~ プロローグ ~ |
廃墟の街に訪れたマリエル・ヴェルザンディは、彼女を呼んだ人形遣いに言った。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
|
||||||||
どう、して… (魔方陣に囚われたマリエルを見て悲しげな顔) 終焉の夜明け団が、マリエルさんをいらないの、なら 私達が、貰っても、いいですよね… 魔術真名詠唱 リチェちゃんと協力し禹歩七星を全員に リントヴルムさん達の進行方向のゾンビに鬼門封印、禁符の陣で足止めを クリスがゾンビの対応をしてる間に リントヴルムさん達を追うようにマリエルさんの近くまで移動 ゾンビがクリスをすり抜けたら足止め後九字の印で攻撃 魔方陣から彼女が引っ張り出されたら、まずリントヴルムさんに 次にベルロックさん、マリエルさんに、と天恩天賜3で回復を 3人が動けるようになったら仲間達の支援と回復に向かいます マリエルさん、ようこそ そして、お帰りなさい |
||||||||
|
||||||||
状況がわかれば 目を大きく見開いて マリーさん!?どうしてこんなことに… とにかく 早く助けなくっちゃ 魔術真名詠唱 シアちゃんと協力して禹歩七星 リントヴルムさん お願いします シリウスも無茶はしないで 駆けだす後ろ姿に声をかけて ゾンビ側の支援と回復担当 魔術師>近づいてくる敵の優先順に鬼門封印 回復します 怪我をした人は無理をしないで 声をかけ 適時天恩天嗣3で回復 余裕がある時は九字で攻撃 救出側の動きを邪魔させないよう そちらへの攻撃は盾に 退魔律令も使って押し戻す マリーさんと マリエルさん ふたりは優しい人だと思うの 自分の命を危険に晒して 誰かを助けられるのは簡単なことじゃないもの だからわたしは ふたりを助けたいと思うわ |
||||||||
|
||||||||
和樹は前線に出てゾンビに対する壁役 ゾンビを一体でも多く引き寄せようと、大声で威嚇を試み、「絶対防御ノ誓イ」で、一発でも多くの攻撃を受けきる。 令花はタロットで攻撃 ワンダリングワンドでゾンビの足を狙い、進撃を止める、もしくは遅めるよう努める。 人が捕らわれてる魔法陣の元へ急ぐ浄化師を見て、ただならぬ想いを感じとる。 「かずくん!あの二人!」 「ああ、絶対たどり着かせるぞ!」 その思いを重ねるように魔術真名詠唱! 敵陣のまっただ中を駆ける仲間が、彼方にいる大切な人を二度と失いませんように。 作戦終了後は現場に残り、念のため残党や、その他の異常がないか周辺を確認します。 |
||||||||
|
||||||||
この状況…やはり使い捨てるつもりであの少女を利用していただけでしたか わざわざ人の道を踏み外させ罪悪感で操り最後にはその命までも奪う あなたにとってそれはそれは楽しい筋書きだったのでしょうね ゾンビ達を掻い潜りつつ人形遣いの元へ向かい 侮蔑の感情が隠し切れずつい口に出る この言葉すら人形遣いを喜ばせる材料にしかならないだろう 何を言われても怒りが先行してはならないと己に言い聞かせ 行くぞ と喰人の合図でウボー達と共に人形遣いを囲むように展開 今回は魔方陣の維持 セパルからの援護があり 人形遣いは相当行動を制限されている筈 今までのパターンではすぐ代わりの肉体で復活する 如何にダメージを与えつつ人形遣いの正体に近づけるか |
||||||||
|
||||||||
狂人ってのは感情に狂った人間じゃなくて理性だけの存在だとはよく言ったものだな あの人形遣いは頭が己の望む合理性に逝っちまってる ぎゃふん、ね…アレにそんな感情があれば面白いのですが 俺はその人形遣いを邪魔しに行く ゾンビを召喚する前にDE8でダメージを与えて圧を掛け、仲間が攻撃する際はDE5で回避を下げて相手を追い詰める 恐らく痛みって概念は無いだろうから反応が鈍るか分らんが、損傷と追い詰められている感覚は実感できるよなぁ? 罪の自覚…か 本当の悪人は他人を悪者にした上で罪の自覚も無く平然としている奴だ 苦しいかもしれんし、逆説的だが、罪の自覚を持ってるから人間は善人でいられる 俺はドクターからそれを学んだんだ |
