~ プロローグ ~ |
東方島国ニホン。その一地方都市であるキョウト。 |
~ 解説 ~ |
○目的 |
~ ゲームマスターより ~ |
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。 |
◇◆◇ アクションプラン ◇◆◇ |
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行動2 焼き討ち阻止の為裏町へ ルーノは禹歩七星で索敵を支援 ナツキは獣人変身、屋根に上り高い場所から目視と音、匂いで敵を探す 多数の人が固まって行動している、また油の匂いがする場合はそれを追う ニホンで馴染みの無い香や整髪料等の匂いがあれば それは外の国の者、潜入した敵である可能性もある 敵発見時、禁符の陣で敵を止める 雷龍使用でダメージ気にせず放火阻止最優先、味方と共闘し敵を捕縛 着火時は神選組隊士と協力し水等での消火に加え ナツキの氷結斬で火元を凍結させて消火を試みる ■真神武士 戦力配分は表町20人・裏町80人 数人ずつ散開して索敵を優先してもらう ナツキ同様の、獣人変身による狼や犬の嗅覚を利用した索敵を提案する |
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玉藻様もキョウトの人たちも あんなに楽しそうに笑っていたのに 皆を犠牲にしようだなんて… シリウスの声に頷く ええ、皆で止めましょう 誰も死なせない あの優しい玉藻様を祟り神になんて、させない 3 玉藻様やきつね達に 必ず守ります 皆さんもこのキョウトも 神選組に玉藻様の護衛と 一緒に社の防衛を依頼 魔術真名詠唱 シリウスを中心に 禹歩七星をかけ 無茶をしないで レオノル先生と社の警護 残ってくれた神選組の人にもよろしくお願いしますと挨拶 敵は境内で迎え撃つ 戦闘中は鬼門封印での仲間の支援と回復 自分への攻撃は雷龍や九字で対応 皆がキョウトを守るために動いています 人の命を道具になんてさせない 武器を捨てて投降してください MP回復をダヌ様に |
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3 …あほらしいな 神を弄ぼうってその考えが実に馬鹿馬鹿しい 警護、巡回場所を地図で確認 身を隠しつつ攻撃が出来る場所を事前に調べておく 巡回中はその中から何処が更に良さそうな場所か絞り込む 一部の神選組隊員を社へ、それと警護へ あとは敵殲滅に回す 狙撃ポイントから敵を可能な限り巻き込むようでスウィーピングファイア攻撃 一箇所に敵が集まるようならそこにマッピングファイアを撃ち込もう シリウスが強敵と戦っている場合はランキュヌの防御低下で援護 そいつを怪我させたら可愛いパートナーに泣かれちまうからな もし場所を感づかれて近距離にこられたらクリムゾンストックで殴って他の狙撃ポイントに移る ダヌ様にはMP回復をお願いする |
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1 玉藻様…どうかご無事で… 他の地の仲間達の無事も祈りながら現場へ キョウトを、滅ぼすなんて…させたくない、です ダヌ様にはMP回復を 魔術真名詠唱 仲間達に禹歩七星付与 味方の陰陽師と協力して皆の回復 特にリコちゃん… いつも自分の所に敵を集める友人になるべく着いていくように 私の所に敵が集まってきたなら禁符の陣で足止めを 必要なら火界咒で攻撃 グラバーの所へ行けそうな道筋を見つけたら 味方の陰陽師に行って貰えるよう あの方には、罪を償って、貰わないと、なりませんから… グラバーは倒さずにおく方針 拘束が上手く行けばそちらは味方に任せて 私は味方の回復に専念 こんな事は、もうやめてください… これでは、誰も幸せに、なれません… |
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キョウトと玉藻様を守ることが目的 キョウト焼き討ちの阻止 2へ向かう 裏町を担当 仲間や神選組、真神武士の人たちとも協力 人の気配に注意しながら不審者探索 魔力感知も使用 セシリアは魔術通信を使い、適時マドールチェ同士連絡を取り合う 事前に井戸や防火用水等の位置を教えて貰えれば仲間に周知 火が出た場合 そこから水を持ってこれるように ふたりとも体が小さいので狭い場所は率先して動く 戦闘になれば魔術真名詠唱 仲間と連携 リ:戦闘乱舞を近くの仲間に ヒットアンドアウェイで翻弄 隙をついて攻撃 敵攻撃は回避かカウンター セ:ペンタクルシールドで回復役の盾 必要がなければカードの攻撃や、ルーナーエヴァージョンで支援 ふたりともMP回復を願う |
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2.表町担当、20人の武士団と共に行動 ダヌ様にはHP回復を依頼 この美しい町並みを焼き払おうなどと無粋な 配置に就く前に地図があれば申請 井戸や川、消火用の水が備え付けてある場所を把握、頭に入れておく 匂いを追うのはライカンスロープの皆に任せ ダヌ様とヴィオラからあまり離れないよう気を付けながら 物陰や路地の奥等に人がいないか注意しながら歩く 裏町のセシリアと常に連絡を取り合い、お互いの状況を把握できるようにしておく 敵を見つけた際には、一人相手にはパイルドライブ 複数に囲まれた際は味方がいないことを確認してからグラウンド・ゼロ 火がついてたら武士団に水の場所まで走ってもらい 私は火元の周りを壊して延焼を食い止める |
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おじいちゃんのいるこの国を好きにはさせない キョウト内部での混乱に乗じて攻め入るつもりだったのでしょうけど おあいにく様、ここから先は通さないわ ダヌ様の加護はHP回復 1 魔術真名詠唱後、前へ グラバーを挑発し、彼の周りの敵を優先して攻撃する あら、誰かと思えば哀れな寄生虫さん お久しぶりね、顔は覚えたと言ったでしょう ちょうど良かったわ、ここら辺で教団内部の虫を駆除したいと思っていたの 覚悟してくださる? ほら、早くお仲間を呼んで身を守らないとあなたが危ないわよ? …これで敵部隊を集めさせて、範囲攻撃しやすくできるかしら あとはグラバーが逃亡しないように、倒した敵をグラバーの方に向かって突き飛ばすなどして動きを妨害 |
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ニコラ君とヴィオラちゃんと一緒に表町を巡回して火消し さて…僕も獣人変化して、匂いを追うとしよう 火を着けようとしてるのは終焉の夜明け団…つまり、ニホン人じゃない人が多数ってことだよね? ニホンって高温多湿だからお湯に入るでしょ だから、一般的なニホン人って体臭薄いんだよね 大陸の人は逆にシャワーで済ましちゃうから、自然と体臭強いんだよね で、それを誤魔化そうと香水とかが発展したけど まぁ、つまり 国外の人が多ければ多いほど、誤魔化そうとしても無駄って事 表町はお店が多いって事は 道に面してるのは家屋じゃなくて塀か倉が多いだろう なので、火が着いてたら、火の回り斧で壊す 壊さないで済むならそれに越した事はないけど |
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1 ダヌ神に回復して貰うのはHP 私はMP多い方だし、相棒は…そもあまり使わないからな…体力の方が死活だ 植民地にするのならば、武装制圧しないで傷をつけるにしても最小限にして入り込むのが望ましい …まぁ、先手が取れなかった時点で詰んでるが そういう意味ではグラバーのやり方では植民地にはできないだろう この国を亡ぼすなら話は違うが 先手必勝、突っ込む ソードバニッシュと制裁で攻撃と反撃…この編成も板についてきたな 私は元々、荒事向きではないんだが こういう荒事大好きな相棒を持つと苦労する グラバー殺さない様に抑えないと 今宵の相棒は血に酔っている 私の剣ではなくて、人間の相棒が …引き際誰かアレ止めてくれないか |
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二人で手分けして、住民を社周辺に誘導 事前準備として、京都の公的機関(幕府の京都奉行もしくは京都御所)に協力を仰ぐ。 幕府役人の父のコネが通用すれば惜しまず使う。 具体的には人手と、大八車と拡声器を借用する。 誘導は姉弟で以下のように分担 令花は都市部を中心に 拡声器で京都府民に的確に状況を説明し冷静な避難行動を求める 人手ある場合人柄や説明力ある人員を伴う 和樹は裏町を周り孤児院や独居のお年寄り宅中心に周り 大八車を多用し足元不安な方々を運ぶ 人手あるなら力仕事要員を伴う 避難誘導完了後は、二人一組で周辺警備 非戦闘時は住民の不安を和らげるようケアに回る 令花は安心させる傾聴 和樹は子供の遊び相手など 戦闘時は住民護衛 |
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一見すれば平和そうですね しかし、多くの敵が潜伏しているはずです。見つけましょう ダヌ様の加護はMP回復を希望 私とステラは裏町に向かい、潜伏者を見つけ出します 真神武士の方々とも情報共有しつつ、家々の間を警戒して進みましょう それと、ステラは野良犬や猫などにも捜すのを手伝ってもらうそうです 確かに彼らなら、見慣れぬ人物や油の臭いが判るはず 敵を発見したら火を放たれる前に攻撃を浴びせ無力化しましょう 標的との距離が離れていたら、エッジスラストで接近し速攻します 小さい火はその部分を攻撃で削り飛ばしたり、真神武士達と連携し水を確保し消火活動を行います もし火の勢いが強く手がつけられない場合は、化蛇の力で鎮火させます |
