~ プロローグ ~ |
サンディスタム。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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エリクサー… 魔法の道具を作るたけだけに 100人もの子どもたちを? どうしてそんな酷いことを 静かなシリウスの声に こくりと ええ 誰も犠牲にしたくない 廃墟の外で 子どもたちを保護してもらえるよう事前に教団に連絡 できるだけ早く 安全な所へ逃がせるよう 何か乗り物があればお願いを 迎えの場所が決まれば 仲間にも周知 急襲班 禹歩七星をかけ 敵が入口に引きつけられている間に広場へ 広場へつけば魔術真名詠唱 リューイさんたちから注意を逸らすよう 積極的に九字と鬼門封印を 怪我をした仲間は 天恩天嗣3で回復 シリウスの後ろ 子どもたちの退路確保を最優先 狙う敵がいたら最優先で攻撃 マリーさん わたし達は貴女を殺す気はないの お願い 貴女と戦いたくない |
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子供たち、どれだけ怖いでしょう… 早く、助けてあげないと…無事におうちへ、帰してあげないと… 最初にみんなに集まって貰い、リチェちゃんと一緒に兎歩七星を全員に 一歩でも早く、子供達の所へ辿り着けるように 魔術真名詠唱 クリスや引き付け班のみんなと一緒に、目立つように広場へ向かって走る 戦闘時は中衛位置で回復役として傷ついた仲間へ天恩天賜2をかけ 回復が必要無さそうなら、九字の印で攻撃を 子供達が逃げたのを見て戻る夜明け団のメンバーがいれば、禁符の陣で足止め こちらへ来た25名が片付けば、中央へ応援に できればマリエルさんに声を 貴女は、本当は、こんなのイヤなんじゃ…? 誰も殺さないで、貴女も助かる方法、探しませんか? |
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奇襲組 敵を引き付けてくれている間に広場へ急ぎ、着いたら魔術真名詠唱 仲間の避難誘導をしやすくするためにマリエルを抑える 咄嗟にシャドウバインドを出させるように、リントの陰から飛び出し攻撃 シャドウバインドされたら、体力消費して抜け出し取り押さえようとする アンタにも事情があるのは分かった だが、俺を攫って実験に使おうとして、恐怖を植え付けたことも事実だ 俺は乗り越えなければいけない そのためにも、アンタには一緒に来てもらうぞ! 他の夜明け団と人形遣いへの対処は仲間に任せてマリエル捕縛に集中 俺からも話しかけて動きを止めようとする 俺が囚われたのは子供一人で脱出できるような場所じゃなかった 誰か細工した奴がいたはずだ |
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リューイ達に子供達の誘導お願いしますと頼み 奇襲班で行動 引き付け班が敵の相手をしてる間にうまく子供達との間に入り後ろから挟撃の形をとり 逃げ遅れた子供が居れば守る 子供達と敵を引き離したのを確認し人形遣いを見つけマリエルと仲間達のやりとりを邪魔させないように動く 挨拶がてらFN19で重い一撃を見舞い 続け様にJM11で追撃 以前とは違う腕が付いている事に警戒しながら更に追い 手を緩めない 少しでも意識を此方に向けるよう安い挑発 随分とあの少女にご執心のようですね もっとも あなたにとっては愛情や絆で繋がっているようには到底思えませんね 『自分の役に立たなければ捨てるればいい』 貴方にとってはあの少女もそうなのでしょう? |