||||||||
|
||||||||
味方の支援をもらったら、 魔術真名を唱えてまっすぐマリエルのもとに向かう リントの前に位置し、魔方陣の前に立ちはだかるゾンビのみ攻撃 倒すことよりも排除し道を開くことを優先 魔術等による対空攻撃には注意する リントがマリエルを引っ張っている間は周囲に敵が来ないよう守る 一人で無理そうなら、引っ張るのを手伝う 俺にとってアンタは恐怖の象徴だ けど、俺の大事な奴がアンタを大事だと言っている 今日だけリントを譲ってやるから、さっさと助かれよ! 救出後、二人を庇う位置にういて、向かってくるゾンビに対応 回復してもらった後も同様に 特にマリエルには休んでてもらう とりあえず、助けられた…のか? …どっちに妬いていいのか分からない… |
||||||||
|
||||||||
マリーさんの一刻も早い救出を目指します そのためにゾンビを確実に抑えないと >行動 魔術真名詠唱後 リントヴルムさんたちの道を開く マリーさんと敵を分断する位置で 前衛で仲間と一緒に戦う セ:リューイ 少し離れるけれど大丈夫ね? リ:平気だよ セパルさんを助けてあげて リ:前衛 最初にゾンビ対応の仲間に戦踏乱舞 以降は他の仲間と連携を取りながら 近くの敵から攻撃 倒すことより ひきつけや足止めを目的に ヒット アンド アウェイで攻撃 中後衛へ抜かせないこと マリーさん側に行かせないことを心がけて セ:セパルさんの護衛 ペンタクルシールドを展開 人形遣いを抑えるセパルさんの護衛 近づいてくる敵にはカードで攻撃 敵の動きに注意 大技が来る時は注意喚起 |
||||||||
|
||||||||
自身が人形だからだろうか あの人形遣いという奴には嫌な感情しか湧かなかった このゾンビ達も操り人形と言う事か 哀れだな せめて安らかに眠れるよう送ってやろう 魔術真名を唱えた後 ゾンビ達に突っ込んでいく まずはこちらへ引き付けるように動き、マリエルとは逆方向へ誘導 大事な女性なんだろう 早く助けてくるんだな 二人の背中にそう呟く 辺りのゾンビを引き付けつつ強力な魔術を放つ個体の方へ移動 こいつの魔術で同士討ちができないか試してやろう 自分が多少喰らうのは覚悟の上 シリウスにばかり目がいかないように近づいて剛袈紅蓮撃を叩き込む 炎で浄化されるといい ヴォイドが片付いたら後から出たゾンビの掃討に 人形遣いの思惑など打ち砕いてくれる |
||||||||
~ リザルトノベル ~ |
苦悶の声を上げるマリエルの姿に『リチェルカーレ・リモージュ』は、目を大きく見開いて声を上げた。 「マリーさん!? どうしてこんなことに……」 彼女の隣に居る『シリウス・セイアッド』は、目の前の状況に思い切り眉を顰める。 (――本性を現したということか) 視線は、マリエルを魔方陣で捕える人形遣いに。 「とにかく、早く助けなくっちゃ」 強い意志を込め呟くリチェルカーレに、シリウスは軽く頷いて返す。 「……俺たちは敵の抑えを」 マリエルを救出するべく動くのは他の浄化師も同様だ。 「どう、して……」 魔方陣に囚われるマリエルの姿に『アリシア・ムーンライト』は悲しげな顔をする。 そんな彼女に応えるように『クリストフ・フォンシラー』は言った。 「全く、いい趣味してるよな、あの人形遣いは」 そう言うと、ぽんっとアリシアの頭に手を置いて、アリシアを安心させるように言った。 「今度こそ、マリエルちゃんを助けよう」 「はい」 アリシアは頷くと、決意を込め応えた。 「終焉の夜明け団が、マリエルさんをいらないの、なら、私達が、貰っても、いいですよね……」 「うん。