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ベ グラバーもついになりふり構わず動き出したか ヨ この段階になって無謀とも思える計画を実行に移す行動力だけは賞賛したいところです もっとも、その計画を成功させるつもりは全くありませんが 1 主にならず者と終焉の夜明け団の相手 少し攻めてから一度引き、相手に攻勢を出させた瞬間を見計らい 道満達妖怪軍団と協力し一気に攻めに転じる 2人のコンビネーションと火力を駆使し多くの敵を倒す グラバーの余計な指示を期待して脅しをかける このような事を堂々と行い、このニホンにもアークソサエティに帰る場所などもうありませんよ さあこれからどうなさいます? |
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~ リザルトノベル ~ |
キョウト壊滅。 それを防ぐため浄化師達は、それぞれの持ち場で動いていた。 ●グラバー達をぶっ飛ばせ! 「玉藻様……どうかご無事で……」 目的地に向け走りながら、『アリシア・ムーンライト』は仲間の安否と共に祈る。 「キョウトを、滅ぼすなんて……させたくない、です」 「大丈夫だよ、アリシア」 並走する『クリストフ・フォンシラー』が、アリシアを安心させるように言った。 「大丈夫、みんないる。キョウトを壊滅なんてさせないさ」 「はい……!」 クリストフの言葉に安堵する様に頷きながら、アリシアは走り続ける。 アリシアと同じように、皆もキョウト壊滅を防ぐため足を速める。 「リコ、気合入ってるな」 いつも以上に意気込みを感じさせる『リコリス・ラディアータ』に、『トール・フォルクス』が声を掛けると、応えが返ってくる 「ええ。おじいちゃんのいるこの国を好きにはさせない」 リコリスの祖父は、この国で生きている。 大切な家族の身を守るためにも、気合を入れていた。 「キョウト内部での混乱に乗じて攻め入るつもりだったのでしょうけど、させるもんですか。キョウトには、一歩も踏み入れさせないわ」 「ああ、もちろんだ。全員捕まえよう」 戦意を高めながら進み、その途中、温かな力に包まれる。 神契により召喚したダヌの加護だ。 キョウト襲撃犯を迎撃するのに合わせ、事前に召喚されている。 「これがダヌ神の力か」 全身を包む力を確かめるように感じながら『クォンタム・クワトロシリカ』は呟く。 「これなら、多少無理をしても大丈夫だな」 彼女の隣で並走している『メルキオス・ディーツ』は、湧き上がる力に笑みを浮かべながら口を開く。 「良いね、これ。かなり遊べそうだ。おちょくるだけおちょくって、ぶっ殺そう」 「……念のため言っておくが、首謀者であるグラバーは殺すな」 「え~、いいじゃない」 「ダメに決まってるだろう。情報を聞き出すためにも生かしておかなければ」 「そう? ニホンで起こそうとしてることから考えると、相当頭悪いから、何も知らないんじゃない?」 漂々と笑みを浮かべながら続ける。 「だって、妖怪が荒れまくってる土地を植民地化しようとするような奴だよ? 規模は小さいとはいえ各地にも武士ってのもいるみたいだし、大変だよねー。それをどうにかしないといけないってこと考えたら、コストとリターンが合わないと思うし」 「……それが出来る算段でもあるんだろう。そうしたことを聞き出すためにも殺さないようにしないとな」 「ん~、そうかな? まぁいいやー。やるの僕じゃないしー。僕としてはニホンの文化は素晴らしいと思うので、そのまま独自発展して欲しいし。やっぱ、グラバー死すべし」 「…………」 放置していると本気でやりかねないので、戦いの際中は気をつけようと思うクォンタムだった。 そして一行は敵の進軍予定地に到着。 「隠形の術を掛けます。動かない限りは、バレませんから、しばらくこの場で待機してください。敵が見える頃には、同行しているマドールチェの浄化師に合図をして貰いますから、それと同時跳び出して下さい」 グラバー軍の殲滅を指揮する安倍清明が、同行する浄化師達に告げる。 全員が状況確認すると、敵が来るまで待機していた。 その中で、パートナーと状況を再確認するように言葉を交わす者も。 「グラバーもついになりふり構わず動き出したか」 「この段階になって無謀とも思える計画を実行に移す行動力だけは賞賛したいところです。もっとも、その計画を成功させるつもりは全くありませんが」 いつになく鋭い声で応えを返す『ヨナ・ミューエ』に、『ベルトルド・レーヴェ』は静かに思う。 (マーデナクキスで3強と交わした言葉が、引っ掛かっているのか?) 少し前、マーデナクキスで3強の1人である最強のトールと戦い、その中でヨナは言葉を交わしていた。 「やってやります! 滅びの未来など、全力で叩き壊してあげます!」 滅びの未来を示されて、なお抗う意志を見せたヨナ。 そして同時に、あの時その場に居た終焉の夜明け団達との会話の中で、決意を確かにした想い。 それはヨナにとって必要なものなのだろう。 ただ、振り回され過ぎれば危うい。 (その時はどうにかするさ) パートナーとしてヨナを想いながら、それを表に出さずベルトルドは言った。 「ここでも終焉の夜明け団、か……グラバーという出来の悪い貴族に従うあいつらは何を思い動いているのだろうな」 「人は……自分の信じたいことを信じてしまう。私だってそういう意味では同じ」 自分自身を省みながら、ヨナは言った。 「明かりの見えない暗がりを不安を噛みしめながら歩いていくしか、進む術はないのです。それでも、諦める所から始めたくはありません」 思いつめるように言うヨナ―― 「好きにすれば良い。危なくなれば引っ張ってやる」 「――っ! ベルトルドさん!」 ぽんっ、と頭に手を置いたベルトルドに、ヨナは微かに頬を染め拗ねるように言った。 「子ども扱いしてませんか?」 「まさか。危なっかしいパートナーだとは思ってるがな」 「む……」 なにか言葉を返してやろうと思っていると、マドールチェの浄化師から魔術通信で連絡が響いた。 『敵軍が来ます! 各自カウントダウン後に進軍してください!』 呼び掛けに合せ、皆は戦闘へと意識を切り替える。 静かに敵軍が来る方角を見れば、先頭が小さく見えた。 距離にして300mほどか? まだこの距離では早い。 距離が詰まり、引きつけるための待ちの時間が過ぎ、カウントダウンが始まる。 「カウント開始します。5、4――」 禹歩七星などの、味方の強化をするためのアライブスキルを掛け終え、各自、魔術真名詠唱の準備に入る。 「――2、1。今です!」 開戦の号令と共に、皆は魔術真名を唱え、一斉に敵軍に向け突進した。 「な、なんだこいつら!」 襲撃してくる浄化師達に、先頭に居たグラバーは狼狽した声を上げる。 グラバーの目論見としては、すでに火が点けられ燃え盛り、住人が虐殺されているボロボロのキョウトを、軍を率いて蹂躙するつもりだった。 軍の先頭に居て指揮をしてはいるが、これは既にお膳立てが済んだ場所に一番乗りをするという、勇猛さとはかけ離れた安全策を取った上でのこと。 しかも、後衛に就いている妖怪軍が幕府や浄化師と戦って疲弊した際に、一番後方から指示を出せるように考えて先頭に居たのだ。 いきなり直接襲撃されるなど、まったく考えていない。だから―― 「お、おい! なにをしてる! とっとと行かんか!」 軍の陣形だとか戦術だとか、一切考え無しで指示を出す。 完全に、指揮者にしてはダメな奴であった。 それを見た浄化師達は、倒すべき優先度を考え動いていく。 「トール、先に行くわ」 「分かった、援護する。無茶はするなよ」 お互いを信頼し言葉を交わし、リコリスとトールは動き出す。 敵陣を突き抜けグラバーに駆け寄るのはリコリス。 アリシアに掛けて貰った禹歩七星の助けも借り、疾風の如き速さで戦場を駆け抜ける。 当然、敵は立ち塞がり攻撃して来るが、リコリスは魔性憑きの素早さを活かし、前へ前へと進みながら躱し進んでいく。 それは彼女の力だけでなく、助けもあるからこその快進撃。 (リコは傷付けさせない) リコリスの死角から攻撃魔術を放とうとした敵に、トールはピンポイントショット。 リンクマーカーによる魔術の照準を合わせた狙撃は、的確に敵の肩を撃ちぬき、攻撃魔術の発動を阻止する。 リコリスの助けに動くのは、トールだけじゃない。 「クリス、リコちゃんを」 「分かってる。援護するから助けに行ってあげて」 アリシアの想いを助けるために、クリストフは刃を振るう。 リコリスの援護に向かうアリシアの邪魔をしようとする敵の前に立ち塞がると、氷結斬で斬り裂き凍結させる。 手強いと見た敵が集中して攻撃して来るが、それを制裁によるカウンターで斬り伏せ、敵の勢いをそいでいく。 クリストフの助けを得たアリシアは、リコリスを襲撃しようとする敵の前に立ち塞がり、禁符の陣を発動。 リコリスがグラバーに接敵する道を作る。 「リコちゃん、今の内に」 「ありがとう!」 リコリスは礼を返しながら、グラバーに肉薄する。 「あら、誰かと思えば哀れな寄生虫さん」 リコリスは艶然とした笑みと鋭い刃を向け、グラバーに言った。 「お久しぶりね、顔は覚えたと言ったでしょう」 「お、お前あの時の――ひっ!」 薄皮1枚斬り裂かれ、悲鳴を上げるグラバーにリコリスは笑みを浮かべたまま続ける。 「ちょうど良かったわ、ここら辺で教団内部の虫を駆除したいと思っていたの。覚悟してくださる?」 