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子どもたち全員の保護 そのために避難誘導をがんばろう 事前に本部と連絡 子どもたちを避難させる場所を確認 できれば広場からそこまでの経路も わかるといいんだけれど… 確認できれば仲間に周知 セラは魔術通信使用 つねにニコラさんと情報伝達 >行動 急襲班に同行 広場へいけば子ども達に紛れタイミングを見計らい避難誘導 リ:ついてきて セ:さあ、皆でいっしょに行きましょう リューイが先導セラが殿で 広場を出るまで 事前に決めていた場所(無理なら引きつけ班から遠い方)を伝え逃がす 最後の子どもが逃げたら そのまま道を封鎖 追手がかからぬよう 夜明け団が襲ってくれば魔術真名詠唱 飛翔斬で攻撃 セラは子どもをペンタクルシールドで庇いつつ カードで攻撃 |
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珍しいな、ヴィオラがそこまで怒るのは まあ確かに、子供ばかりを生贄とか、胸くそが悪くなるな 大人ならいいと言う物ではないが、 本当に人の血が流れてるのか、あいつらは こんな事をやらかす連中は叩き潰してやろう 速力を上げて貰ったら魔術真名を唱え 他の引き付け班のメンバーと共に広場へ 魔術通信は常に行えるよう気をつけ セシリアと連絡が取れるようにしておく 何かあれば皆に周知 派手に暴れた方が良さそうなので、向かってきた敵へは怒槌をお見舞いしよう ヴィオラやアリシア等、中衛の方へ向かおうという輩がいたら前に回り込んで止める 女を狙おうなど、させると思っているのか? こちらが片付いても中央がまだ戦ってるようなら、そちらへ行こう |
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「…お前が作っていた、という魔結晶モドキか」 戦闘中は無理があるが…出来る限り探してやろう 「…お前が祓魔人はエレメンツに限定したのは、これの為か」 …見つけたら知らせる 「全く、人使いの粗い相棒だ」 生きる為とはいえ、面倒な物を作るな 魔力探しの前に敵を始末する 魔術真名を唱えて敵を斬り伏せる 通常攻撃をしつつ、エッジスラストを使って攻撃 「オイこら相棒、少しは魔術使え!」 避けるしか能がないなお前は 合間を見て、魔力を見る カルタフィリスの女、人形遣い、そして魔方陣 メルキオスの陰の魔力がないか、見る 相棒の魔力を、見間違えない様私を相棒にした 暗い森のその向こう、得体の知れない影の様な魔力 探し出してやろうじゃないか! |
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サクラ:あらあらいっぱい敵がいる。 キョウ:敵を倒すではなく少年少女を助けるですよ。 サクラ:分かってるって。可能な限り助けるわよ。 キョウ:もちろんです! 【行動】 引き付け役 サクラ 子どもたちを追いかけそうな敵がいたらそこに向かって撃つわ 『リンクマーカー』で命中力を上げて通常攻撃 追いかけれない様に足を狙ったり攻撃できない様に腕を狙いたいわね。 一番カッコいいのはヘッドショットだけど キョウ 主にサポートをします。 やはり倒すではなく引き付けるですので長引くかもしれませんし。 やることは『天恩天賜』で仲間を回復。HPが低い人を優先します。 する必要がないときは通常攻撃。 サクラを庇えるような位置取りをしますね。 |
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~ リザルトノベル ~ |
○敵を引き付け倒せ! 生贄にされる子供達救出のため、浄化師達は班を分け動いていた。 ひとつは急襲班。禹歩七星により得た速さを最大限に使い移動している。 こちらは子供達を逃走させることを主体に組まれていた。 それを成功させるため、まずは『リューイ・ウィンダリア』と『セシリア・ブルー』が子供達との接触に動く。 「子供達の周囲に罠や逃走防止の魔術はないみたい」 「分かったわ。それも込みで連絡する」 リューイは魔力探知を使い確認したことをセシリアに告げ、セシリアは魔術通信により離れた『ニコラ・トロワ』に状況報告。 いま2人は、子供達のすぐ近くに居る。 だが終焉の夜明け団には気付かれていない。 これは事前に、セパルに魔法を掛けて貰えないか頼んだからだ。 魔力探知ですら確認できないほど強力な幻惑魔法により、2人の姿は見えていない。 