~ プロローグ ~ |
ここは常夜の国シャドウ・ガルテン。 |
~ 解説 ~ |
●目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
お久しぶりです。または初めまして。ozと申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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■選択肢1、4 今年はちゃんと服も借りるぜ! って言ってもよく分かんねぇなぁ…何着たらいいんだ? ニア達に聞いてみるか! 屋台がたくさんで目移りしちまうな…! 黄金の果実酒は絶対飲むとして、妖精達注目のポムドールのパフェも外せねぇ! ルーノ:食べて飲んで更に甘い物かい? ナツキ:だって絶対美味いぜ?俺が食べ物で外した事ないだろ! ルーノ:…それは、確かに ルーノも楽しんでるみたいだ こんな風にルーノが気を楽にして過ごせる場所がもっと増えればいいのに 祭りは今夜で終わりだし…名残惜しいよなぁ ルーノ:また、来年もここに来ようか。君の気が向いたら、だが… ナツキ:ホントか!?絶対な、約束だからなっ! ルーノ:…全く大げさだな |
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※アドリブ歓迎します 3 どう?ララエル、衣装は決まった? うん、凄く似合ってる。まるで夜空の妖精みたいだ。 僕はあまりワルツを踊ったことがなくて… 上手くリードできなかったらごめんね。 (早速ララエルの足を踏む) うわっ、ごめんララ、怪我は…切り傷ができてるな… ニア、近くにいる? 応急処置用具かなにか置いてない? (応急手当しながら) ごめんよララ…後でポムドールを一緒に食べよう。 |
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ベ またここに来られて良かったな ヨ ええ 今回はどう過ごし… ベ お 今年のポムドールのいい匂いが ヨ ちょっと 待ってくださいっ 美味しそうな匂いに誘われそのまま屋台へ ポムドールのパフェにそれぞれ 赤ワイン 葡萄のジュース 飲み物に関してはすっかり馴染んだ「いつもの感じ」 パフェに舌鼓を打ち 街の特別な日の景色を眺めながら この間勧めた本はどうだったなんて話で盛り上がる 喰人の読み書きは既にヨナが教えなくともよい程で、 共通する話題が出来た事でやや白熱するやり取りもする程(推しへの解釈違いとかそんなレベルの そんな話に熱が入り始めた頃 妖精達がわっと押し寄せテーブルが賑やかに そうだ ニアさん達が読むような本も見せて貰えませんか? |
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3 ワルツに映えるような裾の広いドレスをレンタル 今回は、ちゃんとトールがリードできるよう合わせて踊る 夢中になって踊っていたら、いつの間にか煙のベールで囲まれていて トールの掌の感触に動きを止める もしかして、妬いてたの?相手は女の子だったのに そうなんだ、ふうん… おかしくなって笑い出し 気づくとトールの顔が近くまで来ていて この後起こることを予想して静かに目を閉じる 感触の残る唇に軽く指で触れ 当たり前でしょ というか、ここまでしておいて「恋人じゃない」なんて言ってたら ぶっ飛ばしてるところだったわ ええ、私も…トールが好きよ さあ、もっともっと踊りましょう 夜はまだ長いんだから もう一度トールの手を取り、優雅にステップ |