そのためにも、みんなで戦おう」 そしてアリシアとリチェルカーレの2人が、禹歩七星を掛けていく。 真っ先に掛けるのは『ベルロック・シックザール』と『リントヴルム・ガラクシア』。 「リントヴルムさん、お願いします」 送り出すリチェルカーレに、リントヴルムは応える。 「うん、もちろんだよ。それと、禹歩七星を掛けてくれて、ありがとう」 リントヴルムは、リチェルカーレとアリシアに礼を返すと、真っ直ぐにマリエルに視線を向け、相棒であるベルロックに言った。 「マリーを魔方陣から引きはがすよ」 「ああ。そのつもりだ」 絶対に助けるという決意を胸に、2人は走り出す。 前を進むのはベルロック。 後方についてくるリントヴルムの邪魔はさせぬと、全ての障害を薙ぎ払う気迫を見せ進む。 そんな2人を守るように動くのは『桃山・令花』と『桃山・和樹』。 「かずくん! あの二人!」 「ああ、絶対たどり着かせるぞ!」 マリエルの過去を知る術は、今の2人には無い。 だが、彼女を助けようと仲間が懸命に動いているのだ、守らずにはいられない。 「大切な人を守る!」 魔術真名詠唱。初手から全力で敵に当たる。 「こっちだ! こい!」 和樹は絶対防御ノ誓イを展開し、護るべきものを絶対に護るという信念を掲げ、自身の膂力を向上させた。 マリエルの助けに向かう2人を守るため、敵の前に立ちはだかる。 和樹の後ろには令花。いつでも援護できるよう、ワンダリングワンドの準備に入る。 彼女も、マリエルの元に向かう2人を守りたいと思っている。 (マリエルさんの元に向かうお2人が、彼方にいる大切な人を2度と失いませんように) それは祈りにして誓い。 浄化師としての決意の体現。 懸命さを見せる2人に合わせるように、皆も次々動いていく。 「開け。九つの天を穿つ門」 魔術真名を詠唱し、初手から全力を出すのは『リューイ・ウィンダリア』と『セシリア・ブルー』。 リューイはゾンビに対処する仲間に戦踏乱舞を掛け強化し、セシリアは油断なく人形遣いの動きを注視している。 そしておぞましげに呟いた。 「あの人形遣いからも、死人に近い気配を感じるけれど……」 「ゾンビを使役しているのに?」 リューイの言葉に、セシリアは人形遣いへの嫌悪を滲ませ返す。 「自分の体のパーツを入れ換えるなんて、私たちマドールチェだってやらないもの」 「――姉さん?」 セシリアの言葉に、リューイは少し眉をひそめる。 そんな彼を安心させるようにセシリアは、なだめるような微笑みを浮かべ返す。 「ええ わかっているわ。私たちは人形ではない。この体も、命も、すげ替えのできるものではないわね」 物ではなく、命ある者。 それを軽んじる人形遣いの思惑を撃ち砕くべく、2人は動く。 リューイは、マリエルの元に向かうベルロックとリントヴルムの道を開くべく前に出る。 セシリアは、人形遣いの自爆を防ぐことの出来るセパルを守るべく、護衛の位置に動く。 「リューイ。少し離れるけれど大丈夫ね?」 「平気だよ。セパルさんを助けてあげて」 2人は信頼を胸に、それぞれ動く。 そうして動くのは『ニコラ・トロワ』と『ヴィオラ・ペール』も同様だ。 「cooking and science」 魔術真名を詠唱し2人は動く。 目指すは、人形遣いに操られるゾンビ達。 「哀れだな」 自然と言葉が零れ出る。 (自身が人形だからだろうか) どうしても思ってしまう。 マドールチェである自分と、操られるゾンビ達を、どこか重ねてしまっていた。 (このゾンビ達も操り人形という事か) 人形遣いに嫌悪感を抱きながら、ニコラは自身と重ねるゾンビ達に刃を向けようとする。 その一歩前で、ヴィオラの柔らかな声が掛けられた。 「ニコラさんは人形じゃないです」 思わず視線を向けるニコラに、ヴィオラは続ける。 「マドールチェという種族、ですから」 「……そう、だな」 ヴィオラの言葉に、ニコラは重苦しい気持ちを祓われる。 ニコラは小さく笑みを浮かべ、ヴィオラに返した。 