しかしこの魔法は強力な反面制約も大きく、魔法を掛けられていない誰かに干渉しようとしただけで解ける。 つまり子供達に接触しようとしただけで、終焉の夜明け団に気付かれかねない。 子供達の周囲には終焉の夜明け団が居る。 今すぐ子供達に接触すれば見つかり囲まれてしまう。 だからこそ、終焉の夜明け団の注意を他に引かせる必要がある。 そのための引きつけ役と、子供達が捕らわれている広場への奇襲に仲間の浄化師は配置に就いている。 行動開始は、リューイとセシリアが情報を集め皆に伝え準備が整ってから。 そして準備は全て終わる。 「お願いします」 ニコラに連絡。 しばらくすると、引き付け班の動きに気付いた終焉の夜明け団の大半が、そちらに向かい手薄に。 ニコラから伝わる情報をセシリアは奇襲班に伝達。 個別の通信は集中が必要だが、敵に気付かれていない今なら大丈夫。 全てを伝え、奇襲班が動き出すのを待機。 「みんな、助けよう」 リューイの決意にセシリアは想いを込め返す。 「ええ。誰にも、命を好きになんてさせない」 ひとの命はエリクサーの道具なんかじゃない。 皆の命を守れるよう、最善を尽くそうとしていた。 それは他の浄化師達も同じ。 1人の犠牲も出さずに済むよう、引き付け役が動いていた。 「子供達が、そんなに……それも、意識がある状態で」 敵との開戦に向け走りながら『ヴィオラ・ペール』は、ニコラの魔術通信で伝えられた情報を聞いて憤る。 「珍しいな、ヴィオラがそこまで怒るのは」 いつにないヴィオラの様子にニコラは驚く。 「許せないんです」 怒りを露わに返すヴィオラ。 「前の時は村人を眠らせていたと聞きました。だけど今、子供たちは起きたまま、恐怖のどん底に陥れられてる……。こんな事、許せるわけないじゃないですか!」 「まあ確かに、子供ばかりを生贄とか、胸くそが悪くなるな」 ニコラは同意する。 「大人ならいいと言う物ではないが、本当に人の血が流れてるのか、あいつらは。こんな事をやらかす連中は叩き潰してやろう」 「そうですね、私も微力ながら全力を尽くします」 決意を込めヴィオラは告げ、ニコラと共に敵に向け走る。 同じように子供達のことを思うのは『アリシア・ムーンライト』。 「子供たち、どれだけ怖いでしょう……早く、助けてあげないと……無事におうちへ、帰してあげないと……」 その言葉には、我がことのような実感がこもっている。 彼女の言葉を聞いて『クリストフ・フォンシラー』は思う。 (たぶん自分と重ねてるんだろうな) そう思うのは、彼女の過去を少し前に見てしまったからだ。 大人に殺されそうだった小さなアリシア。 その時の自分を重ねてしまっているのだろう。 「きっと助けるよ」 クリストフは、誓うようにアリシアに応える。 (子供達も、君の心も) 成すべき事を心に刻み、クリストフは走り続ける。 絶対に助けるという意志を刻む者も居れば、戦いの興奮に心に火を灯す者も。 「敵は、いっぱいいるんでしょうね」 走り続けながら『サク・ニムラサ』は声に享楽の色を滲ませる。 「サクラ?」 彼女の呟きに『キョウ・ニムラサ』は注意するように言った。 「自分達の目的は、子供達の救出ですよ」 「分かってるわよ。そのためにも、敵は倒さないと」 「それはそうですが……その前に助け出すことを第一に――」 「助けられなかったらどうするの?」 静かに告げられたサクラの言葉に、キョウは一瞬言葉に詰まる。 キョウが何か返すより先にサクラは続けた。 「残酷な想像はしておきなさい。それが現実になった時に、すぐ動けるように。でないと死ぬわよ」 冷徹なその言葉は道理。 それを口にし自覚できるサクラは、戦士としての適性が高いといえるだろう。 キョウも、それらの道理は分かっている。 けれど割り切れないのは、人としての情の深さゆえ。 そんな彼を死なせないためにも、サクラは狩人の如き熱さと冷たさを両立させ走り続ける。 浄化師達が戦いに挑む思いは人それぞれ。 それは『メルキオス・ディーツ』も同じ。 「……クォン、広場に着いたら、僕以外の『僕の魔力』、探せる?」 これに『クォンタム・クワトロシリカ』は、理解するような間を空け応えた。 