあ俺クリームソーダ! 朱輝は何にする?」 朱輝は同じ物を頼み、店員が持って来てくれる間に、碧希だけに聞こえるように言った。 「ちょっと、何で話に乗っちゃうのよ……」 「いいの、こういうのは楽しんだもの勝ち!」 一緒に楽しもう。 そう言うような、碧希の楽しげな笑顔。 見詰める朱輝の鼓動が跳ねる。 (何か……胸が痛い) 自覚できない想いを、朱輝は胸に抱いていた。 想いを抱えながら、2人はお店を回っていく。 それは楽しくて、それだけに想いは薄れることはなかった。 やがて日も暮れ始め、最後のお店を回った後、碧希は静かに言った。 「んー……少し雰囲気に酔ったかも。……その所為なのかなあ」 どうしたの? と朱輝が尋ねるより早く、碧希は呟くように言った。 「……朱輝となら、間違われたままでもいい、気がした」 「……え……?」 碧希の呟きに目を丸くする朱輝。 そんな彼女を誘うように、へらっと笑い碧希は言った。 「さ、短冊書きに行こう!」 「……あ、もう、待ってよ!」 苦笑するように朱輝は返し、2人は願いを短冊に記しに行く。 その願いは遠い星に届いただろう。 そう思える2人だった。 ○星に幸せな願いを 「……そうだ、ララ。浴衣のデザインだけど、浴衣の裾に星を散りばめた物はどうかな?」 「わあっ、とっても素敵だと思います!」 パリの風で『ラウル・イースト』と『ララエル・エリーゼ』の2人は楽しく浴衣のデザインを。 ラウルは紙にデザイン画を描いて続ける。 「星空を連想させると思うんだ」 これにララエルは笑顔を浮かべ返した。 「ズラミスさまとサラミさまも喜ぶと思います!」 見ていて微笑ましい2人だった。 そして当日。 出来上がった浴衣は、夜空を思わせる紺地に、裾を中心に星が散りばめられていた。 ラウルが男性ということで落ち着いたシックな色合いに。 ペアで作られたララエルの浴衣は、ラウルの物よりも明るく華やいでいる。 2人でいるとお互いを引き立て合うような浴衣だった。 生地は着心地の良い、さやま縮(さやまちぢみ)が使われている。 それを2人は着て、お互いを見せ合いっこ。 「えへへ、私とラウルもズラミスさまとサラミさまみたいですね!」 「なっ……! う……」 顔を赤くするラウル。 嬉しそうに笑顔を浮かべるララエル。 2人は浴衣を着て、宣伝のために巡っていく。 その道中、オルヴワルに立ち寄ったラウルは言った。 「ララ、何か欲しい物はある?」 「星形のキャンディを買っても良いですか?」 「星形のキャンディだね、わかった」 ラウルが買いに行くが、人が多いので少し時間が掛かる。 その間に、ララエルは思いつく。 (そうだ、歩くだけでなく歌ったら、もっと宣伝になるかな……) すっと息を吸い、歌を奏でる。 今のララエルの歌の力量は、プロとして活躍できるほど。 それだけに人が耳を傾け、ちょっとした人垣が。 終わりと同時に拍手が起こる中、星形のキャンディを持ったラウルが。 「素敵な歌声だったよ」 「えへへ、せんでんです」 ラウルに褒められ、はにかむようにララエルは笑顔を浮かべると星形のキャンディを受け取る。 「全身星空だね」 ラウルにララエルは楽しそうに笑顔を浮かべた。 そしてしばらく巡っていき、最後に短冊に願いを記すことに。 「ラウル、たんざくってなんですか?」 「短冊っていうのは、願い事を書いてそれが叶うよう、笹の葉に飾るんだ」 「ステキ! 私もお願い事を書きますね!」 2人の願いは、お互いを想ってのもの。 『ララエルが幸せになりますように』 『ラウルが幸せになりますように』 「……えへへ、これを笹の葉に飾るんですね」 「そうだよ。これを笹の葉につければ完了だね」 2人は笹に短冊を付ける。 「お願い事、叶いますように」 ララエルは星に届くことを願い口にする。 そしてラウルは誓うように想う。 (これは切なる願い。