「彼らを、せめて安らかに眠れるよう送ってやろう」 この言葉にヴィオラは、にっこり微笑んで応える。 「はい。ゾンビさん達を眠らせてあげましょう」 ニコラは頷くと、マリエルの元に向かうリントヴルムとベルロックに視線を向け呟く。 「大事な女性なんだろう。早く助けてくるんだな」 声援を送るように言うと、2人を援護するために前に出た。 そして皆は、3班に分かれ動く。 ひとつはマリエル救出。 もう一つはゾンビの対応。 最後が、人形遣いの討伐だ。 人形遣いの対処に向かう『ショーン・ハイド』に、パートナーである『レオノル・ペリエ』は言った。 「人の趣味をとやかく言うのは品がないけどさ、弱い者いじめが楽しいって凄く悪趣味だよね。強者の立場にいるいけ好かないヤツの鼻を明かすほうが建設的だよ」 視線を人形遣いに油断なく向け、ショーンに呼び掛けた。 「さぁ、ショーン、ぎゃふんと言わせに行こうか」 レオノルの呼び掛けに、ショーンは静かに返す。 「……アレにそんな感情があれば面白いのですが」 ショーンは人形遣いに視線を向け思う。 死体を弄び、浄化師に囲まれながら、その表情は愉悦に歪んでいる。 だが、ゾンビを操作する動きに無駄は無く、人形遣いの動きも冷静だ。 その動きは合理的でさえあった。 (狂人ってのは感情に狂った人間じゃなくて理性だけの存在だとはよく言ったものだな) ショーンは人形遣いの人間性を見極める。 (あの人形遣いは頭が己の望む合理性に逝っちまってる) その合理性に凝り固まった相手が邪魔をされどう動くのか? 確かめるようにショーンは攻撃に向かう。 浄化師達の動きに人形遣いが反応する。 ゾンビの大半をマリエルの元に向かわせようとした。 そこにレオノルがソーンケージを叩き込む。 魔力で形作られた茨がゾンビ達を絡めとり動きを止める。 だが痛みを知らぬゾンビ達はすぐに動く。 4体がレオノルに向け動き、その内の1体、魔術師のゾンビが広範囲の雷撃魔術を放つ。 「ドクター!」 「大丈夫! こっちは皆と協力して対処するから! ショーンは人形遣いを!」 レオノルの言葉に、ショーンは後ろ髪を引かれる想いを断ち切り人形遣いの元に。 「任せたよ、ショーン」 不敵な笑みを浮かべ、レオノルはゾンビを迎え撃つ。 (他の仲間が格好いいことするんだ。お膳立てぐらいやぶさかじゃあないさ) それぞれの役割をこなし、浄化師達は動く。 「セパルちゃん、ウボー、セレナちゃん。人形遣いの方、頼んだよ!」 クリストフは同行するセパル達に指示を出し、ゾンビの撃退に動く。 手近なゾンビの間合いを詰めると、初手から全力を叩き込む。 踏み込みの勢いも込めた爆裂斬。 ゾンビはギリギリで避けようとするが間に合わず、腕を斬り裂かれる。 その瞬間、傷口が爆散。ゾンビの腕を吹き飛ばす。 だが痛みを感じていないゾンビは即座に反撃。 それを制裁で捌きカウンターを入れると、間髪入れず削斬で首を削ぐように断ち斬った。 瞬く間にゾンビ1体が倒される。 それは他でも同様だ。 「シリウスも無茶はしないで」 ゾンビに向け駈け出すシリウスに、リチェルカーレは声を掛ける。 心配気なリチェルカーレの声にシリウスは小さく頷き、敵へと真っ直ぐに進む。 目指す相手は、レオノルに雷撃魔術を放ったゾンビ。 だが、剣を持ったゾンビが立ちはだかる。 ゾンビはシリウスの動きに合わせ剣を振り抜き、真っ直ぐに踏み込んだシリウスは、紙一重で躱す。 回避をしながら間合いを詰めていく。 ゾンビが2撃目を放とうとした時には、シリウスは表裏斬を放っていた。 大きく胴を斬り裂く。 動きが鈍ったゾンビの背後に回ると、足を断ち切るような勢いで追撃の一閃。 そこから止めを刺すよりもレオノルの援護を優先させる。 しかしシリウスの動きを邪魔するように新手のゾンビが突進して来た。 シリウスが迎撃に移ろうとした時―― 「こいつは私達が抑える。先に進んでくれ」 「こちらは気にせずに。