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リザルトノベル『海魔海戦アボルダージュ』
『スケール4ベリアルとの戦闘・前衛』 参加者一覧
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『スケール4べリアルとの戦闘・後衛』 参加者一覧
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『船内および甲板活動』 参加者一覧
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リザルトノベル
●べリアルを打ち倒せ!
ホープ・スワローに立ち塞がる、スケール4べリアル「カース」と、スケール2べリアルの群れ。
排除すべき脅威を前にして、浄化師達は全力で立ち向かっていく。
即座に配置に就くと、まずは前衛にあたる浄化師達が出陣する。
「黄昏と黎明。明日を紡ぐ光をここに」
魔術真名を唱え、『リチェルカーレ・リモージュ』と『シリウス・セイアッド』は戦いに挑む。
「気をつけて」
「お前こそ」
信頼と気遣いを言葉に乗せて、リチェルカーレとシリウスは視線を交わす。
2人はそれぞれ決意を胸に、先陣を切る。
中央にシリウス。左翼にリチェルカーレ。
そして右翼に当たる配置に就くのは『ナツキ・ヤクト』だ。
「その牙は己の為に」
魔術真名を唱え、疾走開始。
「すぐに追いつく! 1人で無理をするな!」
先に走り出したナツキの背に声を飛ばすのは、パートナーである『ルーノ・クロード』。
「分かってる!」
ナツキは力強く返し、全力で疾走する。
今回の戦闘にあたって浄化師達は、それぞれの足の速さや役割を考え初期配置に就いている。
そのため、陣形を組んだ状態で進んでいた。
最初に距離を詰める先陣の3人。
その後方に、即座に援護ができる距離を保ち仲間の浄化師達が続く。
「月と太陽の合わさる時に」
魔術真名を唱え走り出すのは、『アリシア・ムーンライト』と『クリストフ・フォンシラー』。
「すぐに追いつくから。悪いけど、少しだけ時間稼ぎを頼むよ」
「はい。任せて、下さい」
クリストフの信頼に応えるようにアリシアは返し、走り出す。
共に指令をこなし、絆を深めた今では、2人は背中を任せられる相棒でもある。
相手を気遣う気持ちと共に、互いを信じ戦いへと挑む。
そうした信頼を抱き進むのは、他の浄化師達も同じだ。
「イーザ・イーザ・イーザ」
苦難と安らぎと運命を共に。
魔術真名に込めた誓いと共に信頼を込め、『鈴理・あおい』と『イザーク・デューラー』は走り出す。
「あおい。俺は上空から攻撃を続ける」
「敵の意識を分散させるんですね」
デモンであるイザークは、種族の特技である天空天駆が使える。
今回、魔女が掛けたスカイウォークと合わせれば、より一層上空からの攻撃を巧くこなすことができるだろう。
あおいとイザークの2人は、短く言葉を交わすだけで互いの意図を読みとり、戦いへと挑む。
そうした信頼で、心配を飲み込み戦いに挑むのは『テオドア・バークリー』と『ハルト・ワーグナー』だ。
「共に行こう」
魔術真名を唱え、テオドアとハルトは全力で走り出す。
2人の配置は、右翼後方。
敵への主力攻撃ではなく、仲間の攻撃支援や、敵に援護が来た際に対応することを意識した配置だ。
先に進むのは、近接戦を主体としたテオドア。
その後方に、いつでも援護できるようハルトが就いている。
共に疾走を続けながらハルトは思う。
(テオ君が心配だけど、信じて後ろにいろって言われたから我慢だ)
叶うものなら、この瞬間もテオドアの前に立ち、あらゆるものから守ってあげたい。
けれどハルトは、テオドアの意志を尊重し、その想いを飲み込む。
パートナーを守りたい。
それは前を走るテオドアも同じだ。
(ハルは、俺が守らないと)
2人は互いを守りたいと願いながら、戦いへと挑んでいく。
そうしたパートナーを気に掛けながら戦いに挑むのは、『ラビオン・ノーティス』も同じだ。
(ボクが気を付けないと、無茶しちゃうだろうな)
ラビオンはパートナーである『ロディアス・デンファーレ』の高揚した表情を思い出しながら、全力で走っていく。
並走するロディアスは、今この時も楽しげだ。
戦いに赴く前、ロディアスは少しだけ思案気に言っていた。
「うーん……初めての戦いがこんな危険な場所でいいのかな……」
けれどすぐに意識を切り替えるように、あっけらかんと言いきったのだ。
「ま、いっか。きっとわくわくする戦いになるはず」
清々しい表情の彼女と、彼女に付いて行くラビオンに、心配した魔女が念入りに防御を強化する魔法をかけ。
2人はカース討伐に向け、全力疾走をしていた。
先陣を切って前衛が出陣すると、間髪入れず後衛が戦場へと踏み出す。
「闇の森に歌よ響け」
魔術真名が、開戦の火蓋を切るように響き渡る。
凜とした声は重なり、『リコリス・ラディアータ』と『トール・フォルクス』の魔力回路は完全開放された。
膨れ上がる力。
2人は、その力に振り回されることなく、スケール2べリアルの群れへと向かって行く。
「ここは俺達が抑える! だからカースに集中してくれ!」
トールは前衛の仲間を見送りながら、リコリスと共に敵の制圧に動く。
目指すは敵の中央。
カースを倒すべく向った前衛の助けとなるべく、スケール2べリアルを蹴散らす勢いで突進した。
2人に続くようにして、左右の両翼からも浄化師達は突き進む。
左翼からは、2組の浄化師が前に出る。
「ドント・フォーギブ」
全力疾走で前に出ながら、『エフド・ジャーファル』と『ラファエラ・デル・セニオ』は魔術真名を唱える。
「敵の動きは私が見るから、おじさんは戦いに集中して」
「分かった。それなら優先順位は、海上で襲い掛かってくる敵を第一に。船に向かうのは、護衛に就いてくれる仲間に任せよう」
ラファエラとエフドの2人は、役割を分担し最適な立ち回りを即座に判断する。
(船上にはウボーやミューエ達がいる。任せても問題はない。俺達は、後衛の仲間の援護を中心に動いた方が良い)
エフドは、仲間の浄化師達と敵の戦力を見極め、即座に判断する。
それは、これまでの戦いの中で得ることの出来た経験があったればこそ。
熟練の戦士としてエフドは、パートナーであるラファエラと共に戦いに挑んでいく。
左翼から海上へと降り立つのは、『エリシャ・ヘス』と『イグナシオ・ヴァルデス』も同様だ。
「群れの端から攻めていこう」
敵であるスケール2べリアルの群れを観察し、イグナシオはエリシャに指示を出す。
「挟撃されないよう、気をつけて」
これにエリシャは笑顔で返す。
「はい、お兄様。囲まれてしまったら大変ですものね」
そこまで言うと、悪戯っぽい響きを込めて続ける。
「でも、お兄様。もしかしてエリーがタコにもみくちゃにされるのを見たいですか? そうして欲しいなら、がんばりますね」
イグナシオの気を引くための、エリシャの言葉。
戦いに挑む前であろうと、いつもと変わらぬエリシャに、イグナシオも同じくいつものように返す。
「大した余裕だね。馬鹿言ってないで真面目にやりなさい」
さらりと流すイグナシオに、エリシャは変わらぬ笑顔で応える。
「はい、エリーの美人局にかかったのから蜂の巣にしちゃってください」
いつものような2人の会話。
それは戦いの前の余計なこわばりを消してくれる。
これまでと変わらぬまま、2人は共に戦場へと向かって行った。
中央と左翼が出陣すると同時に、残りの右翼からも浄化師は戦いへと向かう。
「張り切りすぎないでね、カグちゃん?」
出陣を前に、『ヴォルフラム・マカミ』はパートナーである『カグヤ・ミツルギ』に声を掛ける。
「ん、大丈夫」
返すカグヤは意欲を見せる。
「体力の少ない私が、そんなに役に、立つとはおもえないけど、陰陽師として、がんばる」
意気込むカグヤに、ヴォルフラムは心配するように返す。
「それで君が倒れちゃったら意味ないんだからね?!」
カグヤのことが大切で大事なヴォルフラムは、心の中で決意する。
(カグちゃんは、僕が守らないと)
その決意が込められた魔術真名を2人は唱え戦場へと向かう。
「君守ると誓う」
ヴォルフラムはカグヤを守るように前に出て、カグヤは少しでも皆の力になるように、戦いに挑む。
そうしたパートナーのことを心配するのは、『マリオス・ロゼッティ』も同じだ。
「シィ。僕が前に出て戦うから」
パートナーである『シルシィ・アスティリア』に、マリオスは戦う前に呼び掛ける。
シルシィは頷きながら、マリオスと共に戦場に向かって行く。
「ん、分かった。援護するから、任せて」
意欲を見せるシルシィ。
そんな彼女に、マリオスは更に心配するようなことを口にしそうになるが、飲み込む。
(シィは子供じゃない。僕の、パートナーなんだから)
少し前の指令で、シルシィが口にした言葉を思い出しながら、マリオスは決意する。
(それでも、僕がシィを守らないと)
想いを胸に、魔術真名を唱える。
「我らの意志の元に」
シルシィの差し出した手をマリオスが取り、魔力回路を開放した2人は、戦いへと挑んでいった。
パートナーとの絆を胸に、戦いに挑むのは『ジークリート・ノーリッシュ』と『フェリックス・ロウ』も同じだ。
「わたしはあなたを守ります」
「僕は貴方を守ります」
片手の掌を合わせながら、ジークリートとフェリックスの2人は魔術真名を唱える。
「フェリックス、援護するから。それと周囲の警戒もするから、戦いだけに集中して」