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…貸衣装? 気乗りしないな はあ…分かった分かった、だから騒ぐな …アンタ、女装でもしてみるか?(冗談) …ま、冗談だ。だから後ずさんな アルトナ衣装『全体的に白系のスーツ』 やばいはもう聞いた(目にかかる長さの前髪を払いのけ) 2 シャドウ・ガルテンは慣れないとこだけど、町全体を見ると…悪くない …そうかもな シキ、もう良いから行くぞ …愛しいパートナー? 誰のこと言ってんだアンタ? シキのブーイングを背で聞き流し 偶然、目に入った星のランタンにぽう、と見惚れ …ああ…(見惚れてるのでから返事) …アンタ、何やってんだ? 状況を理解して、振りほどこうと考えたがまあ良いかとされるがまま …ん? …いや、待った 誰が『お姫様』だ、誰が |
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金糸で植物の刺繍がされた 淡い空色のシフォンドレス 髪は金のリボンと編みこみ 頭部に巻く 淡い紅色のグロスをひいて 少しおめかし 気付くかなと 頬を染めて彼の元へ …どう、かしら? 3 煙の帳の中 始まる音楽に目を輝かせる 冬を越えるためのお祭り… こんなものがあるのね まるで夢の中のよう 名前を呼ばれ 振り返る ほんの少し緊張した彼の顔に 目を見張って …いいの? こういう場が得意でないことを知っている 自分に触れることさえ 躊躇う時があることも だから伸ばされた手が嬉しくてて 蕩けるような笑顔に ありがとう!とっても嬉しい 花の香りがする わたしたちの香りもあるかしら 冬の寒さも厳しさも超えて 優しい春が来ますよう ーね シリウス 来年もよろしく、ね? |
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街の飾り付けや賑やかさに目を瞠りほぅっと溜息 とても、綺麗です、ね… え、着替える、のですか? じゃあ、その……クリスに選んで、ほしい…です はにかんで若干赤くなり 紫色に薄紫のオーガンジーのような薄布が重なったドレス 私の、好きな色… はい……喜んで 差し出された手に自分の手を重ねて クリスは、どうしてそんなに、私のことが分かるのでしょう… 不思議です ワルツを踊りながら呟けば、返ってきた答えに首を傾げて だって、私、ずっとクリスを見てましたし… クリスも、私、を… …………(嬉しすぎて言葉にならず) あ、はい…!妖精さん、気になってたんです ほんとに、何でもお見通し、ですね 妖精さんには、素敵な夜のお礼を言わなきゃ、ですね |
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まさかの合うサイズなしとは! まぁ、僕の服はいつもオーダーだからね!仕方ないね でもラベンダー色の蝶ネクタイとポケットチーフと髪を結ぶリボン借りた 「カグちゃんは何着たってかわいいよ」 慣れないハイヒールにふらつく彼女にそっと腕を差し出し 「さて、どうしようか僕のお姫様?」 確かに、今日限定の言葉はそそるね 料理好きとしては是非ポムドールで何か作ってみたいけど… さて、ダンスだけど 「何時呼ばれても良い様にって、練習させられたね~」 小さい頃は戸惑ったけど習っておいてよかったよ ダンスの振りを利用してカグちゃんを抱き寄せて、口付ける 妖精がどこかで見てるだろうけど 僕は何時だってこの想いを伝えたい 愛してるよ、僕のお姫様 |
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~ リザルトノベル ~ |