星よ、どうか願い事が叶いますように) その願いは、きっと星に届いただろう。 そう思える2人の七夕だった。 ○お揃い浴衣で七夕巡り 浴衣のデザインのために『アーカシャ・リリエンタール』とパリの風に訪れた『ヴァン・グリム』は言った。 「タナバタにユカタ? よくわからんがアーカシャに任せる」 これにアーカシャは返す。 「七夕は、大元はニホンの風習だけど、こちらだとズラミスとサラミの話が一緒になって広まったものだよ。星に関わる話だからね……私も好きな話の一つだ」 「ズラミスとサラミの話?」 これにアーカシャが説明するとヴァンは返す。 「あーなるほど。アーカシャが好きそうな話ではあるな。それでユカタはニホンの服だったか? そっちもよく分からんからデザインは任せる」 「デザインか。そうだな私の好きなようにするなら。紺地に星のように白を散らし帯は銀色に。まるで天の川の様だろう」 「なるほど……いいんじゃねぇか?」 「あとはお揃いにしよう」 「はぁ? お揃い? いやそれはちょっと恥ずかしいだろう」 そんなやり取りがあり、デザインはアーカシャが。 そして当日。 「ふふ、お揃いだ」 アーカシャはヴァンとお揃いの浴衣を着て楽しそうに言った。 男性物と女性物でデザインは少し変えられ、アーカシャの浴衣はほっそりしたラインを描き帯は幅広に。 ヴァンの浴衣はしっかりとしたラインを描き帯は細め。 生地はお揃いの浴衣ということで同じ綿紅梅(めんこうばい)。 色合いは同系色の紺地だが、アーカシャの物が明るめで、ヴァンの物はシックな色調。 「ヴァン?」 お互いの浴衣を見せ合い、黙ってしまったヴァンにアーカシャが声を掛ける。 アーカシャが浴衣を着た姿に目を奪われ、返事が遅れたのだ。 (本当に外見は綺麗なんだよな……ただ中身がちょっとあれなだけで……今ではそれも悪くないと思っている自分もいるしな) そう思いながらヴァンは返す。 「似合ってるぜ」 これにアーカシャは笑顔を浮かべ返す。 「うむ、ヴァン君もなかなか似合っているね。さて何処を巡ろうか……」 そして2人は散策に。 行き先をアーカシャが提案する。 「夜という事もあるしボヌスワレ・ストリートの方にお酒を飲みに行ってみようか」 「酒かいいな!」 そこで2人は、恋人一杯目無料サービスを。 「ん? 一杯目は無料? それはありがたい……いただこう」 「一杯目無料? ……あーこれはあれか? 恋人同士ならってやつか……まぁ無料ってのは嬉しいが」 2人は受け取ると甘めのカクテルを飲み干す。 そこからお店で、お酒と共に会話も交わす。 心地よい酔いに包まれる頃、2人は短冊に願いを。 「俺の願い事なー。『金儲け』でいいんじゃないか?」 「短冊に願い事……ヴァン君も文字の練習がてら書いてみるかい?」 「そうだな、やってみるか。アーカシャは何て書くんだ?」 「そうだな私は『ヴァン君と共に楽しい時間をすごせますように』だろうか」 柔らかな笑顔を浮かべるアーカシャと共に願いを記すヴァンであった。 ○ほろ酔いながら七夕を (お似合いだって? 冗談じゃねぇ) ボヌスワレ・ストリートでの恋人一杯無料サービス。 店員の言葉に反論しようとした『清十寺・東(セイジュウジ・アズマ)』の手を、『黒憑・燃(クロツキ・ゼン)』は引っ掴み否定の言葉を言わせる間もなく席につく。 その顔には笑みがニヤリと。 どう料理して味わってやろうかと思いを巡らせる。 (小僧……) いつものように叱ろうと東は思うも堪える。 周囲を見れば、仲の良さげなカップル達が。 ここで騒げば迷惑になる。 それをいいことに、燃は掴んだままの手に残りの手を重ね言った。 「せっかくの不倫デートじゃねぇか。一緒に楽しもうぜ?」 (この野郎、帰ったら一発ブン殴ってやる) 心の中で誓いながら、任務のためと耐える。 そこに燃は寄りかかり言った。 「さぁ先生。一緒に酔おうじゃないか。