「……お前が作っていた、という魔結晶モドキか」 「君の、エレメンツの目なら探せるよね? 見つけたら、知らせて」 メルキオスの頼みに、クォンタムは間を空けず応える。 「戦闘中は無理があるが……出来る限り探してやろう」 そして、ため息をつくような間を空け、続ける。 「……お前が祓魔人はエレメンツに限定したのは、これの為か」 これにメルキオスは、道化のような笑みを浮かべ返した。 戦闘直前であろうとも、いつもの彼と変わらぬ様子に、クォンタムは苦笑するように返した。 「全く、人使いの粗い相棒だ」 「頼んだよ、相棒」 2人は笑みを浮かべ戦場となる地へと走り続ける。 そして戦場に到着。 廃墟と化した街の外れに20名以上の敵が来るのが見えた。 確認し先陣を切ったのはクリストフ。 「ウボー、セレナちゃん、セパルちゃん! 派手に暴れてくれよ!」 同行する助っ人3人に声を掛け、3人は応える。 ウボーがクリストフの死角をカバーするように動きながら、セレナが戦踏乱舞で味方の戦力強化。 同時にセパルが皆に幻惑の魔法を掛け敵の攻撃を当たり辛くする。 援護を受けながらクリストフは敵の先陣に斬りつけた。 踏み込みの勢いを乗せ斬りつけると、即座に背後に回り込む表裏斬。 かろうじて踏みとどまった敵が反撃しようとした所で、アリシアが九字を切り魔力弾を叩き込み倒した。 浄化師達の攻撃は途切れることなく続く。 「ヴィオラ、援護を頼む」 「はい、任せて下さい」 ニコラは中衛をヴィオラに任せ、自分は前に出る。 狙いは斧使いの敵。 相手は小ぶりな斧を、軽さを活かし振るってくる。 それをニコラは、手にした両手斧で力強く弾く。 弾かれた敵は、ニコラに踏み込まれることを恐れ後退。 しかしその瞬間、ヴィオラのワンダリングワンドが。 魔力を込めたタロットカードで切り裂かれた敵に、ヴィオラは笑みを浮かべ言う。 「カードで切れたのって地味に痛いんですよ? ふふっ」 ヴィオラの挑発に敵が気を取られた隙に、ニコラは渾身の怒槌を。 敵が斧でガードした上から叩き伏せた。 敵は次々倒されていく。 それを皆は加速する。 「あらあらいっぱい敵がいる」 「本来の目的はその先、子供達を助けることですよ」 「分かってるって」 サクラはキョウに応えながら狙撃銃を構え、魔術でマーカーされた敵に狙いをつけながら続ける。 「可能な限り助けるわよ。だから、速くこいつらを倒しましょう」 「もちろんです!」 そして2人は戦闘配置に。 キョウが前に出てサクラを背に守りながら援護に動き、サクラは精密射撃で敵の足や腕を撃ち抜き動きを止める。 動きが鈍った敵に仲間が止めを刺す、絶妙の流れを作っていった。 果敢に戦っていくのはクォンタムも同様だ。 クォンタムは敵に踏み込み過ぎず、けれど機を逃さず剣を振るい続ける。 敵の斬撃や魔力弾を躱しつつ踏み込み、動きを鈍らせるため手足を斬り裂く。 動きが鈍れば、すかさず踏み込み本命の一撃を。 エッジスラストの鋭い一撃を叩き込んだ。 一方、相棒であるメルキオスは敵を挑発しつつ、のらりくらりと攻撃を避けている。 「オイこら相棒、少しは魔術使え!」 「いやん、僕魔力少ないからムリ~」 メルキオスは漂々と返しながら、敵の攻撃がクォンタムに集中しないよう、敵を引き付けつつ攻撃を重ねていった。 浄化師達の攻撃に敵は次々倒されていく。 引き付けは巧くいき、倒し切るのも時間の問題。 引き付け班が作ってくれた猶予を最大に生かすべく、奇襲班も果敢に動いていた。 ○子供達を逃がせ! 「エリクサー……魔術の道具を作るためだけに、100人もの子どもたちを?」 奇襲に向けた配置に就く中、魔術通信で伝えられた情報を聞いて『リチェルカーレ・リモージュ』は呟く。 「どうしてそんな酷いことを」 震える声を聞き『シリウス・セイアッド』は目を細める。 (エリクサーの為だけじゃない。マリエルという少女への、揺さぶりじゃないか) そう思うも口には出さず、いま成すべき事を告げる。 「……助けるんだろう?」 静かなシリウスの声に、こくりとリチェルカーレは頷き応える。 「ええ。