●『ルーノ・クロード』『ナツキ・ヤクト』 「うーっ……ひでぇ目に遭った……」 「それ去年も言ってなかったか? 結局今年もこうなったか……」 ナツキは呻き声のような声を上げる横で、ルーノは達観気味に苦笑いする。 去年は普段着のまま参加する、とニア達の前で言ってお洒落心に火を付けてしまったナツキだが、今年はその反省を生かし、盛装で参加する事に決めていた。いざ沢山ある服を前にしてナツキは首をひねる。 「うーん、ニア達に聞いてみるか!」 ルーノが口を塞ぐ暇もなく、獲物を手ぐすね引いて待っていたニアを含めた妖精達が押し寄せた。その光景に既視感を覚えながらルーノも巻き添えに服選びが始まった。 妖精が選んでくれたスーツは確かに二人に似合っていた。 ルーノはラフでありながら上品な雰囲気際立つネイビーストライプのダブルスーツに同色のタートルニット。 一方のナツキはダークカラーを基調に千鳥柄のタキシード。遊び心のある赤をアクセントに取り入れたネクタイとベスト。そして宝石を一粒星に見立てた色違いのカフスリンクス。 ナツキが落ち込んでいたのも束の間、 「屋台がたくさんあって目移りしちまうな……!」 美味しい匂いに元気を取り戻し、あちこちを見渡し始めた。 「黄金の果実酒は絶対飲むとして、妖精注目のポムドールのパフェも」 「今年も食べて飲んで更に甘いものかい?」 「だって絶対美味いぜ? 俺が食べ物で外した事ないだろ!」 「……それは確かに」 思わずルーノも納得してしまう。 今年は国交が開かれた影響か料理の手法も新たなものが取り入れられ、さらなる発展を遂げていた。もちろん昔ながらの料理もあるが、先進的な出店も少なくない。まだ少量しか作られず販売前のポムドールのエールも飲むことが出来た。 「料理も美味いし、今年の果実酒も最高だな! 飲み過ぎって? わ、分かってるって!」 ルーノは祝祭だから大目に見ると仕方なさそうに溜息を付いているが、その表情は柔らかい。 (ルーノも楽しんでるみたいだ。こんな風にルーノが気を楽にして過ごせる場所がもっと増えればいいのに。祭りは今夜で終わりだし……名残惜しいなぁ) 「また、来年もここに来ようか。君の気が向いたら、だが……」 「ホントか!? 絶対な、約束だからなっ!」 「……全く大げさだな」 酔って顔を真っ赤にしたナツキが嬉しそうにしているのを見て、ルーノは口元にうっすら苦笑を乗せる。 来年の誘いを持ちかけたのは、名残惜しいとナツキの顔に書いてあったからだ。それに自分もまた同じことを考えていた。 ナツキは幸せそうに最後の一杯を呷ると、来年の約束に今から胸を期待に膨らませる。ルーノから誘ってくることなんて滅多にない。 新たな約束を胸に香炉から春を待ちこがれるような香りが漂ってきた。 ●『ヨナ・ミューエ』『ベルトルド・レーヴェ』 「お、今年もポムドールのいい匂いが……」 「ちょっと、待ってくださいっ!」 ベルトルドが美味しそうな匂いに誘われて先に歩き出してしまう。ヨナは慌ててベルトルドの後を追いかける。 「食べに行くなら食べに行くと言ってください!」 「まぁ、そう怒るな。俺の鼻も捨てたもんじゃないだろう」 テーブルの上にはニアおすすめのポムドールのパフェが二つあった。 ヨナは葡萄ジュースを片手に、ベルトルドはホットワインを飲みながらパフェに舌鼓を打つ。 黄金の果実に見立てた自家製ムースがパフェの一番上に乗っているのが可愛らしい。その正体はポムドールの果汁たっぷりの甘酸っぱいとろけるムース。芯の部分にはキャラメリゼしたポムドールが入っていて絶妙な歯ごたえが新たなハーモニーを生む。 二人が無言で味わっていると、ニアを含めた妖精達がわっと押し寄せ一気にテーブルが賑やかになる。 「ニアさん、良かったら一緒に食べませんか?」 「あら、いいの? 折角だしお邪魔させてもらおうかしら」 ――じゃあ、例のパフェちょっと買ってくるわ。御願いね。どれにしようかな。 妖精達が好き勝手に動き出し始め、ヨナは妖精達が食べやすいように切り分けている。 「そう言えば、ピクシーが読む本を見せてもらいたいって言ってなかったか?」 「ああ、ここに来る前に話してましたね」 ベルトルドの努力の賜物か、ヨナが読み書きを教えなくてもいいレベルまで上達し、最近では本について語り合うほどだ。白熱するやり取りの間でそんな話が出たのだ。 「月夜の妖精は本を読まないわ。活字自体が苦手だから、口承文化なのよ」 「何かに記したりすることはないんですか?」 