溺れるほど飲んでも構わないぜ。俺も一緒に溺れてやるよ」 (独りで溺れてろ!) 東は声には出さず返しながら、ここまで来たら全て飲み干してやろうと気持ちを切り替える。 女形で舞台に立った経験もあるのだ。 芝居をしていると割り切れば耐えられる。 反撃もせずされるがままの東に、燃はお酒を追加注文。 ほろ酔いが回るほど飲んでいく。 酔うほどに、東は色香が浮き立つ。 いま2人が着ている浴衣は、お揃いの物。 夜空を思わせる地の色に星が散りばめられている。 白地に金模様の入った帯があしらわれ、生地は高級感があり大人の雰囲気を感じさせる綿絽(めんろ)が使われていた。 それでいて違いもある。 燃が男物であるのに対し、東は女物。 酔うほどにほんのり朱に染まる肌と、燃が寄りかかるせいで僅かに着崩れる浴衣が色香を醸し出していた。 しばし、酒場で酒に酔い。 そして酔い覚ましも兼ね外を巡る。 東は店の外でも演出のために燃と手を繋ぐ。 (でけぇ餓鬼連れてると思えばどうという事はない) そう割り切りながら巡り、東が想うのは妻のこと。 (今度は彼女と一緒に訪れよう。きっと、喜んでくれる) そしてちらりと燃を見て思う。 (ま、……その時はコイツも連れて行くか。セクハラの罰として荷物持ちの刑にしてやろう) そして最後に短冊に願いを。 東は妻のことを想い。 【妻が無事でありますように。2人また会えるように】 燃は東の様子に、書いた内容に思いを巡らせる。 (どうせ短冊には女房のことを書いてんだろうなぁ。面白くない) そして書いたのは、こんな短冊。 【天の川になりてぇ】 先生と女房の仲を引き裂く。 とは、心の中でだけに留めた燃であった。 ○2人の願いが叶いますように パリの風で『花咲・楓(はなさき・かえで)』と『アユカ・セイロウ』は浴衣のデザインを話し合う。 「かーくん桜好きだし、桜柄がいいかなあ」 アユカはデザインを張り切っている。 それは楓の浴衣姿を見て以来お気に入りだから。 けれど楓は自分に和装が似合うという実感はない。 でもアユカに気に入られているのは満更でもなかった。 「桜柄は男には向かないと思いますが」 楓はアユカを見詰めながら返す。 「せっかくなので桜柄はアユカさんが着てはどうです?」 楓の応えにアユカは悩む。 彼女としては、まずは楓の浴衣のデザインを決めてあげたいのだ。 「じゃあ、かーくんの故郷の風景みたいなのとか……」 「故郷の風景……夏の夜は、蛍がよく見られました」 「蛍……! いいね、それにしよう!」 はしゃぐように言うと、アユカはデザインを始めた。 そして当日。 「かーくん、似合う、似合うよ……! バッチリ宣伝になるね、うんうん!」 浴衣姿の楓にアユカは喜ぶ。 楓の浴衣は、地は紺色。裾に蛍をイメージした白い柄が数点、彩られている。 帯は灰色のシンプルなもの。シンプルさを活かすように、浴衣の生地は木綿糸を織ったコーマ地が使われていた。 「やっぱり様になっててかっこいいね……! 隣を歩くのが誇らしいよ~」 (誇らしいのは私の方です。アユカさん) アユカの浴衣姿が予想以上に可愛らしくて戸惑う楓は、口には出せなかったが心底思う。 アユカの浴衣は、白地に薄紅と薄紫で彩られた桜柄。 生地は涼しさを感じさせてくれる木綿織物の綿紅梅(めんこうばい)。 帯は赤色。 (わたしは……似合うかなあ) 不安になるアユカだが、楓にとってそんなことはありえない。 とはいえ、そんなアユカの機微に気付いて言葉をかけてあげられるかは別問題だが。 「どこを回って宣伝しましょうか?」 生真面目に言う楓にアユカは笑顔で返した。 「せっかくだしニホンのお酒を飲んでみたいな」 これに楓は苦笑しながら返す。 「ニホンの酒は、弱いあなたにはあまり勧められませんが……一杯だけですよ?」 「大丈夫、今日はそんなに酔うつもりないから」 そして向かった先で恋人一杯無料サービスが。 