「はい、分かりました」
言葉は短く。
けれど、お互いのやるべき事を理解し合い、2人は戦場へと向かう。
半竜であるジークリートは翼を広げ、魔女によって掛けられたスカイウォークも駆使し、鋭く海上へと舞い降り。
即座に片手弓であるスナイピニアンを撃ち出す。
攻撃を受けたイカ型のべリアルは襲い掛かろうとするが、天空天駆を使い空中に一端離脱。
べリアルがジークリートに気を取られている間に、距離を詰めたフェリックスが両手鎌シールド・サイズを振るい斬り裂いた。
2人は連携を取りながら、べリアルに対峙していく。
そうして浄化師達は、船から敵の待つ海上へと次々降り立つ。
戦いは始まっていき、それは船に残った浄化師達も同様だった。
「ご武運を」
海上に降り立つ浄化師達を見送り、『ヨナ・ミューエ』は魔女の元に向かう。
パートナーである『ベルトルド・レーヴェ』は、甲板警護を目的にヨナとは一端分かれ動いている。
「こいつはいいな」
ベルトルドはスカイウォークに慣れるため、空中を踏みしめ船のマストを駈け上る。
頂上に登ると周囲を警戒。船の周囲のべリアルが登って来るなら、即座に仲間に知らせる態勢を取っていた。
その間に魔女の元に向かっているヨナは、胸中で今回の不穏さを思う。
(待ち伏せされたということは、内通者が)
知らず眉を寄せるヨナに、指令で何度か同行したことのある魔女セパルが声を掛ける。
「なにか気になることあるの?」
これにヨナは、一瞬言い淀むように間を空けて返す。
「あまりにも襲撃のタイミングが出来過ぎてる気がして」
これにセパルは、あっさりとした口調で返した。
「情報が抜かれてるんだろうね」
「……なにか知っているんですか?」
移動しながら訊き返すヨナに、セパルは魔女達の元に誘導しながら返した。
「ヨセフ君、敵が多いからね。人類の敵にネタを売ってでも嫌がらせをしたい奴らが居るんだよ。だからさ、そんな奴らの思惑なんてぶっ飛ばすためにも、ここは勝たないと」
これにヨナは不敵な笑みを浮かべ返す。
「ええ、そうですね。売られた喧嘩は、勝たないといけませんから」
そのための一環として、ヨナは魔女達に協力する。
浄化師達に掛けられている魔法の安定化のため、魔女の指示に従い自分の魔力を魔方陣に注ぎこんでいった。
同じように魔女に協力しているのは『ロゼッタ・ラクローン』と『クロエ・ガットフェレス』。
「病み上がりにはキツイよ~」
魔女達の指示に従い、魔方陣に魔力を注ぎこみながらロゼッタは疲れたように言う。
なにしろロゼッタは、風邪で寝込んで治ったばかりの所で船に乗り、今回の騒動に巻き込まれているのだ。
「大丈夫? 無理はしないようにね」
心配するように、パートナーであるクロエは声を掛け、ロゼッタの分もこなすように魔力を魔方陣に注ぎこんでいく。
そこに、指令で何度か同行したことのある魔女セパルが近付き声を掛けて来る。
「ごめんね。無理させちゃって」
そう言うと、包装された飴玉をひとつ手渡す。
「元々は船酔い用のハッカ飴だけど、疲労回復の魔法をかけておいたから。のどの痛みとか楽になるよ」
セパルから飴玉を受け取ったロゼッタは、試しに口に入れる。
「どう?」
クロエの問い掛けに、甘く清涼感のある飴を味わいながらロゼッタは返す。
「少しだけ楽になった気が、するような?」
そして気を取り直すように、魔方陣に魔力を注ぎ込んでいった。
魔女に協力することで、浄化師達に掛けられている強化魔法の威力は増す。
そうして魔女の魔法に協力している浄化師が居れば、船上の片付けに動く者も。
「ユア、この樽は戦う時に邪魔になるから、船内に片付けておこう」
べリアルが船に上陸した際に有利になるよう、『スィニ・サラマ』は『ユリア・ハルマ』と共に船上の片付けに動く。
2人は無駄なく動き、次々に片付けを終わらせると、いつベリアルが乗り込んで来ても戦えるよう準備を整えていく。
「初陣が防衛戦、か……ボクららしくていいんじゃない?」
戦闘前の余計な強張りをほぐすように、ユリアはスィニに声を掛ける。
声を掛けられたスィニは、少しだけ思いつめるような間を空けてユリアに言った。
「ユア、あまり前にでないように。約束、できるかい?」
これにユリアは視線を合わせ応えた。
「スゥ……守れない約束は、したく……ない」
明確な意思を瞳に宿し、誠実にユリアは返す。
そんな彼女にスィニは、仕方ないなと言うような苦笑を浮かべる。
「うん……分かった」
スィニはユリアの意思を尊重しながら、彼女を守るという意志を胸に抱き、戦いに挑もうとしていた。
そうした船上の片付けに他の浄化師達も動いていた。
「アリア、重くないかい? 疲れているなら私が運ぶから休んでいて良いんだよ」
「……」
樽を転がしながら船内に運ぶ『アリア・トリルビィ』に、パートナーである『コナー・アヴェリン』が付き添うよう一緒に歩く。
「……」
喋ってないで手伝って。
そう言いたげな視線を向けるアリア。
慌てて持ち上げるコナー。
「……」
「え? 大丈夫、これぐらい1人で持って行けるよ」
無言のまま視線を向けるアリアに、朗らかな笑顔を浮かべ返すコナー。
アリアはマドールチェなので魔術通信が使えるが、今は使った様子がない。
だというのに、視線だけでアリアの意図が読めるのは、強い想いゆえか。
傍から見ると、ほとんど特殊能力であったが。
そうして樽を移動させる途中で、コナーは船のマストをちらりと見る。
「……」
なに考えてるの?
そう言いたげなアリアに、コナーは誤魔化すように返す。
「ああ、別に何でもないんだよアリア。本当に、本当に何でもないんだよ」
力強く返すコナー。
「……」
なんだか嫌な予感がするんだけど。
アリアは、そう言いたげな視線を返すと、軽くため息をついて、コナーと一緒に樽運びを急いだ。
他に視線を向ければ、パートナー以外の浄化師達と協力して動く者達も。
「cooking and science」
魔術真名を唱え、『ニコラ・トロワ』と『ヴィオラ・ペール』は、それぞれ役割を分担して動く。
そんな2人に連携して動くのは、『リューイ・ウィンダリア』と『セシリア・ブルー』だ。
「あと少しで、前衛がスケール4ベリアルと接触する」
船のマストに登っていたニコラは、全体の哨戒にあたる。
マドールチェであるニコラは、魔術通信が使える。
そのため離れている相手にも伝令を行えるので、この行動はかなり有効だ。
そんな彼が、いま魔術通信を使い連絡したのは、甲板から哨戒をしていたセシリア。
「はい、分かりました。甲板の状況は、だいぶ進んでいます。このままいけば、べリアルに乗り込まれる前に準備は出来そうです」
セシリアもマドールチェであるため、魔術通信を双方向でニコラと行うことができる。
全体の哨戒をニコラが行い、甲板上からの哨戒と情報伝達をセシリアが担っていた。
「何かあれば、また連絡する。その時は、周囲に伝達を頼む」
ニコラの伝達にセシリアは返し、少しでも自分ができることを成し遂げようと奮闘する。
(私は私にできることを)
懸命に、セシリアは自分ができることを精一杯こなしていった。
そして彼女と同じように、パートナーであるリューイも、自分ができることを精一杯こなしている。
(皆の戻る場所を守らないと)
リューイはヴィオラと協力して、縄で甲板の備品を固定していく。
少しでも作業の速度を上げるため、船員の指示を仰ぎ、素早くこなしていく。
「これで、良し。ヴィオラさん、残りは僕が作業しておきますから、セラと一緒に魔女さん達に協力をお願いします」
「はい。なら、お願いします」
ヴィオラはリューイに言葉を返すと、セシリアと合流する。
「セラちゃん、一緒に行きましょう」
「はい」
2人は連れ立って、魔法をかけている魔女達の元に行くと、魔法を安定化させるため魔方陣に魔力を注ぎ込んでいった。
浄化師達の素早い動きで、甲板には余計な物がなくなる。
これにより、仮にベリアルが甲板の上に乗り込んで来ても、戦闘時には浄化師達に有利になるだろう。
魔女の魔法の安定化も終わり、あとはべリアルを迎え撃つ態勢を整えるだけ。
そうして、いつでも戦える態勢を整え終った者達も。
(前衛で戦えれば良かったんだけど)
ベリアルとの戦闘に向う仲間の浄化師達。
彼らと彼女達を目の端に捉えながら、魔女へのサポートを終わらせた『ベルロック・シックザール』は、自分ができる最善を目指す。
戦闘態勢を整える彼に寄り添うのは、パートナーである『リントヴルム・ガラクシア』。
「やっぱり戦いたい? ベルくん」
「正直に言うと、戦いたい」
ベルロックの応えに、リントヴルムは肩をすくめるようにして返す。
「僕達まだまだひよっこなんだから、無理は禁物だよ。それに――」
視線を合わせ、リントヴルムは続ける。
「今ベル君に死なれちゃ困るしね」
それは共に目指す、探し人に出会うために。
そして、リントヴルムを失わないために。
絡み合う複雑な想いを言葉に込める。
「分かってる」
ベルロックは、リントヴルムに視線を返し言い切った。
「俺は死なない。だからべリアルは全部叩き切る」
「その意気だよ」
リントヴルムの意気込みに、ベルロックは楽しげに笑みを浮かべ返した。
こうして浄化師達は戦闘態勢を整えていく。
それは『神無月・アリア』と『ヤマト・トリガー』も同じだ。
2人は仲間の浄化師達と協力できる態勢を整えながら、戦いの時を待ち構えていた。
かくして全面戦闘の時は近付く。
その戦いは、激しい物だった。
●激戦を踏破せよ!