本好きのヨナとしては驚きであると同時に、豆本を読む妖精達を想像していたので残念だった。 だから香のレシピも記憶頼りで同じものが作られる事は少なかったのだ。ヨナは話を聞いていて妖精はディスレクシアなのではと思った。 ヨナは不意にベルトルドの方を見ると、口の端にクリームがついているのに気付いた。 ここについてますよ、とヨナがジェスチャーで教えるとベルトルドは猫科の動物がやるような舌でぺろりと口周りを舐めてしまった。 ベルトルドはやってしまったから「あ」という表情を浮かべる。 「……何だ、その意外そうな目は」 完全に気を抜いていた。人前ではこういう仕草をしないよう気をつけていたというのに。 「勝手に悶えるな。こっちが恥ずかしくなる……全く、俺を何だと思ってるんだ……」 悪態を付くが、ヨナもニア達も完全に可愛いものを見る目をこちらに向けるだけ。ベルトルドは追加のワインを頼んで呷る些細な抵抗しか出来なかった。 ●『アルトナ・ディール』『シキ・ファイネン』 「貸衣装だって! アル!」 「……貸衣装? 気乗りしないな」 貸衣装店を見つけてはしゃぐシキを横目にアルトナは巻き込まれたくないとばかりに通り過ぎようとする。 「えー鉄道のときは俺だけ黒猫ちゃんになったんだぜ? 今度はアルも!」 「はあ……分かった分かった、だから騒ぐな」 ハロウィンの仮装の時も断った話を持ち出されては分が悪い。アルトナは大きな溜息を吐き諦めた。 「アル、やばいかっこいいやばいめっちゃ王子様!」 黄色い歓声上げるシキをアルトナは冷たく一瞥する。それすらも今の彼には様になっていた。 全て白で統一された清廉さ漂うスーツ。無駄のないデザインはアルトナの存在感を一際際立たせていた。唯一色味を持つ夜空のクロスタイが鮮やかな彩りをもたらしている。 「……ヤバいはもう聞いた」 アルトナは目にかかる白銀の前髪を払いのける。するとシキのテンションがさらに上がった。 はしゃぐシキもアルトナと正反対の黒の盛装をしていた。美しい艶と質感を持つブラックスーツに洒落た緑のペイズリー柄のネクタイ。月のような金のタイバーがさりげなく艶を与えている。 「シキ、もういいから行くぞ」 「そーだなー、よっし! 星の道も見に行くぞ。アル、こーいうの好きだろ?」 いい加減置いていこうかとアルトナが考えていると、 「息抜きにはもってこいだろ? 最近、気ィ張る指令もあったしさ」 シキが腕を伸ばしながらにっかりと笑う。 「えー最後までいとおしいパートナーのお話聞いてよー」 「……愛おしいパートナー? 誰のことを言ってんだアンタ?」 「酷いー塩対応だーもっと甘々な砂糖対応してよー」 アルトナの言葉にシキは口を尖らせる。 二人揃って貸衣装店から出て少し歩けば、星の道が広がっている。どの星のランタンも作り手の個性が出ており、見ていて飽きることがない。 突然足を止めたアルトナにシキは声を掛けるが、 「……ちょい、アル? 急に立ち止まって歩かないの?」 「……ああ……」 明らかに上の空の返答が返ってくる。 最初は星に見とれているなんて可愛いじゃん、と微笑ましく見守っていたシキもいつまで経っても動かないアルトナに焦れてくる。 「あーもうっ! ほら、歩け歩け」 アルトナの腕を掴み、強引に歩かせる。星が好きなのは知っていたが、これはシキも予想していなかった。 「……アンタ、何やってんだ?」 星をひたすら見続けたアルトナはようやく状況を把握する。振りほどこうとも考えたが面倒くさくなり、シキに成されるがままだ。 「何って、エスコート。ぽやっとしたお姫様の」 「……ん? いや、待った誰がお姫様だ、誰が」 「おー大成功。やっとこっちを見たなアル!」 してやったりと笑うシキにアルトナは呆れたように溜息を吐いた。 ●『リコリス・ラディアータ』『トール・フォルクス』 「ドレスの感想は? 何もいってくれないの」 「え、あ、リコすっごく綺麗だ……」 トールは顔を赤く染めリコリスに見惚れたままやっとのことで言葉を紡ぐ。