アユカは否定の言葉を返そうとしたが慌てて飲み込む。 (……今日くらいは、いいかな) 返す言葉を探して黙ってしまっている楓を誘うように引っ張ってお酒を楽しむ。 ほろ酔いになった頃、短冊を。 【かーくんともっと理解し合えますように】 短冊に書き飾ったアユカは楓に尋ねる。 「かーくん、なんて書いたの?」 「……秘密です。願いは、知られると叶わないといいますので」 「そっか……じゃあ見ないように吊るすね。二人とも叶うといいね!」 笑顔を浮かべるアユカに楓も小さく笑顔を浮かべ返し短冊を飾る。 【彼女が記憶を取り戻しても、笑顔であるように】 その願いが叶うと良い。 そう思える2人だった。 ○ほのかな気持ち 夕方の6時ごろ。『藤葉・宮野(ふじは・みやの)』と『アメジス・ローザ』の2人は、リュミエールストリートを訪れていた。 「浴衣、よく似合うね。藤ちゃん」 アメジスは藤葉の浴衣姿を褒める。 彼女の浴衣は、白地に紫で藤の花のデザイン。そして帯はピンク。 浴衣の生地は、さらりと涼しげな着心地の綿紅梅(めんこうばい)が使われていた。 「あ、有難うございます!」 アメジスに褒められ、藤葉は喜ぶ。 その姿にアメジスは、自分だけが見ていたいと思ってしまう。 (……独り占めしたいなんて思うのは何でだろう?) 自覚できない気持ちを疑問に思うアメジスに、藤葉は彼の浴衣姿を褒める。 「アメジス兄様も、よくお似合いです」 アメジスの浴衣は、上が白で下に行くにつれて紫に代わり、帯はグレー。 浴衣の生地は、柄のないシンプルな物なので木綿糸で織られたコーマ地が使われている。 落ち着いた雰囲気があり、穏やかなアメジスの雰囲気とよく合っていた。 「ありがとう。藤ちゃんがデザインしてくれたものだから、気に入ってるよ」 2人が着ている浴衣は、お互いがデザインした物。 話し合った訳でもないのに、2人が浴衣で寄り添うと、2人でひとつであるようなお揃いの風情がある。 それが余計に、2人にとっては嬉しいことだ。 「……デザインに藤の花を選んで下さったの嬉しいです」 「藤ちゃんの名前は花からきてるって前に聞いたから調べたんだよ。素敵な花だね」 藤葉は、アメジスが自分のことを気にかけ調べてくれた事を知って、嬉しさと恥ずかしさを感じてしまう。 そして改めて自覚する。 自分は、アメジスのことを想っているのだと。 (アメジス兄様はたまにズルいです……) はにかむように、ほんのりと頬を赤くする藤葉に、余計に独り占めしたい気持ちが湧いてくるアメジスだった。 そんな気持ちを抱えながら、2人は散策に。 会話を重ねながら、ゆっくりと見て回る。 道中、カフェテリア「アモール」に。 ラテアートを頼むと、店主が2人を見て趣向を凝らす。 「アメジス兄様、藤の花のラテアートですよ」 「僕のは、笹の葉だね」 藤葉の物は浴衣の柄を見て、アメジスの物は七夕にちなんだ物を作ってくれた。 そしてアモールでゆったりと時間を過ごし、暗くなり星が出始めたらオルヴワルへ短冊を飾るために移動する。 2人は想いを込め、短冊に願いを書き記す。 「何を書いたの?」 アメジスの問い掛けに藤葉は、はにかむような笑顔を浮かべ返した。 「……内緒、です」 そして2人は短冊を飾る。 【これからもアメジス兄様のお側に居られますように】 【(大事な子を守れますように】 お互いを大切に想う気持ちを、短冊に込める2人だった。 ○凝った浴衣で散策しよう パリの風でデザインに悩みに悩んだ浴衣を着て『ショウ・イズミ』と『ミニュイ・メザノッテ』はリュミエールストリートを訪れていた。 「パリの風も凄いわねぇ、こ~んな凝った絵、手がけてくれるなんて」 「正直、自分でも驚いている。……って! あんたも変わらないだろ」 ミニュイとショウは、お互いがデザインした浴衣を見て驚きの声を上げる。 