「ひ、ひぃっ」 情けない声上げ逃げ出そうとするグラバーに、将としての能力は無いことをリコリスは実感する。 (これなら、捕まえるよりも先に利用した方が良いわね) 長期戦も考え、戦術を組み立てながらリコリスは言った。 「ほら、早くお仲間を呼んで身を守らないとあなたが危ないわよ?」 (……これで敵部隊を集めさせて、範囲攻撃しやすくできるかしら) リコリスの思惑は当たる。 「た、助けろ! お前ら何をしてる! 戦わんか!」 具体的な指示を飛ばさず、部下に喚き散らすグラバー。 部下である終焉の夜明け団は舌打ちするような表情を見せるが、見捨てるわけにもいかないので前に出てくる。 必然、敵はグラバーの前に集まってくる。 そこをトールが、マッピングファイアで纏めて攻撃した。 (上がろくでもないと、ついてくるやつらは大変だな) グラバーの指示に翻弄される終焉の夜明け団に同情しつつも、手は抜かずマッピングファイアを発動する。 雨のような勢いで、無数の矢が降り注ぎ、次々貫いていった。 グラバーの指示が滅茶苦茶なので、敵の動きが停滞する。 その隙を逃さず、浄化師は攻撃を重ねる。 「終焉の夜明け団はこちらで対処する! 他は任せた!」 クリストフは、ならず者と夜明け団が混ざって乱戦になる前に、ならず者の対処を清明に頼む。 それを聞き入れた清明は、部下の浄化師を引き連れてならず者たちの前に立ちはだかると、部下を周囲に散らす。 「1人で俺らを相手するつもりかよテメェ!」 嘲笑うように突進してくるならず者たちの集団に、清明は陰陽師最高峰の力を見せつけた。 「勧請十二神将」 清明個人が契約している12の八百万の神が召喚される。 「こいつらか、玉藻ちゃんにちょっかい出そういうアホは」 「なんじゃもんじゃ様と、わだつみ様の挿し木がある森まで焼くつもりらしいぞ」 「死なん程度に殺そう」 召喚されるなり大暴れする十二神将。 ごろつき達は逃げ惑うが、周囲を囲んだ浄化師達が各個撃破していった。 (これなら向こうは大丈夫だな) クリストフは判断すると、終焉の夜明け団に専念する。 「お前の力を示せ、ロキ!」 黒炎を解放し、敵陣の只中へと踏み込み刃を振るっていく。 (投降してくれれば痛い目見ないで済むんだけど……無理だろうね) 仲間の浄化師が投降を促しても勢いが衰えない終焉の夜明け団に、クリストフは小さく呟く。 「仕方ないなあ」 殺さないよう気をつけて、氷結漸で敵を斬り裂く。 傷口を凍りつかされた敵は、動きが鈍った所を捕縛される。 それを繰り返し、ニホン支部の浄化師に襲い掛かろうとした敵を斬り伏せる。 「すまん! 助かった!」 礼を返す浄化師に、クリストフも返す。 「お互い様だしね」 これに礼を返した浄化師は不敵な笑みを浮かべると、クリストフの背後から襲い掛かろうとした相手を斬りつけた。 「背後は気にせず進んでくれ。先ほどの礼だ。背中は守る」 「背中を預けられる味方がいるのは心強いよ」 くすりと笑みを浮かべ、仲間と連携し戦うクリストフだった。 浄化師達の奮闘は続く。 これ以上は一歩もキョウトに近付けさせぬと言わんばかりの勢いで、敵を倒していく。 「行くぞ、メルキオス」 「了解了解、お先にどうぞ」 へらへらと笑みを浮かべるメルキオスの様子に、クォンタムは軽くため息ひとつ吐き戦場を駆ける。 ソードバニッシュによる疾走先駆。 敵に反応させる暇を与えず、クォンタムは斬り裂く。 そこに間髪入れず、側面から回り込んでいたメルキオスが追撃の斬撃。 「はははっ! 切り刻んでやるよ!」 戦いの高揚に心を浸し、メルキオスは斬り裂いた。 それを繰り返す。 突進力に優れたクォンタムが切り崩し、敵が体勢を崩した隙を逃さずメルキオスの連撃。 ときおり敵の反撃もあるが、それをクォンタムは制裁を使ったカウンターで捌いていく。 (……この編成も板についてきたな) 幾度か繰り返した戦闘の中で、自然と組み上がった戦術。 それぞれの特性を生かしたこの戦い方は、2人にとって具合が良い。とはいえ―― (私は元々、荒事向きではないんだが) クォンタムは心の中で、軽くため息ひとつ。 相棒であるメルキオスに付き合う内に、いつのまにやら慣れてしまった荒事ではあるが、だからといって慣れてしまうのもどうかという気持ちはある。 だが、慣れなければならない理由もあった。 「メルキオス、殺さないように気をつけろ」 「大丈夫大丈夫。これぐらいじゃ死なないって」 敵を斬り裂くごとに笑みが強くなっていくメルキオスは、漂々とした態度に、隠してもいない殺意を滲ませ戦場を駆ける。 止めまでは刺さないけど、死んだら死んだでしょうがないよね。 そんな気配を滲ませるメルキオスの、フォローと同時に制止も考え動いていくクォンタム。 (グラバー殺さない様に抑えないと) 荒事好きな相棒に苦労するクォンタムだった。 そんな風に、パートナーの勢いに気をつているのはベルトルドも同じだった。 「先陣を切る。援護を頼む」 肩に力が入り過ぎているヨナを落ち着かせるように、ベルトルドが駆ける。 混戦状態の戦場に踏み込むと、拳打の間合いに跳び込む。 足元を蹴り払い体勢を崩した所で、脇腹に密着状態からの寸打。 内臓に響く一撃に、堪らず蹲る敵。 それを壁として利用しながら、次なる敵を打ち据えていく。 ベルトルドの勢いに敵が集まって来るが、そこにすかさずヨナが攻撃魔術を叩き込む。 アイコンタクトすら要らない阿吽の呼吸で連携し、さらに痛打を与えようとした所で、ベルトルドは一端退く。 合せて動くヨナ。 それを見ていたグラバーが指示を出す。 「逃げたぞ! 追え!」 この指示に、敵の何人かは舌打ちをして聞こえない振りをするが、それ以外はヨナ達を追い駆ける。 「馬鹿! 行くな!」 敵のベテランらしい男が叫ぶも、すでに遅い。 ヨナ達を追い駆けた敵は、妖怪軍団の只中に誘導される。 それに気付いた道満が声を上げた。 「よっしゃ、ぶっとばせ!」 雄たけびを上げてなだれ込む妖怪軍団。 次々に、ぶっとばされていった。 「道満さん。お気持ちは色々あるかと思いますが、殺さないようお願いします」 ヨナの呼び掛けに道満は笑いながら返す。 「心配すんな! 今こいつら殺したら地獄に来やがるからな。地獄で余計な仕事を増やさせないためにも、生きてる内に悔い改めさせねぇとな!」 「悔い改めさせる、ですか……」 道満の応えに、ヨナは小さく呟く。 それは自分の行いを省みているからこその呟き。 敵を殺さぬよう、可能な限り捕縛しようとする今のヨナの行動は、自身の目的、信念、願いの為のもの。 (私は彼らを殺さず生かしたい。けれどその先は……) ブレそうになった思考を振り払う。 今は、余計なことを考える余裕はない。 成すべき事を成す。ただそれだけ。そのためには―― (力を) もっと力を。より多くを殺さず生かすための力を。 狂信者であるヨナにとってそれは、魔術に他ならない。 より多くを魔力探知で見極め、更なる力を求め踏み出そうとした所で―― 「先に行くぞ」 「ベルトルドさん!?」 ヨナの機先を崩すようなベルトルドの動きに思わず声を上げる。 連携して敵を倒す中で、ベルトルドは言った。 「独りで覚悟を決めるな。お前以外もいる。皆も、俺もな」 「それは……」 迷いを見抜かれたような気がして恥ずかしさと共に、踏み出した先から引き戻る。 そして照れ隠しのように、魔術をぶっ放すヨナだった。 浄化師達の勢いは強い。 道満率いる妖怪軍と、清明率いる浄化師の助けもあり、敵を追い込んでいく。 「はははは! どうしたの頑張りなよ!」 血と傷に高揚しながら、メルキオスが戦場を駆けていく。 すでに敵の勢いは崩れ弱る中、それを嗅ぎ取ったメルキオスの動きは素早い。 決してひとところには留まらず、切り裂きながら走り回る。 敵の間合いに踏み込んで攻撃を誘った所で、スイッチヒッターを使いカウンターを叩き込む。 悲鳴と怒声、血が飛び散り大地に染みる。 狂乱こそが我が舞台と言わんばかりの勢いで、メルキオスは刃を振るい続けた。 そんなメルキオスのフォローをするように動きながら、クォンタムは溜め息をつくように呟く。 「今宵の相棒は血に酔っている」 (私の剣ではなくて、人間の相棒が。……引き際誰かアレ止めてくれないか) 呟きの後半は心の中だけに留め、放置するわけにもいかないので近付き言った。 「さっきも言ったが、殺すのが目的じゃない。ほどほどにしておけ」 「分かってるよ!」 笑顔で返すメルキオス。 その言葉は嘘ではないだろう。 戦場の狂騒の中にあっても、メルキオスは冷静な部分も見せている。 それは本人の資質による物が大きいのだろう。 だがそれだけに、踏み外すことも本人次第で容易い。 殺しちゃダメなのは知ってるけど、死んじゃったらしょうがないよね? 勢い余って殺りかねない。そんな気配を感じさせた。だからこそ―― 「さぁ血の花を咲かせろ! 臓の腑を撒き散らせ!! この僕と敵対する恐怖を味わえ! くふふ、ふははは!」 グラバーに近付きながら声を上げる様に、グラバーは命の危機を感じ顔を引きつらせる。 そこに、ヨナが脅すように声を掛ける。 「このような事を堂々と行い、このニホンにもアークソサエティにも帰る場所などもうありませんよ。さあ、これからどうなさいます?」 それはグラバーを恐慌に落し、少しでも浄化師達に有利になることを思ってのもの。 ヨナの思惑に気付けないグラバーは、部下に悲鳴のような声で命令した。 「こ、殺せ! 何をしてる俺を守れ! あいつらをどうにかしろ!」 具体性も何も無い、戦況を無視した、その場の思いつきのような命令。 これによりたださえ追い込まれた敵は、さらに窮地に陥る。 その最中、部下を盾にして独りで逃げ出そうとするグラバー。 それを防いだのはリコリスだった。 「逃がさないわよ」 リコリスは、グラバーに先回りすると、敵の1人を斬り裂いたあと突き飛ばす。 