◆シュリロウハ、人の喜びって何かしらドラゴンが憧れる人の美しさ…わたしには、まだあまり実感できないけどわたし、物語を書くわあまり時間がないから、壮大なものは書けないけどでも、わたしが今まで生きてきて、人で良かったって思ったこと、できるだけ書き記すわロウハ、あなたの思う人の喜びも教えて小さな帳面に記した物語を、ネリネの花束と一緒に弔いとして渡す人間になったグレーテルさんと、いつか会えるといいな◆ロウハ人になりたかったドラゴン…かそうだな、俺は人の姿に生まれて良かったって思ってるお嬢が物語を書く手伝いをするぜ人の世界のことは、お嬢よりは知ってるつもりだネリネか…「また会う日まで」って意味だな
◆シュリ金木犀の香り…もう、すっかり秋ね浄化師になってから、半年近く経つのね…ねえ、ロウハここから、手分けして回らない?わたしがこっち、ロウハがあっちに行くの二人で回った方が効率いいでしょ?だって…わたし、一人でも大丈夫だものロウハに守ってもらわなくたって…本当はロウハと一緒にいたいでも、あなたを苦しめたくないから…◆ロウハそうだな気付けばすっかり秋だ空気も冷えて、星も高くなってきた…は?手分け?なんでだ?別にそこまで…そこでなんとなく気付いたお嬢が俺に気を遣ってることに…ああ、わかったよお嬢も随分自立心が芽生えたみてーだな、頼もしいことだぜ気をつけて…いや。お嬢なら心配しなくても大丈夫だな
ロウハが風邪…!こ、こういう時どうすれば…お父様と一緒に住んでいた頃…わたしが風邪を引いて寝込んでいた時、ロウハが看病してくれた今度はわたしが、ロウハのために…!「風邪にはお粥」「汗をかいたら拭く」「お薬飲ませる」頭に思い浮かんだ看病の定番を実行してみようお粥、作ろうとしたけど上手くいかなくて結局、梨を切って出すことにしたみずみずしい果物なら、風邪の時でも食べやすいと思って…もっと、料理の練習しておけばよかったわ汗をふくのもこれで大丈夫かでも、ロウハに心配かけるわけにはいかないから頑張るわ今まで、こんなことなかったのにわたしが、たくさん負担かけてきたから…体調崩してしまったのよね…ごめんなさい
◆シュリこの泉の中に大量のモンスターがいるなんて、怖いわねロウハの故郷にはこういう場所って少なかったでしょうえ?まさか、忘れちゃったの?もしかしてニムファの幻覚…!ロウハの故郷のこと…わたし、よく知らないわロウハ、何も話してくれなかったからただ、いい暮らしをしてなかったってことだけ…ロウハにとっては嫌な思い出のある場所かもしれないけど…!でも、きっと大事な場所のはずなのだから忘れちゃダメ…!◆ロウハ故郷?何のことだ?俺はずっとユベール様の家にいただろあー…忘れちまったのか、俺お嬢、俺の故郷ってどんな所だったんだ?そうか…話してねーのか変な話だが、俺らしいな悪い、お嬢思い出したら、いろいろ話すわ
「ロウハ、わたし小説を売ってみたいわ」「…は?」◆シュリな、なんてすごい人…!小説をいろんな人に読んでもらえるかもって思ったけど、わたし、場違いじゃないかしら…(そわそわ)ずっと席で接客誰かが来たらとても緊張しながら応対浄化師の人だったら来てくれてありがとう…!と喜ぶロウハ、わたし他の所も見てみたいんだけど……むー、わかった、おとなしくしてるわ面白いものがあったら教えてね◆ロウハいきなりこんなイベントに参加とか、大丈夫かお嬢は…基本お嬢の危なっかしい接客のフォローに回る他の所?ダメこんな人込み、絶対戻って来れねーだろうが何か欲しいものがあったら買ってきてやるから…ついでに飲み物でも買ってくるか