「無理を承知で考案したが、ここまで作ってくれるとは思わなかった」 ショウの言葉通り、よくぞ作ったというほどの出来だった。 ショウの浴衣の地は濃紺。星空を模した白の点描がされ、流星群を模した薄らと左下へ引く斜線が引かれている。 共衿には流れる天の川が描かれ、浴衣と同色同模様の帯と共に映えていた。 そこに共衿を挟んで、お互いを求めるように一歩駆け出す彦星が右に、織姫が左に、お互いが向かい合うように描かれていた。 合わせて小物も浴衣と同柄の巾着。縹色の鼻緒と黒の下駄という出で立ちだ。 対してミニュイの浴衣は、浴衣の地は赤みがかった黒。 星空を模した白の点描と飛び交う無数の蛍が描かれている。 天の川が映る共衿を挟んで、互いに誰かを想う様に空を見上げ背き合う彦星が右に、織姫が左に描かれていた。 帯は橋を模した柄。 小物に浴衣と同柄の巾着と、赤い鼻緒の黒の下駄。 どちらも絵柄の強さに負けないよう、絹紅梅(きぬこうばい)の最高級品が使われていた。 完全に採算度外視の品である。 それだけに、それを着た2人が歩くと注目の的になる。 「ショウ。みんなに見られてるわよ」 「あんたもだろ!」 オルヴワルの人達の目にさらされて、けれど隠れるようなことはしない。 むしろ人目を引くように堂々としている。 元々、なにがなんでも見て貰いたかったのだ。 注目の的になれれば望み通り。 欲を言えば、絶賛し話を広めてくれると有難い。 そうして歩く中、同じ指令を受けた他の浄化師達を見ることも。 「ああいうのも良いな」 「かわいいのも、落ち着いたのも良いわねぇ」 それぞれの良さを確認しながら、十二分に宣伝になるほど歩いて回る。 ふと気付けば、日も暮れて。 短冊を飾りに行くことに。 【浄化師として貢献して死にたい】 自分の覚悟と想いを込めるような願いを記したショウは、ふとミニュイのものを見る。 【今度こそ、ショウと一緒に死ぬ】 「ったく、俺はここにいるだろ」 ショウの言葉に、小さく笑みを浮かべて返すミニュイだった。 こうして浴衣のデザインと宣伝をしつつ、七夕を過ごした浄化師であった。
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*** 活躍者 *** |
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該当者なし |
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[8] アユカ・セイロウ 2018/07/04-23:04
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[7] 碧希・生田 2018/07/03-21:44
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[6] アーカシャ・リリエンタール 2018/07/03-17:36
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[5] ミニュイ・メザノッテ 2018/07/02-19:48
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[4] 藤葉・宮野 2018/07/01-14:21
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[3] 明智・珠樹 2018/06/30-23:07
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[2] ラウル・イースト 2018/06/30-18:23
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