突き飛ばされた敵は、グラバーの進行の壁になるように塞がった。 「邪魔だ!」 蹴り飛ばして逃げ出そうとするグラバー。 「呆れるわね」 リコリスは、グラバーの様子に思わず言った。 「部下を捨てて1人だけ逃げ出すなんて、イイ性格してるわね。恥ずかしくないの?」 「う、うるさい!」 グラバーは、リコリスの言葉を聞いて、めちゃくちゃに剣を振るう。 明らかに素人の動きに、ため息をつきながら避ける余裕のあるリコリス。 そこに、終焉の夜明け団が襲い掛かってくる。 さすがにそちらは片手間には捌けないので、攻撃を避けながら間合いを詰め、蘭身撃による蹴りを叩き込み無力化していく。 その間に、グラバーは逃げようとしたが―― 「ひっ!」 逃走方向の地面に突き刺さったトールの矢に、グラバーは悲鳴を上げる。 それに気付いたリコリスは、仲間に援護を求めた。 「誰か! 禁符の陣が使える人が居たら、そいつを捕まえて!」 リコリスの呼び掛けに応えたのは、アリシアだった。 「はい……!」 アリシアは、リコリスの呼び掛けに応え走る。 それまで回復に専念していた彼女だが、ちょうど禁符の陣を使える仲間が近くに居なかったので、その役をこなそうとグラバーに向かう。 (あの方には、罪を償って、貰わないと、なりませんから……) アリシアはグラバーの前に立ち塞がると、切実な声で呼び掛けた。 「こんな事は、もうやめてください……これでは、誰も幸せに、なれません……」 「うるさい!」 グラバーの応えは、アリシアの想いを無視する物だった。 「貴様! 私を誰だと思っている! お前達如きが、身の程を知れ!」 話が通じない。 生きるか死ぬかの瀬戸際で、グラバーは隠しようもない本性を剥き出しにする。 「私は、私は! こんな所で……!」 振り絞るような声でグラバーは言った。 恐らく本人にしか分からない想いもあるのだろう。だが―― 「貴方にも、譲れないものが、あるんだと思います。それでも、それは、誰かを傷つけて良い、理由にはなりません」 「貴様……!」 アリシアの諭すような言葉に、この時グラバーは心の底から怒りを見せ、剣を手に襲い掛かろうとした。 それを刃の一閃が止める。 「そこまでだ」 アリシアを守るように近付いたクリストフがグラバーの剣を弾くと、切っ先を突きつけ言った。 「これ以上抵抗するなら、死んで貰うよ」 静かに、言葉に力を秘めて。 本気なのだという実感をグラバーに持たせた。 それがグラバーの心の糸を、ぷつりと切り落とす。 「……っ」 言葉もなく、崩れるように地面に膝を突き、敗北を認めさせた。 敵を指揮していたグラバーは落ち、配下であるごろつきや終焉の夜明け団は捕縛された。 これにより敵の主力は制圧される。 残りは、キョウトに潜伏している勢力。 もちろんそちらも、浄化師達は制圧に動いていた。 ●キョウト焼き討ちを防げ! キョウト襲撃犯を制圧する少し前。 キョウト町内を守るため、協力者である真神武士に『ルーノ・クロード』が分担を頼んだ。 「表町を20人。裏町に80人で分かれてくれると助かる」 これに真神武士の代表者、斉藤素月が応える。 「承知した」 素月は応えると、真神武士達に指示を出す。 その中に、『ナツキ・ヤクト』も加わり意気込んでいた。 「絶対に、止めねぇと」 「その通りだ従兄弟殿!」 「やるからには徹底的に、ですね」 「おう!」 ナツキは、従兄弟である八狗頭茜と斉藤葵に力強く応える。 以前の指令で、御前試合で関わったことのある2人だが、人懐っこいナツキは、いつの間にか仲良くなっている。 そんなナツキを見詰めながら、ルーノは思う。 (以前は、ニホンは遠い国でしかなかった。しかし今はこんなに近く、見知った顔もできて、守りたいとすら考えている) 「……変わったのは周囲か、私自身なのか」 ナツキから預けられている根付けを確かめながら、ルーノは苦笑を浮かべていた。 それに気付いたナツキが、自身の思いを伝えるように言った。 「ルーノ。俺、この国が好きなんだ」 「ナツキ?」 聞き返すルーノに、ナツキは応える。 「この国が、誰かの勝手な欲のせいで壊されるなんて嫌だ。だから焼き討ちなんてさせねぇ、この町は俺達で守る!」 ナツキの言葉に、真神武士団から同意の声が上がる。 皆の意欲は高い。 気持ちを高ぶらせながら、けれど突っ走ることなく、受け持ちを決めていく。 「表町と裏町に分かれるなら、私達は表町を担当しよう」 キョウトの地図を確認しながら『ニコラ・トロワ』は言った。 「裏町には井戸が多く、表町は川が近い。消火施設は、その近くにあるようだから、万が一の際はそれを使いたい」 ニコラの言葉に、皆も自分の地図を再確認し、改めて地理を頭に叩き込む。 とはいえ、普段から住んでいる訳ではないので、土地勘がある者の助けも積極的に提案する。 「神選組が分散して見回りをしてくれているようだから、いざという時は彼らの助力が必要だ。そちらの手配も済んでいると聞いたのだが、どうなっているだろうか?」 これに素月が応えた。 「壬生狼組の一にも連絡を取ってある。こちらとの連携も意識して動くよう通達を出しているそうだから、何かあった時は大声を上げれば、手近な者が助けに来てくれるそうだ」 「分かった。なら後は――」 「ダヌ様の護衛も、私たちで受け持たせて貰おうと思います」 ニコラの言葉を引き継ぐようにして、『ヴィオラ・ペール』が言った。 彼女の隣には、すでに召喚されたダヌが笑顔を浮かべ居る。 「今回も、よろしくね」 少し前の指令で、護衛についてくれたヴィオラにダヌは言うと、真神武士や他の浄化師にも言った。 「加護を与えているけれど、無理をしないよう気をつけてね」 ダヌの言葉に、真神武士団は居住まいを正す。 八百万の神に対する信仰が強いニホン人にとって、ニホンの八百万の神の纏め役である、なんじゃもんじゃの姉のダヌは畏敬を持って当たる相手である。 「何かあれば、我らもすぐに駆けつけます」 素月はダヌに言うと、ヴィオラに視線を向け続ける。 「ダヌ様の護衛、ぜひとも頼む。加勢が必要な時は、申し出てくれ。すぐに人を向かわせる」 「はい。その時は、よろしくお願いします」 笑顔で応えるヴィオラだった。 持ち場の話し合いは進んでいく。 「僕達も、表町を回らせて貰うよ」 「よろしく」 パートナーである『カグヤ・ミツルギ』と一緒に、『ヴォルフラム・マカミ』は言った。 「地図を見る限りだと、倉がある辺りが気になってるんだ」 ヴォルフラムは地図で示しながら尋ねる。 「この国の消火は、どうするのかな? 火をつけさせないことが最善だけど、間に合わなかったら火の回りを斧で壊して、延焼を防ごうと思ってるんだ。壊さないで済むならそれに越した事はないと思うけどね」 これに素月が応える。 「延焼を防ぐために周囲を壊すのは、この国でも良くやることだ。最悪、それをするしかあるまい」 「……させない」 静かな声で、カグヤは言った。 「……水月様が、遠い目をしながら語ってた、キョウトの街並みは、壊させない」 決意するような、思い入れのある言葉に、素月が尋ねた。 「水月、とは?」 「ご先祖様」 カグヤは応える。 「元々は、この国の人。私の家族はアークソサエティに帰属したとはいえ、祖先はこの国のこの町に住んでいた一員。だから、壊したくない」 「なるほど。こちらの国に連なる血筋だったか」 家の因習にまつわる事情で、兄がアークソサエティに出奔している素月は、しみじみと言った。 「そちらの国にも、我が国の血筋は渡っているのだな。貴殿も、思う所があろう」 「? どういうこと?」 訝しげに聞き返すヴォルフラムに、素月は返した。 「主も、この国の血筋だと思ったのだが、違っていたのだろうか? どこか主は、我らの血筋に似たような気がしてな」 「……水月様も、マカミの末と言ってたけど……」 ヴォルフラムを驚かしては楽しんでいた水月の言葉を思い出し、カグヤは呟く。 これに素月は返した。 「マカミ? まさかとは思うが、それが名であれば大口真神様を祭る祭司の家系に連なる者の筈だが……と、すまぬ。今は、そうしたことを話している暇はなかったな」 素月は話を戻し、配置を決めていく。 「私達は、裏町を担当しようと思います」 地図を確認し終えた『セシリア・ブルー』が言った。 「私はマドールチェだから、魔術通信が使えます。ニコラさんが表町に行かれるなら、裏町の状況を逐次伝えようと思います。」 これにニコラが応える。 「分かった。可能なら、他にもマドールチェが居ると、連絡が取れて良いのだが」 これに素月が応える。 「生憎と我らの中には居ないが、街中を巡回している神選組の中には居た筈だ。火付けを見つけ応援を呼んだ時に、その中に居れば、事情を話せば協力してくれるだろう」 いざという時の話し合いも進む中、『リューイ・ウィンダリア』が提案する様に言った。 「僕は、魔力探知で確認しながら進もうと思います。火付けは魔術師が行うみたいですから、挙動に気付けるかもしれない」 これに素月が返した。 「そうして貰えると助かる。我らは匂いで探す予定だが、それ以外は分からぬ。万が一、時限式の発火魔術でもあれば、こちらでは気づけぬ。そうした物を見て貰えるとありがたい」 「はい、任せて下さい」 ハキハキと応えるリューイに、素月は和むような視線を向けた。 分担は次々決まっていく。 「私達も、裏町を担当しようと思います」 「おー、やるぞー」 握り拳を振り上げてやる気を見せる『ステラ・ノーチェイン』に、『タオ・リンファ』は苦笑しながら言った。 「皆さんと連携して事に当たりたいと思います。よろしくお願いします」 礼を込めて頭を下げるリンファに、真神武士団も頭を下げる。 そこに、キラキラと目を輝かせたステラが声を掛けた。 「なーなー、みんなっておおかみなのか?」 「ステラ!?」 