スケール4べリアル「カース」へと、前衛の浄化師達が向かう。
道中、それぞれの足の速さで、進む距離は差が出ていた。
だが先陣を切る3人は、ほぼ横並びで、戦闘区域の一歩手前まで進む。
そこから、僅かに速度を落とし。
敵の対応に反応しながら進もうとした時、後方のホープ・スワローに乗船している仲間の浄化師から警戒の声が届く。
「気を付けろ! なにか仕掛けて来るぞ!」
船のマストから哨戒していた、ニコラの魔術通信。
それは離れた距離であっても、すぐ近くであるように声を届ける。
声に促されるように、先陣を切っていた浄化師達はカースの様子を一層注視する。
見れば、カースは迎え撃つように両腕を広げ、離れていても分かるほどの威圧感を放っていた。
その威圧感が何であるのか、すぐに分かる。
海中から無数の水塊が浮かび上がり、遠距離範囲攻撃である水魔散弾の攻撃態勢に入っていたのだ。
カースは、浄化師達が自分に向かって来ることを確認。
移動速度の差で、最初から囲まれることはないと判断し、まずは先陣に向け先制攻撃を放とうと準備していた。
巧く当たれば良し。
当たらずとも、踏み込むのに躊躇させることができれば、その時点で浄化師達の勢いを削ることができる。
明らかに戦術を立て、カースは浄化師達を迎え撃とうとしていた。
それこそが、スケール4べリアルの恐ろしさのひとつ。
力のみならず、知性すらも下位のべリアルより大きく上回っていた。
一歩踏み込めば、敵の間合い。
それを知り、けれど浄化師達は躊躇しなかった。
ナツキとシリウスが一気に踏み込み、少し距離を置いてリチェルカーレが間合いを詰める。
その瞬間、無数の水弾が放たれた。
握り拳大の水弾が、高速で3人に襲い掛かる。
当たれば、ただでは済まない攻撃。
それを3人は、それぞれ回避。
距離がまだ開いている事もあり避けていく。
だが回避に集中するため、即座には攻撃の間合いに踏み込めない。
その僅かな間に、カースは水魔散弾直後の隙を消し、迎撃態勢を取る。
待ち受けるカース。
そこにシリウスの剣閃が放たれる。
踏み込みと共に放たれる双剣の一撃。
それをカースは両腕で受け止めた。
鋼が打ち合うような、硬く重い音が響く。
それはカースが、シリウスの双剣を弾いた音。
攻撃を弾かれたシリウスは、その勢いに逆らわず回避行動に繋げた。
僅かに体勢を崩すようなそぶりを見せながら、距離を取る。
そこにカースは追撃を――仕掛けない。
側面から一気に距離を詰めるナツキに気付き迎え撃つ。
シリウスが引き付けた直後の、ナツキの側面からの挟撃。
カースは反応し、カウンターを取るために回避に動こうとした。しかし――
「チッ!」
カースは、自身に掛けられた束縛に舌打ちする。
それはリチェルカーレの鬼門封印。
機動力を削がれたカースは、ナツキの上段からの剣の振り降ろしに、拳を叩きつけることで対応した。
再び、鋼が打ち合うような硬く重い音が響く。
ナツキの一撃は、カースの拳を幾らか破壊するも、斬り裂くまでには至らない。
カースの拳の勢いに、弾かれるナツキの両手剣。
だがナツキは体勢を崩すことなく、即座に次の攻撃を放てる間合いに移動する。
同時に、シリウスも挟撃するような間合いを取る。
背にはリチェルカーレを守るように構え、攻撃の機会をうかがう。
一触即発の張り詰めた空気。
そこに焼けつくような攻撃を放ったのは、後続の浄化師達だった。
炎の蛇が、連続してカースに襲い掛かる。
攻撃の主はアリシアとルーノ。
詠唱の完了と共に放たれた小咒が、カースに食らいつかんと疾走する。
アリシアとルーノの小咒に合わせ、残りの浄化師達も動く。
リチェルカーレは、アリシアと連携し易い距離に動き。
シリウスは連携攻撃を叩きつけるため、準備を始める。
そしてナツキは、ルーノの小咒と合わせるように獣牙烈爪突の構えを取る。
狙いは、魔力属性の相乗効果。
ナツキの武器、ノーム・クレイモアは、土気の魔力を持つ両手剣。
火気の属性を持つ小咒と攻撃を合わせれば、威力が上がる可能性がある。
だが、それは相当の難易度だ。
動かない固定された標的ならともかく、敵が留まっているとは限らない。
事実、カースは小咒が放たれると同時に動いていた。
カースは小咒に向かって、真っ直ぐに走る。
避け切れないと判断し、自分から突っ込むことで間合いをズラし、追撃の攻撃を躱す。
2発、連続して小咒を食らい。
炎に焼かれながら、前進したカースは両腕を大蛇に変化。
アリシアとルーノに向い、一気に放つ。
食らいつかんと疾走する2匹の大蛇。
アリシアとルーノは回避に動くも、間に合わない。
だが、仲間の援護が大蛇を阻む。
ルーノに噛み付かんと襲い掛かる大蛇を、テオドアの斬撃が斬り裂く。
スキル魂洗いにより、瞬速で抜剣。
大蛇の右目を叩き斬った。
痛みに悶えるように暴れる大蛇。
そこにハルトの狙いすました一撃が。
リンクマーカーⅡによる魔術のマーカーに従い、大蛇の左目に狙撃銃の銃弾を叩き込んだ。
両目を潰され、明らかに動きが鈍る大蛇。
そこにロディアスとラビオンの2人が追撃を掛ける。
率先して踏み込むのはロディアス。
魔性憑きの軽やかな動きで間合いを詰め、攻撃を叩き込む。
片拳ラルヴァナックルを振るい、大蛇の鼻先に拳を打ちつける。
攻撃を受けた大蛇は反撃をするべく動こうとするが、そこに間髪入れずラビオンの連撃が。
それにより、僅かに大蛇の動きが鈍る。
「距離を取って!」
更に踏み込もうとしたロディアスに、ラビオンは慌てて声を掛け、一端距離を取る。
そこに仲間の浄化師が連続攻撃を叩き込んでいった。
左の大蛇は抑えられ、同様に右の大蛇も浄化師により動きを止められていた。
アリシアに襲い掛からんと疾走する蛇に向け、イザークは空から急降下。
天空天駆にスカイウォークが合わさった動きは鋭く、翼をはためかせ矢の如く突進する。
その動きに気付いた大蛇は、狙う先を変更。
鎌首をもたげ、迎撃しようと身体を縮めた。
しかし、大蛇の思惑は砕かれる。
「マヤ、お願い」
使い手である、あおいの願いに応えるように疾走した人形が、イザークに襲い掛からんとした大蛇に飛びつく。
抱き着くと同時に、腕や胴体から数千本の針を出現させ、串刺しにした。
無数の針に刺され、動きが鈍る大蛇。
その隙を逃さず、急降下する勢いも加わった斬撃が、大蛇の首を斬り裂いた。
両腕を大蛇に変化させたカースは、その両方ともを抑えられ、動きが止まる。
その隙を逃さず、機会を伺っていたシリウスが、スカイウォークにより高く空中に上がった状態から、一気に跳び込むようにして切りつける。
それをカースは防ぐ。
「甘いわ!」
カースは、大蛇と化した両腕を自切。
切断面から急速再生させた腕でシリウスの一撃を弾く。
だが、それこそがシリウスの狙い。
ガードさせることで隙を作り出し。
その隙を、シリウスの影になるようにして接近したクリストフが、渾身の一撃を放つ。
スカイウォークにより、落下しながら空中を蹴り進み、加速した勢いのすべてを込めた磔刺を発動する。
カースは左手を盾にするように突き出すも、それを突き破り、クリストフの一撃はカースの脳天を直撃した。
魔方陣がある頭部。
そこにまともに攻撃を食らい、カースは楽しげに哄笑した。
「はははははっ! いいぞ! いいぞ!」
哄笑するカースに、クリストフは寒気を覚え、後方に跳び距離を取る。
結果としてそれが、クリストフを助ける。
クリストフが後方に跳ぶのとほぼ同時に、大蛇と化したカースの腕が通過し、カースの不意打ちの一撃は避けられた。
「呆れたタフさだね。蛇だからかな? 害獣は、大人しく駆除されて欲しいんだけどね」
クリストフは、カースの注意を引き仲間が攻撃し易くなるよう、あえて挑発するようなことを言う。
だがカースは挑発に乗ることなく、むしろ仕切り直しをするように後方に跳び、浄化師に向け楽しげに言った。
「いいぞ、貴様ら! 貴様らのように強い者を食らえば、我は進化の極致に到達できる筈だ! ははっ、奴らの口車に乗ってやったかいがあったわ!」
カースの言葉に、元々懸念を抱いていたルーノは確信する。
「このタイミングで現れたのは、偶然ではないということか」
ルーノの言葉にカースは、楽しげに返す。
「偶然な訳があるまいよ。貴様らが、今日この場所を通ると、我に教えた者達が居たのよ。奴らが何者かは知らぬ。聞く気もなかったので、全員食ってやったからな。ああ、そういえば――」
カースは浄化師達を指さしながら続けて言った。
「どこか、貴様らに似た奴らだったぞ。もっとも、貴様らとは違い、血と怨念の臭いを強くさせていたがな」
内通者、あるいは教団に近しい何者かの暗躍。
それを示唆するような言葉を口にし、カースは改めて宣言する。
「貴様らを殺し喰らう! これは我が進化の極致に到るための儀式よ! せいぜい抗うがいい!」