誰も犠牲にしたくない」 はっきりとした彼女の声に、シリウスは頷き戦闘体勢を整える。 そして時は満ちる。 広場の敵が減り、すぐには戻れない時間が過ぎてから、奇襲を開始した。 最初に跳び出したのは、シリウスとリチェルカーレ。 魔術真名を詠唱し、まずは子供達を囲んでいる敵の元に。 不意打ちに近い動きに、敵の動きは遅れる。 リチェルカーレが鬼門封印を放ち動きを阻害した所で、シリウスはソードバニッシュ。 閃光のような斬撃が敵を叩き斬る。 敵は大きく傷を受け、だがギリギリで倒れず反撃。 それをシリウスは回避。 横手から追撃を掛けて来ようとする相手から逃れるように動く。 さらに追い詰めるように動く敵の一団。 だがリチェルカーレが九字を切り放った魔力弾で牽制。 その猶予を活かし、シリウスは敵と適度な距離を取る。 自然と、シリウスを追うような動きを取る敵の一団。 もちろんこれは、シリウスとリチェルカーレ、2人による誘導だ。 全ては、子供達から敵を引き離すため。 2人が作ってくれた好機を逃さず、リューイとセシリアが子供達との接触に動く。 「助けに来たよ」 リューイの呼び掛けに子供達は、びくりと驚く。 そこにセシリアが穏やかな声で言った。 「心配しないで、私達は浄化師よ。すぐに逃がしてあげるから」 それを聞いた子供達は、縋るような視線を向けて来る。 その視線に応えるようにセシリアは続ける。 「あちらの方向にまっすぐ向かって。街を出てしばらくしたら、貴方達を見つけて安全な場所に届けくれる手配をしているから」 今回浄化師達は、事前に教団を介し子供達の保護を要請。 これを受け教団は砂トカゲを操る一団に協力を。 この場から逃がしさえすれば、子供達の安全が保障されるよう準備していた。 「合図をしたら、落ち着いて慌てず逃げて」 詳細を皆に説明し状況を整える。 この間、敵の注意が子供達に向いていれば拙いことになっていたが、仲間の浄化師達が巧く防いでくれていた。 (出し惜しみはしません!) 抑えるべき敵の1人、人形遣いに照準を合わせながら『ヨナ・ミューエ』はオーパーツグラウンドを放つ。 放出した魔力を術式で組み上げ土気の魔力属性を司る魔方陣を展開。 術式に従い魔力は、岩や剣、あるいは斧や槍へと変貌し人形遣いに襲い掛かる。 それに気付き、平然とした顔で視線を向けて来る人形遣い。 「おやおや」 無数の凶器が降り注ぐ中、笑みを浮かべヨナに向かって来る。 卓越した体捌きで凶器を避けつつ間合いを詰め、掴みかかろうとした所で―― 「させるか」 死角から踏み込んだ『ベルトルド・レーヴェ』が掌底を叩き込む。 そこから畳み掛けるように、足払いと共に首を掴み地面に叩きつけた。 常人なら苦痛で動けなくなる攻撃を受け、人形遣いは笑う。 「良い動きです。やはり、欲しいですねぇ」 ぞわりと悪寒を感じ距離を取るベルトルド。 ヨナと即座に連携を取れる配置に。 「悪趣味ですね。その腕、どうしました」 以前とは違う腕を付けていることに気付いたヨナの問い掛けに人形遣いは返す。 「おや、気付きましたか。良い目です。欲しいですねぇ」 そう言うと襲い掛かって来る人形遣いに、ヨナとベルトルドは全力で迎撃。 絶え間なく攻撃を重ね、少しでも他に注意が向かないよう挑発する。 「随分とあの少女にご執心のようですね」 戦いの最中もマリエルに視線を向ける人形遣いに言った。 「もっとも、あなたにとっては愛情や絆で繋がっているようには到底思えませんね。『自分の役に立たなければ捨てるればいい』貴方にとってはあの少女もそうなのでしょう?」 「違いますよ」 笑顔のまま人形遣いは返す。 「捨てては勿体ない。有効活用しますとも」 「外道が」 ベルトルドは魔力を込めた拳を叩きつけ、接触箇所を爆裂させる。 だというのに人形遣いは平然としていた。 「余裕だな」 (手の内も思惑も、読ませないという訳か) 鼻白みながら追い詰めるべくヨナと連携する。 敵を抑えていく浄化師達。 残り1人、マリエル・ヴェルザンディも例外ではない。 「やあ、こないだぶり」 魔術真名を唱え戦力を上げた『リントヴルム・ガラクシア』が、マリエルの前に立ちはだかる。 「……なんで……」 苦しそうに呟くマリエルに、リントヴルムは続けて言った。 