2人一緒ですから大丈夫です」 ニコラとヴィオラがシリウスを援護するように動く。 「頼む」 短くシリウスは返し、仲間を信頼し前だけを見て進む。 その信頼に応えるように、ニコラとヴィオラは全力を叩きつける。 シリウスに追い縋ろうとしたゾンビに、ニコラは剛袈紅蓮撃を叩き込む。 ゾンビの弱所を見極めた重い一撃が叩き込まれた。 粉砕するように叩き潰し、痛みを感じぬゾンビを破壊していく。 連携した動きで、シリウスは魔術師ゾンビに肉薄する。 しかしその寸前、魔術師ゾンビは周囲一帯に電撃魔術を放った。 身体を打ち据えるような衝撃を、周囲に居た浄化師達は受ける。 だが浄化師達は止まらない。 オラクル・タロットで魔力防御を固めていたヴィオラは、シリウスの背後から忍び寄るゾンビに、魔力を込めたタロットカードを投擲。 足を切り裂き、ゾンビの動きが鈍った所で、ニコラが剛袈紅蓮撃を叩き込み粉砕する。 2人の助けを得て、シリウスは魔術師ゾンビに詰め寄る。 魔術師ゾンビは退避しようとするが、シリウスの方がはるかに速い。 瞬速の踏み込みと共にソードバニッシュ。 魔術を放とうとしていたゾンビの腕を斬り飛ばした。 追撃を放とうとした所で、ゾンビはさらに退避しようとする。 しかしレオノルが抑える。 「逃がさないよ」 ソーンケージを放つ。 体中を魔力の茨に囚われた魔術師ゾンビは動きが鈍り、そこにシリウスが追撃。 さらにニコラとヴィオラの連撃が入り、魔術師ゾンビは破壊された。 最も危険なゾンビは倒される。 休むことなく、残ったゾンビの掃討に動く。 果敢に戦っているクリストフと、彼の援護に動くリチェルカーレを助けるために全速で進む。 合流すると、リチェルカーレは傷付いた皆に天恩天賜を掛けていく。 「回復します。怪我をした人は無理をしないで」 リチェルカーレのお蔭で、皆は体力を回復しながら戦うことが出来た。 ゾンビの多くは、こうして抑えられる。 だがそれでも、マリエルの元に向かおうとするゾンビも。 それを身体を張って止めているのは、令花と和樹の姉弟。 「絶対にここは通さねぇ!」 和樹は大型盾を構え、ゾンビの攻撃を受け止めた。 一歩も退かず、仲間の元には向かわせないという気迫を感じさせる。 その奮闘は、ゾンビを抑えきっていた。 それは今まで指令に参加し、積み上げた経験が着実に力となっている。 同時に、和樹の援護をする仲間の助けも力になっている。 「和くん!」 令花は、和樹を横手から襲い掛かろうとするゾンビに向けワンダリングワンドを放ち牽制する。 胸に抱く護らねばという想いに呼応するように、制服の上着に納めた魔導書が胎動した。 それは彼女が記した小説『七星の宝玉』が、彼女の魔力を宿してしまった物。 集めると願いが叶う宝玉をめぐる冒険譚が実際に願いを叶える魔力を宿し、過ちを導いてしまった物。 父との確執を歪な形で実現しようとしたそれを抱き、いま願い宿すのは助けたいという意志。 (あの人達を助けて) マリエルを、そして彼女を助けようとするベルロックとリントヴルムの力になりたくて、令花は全力を振るう。 そんな2人を援護するように、リューイは戦う。 (ここは通さない) リューイは魔性憑きの素早い動きを駆使し、ゾンビを翻弄する。 踏み込み過ぎず、けれど敵を通さぬギリギリを見極め、斬撃を放つ。 和樹と令花に複数の敵が向かわないよう立ち回りながら、マリエルから遠ざけていた。 仲間の浄化師のお蔭で、リントヴルムとベルロックは、敵の居ない状態でマリエルの元に辿り着く。 「マリー!」 リントヴルムはマリエルに呼び掛ける。 だが魔方陣に囚われたマリエルは、僅かに視線を向けることが出来るのみ。 「いま助けるからね!」 苦痛にあえぐマリエルを見ていられず、リントヴルムは魔方陣に跳び込む。 その瞬間、すさまじい苦痛がリントヴルムを襲う。 同時に、マリエルの記憶が流れてくる。 魔方陣は魂と肉体を分解しエリクサーとして再構成するもの。 