宣言と同時に、カースは浄化師達に襲い掛かってくる。
激戦は、さらに過熱していく。
そうして激しい戦いを繰り広げているのは、後衛も同じだった。
舞うような軽やかさで、リコリスはべリアル達を翻弄する。
まさしく疾風の如き速さで敵の間合いに踏み込みながら、放たれた攻撃を回避。
周囲を敵に囲まれていながら、決して退かず渡り合っていた。
左右から撃ち出された触腕を、その速さで置き去りにし。
正面からの攻撃は、ダンスのステップを思わせる優雅さで避けていく。
リコリスの動きは優美であり、それでいて攻撃は苛烈だった。
攻撃を回避し、そのまま斬撃の間合いに踏み込む。
踏み込むと同時に、忍具影刃を振るう。
狙いは、魔方陣のある額。
種族特技である魔力探知も駆使し、敵の弱点を看破したリコリスの一撃は、多大なダメージを敵に与えた。
弱点である魔方陣を斬り裂かれ、イカ型べリアルは捕食した魂を露出させる。
リコリスは捕われた魂を開放すべく、魂を束縛する鎖を斬りつけようとした。
その瞬間、トールの声が響く。
「リコ! 後ろだ!」
リコリスの後方から近付いてきた数体のべリアルに気付き、警戒の声をあげる。
トールの声に、リコリスは素早く動く。
目前の斬りつけたべリアルを踏み台にして、後方に大きく跳躍。
スカイウォークも駆使し、空中を蹴りあげながら弧を描き移動する。
そこにべリアルは攻撃を放つ。
だが、スキルであるスイッチヒッターも使い、リコリスは迎撃。
襲い来る触腕のこと如くを斬り裂き、海上に着地すると同時に間合いを詰め斬撃を加えた。
次々、斬り裂かれていくべリアル。
当然ベリアルも、反撃をするべく攻撃しようとするが、トールのハイパースナイプに阻まれる。
リコリスの戦踏乱舞により意欲の上がった一撃は、針の穴を通すような正確さで急所を貫いた。
リコリスとトールの2人は、連携をみせながら敵の中央で暴れまくる。
敵は、それを潰すべく左右から挟撃したい所だが、左右に分かれ戦う浄化師達に阻まれる。
「おじさん! そのまま真っ直ぐ踏み込んで!」
戦局を操作するべく、ラファエラはエフドに積極的に声を掛けていく。
あえて一歩引いた場所から周囲の状況を確認し伝えるラファエラのお蔭で、エフドは戦闘に集中できる。
両手鎌カイトサイズを手に、エフドは敵の群れに踏み込む。
大きく、力強く振るい、周囲の敵を斬り裂いていく。
狙いの正確さよりも、より広い範囲をまとめて攻撃するようなエフドの動きは、周囲を敵に囲まれた混戦状態では有効だ。
味方との同士討ちを考慮する必要は無く、全力で振い続ければ良い。
時折、敵の攻撃が届くも、即座にスキルである迎エ討チにより、反撃がなされる。
エフドは、今までの戦闘での経験と身につけた装備により、防御に優れる。
特に物理的な防御は高いので、物理的な攻撃しか出来ない今回のスケール2べリアルでは、攻撃が当たった所でまともなダメージなど通らなかった。
はっきり言って、今回の物理攻撃しか出来ないスケール2べリアルにとって、エフドは天敵に近い。
どれだけ攻撃しようとダメージはろくに届かず、攻撃を当てれば、即座に迎エ討チによるカウンターが返ってくるのだ。
しかもそこに、ダメ押しの黄泉ノ霧が発動される。
エフドを中心に発生した霧は周囲を包み、敵は攻撃の狙いが付け辛くなった。
黄泉ノ霧は、周囲に味方が居る時はスキル効果に巻き込んでしまうが、敵をまとめて引き付けている今の状態なら、利点しかない。
その状態でエフドはカイトサイズを振るい続け、敵の多くを引き付けていた。
それでも敵の多さから、エフドから離れて動くべリアルも。
多くは、ラファエラが蒼弓で射抜き。
さらにエリシャとイグナシオが殲滅していく。
「お兄様、見てて下さいね」
エリシャはイグナシオを誘うように声を掛けると、積極的に敵の前に出ていく。
目指す相手は、端の敵。
挟撃をされないよう位置取りをしながら、注意を引きつける。
自分に近付くエリシャに気付いたタコ型のべリアルが、迎撃をするため触腕を海中から浮き上がらせた。
その瞬間、エリシャの影になるような位置に居たイグナシオが横に飛び出し、杖を向ける。
杖に込められた魔力は魔力弾を形作り、イカ型べリアルに向け撃ち出された。
イカ型べリアルは、反射的に触腕で魔力弾を迎撃。
イグナシオの攻撃を防ぐも、その隙にエリシャが間合いに跳び込む。
エリシャは斬撃の間合いに踏み込むと同時に、短剣で斬りつけた。
痛みに暴れるべリアル。
デタラメに振るわれる触腕を、パーフェクトステップで機動力の上がったエリシャが、ギリギリ避け続ける。
エリシャに注意が向くべリアルに、立て続けにイグナシオが魔力弾を叩きつけた。
エリシャとイグナシオのコンビネーションに、イカ型べリアルは捕食した魂を露出させるほどに弱る。
「お兄様、やりましたね」
「まだだよ。捕われた魂を開放しないと」
じゃれつくように傍に寄るエリシャに、イグナシオは嗜めるように返すと、魂を縛る鎖を破壊していった。
こうして左翼側のべリアル達は、次々殲滅されていく。
それは右翼側も同様だった。
カグヤを背に庇うようにして、ヴォルフラムはべリアルに向かって行く。
(カグちゃんは、僕が守るんだ)
一体たりともカグヤの元には向かわせないという気迫を纏い、ヴォルフラムは果敢に攻めていく。
海中から飛び出し、突進してくる魚型べリアルに、両手斧シーラビリンスを叩きつける。
激突の衝撃で、体勢を崩すヴォルフラム。
そこに追撃をかけてくる、カニ型べリアル。
巨大な爪を、突き刺さんと振って来る。
ヴォルフラムの迎撃は間に合わない。
だが、カグヤの迎撃が敵の攻撃を撃ち落した。
カグヤは魔力を込めた呪符を撃ち出し、べリアルの爪に命中させる。
命中と同時に炸裂した衝撃が、べリアルの爪に罅を入れた。
その隙に、体勢を整えたヴォルフラムが攻撃を加える。
スキル暴撃を発動。
渾身の力を込めた振り降ろしが、カニ型べリアルの甲羅を打ち砕いた。
その勢いのまま、さらにヴォルフラムは敵に踏み込み、いくつか傷を受けながらも倒していく。
そこに、カグヤは天恩天賜を使うべく近付く。
「ヴォル、怪我、治すから。こっちに来て」
「ダメだよカグちゃん。こっちに来たら危ない――」
「大丈夫」
ヴォルフラムの制止を振り切り、カグヤは傍に寄り傷を癒す。
「私も、戦えるから。だから、一緒に、がんばろう」
どちらかが庇うのではなく、共に守るようにして。
2人は連携して戦っていった。
そうして連携して戦うのは、ジークリートとフェリックスも同じだ。
数体のべリアルに囲まれるフェリックスを、ジークリートは援護する。
「フェリックス、右に動いて!」
敵の囲みが薄い位置を上空から見極めながら、ジークリートはフェリックスに指示を伝える。
ジークリートは、シールド・サイズを大きく振り、敵を斬りつけた所で右に跳躍。
囲みが薄い所を突いて前に出ると、窮地を脱する。
だが、あえて距離を置くことはしない。
それはべリアルを船に近付けないためだ。
フェリックスが、亡者ノ呼ビ声を使い、再び敵を引き付ける。
先ほどと同じように、フェリックスの周囲を囲もうとするべリアル。
それを防ぐべく、リンクマーカーⅡにより向上させた命中精度を生かし、ジークリートは片手弓であるスナイピニアンの引き金を引く。
狙い過たず命中。
フェリックスに襲い掛かろうとしていた、タコ型べリアルの右目を射抜く。
それは会心の一撃となった。
弱点である魔方陣を深々と貫かれ、魂を露出させるほど弱体化させた。
見事な一撃。
だが、敵の数が多い。
船に近付けないためとはいえ、亡者ノ呼ビ声を使うことでフェリックスの元に多くのべリアルが集まってくる。
ジークリートとフェリックスの連携は巧くいき、囲まれるのを防いではいるが、多勢に無勢であった。
そこに仲間の浄化師が援護に入る。
フェリックスの側面から襲い掛かろうとしたべリアルに、疾風の勢いでマリオスが突進する。
スキル疾風裂空閃の一撃は、魚類型べリアルの脳天を貫き。
勢いは止まらず、真っ二つに裂く勢いで斬撃を加えた。
魂を露出させるほど、疾風裂空閃の一撃はべリアルにダメージを与える。
マリオスの進撃はそれだけにとどまらず、攻撃準備に入っていたタコ型べリアルの触腕を斬り落とす。
連続して攻撃を加えながら、マリオスはフェリックスの援護に入るような位置取りをする。
「こちら側からの敵は抑えます。そちら側の敵は、お願いします」
お互いの死角を補うような位置取りに、フェリックスは頷き連携をこなしていく。
連携はフェリックスのみならず、ジークリートも。
ジークリートは天空天駆とスカイウォークを駆使しながら、フェリックスだけでなくマリオスの援護をするようにスナイピニアンの引き金を引き続ける。