リンファが慌てて止めようとするが、素月が笑みを浮かべながら手で制し、ステラに返す。 「狼の血を継く者もいれば、犬の血を継く者もいる。そのどちら共の血を継く者もおるよ」 「そっかー! おおかみもいぬもかー! てことはナツキとおんなじだな!」 「……ああ。家族だからな」 やわらかな声で応える素月。 それを聞いたステラは、どこか嬉しそうな笑顔を浮かべナツキに呼び掛ける。 「ナツキもいっしょに来るんだよな? がんばろうなー!」 「おう! 頑張ろうぜ!」 たたたっ、と駆け寄ってくるステラに、ハイタッチをしてやるナツキ。 そんな2人を苦笑して見詰めるリンファとルーノ。 それを見詰める素月は、笑みを浮かべ言った。 「主達となら、全力を出せよう。よろしく頼む」 「こちらこそ」 素月の言葉に、リンファは力強く返した。 「皆さんと一緒なら、心強いです。共にキョウトを守りましょう」 一致団結し、協力して皆は、キョウトを守るために走り出す。 陰陽師であるルーノやカグヤが禹歩七星で機動力を上げてくれたお蔭で、素速く駆けていく。 「ナツキ、気合が入っているな」 裏町を走りながら、ルーノは呼び掛ける。 「でも、焦ってはダメだぞ。私達だけでは無いんだ。仲間もいる。お互い、頼ればいい」 「ああ、分かってる」 笑顔でナツキは返す。 「真神武士団のみんなや神選組だって居る。あの騒動の後ってのもあるけど、一緒に戦えるのが嬉しい」 共に走っている従兄弟達や真神武士団に視線を向け、笑顔を浮かべ続ける。 「みんなで力を合わせたら何があっても負けたりしない。俺は、そう信じてるんだ」 祖父から貰った根付けを握り告げるナツキに、ルーノは穏やかな笑みを浮かべ返した。 「ああ、もちろんだ。そのためにも、頑張らないとな」 「おう!」 ナツキは力強く返し、最初の配置地点へと到達する。 「ここまでで、怪しい奴は見なかったな」 「ああ。まだ潜伏しているんだろう。恐らく、キョウトに進軍する者達の動きに合わせて火をつけるつもりだろうからね。だからこそ、今の内に見つけないと」 ルーノは少し考えて、ナツキに提案した。 「獣人変身して、匂いで探ってくれ。火を点けるための油の匂いや、多くの者が集まっている匂いがあれば知らせて欲しい。あとは――」 火付けを行う終焉の夜明け団は、ニホン以外の国の人間だという当たりをつけ、ルーノは続けて言った。 「ニホンで馴染みの無い香や整髪料等の匂いがあれば、それは外の国の者、潜入した敵である可能性もある。それを探れるか?」 「ニホンで馴染みのない匂いか……ってことは、いつも嗅ぎ慣れてる匂いを探せば良いってことかな?」 考え込むナツキに、ルーノも少し考えてから返す。 「そうだな……アークソサエティの者なら、それで良いだろうが、それ以外の国だと分かり辛いか。この国の匂い、というのも、普段から住んでいないと難しいかもしれない――」 「それなら私達で嗅ぎ取るぞ」 ナツキ達に同行していた、茜と葵が返す。 「慣れぬ匂いがあれば、それを探って知らせれば良いのだな」 「香や整髪料だけでなくとも、普段から食べている物で匂いが変わるものです。私達は、そちらを集中して嗅ぎ分けましょう。油の匂いや、人が集まっている匂いの嗅ぎ分けは、従兄弟殿に頼みます」 「おう、任せろ!」 ナツキは応えると獣人変身。 黒い毛色の大型犬に変身すると、長屋の屋根まで駆け上がり周囲を見渡す。 「絶対に見つけてやる」 気合を入れ、匂いを嗅ぎ分けていった。 放火を防ぐため、皆は見回りを続けていく。 「ここにいる人すべての命を、権力争いのためだけに使うだなんて」 裏町を巡りながら、リューイは呟く。これに同意する様にセシリアは返した。 「どうしようもないわね。権力に取り憑かれた人間というものは」 「させないよ」 リューイは決意する様に言った。 「玉藻様にはお世話になったもの」 「そうね。あのかわいいこぎつねさん達にも、怖い思いをさせたくないわ」 玉藻の社で働いている豆キツネ達のことを気遣いながら、セシリアも決意するように思う。 (縁を結んだ人が沢山いる。あの人たちの故郷を守ってみせる) 2人は小柄さを生かし、狭い場所にもするりと入り、なんらかの痕跡が無いかを探していく。 そうして見回りをする途中途中で、現地の人に会い挨拶をすると、人懐っこく応えが返って来た。 「こんにちは。あら、この辺やと見ぃへん子やねぇ」 「旅行で来たんです」 「そうなん? こっちは裏町やから、見ても面白いもんはあらへんよ。ひょっとして迷ったん? せやったら、表町まで連れていこうか?」 「いえ、大丈夫です。この近くに用事があるものですから。ありがとうございます」 気遣ってくれた女性に笑顔で返しながら、リューイはセシリアと共に見回りを続ける。 「まだ表町でも、何も見つかってないみたいね」 魔術通信で連絡を取るセシリアに、リューイは応える。 「まだ時間が来てないってことかな? 規模を大きくするなら、一斉に動くだろうし」 「でしょうね。だからまだ間に合うってことよ。未然に防がないと」 「うん!」 2人は何も見逃すまいと集中しながら、裏町の見回りを続けた。 見回りを続け、皆は少しずつ探索範囲を広げていく。 (一見すれば平和そうですね) 見回りの合間合間に、周囲の様子を確認しながらリンファは思う。 (しかし、多くの敵が潜伏しているはずです。見つけましょう) 決意するように思いながら見回りを続けるが、何も見つからない。 (まだ、動き出してないということでしょうか? いまなら未然に防げます。どうにかして、事前に見つけたい所ですが) どうするべきかとリンファが考えていると、ステラの声が聞こえてくる。 「見つけて来てくれたら、ごはんあげるぞ」 「ステラ?」 気付けば、いつの間にかステラは離れ。何故だか野良犬や野良猫に囲まれていた。 「どうしたんです?」 「マー、食べ物くれ!」 「え? なんでです?」 「ほーしゅーにするんだ! 見かけないやつらがいたら教えてくれって頼んだら、食い物くれたらがんばるって言ってくれたぞ」 「にゃー」 「わん」 「……え?」 タイミング良く帰ってくる鳴き声にステラが返すと、更に鳴き声が上がる。 (言葉が通じている……? いえ、どうしてほしいかが伝わっているのでしょうか。もしそうなら――) 「確かに彼らなら、見慣れぬ人物や油の臭いが判るはずですね」 少し考え込んでいると、真神武士達と出会う。 彼らにステラが事情を説明すると―― 「承知した。もし探せたなら、当家で召し抱えよう」 まじめな性格なのか、真顔で返してきた。 「よし! ならやるぞ!」 「わん!」 「にゃー!」 「ステラ、ちょっと待って下さい!」 勢い込んで走り出すステラと犬と猫に、慌てて追いかけるリンファだった。 裏町の見回りは進む。 同じように、表町の見回りは進んでいた。 「こちらは浄化師だ。話は聞いているだろうか?」 ニコラは表町の見回りをしながら、巡回しているマドールチェの神選組を見つけ声を掛ける。 「ええ、聞いてます。そちらは、なにか見つかりましたか?」 この問い掛けに、ニコラは念のため、周囲に聞こえないよう魔術通信で返す。 『表町と裏町に分かれて見回り中だ。怪しい者を見つけ次第、魔術通信で連絡を取り合うことにしている。火付けがされた際は、消火の協力も頼みたいのだが、出来るだろうか?』 『大丈夫。出来ます』 マドールチェの神選組は、少し離れた場所を見回りしている神選組に魔術通信で状況を連絡した後、再びニコラに返す。 『こちらの連絡網は、すでに作ってあります。私は貴方達の近くを巡回しますから、放火犯の連絡が来たら教えて貰えますか? 皆に伝えます』 『助かる。裏町で何かあれば、すぐに連絡が来ることになっている。来ればすぐにそちらに伝えるから、対処を頼む』 当たり障りのない会話を言葉で交わしつつ、外部からはバレ無いように魔術通信を使っているニコラに、ヴィオラは気付く。 (協力して貰えるみたいですね。これなら、いざという時も大丈夫。なら、私はダヌ様を守ることに集中しないといけませんね) ダヌと一緒に歩きながら、旅行客に見えるよう談笑する。 「綺麗な街並みですね」 「ええ、とても素敵ね」 微笑むダヌ。 ヴィオラも笑顔で返しながら、キョウトの街並みを見て思う。 (町並みをこんな風に整えるのはとても大変で時間も掛かるはずですよね。守りましょう、絶対に) ダヌの警護をしつつ、神選組とも連絡を取り合い、いざという時に動ける準備をしていく。 その時にすぐ動けるよう、見回りを続けていく。 (火を着けて、町を焦土にするつもりなら……風上から火を着けると思うから、風の流れから考えて――) 「風向きは、あちらからだから……こっちの方角を、重点的に探した方が良いと思う」 カグヤはヴォルフラムと共にひと通り見回りをすると、効率性を考え当たりをつける。 「放火犯は、魔術使ってる時点で、一般人じゃない。場当たり的なやり方じゃなくて、効率性を考えて動くはず」 カグヤの考えに賛同するヴォルフラム。 「こっちだね、カグちゃん。なら――」 (さて……僕も獣人変化して、匂いを追うとしよう) ヴォルフラムは獣人変化すると、金と青の瞳を持つ黒狼へと変わる。 その途端、嗅覚がガラリと変わった。 人では感じ取れない微かな匂いを嗅ぎ分け、匂いの向きや質や量すら知覚する。 (火を着けようとしてるのは終焉の夜明け団……つまり、ニホン人じゃない人が多数ってことだよね?) 膨大な種類の匂いを細かに分類しながら、ヴォルフラムはカグヤを先導する様に歩き出す。 (ニホンって高温多湿だからお湯に入るから、一般的なニホン人って体臭薄いんだよね) まずは、このキョウトの住人の匂いを嗅ぎ分け分類。 そこからさらに、異なる体臭を嗅ぎ取っていく。 (大陸の人は逆にシャワーで済ましちゃうから、自然と体臭強いんだよね。