その中に入った者は、溶け合うように記憶と感情が入り混じる。 リントヴルムは知る、マリエルの過去を。 知ることで心に浮かんできたのは、マリエルを助けたいという強い想い。 「マリー」 リントヴルムは苦痛を飲み込みながらマリエルに近付く。 「キミに伝えたいことがあるんだ」 記憶と感情が入り混じる中で、言葉も使い想いを告げる。 「初めて会った時から僕はキミが好きだった」 過去の思い出と共に、気持ちを伝える。 「キミは窮屈な家で腐ってた僕の心の支えだった。 でも、キミに比べたら僕の境遇なんてまだ生易しいものだったんだね。 今はただ純粋に、キミを助けたいよ」 リントヴルムは苦痛に苛まれながら、マリエルを魔方陣から連れ出そうと、ゆっくりと手を伸ばす。 だが魔方陣の縛りは強く、僅かずつしか進まない。 そしてマリエルは、怯えたように手を伸ばせないでいた。 求める渇望を抱きながら、手にして良いのかと恐れる。 一歩踏み出せないマリエルと、彼女の手を掴み切れないリントヴルム。 2人を助けるように、ベルロックが魔方陣に跳び込んだ。 その途端流れてくる、マリエルの記憶と感情。 全てを知ったベルロックは、リントヴルムと共にマリエルの前に立つ。 「俺にとってアンタは恐怖の象徴だ」 まっすぐに視線を合わせ、ベルロックは想いを告げた。 「けど、俺の大事な奴がアンタを大事だと言っている。 今日だけリントを譲ってやるから、さっさと助かれよ!」 そして手を伸ばす。リントヴルムと共に。 「ぁ……」 泣き声のように小さく、マリエルは声を上げる。 そしておずおずと、手を伸ばす。 それをリントヴルムとベルロックの2人は掴むと、魔方陣からマリエルを開放した。 魔方陣の外に出て、3人は堪らず膝をつく。 そこにアリシアが助けに入る。 「回復、します」 天恩天賜でリントヴルムとベルロックを癒し、マリエルにも使おうとした。 だが、それをマリエルは止める。 「私は、いいわ。それより、2人を回復してあげて」 「でも……」 心配するアリシアにマリエルは言った。 「私はカルタフィリスだから効かないの」 「……それは」 悲痛な表情を見せるアリシアに、マリエル目を伏せながら言った。 「……あり、がとう……」 どこか、はにかむように言ったマリエルの手に、アリシアは安心させるように、そっと手を重ねた。 皆の活躍でゾンビは倒されていき、マリエルは救出される。 そして人形遣いも、追い詰めていた。 「行くぞ」 仲間がゾンビを引き付けてくれる好機を逃さず『ベルトルド・レーヴェ』は『ヨナ・ミューエ』に呼び掛ける。 「もちろんです」 返す言葉は力強く。 人形遣いを倒すべく全速で進む。 迎え撃つ人形遣いは、指を噛み切り爆弾代わりに投げつけるが、セパルが全力で封じる。 「これは――」 気付いた人形遣いはゾンビを差し向けるが、護衛に就いていたセシリアが迎え撃ち抑えた。 ほぼ同時に、ショーンのソニックショットが放たれる。 的確に心臓のある位置をショーンは撃ち抜いた。 「おや、これはこれは」 撃ち抜かれ平然とする人形遣いに、ショーンは酷薄な笑みを浮かべ連続射撃。 「痛みがないようだが、それならそれでやりようはある」 ヨナ達が間合いに入り易いよう、トリックショットを撃ち続ける。 「痛みって概念は無くても、損傷と追い詰められている感覚は実感できるよなぁ?」 ショーンの挑発に人形遣いは返す。 「良い腕です。欲しいですねぇ」 「痛みだけでなく危機感も薄いのは救えんな」 人形遣いの言葉に、呆れたようにショーンは弾丸を返した。 ショーンの支援を受け、ヨナ達は人形使いに肉薄する。 ヨナは間合いを詰めながら、人形遣いを油断なく凝視した。 (この状況……やはり使い捨てるつもりで、あの少女を利用していただけでしたか) 湧き上がる嫌悪感と怒りを飲み込み、戦いに集中する。 先行するベルトルドは、ウボー達と連携して人形遣いを囲む。 だが人形遣いは愉悦を浮かべていた。 (余裕ですね。