3人の連携した攻撃に、周囲を囲んでいたべリアルは、徐々に撃破されていく。
窮地に追い込まれていくべリアル達。
その中で残ったべリアル達は、動きが巧妙だった。
攻撃を躱し、誘い込むようにしてカウンターを放とうとする。
待ちの構えを取るべリアルに攻めあぐねいていると、そこにシルシィの援護が入った。
「マリオス」
シルシィの呼び掛けに、意図を読み取ったマリオスはべリアルに踏み込む。
狙いは、突進の勢いを込めた斬撃。
それをべリアルは躱そうとするも、シルシィが発動した鬼門封印により動きを鈍らされる。
べリアルはマリオスの鋭い一撃を避け切ることなど出来ず、横一文字に斬り裂かれた。
「シィ、前衛の人達は?」
「大丈夫。回復してきた」
短く言葉を交わすだけで、2人は状況を理解する。
前衛を天恩天賜Ⅱで回復するために一端離脱したシルシィは、出来る限りの回復を行い。
戻って来るとマリオスのサポートに入ったのだ。
こうした後衛の動きにより、前衛は回復に掛ける魔力を攻撃に回すことが出来る。
そして後衛に居たスケール2べリアルは、数を大きく減らしつつあった。
しかし、その時。
前衛と戦っているスケール4べリアル、カースが大きく咆哮を響かせ、それに呼応して新手のスケール2べリアルが現れる。
それらは、後衛のみならずカースと船に向かって行く。
それらを防ぐべく、後衛の浄化師達は動こうとする。
だが、カースに向かう敵と船に向かう敵、どちらにより多くの戦力を割くべきかで迷いが出そうになる。
そこに、船の高所から周辺の敵の情報を伝えていたベルトルドが、声を響かせる。
「船に上がって来るべリアルはこちらで対処する! それ以外の対処を頼む!」
それは、甲板での作業を素早く終わらせた仲間の浄化師達の素早い動きがあったればこその言葉。
戦闘態勢を整える甲板組は、いつでもベリアルを迎え撃つ準備は出来ていた。
ネコ科の獣を思わせるしなやかさで、船べりに足を降ろしたベルトルドは、船の側面を昇ってくるべリアル達を見て対応を考える。
(一度にまとめて来られると厄介だな)
同時に昇ってくるべリアル達。
このままでは、一度に多くのべリアルが甲板に上がって来ることになる。
だが直接攻撃しか手段のないベルトルドでは、遠距離から撃ち落すことはできない。
スカイウォークを試し、ある程度は使えるようになったものの、空中を縦横無尽に渡るのは今の段階では無理だ。
どうするべきか?
対応策を考えるベルトルドの元に、ヨナが駆け寄る。
「今の内に撃ち落せれば」
船べりから身体を覗かせ、船の壁面を昇って来るべリアル達を撃ち落そうとするも、小柄なヨナでは船べりの高さが邪魔になる。
スカイウォークを使って空中から撃ち落すことも、練習をする余裕もなかったので無理だ。
ベルトルドとヨナは、1人1人では昇ってくるべリアルの対処は出来ない。
だからこそ、ベルトルドはヨナに提案した。
「ヨナ、俺が足になる。いけるか?」
僅かな間を空けて、ヨナは返す。
「時間がありません。やりましょう」
ヨナの応えに、ベルトルドはヨナを即座に抱き上げた。
ヨナを抱きかかえたまま、ベルトルドは船べりに跳躍。
そのまま船べりを足場に疾走。
移動に合わせ、ヨナは魔力弾をべリアルに叩き込み、何体か海に落とした。
これにより、一度に甲板に上がるべリアルの数は少なくなる。
時間差で上がって来るべリアルに、浄化師達は個別撃破を仕掛けていった。
「コード・ステラ」
魔術真名を唱え、ベルロックとリントヴルムは、甲板に上がってきたべリアルの制圧に乗り出す。
先んじて踏み込むのはベルロック。
片手剣クロス・ローズを手に、タコ型べリアルの間合いに踏み込む。
踏み込むと同時に、触腕を放つべリアル。
それをベルロックは避けない。
クロス・ローズを振るい斬り飛ばすと、斬撃の間合いに跳び込む。
上段からの振り降ろしに、スキル裁きを合わせる。
膨れ上がった膂力を込めた一撃は、深々とべリアルを斬り裂いた。
痛みに暴れるべリアル。
無茶苦茶に触腕を振るう。
それをベルロックは捌いていく。
周囲に向かわないよう、触腕を斬り落とし、あるいは叩き落とす。
退くことなく、べリアルと対峙し続け、その場に釘付けにする。
そこにリントヴルムの追撃が入った。
ペンタクルシールドを張り防御を固めながら、べリアルの死角に移動。
魔力を込めたタロットカードを放ち、べリアルの左目を切り裂いた。
そこに間髪入れず、ベルロックの連撃。
魔方陣のある脳天を勢い良く貫き、べリアルに魂を露出させるほど弱体化させた。
「さすが、ベルくん」
ベルロックの勇姿をリントヴルムは称賛しながら、2人は魂を縛る鎖を破壊していった。
連携によって、浄化師達は効率的にべリアルを倒していく。
中には、パートナー以外との連携も巧くこなし戦っていく者達も。
「開け、九つの天を穿つ門」
魔術真名を唱え、リューイとセシリアはべリアルに立ち向かっていく。
そして2人と連携するべく、ニコラとヴィオラが動く。
先んじて、敵であるカニ型べリアルの間合いに踏み込むのは、魔性憑きであるリューイ。
パーフェクトステップにより上がった機動力を駆使し、ヒット&アウェイを繰り返す。
一撃ごとに、べリアルの甲羅を削っていく。
対するべリアルは、多少の傷は無視し、勢いを込めた爪でリューイを串刺しにしようとする。
だが、それをニコラが防ぐ。
振るわれる爪の動きに合わせ、手にした片手剣ジャック・ザ・リッパで斬りつける。
ニコラの斬撃に、軌道を逸らされるべリアルの爪。
さらにニコラは、反射魔術である献魂一擲により、爪の攻撃を捌いた直後に、追撃の一撃を叩き込む。
攻撃を受け、のけ反るべリアル。
そこに間髪入れず連撃を叩き込むリューイ。
手数でリューイが敵を押し、敵の重い一撃はニコラが捌いていく。
質の異なる攻撃に、べリアルは追い込まれていった。
そこに、側面から新たなべリアルが。
イカ型のべリアルは、リューイの攻撃直後の隙をつき、触腕を放って来る。
それをセシリアが防いだ。
ペンタクルシールドで触腕を受け止め、即座に魔力を込めたタロットカードを投擲。
イカ型べリアルは避けようとするが、避けようとした先に、ヴィオラが投擲したタロットカードが。
セシリアに集中していたべリアルはまともに食らい、直後にセシリアのタロットカードの一撃も避け切れずに喰らう。
痛みに暴れるべリアル。
触腕をデタラメに振い、それがセシリアに直撃しそうになる。
だが、リューイの斬撃が全てを斬り裂いた。
「怪我はない!?」
「大丈夫。それより、倒さないと」
短く言葉を交わし、リューイとセシリアはイカ型べリアルに集中する。
そしてカニ型べリアルは、ニコラとヴィオラが討伐していく。
「援護を頼む」
「ええ、任せて」
息の合ったコンビネーションで、ニコラとヴィオラの2人はカニ型べリアルを倒すと、リューイとセシリアの援護に動いた。
確実にべリアルを倒していく浄化師達。
それは浄化師1人1人が、自分が出来る最善をこなしているから。
サポート役に徹するユリアとスィニも変わらない。
「こっちよ。来なさい」
べリアルの注意を、ユリアは積極的に引く。
それは仲間の浄化師の元に、一度に大量のべリアルが向かわないようにするため。
攻撃を分散させるべく、引き付けていた。
狙い通り、べリアルの1体がユリアを目指し向かって来る。
つかず離れずの距離を保ち、他の浄化師達からべリアルを引き離すユリア。
お蔭で、他の浄化師達は戦いがしやすくなる。
しかしそれは、ユリアが危険に身をさらすことに他ならない。
ユリアに引き付けられた魚類型べリアルは、無数の触手を足代わりに生やし、ユリアを抹殺せんと向かって来る。
その動きは鋭い。一気に距離を詰め、喉を貫こうと、触手を放とうとした。
しかしその瞬間、横合いからべリアルに体当たりをするスィニ。
「距離を取って、ユア」
「分かった……」
ユリアは即座に返すと、続けて言った。
「……ありがとう」
礼を返し、それでも積極的に前に出て、仲間の浄化師達の役に立とうとするユリア。
その懸命な姿に、苦笑するように笑みを浮かべ、スィニはユリアの傍に寄る。
そして魔術真名を詠唱。
膨れ上がった力を頼りに、2人はべリアルに挑んでいった。
そうして懸命に戦うのは、病み上がりで辛いロゼッタも同じだった。
「無理~、もう無理~」
涙目で、ロゼッタは魔力を込めたタロットカードを投げつける。
鋭く飛んだタロットカードは、向かって来るタコ型べリアルの右目を切り裂く。
だが、べリアルは傷を無視して近付いてくる。
「来ないでってば~」
ロゼッタは連続してタロットカードを投擲。
べリアルは攻撃を受け、その瞬間は動きが止まるも、すぐに襲い掛かろうと近付いていく。
距離が少しずつ縮まる。
そこにクロエの攻撃が。