で、それを誤魔化そうと香水とかが発展したけど。まぁ、つまり――) 無数の匂いの中から、気になる物をピックアップ。匂いが何処から漂ってきたのかを判断し、探索する。 (国外の人が多ければ多いほど、誤魔化そうとしても無駄って事) 「見つけた」 「ヴォル?」 カグヤの呼び掛けに、ヴォルフラムは顔を上げ返す。 「ニホン人とは違う匂いの集まりを見つけたよ。多分、それが放火犯だ」 ヴォルフラムの応えに、カグヤはすぐに近くの神選組を見つけ状況を説明。 「放火犯を見つけたから、ついて来て欲しい」 説明を聞いた神選組は、すぐさま同僚に連絡。数人の集まりになった所で走り出した。 ライカンスロープの特性を使うことで、ヴォルフラムは先んじて敵の初動を見つける。 それはカグヤの考察や、ヴォルフラムの推測があったことも大きい。 2人と同じように、裏町を見回りしているライカンスロープの仲間が、敵の初動を嗅ぎつけた。 (この匂い) 獣人変身したあと、長屋の屋根に上り高い場所から匂いを嗅ぎ分けていたナツキは気付く。 (ニホンの匂いじゃない。それに、油の匂いもする) 気付いたナツキは屋根から降りると、すぐさま状況をルーノ達に伝える。 「あっちの方から匂いがする」 すると茜と葵も賛同した。 「私も同じだ、従兄弟殿」 「ええ。嗅ぎ慣れない匂いと、集まった人の匂い。まだ油の匂いは微かですし、火の匂いもしません。今の内に早く制圧しましょう」 3人の話を聞いたルーノは、獣人変身したままの3人に合せ走り出し、その途中でセシリア達に出会い状況を伝える。 「放火犯と思われる者がいる場所を、ナツキ達が嗅ぎ取ってくれた。すまないが、皆に連絡してくれないか?」 「分かりました」 すぐさまセリシアは頷くと、皆と現場に向かって走りながら魔術通信を使う。 『ニコラさん。裏町で、放火犯と思われる相手を補足しました』 『了解した。こちらも見つけた。既に神選組に連絡し、応援を寄こして貰えるように手配している。そちらの場所も教えてくれ。こちらから神選組に連絡する』 『分かりました。こちらの場所は――』 セシリアは走りながら、地図で確認した場所を連絡する。 そうしている間に、放火犯の居る現場に到着。 「なにしてんだ!」 口寄せ魔方陣で召喚した油を撒いている放火犯に向かってナツキは獣人変身したまま走る。 一気に走り寄ると、腕に噛み付き引き摺り倒す。 「なんだこいつ!」 放火犯は噛み付いてきたナツキに攻撃魔術を放とうとするが、ルーノが魔術弾を放ち牽制。 「ありがとな! ルーノ!」 ナツキは礼を返すと、獣人変身を解き、今度は剣を振るい敵を制圧していく。 そこに茜と葵が加勢。瞬く間に叩きのめしていく。 「くそっ!」 ナツキ達を手強いと見た放火犯は、一端その場を離れようとするが、そこにリューイが立ちはだかる。 同行してくれた真神武士達に戦闘乱舞を掛けたあと、逃げようとする放火犯の手足を次々に斬り裂く。 「テメェ!」 放火犯は反撃しようとするが、その時にはリューイは距離を取っている。 戦い慣れたヒット&アウェイで放火犯の足を止めていると、真神武士が助太刀に来てくれた。 次々に叩き伏せられる放火犯。 真神武士達のお蔭で戦闘から一端距離を取れたリューイは、魔力探知で周囲を確認。すると―― (火の魔方陣!?) 油を撒かれた付近に、火気の属性を持った魔方陣が幾つかあるのに気付く。 「セラ! あそこと、あっちとあっち! タロットカードを放って! 火気の魔方陣がある! セラの魔力属性なら相殺できるかもしれない」 水気の魔力属性を持つセシリアは、リューイの呼び掛けに応えタロットカードを放つ。 すると火気の属性を持った魔方陣は、タロットカードに断ち切られるようにして消え失せた。 放火犯を見つけ、被害を未然に防いでいく。 だが敵は裏町に何人も分散している。 それをステラとリンファは制圧していった。 「わんっ!」 「にゃーっ!」 「何してんだーっ!」 野良犬と野良猫に先導され放火犯を見つけたステラは、放火犯に向け吶喊。 スタンピングハンマーでぶっとばされる放火犯。 その勢いに放火犯は逃げ出そうとするが、リンファが先回りして斬り裂き無力化する。 放火犯を抑えるも、時限式の火気の魔方陣が発動。 すでに撒かれていた油に引火する。 「マー、火が!」 「今ならまだ大丈夫です!」 リンファは応えると、黒炎解放。特殊能力を使い発生させた津波で火を飲み込み消火した。 放火犯を抑え、火の延焼を食い止めていく。 「ヴォル、援護する」 「ありがとう!」 カグヤの助けを借りながら、ヴォルフラムは放火犯に吶喊。 獣人変身を解き、シーラビリンスを振り上げる。 放火犯は逃げようとするも、間に合わない。 ヴォルフラムの怒槌を叩き込まれ、一撃で戦闘不能になる。 倒すとすぐに、次の放火犯を見つけるために奔走する。 「あっちに、放火犯を倒しているから、捕縛をお願い」 次の場所に向け走りながら、神選組に連絡を告げ、2人は走り続ける。 表町の放火犯も、次々制圧されていく。 「そこまでだ」 獣人変身した真神武士の先導で放火犯の元に辿り着いたニコラは、放火犯に余計なことをさせる余裕を与えずグラウンド・ゼロを叩き込む。 まとめて放火犯が倒され、そこに魔力探知で周囲を確認していたヴィオラの声が飛ぶ。 「ニコラさん、そこに火気の魔方陣があります。水気の攻撃なら解除できそうです」 「分かった」 ヴィオラの言葉を聞いて、ニコラは水気の魔力属性を持つ真神武士に呼び掛け、魔方陣を無力化して貰う。 そこからさらに、ヴィオラが火気の魔方陣の在り処を示そうとするが、それに気付いた放火犯が襲撃してくる。 「そいつに喋らせるな! 後ろに居る女共々捕まえて人質にしろ!」 「させません」 ダヌを守るように、ヴィオラは前に立つ。 (ダヌ様は傷付けさせません。それに、他の場所で大量の敵と戦ってる皆さんの命綱かもしれませんもの。絶対に守ります) 決意を込めて立ち塞がるヴィオラに、賊が手を伸ばそうとした瞬間、それより早くニコラのパイルドライブが叩き込まれる。 「すまん。賊の制圧に時間を掛けた」 「いえ。ベストタイミングです、ニコラさん」 浄化師達は、真神武士や神選組と協力して次々制圧を終わらせていく。 迅速な動きのお蔭で、ほとんどが放火を未然に防ぎ、火が点けられたところもボヤですんだ。 これで残りは、玉藻の社と周辺を襲撃しようとする者達の対処のみ。 そこでも、浄化師達は活躍をみせていた。 ●玉藻の祟り神化を防げ! (玉藻様もキョウトの人たちも、あんなに楽しそうに笑っていたのに) 正月の初詣で訪れた時のことを思い浮かべながら、『リチェルカーレ・リモージュ』は呟いた。 「皆を犠牲にしようだなんて……」 その声は震えている。気付いた『シリウス・セイアッド』は、リチェルカーレを安心させるような落ち着いた声で言った。 「……あいつらの思い通りにさせない」 見詰めてくるリチェルカーレに視線を合わせ、シリウスは続ける。 「止めるんだろう?」 リチェルカーレは視線を合わせ、しっかりとした声で返した。 「ええ、皆で止めましょう」 静かに頷くと、決意を口にする。 「誰も死なせない。あの優しい玉藻様を祟り神になんて、させない」 リチェルカーレのまっすぐな応えに、シリウスは僅かに目を眇める。 誰も傷付けさせないと2人は誓い、成すべき事を成すために動いていく。 「地図があるなら、貰えると助かる」 シリウスは、今回協力体制をとる神選組のひとりに声を掛ける。 「地図は、今まとめて取りに行っている」 鬼の土方歳三はシリウスに返すと、2人に連いて来るよう促す。 「貴殿らの仲間が、地図を取りに行ってくれている。合流場所で渡すので、同行願う」 「はい、お願いします」 意気込みながら応えるリチェルカーレと、彼女に寄り添うように居るシリウス。 2人を見詰め僅かに口元を緩めると、土方は合流場所まで案内していく。 2人が向かう中、仲間の浄化師もそこに集まる。 「……あほらしいな」 合流場所に向かいながら、『ショーン・ハイド』は呟いた。 これに『レオノル・ペリエ』が尋ねる。 「どうしたの? ショーン」 「いえ――」 ショーンは僅かに顰めていた眉を戻し、いつもの口調でレオノルに返した。 「神を弄ぼうという、その考えが実に馬鹿馬鹿しいと思いまして」 「うん、そうだよね」 ショーンに同意しながら、レオノルは返した。 「今回の件で疑問に思うんだけど、百歩譲って祟り神を作って内乱が起きて植民地化が成功したとしてさ、祟り神やら地獄やら妖怪の影響を受けたこの国に、植民地としての魅力って残ってるのかな……?」 ため息をつくような間を空けて続ける。 「最悪、ぺんぺん草も生えないじゃんか。全部制御出来るとでも思ってるのかな。それってすごく傲慢じゃん」 「傲慢……確かに奴等には相応しい言葉です」 ショーンは頷く。 「どうにでも出来ると思っているのでしょう。あるいは、制御できなくても良いと思っているのかもしれません」 「それってさ、植民地化することだけしか考えてないってことなのかな……?」 「恐らくそうでしょう。この国は奇跡の塔に近い。かの地を攻めるため、中継基地としての機能さえあれば良いと思っているのかもしれません。それ以外の、この国に住まう命がどうなろうと、どうでも良いと思っているのでしょう」 「……良くないよ。生きてるんだよ、みんな」 静かに拳を握りしめ、レオノルは続ける。 「それに、玉藻様だって……」 レオノルは、なんじゃもんじゃとわだつみの力により、いま眠りについている玉藻のことを思う。 祟り神の状態から、最高位の八百万の神、2柱の慰撫によって守護神となった玉藻は、身近で大きな争い事や、近しい者達が殺されれば祟り神へと回帰する可能性がある。 それを防ぐため、いま眠りに就かせているのだ。 