リコリスは花が満開に咲き誇るように笑った。 深みのあるワインレッドのドレスを覆うように透けるような黒のレースとオーガンジーを贅沢に重ねた事で夜に浮かぶアンタレスのように彼女は一際輝いていた。 「トール、踊りましょう!」 「……お手柔らかにな、リコ」 リコリスがエスコートするように手を伸ばし、トールが手を重ねる。 ダンスに不慣れなトールをリコリスがリードし、大胆で軽やかに、されど優雅にステップを踏む。ワルツに映えるドレスの裾が大きく膨らみ、深紅の花が咲いたようだった。 夢中で踊る。音楽に身を委ねて。まるで互いしか見えないように。 気が付けば雪のように煌めくベールに包まれて、ステップを踏めば黄金と白銀の光がタイルから舞い散った。それは黄金の枯れ葉の中にいるようにも月輝花の花畑で踊っているようにも感じられた。 煙のベールに包まれて、二人っきりで踊っているような気分。 そう思うと幸福に酔いしれると同時に独占欲にも似た何とも言い難い感情が沸き起こってくる。 トールはスターリー・ナイトが始まる前、仲間の浄化師にリコリスの顔が触れられていたことを思い出していた。 リコリスは頬に感じるトールの掌の感触に足を止め、 「もしかして、妬いてたの? 相手は女の子だったのに」 「……女の子でも、妬くんだよ」 トールの拗ねた声にリコリスはおかしくなって笑ってしまう。 「そうなんだ、ふうん……」 「リコも『こういうのは恋人の距離感だ』って言ってただろう?」 恋人の、と口に出してから改めてトールは意識してしまう。 凄艶な月の香りとこの雰囲気に酔ったと言い訳しながら、トールはリコリスの柔らかな微笑に吸い寄せられるように顔を近づける。吐息がかかる距離になり、自然と互いに瞼を閉じた。 瞬く間、触れた唇はすぐに離れる。 二人は視線を交錯させたまま暫くの間、動かなかった。 「……俺達、ただのパートナーじゃなくて恋人になれるかな?」 リコリスは名残惜しげに感触の残る唇に指を触れ、 「当たり前でしょ。というか、ここまでしておいて『恋人じゃない』なんて言ったら、ぶっ飛ばしてるところだったわ」 リコリスは腰元に手を当て、トールの不安を吹き飛ばした。 「はは、確かに君ならそう言うよな。それじゃあ改めて……好きだよ、ララ」 「ええ、私も……トールが好きよ」 その真面目くさった顔が崩れるのを見てリコリスは艶やかに笑う。 「さあ、もっともっと踊りましょう。……夜はまだ長いんだから」 もう一度トールの手を取ると、二人は踊り始めた。 ●『アリシア・ムーンライト』『クリストフ・フォンシラー』 どこもかしこも町は星月夜だらけ。菫色の羽根をした妖精が燐光を散らしながら夜空を飛んでいく。 星のランタンが案内するように灯りを付け、妖精も人も関係なく祝祭を楽しんでいる。 「とても、綺麗です、ね……」 「そうだね、これは凄いなあ。楽しそうだ」 感嘆の溜息を吐くアリシアに同意しつつ、 「折角だし、星月夜のドレスを借りて着替えない?」 「え、着替える、のですか?」 クリストフが楽しげに微笑みながら提案すると、アリシアはゆっくりと首を傾げた。 「じゃあ、その……クリスに選んで、ほしい……です」 アリシアは頬を朱に染めはにかみ、おずおずとクリストフを窺うように見上げる。 「ん? 俺が選んでいいの?」 アリシアが小さく頷く。それを見てクリストフは嬉しそうに笑った。 貸衣装店でクリストフは彼女が好む色と似合いそうなドレスに加えて月色のサッシュベルトやネックレスを選び手渡した。 「私の、好きな色……」 アリシアはクリストフが選んだドレスに着替え、鏡の前で呟いた。 濃色の上に淡色のオーガンジーが何層にも重なりグラデーションがかった藤色のドレス。 ウエストには月色のビジューが施されたサッシュベルトが全体を引き締める。月に照らされた小枝のネックレスが目立ちすぎず華やかだ。 「俺の見立ては正しかったかな? 