「今日こそデートのお誘いに頷いて欲しいな」 どこまでも親しげに話しかけてくるリントヴルムに、マリエルは怯んだように後ずさる。 そんな彼女と視線を合わせリントヴルムは言った。 「……冗談はそこまでにして、聞きたいことがあるんだ。昔、僕と出会って遊んでくれたのは、どっち? ただの好奇心だけど気になるからね」 「なんで、それを知って……人形遣いっ」 憎悪の眼差しを人形遣いに向けた後、マリエルは応えた。 「貴方と出会えた頃は、マリーは表に出て来れなかったから。貴方と一緒に遊んだのは私……黒猫の子の時は、私とマリーが代わる代わる話をしていたわ」 名前を口にすることを恐れるようにして、マリエルはリントヴルムと『ベルロック・シックザール』の思い出を語る。 それは思い出に流されてしまわないようにしているように見えた。 「見逃してあげる。帰りなさい」 「無理だよ。それに――」 リントヴルムが注意を引き、その隙にベルロックが跳び出す。 同時にリントヴルムは牽制のためタロットを投擲。 マリエルは回避も防御もせず受け、腕が切り裂かれた。 だがその痛みよりも、マリエルはベルロックに視線を向ける。 視線を合わせベルロックは言った。 「アンタにも事情があるのは分かった」 拘束するべく距離を詰めながら続ける。 「だが、俺を攫って実験に使おうとして、恐怖を植え付けたことも事実だ。俺は乗り越えなければいけない。そのためにも、アンタには一緒に来てもらうぞ!」 捕まえる直前、マリエルはシャドウバインドを使う。 傷は与えないよう影にナイフを刺し2人を固定。 けれど2人は止まらない。 体力が削られるのも構わず拘束を抜け出し、マリエルを捕えるべく動く。 逃げようとするマリエルにタロットを投擲しながらリントヴルムは呼び掛ける。 「ごめんねマリー、以前までの僕ならキミだけの手を取って逃避行でもしていたところだけど、どうやら絆されちゃったみたいでね。でも夜明け団から足を洗ってほしいのは本当だよ」 同じようにベルロックも声を掛けマリエルの動きを止めようとする。 「俺が囚われたのは子供一人で脱出できるような場所じゃなかった。誰か細工した奴がいたはずだ」 これにマリエルは苦しそうな表情で返す。 「それはマリーが……私は、そんなことするほど、優しくないから……」 こうして敵の動きは抑えられる。 その隙に子供達を逃走させた。 「ついてきて」 「さあ、皆でいっしょに行きましょう」 リューイが先導しセシリアが殿を務め、広場を出るまで護衛。 気付いた敵は攻撃しようとするも抑えられ、辛うじて放たれた攻撃魔術はセシリアがペンタクルシールドを張り受け止める。 「大丈夫?」 「ええ。こう見えても頑丈なのよ」 子供達を逃がした2人は、敵が追えないよう進路を塞ぐように立ちはだかる。 そちらに敵が意識を向けた隙を逃さず、止めを刺すシリウス。 一連の動きは巧い。 ここまで巧くいかなければ、少なくとも子供達の数人は怪我を、場合によっては死亡していたが、それを浄化師達は防ぎきる。 逃がした後も抜かりなく。 引き付け班が敵を倒し広場に合流。 あとは敵の健在な2人に対処するだけ。 人形遣いを追い詰めるため戦っている間に、残りの皆はマリエルに呼び掛ける。 「マリーさん、わたし達は貴女を殺す気はないの。お願い、貴女と戦いたくない」 リチェルカーレの言葉に合わせるようにして、シリウスは人形遣いに切りつけながら呼び掛ける。 「こいつは、あんたも殺す気じゃないのか」 「大事な仲間ですよ」 口を挟んでくる人形遣いを斬り裂きながらシリウスは言った。 「いい趣味だな。子どもばかりを贄にするとは」 「子供だけではないですよ。貴方のパートナーも使ってあげましょうか?」 「貴様――」 挑発する人形遣いをシリウスはさらに斬り裂く。 だが血を流すことなく平然と動き続ける。 「不死身か、お前は」 異様なタフさに訝しさを覚えながら、ベルトルドが爆裂斬を込めた拳を叩き込む。 「無駄ですよ」 笑いながら人形遣いが反撃しようとした時、銃声が響く。 ヘッドショットを食らい、なお笑みを浮かべる人形遣い。 