「玉藻様、記憶も封じられてるんだって……」 ぽつりと、レオノルは呟く。 それは過去の記憶があると、祟り神へと戻りかねないからだ。 封じられた過去は苦しく凄惨な物だけでなく、愛した者達の記憶も含まれる。 自分のために死んだ夫のことも、大事な娘のことを思い出すことすら許されず、それでも玉藻は、キョウトの守護をし続けているのだ。 「玉藻様を、祟り神なんかにさせるもんか」 「はい。もちろんです、ドクター」 ショーンはレオノルに応え、2人は合流場所に向かう。 その頃、社の周囲に住んでいる狐の妖怪から、『桃山・令花』と『桃山・和樹』は皆の地図を貰っていた。 「ありがとうございます」 「ありがとな! 助かるぜ!」 和樹は令花と共に礼を言うと、さらに頼みごとをする。 「大八車とか拡声器ないかな? あったら貸して欲しいんだ」 「大八車と拡声器? どないするん?」 「人を運んだり、避難する時に呼び掛け易いようにしたいんだ」 本来なら父のコネも借り、キョウトの行政府に力を借りたい所だったが、それは叶わなかったので、助けを頼む。 これに化け狐は返した。 「大八車やったら、用意出来るわぁ。やけど拡声器は、どないやろ。探して見つかったら、あとで渡しに行くわ」 「ありがとな! それじゃ、あとでまた!」 和樹は礼を言うと、令花と共に仲間の居る合流場所へと走っていく。 隣を見れば、決意を抱く姉の姿が。 その姿が嬉しくて、和樹は声を掛ける。 「姉ちゃん、頑張ろうな!」 「ええ、もちろんよ。誰も犠牲を出さない。出して堪るもんですか」 一抹の不安を滲ませる令花に、和樹は笑顔で返す。 「大丈夫だって! 叶花だって言ってくれただろ?」 「……そうね」 和樹の言葉に、令花は柔らかな笑みを浮かべる。 それはここに来る前、愛娘のように大事にしている、魔導書の叶花に話した時のことだ。 「あぶないとこ、いくの?」 心配そうに令花と和樹を見上げ訊いてくる叶花に、令花と和樹は、安心させるような笑顔を浮かべ応えた。 「大丈夫よ、叶花。私達だけじゃない、みんなもいるんだから」 「そうだぞ。みんな強いし、俺達だって頑張るんだ。心配しなくても大丈夫だぞ」 「……うん」 和樹に頭を撫でられた叶花は、それでも心配そうに近付くと、令花の服をぎゅっとつかむ。 そんな叶花に、令花は腰を落とし視線を合わせ言った。 「ママたち、どうしても行かなきゃなの。しばらくお留守番できる?」 視線を合わせる令花に、叶花は小さく頷く。 「うん。そのかわりおねがいがあるの」 「わかった、パパが叶えてやる。願い事言ってみな?」 和樹も腰を落とし視線を合わせながら聞き返すと、叶花は言った。 「……ママもパパも、なかまのひともみんな、ぶじにかえりますように」 そして令花と和樹に、ぎゅ~と抱きつく。 2人は抱きしめ返すと、頭を撫でたあと―― 「行ってくるな、叶花」 「行ってきます、叶花」 「うん。いってらっしゃい」 叶花に見送られ、そして今、ここに居る。 「帰ったら、土産話のひとつでも話してやらないとな」 「ええ。そのためにも、頑張るわよ」 2人は意気込み走り、皆との合流地点に到着。 先に来ていたシリウスとリチェルカーレ、そしてショーンとレオノルに地図を渡す。 「どうぞ、みんなの分があります」 神選組も受け取って、ブリーフィングを開始する。 「何よりも、被害を出さないことを第一にしたいです」 リチェルカーレの言葉に、和樹と令花が返す。 「それなら、俺達は住人の避難をしておくよ」 「先程、化け狐さん達に連絡を取っておきました」 これにシリウスが返す。 「分かった。なら避難誘導のルートを教えてくれ。住人に被害が出ないよう、そちらに合せる」 「はい。でしたら、ルートは――」 令花が詳細を伝え、神選組も状況を確認。 「……このルートなら、普段の巡回路を工夫すれば対応できる」 神選組が応え、具体的な配置を詰めていく。 その中で、レオノルは言った。 「確実に攻めて来るのが分かるのは玉藻様の居る社だから、ここは範囲攻撃が出来る私が配置に就くよ」 「なら、私も社の配置に就きます」 リチェルカーレがレオノルの言葉に続ける。 「レオノル先生を守る人が要ると思いますから。それに私は陰陽師ですから、いざという時は回復も出来ます」 リチェルカーレの言葉に、シリウスは心配そうな視線を向けるが、すぐに彼女を信頼し地図に視線を戻し言った。 「2人が社に行くなら、俺は周囲の警戒に当たる」 「遊撃役というわけだな」 シリウスの言葉に、ショーンが続ける。 「なら俺は援護に動こう。身を隠しつつ狙撃が出来る個所を重点的に動こう」 地図で適した場所を確認し、それが間違いないか神選組に聞いたあと、ショーンは総括する様に言った。 「社の防衛役にドクターとリチェ、護衛として神選組。周辺部の遊撃手にシリウスが就き、神選組も同行。その上で狙撃手として俺が就く、という配置だな。攻撃に全振りするような配置だから、住人の避難に関しては任せる」 「ああ、任せてくれ!」 和樹が力強く応える。 「出来れば、戦闘の大先輩であるシリウスさんの背中を追い駆けたかった所だけど、今回は住人の安全に集中するよ。誰も被害を出さないよう、頑張ろうぜ!」 和樹の呼び掛けに、皆は応えた。 そして配置に就く。 いつ敵が襲撃してきても対応できるよう体勢を整えていると、その時はやって来た。 (後ろから、つけているな) 社の周辺を巡回していたシリウスが、最初に気付く。 まとわりつくように殺気が投げつけられ、次いで攻撃魔術が放たれる。 不可視の風の刃。 それが到達する頃には、すでにシリウスは動いている。 半歩体をずらすことで風の刃を回避。 即座に攻撃して来た背後に向き直ると、敵を視認するや突進する。 すでにリチェルカーレに禹歩七星を掛けて貰っていたシリウスは、瞬く間に間合いを詰めた。 敵は迎撃しようとするが、シリウスの速さに追い付けない。 ソードバニッシュによる瞬速斬撃が、敵魔術師の足を斬り裂いた。 足を斬り裂かれ、動きが鈍る敵。 だが敵は1人ではない。後ろに控えていた剣士が、シリウスに襲い掛かろうとして―― ギンッ! シリウスに同行していた土方が迎撃する。 危なげなく斬り伏せながら、シリウスに呼び掛けた。 「今の内に皆に知らせてくれ」 すぐさまシリウスは、持って来ていた黄金ホイッスルを取り出し鳴り響かせる。 同時に、それを合図にして化け狐達が狐火を空に向かって打ち上げ、敵の居場所の大雑把な位置を皆に伝えた。 狐火を確認した皆は、即座に動き出す。 「避難してください。誘導します」 「慌てなくて良いからな。動けない人が居たら言ってくれ。こいつに載せて運ぶから」 令花が落ち着いた声で皆を誘導し、和樹は用意して貰った大八車に、足の不自由な年寄りを乗せ避難場所まで走り出す。 「姉ちゃん、Bルートで良いんだな?」 「ええ。そちらの方が交戦場所から離れてる。迂回する形になるけどお願い」 令花は、打ち上がる狐火を逐次確認し、最適ルートを計算。和樹に指示を出しながら、神選組と共に避難を進めていく。 敵の思惑を、初手から挫いていく。 それは社も同じだ。 「ここには近づけさせないよ!」 社の防衛に就いていたレオノルは、敵の集団が現れるなりソーンケージを放つ。 捧身賢術を3重に掛けていることもあり、その威力は素晴らしい。 敵の集団を魔力の茨で絡めとり、切り裂いていく。 そこでレオノルは前に出る。 (社に近付けさせるもんか) 自分の身の危険も顧みず、それよりも玉藻を守るため自身を危険に曝す。 その隙を突こうとするように、横手から突っ込んでくる敵もいたが、そこにリチェルカーレが立ち塞がる。 「行かせません」 雷龍を召喚し、敵を牽制。レオノルの傍には近づけさせない。 「レオノル先生。守りますから攻撃に集中してください」 「ありがとう。でも無茶しちゃダメだよ」 レオノルは礼を返すと、敵をギリギリまで引き付けてソーンケージ。大きく切り裂かれ、敵の動きが鈍る。 けれど敵の数は多い。 ソーンケージから逃れた者が、リチェルカーレに襲い掛かろうとするが、それを護衛の神選組が制圧する。 リチェルカーレを守るように一人の剣士が前に立ったかと思うと、次の瞬間には一息で3か所を刺して倒す。 「ありかとございます」 リチェルカーレが礼を言うと、護衛に入った剣士、沖田総司は童顔の顔を向け軽い声で返す。 「いやいや、むしろこっちがお礼を言う所だよ。2人のお蔭でこっちは、かなり楽してるよ」 そう言いながら、リチェルカーレを守るように動いていく。 リチェルカーレに護衛が就いているように、レオノルにも護衛が就いており、近付く敵は斬り伏せられる。 攻撃と回復の要を落とせず焦った敵は、囲んで一斉に襲い掛かろうとしたが、そこにマッピングファイアによる無数の鬼火の弾が降り注ぐ。 「ありがとう! ショーン!」 レオノルの声に手を振った後、ショーンは他の場所の援護に向かうため走っていく。 状況は、明らかに浄化師達に優勢。 そもそもの力量で、浄化師達にかなりの分があった。 だが、敵もさるもの。幾人かは、尋常ならざる力量を見せる者も。 その1人と、シリウスは対峙していた。 「死ね!」 凄まじい剛剣を、シリウスは避けることなく弾いて捌く。 敵は双剣使い。手数が多く、しかも一撃一撃が重い。 その全ての攻撃を、シリウスは避けない。 自分の身を危険に曝してでも倒すという気迫と共に、シリウスは敵と斬り合う。 斬り合うごとに、戦い以外の全てが消え失せそうになる。 けれどそこから引き戻すように、リチェルカーレの言葉が脳裏に浮かび上がる。 「無茶をしないで」 それがシリウスを踏み止まらせていた。 死線から半歩、シリウスを遠ざける。 その分、攻撃の苛烈さは抑えられるが、守りは厚くなる。 