やはり、今の身体は本体ではないのですね) 自分の身体を簡単に自爆させられる人形遣いの強さを、ヨナは正しく理解する。 (前は頭に複雑な……口寄せ魔方陣に似た魔力を感じましたが……更に深い所まで探れれば正体の糸口を掴めるかもしれない) 人形遣いの本体を見極めようと、ヨナは集中する。 (もっと……もっと深く) 魔術探知を使い見極めようとした瞬間、人形遣いと視線が合う。 「欲しいですねぇ」 ぎたりっ、と。 人形遣いは物欲しげに顔を歪める。 「――っ!」 おぞましさに、ヨナは反射的にアビスブリザードを放つ。 腹を貫通する勢いで刺され、なお笑みは浮かべたままだった。 「そんなに楽しいんですか」 湧き上がる怒りを抑えられず、ヨナは言った。 「わざわざ人の道を踏み外させ罪悪感で操り最後にはその命までも奪う。あなたにとってそれはそれは楽しい筋書きだったのでしょうね」 「もちろん」 人形遣いは笑顔で応える。 「親子共々、好き役者でした。好きなんですよ、喜劇が。そのために、手間は掛けました」 にぃっと、歪んだ笑みを浮かべ言った。 「死体だけではないんですよ。私の人形は」 「外道が」 ベルトルドは吐き捨てるように言うと、人形遣いの脇腹に打突を叩き込む。 「よそ見をするな。今の相手は俺だろう」 打突を打ち込むと、足を踏み固定。 そこから本命の諸手突きで肋骨を潰すように砕く。 だというのに人形遣いは楽しげに手を叩き言った。 「素晴らしい。やはり欲しいですねぇ。彼女の眼をくり抜き、貴方に移植したいですね」 「そうやって手に入れた他人の体を好きにしてきたのか?」 ベルトルドは、愉悦を口にする人形遣いの背後に回る。 その瞬間、首に腕を回し、てこの原理でへし折った。 「おやおや」 首を捻じ曲げながら平然と動く人形遣いの首を掴み、足払いを掛け頭を割る勢いで地面に叩きつける。 それでも動く人形遣いに、ゾンビを絶滅させた仲間が援軍に駆けつける。 シリウスが表裏斬で両腕を斬り落とし、追撃でクリストフが爆裂斬を頭に叩きつける。 人形遣いは頭を破壊され、動かなくなった。 同時に、僅かに残っていたゾンビは動かなくなり、戦いは終わった。 戦い終わり、助け出されたマリエルは父の元に向かう。 そこでマリエルと彼女の父の顛末を知り、皆は痛ましげな表情を見せる。 特に令花は、自分の過去とマリエルの過去を重ね、苦しげな表情を見せた。 「あの――」 令花は何かを言おうとするが、言葉が出てこない。 そんな彼女にマリエルは言った。 「気にしないで。終わったことだから」 「それは、でも……」 「……貴女も、私と同じなの?」 静かに問い掛けるマリエルに令花は返す。 「いえ、それは……でも――」 令花は過去の惨劇の元となった魔導書を取り出し呟く。 「私も、一歩間違えてたら――」 「大丈夫よ。貴女は、私のようにはならないわ」 魔導書を指さし言った。 「その魔導書は、温かいもの。今は少しだけ掛け違えているだけ。気になるなら、私が整えてあげる……別に、罪滅ぼしの為じゃないから気にしないで」 自分自身を諦めるように言うマリエルに、ショーンが言った。 「本当の悪人は他人を悪者にした上で罪の自覚も無く平然としている奴だ」 自らの過去を思い続ける。 「苦しいかもしれんし、逆説的だが、罪の自覚を持ってるから人間は善人でいられる。俺はドクターからそれを学んだんだ」 そして浄化師達は言葉を掛けていく。 「マリーさんと、マリエルさん。ふたりは優しい人だと思います」 リチェルカーレは迷子を落ち着かせるような優しい声で言った。 「自分の命を危険に晒して、誰かを助けられるのは簡単なことじゃないもの。だから私は貴女達を助けたいです」 同意するようにセシリアも言葉を繋げる。 「貴女は、リントヴルムさん達を助けてくれた。生贄にされかけた子を助けてくれた。それが出来た貴女は、きっと優しい人。 仲間を助けて貰ったのだから、今度は私達が貴女を助ける番」 助ける意志を示し、ヨナが術も提案する。 