綺麗だよ、アリシア」 「……ありがとう、ございます、クリス」 振り返ったアリシアは頬を朱に染めながら照れたように微笑む。 「それでは姫、お手をどうぞ」 「はい……喜んで」 にっこりと笑って差し伸べられたクリストフの手に自分の手を重ねた。 地にも天にも星が溢れる中、煙の帳が降りた広場までそのままクリストフにエスコートされる。 ベールに足を踏み入れると月と星の粒子が舞い散る。白いベールに包まれながら二人はワルツを踊りだす。 「クリスは、どうしてそんなに、私のことが分かるのでしょう……不思議です」 ワルツを踊りながらアリシアが呟けば、 「分からない? アリシアだってこの頃、俺の事よく分かってるだろ? 何か誤魔化そうとするとすぐ見抜かれるし」 返ってきた返答にアリシアは不思議そうな顔をした。 「だって、私、ずっとクリスを見てましたし……」 「うん、同じだけ、俺も君のこと見てるって事だよ」 クリストフの言葉が嬉しくて言葉にならずアリシアは黙り込んでしまう。そんな彼女を優しく見つめるとクリストフは微笑む。 「音楽が止まったら妖精の所に行ってみようか? 話してみたいだろ?」 「あ、はい……! 妖精さん、気になってたんです。ほんとに、何でもお見通し、ですね」 クリストフはアリシアの返事に内心ホッとするが表情には出さず口元に微笑を浮かべる。 アリシアはワルツを踊りながらこの素敵な夜をもたらしてくれた妖精に感謝するのだった。 ●『リチェルカーレ・リモージュ』『シリウス・セイアッド』 優美な黒い獣のようでいて、夜会めいた装いをしたシリウスが静かに佇む。 アイスブルーのシャツに艶やかな紺色の盛装。首元には青い石のループタイが星のように輝いている。 彼の待ち人がすぐそこまでやってきていた。 シリウスはリチェルカーレの姿を見て瞠目した。 肌にそっと馴染むドレスはよく見れば白にも見えるシフォン生地を幾重にも重ねることで空色に見せていた。透けるようなシフォンの奥を覗けば、金糸で月輝花が刺繍されている。 星の光を浴びた月輝花を薄布越しに見ているような得もいえぬ美しさ。 髪は満月のチュールリボンで編み込み、ドレスによく映えていた。 「……どう、かしら?」 星のランタンに照らされた彼女は月輝花のように手折れない花だった。 いつもより赤く色づいた唇と、はにかんだ笑顔からシリウスは耳元が熱を持ったように赤くなった。 「――……似合ってる」 かろうじて言えた一言にリチェルカーレは花開いた笑顔を浮かべた。シリウスもまた表情を緩めた。 煙の帳が降りる。雪がはらはらと降り積もるように淡く白いベールに包まれていく。ベールの向こう側とこちら側では世界が隔離されているようだった。ベール越しに妖精の影が燐光を放って通り過ぎていく。 リチェルカーレは御伽噺のような光景に目を輝かせ見入る。 「冬を乗り越える為のお祭り……こんなものがあるのね。まるで夢のよう」 シリウスに名前を呼ばれ、リチェルカーレは振り返る。 「……踊る、か?」 「……いいの?」 少し緊張した彼が上手く踊れはしないけれど、と手を差し伸べてくる。 シリウスがこういう場が得意ではないことを知っている。自分に触れることさえ躊躇う時があること。今も少し震えている指先は自分を傷つけたくないと思っている証拠だと言うことも。 だからこそ、差し伸べられた手がどれほど勇気のいることだったか知るからこそ、 「ありがとう! とっても嬉しい」 リチェルカーレは蕩けるような笑顔を浮かぶ。 シリウスにとって眩いほど美しい笑みに息を呑む。触れていいのかと恐れた心をいつだって掬い上げるのは彼女だ。 もし光の象徴があるのだとしたら、自分にとってはきっと彼女だ。 「花の香りがするわ。私達の香りもあるかしら」 風に運ばれ春の花の香りが夜を満たしていく中、彼女の声が響いた。 「冬の寒さも厳しさも越えて、優しい春が来ますように……ね、シリウス。来年もよろしくね」 月の雫が弾ける中、リチェルカーレの無垢な眼差しが向けられる。 