木気の魔力属性を司る魔方陣を展開。木気の魔力で編まれた無数の葉が、べリアルを押し流すような勢いで襲い掛かる。
リーフスラッシュを叩き込まれ、べリアルは標的をクロエに変更。
触腕を連続して放つも、ロゼッタのアーク・ブーストで回避力の上がったクロエは、危なげなく避けていく。
攻撃を捌きつつ、ロゼッタから引き離すようにしてべリアルを誘導。
十分に誘導すると、再びリーフスラッシュを放つ。
べリアルが攻撃を受け動きが止まった隙に、クロエはロゼッタの元に行く。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない~。病み上がりにデスマーチに巻き込まれるとは思わなかったよ~」
涙声をあげるロゼッタに、クロエはロゼッタの額に手を当て熱を確認。
「熱は無いみたいだけど、無理は禁物だし。さっさと倒して、休んじゃいましょ」
慰めるように言うと、魔術真名を詠唱。
「巡りて共に」
魔力回路を完全開放し、膨れ上がった力を頼りに、べリアルを駆逐していった。
パートナーと共に戦っていく浄化師達。
少しずつべリアルを殲滅していく。
そうして懸命に戦っているのは、アリアも同じだ。
「……」
魔性憑きの華麗な動きで、アリアは敵を引き付けながら戦っていく。
パーフェクトステップで引き上げた機動力を駆使し、タコ型べリアルが放つ触腕を回避しながら、短剣で斬りつけていく。
少しずつ、傷が蓄積されていくべリアル。
一撃一撃は致命傷にはならないが、確実にダメージは溜まっていった。
それをべリアルは嫌ったのか、動きを変える。
防御を完全に捨て、アリアを捕えることに集中する。
連続してアリアに斬り裂かれながら、どんどん距離を詰めていくべリアル。
その動きに、アリアは船のマストにまで追いつめられた。
背中にマストがあるせいで、回避する場所が限定される。
そこにべリアルは、全力攻撃をしようと構えた瞬間、上空からコナーの声が響いた。
「アリアに何をするー!」
いつの間にかマストの天辺にまで登っていたコナーは、一直線にべリアルに向け降下。
トランスしてユキヒョウになると、ムササビジャンプで落下の軌道を調整。
スカイウォークも駆使し、勢い良くべリアルに体当たり。
そんな所から体当たりを食らうとは思っていなかったべリアルはまともに食らい、ごろごろ転がり距離が離れる。
「大丈夫かいアリア!」
べリアルに体当たりしたコナーは、アリアを庇うような位置に就きながら、心配して声を掛けて来る。
それにアリアは、じと目で返す。
「……」
心配しなくていいから、戦って。
「もちろんだよ、愛しいアリア!」
朗らかな笑顔で返すコナーにアリアは、ため息をつくような間を空けて。
2人は魔術真名を唱え、戦いを続けていった。
こうして浄化師達は戦いを続ける。
それはヤマトと神無月も変わらない。
仲間のサポートをするように動き、べリアルを殲滅していった。
それぞれの持ち場で、浄化師達は激戦を続ける。
そして綱渡りめいたギリギリの戦いの果てに、決着が付こうとしていた。
●勝利を掴みとれ!
船の護衛に就いた浄化師達は、甲板に上がって来たべリアルを駆逐しつつあった。
「ここは、通しません」
ペンタクルシールドを展開したヴィオラが、べリアル達から魔女達を守るように前に立つ。
魔女の魔法により強化されたペンタクルシールドは、常よりも強固な守りとなる。
べリアルは触手を叩きつけて来るが、守りが破られることはない。
それに気付いたべリアル達は、ヴィオラの守りが届かない場所から攻撃しようとするが、そこにも守り手は居る。
「魔女さん達は、傷付けさせません」
セシリアもペンタクルシールドを展開し、べリアル達の攻撃から魔女達を守る。
その懸命な姿に応えるように、魔女達はセシリアのペンタクルシールドを強化。
決して崩せぬ守りとして、べリアル達の前に立ちはだかった。
攻めあぐね、動きが停滞するべリアル達。
そこにリューイとニコラが攻勢に出る。
「先に出ます」
「分かった。なら私は援護に集中する」
素早さで優るリューイが、まずはべリアルの群れに飛び込む。
パーフェクトステップを駆使し、べリアル達の攻撃を可能な限り避けながら斬りつけた。
いくつかは避け切れないが、魔女の魔法により防護の加護がある今なら耐えられる。
それに加えて、ニコラの援護が効果的に作用した。
敵の重い攻撃は、ニコラが斬撃で捌き。
捌くと同時に、献魂一擲のカウンターで追撃を加える。
2人の攻勢に、べリアル達はじりじりと、ある場所に追い立てられていく。
それを嫌い、いったん離脱しようとするべリアルも。
しかし、浄化師達がそれを許さない。
「さっさと終わらせて休むんだから、余計な事しないの!」
ロゼッタの魔力を込めたタロットカードが、離脱に動こうとしたべリアルに突き刺さる。
痛みに暴れるべリアルに、追撃を加えるのはクロエ。
「ロゼッタを休ませたいから、余計なことはしないで」
クロエはリーフスラッシュを発動。
木気で構成された葉で、べリアルを押しやっていく。
そうしてべリアルを誘導していくのは、他の浄化師達も同じだ。
「アリアに近付くなー!」
前に出て戦うアリアを援護するように、コナーは人形を操る。
スキル同調により、自身の精神と人形を同期させ、普段よりも巧みに操る。
コナーの援護を受けながら、アリアはべリアルを誘導していく。
その最中、僅かにコナーに目くばせを。
「……」
もっと頑張って。
発破をかけるようなアリアに、コナーは全力を尽くした。
徐々にべリアル達は、船のマストを背にするようにして一箇所に集められる。
僅かに逃れようとしたべリアルも、ユリアとスィニが抑えた。
(絶対に、逃がさない)
ユリアは自分の身体を張って、べリアルを追い込んでいく。
魔女による魔法で防御が強化されているお蔭で、ギリギリではあるがなんとか耐えられている。
それでも、限界は近付く。
何度か攻撃を受け、よろめきそうになった時、スィニが庇うように前に出る。
(ユアは、僕が守るんだ)
不退転の気迫を込めた追い込みは、ついにはべリアルを一箇所に追い込んだ。
そこに止めを刺す一手となるべく、ベルトルドがマストの天辺から一気に降下した。
頭から落ちるようにして、べリアルの群れに向けベルトルドは疾走する。
スカイウォークの助けも借り、マストを足場に駆け抜ける。
矢のような勢いで突進すると、落下の勢いも込め、スキルを発動した。
疾風裂空閃。
べリアルと接敵した瞬間、体全体をひねり。
両拳紅霞を着けた拳で、一気に薙ぎ払った。
魔女の魔法により強化された一撃は、粉砕する勢いでべリアルを破壊。
これにべリアル達は混乱する。
群れの内側に、突如として上空から敵が現れたのだ。
反射的に攻撃しようとするが、それは周囲を囲む浄化師達から意識を逸らすことに繋がる。
その隙を逃さず、ヨナが攻撃する。
「ベルトルドさん、避けて下さいね」
遠慮のない勢いで、ヨナは次々スキルを放っていった。
こうしてべリアル達は、一箇所に集められた上で、群れの内側と外側を同時に攻撃される。
次々に討伐されていくべリアル達。
全てを殲滅するべく、浄化師達は攻撃を重ねていく。
「ベル君、止めは任せるよ」
魔力を込めたタロットカードを放ち、べリアルを切り裂いたリントヴルムは、花道を譲るように横に跳躍する。
それはベルロックの追撃の邪魔にならないようにするため。
「期待には、応えるよ!」
敵までの直線の道が開けた瞬間、ベルロックは一気に突進。
鞭のように振るわれた敵の触腕を斬り落とすと、斬撃の間合いに踏み込む。
反射的に避けようとするべリアルを逃さず、渾身の力を込めた上段の振り降ろしで、敵を真っ二つに斬り裂いた。
「これで何匹めだっけ?」
「そういうのは後で。それより残りを倒さないと」
生真面目に返したベルロックに、リントヴルムは苦笑するように肩をすくめると、今までと同じように連携してべリアルを倒していった。
連続する浄化師達の攻撃に、べリアル達は全滅させられる。
念のため、生き残りが居ないか神無月とヤマトが確認し、居ないことを確認した。
これで船の安全は保たれる。
残りは、前衛組と後衛組。
そのどちら共が、勝負の趨勢が決まりつつあった。
後衛組は、前衛に向かうべリアルを率先して倒し、残りのべリアル達も殲滅していく。
中央と、左翼と右翼の三つに分かれ、敵を分断しつつ撃破し、その数を減らしていた。
疾風の如き勢いで、マリオスは敵を斬り裂いていく。
スキルも使用した一撃は、魚類型べリアルの胴体を断ち斬る。
斬り裂くとすぐに、次の敵に向かおうとする。
その時、シルシィの声が響く。
「右! 避けて!」
声に従い、即座にマリオスは右に跳躍。
ほぼ同時に、先ほどまでマリオスが居た場所を貫く触手。