少しずつ少しずつ、シリウスが敵を追い込んでいく中で、このままでは勝てぬと見た敵は、捨て身の攻撃に出た。 防御を無視した一撃を放とうとする。それに合わせるように、シリウスも死線に踏み込もうとした所で―― 「そいつを怪我させたら可愛いパートナーに泣かれちまうからな」 援護に来てくれたショーンの狙撃が、敵の肩を撃ちぬく。 その瞬間、シリウスは一気に攻勢に出る。 敵は持ち堪える事など出来ず、打ち倒された。 「助かった」 「そうか」 短く言葉を交わし、シリウスとショーンは戦いに戻る。 社の襲撃者はすでに制圧され、周辺の敵も、シリウスとショーンの活躍もあり、ほぼ押さえられている。残りは、神選組で対処できるだろう。 だから、残りは避難した住人達の所のみ。 そこを和樹と令花は必死に守っていた。 「大切な人を守る!」 皆を守る覚悟を込めた魔術真名を唱え、和樹と令花は必死に守る。 「これ以上一歩も近付けさせねぇ!」 自分自身の身体を壁にするようにして、和樹は敵の進撃を防ぐ。 絶対防御ノ誓イで守りを強化し、タワーシールドを構え敵にぶつかっていく。 そこに敵は攻撃を加えようとするが、令花の援護が飛ぶ。 「和くん!」 令花のルーナープロテクションが発動。 月の女神の祝福により、令花と和樹を守護する運命力を向上させ、敵の勢いを削いでいく。 これによりギリギリで持ち堪える。 神選組が護衛でいてくれることもあり、住人に近付けさせないでいた。 けれど敵の数が多い。少しずつ、押されていく。 それでも、和樹と令花の目には諦めは浮かばない。 なぜなら、仲間が居るからだ。 「遅くなった」 シリウスが応援に駆けつけると、敵を斬り伏せていく。 さらにそこに、ショーンの狙撃が。 次々打ち倒される敵を見て、和樹は武者震いのような震えを感じ取る。 (すげーっ! やっぱ強ぇっ!) 自分の先の先に到達しているシリウス達の力に、目を輝かせながら戦う和樹だった。 そして決着は訪れた。 浄化師の奮闘で、誰一人として被害を出さず敵を制圧することが出来た。 「念のため、周囲の見回りをして来る」 「悪いが、ここは頼む」 「ああ、任せてくれ!」 和樹はシリウスとショーンに手を振って送り出すと、自分達は避難させていた住人のケアに当たる。 「もう大丈夫です。手分けをして家まで送り届けますから、安心してください」 令花は避難民を安心させるように呼び掛け、神選組に頼んで見送りの手配に動く。 「よく頑張ったな。みんなえらいぞ」 和樹は子供達に声をかけ、時に遊んでやりながらケアにあたった。 そうして事態の鎮静が図られる中で、町の巡回に当たっていたリューイとセシリア、そしてリンファとステラが、連絡のために社にやって来る。 「こちらは制圧が終わりました。火事もボヤですんだので大丈夫です」 リューイの言葉に、社に居たリチェルカーレとレオノルは、ほっと息をつく。 「良かった。みんなは、怪我はない?」 リチェルカーレの言葉に、セシリアは笑顔で応える。 「はい、大丈夫です。いま魔術通信で連絡を取りました。こちらは、どうですか? 応援が必要なら、連絡します」 「ありがとう。でも大丈夫」 リチェルカーレが笑顔で応えていると、社から玉藻がやって来た。 「みんな、どうしたん? 怪我をしとるん?」 心配そうな声で、皆に呼び掛ける。 その声は優しくて、皆を想いやっているのが伝わってくる。 玉藻は、今ここで何があったのかを知らない。 祟り神化を少しでも防ぐため、気付かないように眠りに就かされ、場合によっては、記憶を更に封じられていただろう。 玉藻は何も知らない。 それでも浄化師達の身を案じ、気に掛けていた。 「……っ」 玉藻を見ていたレオノルは、走り寄るとぎゅっと抱きしめた。 なぜレオノルが抱きしめてくれたのか、玉藻は知らない。 それでも、玉藻は小さな子供にするように、優しく抱き返しながら言った。 「ありがとうね」 そんな玉藻を見て、リンファは思う。 (玉藻様……以前カチーナ様は言っていました。およそ600年前に祟り神になられたと。当時の被害はどれほどだったのでしょうか……でも今回は、違う) 浄化師達を思いやる玉藻を見て、確信するリンファだった。 かくしてキョウトの騒動は終わりをみせる。 浄化師達の活躍により、被害を最小限に抑え、誰も傷付けさせず、全ての敵を制圧出来た。 キョウトの平和を守り抜いた、浄化師達であった。
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*** 活躍者 *** |
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[32] 桃山・和樹 2020/08/21-23:16
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[31] ヨナ・ミューエ 2020/08/21-22:17
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[30] レオノル・ペリエ 2020/08/21-21:59
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[29] カグヤ・ミツルギ 2020/08/21-21:38
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[28] ルーノ・クロード 2020/08/21-21:32
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[27] タオ・リンファ 2020/08/21-20:59
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[26] リチェルカーレ・リモージュ 2020/08/21-20:05
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[25] リチェルカーレ・リモージュ 2020/08/21-20:04 | ||
[24] クリストフ・フォンシラー 2020/08/21-19:58
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[23] リューイ・ウィンダリア 2020/08/21-19:00
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[22] 桃山・令花 2020/08/21-18:14
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[21] ヴィオラ・ペール 2020/08/21-17:11
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[20] リコリス・ラディアータ 2020/08/21-09:26 | ||
[19] ルーノ・クロード 2020/08/21-01:56 | ||
[18] ヴォルフラム・マカミ 2020/08/20-23:36
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[17] クリストフ・フォンシラー 2020/08/20-23:12 | ||
[16] リューイ・ウィンダリア 2020/08/20-22:29
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[15] ヴィオラ・ペール 2020/08/20-21:33 | ||
[14] クォンタム・クワトロシリカ 2020/08/20-12:04
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[13] 桃山・令花 2020/08/20-08:38
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[12] ヴォルフラム・マカミ 2020/08/20-01:49
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[11] ルーノ・クロード 2020/08/19-22:33 | ||
[10] リチェルカーレ・リモージュ 2020/08/19-18:26
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[9] クリストフ・フォンシラー 2020/08/18-23:59 | ||
[8] リューイ・ウィンダリア 2020/08/18-23:56
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[7] ニコラ・トロワ 2020/08/18-23:21 | ||
[6] レオノル・ペリエ 2020/08/18-22:23
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[5] リコリス・ラディアータ 2020/08/18-15:34
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[4] ルーノ・クロード 2020/08/18-08:38 | ||
[3] リチェルカーレ・リモージュ 2020/08/17-22:28 | ||
[2] クリストフ・フォンシラー 2020/08/17-22:07
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