「……こちらこそ、よろしく」 シリウスは少し目を見張った後、小さく頷く。 側にいるのが俺でいいのか、と沸き上がる気持ちに蓋をしたまま。 そっと瞼を閉じるように花の香りが音もなく沈んでいった。 ●『ラウル・イースト』『ララエル・エリーゼ』 「ええと、……ええと、青と黒を混ぜ合わせたような色のドレスで、すそのところに星空を散りばめた衣装、ありませんか?」 ララエルの望み通りの衣装を着て鏡の前でくるりと回る。 瑠璃で紡がれたようなドレスは大人っぽさが漂う。けれど、このドレスの美しさは幻想的なまでの儚さだ。 「どう? ララエル、衣装は決まった」 試着室の外からラウルの声が聞こえて、ララエルはカーテンから恐る恐る姿を現す。 「ど、どうですか? ラウル……」 「……うん、凄く似合ってる。まるで夜空の妖精みたいだ」 ラウルは一瞬息を呑み、それを隠すように微笑んだ。 「本当ですか!?」 そんな風に誉めてもらえると思っていなかったララエルの声が上擦るように高くなる。 「も、もう妖精だなんて言い過ぎですよ」 嬉しくて、笑みが浮かぶのを止められない。立派なレディに見た目だけでもなれた気がして、ララエルは浮き足だった。 広場では香炉から煙がたなびき、奥にある楽団が音楽を奏でる。 「ワルツか……」 「どうしたんですか、ラウル?」 「久しぶりのワルツだから……上手くリードできなかったらごめんね」 「大丈夫です、私も踊った事はありませんから!」 ラウルが自信なさげに笑うと、ララエルは逆に胸を張って言う。 「それにこんな雪みたいなベールの中にいるんです、きっと大丈夫ですよ」 去年とは反対にララエルが励まし、ラウルの手を握りしめる。ラウルは元々器用な方ではない。戦闘同様にダンスだって努力の末に習得したものだが、ずっとやっていなければ動きを忘れていく。 真冬の落葉樹の香りがラウルの心を落ち着かせ、ぎこちないけれどララエルをリードして踊り出す。 それでもララエルは楽しそうでホッとする。意外と身体は覚えているものだと油断した瞬間、足を踏んでしまう。 「うわっ、ごめんララ。怪我は……赤く腫れてるな……」 腫れた足からヒールを脱がせると、慣れない靴を履いたためか靴擦れの痕が見えた。 「ニア、近くにいる?」 周囲を見渡すと、淡い光の中からニアが現れた。 「ここよ、怪我したのね。あっちに休憩所があるわ、運んで上げて」 「大丈夫ですよラウル、ニアちゃんも妖精さんもありがとうございます。でも、このくらい……――」 無理に立とうとして倒れるララエルを抱き留め、強引にお姫様抱っこして運ぶ。 ニアを含めた妖精達の手伝いもあって応急手当も早々と終わったが、これ以上のダンスはできそうになかった。 「ごめんよララ……後でポムドールを一緒に食べよう」 「ラウルったら甘いものを食べる気ですね。とーにょーびょーになっちゃう……ううん、でも今日は星の祝祭だから特別ですね」 ララエルは落ち込むラウルごと抱きしめるような笑顔で励ます。 ●『ヴォルフラム・マカミ』『カグヤ・ミツルギ』 「まさかの合うサイズなしとは!」 ヴォルフラムの声が貸衣装店に響いた。 「まぁ、僕の服はいつもオーダーだから! 仕方ないね」 妖精達はぐぬぬと言わんばかりに悔しそうな顔をしている。 ――それならアクセサリーよ。アクセサリーならサイズなんて関係ない! 妖精達は様々な男女両方のアクセサリーを持って来て見せる。 「カグちゃんのドレスが見つかったから僕は気にしてないんだけど……」 ヴォルフラムは妖精達の熱意に押し負け、ラベンダー色の蝶ネクタイにポケットチーフ。髪を結ぶ為のリボンの他にもいくつかの品を選んだ。 そうしている内にカグヤが試着室から出てきた。 淡いラベンダーのドレスは夜空のオーガンジーリボンがアクセントとなり、裾に掛けてふんわり広がる。星をモチーフにした陰気の魔結晶がスカートに施され、ウエストからグラデーションに消えていく。ドレスより少し濃いレースのケープが上品だ。 「似合ってる、かな?」 