それを見て楽しそうに声をあげるサクラ。 「不死身なの? 好いわね。好きなだけヘッドショットできるじゃない」 「それ撃った後に言うことでは……」 キョウの言葉に、にっこりとサクラは返す。 「死んでないんだから良いじゃない。でも死なないなら、動けないよう足を切り落と――」 「な、な、なにを言おうとしてるんですか?!」 「ただの挑発よ。死なない相手なら、これぐらい良いじゃない」 「それはそうかもってなりませんからね?!」 掛け合いをしながら、サクラは援護射撃。 人形遣いの手足を撃ち抜き、動きを鈍らせる。 そこにニコラは渾身の怒槌を叩き込み、右腕を叩き切る。 それでも平然と動く人形遣いに、クリストフの表裏斬が。 正面と背中を切りつけ、喉元に剣を突き付ける。 「お前はこれくらいじゃ死なないだろう?」 人形遣いを抑える中、マリエルへの呼び掛けは続く。 「マリエル・ヴェルザンディ。カルタフィルスだそうですね。 貴方が生きたいという権利を誰も否定はできません。 ですが、あなたのいる場所は本当に『そこ』だけでしょうか……?」 ヨナは選ぶべき可能性を口にする。 「貴女は、本当は、こんなのイヤなんじゃ……? 誰も殺さないで、貴女も助かる方法、探しませんか?」 アリシアは、犠牲を出さない方法を探すことを提案する。 「夜明け団にできることが教団にできない道理はありません。人道を外れることなく生存できるかもしれませんよ」 ヴィオラは導くように言った。 皆の言葉にマリエルの気配が変わる。 もう一つの魂、マリーが表に出ると問い掛けた。 「貴方達は、この子を助けられる手段を、具体的に知っているんですか?」 これに明確に応えられる者は、今この場には居なかった。 「……知らないんですね」 落胆するように呟くマリーに、人形遣いが声をあげる。 「今から私は自爆します! その隙に逃げなさい!」 この宣言に、さすがに距離を取らざるを得ない。 けれど人形遣いはすぐには自爆せず、奥の手を披露する。 「見事ですよ」 口寄せ魔方陣を4つ展開し続ける。 「ここまで追いつめられては、私が人形遣いといわれる由縁を披露しない訳にはいきません」 言い終ると同時に、口寄せ魔方陣から4体の特殊なゾンビが現れた。 1人は2刀。1人は長刀。1人は直刀。1人は幅広の刀。 それを見たセパルが怒声を上げる。 「お前! 武蔵くんと小次郎くんの墓を暴いたな!」 「知り合いですか? それは良い。生前の力量に近付けた剣豪ゾンビの良いデータ取りになる」 人形遣いは楽しげに言うと、剣豪ゾンビ達に魔力の糸を接続。 「死士葬操」 途端、すさまじい速さで襲撃してくる剣豪ゾンビ達。 その動きはまさしく達人。 突如現れた強敵に、防御に専念せざるを得ない。 そこに人形遣いは、自分の体の一部を投げ自爆。 爆破で距離を取らざるを得ない中、マリエルと人形遣いは逃走する。 「マリー!」 ベルロックの呼び掛けに一瞬止まるも、苦しそうな表情を浮かべ逃走するマリエルだった。 追い付けないほど距離が離れると、剣豪ゾンビ達は口寄せ魔方陣で転移させられ消え失せた。 全てが終わり、ニコラとセシリアに、教団の協力者から魔術通信。 子供達は全て無事保護されたことが伝わった。 その連絡を受ける間にメルキオスは、クォンタムの助けを借り、魔方陣に組み込まれた自らの魔力に干渉する。 「石と名を与えた僕の魔力、もうその名で居なくていいよ。元の姿にお戻り」 命名解除の魔術をかける。 気体から液体、液体から個体へと変化するように、メルキオスの干渉により、魔方陣に組み込まれた陰気の魔結石は魔力に戻り大気に融けていった。 「こっちは、戻すには少し手間がかかるかな」 マリエルが使用したナイフ。それにも陰気の魔結石が使われているのが分かったが、すぐどうこう出来そうにはなかった。 そうしてメルキオスが干渉する中、ヨナは魔方陣の解析を。 (終焉の夜明け団が行っている禁忌を教団が知らない訳がありません) それは確信にも似た思いに基づく行為。 それをベルトルドは、黙して受け入れ。 セパルが近付き言った。 「もし何かあったら言って。ニホンに居るナディヤが万物学園の講師探してるし、そっちで匿うこともできるから」 これに返しながら、ヨナは魔方陣の解析を続けた。 かくして指令は終わりをみせる。 浄化師達の巧い役割分担と連携により、子供達に犠牲を出さずにすんだ指令だった。