そちらに視線を向ければ、クラゲ型のべリアルが再び攻撃をしようと態勢を整えているのが見える。
攻撃をされるより早く、間合いを詰めるマリオス。
べリアルは回避に動こうとするも、シルシィの鬼門封印が動きを束縛。
その隙を逃さず、マリオスは突進の勢いも乗せた斬撃を放つ。
魔女の魔法により強化された一撃は、魔方陣のある箇所を切断。
一撃でべリアルを倒した。
「シィ、残りは?」
「ん、あと少し。がんばろう」
浄化師達の攻勢は止まらず、次々べリアルを倒していく。
ジークリートが、上空から急降下しながらボウガンを撃ち出す。
べリアルは、ジークリートの素早い動きに対処しきれず、まともに食らう。
タコ型べリアルは、脳天に矢を受け、触腕を振り回す。
それは、ジークリートを近付けさせないための牽制。
だが、それをフェリックスが破壊する。
シールド・サイズを手に、間合いを詰める。
振り回される触腕を、時にシールド・サイズで受け止め防ぎ。
防いだかと思えば、即座に刃を閃かせ触腕を斬り飛ばした。
「リート」
べリアルの触腕を斬り飛ばし、ジークリートの追撃に繋げるために、フェリックスは後方に退く。
フェリックスの呼び掛けに応えるように、ジークリートは再度の攻撃。
先ほど叩き込んだ場所とほぼ同じ個所を、正確に射抜いた。
連続して受けた攻撃に、魂を露出させるべリアル。
「フェリックス。魂を開放してあげましょう」
連続して飛行したジークリートは、羽を休めるようにフェリックスの傍に寄ると、2人で魂を開放していった。
連携しべリアルを倒していく浄化師達。
それはヴォルフラムとカグヤも変わらない。
「カグちゃん、行くよ」
「ん、解かった」
カグヤを背に庇うようにして、ヴォルフラムはべリアルに向かって行く。
向って来るヴォルフラムに、べリアルは迎撃するべく触腕を放とうとする。
だが、カグヤがそれを防ぐ。
「ん、ダメ」
魔力を込めた呪符を投擲。
ヴォルフラムを打ち据えようとした触腕に命中。
弾けるような衝撃が炸裂し、触腕を千切り飛ばす。
そこにヴォルフラムの追撃が。
渾身の一撃を放つべく、シーラビリンスを振りかぶる。
べリアルは脅威を感じ、残った触腕を盾にするように掲げた。
しかし、無駄。
スキルと魔女の魔法により強化された一撃は、触腕ごとべリアルの脳天を粉砕した。
堪らず、魂を露出させるべリアル。
捕われた魂を開放するべく、カグヤとヴォルフラムは呪符と刃を振るった。
右翼側のべリアルは、浄化師達の活躍により殲滅される。
残りは中央と左翼。
そちらも終わりの時は近付いていた。
「リコ、大丈夫か」
「大丈夫よ。まだ行けるわ」
中央で最多のべリアルを屠ったリコリスとトールは、疲労感を飲み込みながら戦いを続けている。
息を整え、リコリスはべリアルに立ち向かう。
「哀れなお魚さん、三枚におろしてあげるわ!」
目指す敵は魚類型のべリアル。
体中から生える触手で刺し貫こうと、次々に放って来る。
それをリコリスは避けていく。
避けながら間合いを詰め、更に踏み込むために触手を斬り裂く。
バラバラに斬り裂かれ、一時的に触手が振るえなくなったべリアルは、触手を再生させる猶予を稼ぐために距離を取ろうとする。
そこにトールの一撃が。
脳天に矢が深々と突き刺さり、のけ反るべリアル。
間髪入れずリコリスの追撃が入り、頭と胴体を断ち切るほどの斬撃を与えた。
魂を露出させるほどに弱体化するべリアル。
あとは、魂を開放するだけ。
だがその間に、残ったべリアルが周囲を囲んでいた。
休みなく戦い続け、疲労したリコリスとトールを襲うべく、べリアル達が距離を縮めようとする。
だが、べリアルの思惑は砕かれる。
左翼のべリアルを倒した仲間が、援護に来てくれたからだ。
「そのまま進んで! 横から来る邪魔なのは私が始末するから!」
ラファエラの指示を頼りに、エフドはべリアルに突進する。
気付いたべリアルは次々に攻撃するが、物理的な防御力が高いエフドには、ろくに傷を与えることが出来ない。
それどころか、エフドが振るうカイトサイズで斬り裂かれていく。
たまらず距離を取ろうと離れるべリアル達。
けれど、それはラファエラのいい的だ。
エフドに追い立てられるようにして離れたべリアルは、次々ラファエラの矢に撃ち抜かれていく。
矢を打ち込まれ弱った所で、エフドの追撃。
さらにリコリスとトールも攻撃を加え、べリアルを狩り獲っていく。
次々に倒されていくべリアル。
そこから逃れるものもいたが、エリシャとイグナシオの2人に狩り獲られていく。
「大変です、お兄様。もうタコが居ません」
「確かに居ないみたいだが、何故大変なんだい?」
「お兄様に、エリーがもみくちゃにされる所をみせられないんですよ」
「冗談はいいから、早く倒してしまうよ」
じゃれつくようなエリシャの言葉をさらりと流し、イグナシオはべリアルの殲滅に動く。
近づかれれば不利なので、距離を保ち魔力弾を撃ち込んでいく。
カニ型べリアルは、それをはさみで防御。
罅が入るほどに魔力弾を連続で喰らいながらも、距離を詰め攻撃を放とうとする。
そこにエリシャの斬撃が。
「ダメですよ。お兄様に怪我なんて、させません」
パーフェクトステップを駆使しながら、カニ型べリアルの側面に踏み込むと、爪の関節部分に斬撃。
二度三度と連続して叩き込み、切り込みが入るほどの傷を与える。
そこにイグナシオの魔力弾が。
べリアルは、はさみで受け止めるも、関節部分に切り込みが入っていたせいで、魔力弾の勢いを受け止めきれない。
関節部分から、はさみは千切れてしまう。
攻撃手段がなくなったべリアルに、イグナシオとエリシャは連続攻撃。
はさみを再生させる余裕もなく、べリアルは倒された。
そうしている内に、右翼側の浄化師達も合流。
この時点で数の上でも有利になっていた浄化師達は、船の周囲に現れたべリアルの全てを倒し切った。
「船の周りのべリアルは全て倒した! 今の所、新手が来る気配はない!」
船の護衛に就いている仲間の浄化師達に向け、エフドが大声で告げる。
すると魔術通信で、甲板の上に登って来たべリアルも殲滅したとの連絡が。
「これで残りは、カースだけか」
前衛に視線を向けるエフドに、ラファエラは声を掛ける。
「どうする? 援軍に向かう?」
「……いや、新手が現れる可能性もある。この場を離れる訳にはいかないだろう。それに――」
エフドは前衛組とカースの戦いを、遠目で見ながら言った。
「そろそろ決着が、着くようだ」
エフドの言葉通り、前衛組とカースとの戦いは、結末を迎えようとしていた。
「貴様らあああっ!」
カースが浄化師達に憎悪の声をぶつける。
それは追い詰められた焦りの声でもあった。
戦闘の初期、魔術真名を唱え戦力を上昇させた浄化師達の猛攻は、カースに多大なダメージを与えていた。
これは船の護衛に就いた浄化師達が魔女達のサポートを行い、強化魔法の効果が上がっていることも大きい。
そして中盤、浄化師達を手強いと見たカースは、咆哮を上げスケール2べリアルを呼び寄せ情勢を有利に図ろうとするも、浄化師達に阻まれる。
船で哨戒をしていた浄化師達により、スケール2べリアルの移動先が前衛と後衛に伝えられ。
後衛は可能な限り前衛に向かうスケール2べリアルを率先して倒し。
僅かに前衛に辿り着いたべリアルも、テオドアやハルト、そしてルーノ達により、カースに近付く前に討伐された。
そして現状、共食いによる回復を封じられたカースは、浄化師達によりダメージを積み重ねられている。
だがそれは、浄化師達が有利という訳ではない。
重ねられた戦闘に、浄化師達の魔力は限界が近付き。
高位べリアルであるカースは、強力な自己回復能力がある。
今は浄化師達が与えるダメージの方が大きいが、いずれその偏りはカースに有利に動く。
時間を掛ければ掛けるほど、カースは有利になるのだ。
だからこそ、カースは時間稼ぎを狙い大技を繰り出した。
魔力を放出し、遠距離範囲攻撃である水魔散弾の態勢に入る。
浄化師達が避けるため距離を取れば、仕切り直しの時間稼ぎが可能になり。
水魔散弾直後の隙をつけるほど近付けば、全てを回避することなど不可能。
どちらに転んでも、自分にとって有利な展開になる。
だが、カースの思惑は甘かった。
死線を潜る覚悟を胸に、浄化師達は踏み込んだ。
先行して踏み込むのは、上空からはイザーク。
「さあ正々堂々やってるんだ。目をそらすなよ」
翼を羽ばたかせ一気に滑空。スカイウォークの助けも借り、矢のような勢いで突進する。
そしてイザークの攻撃に合わせるように、あおいも前進する。
カースに向かい、同時に突進するのは2人以外にも。
真正面からシリウスが、あえてカースの注意を引くように突き進む。
そしてシリウスの動きに合わせ、リチェルカーレも前進する。
上空と正面。どちらにより多くの攻撃を向けるべきか?