「もちろんカグちゃんは何着たって可愛いよ」 いつもと変わらないヴォルフラムの言葉に安心したようにカグヤは笑う。 「カグちゃんこれ……アクセサリーを渡し損ねてたからね」 「これって、ヴォルのブローチと一緒だね」 「うん、折角だからお揃いのものを選んだんだ」 ヴォルフラムの胸元には陰気の魔結晶を使ったシルバーのラペルピンがはめられていた。カグヤに渡されたイヤリングと同じデザインのものだった。 イヤリングを付ける途中、慣れないハイヒールでふらつく彼女にそっと腕を差し出した。 「さて、どうしようか僕のお姫様?」 カグヤも履き慣れていないヒールに不安を感じていたのかヴォルフラムの腕に掴まる。 「ポムドール食べて、……出来たら、ダンスしたい」 今日限定、は魅力的すぎるとカグヤが呟くとヴォルフラムも同じ気持ちなのか頷く。 「確かに、今日限定の言葉はそそるね。料理好きとしては是非ポムドールで何か作ってみたいけどね」 「ヴォルが作るものなら、なんだって美味しいと思う」 カグヤの言葉に嬉しさを隠しきれない笑みが浮かんだ。 腹拵えを兼ねて二人は広場でワルツを踊る。危うげなく、優雅に雪のベールの中を泳ぐようにステップを踏む。 カグヤは家の事情からワルツを嗜むよう言われてきただけあって、軽やかにターンする。 「座学と戦闘訓練に、ダンスのレッスンも入って、大変だったけど……」 「苦労した甲斐があったよね! 何時呼ばれても良い様にって、練習させられたね~」 カグヤの気持ちを代弁するようにヴォルフラムが踊りながら話す。 「カグちゃん……」 低い声で名前を呼んだヴォルフラムは、腰を引き寄せ不意打ちするよう口付けする。 「愛してるよ、僕のお姫様」 真っ赤に染まったカグヤを見てヴォルフラムが嬉しそうに笑う。
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*** 活躍者 *** |
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[11] リチェルカーレ・リモージュ 2019/12/20-22:50
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[10] ナツキ・ヤクト 2019/12/20-22:01
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[9] ララエル・エリーゼ 2019/12/20-20:47
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[8] クリストフ・フォンシラー 2019/12/20-18:47
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[7] カグヤ・ミツルギ 2019/12/20-16:10
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[6] ララエル・エリーゼ 2019/12/20-12:51
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[5] ヨナ・ミューエ 2019/12/20-09:52
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[4] シキ・ファイネン 2019/12/19-22:27
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[3] リコリス・ラディアータ 2019/12/19-22:11
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[2] ララエル・エリーゼ 2019/12/19-16:41 |