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*** 活躍者 *** |
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[27] リチェルカーレ・リモージュ 2019/10/17-23:34 | ||
[26] リューイ・ウィンダリア 2019/10/17-22:33
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[25] クリストフ・フォンシラー 2019/10/17-20:44 | ||
[24] ヨナ・ミューエ 2019/10/17-00:57
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[23] メルキオス・ディーツ 2019/10/17-00:02
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[22] サク・ニムラサ 2019/10/16-23:54
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[21] リューイ・ウィンダリア 2019/10/16-23:42 | ||
[20] ニコラ・トロワ 2019/10/16-23:32
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[19] リチェルカーレ・リモージュ 2019/10/16-23:09 | ||
[18] リントヴルム・ガラクシア 2019/10/16-22:32
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[17] リントヴルム・ガラクシア 2019/10/16-22:31 | ||
[16] クリストフ・フォンシラー 2019/10/16-22:08 | ||
[15] ヨナ・ミューエ 2019/10/16-20:46 | ||
[14] リチェルカーレ・リモージュ 2019/10/16-00:13 | ||
[13] クリストフ・フォンシラー 2019/10/15-23:03 | ||
[12] リューイ・ウィンダリア 2019/10/15-21:25 | ||
[11] リントヴルム・ガラクシア 2019/10/15-20:11 | ||
[10] メルキオス・ディーツ 2019/10/15-16:03
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[9] リチェルカーレ・リモージュ 2019/10/15-00:17 | ||
[8] クリストフ・フォンシラー 2019/10/14-23:07 | ||
[7] ニコラ・トロワ 2019/10/14-18:03 | ||
[6] ヨナ・ミューエ 2019/10/14-16:50 | ||
[5] リューイ・ウィンダリア 2019/10/14-10:18
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[4] リントヴルム・ガラクシア 2019/10/13-23:29
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[3] リチェルカーレ・リモージュ 2019/10/13-15:46
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[2] クリストフ・フォンシラー 2019/10/13-09:22
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