カースに僅かな迷いが生まれる。
その隙を逃さず、後方からハルトが狙撃を行う。
狙いはカースではない。
撃ち出される寸前の水塊だ。
撃ち出された後ならともかく、撃ち出される前の空中に留まっている今なら、撃ち落すことが出来る。
攻撃手段である水塊は撃ち落され、浄化師達の突進は止まらない。
追い詰められるようなこの状況に、思わずカースは焦り攻撃を放つ。
撃ち出される無数の水塊。
だが上空と正面、複数に分散し、水塊の数自体、ハルトの狙撃により減らされている。
だからこそ浄化師達は、倒れることなく攻撃の間合いに踏み込むことが出来た。
初撃はイザーク。
疾風の如き勢いで一直線に飛び込む。
カースは迎撃するべく、左手を大蛇に変えようとしたが、その瞬間、あおいにより動きが封じられる。
「マヤ! お願い!」
主の願いに応えるようにして、あおいの人形マヤはカースの視界に跳び込む。
視線を誘導する魔術を帯びたマヤに、反射的にカースは意識が向いてしまう。
時間にすれば、ほんの一瞬。
だが決定的な隙に、イザークは渾身の一撃を叩き込む。
飛翔斬の一撃。
まさしく空を飛翔し間合いを詰めると、手にしたブラッド・シーを一気に振り抜く。
ザックリと、顔面が斬り裂かれる。
弱点である魔方陣のある頭部に傷を負い、よろめくカース。
そこにシリウスの追撃が。
必死に回避に動こうとするが、リチェルカーレの鬼門封印が動きを封じる。
その瞬間、高く跳躍するシリウス。
カースは何とかタイミングを合わせカウンターを放とうとするが、シリウスの動きが凌駕する。
跳躍した瞬間、スカイウォークを駆使し空中を力強く蹴り、一気に踏み込む。
予想外の速さに、カースは左腕を盾代わりに前に出すことしか出来ない。
だがその腕ごと、シリウスは斬り裂いた。
双剣の一撃は、カースの左腕を斬り飛ばし。
弱点である頭部を、深々と斬り裂いた。
絶叫するカース。
身体を震わせる憎悪の声を浴びせられながら、シリウスは横に跳ぶ。
それはクリストフの追撃の邪魔にならないようにするため。
カースへの一直線の道が開く中、クリストフの刺突が放たれる。
全力疾走の勢いも込めた磔刺。
それはカースの胸を貫く。
勢いはそこで止まらず、串刺しにしたまま、クリストフはカースをいったん持ち上げ、海面に叩きつけた。
魔女の魔法の効果により、カースの胸を貫いた状態で海に突き刺したブラッド・シーは、地面に突き刺しているかのような確かさで固定される。
串刺しにして固定したまま、クリストフはカースを抑える。
そこから逃れようと、カースは残った右腕を大蛇に変化。
クリストフを突き飛ばそうとするも、炎の蛇に阻まれる。
アリシアの小咒が、大蛇の喉元に食いつくように命中。
そこにロディアスとラビオンの追撃が。
「この、往生際が悪いっての!」
ロディアスが拳打を叩き込み、ラビオンが体当たりをしてクリストフから引き離す。
そこにテオドアの一撃が閃く。
一気に間合いに跳び込み、魂洗いの一閃。
瞬速の抜剣が、大蛇の首を切り落とした。
カースの動きは抑えられ、反撃の手段は封じられる。
そこに止めを刺したのは、ナツキとルーノの合わせ技。
ナツキの獣牙烈爪突に合わせ、ルーノの小咒が放たれる。
それはナツキのノーム・クレイモアを覆うように合わさった。
土気の魔力を持つノーム・クレイモアに、火気の魔力を持つ小咒の重ねられた一撃は、カースの頭部を吹き飛ばす勢いで斬り飛ばした。
頭部を破壊された瞬間、カースからおびただしいほどの魂が露出する。
「イザークさん」
「ああ。早く魂を開放してやろう」
あおいとイザークが魂を縛る鎖を破壊するのに続き、仲間の浄化師達も魂を開放していく。
全ての魂を縛る鎖が破壊されると、カースの全ては塵となり虚空に消えていった。
「勝った……」
戦い終わり、疲労と安堵の滲む声を上げるラビオン。
「初戦にしては、激しい戦いだったわね」
満足したような声を上げるロディアス。
そして回復手段を持った浄化師は、傷の手当てに動く。
「クリス」
アリシアが心配そうに近付き天恩天賜を掛けようとすると、クリストフは手で制して止める。
「俺は大丈夫だよ。それより、シリウスの手当てをしてやってくれるかい」
クリストフの言葉に視線を向ければ、大きく傷を負ったシリウスが。
シリウスは今回の戦いに当たって、回避と攻撃に特化した状態で事に当たっていた。
そのため、カースの攻撃のほとんどは躱したものの、幾らか受けた攻撃でかなりのダメージを受けていた。
今も、リチェルカーレが天恩天賜Ⅱをかけているが、全快には届いていなかった。
カースとの戦いで皆の魔力は大きく減り、回復のための魔力は残りわずか。
だからこそ、アリシアもシリウスの回復に動こうとする。
そんな時だった。
カースに捕われていた魂の内、巨大な海蛇の魂が、浄化師達の周囲をぐるりと回る。
それとほぼ同時に、浄化師達の足元に青い輝きを放つ魔方陣が出現した。
魔方陣から放たれる青い輝きは浄化師達を包み込み、傷を癒していく。
突然の出来事に驚く浄化師達に、一つの声が掛けられた。
「礼を言います。この子を開放してくれて」
声に視線を向ければ、そこには一人の美しい女性が、海の上に立っていた。
ヒューマンに見える。
だが、人間には思えない。
その場に居るだけだというのに、圧倒的な存在感があった。
「貴女は、誰なんだ?」
皆の疑問を代表するようにテオドアが問い掛ける。
その隣では、いつでも前に出て守れるように、ハルトが構えていた。
そんな2人の様子を、どこか微笑ましげに見詰めながら、突如現れた女性は応えた。
「私の名はオケアノス。貴方たちの分類で言えば、八百万の一柱です」
八百万の神とも呼ばれるそれは、人々の信仰心を受け、強力な力を得るに至った存在だ。
「八百万って、風華みたいな?」
八百万と聞いて、ナツキは人懐っこく尋ねる。
以前に受けた指令で、子供の八百万の神と関わった事のあるナツキは、その時のことを思い出しながら言った。
これにオケアノスと名乗った八百万は聞き返す。
「風華? それは、私と同じ八百万の神のことなのですか? 私たちを狩り獲る可能性さえあるあの国に、まだ人と共にあろうとする者がいると?」
どこか警戒心をみせるオケアノスに、ルーノが応える。
「ニホンの八百万の神である梅の木の種が、アークソサエティに根付き生まれた、子供の姿の八百万の神です」
ルーノの言葉に、オケアノスは納得するように返す。
「ああ、なるほど。なんじゃもんじゃ姉さまの娘が、子をなしたのですね」
懐かしそうな表情を見せるオケアノスに、以前に指令で風華と出会ったことのあるリチェルカーレが言った。
「風華ちゃんは、歌と遊びが大好きなんです。一緒に歌って、かくれんぼをして遊びました」
「喜んでいましたか?」
オケアノスの問い掛けに、リチェルカーレは笑顔で返した。
「はい。いっぱい遊んで、楽しそうに笑ってくれました」
リチェルカーレの応えに、オケアノスの気配は、最初よりも柔らかくなる。
「どうやら、過去とは世界の情勢が変わったようですね」
そう言うと、掌を海面に向ける。
すると、海中から一本の木の枝が浮かび上がり、ふわふわと浮かんでリチェルカーレの手元に降りた。
「それは、この子を開放してくれた礼です」
オケアノスは、自分に頬を寄せる海蛇の魂を愛おしそうに撫で、空に昇り消えていくのを見送ってから続けて言った。
「その枝は、私の本体の一部です。それを介せば、私といつでも連絡を取ることが出来るようになります。貴方たちのことは、海の中から見ていました。貴方たちの話からすると、ニホンに行くのでしょう?」
オケアノスの言葉に浄化師達が頷くと、オケアノスは続けて言った。
「ならば、その枝は貴方たちの力になります。ニホンは、未だ八百万との絆を強く保つ国。彼の国に居る私の姉や妹達に、今回のことを話し、便宜を図ってくれるように頼みましょう。恐らく、私の姉や妹を崇めてくれている人々も、便宜を図ってくれるようになる筈です」
そう告げると、オケアノスはゆっくりと姿を薄れさせ消えていく。
「貴方たちの船旅が安穏とした物になるよう、祈りましょう」
その言葉を最後に、オケアノスは消え失せた。
後には、穏やかで心地好い潮風が流れるだけだった。
かくして、べリアル達の襲撃を、浄化師達は潜り抜ける。
それぞれ最善を尽くし、誰の犠牲も出さずに終わらすことの出来た、見事な活躍だった。
◆成功判定
スケール4ベリアルとの戦闘・前衛 : 大成功
スケール4べリアルとの戦闘・後衛 : 成功
船内および甲板活動 : 成功
海魔海戦アボルダージュ | ||
(執筆:春夏秋冬GM) |