「貴女達の魂をマドールチェに移せないか試してみませんか? マーデナクキスに協力仰げば或いは」 ヨナの言葉に、マリエルの内にあるマリーが表に出て来ると、すがるように問い掛けた。 「それをすれば、この子を助けられるんでしょうか?」 これにヴィオラが返した。 「マリエルさんとマリーさんを助ける術を知ってるのか、その答えはまだ見つかっていません。 けれど、一緒に捜しましょう。絶対に方法があるはずです。ここにいる全員、協力は惜しみませんよ」 マリエルは応えない。 怯え迷っている。 自分に価値があると思わないマリエルは、善意と好意に手を伸ばせなかった。 だから、リントヴルムとベルロックが手を繋ぎ引き寄せる。 「助けるからね、マリー」 「まずは助ける。全てはそれからだ」 マリエルは呆然と2人の顔を見詰め、そして浄化師達を見詰める。 そんなマリエルに、アリシアは言った。 「マリエルさん、ようこそ。そして、お帰りなさい」 「…………」 マリエルは言葉を返せなかった。 ただ声もなく、ぽろぽろと涙をこぼし続けることしか出来なかった。 それが始まり。 マリエル・ヴェルザンディが始める、新たな人生。 それを与えることの出来た浄化師達だった。
|
||||||||
*** 活躍者 *** |
|
|
|||||||||||||||||
|
| ||
[30] クリストフ・フォンシラー 2019/11/17-22:29
| ||
[29] ヨナ・ミューエ 2019/11/17-22:00
| ||
[28] リチェルカーレ・リモージュ 2019/11/17-21:12
| ||
[27] ショーン・ハイド 2019/11/17-20:55
| ||
[26] リューイ・ウィンダリア 2019/11/16-11:55
| ||
[25] アリシア・ムーンライト 2019/11/16-07:51
| ||
[24] リントヴルム・ガラクシア 2019/11/16-00:55
| ||
[23] リチェルカーレ・リモージュ 2019/11/16-00:39
| ||
[22] ヴィオラ・ペール 2019/11/15-23:43
| ||
[21] ヨナ・ミューエ 2019/11/15-20:38 | ||
[20] 桃山・令花 2019/11/15-12:57 | ||
[19] リチェルカーレ・リモージュ 2019/11/14-23:14 | ||
[18] クリストフ・フォンシラー 2019/11/14-22:24
| ||
[17] クリストフ・フォンシラー 2019/11/14-22:21 | ||
[16] リントヴルム・ガラクシア 2019/11/14-22:21 | ||
[15] 桃山・令花 2019/11/14-22:21 | ||
[14] リューイ・ウィンダリア 2019/11/14-21:28 | ||
[13] 桃山・令花 2019/11/14-16:29 | ||
[12] ヨナ・ミューエ 2019/11/14-01:40 | ||
[11] 桃山・和樹 2019/11/13-22:07 | ||
[10] レオノル・ペリエ 2019/11/13-22:03 | ||
[9] リチェルカーレ・リモージュ 2019/11/13-21:56 | ||
[8] リントヴルム・ガラクシア 2019/11/13-21:20 | ||
[7] クリストフ・フォンシラー 2019/11/13-20:59 | ||
[6] 桃山・令花 2019/11/13-18:50 | ||
[5] 桃山・令花 2019/11/13-18:36
| ||
[4] ヴィオラ・ペール 2019/11/13-17:36 | ||
[3] リューイ・ウィンダリア 2019/11/13-17:04 | ||
[2] 桃山・令花 2019/11/13-16:27 |